「和風黒ボロネーゼ」と文楽

 友人知人の間で熱烈な文楽ファンが多い。人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)。一体どこが面白いのか、予約しておいた「六代目竹本織太夫襲名披露」と銘打った第二部を観に、国立劇場のある半蔵門へと急いだ。文楽初体験。京都魯山人先生は魚眼レンズで高みから、赤坂コールマンは文楽の初級講座を一からアドバイスしてくれた。初めてのお使い、老年版(涙)。

あっ、忘れるところだった。その前にまずは麹町で食べた「生パスタの和風黒ボロネーゼ」を舞台・・・いやテーブルに上げたい。正午前に半蔵門駅で降りて、地下にある隠れ家風カフェレストラン、麹町3丁目「カフェ ノニーノ」に入ることにした。
          ノニーノ① 
          文楽前のランチ
          ノニーノ 
          麹町の穴場?

「生パスタセット」と熟成ネルドリップ珈琲の手書きのボードがおいでおいでしたからである。文藝春秋社も近く、このあたりは客筋がいいのか、いい店が多いと思う。「カフェ ノニーノ」は単なるカフェというには店主の好みが行き届いた、モダンな空間だった。
          ノニーノ② 
          地下の隠れ家風

さり気なくアートな、剥き出しの天井とコンクリートの床、木とステンドグラスがちょっとした作品のように置かれている。コーヒーのいい香りとグレン・グールドのピアノが流れている。やや出来過ぎの感もある。
          ノニーノ1 
           いい世界

「気に入ったわ。本物の河津桜が活けてあるのも渋い。若い女性客が多いのもうなずけるわ」

村民2号が「生パスタセット」の中から「サーモンときのこのクリームパスタ」を選んだ。ミニサラダ、ブレンドコーヒー、デザート(バニラアイス)付きで1250円(税込み)。
          ノニーノ③ 
          本日の生パスタ

村長は同じ生パスタの中から「和風黒ボロネーゼ」を選んだ。

待ち時間は10~15分ほど。ミニサラダはかなり甘酢のドレッシングで、ま、こんなもんかな、という印象。しばらくしてやって来た和風黒ボロネーズは黒ごまの香りが食欲をそそった。生パスタはフィットチーネで、きしめんのよう。挽き肉(合挽き?)が黒ゴマペーストと混じりあって、黒緑っぽい幅広パスタを引き立てている。これは人形使いの黒子ではないか。カイワレが上にハラハラ。
          ノニーノ④ 
          ミニサラダ、登場
          ノニーノ⑤ 
   サーモンときのこのクリームパスタ
          ノニーノ6 
       和風黒ボロネーズ
          ノニーノ⑥ 
        黒子が隠れている?

モチモチ感とコシの強さが生パスタならではのもの。本格的なフィットチーネで、黒ごまの香りとオリーブ油、それにかすかに醤油の隠し味。ニンニクも混じっているかもしれない。見た目よりボリュームが結構ある。 
          ノニーノ11  
          これも太夫?
          ノニーノ10 
          コシとモチモチ

「サーモンときのこの方が当たりね。パスタは細い分、クリームとよく合っている。生に近いスモークサーモンも旨い。ネルドリップのコーヒーも上質。これで文楽を楽しむ準備は万端よ」

和風黒ボロネーズをひと口だけ味見した村民2号が鼻を鳴らした。ま、負けるが勝ちもいいか。
          ノニーノ13 
          高いレベル

さてさて、午後二時半から始まった第二部は六代目を襲名した竹本織太夫が素晴らしかった。素人の村長でもその情念の世界にぐいと引き込まれてしまった。人形師と太三味線と三位一体の異次元のイリュージョン、としか言いようがない。その前座の「花競四季寿」は少し期待外れだったが、六代目襲名披露狂言「摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうつじ)」は参りました。確かに凄いなあ、凄すぎでんなあ。泉下の藤本義一も微笑んでいるに違いない。当り前の話だが、橋下などより文楽だって。

本日の大金言。

初めての文楽。遅すぎた初見。和風黒ボロネーゼも文楽には及ばない。





                 ノニーノ12
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山谷地区の仰天「カツカレー」

 曹洞宗に帰依している旧友らと東京・北千住で待ち合わせ。だが、途中でトラブルがあり、集合時間が午後5時となってしまった。
          いろは商店街① 
          いろは会商店街へ

時間が浮いたので、その前に南千住で降り、旧山谷地区をぶら歩きすることにした。久しぶりの山谷。「あしたのジョー」の舞台にもなった「いろは会商店街」へ。老朽化などでアーケードは撤去され、昭和51年(1976年)建築から42年に渡る、戦後の一つの歴史がもうすぐ終わろうとしている。
          いろは商店街② 
     天井が抜け人通りもまばら

10年ほど前に来たときには、仕事にあぶれた日雇い労働者が酒盛りする光景がフツーに見られたが、天井が抜け、青空が広がる下の陰影で所在なげに座り込んでいるオヤジが4~5人ほど見られただけ。西の釜ヶ崎、東の山谷と呼ばれたドヤ街も時代から忘れ去れようとしている。胸の枯野に風が吹く。

樋口一葉記念館をのぞき見してから、清川2丁目で遅い昼めしを取ることにした。腹の虫がわめき始めている。午後2時過ぎ。カツカレー好きの間では知る人ぞ知る食堂「日正(にっしょう)」の煤けた紺地の暖簾をくぐる。
          日正① 
          山谷の名食堂
          日正3 
          カツカレー!

創業が昭和26年(1951年)。店内は古き昭和のまま。山谷の日雇い労働者もここの味を愛したと思う。6人掛けのテーブルが二つと小さなカウンター席だけ。大相撲のポスターや煤けたメニュー札が目につく。あまりにディープな山谷の昭和食堂。活気はない。
          日正5  
          昭和のラインナップ
       
カウンター席に腰を下ろすと、奥の厨房からきれいとは言えない正統派コック服姿の、でっぷりと太った、人のよさそうな店主が水の入ったコップをのそりと置いた。「カツカレー」(税込み 850円)を頼んだ。店主は二代目で、そのあまりにもっさりとした立ち振る舞いに、ちゃんとカツカレーを作ってくれるのかやや心配になった。だが、15分後、それが間違いだったことがわかる。
          日正③ 
          洋食屋のカツカレー
          日正② 
          絶景かな

紙ナプキンで包んだスプーンが置かれ、楕円形の深皿に盛られたカツカレーがすっと置かれた。大きめのトンカツと濃い黄土色のルー、テカリを帯びたライス、正統派福神漬け。それらが3倍ゴシックで洋食屋の本物感をしっかりとかもし出していた。いい匂いが鼻腔に入り込んでくる。ひと目で店主が外見とは違って、ただの食堂の店主ではないことがわかった。
          日正⑥ 
        本格的ルーの世界

トンカツはコロモが油断なく付いていて、揚げたてのカリッとした歯ごたえ、肉は国産豚ロース肉で、厚みは約1センチほど。柔らかくしっかりとしたいい肉だと思う。トンカツというよりポークカツレツのような食感。
          日正⑦ 
          トンカツ、美味

ルーはスマトラカレーに近いトロリとした、香辛料が口中で立ちのぼってくる本格的なルーで、十分に煮込まれた玉葱と豚肉が沈んでいる。ラードの気配もある。ヨーグルトの酸味と塩気も溶け込んでいる。

ヘンな表現だが、ここが山谷だということを忘れるような旨さだと思う。店主が洋食修業をしたのが想像できる味わい。ライスは柔らかめでボリュームはほどよい。福神漬けもひと味違う。
          日正10 
          ソースをたらり

ふと置いてあるウースターソースをカツに数滴かけてみた。これはこれで別の味わいを楽しめるが、店主に失礼な気がして、すぐにやめた。出来ればラッキョウも置いてほしいが、置かないのはこの店のポリシーかもしれない。
          日正4  
          正統派福神漬け

テーブル席で瓶ビールを飲みながらカレーライスを食べていたカップルが、かつ丼を追加した。年季の入ったテレビからピョンチャン五輪の実況中継が流れ、厨房の奥からはボリュームを落とした演歌が聞こえてきた。カツカレーの向こうで昭和がセピア色で手を振っているような気がした。なんてね。

本日の大金言。

神保町「キッチン南海」のカツカレーに負けないカツカレーが山谷地区にあることが驚きだが、時間帯もあるだろうが、お客がさほど多くはない。寂しい街の本格的なカツカレー。店自体はきれいではないが、足を延ばす価値は十分にあると思う。


                  日正11

さらば築地場内「センリ軒」

 今年は築地市場のラストイヤー。関東大震災後、昭和10年(1935年)に日本橋から築地に移転、約83年に渡る歴史に区切りを付けることになる。どうせならきんさんぎんさん(懐かしいのう)とまでは行かなくても、100年まで頑張ってほしかったが、今年の10月11日豊洲移転で、その歴史に幕を閉じる。

築地には思い入れが深い。エンタメ新聞社が築地にあった頃、真夜中の仕事を終えてから、明け方近くに場内市場で美味い魚をつつきながら一杯やるのが楽しみだった。安ウマの極致。

感傷はさておき、今回テーブルに乗せるのは場内市場8号棟にある喫茶店「センリ軒」の名物「ヒレカツサンド」である。
          センリ軒② 
      場内市場名物の一つ

6号棟にある「珈琲の店 愛養(あいよう)」とともに、築地市場のシーラカンスのような老舗喫茶店。むろんこのシーラカンスという言葉には最大の敬意をこめている。なにせどちらも創業が大正初期。魚市場が日本橋にあった頃から「ミルクホール」として営業していたようだ。

新しい小田原橋棟の3階に支店を出したので、「センリ軒」自体がなくなることはなくなったが、築地の何とも言えないセピア色の店はなくなる。歴史は建物とともにある、と思うと、一抹の寂しさを感じてしまう。
          センリ軒④ 
          隣りの行列

で、思い立って、朝早く8号棟まで足を運ぶことにした。午前10時半だというのに、外国人観光客も含めて、恐るべき行列。だが、それは隣りの海鮮丼屋の行列。「センリ軒」は行列とは無縁で、ほとんどすぐに入れた。思わず笑みがこぼれる。知らぬは観光客ばかりなり。約5年ぶりの訪問。
          場内市場センリ軒 
          残り約10か月

コーヒーの香りとともに「昭和初期の世界」がそのまま。客は魚河岸関係者が多く、市場の有名人も長靴姿でコーヒーを飲み、三代目店主と大声で話していた。タバコの煙もここでは出入り自由である。
          センリ軒14 
          これこれ

「ヒレカツサンド」(税込み 700円)と自家製「チーズケーキ」(コーヒーとセットで600円)を頼むことにした。

待ち時間は10分ほど。ヒレカツサンドは表面がいい具合にトーストしてあり、間に挟まれたヒレカツは肉の厚みが優に1・5センチはある。自家製ソースがたっぷりかかっていて、パンにはマーガリンがほどよく塗られている。
          センリ軒⑦ 
     シンプル・イズ・ベスト
          センリ軒⑧ 
       トーストの焼き具合

3組にさらに包丁が入っていて、食べやすいように合計6つに小分けされている。ガブリと行くと、トーストしたパンの香ばしさと柔らかなヒレカツの重量感に場内市場で喫茶店ひと筋のプライドを感じる。トンカツのコロモは薄く、その分、ヒレ肉自体の旨さが絶妙に広がる。フツーに旨い。
          センリ軒11 
          おおおの世界
          センリ軒10 
          ヒレカツ

マスタードとパセリがないのが少々残念だが、それは今に始まったことではない。外側より中身で勝負の築地そのものの世界だと思う。市場関係者は舌の肥えた人が多い。それに応えて敷居を低くして百年以上も生き残っていることの凄さ。

マイルドなコーヒーも伝統を感じさせるもので、それを飲みながら、銀紙に乗った自家製チーズケーキを味わう。
          センリ軒⑤ 
        自家製チーズケーキ
          センリ軒⑥ 
          上質の味わい

レアとベイクド2層になっていて、舌の上での溶け方が心地よい。春風の鮮度と風味、それに甘さが抑えられている。底のビスケット生地とともにレベルの高いチーズケーキだと思う。

10月の移転まで、何度通えるか、頭の中で指を折ってみたが、6本目くらいでため息が出てしまった。

本日の大金言。

タイムマシンがあれば築地の前の日本橋魚河岸時代にも行ってみたい。江戸時代からつながる魚河岸の歴史こそ、日本が世界に誇る文化遺産だと思う。目算が狂ってしまったパフォーマンス好きのどこかの自分ファースト知事は今、何を思う?



                センリ軒12               








東大前の「豚肉しょうが焼き定食」

「棟方志功と柳宗悦」を見に日本民藝館へ。ポンコツ車ではなく電車。最寄駅が駒場東大前なので、東大キャンパスを横目に歩くことになった。外国人留学生の姿が目に付く。ちらと見た限り人種も多種多様で、頭脳の国際化を改めて実感。頭に国境はあるのかないのか。
          日本民芸館② 
          日本民藝館

さて、本題は東口の東大商店街にある老舗食堂で食べた「豚肉しょうが焼き定食」。

どこで昼めしを食べようか思案しながら、たまたま隣を歩いていた東大生らしい二人組に探りを入れてみたら、「それは何といっても菱田屋(ひしだや)でしょうね。混んでますけど、ぜひ食べてみてください」と軽やかに断定するではないか。曖昧さが一ミリもない。
          東大駒場前 
          いい店はあるか?

その指差す方向に7~8人ほど並んでいた。白壁のシンプルな外観、木で枠取りされたガラス張りの入り口。どこかシャレたカフェのようにも見える。「菱田屋」の小さな屋号が白壁に明朝体で書かれているだけ。午後1時過ぎなのに、行列は衰えそうもない。入り口に自転車が置いてあるのもシャレている。
          菱田屋② 
          行列の店

仕方なく15分ほど並んでから、中に入ると、カウンター席とテーブル席、奥も長い木のテーブル席があり、外国人の姿も混じっている。なぜかみんな研究者に見える。先ほどの二人組が「昔から東大生がよく行く定食屋なんです。ウソみたいですけど、百年以上の歴史があるんですよ」と道々話していたことが頭にあったからかもしれない。ということは東大生御用達の定食屋?
          菱田屋③ 
          定食メニュー

メニューは多いが、メチャ安ではない。

ロースカツカレーにも惹かれたが、ここはやはり「豚肉しょうが焼き定食」。だが、メニューにはない。テキパキしている女性スタッフに

「豚肉しょうが焼き定食は終わったの?」と聞いてみた。

すると、「ありますよ」とにっこり。あまりに定番なので書く必要がない、ということか? ついでに舌代を聞くと「1130円(税込み)です」。うむ。
          菱田屋④ 
          日本一?

これが想像以上のものだった。待ち時間は長く15~6分ほど。厨房には料理人が3人ほど。その一人がどうやら五代目らしい。定食屋というよりはビストロのよう。

ジュワジュワと音を立てるような厚切りの柔らかそうな豚肉がタマネギを従えて、山盛りになっていた。たっぷりの生姜と醤油のいい匂いが小宇宙を作っている。マヨネーズパスタと生野菜が添えられていた。それに白菜の味噌汁とどんぶり飯、漬け物。
          菱田屋6  
          いいバランス
          菱田屋1 
          豚肉の山!

厚みのある大きめの豚肉が数えてみたら8枚ほどある。普通のしょうが焼きの優に2倍以上のボリューム。

「豚肉も国際化?」と女性スタッフに聞いてみたら、にっこり微笑んでから「国産豚の肩ロースです」。うむ。
          菱田屋11 
          唾液がドドド

ロース肉よりは固めだが、柔らかな弾力で、いい豚肉にかじりついている感覚。生姜醤油の薫風のなかにニンニクの匂いも。隠し味かも知れない。味噌汁も漬け物もそれなりにしっかりと旨い。どんぶり飯だけはわざとか、学食のような粗雑な味わい。それが不思議にいいアクセントになっている。
          菱田屋12 
          これで半分ほど

どんどん食が進み、お腹が7回裏あたりでほぼ満杯になってしまった。その後は格闘、また格闘。

9回裏まですっかり食べ終えると、たらふく感と満足感でしばし放心する。豚肉にはビタミンB1が多く含まれ、疲労回復の効用がある。最近たまっている疲れが取れるのを期待することにしよう。留学生らしいカウンターの白人男性は「ロースカツカレー」を旨そうに食べていたが、そのボリュームも普通のものの2倍以上はあった。東大生、恐るべし。

本日の大金言。

東大生の秘密の一つが「菱田屋」かもしれない。百年食堂だが、元々は東大構内で仕出し屋を営んでいたらしい。頭脳活動にはエネルギーを大量に使う。それを補っていた一つの要素に菱田屋の存在があるとしたら、隠れた功労者だと思う。


                  菱田屋4

南青山「神戸牛ハンバーグ」の驚き

 友人でもある気鋭の画家・鈴木るり子さんの個展を見に東京・南青山「ギャラリー5610」へ。同じ美大出の村民2号も黒づくめのファッションで決めて付いてきた。だが、悲しいかな村長はどんなに気張っても田吾作スタイル。このアンバランスには付ける薬はない。
          鈴木るり子画展① 
          鈴木るり子個展

るり子さんの娘さんが映画製作に携わっていることもあり、会場はその娘さんがセッティングしたもの。作品は抽象画と陶器。それらがシンプルに展示されていた。買いたくなる絵が2点ほどあったが、村の財政の関係で断念。30分ほど談笑してから、もう一つの目的、昼めし探しへ。
          リマ 
          当たりかハズレか?
 
骨董通りをぶら歩きしながら、味覚センサーがピコピコ鳴るのを待った。この周辺はいい店が多く、しかも隠れた名店があるはず。そのセンサーが5丁目あたりで鳴った。ひっそりとした入り口。地下へと続くアプローチと階段。そのメニューボードに目が吸い付いた。手書きのチョークで「LUNCH 神戸牛ハンバーグ 150グラム1500円」と書かれていた。さらに200グラム1700円、300グラム2500円の文字。うむ。
          リトル・リマ② 
          美味の入り口

余計なものがない店構えからただ者ではない匂いがぷんぷん漂ってきた。1500円は場所柄高いとは言えない。それどころかあの黒毛和牛の頂点、神戸牛。これは当たりかもしれないぞ? それが知る人ぞ知る神戸牛専門のステーキ屋「リトル・リマ」だった。

入り口のドア付近にワインの空ボトルが置いてあり、ふと見ると、オーパスワン、シャトーマルゴー、ドミナス、ラ・ルーチェなどのエチケット(ラベル)! 見方を変えると、ある種のイヤミも感じるが、「安くはないステーキ屋さん」であることがわかる。
          リトル・リマ6 
          すげえ

ゆったりとL字型の見事な鉄板に10席ほどの椅子。テーブル席も二つほど。その対面に品のいい立ち姿のシェフともう一人若いコックさんがいた。時間が午後1時半を過ぎていたせいか、客は他に3人ほど。150グラム(税込み 1500円)を頼んだ。
          リトル・リマ④ 
          1500円だって?

ランチタイムは鉄板は使わないようで、フライパンで焼き始めた。いい匂いが立ち上がり、BGMのモダンジャズが静かに流れている。ある種のポエム。
          リトル・リマ⑦ 
          ただ者じゃない
          リトル・リマ⑥ 
          隠れた逸品

待ち時間は15~7分ほど。ワカメの味噌汁とライスが置かれ、続いて神戸牛のハンバーグがていねいに置かれた。神戸牛のスジ肉と香味野菜を10日間以上煮詰めて仕上げているそう。デミグラスソースがたっぷりとかけられている。15年以上継ぎ足してきたもので、その色合いに肉好きの村民2号が息を飲んでいるのがわかった。
          リトル・リマ⑧ 
          神戸牛の技
          リトル・リマ10 
          ライスは少なめ

人参グラッセ、ポテトサラダ、キュウリのピクルスが添えられていた。すべてがさり気なく本物。デミグラスソースが甘めなのが好みからやや外れるが、肉自体の美味さ、料理の腕、雰囲気、どれをとっても1500円というのは驚きである。店を出てからあれこれ感想。
          リトル・リマ⑨ 
          煮込みに10日

「キュウリのピクルスが美味かったわ。本物のプロは隠れているのね。こんな店があるなんて、やっぱり青山は違うわ。原宿とは違う。村長のセンサーも捨てたものじゃないわね」

「調べてみたら、この店は肉好きの寺門ジモンが『取材禁止の店』と書いていたよ。夜は一人3万円は覚悟しないといけない店らしい。シェフがあまりに渋く格好いいのでそっと聞いてみたら、創業は1975年。43年ほどの歴史で、店名のリマはペルーの首都とは関係ないそうだ。店名の由来は結局よくわからなかった」
          リトル・リマ11 
          プロがいる
          リトル・リマ4 
       柔らかな人参グラッセ

「村長が写真を一杯撮ってたけど、大丈夫だったかしら。方針を変えたのか、村長の哀れな姿に同情したのか黙って見てたわね」

「一応了解は取ったよ。こういういい店はちゃんと紹介しないとね」

「よく言うわよ、今度は夜来ますなんて。一人3万円よ。昔じゃあるまいし、今はそんな余裕ないわよ」

「シェフはちゃんと見抜いているよ。だから凄いんだよ。あのシェフ、やっぱりただ者じゃない

「ま、3万円の店で大満足の1500円、いい時間だったから許してあげるわ。だけど隠れて夜来たら、許さないけど(笑)」

「・・・・・・」

本日の大金言。

面白い話を聞いた。食べログの話になって、この店も出ていた。それを知って、「消してほしい」と頼んだら、応じてくれないとか。食べログの評価もそれなりに高かったので、それはよしとすることにしよう。店はネットの世界と対極にあるのは確かだ。


                  リトル・リマ5 

プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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