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大宮の隠れ家ビーフカレー

3連休前に所用で久しぶりに埼玉・大宮へ。本日テーブルに載せるのは西口ソニックシティ裏手にある一軒家風洋食屋のビーフカレー。以前から少々気になっていた店で、蔦が絡まる昭和レトロな店構え。いささか怪しい雰囲気もある。「たやか」という不思議な店名で、洋食屋なのに「パーティーハウス」という文字が見える。建物も立派なのに取り留めのない印象。手書きのメニューボードの「ビーフカレーライス」が目に入った。思い切って入ってみることにした。
          たやか屋 
       不思議な洋食屋さん

正午少し前のランチタイム。ダークブラウンを基調にしたゆったりとしたテーブル、椅子、カウンター席もある。ワインボトルが整然と置いてあり、思ったよりも本格的な洋食屋。たまたまなのか、客が少ない。きっと外見が損しているのかもしれない。
          たやか屋1 
          当たりかハズレか?

のっそりとコック姿の店主がやって来た。なぜか頭に白いタオルを巻いている。「お好きな所へどうぞ」。丁寧で悪い印象ではないが、どこかあの伝説のコント王・レオナルド熊さんの雰囲気を感じてしまった。不思議な店主。
          たやか屋2 
       昭和の正統派レストラン?
          たやか屋12 
          アートなメニュー

ランチメニューの中から「ビーフカレーライス」(ミニサラダ、コーヒー付き 税込み950円)を頼むことにした。BGMはラジオ。アンバランス。カウンターのお客は常連らしくスポーツ新聞を読んでいる。
          たやか屋④ 
          ミニサラダ

待ち時間は7~8分ほど。ミニサラダが来てから、ビーフカレーライスがやって来た。イメージと違った。真ん中におにぎりのような形のライスが盛られ、周囲を穏やかな茶色いビーフカレーの温かい海が取り囲んでいた。ライスの上には福神漬け。面白い盛り方だと思う。カレーにはミルク状の生クリームが線状に点々と流れていた。いい匂いが立ち上がっている。煮込まれた牛肉の姿も見える。うむ。悪くない世界。
          たやか屋① 
          意外な登場だよ
          たやか屋② 
          ユニークな盛り方
          たやか屋③ 
          あるもんだ

ミニサラダは洋食屋のもので、フツーに美味い。スプーンでまずカレーを口に運んだ。最初のアタックは穏やかな旨み。フォンから作っているようで、レオナルド熊さんがかなりのコック修行をしたお方と推察できる。
          たやか屋⑤ 
          本格的なビーフカレー

すぐ後から複雑なスパイスがじんわりと来た。結構辛さがあるが、悪くない。甘味と塩気。牛肉から出た脂が旨味を下支えしているよう。甘みは玉ネギだと思うが、すっかり溶け込んでいる。ライスはフツーかな。
          たやか屋⑧ 
          牛肉も柔らかい

どこか渋谷ムルギーのカレーを思い起こさせる。あちらは鶏がベースだが、こちらは牛がベース。レオナルド熊さんについ「おいしいですね」と話しかけると、顔の表情が少し崩れた。
          たやか屋⑥ 
          意外な展開

「ホントはもう2日ほど置くともっと美味くなるんですけどね。きのう完成したばかりなんですよ」
「でも十分に煮込まれてますよ」
「そこはちゃんとやってますよ。出すにあたっては牛肉もトロトロになるまで煮込んでますからね。それでもあと2日置いたあたりが一番美味くなるんですよ」

店は創業して38年になるそう。最初は3人でやっていて、みんなそれぞれ独立して行ったとか。店名の珍しい「たやか」は「3人の頭文字、田中・山崎・片桐から取ったんですよ」と笑う。
          たやか屋⑨ 
          じんわり来る
          たやか屋11 
       コーヒーも手抜きがない

コック歴について聞いてみたら、「一応有名なホテルのレストランでコック修行をしたんですけどね」と控えめに答えた。建物も店内も料理の腕もいいのになぜ客が少ないのかわからない。印象のせい? 大宮の中心の横道にかような洋食屋があること。そこが面白い。ここを大宮の隠れ家にしようと決めたのだった。

本日の大金言。

街には死角があるうと思う。そこにいい料理屋があることだってある。そういう店を探す楽しみもまた。


                    たやか屋10 




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「冷麺」とマッコリで仕上げ

 兜町ペンクラブの編集会議とその後の飲み会でワインを飲み過ぎてしまった。北千住で途中下車。ジャズバー「ゆうらいく」のマスターが体調を崩していて、そのお見舞いにも行かなければならない。マスターは不在で、カミさんが代役を務めていた。下町生まれの美人カミさんもマスター同様に落語好きで、子供の頃から志ん生を「ナマで聞いてましたよ」とフツーに話す。かないまへんなあ。
          明翠園 
          〆は冷麺!

その後、蒸し暑かったのと、冷麺を食べたくなったので、飲み屋横丁にある「炭火焼肉 明翠園(めいすいえん)」の階段をよろよろと上った。北千住は居酒屋の街だが、いい焼肉屋も多い。明翠園は地元でも知られた名店。40年ほどの歴史で現在2代目。
          明翠園① 
          山形牛と備長炭

南北首脳会談でも「冷麺」が話題になったが、冷麺の本場は北朝鮮である。炭火焼肉も食べたいがさすがにフトコロも胃袋も「おまえいい加減にしろよ」とジャブを入れてきた。
          明翠園② 
          メニューの一部

ここは身の程をわきまえて、「冷麺」(950円)だけを頼んだ。「できるまで少々お時間をいただきます」とかわいい女性スタッフ。妙な虚栄心で、「二東(イードン)マッコリ」(680円)も頼んだ。にっこりマッコリ。
          明翠園④ 
          整いました
          明翠園⑥ 
          本格的な冷麺

これが間違いのもとだった。グラスではなく一本(360ml)で、どろりとした本格的なマッコリで、ヨーグルトのようなまろやかな酸味が美味い。アテに「タラの腸のチゲ」が付いてきた。辛い。ゴムのような食感で、嫌いではないが、きつい。

しばらくして、「冷麺」がやって来た。本格的な冷麺で、ステンレス製の大きな器が十二分に冷えている。これこれ。牛骨をベースにした冷たいスープがなみなみと注がれ、白ゴマがぱらぱらと浮いている。その中央に自家製キムチやカクテキ、それにキュウリなどが山の形で盛られ、テッペンには半切りのゆで卵が乗っていた。錦糸卵とコチジャンがいい具合にかかっている。きれいな鶏肉が二枚。
          明翠園⑨ 
          牛骨スープ

北朝鮮系か韓国系か不明だが、ひょっとしてそれらを上手くアレンジしたものかもしれない。酸味の効いたスープは定番のもの。あっさりしていて、しかも奥深い。美味。よく見ると松の実もある。

冷麺は北朝鮮系ほど黒くない。北朝鮮系なら噛み切れないほど硬いが、日本風にアレンジされていて、腰の強さはかなりのものだが、何とか噛み切れる。かなりの細麺で、その歯ごたえが悪くない。
          明翠園10 
          細い冷麺
          明翠園11 
        コシがかなり強い

冷麺の原料はそば粉だが、日本のそばのようにやさしくはない。南北のトップが平壌の冷麺専門店で冷麺を食べている演出映像が流れたが、文在寅韓国大統領が黒い麺を噛みきれずに苦労していた。あれが北朝鮮の冷麺で、ひょっとして「我々はそう簡単に噛み切れないぞ」というブラックユーモアが隠されているかもしれない。
          明翠園⑦ 
          鶏チャーシュー

パイナップルやさくらんぼがないのがやや寂しいが、描いていた冷麺に近い。何とかスープまで飲み干すと、腹が二回りほど膨らんだ気分になった。マッコリも飲み干すと、天井がぐらりと歪んだ。それにしても韓国の大統領は何を考えているんだろう? 日本の首相もそうだが、イギリス映画「スターリンの葬送狂騒曲」くらい見てほしいもんだ。

本日の大金言。

昔、千葉・市川でまさに北朝鮮系の冷麺を食べたことがある。黒くて中太だった。固くてまるでハリガネを食べているようだった。その後もたまに冷麺を食べたが、いずれも食べやすくアレンジされていた。盛岡冷麺もその流れの中にあると思う。


                  明翠園14 





奈良井宿で「五平餅食べ比べ」

 信州の旅は前回でお終いのはずが、奈良井宿の精霊が「おまえ、それはねえだろ?」とクレームを入れてきた。なので、本日は信州編のおまけ、です。五平餅の意外。
          奈良井宿 
          タイムマシン

ン十年ぶりに奈良井宿へ足を運んだ。思い出の場所。かつての淡い、苦い恋が脳内を駆け巡る。五平餅を食べることにした。泊まった旅籠は覚えているが、どこで食べたかは覚えていない。ここでもない、あそこでもないとウロウロしているうちに、エイヤッで飛び込んだのが「徳利屋(とくりや)」だった。郷土館でもある。
          徳利屋1 
          徳利屋へ

千本格子の伝統的な建物で、180年の歴史があるそう。奈良井宿の中でもシンボル的な店。「五平餅」の木札が下がっていた。入ると庄屋の家のようで、広い座敷が続いていた。囲炉裏と煤けた吹き抜けの天井が素晴らしい。メーンメニューは手打ちそばだが、お目当ての「五平餅」(くるみ、黒ごま、山椒味噌 税込み 650円)を頼んだ。
          徳利屋6 
          ええのう
          徳利屋4 
          メニューの一部

ご高齢の男性と女性が数人で切り盛りしているようで、ひょっとして家族経営かもしれない。時間が午後2時近かったせいか、お客の姿はまばら。BGMがないのが清々しい。ほうじ茶を出され、それを飲んで、10分ほど想いに浸っていると、皿に盛られた五平餅と漬け物がやって来た。
          徳利屋7 
          意外なお姿

あれれ? 串に刺してある五平餅を想像していたのに、小さなおにぎり状が3種類。串の姿はない。いささか拍子抜け。おばさんスタッフに聞いてみると、「これが奈良井の五平餅なんですよ。食べやすいように串を使ってないんです」とのお返事。
          徳利屋8 
          山椒味噌

山椒味噌(さんしょうみそ)、くるみ、黒ごまの順で食べてみた。うるち米なので餅のような食感ではない。素朴な味わい。定番の山椒味噌は味噌と山椒のバランスがよく、それなりに美味い。くるみは甘だれで「味噌は使っていません」。くるみの風味が悪くない。一番気に入ったのは黒ごまで、こちらも甘だれで黒ごまの風味と擂った舌触りがとてもいい。その黒光り。
          徳利屋9 
          くるみ
          徳利屋11 
          黒ごま

期待したほどのボリュームがないのが、やや肩透かしだが、キュウリの浅漬けとミョウガの漬け物が美味。特にミョウガが絶妙だった。室内のビジュアルが素晴らしすぎるので、料理の70%の満足度を補っている。
          徳利屋10 
          美味

物足りないので、もう一軒、古民家の「喫茶 たなかや」の暖簾をくぐった。こちらは元々イメージした五平餅を出してくれるようだ。奈良井宿の中にも「奈良井流」ではない、昔ながらの五平餅を出してくれる店が探せばある。
          たなかや③ 
          もう一軒

「五平もち」(さくら湯付き 税込み300円)。こちらも焼き時間は約10分ほど。茶色の皿に乗ってやって来た五平餅はほとんど期待通りのわらじ型で、山椒味噌がたっぷり塗られ、焦げ具合もイメージ通り。
          たなかや④ 
          これこれ

さくら湯を味わってから、かぶりつく。山椒が予想以上に強く、味噌だれの食感以上に辛い。昔食べた甘味噌だれではない。「昔からのこの地方の五平餅です。ちょっと辛いかもしれませんが」(店主)。
          たなかや⑤ 
       よだれが出かかる
          たなかや⑧ 
          よだれが止まる

結果として2種類の五平餅の食べ比べ。期待したほどの感動は甦らなかったが、これはきっと過去を美化する心理の副作用かもしれない。重要伝統的建造物保有地区に指定されている建物群を歩きながら、どこかでン十年前の自分の姿を探している自分の姿に苦笑する。木曽の山々は深く、空は高い。次に来るのは何年後になるんだろう?

本日の大金言。

ひと口に五平餅といっても種類が多い。だんご状のものも多い。店によっても作り方が違ったりする。妻籠や馬篭に多いくるみを混ぜ込んだ甘味噌ダレをイメージしていると、木曽全体を見失うかもしれない。たかが五平餅、されど五平餅。



                   徳利屋12 

「山賊焼元祖」で山賊失格

 和菓子屋巡りの合間を縫って、塩尻であの「山賊(さんぞく)焼き」を食べることにした。松本市と並び、ここは山賊焼きのメッカ。鶏のもも肉(あるいは胸肉)を切り開いてからニンニクの効いた醤油ダレに豪快に漬けこみ、片栗粉をまぶし、高温の油で揚げたもの。信州の郷土料理でもある。竜田揚げの巨大バージョン。
          元祖山賊3 
          ここが元祖?

その元祖が塩尻駅近くにある、という情報を聞きつけ、立ち寄ることにした。その名も食事処「山賊」。ここで誤算が生じた。ランチはやっていない。一軒家の古い居酒屋で店の横に「元祖 山賊焼」の石碑が立っていた。うむ。午後5時半過ぎに店を開けるという。仕方なく時間をつぶすことにした。
          元祖山賊2 
          碑まである

観光案内所でスタッフと雑談し、駅前に宿を取り、万全の態勢(万全て何だ?)で夕方を待つ。信州の夕暮れは頭に染み入ってくる。信州脳みそ。午後6時半過ぎに、おもむろに出撃した。
          元祖山賊③ 
       予約席でいっぱい

想像以上の人気店で、暖簾をくぐると、テーブル席は予約席だらけ。スタッフ数人が忙しく動いている。「ちょっとお待ちください」店の対応は悪くない。5席ほどの一枚板のカウンター席に案内された。
         元祖山賊①  
       この迫力メニュー

メニューの中から、目的の「山賊焼」(大 税別1000円)と生ビール(中 550円)をまず頼む。揚げるまで時間がかかるというので、もう一つの看板メニュー「鶏もつ煮」(ハーフサイズ 310円)を追加した。後で塩尻ワインと馬刺しも頼むつもり。
          元祖山賊④ 
          これこれ
          山賊  
          鶏もつ煮

「鶏もつ煮」がかなりの味わいだった。甘辛でよく煮込まれていて、この店がただの居酒屋ではないことがわかった。生ビールが体に沁み渡る・・・旅はええのう。
          元祖山賊⑥ 
          ド迫力
          元祖山賊⑧ 
          食欲全開

17~18分ほどして、揚げたての音がするような山賊焼きの大がやってきた。大きさといい厚みといい、デ、デカい。大皿からはみ出すほどで、キャベツが一枚だけ敷かれていた。「350グラムはあります」(スタッフ)。キャベツはもう少し欲しい気がする。
          元祖山賊⑦ 
        想像超えるデカさ

フウフウしながら、何とか一切れにかじりつく。コロモのサクサク感ともも肉の圧倒的なボリューム。肉汁と脂分がドドと滴る。ニンニクの匂いが醤油ダレとともに口の中に居座った。山賊ってここからきた?
          元祖山賊⑨ 
          もも肉の厚み

途中で塩尻ワイン(グラス 白350円)を頼み、山賊焼きにさらにかぶりつく。から揚げ好きにはたまらない。何とか食い終えると、腹の中が一杯になった。格闘するから揚げというのもある。

鶏肉があまりに旨いので、「どこの鶏肉?」と聞いてみたら、「フツーの鶏肉です」という答えが返ってきた。「代々受け継いできたニンニク入りの醤油ダレに一晩漬け込んでいるので旨いんだと思います」(スタッフ)。
          元祖山賊10 
          ニンニク醤油ダレ

店は三代目で、祖父が昭和の初めころに食堂として創業したらしい。それが戦争で中断し、現在の居酒屋「山賊」になったのは昭和33年(1957年)だそう。今では「しおじり山賊焼の会」もでき、山賊焼きを出す店は会以外の店も含めて、市内に40~50軒ほどあるとか。これは観光案内所で仕入れた情報。
          元祖山賊14 
       キャベツもっと欲しい

ちなみに松本市も山賊焼きのメッカで、塩尻とライバル関係にある。松本が生姜ベースで、塩尻がニンニクベースだそう。「もう一つ、違いがあるんですよ。松本は山賊焼きと表記しますが、塩尻は山賊焼です。『き』があるかないか、これもポイントです」(観光案内所)。これは重大なことだそう(笑)。

山賊焼きの名前の由来は諸説あり、それを辿るとキリがないので、この辺でトリと行きたい。もう一つの名物「馬刺し」も食べようかと思っていたが、お腹の底から「もうケッコウ、コケコッコー」という声が聞こえてきた。白ワインを2回お代わりしたので、財布の中身も気になる。千鳥足寸前で山賊を後にするのだった。

本日の大金言。

山賊焼きの由来は先代も先々代も山賊のような風貌だったから、というのが店の話。その他「山賊は物を盗る。つまり、とりあげる。そこから転じて山賊焼きになった」という別の説もある。どちらも出来過ぎの感もある。


                   元祖山賊15

老舗喫茶の50円バタートースト

 信州・松本市にはいい和菓子屋が多い。国宝・松本城を見学しがてら和菓子屋めぐりをしようと、午前7時半過ぎに松本駅に降り立った。まずは朝めし。喫茶店でモーニングと行きたい。駅構内のスタバを素通りして、メーンストリートへ出て、松本城方面に歩き始めた。すると、右側からいいコーヒーの香りがしてきた。立ち止まる。
          喫茶アベ1 
        センサーが反応する

それが「珈琲美学 アベ」だった。松本でも老舗の喫茶店で、コーヒー好きの間では知られた存在。「珈琲美学」。今どきかような表現は流行らないが、それを堂々と打ち出している。昭和レトロ。調べてみたら、創業は昭和32年(1957年)。さすが松本、と入り口の年季の入った煉瓦の外観に引き込まれてしまった。
          喫茶アベ2 
        グッドモーニング!

入ると、右手に見事なカウンター席があり、白シャツに蝶ネクタイ姿の若い店主(3代目だった)が注意深くネルドリップでコーヒーを淹れていた。いい店であることがすぐ伝わった。BGMに静かに流れているクラシックが心地いい。スタイルのいい若い女性スタッフがテキパキと動いている。ポエム。
          喫茶アベ⑤ 
         昭和の本物だよ
          
左手のテーブル席に腰を下ろし、モーニングサービスメニューを見ると、例えばブレンドコーヒーが390円(税込み)で、それを基準にして、サイドオーダーを選ぶシステム。視線をそこに移すと、目が点になった。まさか。目をこすってからもう一度見る。
          喫茶アベ3 
          ホンマかいな

「バタートースト 50円」。さらに信じられないメニューが並ぶ。フォカッチャ100円、ハムエッグ100円、スクランブルエッグ100円、ツナペースト100円、レタスサラダ100円・・・。

狐につままれた気分で、ブレンドコーヒーとバタートースト、それにツナペーストを頼んだ。6~7分ほどで香ばしい匂いとともに淹れたてのブレンドコーヒーが置かれ、バタートーストとツナペーストが置かれた。白いコーヒーカップと白い大皿、それにフォークとナイフ。
          喫茶アベ① 
          たまらん世界
          喫茶アベ④ 
          50円の驚き
          喫茶アベ② 
          食パンのレベル

バタートーストはさすがに厚切りではない。フツーの厚さ。切れ目が入れてあり、バターが狐色の表面に滲んでいる。手で割ると、パン生地が驚くほどしなやかに伸びる。フツーに美味い。
          喫茶アベ⑥ 
          ガブリと行け  

ツナペーストを乗せる。好みを言えば、もう少しマヨネーズと玉葱をブレンドしてもいいとは思うが、あっさりしたシンプルなツナペーストで、これはこれで悪くはない。

「50円というのは凄いですねえ。昔からですか?」
「先々代、つまりボクの祖父がコーヒー以外はできるだけ安くしたいという考えなんです。それで50円にしてるんですよ」
          喫茶アベ⑨  
       これで150円だって?

蝶ネクタイの3代目が丁寧に答える。食パンは地元では有名な小松パン店のものを使っているそう。美味いはずだよ。コーヒーの美味さも指摘しておきたい。上質なまろやかさで、かなりのレベルだと思う。本格的なネルドリップで「完全抽出でやってるんです。できればお見せしたい」と3代目。その間に新しい客が3人ほど入ってきた。
          喫茶アベ⑦ 
          あーん
          喫茶アベ11 
          美学だって?

「今度来たときに見せてください」

慌てて辞去する。そのとき、立ち振る舞いでカウンターの隅にいたのが2代目だとわかった。松本駅近くにに親子3代のちょっといい喫茶店がある。外に出てもしばらくの間いい余韻に包まれたままだった。遠くに松本城・・・。

本日の大金言。

隅々までこだわりと神経が行き届いていること。マスターがきりっとしていること。コーヒーに入れるミルクが自家製であることなどなど。個人的にはこれがいい喫茶店の条件だと思う。「珈琲美学 アベ」はむろんクリアしている。


                   喫茶アベ10 



プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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