有名人も通う「老舗洋食」ランチ

かつて花のお江戸の中心地、東京・日本橋室町周辺を散策中によさそうな洋食屋が目に飛び込んできた。午後一時過ぎ。「お腹の虫がギャアギャア騒いでる。早くランチしないと大変よ」村民2号の目が三角になっていた。日本橋三越本店7階ギャラリーで知り合いの個展を観た後のこと。泣く子と腹の虫には勝てない。
          レストラン桂1  
          昭和のよき洋食屋

それが知る人ぞ知る洋食屋「レストラン桂(かつら)」だった。オムツ犬は村の病院で点滴中。ゴッドマザーはデーサービス。その合間を縫っての気分転換の時間のはずが、腹が減っただけで休火山が噴火したら元も子もない。

銀座、浅草、日本橋にはいい洋食屋が多い。いずれも江戸の中心地だった場所。「レストラン桂」は創業が1963年(昭和38年)と日本橋の中では老舗とは言えない。だが、いかにも敷居の低い渋い店構えで、それゆえにこの店を愛した有名人は多い。
          レストラン桂 
          敷居が低い

「おいしゅうございます」の岸朝子、料理の鉄人・陳建一、加山雄三などの写真や色紙が飾ってある。見方を変えるとちょっとどうかな、という感じもしないではないが、店内に入り、料理を賞味すると、それが杞憂だったことに思い至る。
          レストラン桂② 
          AとDの間

ライチタイムだったので、値段が手ごろな「A すずきのフライ、チキンソテーベーコン添 盛合せ」(ライス付き 税込み900円)を頼むことにした。村民2号は「B ポタージュスープと豚ロース肉ガーリック焼」(同 1150円)を選んだ。
          レストラン桂3 
          常連が多い

ブラウンを基調にした床とテーブル、それに白いテーブルクロス。厨房にはご高齢のオーナーシェフと息子さん、それにご高齢の女将さんが客の応対に気を配っていた。東京物語に出てきそうな、いい雰囲気がポエムだと思う。ざっと見回したところ、お客は常連さんが多いようだ。日本橋の旦那衆か?
          レストラン桂③ 
          こちらはBランチ

待ち時間10分ほどで村民2号のポタージュスープがやって来た。本格的な、手抜きのないポタージュで、「これは美味いわ」と出かかっていたツノがすぐに引っ込んだ。続いてさらに5分ほどして、「Aランチ」がやって来た。こちらにはポタージュはない。
          レストラン桂⑤ 
          Aランチのコスパ

だが、ひと目でいい洋食とわかった。すずきのフライにはタルタルソースが置かれ、チキンソテーベーコン添えには自慢のデミグラスソースがたっぷりとかかっていた。それに脇役のスパゲッティと千切りキャベツ。いい構成。
          レストラン桂5 
       たまらないタルタル
          レストラン桂⑦ 
          ベーコンの厚み
          レストラン桂⑧ 
          デミグラスソース

すずきのフライのサクサク感と白身の美味さ。ベーコンの質の高さ、表面がカリッと焼かれたチキンソテーの肉汁感、デミグラスソースの深味。これで900円はかなりラッキーだと思う。
          レストラン桂10  
      すずきのフライがぶり
          レストラン桂11 
          本格的チキンソテー

ライスも固めに炊かれていて好みの世界。唯一残念なのは隣りの席との距離が狭いこと。通り抜けるのにひと苦労する。

「トイレに行く時にちょっと不自由なくらいよ。それ以上にこの手抜きのない味わいはうれしいわ。そうそうたる舌の持ち主がこの店を愛したのがよくわかるわ」

「確かに。ご高齢の女将さんが凄いね。許可を取ってから料理の写真を撮っていたら、『冷めないうちに早く食べてね』と言われちゃったよ。さり気ない、凛とした言い方で、妙に感動しちゃったよ。見事に一本取られた」
          レストラン桂6 
          脇役スパゲティー

「当り前よ。一杯撮り過ぎよ。出てけって言われてもおかしくないくらいよ(笑)。今度は夜も来たいわね」

「夜はもう少し舌代がかかるよ。不労所得が入ったら、考えよう」

「はいはい10年でも30年でも待ちますよ。同じことずっと言ってる(笑)」

「・・・・・・」

本日の大金言。

中年老い易く或日愕然とす。ということのないように、ハードルはなるべく低く設定しましょう。そして足るを知る。さすれば日々是好日・・・となるはずであるが、そううまくは行かないこともある。


                    レストラン桂12 



スポンサーサイト

「無化調佐野ラーメン」の舌代

利根川沿いにアトリエを構えるケンゾー画伯に誘われ、栃木・佐野までポンコツ車を走らせることになった。彼が注目している若き抽象画家の個展を観るため。もう一つの目的は佐野ラーメン。

ちょっと脇道。ケンゾー画伯の娘さん夫婦が映画製作に携わっていて、今公開中の「モリのいる場所」(沖田修一監督)にもスタッフとしてかかわっている。孤高の画家・熊谷守一を描いた作品。かつてブルーリボン賞でプレゼンターをしたこともある村長(ちょっとだけ自慢してみました)にとってもこの一家は面白い存在(ちなみにその時の監督賞は「誰も知らない」の是枝裕和監督だった)。
          小林孝至展①  
          小林孝至個展(佐野市で) 

まだほとんど無名ながら、若き抽象画家はユニークな抽象画を描いていた。しばしご本人を交えて話した後に、もう一つの目的へ。「ラーメンで旨いのに出会ったことがない。佐野もどうかな」とのたまうケンゾー画伯を今、佐野で注目されている店の一つ「くにや」に案内することにした(このお方、ひょっとしてかなりの食通かあるいは味覚音痴かもしれない)。
          くにや 
          いい店構え

ここは元和食料理人のラーメン店で、化学調味料を一切使わず、麺は地粉を使った青竹打ち。麺類シンジケートの情報ではチャーシューもメンマもひと味違うとか。

その分、一杯の値段がかなりお高い。佐野ラーメンは600円前後がフツーだが、この店は800円なり。村長が知る限り、佐野で一番高いラーメンだと思う。
          くにや2 
          高さと低さ

いい雰囲気の店構えで、店内は比較的新しく、シンプルできれい。ラーメン店を始めたのが2013年(平成25年)と約5年ほどの歴史だが、その前が老舗の割烹料理屋だったとか。和食料理人からラーメン屋への転身は最近では珍しくはないが、この店もその一つ。
          くにや② 
       800円の味とは?

午後1時半過ぎだったので、客はさほど多くはない。カウンター席とテーブル席が計17~8席ほど。カウンターに座って、定番の「佐野らーめん」(税込み 800円)を頼んだ。ケンゾーさんも同じもの。餃子(5個 450円)も定評があるので、頼もうかどうか迷った。だが、予算オーバーで断念した。

広い板場にマスク姿の白衣の店主。無駄口は叩かないという雰囲気が伝わってきた。話しかける島もない。待つこと約15分ほど。かなり長いが、しっかり作っているのが見て取れた。
          くにや⑤ 
      元和食料理人のラーメン
          くにや3 
          隙がない

大きめのラーメンどんぶりが湯気を立てながらやって来た。大きめの煮豚チャーシューが2枚、メンマ、ナルト、ほうれん草、三つ葉、それに刻みネギが醤油ベースの柔らかそうなスープに浮いている。その下の平打ち縮れ麺。構成は海苔がないくらいで定番のものだが、隙がない。
          くにや⑥ 
          スープの深み

よく見ると、とろろ昆布が地味に浮いていた。これは珍しい。和食料理人のアイデアなのだろう。

醤油スープは鶏がらベースだと思うが、魚介類の和の出汁が奥にしっかりと潜んでいて、最初のアタックは醤油がきつめだと思ったが、ふた口めには繊細なあっさり感が上回った。だが、無化調によくある物足りなさが全くない。過剰な旨味をむしろ抑えているような、「わかる人だけにわかればいい」という店主の意図すら感じる味わい。ごう慢と紙一重の世界?
          くにや⑧ 
          麺の秀逸

何より気に入ったのは自家製の青竹打ち麺。佐野ラーメンはコシのないふわふわ系が多いが、ここはしっかりと強めのコシ。しかも麺にいい小麦の風味がある。佐野でも村長が食べた中でベスト5に入る食感。
          くにや10  
          脇役の渋さ
          くにや12 
          麺のコシ
          くにや6 
          煮豚チャーシュー

豚バラチャーシューは柔らかすぎず固すぎず。メンマは控えめ。ほうれん草はいい鮮度。ナルトはフツー。とろろ昆布は気が付かないほどのささやき。

スープをきれいに飲み終えると、ケンゾーさんがボソリと言った。
「ま、フツーのラーメンだね。ラーメンってこんなもんですよ。これでいいんだ」

このお方、食通なのか味覚音痴なのか、いまだわからない。これまで何度か食事をしているが、いつもマズそうに食べる。未消化の謎が頭の片隅に残ったまま、怪しい一行は佐野を後にしたのだった。

本日の大金言。

食事を自然に楽しむというのは案外難しい。無理に楽しむ必要はないが、生きるために食べるとはいえ、どうせ食べるなら、楽しくいきたい。たかがラーメン、されどラーメン。


                  くにや13

ポピー後の三元豚カツサンド

小さなオムツ犬とゴッドマザーのお世話の合間を縫って、きのう日曜日、埼玉・鴻巣の荒川河川敷までポンコツ車を飛ばした。運転は珍しく村民2号。目的はポピー祭り。

3日ほど前に村民2号が仲のいい友人3人と行ったところ、「期待以上だったわ。すごくきれい。花とは無縁の村長だって、きっと心が洗われるわよ」とのたまったからだ。汚れちまった悲しみは・・・状態をとっくに通り過ぎてしまった村長の心も洗われる? そんなはずはない。そう思いつつ、心のどこかで丸ごと洗濯されることを期待している自分に驚く。大渋滞を我慢して、正午過ぎに到着。
          鴻巣ポピーまつり③ 
 日本一のポピー畑(鴻巣ポピーまつり)
          鴻巣ポピーまつり② 
          花はいずこへ?

えがったァ。耳の穴から指突っ込まれて、ふーっとそよ風を吹き込まれた感じ(意味不明)。馬室(まむろ)河川敷は日本一広いポピー畑だそうで、赤、ピンク、黄色、白など様々な種類のポピーが広大な青空の下でけな気に咲き乱れていた。ポピーがヒナゲシとか別名虞美人草(ぐびじんそう)ということさえ知らなかったことが恥ずかしい。「ちゃんと一から勉強しないとね」と村民2号からバカにされる始末。

午後2時過ぎ、遅いランチとなった。どこにするかでひとモメ。
「最近ぜい沢しすぎるから、反省を込めて、今日はヤオコーのパン屋さんでサンドイッチ買って、100円コーヒーというのはどう?」
「あんマーガリンのコッペパンあったっけ?」
「多分、あるわよ。やっぱり心がまだ洗われてない気がする」
           ヤオコーピノ① 
          本日のランチ

ポピー会場から歩いてスーパー「ヤオコー」まで行くことにした。2キロほどの距離。この一角に「ベーカリー ヤオコーピノ」がある。関東を中心に展開しているが、このベーカリーが種類も多く、しかも安くて美味い。穴場のパン屋さん。

「三元豚ロースカツサンド」(税別 398円)とあんマーガリンの「ピノこっぺ」(同 130円)を選んだ。ロースカツサンドが「10%OFF」になっていたのも、うれポピー(ちょっと苦しい)。コーヒーはむろん自販機の100円コーヒー。イートインコーナーでランチも悪くはない。
          ヤオコーピノ③ 
          いい組み合わせ

「三元豚ロースカツサンド」が当たりだった。
パンはイギリスパンを使い、焼き立てらしく、しっとり感とふわふわ感がマル。何よりも甘めのソースにくぐらせた三元豚のロースカツが美味。肉の厚さは1・5センチはある。ガブリと行った瞬間、ほとんど揚げ立てのようなパン粉のサクサク感と柔らかな肉質が、398円とはとても思えないほどの味わいで広がった。店内手作りというのもなるほどと頷ける。
          ヤオコーピノ4 
          三元豚のカツ
          ヤオコーピノ⑤ 
          およしになってぇ
          ヤオコーピノ1 
          ロース肉の厚み

レタスと薄く塗られた甘めのマヨネーズがいい陰影を作っている。東京・銀座「梅林」のカツサンドには負けるが、値段を考えると、満足度が高い。
          ヤオコーピノ11 
          柔らかな旨味

ちょっとがっかりしたのは「ピノこっぺ」。見るからにぎっしり詰まったあんこ(つぶしあん)はほとんど入り口だけで、奥までぎっしりではない。それに角棒状のマーガリン。それだけでも十分だが、コッペパンがイマイチだと思う。ややパサつき気味で、そのデカさゆえに期待値ほどの美味さの波が来ない。
          ヤオコーピノ12 
      あんマーガリン、でか~
          ヤオコーピノ13 
          およしになってぇ2

「ぜい沢言い過ぎ。コスパ的には大満足よ。カツサンドが当たった分だけ、幸せと思わなきゃ」

「あんマーガリンで妙に腹が一杯になっちゃった。ポピーで心が洗われ、三元豚で胃袋が愛で満たされ、あんマーガリンで舌が汚れちまった気分だなあ。全部上手くいくはずがないと思いつつ・・・」
          ヤオコーピノ15 
          微妙な関係

「十分美味いわよ。舌が汚れるはずないでしょ? もともと心も舌も汚れてるんだから(笑)。第一、パン屋さんに失礼よ」
「あんマーグレットはどうしているんだろう・・・・・・」
「なにそれ、とぼけないでよ。ダジャレ? くっだらない」

本日の大金言。

ポピーの花言葉は思いやりとかいたわり。たまにポピーを見て、日常から離れるのもいいかもしれない。「対立より両立」は可能か? 遅まきながら「万引き家族」でカンヌ・パルムドール受賞の快挙、おめでとうございます。是枝裕和監督、やったね!



              DSCN9948.jpg

「地下神殿」後のオモニ冷麺

「地下神殿」の異名もある ワンダーな首都圏外郭放水路を見学してから、河川マニア一行と別れて、埼玉・春日部駅で途中下車した。クレヨンしんちゃんの街だが、「ララガーデン」の街でもある。草なぎ剛やATHUSHIなど芸能人もこの街とかかわりがある。このあたりはディープなネタすぎるので今回はスルーしたい。
          首都圏外郭放水路① 
      地下のパルテノン神殿

時計を見ると、午後3時過ぎ。小腹がすいていたのとあまりの暑さで、何故か冷麺が食べたくなった。この一か月ほど金正恩とトランプのおかげで、頭の中の38度線に冷麺がプカプカ浮くようになってしまった、せいもある。核兵器より冷麺の方が胃袋にはいい。
          おもに亭 
          冷麺はないか

ようやく探し当てたのがララガーデン春日部店3Fにある「焼肉 おもに亭」だった。首都圏を中心に約10店ほどある「食肉問屋の直営店」だが、正しい冷麺があるかどうかわからない(正しくない冷麺なんてあったっけ?)。北朝鮮系が冷麺のルーツで、随分昔、千葉・市川で本物を賞味したことがある。

そば粉にジャガイモのデンプンをつなぎに使った、黒々と噛みきれない硬い麺と牛テールスープが絶妙だった。チャーシューの他にキムチやパイナップル、梨も浮いていた。さくらんぼもあったと思う。舌代は安くはなかったが、その後、あれほどの冷麺には出会ったことがない。
          おもに亭12 
        店内はおもてなし?

派手気味の入り口で「冷麺、ありますか?」と確認すると、黒服が「ありますよ。スープ冷麺です」。

これが当たりだった。メニューの隅っこに「自家製スープ冷麺」(税別 690円)の文字。安すぎる。ま、多分ハズレだろうな、と思いながら、おばさんスタッフに「これ、お願いします」。
          おもに亭① 
          辿り着いた

手抜きのない熱いおしぼりと冷たい水、それに箸と長いスプーン。悪くない細部。待ち時間10分ほどで「自家製スープ冷麺」がやって来た。
          おもに亭③ 
          舌の国境
          おもに亭② 
          予想外の世界

ステンレス製の大きめの冷麺ドンブリ。その中に多めの錦糸卵、厚めのチャーシューが2枚、ワカメ、白髪ねぎ、キムチがいい存在感で乗っていた。白ゴマと氷がしっかり浮いている。透明な牛骨スープ。その下のグレーの細麺。パイナップルやさくらんぼがないのが少々残念だがが、ひと目で「これは予想を超える」と味覚の38度線が高鳴った。
          おもに亭④ 
          トランプが隠れてる?
          おもに亭⑤ 
          当たり、かも

牛骨スープはやや塩気が強いあっさり系で、市川で食べたものと比べるとコクに欠けるが、一定のレベルには達していると思う。チャーシュー、錦糸卵、白髪ねぎ、ワカメもいいレベル。それに三つ葉。キムチは食べやすく切ってあるが、これは余計なお世話だと思う。冷麺は食べやすくし過ぎるとよくない。
          おもに亭⑨ 
          牛骨スープ
          おもに亭10 
          いい眺め
          おもに亭2  
          グレーな細麺
          おもに亭⑦  
          チャーシュー
          おもに亭⑧ 
          キムチ

麺はかなりの細麺で、市川で食べたものほど黒くはない。だが、そばやラーメンとは別世界の強いコシはマル。北朝鮮系かもしれない。
          おもに亭3 
          冷麺のコシ

ボリュームもある。税込みだと745円だったが、コスパ的に見てもこれは拾い物だと思う。スープを一滴残らず飲み干すと、9割ほどの満足感が胃袋の底から湧き上がってきた。朝鮮半島の情勢が今後どうなるか、気にはなるが、冷麺を食べてただ唸っている身には実感が来ない。いかん、いかん、いかの金・・・(危ないアブナイ)。

おばさんスタッフがまたおしぼりと今度は熱いそば茶を持ってきた。こんな安い客なのに・・・何故かため息。おもてなし文化はひょっとして日本だけの専売特許ではない? しばらく余韻に浸りながら、棚に飾ってある陶芸作品を見つめるのだった。

本日の大金言。

本格的な冷麺がこの内容でこの価格。焼肉屋にはほとんど行かないが、冷麺はまた食べに行きたい。探せば穴場はあるもんだ。



                  おもに亭11 





「東京牛丼」超二流の味わい

 所用で東京・上野に立ち寄った。上野駅周辺はどこか猥雑で、それゆえに好きな街でもある。正面口からマルイが見え、その並びには岡埜栄泉総本家、さらにその横に「東京牛丼 牛の力」の派手な看板が見える。「国産牛使用」の文字。
          牛の力① 
          上野の力?

ちょうど夕暮れ時。帰宅途中のサラリーマンやOLで周辺は賑わっている。久しぶりに牛丼を食べたくなった。吉野家や松屋、すき家、東京チカラめしといったチェーン店のようで、チェーン店ではない。上野駅で降りる度に少々気になっていた店でもある。派手でいかにもの外観は好みではないが、「ここはハズレだと思うよ」という天使の声に逆らってみたくなった。
          牛の力② 
          国産牛使用

中身を確かめたい好奇心で、入ることにした。長い木のカウンターが延びていた。時間が6時過ぎなのに客は3人ほどしかいない。おばさんスタッフと東南アジア出身らしき男性スタッフの2人が切り盛りしていた。どこが経営しているのか調べてみたが、わからない。この怪しい感じ(?)が上野的でよろしい。

メニューはそれほど多くはないが、定番の「東京牛丼」(並 税込み630円)を注文した。吉野家や松屋などの牛丼よりは高い。国産牛の産地も表示してあり「現在使用中の産地 北海道、栃木」とか。これが本当なら高いのも仕方がない。
          牛の力16 
          産地まで表示

座るとすぐにお吸い物が来た。紅色の豆麩(ふ)が浮いている。ひと口、うまくもまずくもない。これならここは味噌汁で行ってほしいと思った。ドンブリには味噌の力、である。
          牛の力15 
          お吸い物

その後、本日の主役「東京牛丼」がやって来た。東南アジア君は応対が真面目で好感。おばさんスタッフとのやりとりも微笑ましい。
          牛の力④ 
          東京の牛丼だって?
          牛の力⑥ 
          旨そうである
          牛の力⑦ 
       紅ショウガとニンニク

見るからに東京の牛丼で、すき焼きの残りをそのままドンブリにしたような印象。飴色の玉ネギと相まって、見た目は濃い印象。薄切りの牛肉は肩ロース肉のようで脂身もある。ボリューム感は写真ほどはないが、このくらいは致し方ない。
          牛の力⑨ 
          かっ込め

味の濃さが好みの別れるところ。東京牛丼なのでそれでいいのかもしれないが、牛肉自体の柔らかな旨味はあまり感じられない。ひょっとして舌がヘンなのか? ご飯もちょっと前の学食のどんぶり飯のようで、つゆだくも好みの別れるところ。
          牛の力⑧ 
          つゆだく
          牛の力10 
          どんどん行け
          牛の力11 
        唐辛子も動員

紅ショウガでアクセントを付けながら食べ進む。途中唐辛子もかけてみる。B級というより、これは二流(超二流?)の味わいだと思う。隣りのサラリーマンが温泉卵とバターの乗っかった「牛力丼 白」(同 750円)を旨そうに食べていた。そっちにすればよかったかな、とやや後悔。
          牛の力13 
          底の底

とはいえ、二流のよさもある。どう見ても二流なのに、一流と勘違いしている人が多い。虚栄心とプライドは紙一重。上野の牛丼屋で自分の足元を確認する。戒めと足の裏の確認。牛の力、とはそのような力ではないか? その意味ではここは怪しき町、上野周辺の名店(迷店?)の一つだと思う。むろんへそ曲がりゆえの個人的な感想ではある。

本日の大金言。

牛丼はかっ込むに限る。味わいはその後から立ち上がってくる。いい余韻が残るほどいい牛丼だと思う。疲れたときの牛丼ほど心強いものはない。


                    牛の力14
プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

最新記事
カテゴリ
彦作のつぶやき
最新コメント
月別アーカイブ
カレンダー
04 | 2018/05 | 06
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最新トラックバック
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR