「本棚カフェ」の森に沈む

かつて絹織物の街だった桐生からの帰り、古都・足利に立ち寄ることにした。目的は「カフェ杏奴(あんぬ)」

東京・新宿区下落合にあったカフェで、3年ほど前に故郷の足利に移転。いわばUターンカフェだが、「杏奴(あんぬ)」という店名は森鴎外の次女の名前。ちなみに長女は作家の森茉莉(もりまり)。店主が森鴎外のファンのようだ。
          杏奴 
          東京⇒足利物語

市の中心部通り2丁目(旧国道50号線)沿いへ。古いビルの一階に「カフェ杏奴」と書かれた白いスタンド看板が見えた。アンティークないい雰囲気。店構えから、どこかヨーロッパの小さな町の匂いが漂ってきた。
          杏奴① 
          よき文化の気配

今回テーブルに乗せるのはここで食べた「謹製ポークカレー」。「謹製(きんせい)」とはあまりに懐かしい言葉。「心を込めて丁寧に作りました」という意味。店主は言葉の感覚に優れているようだ。

入り口はそう大きくはないが、一歩店内に足を踏み入れると、長くて奥行きのあるユニークな空間。意外に広い。両側が書架(本棚)になっていて、そこに全集などの古本がずらりと並んでいた。ビートルズ本や平凡パンチも表紙も見える。中央の広いスペースにゆったりと木のテーブルがいくつか。目を閉じると本棚の森の中にでもいるような気分。
          杏奴④ 
          まさかの世界
          杏奴1 
          落ち着く
          杏奴③ 
          メニューの一部

時計の針が1970年代のまま。趣味のいい仕掛けがさり気ない。コーヒーのいい香りがかすかに流れている。村民2号の小鼻がぴくぴく動いた。気に入った時のシグナル。

感じのいいママさんに「ポークカレー」(税込み700円)を頼んだ。村民2号は「チキンカレー」(同)。コーヒー(プラス200円)を頼むのも忘れない。自家製黒みつ寒天付き。自家製マドレーヌも頼もうと思ったが「すいません。売り切れちゃいました」。
          杏奴⑤ 
         ポークカレー、登場
          杏奴⑥ 
          空から森へ

12~3分ほどの待ち時間で「ポークカレー」がやってきた。ミニサラダと自家製福神漬け・ラッキョウがきれいに盛りつけられていて、小さな器もシャレている。
          杏奴⑦ 
          丁寧なカレー

ポークカレーはママさん手づくりの欧風カレーで、豚三枚肉と玉葱がいい具合に煮込まれている。ルーは緩め。ライスとともに口に運ぶと、やや甘めだが、スパイスがかなり効いている。ボリュームはほどほど。飴色の多めの玉葱が特に気に入った。絶妙な煮込み方。
          杏奴⑧ 
          スパイシー
          杏奴⑨ 
          秀逸な玉葱
          杏奴10 
          あーんぬ

「チキンカレーはかなりのものよ。ポークカレーよりも当たりかも(笑)。ミニサラダも美味。福神漬けとラッキョウが薄切りで、これも気に入ったわ。ボリュームも女性にはちょうどいい」
「食後のコーヒーは?」
「ネルドリップで淹れた、本格的なものよ。さすが足利ね。こんないいカフェが隠れていたとは」
「マドレーヌが売り切れていたのがちょっと残念。次回はそれを食べなきゃ」
          杏奴14 
          自家製黒みつ寒天
          杏奴15 
          コーヒーの味わい

隣りの席の着物姿の美女が面白い人たちで、趣味で和服を着て、街を歩いているそう。しばし雑談。一人はシンガー、一人は陶芸家でもあり、偶然の出会いとはいえ、改めて古都・足利の奥の深さを思い知らされたのだった。

本日の大金言。

1970年代はまだ紙の時代だった。インターネットなど欠片もなかった。その数十年後に情報の伝達が紙からデジタルに大きく変化するなんて誰が予想しただろう? 手ざわり感が仮想の世界へ。コンピューターに支配される世界。人類はどこに向かっているのか。たまには本物の手ざわりの文化に沈んで、目を閉じて自己確認するのもいい。




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まさかの絶品「冷やしラーメン」

本日はかつて「西の西陣、東の桐生」とうたわれた、一方の雄、絹織物の街・群馬・桐生市で遭遇した冷やしラーメンを取り上げようと思う。

桐生市には隠れたいい店が多い。さすがに過日の賑わいはないが、「東の桐生」時代の名残りは探せば、街の至るところに残っている。例えばうなぎの「泉新」、洋食屋「芭蕉」などは、坂口安吾や棟方志功が愛した店としても知る人ぞ知る存在。名店は一日にしてならず、でもある。
          ルースター 
          ラーメン屋?

だが、新しい動きもある。本町通りをぶら歩き中に、たまたま見つけたのが「ルースター」だった。訳すと雄鶏。ラーメン屋というより、しゃれたカフェバーの造り。入り口のホワイトボードには「自家製麺」とか「化学調味料不使用」という表記。
          ルースター② 
          かなりのこだわり

過剰な説明は野暮だと思うが、この小さな店構えにはそれを超える何かを感じてしまった。村民2号も「よさそうな店ね」。午前11時半、開店と同時に入ることにした。

L字の白木のカウンター席が7つほど。厨房がオープンキッチン形式で、隅々まで気配りが行き届き、隙がない。そこにいい雰囲気の店主が一人。聞いてみると、昼はラーメン屋、夜はワインバーとか。「もう5年になります」とも。
          ルースター③ 
       まさかの冷やしラーメン

当たりの気配。夏季数量限定「冷やしラーメン」(税込み800円)を頼むことにした。醤油と塩2種類あり、醤油を選んだ。村民2号は「ラーメン」(塩、同700円)。

目の前で作る過程がすべて見える。これはよほど自信と意志がないとできない世界でもある。12~3分ほどで「ラーメン」、続いて「冷やしラーメン」の順で着丼。正午前だというのに、客が次々とやってくる。
          ルースター1 
        こちらは定番の塩ラーメン
          ルースター⑥ 
        こちらが冷やしラーメン

「冷やしラーメン」は桐生では珍しい。冷やし中華ではなく、冷やしラーメン。山形の「栄屋」が有名だが、東京でも少しづつメニューに出す店が増えている。
          ルースター⑦ 
          隙のない構成

鶏ガラ中心の冷たい醤油スープが美味。そこに鰹と昆布出汁が加えられているようだ。しっかりと味付けがしてあり、無化調に多い物足りなさがない。旨みと奥行きが舌にじんわりと滲み込んでくる。
          ルースター⑧ 
          秀逸なスープ

麺は細麺で、コシが十分にある。盛岡冷麺のような食感で、これが素晴らしい。近い場所に北関東でも有数の自家製ラーメン店「芝浜」があるが、村長の好みはこちら。
          ルースター12 
          自家製細麺

具は自家製チャーシュー、穂先メンマ、オクラ、それに千切りミョウガと青ネギ。よく考えられた構成で、すべてのレベルが相当の高みにあると思う。意外な発見に心が躍ってしまった。
          ルースター⑨ 
          具の秀逸
          ルースター14 
          穂先メンマ

もっとも気に入ったのは、穂先メンマ。これまで食べた中でもベスト5に入る美味さだと思う。

「大変ですけど、一人で全部やってます。人を使うと気疲れするし、それよりも自分で全部やった方が気が楽です」(店主)

「スープがなくなり次第終了」というのも、店主の動きを見ているとうなずける。
          ルースター10 
          発見の発見

「いい店を見つけたわね。スープを一滴も残さず飲んだのは随分久しぶりよ。桐生にもこういった新しい、いい店が出来てると思うと、うれしくなるわ」
辛口の村民2号が珍しくホメた。帰りに小松屋で「花ぱん」を買って、ゴッドマザーと老犬へのお土産にすることにした。

本日の大金言。

地方都市の衰退と混迷は深刻である。日本は東京だけではない。かつて栄華を極めた桐生にも新しい星が誕生している。こうした動きこそが日本の未来をほんの少しだが、明るくすると思う。永田町の体たらくよりも、地方にこそ光を。



                   ルースター15

ラーメン王国の隠れ名店

 首都圏から一番近いラーメン王国・佐野へとポンコツ車を飛ばした。ときどき無性にここのラーメンを食べたくなる。

食べログなどの人気ランキングでは、日向屋、大和、ようすけなどがいつもトップに位置している(6月4日現在)が、食べログ人気がそのままいいラーメン屋とは限らない。確かに美味いのは美味い。だが、これまで何度もネット上の「絶品情報」にガッカリさせられてきた経験上、それ以外の隠れた名店を探すのが楽しみになっている。第一、行列が嫌いだ。
          日光軒 
          当たりかハズレか?

ネットの情報よりナマ足の情報・・・佐野の街をぶら歩きしながら、あれこれ情報収集活動。これがまた楽しい。するとお笑い好きの女子高生三人組から、「駅前にハゲそうになる店がある」との情報をつかんだ。JK言葉で「ハゲそう」とは「すごい!」の意味だそう。何ちゅう言語変換か。それが佐野駅前の「日光軒」だった。佐野なのに日光軒とはこれいかに?

これが「はげそう」どころか、はげてしまった
          日光軒① 
      異端ではなく老舗だった

外見はどこかアジアンカフェ風。調べてみたら、創業が昭和23年(1948年)。佐野の中でも老舗の部類。一時ラーメン屋を辞めて、カフェに衣替えしたが、5年ほど前に三代目がラーメン屋を復活した。その間の事情は知らないが、創業当時の作り方と味をそのまま初代の祖父から引き継いでいるそう。

壁面の落書きと木のテーブルがどこかリゾート地のバル風。店内の雰囲気は老舗の佐野ラーメン屋とは到底思えない。BGMのウクレレが妙だ。
          日光軒③ 
          まさか、の世界
          日光軒② 
          メニューの一部

だが、ここで食べた「手打ち佐野ラーメン」(税込み630円)と「餃子」(3個 同260円)には正直、驚かされた。これまで佐野の美味いと言われるラーメン店はほとんど制覇したつもりだが、これは隠れた名店だと思う。村長の中ではベスト5に入る美味さ。
          日光軒⑤ 
        目が吸い込まれた

まずは「手打ち佐野ラーメン」。透き通った醤油スープで、レンゲでひと口。いきなり極上の旨みが滲み込んできた。鶏ガラ、豚骨、それに魚介類(煮干し?)が見事に融合していた。ため息・・・これほどのスープは佐野でもあまり経験がない。
          日光軒⑦ 
          これは、の世界
          日光軒⑥ 
          コショウをパラリ
          日光軒10 
          スープの秀逸

手打ちの自家製麺は、平打ちの太麺で、歯ごたえがいい。縮れ具合、コシ、もっちり感・・・ともに村長の好み。スープのまろやかな旨味が実によく絡む。
          日光軒11 
          手打ち麺の秀逸
          日光軒12 
          煮豚チャーシュー

煮豚チャーシューはかなり大きめのものが一枚。肉の旨さを引き出していて、妙に柔らかすぎないのがいい。メンマは懐かしい味わい。そのシャキシャキ感がたまらない。ナルトと海苔は小さい。これが昭和23年創業当時のものとは。「佐野ラーメンって本来はこういうものだったんですよ」(店主)とか。
          日光軒3 
          焼き具合い

餃子は皮まで手作りで、小さいながら、ボリュームがある。こちらもイケてる。具は野菜中心だが、何とも言えない旨味が舌先に残る。肉を使わずにテンペ(インドネシアの大豆発酵食品)を使用しているそうで、イスラムの人にも食べてほしいとか。
          日光軒4 
          うむむ、の世界
          日光軒5 
          名店、めっけ

午前11時半に入ったが、客がどんどん増えてきた。地元客ばかりでなく、観光客も混じっている。女子高生もいる。それでも人気店のようなスマホ片手の行列はない。いい店を見つけた気分。

最後に「日光軒」の由来を聞いたら、「創業者のおじいちゃんが日光好きだったからですよ(笑)」(三代目店主)。その時になって、店主が平ザルで麺をすくい上げていることに気がついた。さり気ないこだわりがいい店の条件でもある。

本日の大金言。

いい店は隠れている。テレビやネットの情報は話半分と割り切って、最後は自分の足と舌でいい店を探す。むろん外れることもあるが、それがこのフェイク時代の対処法だと思う。



                 日光軒7 


意外な場所の「玉ひで」親子丼

 東京・人形町「玉ひで」と言えば、元祖親子丼で有名な鳥料理の老舗。ランチ時はいつ行っても行列、土日などは1時間以上待たされることもある。創業が宝暦10年(1760年)と古く、あの石原慎太郎さんが常連の店でもある。敷居の低い店ではない。

宮仕え時代に何度か並んで「元祖親子丼」(1500円)などを食べたことがあるが、正直に言うと、一度食べたら、並んでまでも、という気にはならない。とはいえ、生に近いふわとろ卵としゃも肉(東京しゃも)だけの甘く濃厚な味は、往時の東京っ子の好みを知る上では貴重だと思う。
          五味八珍 
          いい外観では?

てな前振りで、本題に入る。群馬・桐生市の中心部・本町をブラ散歩中に、いい店構えの料理屋が目に入った。「五味八珍」(ごみはっちん)の長ノレン。ちょうどランチタイム。入ろうかどうか迷っていると、村民2号が「あら、この店の三代目が、人形町『玉ひで』で修業したんだって」と入り口のメニューをめざとく見つけた。
          五味八珍① 
          当たりかハズレか?
          五味八珍② 
          玉ひで?

「ふわとろ玉子 親子丼」の文字。まさかの玉ひで。行列はない。好奇心がむくむく。これは入るっきゃない。

元々はフグ料理と海鮮料理の料理屋で、三代目が「玉ひで」で修業したことで、鳥料理も売り物に加えたようだ。年季の入った木のカウンター席とテーブル席がいい料理屋の気配。白衣の二代目と三代目、それに女性スタッフが切り盛りしていた。
          五味八珍16 
          ポエム
          五味八珍③ 
          メニューの一部

テーブル席に腰を下ろして、「ふわとろ親子丼セット」(サラダ、お新香、味噌汁付き 1000円=税込み)を頼んだ。メニューがきれいではない。中山秀征と井森美幸のポスターがポエム。
          五味八珍④ 
          おいでやす

15分ほどの待ち時間で、玉ひで直伝の「ふわとろ親子丼」がやって来た。漆器の大きなドンブリ。フタを取ると、黄色い海。ふわとろというより、半熟、いや生に近い部分がどこまでも広がる、あの「玉ひで親子丼」そのもの。細かい気泡までそっくり(当り前だが)。甘いいい匂いが鼻腔を刺激する。
          五味八珍⑤ 
          おおお玉ひで
          五味八珍⑥ 
          半なまの世界

木匙でまずはひと口。かなり濃い。玉ひでは甘さの方が強いが、ここは上州流が入っているのか、甘さが少し抑えられ、かえし(醤油)がきつめ。つゆだくなのは同じ。ご飯はやや固め。
          五味八珍11 
          地鶏の柔らかさ
          五味八珍⑧ 
          出は人形町かい?
          五味八珍12 
          七味をパラリ

鳥肉はほどよい大きさのものがころころと10個ほど。もも肉が多い。玉ひでよりも柔らかい弾力で、悪くない。女性スタッフにそれとなく聞いてみると、「最初の頃は玉ひでと同じくしゃも肉を使ってたんですけど、固いので秋田の地鶏にしました」とか。
          五味八珍13 
          たまらーん

卵は3個使っているそう(玉ひでと同じ)。なめこと豆腐のみそ汁、サラダ、漬け物もフツーに美味い。

「1000円でこの内容だと、コスパも悪くないわ。コーヒーまで付いてきた。私は大満足よ。第一、並ばずに玉ひでの親子丼を食べれるのがいいわ」

「本家玉ひでよりも手ごろなのがいいけど、もう少し醤油を抑えた方が好みだけどね。本家は砂糖まで加えているらしいけど、ここは味りんだけで、砂糖は加えていないようだよ。だから醤油をもう少し抑えた方がいいのにね」

「上州の好みなのよ、この味の濃さが。ボリュームもかなりあるし、わざわざ人形町に行かなくてもいい。いい店を見つけたわ」
          五味八珍2 
          お新香マル

「ここは創業60年くらい。桐生は花ぱんの小松屋とうなぎの泉新、それに坂口安吾も通った芭蕉といういい店がある。そこまでは行かないけど、まずまずいい店だと思う」

「もっといい店が隠れているかもよ。それを探すのが村長の仕事。隠れた美味の発掘屋、なんでしょ?」

「苦節3年、骨折2年、発掘屋もつらいよ」

「またくだらないダジャレでごまかそうとして」

「発掘されたい・・・・・・」

「それじゃミイラってこと? ミイラ取りがミイラに? 笑えるわ」

「・・・・・・」

本日の大金言。

東京に一極集中の代償は地方都市のさびれ感。これは深刻だと思う。人体に例えると、心臓だけで体は動かない。地方の文化、歴史、そこにいる職人さんたちに目線を。



                    五味八珍15 



有名人も愛した「清風楼のシウマイ」

 今回テーブルに乗せるのは、横浜中華街で知る人ぞ知る「清風楼(せいふうろう)」の「シウマイ」であります。シュウマイではなく、シウマイ。あの食通作家・池波正太郎や評論家・草柳大蔵が愛したというのもある種の伝説になっていて、土日などは時間帯によっては行列にもなる。
          清風楼 
          隠れた人気店

数年前、たまたま関帝廟通り(かんていびょうどおり)にあるこの店を見つけて、手土産にしようと思ったが、一番小さい折詰が(12個入り)が税込みで1720円と予想外に高かった。財布と相談した結果、その時は泣く泣く断念した。

それを今回、横浜に行ったついでに、断崖から飛び降りるつもりで(オーバーだよ)、手土産にした。創業が昭和20年(1945年)。現在は3代目。広東料理の老舗でもあるが、店内は小さな大衆食堂のようで、敷居の高さはない。シウマイばかりでなく、炒飯や焼きそばも美味い、という評判。
          清風楼① 
          安くはない

賞味期限は「冷蔵庫に入れて4日間です」(女性スタッフ)。で、上州から愛らしい老犬とともに、ウマズイめんくい村に移住してきたゴッドマザーを交えて、89歳のお誕生会をかねて、賞味することにした。ささやかなぜい沢。
          清風楼① 
          賞味の時間
          清風楼② 
          これこれ
          清風楼④ 
          本物の予感

懐かしい経木の箱(これがたまらない)にきっちりと納まった12個のシウマイは意外に小ぶりで、崎陽軒のシュウマイとそう変わらない大きさ。コック帽のような縦長が特長。外側から見ただけで、いい豚肉が薄っすらと見える。経木の蓋を取った瞬間、独特の玉葱のような濃密な匂いが広がった。
          清風楼⑥ 
          蒸し器で蒸す

村民2号が蒸し器で約8分ほど蒸す。白ワインを用意し、備え付けの辛子をお湯で溶く。酢醤油で食べる前に、いい色に蒸し上がったシウマイを、何もつけずにガブリと行く。
          清風楼⑧ 
          おおお
          蓬莱閣2 
          71年の歴史
          清風楼2  
          肉の圧倒

粗挽きの豚肉の旨みがまず押し寄せてきた。続いて長ネギとつなぎの片栗粉(?)が絶妙に絡んできた。貝柱の旨みと何か隠し味のようなものが全体の旨みを押し上げている。ほのかな塩味(魚醤?)。自然な甘みと旨味。
          清風楼12 
          辛子でガブリ
          清風楼10 
          酢醤油でガブリ

さらに辛子を付けて食べる。酢醤油でまた食べる。それぞれに別の旨みが引き出されてくる。

「確かに美味いわ。本物って感じ。でも1720円というのは安くはない。今日は特別な日だからいいけど、崎陽軒のシュウマイで十分だわ」

「こんな美味いシューマイ、あたしゃ初めてだよ。冥途の土産になるわ。もう二、三度は食べたいよ、店で食べたらもっと旨いだろうね、ぐふふふ」
          清風楼11 
          深みと値段

「このままじゃ村の財政が破たんする予感がする。もう一度働きに出ようかな」

「誰も雇ってくれないわよ。ぎっくり腰の村長なんて」

「村長一人でどこかに移住したくなってきた」

「賛成。天国へ移住するのもいいかもね」

「・・・・・・」

本日の大金言。

横浜中華街は観光化しすぎている気もするが、まだまだ美味の迷路は健在。特にメーンストリートより裏通り。



                   清風楼13 

プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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