「会津山塩らーめん」の深味

 四国食べまくり行脚の疲れも取れないまま、所用のため、ポンコツ車を駆って会津へ。胃袋がうれしい悲鳴(?)を上げている。

四国も東京もすでに桜が散っているのに、こちらはまだ二分咲き。会津の春は遅い。日本が縦に長いことを改めて実感させられる。「八重の桜」も遠い昔のよう。

市内に着いたのは、予定より早い午前11時を少し回ったところ。まずは昼めし。

「軽いものがいいわ」
四国で体重が2キロほどオーバーしてしまった村民2号が、疲れた声で、暴走しがちな彦作の胃袋に待ったをかけた。
          大一① 
          オープン前だった

思案の末、ワシントンホテルの先にある「麺や 大一(たいいち)」の暖簾をくぐることにした。ところが、時間が早すぎて、まだオープン前だった。それでも客が数人並んでいた。

ここは会津の友人から聞いていた噂のラーメン屋で、特に山塩ラーメンが美味いとのこと。それを思い出した。寒空の下、15分ほど待つと、店が開いた。
          大一② 
          どちらにしようか?
          大一1 
          右奥が厨房

村長は「会津山塩らーめん」(税込み700円)を、村民2号は「地鶏醤油らーめん」(同600円)を頼んだ。

カウンター席の向こうが広い厨房になっていて、そこに初老の店主らしき人が、他のスタッフとともに調理に励んでいた。いい匂いと湯気が店主のさり気ない動きを浮かび上がらせている。この店主、只者ではない。
          大一③ 
       こちらは地鶏醤油らーめん

10分ほどの待ち時間で、「会津山塩らーめん」がやって来た。透明度の高い黄金色のスープ。きれいな脂が浮いている。厚みのある煮豚チャーシューが2枚。極太のメンマが3本。刻みネギ。その下に揺蕩う太縮れ麺・・・。ひと目で気に入った。
          大一④ 
        こちらが会津塩らーめん
          大一12 
          極みの世界?

それらが白い深ドンブリに隙のない世界を作って、「ま、食べてみてくなんしょ」とささやいていた。

黄金色のスープをひと口。最初のアタックで、穏やかで深みのある旨味が口中に広がった。掛け値なしに美味い。
          大一⑥ 
          白金色のスープ

会津山塩とは裏磐梯大塩温泉に含まれる塩を煮詰めたもので、知る人ぞ知る会津のブランド塩。江戸時代は会津藩御用達の塩だったとか。ただの塩ではない。

それが地鶏、豚骨、焼きアゴ、香味野菜などで作った出汁スープに溶け込んでいる。

          大一⑧ 
          たまりません
          大一⑨ 
        チャーシューの存在
          大一10 
          メンマの極み

「ここは当たりね。喜多方ラーメンとは違う味わいで、首都圏に出したら、かなり受けると思うわ。そのくらいすべてが極められている。チャーシューも柔らかさがほどよくて、すごくおいしい。メンマもシャキシャキ感がすごい。塩よりこっちの方が美味いかもよ。ほとんどが自家製というのも好感。化学調味料の匂いもしないわ。ただ麺は私の好みじゃない」

「逆だなあ。麺も素晴らしいよ。もっちり感といい歯ごたえといい、小麦粉の風味といい、かなりのレベルだと思う。麺だけは特注麺だそう。スープを吸い込むのが早いので、早めに食べた方がいい」
          大一3 
          早く食べなはれ

店はオープンして4年になるそう。女性スタッフにそっと聞いてみたら、店主はワシントンホテルの料理長だったとか。それがラーメンの世界に挑戦したらしい。オメーン転身。

そういうことか・・・素材へのこだわり方、作り方が半端ではないことに合点がいった。会津にまた新しい星(年期の入った)が誕生したことを素直に祝福したい。

本日の大金言。

喜多方ラーメンと会津ラーメン。よく似ているが、微妙に違う。「会津山塩らーめん」はそこにシェフの要素が加わっている。会津も少しずつ進化(?)している。キーワードはシンプルの深みと旨味。その目線は全国の名店を捉えているはずだ。




                 大一11 




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喜多方ラーメン元祖の餃子

急な法事で、 久しぶりに雪の会津へ・・・のはずが、意外に雪が少ない。

昼前に会津若松に到着。夕方までに時間がある。すっかりグルメ親父になったヒロシの案内で、喜多方ラーメンを食べに行く。東京にも暖簾分けで進出している「坂内(ばんない)」ではなく、喜多方ラーメンの元祖「源来軒」へ。
          源来軒 
          ここが元祖

大正末期創業と言われているが、中国から渡ってきた初代が屋台から始めた店。作り方も味もその当時のまま、というのも売り。現在は三代目。会津の人間にとって、この店は外せない。個人的には暖簾を広げないのも好み。

店は赤を基調にしていて、入り口には「元祖」の大文字と「中国料理」の文字がドドと迫ってくる。最近改装したのか、すっかりきれいになっている。一抹の寂しさ。

一階のテーブル席に座って、「ラーメン(醤油)」(税込み650円)と「餃子」(同550円)を頼むことにした。
          源来軒1 
          ポエムなメニュー

ラーメンは豚骨、鶏ガラをベースにした透明な醤油スープが美味。穏やかで深いコク。甘味もある。魚介類などの隠し味も潜んでいる。最初の一口で、「ああ源来軒に帰ってきたなあ」という思いに捉われる。彼は昔の彼ならず、ではなく、髪は昔の髪ならずだが。
          源来軒③ 
          これぞ中華そば
          源来軒2 
          コショウをはらり
          源来軒④ 
          スープのコク

麺は喜多方ラーメンの特徴である手打ちの縮れ太麺で、ほどよいコシともっちり感、それにつるりとした感触が心地いい。以前よりつるっとした感触が増した気がする。
          源来軒⑤ 
          手打ち麺

自家製チャーシューは小さ目のものが3枚。それにメンマが6~7本ほど。ナルトと刻みネギが浮いている。煮豚チャーシューは相変わらず美味いが、小さくなった気がする。メンマのシャキシャキ感も変わらずいい。その素朴。
          源来軒⑦ 
          煮豚チャーシュー
          源来軒⑧ 
          メンマの存在

源来軒のラーメンはほとんどハズレがない。約120軒ほどあると言われる喜多方ラーメンの中でも、頂点周辺に位置する味わいだと思う。

ここまで書いて、今回特に取り上げたいのは、皮まで自家製の「餃子」である。550円は安くはないが、その美味さは特筆ものだと思う。ヒロシもここに来るのは「ラーメンよりも餃子を食べたいから」と放言するほど。
          源来軒⑨ 
          主役はこっち?

一人前は5個だが、1個当たりの大きさがジャンボ餃子と言っていいほど。焼き加減が絶妙で、その羽根付きの焦げ目が素晴らしい。手づくりの皮は薄くて、中の具が薄っすらと見える。
          源来軒10 
          喜多方一か
          源来軒3 
          恍惚3秒前

具は豚ひき肉、キャベツ、白菜、ニラ、それにニンニクが多めに入っている。よく捏(こ)ねられていて、酢とラー油をたっぷり入れた醤油だれに付けて食べると、思わず目を閉じたくなるほど美味い。皮のもちっとした感触、肉と野菜と甘みのバランス。それが絶妙としか言いようがない。
          源来軒12 
          具の詰まり方

村長が好きな佐野ラーメンには、実は餃子の美味い店が多いが、喜多方にそれを感じたことはほとんどない。だが、「源来軒」だけは別格だと思う。ニンニクが強めなので、その後に人と会う時は注意が必要だが、食べ終えたときの満足感には代え難い。

ラーメンと餃子をすっかり腹に収めると、自分が何のためにここに来ているのか、わからなくなった。危ない、危ない・・・。

本日の大金言。

蔵の街・喜多方市も会津が上に付く。会津喜多方。元々商人の町ということもあり、城下町・若松市に対してはライバル意識が強い。蔵の街といい、ラーメンの街といい、その売り出し方は会津若松市よりも上手い。知恵は何物にも代え難い。



                 源来軒13 



黒い蔵カフェの焼きサンド

 会津には3日ほど滞在した。師走だというのに街は活気がなく、湿った雪がチラチラ空から落ちてくる。野口英世青春通りを散策していたら、雲水の一団10人ほどが托鉢修業で歩いている光景に出会った。曹洞宗の修行僧をこうした形で見ることはめったにない。会津の歴史にほんの少し触れた思い。ポエム。
          会津若松② 
          後ろ姿のしぐれゆく

その後をつい付いて行くと、右手に黒漆喰の大きな蔵が見えた。会津では有名な場所。1階がカフェ「会津壱番館」で、2階が野口英世の資料館になっている。元々は第六十銀行の建物で、明治17年の建築。その7年後には会陽医院になっているが、野口英世との縁が深い。
          会津壱番館① 
       蔵カフェ「会津壱番館」へ
          会津壱番館② 
          ええのう

会津若松は戊辰戦争で街中がほとんど消失しているので、この建物は貴重な財産となっている。雲水の後ろ姿に惹かれて歩いてきたが、「会津壱番館」を見た途端、お腹の虫がぎゃあと鳴いた。修行が足りない。

午後2時過ぎていたので、遅いランチをここで取ることにした。たまたま入り口に名物マスターがいたので、「食事はありますかねえ」と聞いてみた。すると、「コーヒーとケーキが売りなので、大した料理はないですよ。サンドイッチくらいならありますが」とのお返事。サンドイッチ好きなので、ここは見逃せない。
          会津壱番館2 
          ポエムやのう

店内はレトロそのもので、和と洋が不思議なくらい融合していた。たまたま雑誌の撮影が入っていた。モデルの後ろ姿を見ながら、旨い珈琲とサンドイッチを頬張るのも悪くない。雲水もいいがモデルの魅力には敵わない。修行が足りなさ過ぎる。
          会津壱番館③ 
          メニューの一部
          会津壱番館④ 
          自家焙煎珈琲

マスターおすすめの「焼きサンド」(エッグ&ツナ&ハム 税抜550円)を頼むことにした。悲しいかな2時過ぎていたので、セットにはできず、「マイルドブレンド」(同400円)を別料金で頼んだ。財布の中の寒風。

10分ほどの待ち時間で、「焼きサンド」とコーヒーがやってきた。コーヒーは自家焙煎で、白磁のカップもシャレている。「焼きサンド」もいい焼き色で、三角形の3種類が白磁の皿に盛られていた。ツマヨウジで一個一個留められている。芸が細かい。
          会津壱番館⑤ 
          焼きサンド、お成り~
          会津壱番館⑥ 
          上様目線

まずはツナ。レタスが敷かれていて、ツナペーストはまずまずのボリューム。会津産レタスの美味さとマヨネーズで和えられたツナペーストのバランスが悪くない。塩加減がいい。トーストされたパンの美味さはフツー。ドリップ式の自家焙煎コーヒーが香り高くてマイルド。
          会津壱番館⑦ 
          いい焼き具合
          会津壱番館⑧ 
          レタスとツナ
          会津壱番館⑨ 
          ほどのよさ

続いてエッグをガブリ。東京流のゆで卵のペーストで、こちらもマヨネーズとのバランスが悪くない。上にキュウリが3切れ。絶妙とまでは行かないが、まずまずの美味さ。
          会津壱番館10 
          エッグもあるべ
          会津壱番館11 
          東京流だべ

最後のハムはボリュームのあるレタスとハムだが、薄いハムが一枚だけ。期待せずにガブリと行くと、マーガリンとマスタードの辛みがレタスの美味さを引き立てている。ハムが一枚しかないことが気にならない。これが一番気に入った。
          会津壱番館12 
          意外な味わい

店の雰囲気が素晴らしいので、それを楽しみながら、食べ終える。ほどよいボリューム。雲水を見た後なので、「足るを知る」という言葉が胃袋の奥からにじみ出てきた。会津藩校「日新館」に什の掟(じゅうのおきて)があったが、その中に「足るを知らなければなりませぬ」はなかった。会津の「なりませぬ」文化は素晴らしいが、どうも堅苦しいね。喝っ!

本日の大金言。

焼きサンドよりもクロックムッシュにした方が美味いと思う。コーヒーとの相性もよくなる。会津のモダンの歴史はアメリカではなく、むしろフランスではないか。幕末の会津藩の陸軍もフランス式を取り入れたはずである。だから何だって? 詮索してはなりませぬ。


                 会津壱番館13 

老舗和菓子屋の驚きのパン

 中学時代のアイドルK子ちゃんと悪がき秀才T君と同級会忘年会。二次会まで走ってしまい、気がついたら午前0時を回っていた。そのため宿屋に帰って朝起きたら、完全二日酔い。朝めし抜き。思い出だけがキラキラしている。K子ちゃんと冬姫が頭の中でクロスしている。

図書館で資料と格闘した後、馬場町通りの「吉田菓子舗」へ。ここは会津若松で村長イチオシの和菓子屋。創業は大正年間だが、二代目の時に(現在は三代目)、創業地の七日町から現在の馬場町に移転している。鹿の子や巴最中など上菓子が絶品だが、もう一つの売りが実はパン、なのである。すべて自家製で、あっという間に売り切れてしまうことでも知られている。
          吉田屋① 
      不思議な老舗和菓子屋
          吉田屋② 
       パンのケースが見える

暖簾を広げず、和菓子屋で自家製パン、というのは全国広しといえども極めて珍しいと思う。吉田菓子舗がパンを作るようになったのは戦後すぐのようだ。それが美味いという評判を呼んで、今ではあんパンやクリームパンばかりではなく、カツパン、エッグサンドなど惣菜パンも置いている。その数、約20種類ほど。
          吉田屋③ 
          ザッツ、クール!

その中でも村長が感動したのはコッペパンの「エッグサンド」(税込み140円)。売り切れる前に駆け込み、ついでに「ウグイスパン」(同120円)と「ピーナツバター」(同120円)も買い込んだ。歴史の滲み込んだ木とガラスのケース棚の中に納まった、作りたてのパンはポエム。
          吉田屋⑥ 
          イチオシ、どす
          吉田屋⑤ 
          ニオシ、どす
          吉田屋⑦ 
          サンオシ、どす

店には食べる場所がないので、神明通りの喫茶店でこっそり遅い朝食となった。まずは本命の「エッグサンド」コッペは小型だが、グラマラス。ひと目でその素晴らしさがわかる。表面には仕上がる前に溶き卵が塗られていて、その艶やかなテカリが何とも言えない。
          吉田屋⑨ 
          遅い朝食
          吉田屋10 
          うむむ
          吉田屋11 
       絶品のタマゴサンド
          吉田屋12 
          パンの美味さ、驚く

ガブリと行くと、パンの美味さが半端ではない。伸びやかなもっちり感と小麦粉の香ばしさが口中に広がる。次にマッシュしたゆで卵が津波のように押し寄せてくる。マヨネーズとマスタード(胡椒かもしれない)がゆで卵の中に潜んでいる。思わず目をつむりたくなる。絶品、という言葉以外思いつかない。1+1が3の世界。

次に「ウグイスパン」へ。あんパンの美味さはすでに何度も食べているので知っているが、ウグイスは初めて。楕円のパンの切れ目からウグイスあんが見える。こちらもガブリ。ウグイスあんも自家製で、皮を丁寧に取って、こしあん状態にしてある。ほどよい甘さ。フツーなら絶品と言いたいところだが、「エッグサンド」があまりに美味過ぎるので、関脇の美味さ、としておこう。
          吉田屋13 
          ウグイス、どす
          吉田屋14 
          丁寧な仕事

「ピーナツバター」はフツーに美味い。いずれもパンの美味さに驚かされる。形もそれぞれ違う。これほどのパンが会津で、しかも売り切れ前にしか食べれないことに歯噛みする思い。ジレンマ。
          吉田屋17 
          ピーナツバター、だべ
          吉田屋18 
          さすけね

とはいえ、だからこそこの店のパンが貴重なのだとも思う。もし東京に出店したら、評判を呼ぶことは間違いない。村長がこれまで食べた東京のコッペパンが色あせてさえ見える。本当だよ、タカヒロくん。コーヒーを飲みながら食べ終えると、ようやく二日酔いが治まった。

本日の大金言。

本当に美味いものは隠れている。表に出ている目立ちたがり屋などそれだけでしかない、と思う。メディアの太鼓叩きの裏側を見ることから始めるのも悪くはない、と思う。




                  吉田屋19 





謙虚な「ソースかつ丼元祖」

 調べ物があり、久しぶりに会津へ。雪が心配だったので、今回はポンコツ車を止め、JRを利用することにした。駅に降り立つなり、ピュウッと冷たい風に切りつけられた。雪に変わりそうな小雨のお出迎え。鉛の空。426年前もこんな天気だったかもしれないな。
          若松食堂① 
         ソースカツ丼のルーツ

すっかり寂れてしまった大町通りを宿屋へと向かうと、右手に「若松食堂」の古い看板が見えた。知る人ぞ知る会津ソースかつ丼の元祖の店である。だが、どこにも「元祖」の表記はない。「元祖」とか「「本家」を売りにする店が多い中で、極めて珍しい店の一つだと思う。
          若松食堂② 
     どこにも「元祖」の文字がない

今でこそ会津若松のソースかつ丼は全国区になり、「白孔雀」や「なかじま」、「むらい」などメディアに登場する老舗が増えたが、それらはいずれも戦後に「ソースかつ丼」をメニューに加えている。だが、「若松食堂」の創業は昭和5年(1930年)。福井「ヨーロッパ軒」や桐生「志多美屋」などに負けない歴史を持つ。
          若松食堂③ 
          メニューの一部

ちょうど昼飯タイムだったので、この元祖の店の暖簾をくぐることにした。季節のせいか、客の数は少ない。何も知らなければ、ただの町の古い食堂としか思えない。年季の入ったテーブル席に腰を下ろしてから、若女将らしき女性に「ソースカツ丼」(税込み880円)を頼んだ。テレビが流れている。店内を見渡しても、どこにも「元祖」の文字がない。
          若松食堂④ 
          おおおの登場

奥が厨房になっているようで、そこからトンカツを揚げる軽やかな音が聞こえてき、同時にいい匂いも流れてきた。店主の姿は見えない。12分ほどで、お盆に乗った「ソースカツ丼」がやってきた。ドンブリの蓋のすき間からソース色のトンカツが見えた。お吸い物とお新香が控えている。ドンブリの姿がいい。
          若松食堂1 
          これが会津の元祖
          若松食堂2 
          ポエムの世界

蓋(ふた)を取ると、見事なソース色のトンカツが全面を覆っていた。切れ目は4つで、一切れが幅広い。会津ソースかつ丼の特徴である千切りキャベツがトンカツの下にぎっしりと敷かれていた。ポエム。

やや甘めのお吸い物をズズズとすすってから、おもむろにソースカツを一切れガブリと行った。肉の厚さは6~7ミリくらいで、他の店のものよりも薄い。ボリュームを売りにする「むらい」などは肉の厚さだけで優に30ミリ(3センチ)はある。「若松食堂」はそうした店とは一線を画しているようだ。880円という価格設定も良心的だと思う。 
          若松食堂⑥ 
          ロースの脂身
          若松食堂⑦ 
          会津産豚肉

厚めのコロモのサクッとした感触と肉の旨さが際立っている。昭和5年創業以来の継ぎ足しソースだれにくぐらせたトンカツはコロモとロース肉の加減が絶妙としか言いようがない。村長の好きなきれいな脂身がしっかりある。甘めの熟成したソースだれが肉の旨みをさらに引き上げている。見た目は濃いが、味わいは穏やか。
          若松食堂5  
          キャベツの秀逸

千切りキャベツの凄味も書いておきたいな。これ以上細くは切れないというほどの繊細さで、炊き立ての会津産コシヒカリの上に層になっていた。だが、そのキャベツのボリュームが会津産キャベツ自身の旨みのせいか、まったく邪魔にならない。ほどよくかけられたソースだれがトンカツとご飯とキャベツを融合させている。味な三角関係、というのもあるんだな。
          若松食堂6 
          タレのかかり具合

お新香の旨さも好感。お吸い物はフツーのレベル。食べ終えると満足感がジワリとお腹の底から湧き上がってきた。勘定を支払う時に、つい「どうして元祖の店、と看板などに書かないんですか? もったいない」と言うと、若女将は「ありがとうございます」と微笑むだけで、それがすべての答えのようだった。会津の奥ゆかしさはひっそりと頑固に生きている。天気予報が今夜は気温が下がると知らせていた。

本日の大金言。

メディアに登場する店より、あまり登場しない店。そこに本物が潜んでいることは案外多い。建物の規模や肉の大きさや厚さで人目を引くことよりも、本来の旨さで暖簾を守り続ける店を大事にしたい。ソースッカツウ丼、なんてね。




                 若松食堂⑨ 

プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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