人形町の「江戸ふう立喰そば屋」

 東京・人形町は彦作村長の好きな街の一つである。特に甘酒横丁周辺はいい居酒屋や小料理屋が多い。いい洋食屋も隠れている。もう一つ見逃せないのが「立ち食い」そば屋。「福そば」「日向」「小諸そば」など安くて、そこそこに旨い店が、ランチタイムはもちろん、飲み会の後の仕上げとしても、いい立ち位置を占めている。

         きくち 
         人気赤丸印

中でもここ数年、人気急上昇中なのが「立喰そば きうち」である。卵焼きで有名な「鳥近」の並びに、真っ黒いモダンな外観に「きうち」と書かれた白いノレンが下がっている。立ち食いそば屋とは思えないシャレた外観のこの店を初めてみたのは4~5年ほど前。当時は違和感からかお客はそれほど付いていなかった。久しぶりに昼飯時に人形町界隈をうろついていると、「きうち」の前が行列だった。新しいメニューも増えていた。

       きくち③     
       これに決ーめた

村長は外の自販機で「鴨つくねつけそば」(560円)のボタンを押してから、7~8人の行列に並んだ。ここは茹で立てのそばが売り物で、その藪っぽい褐色がかったそばのコシが半端ではない。大きな竹ざるで茹で立てのそばを冷水で洗っている作業が見える。人形町という場所柄、江戸前の立ち食いそばというブランディングなのだろう、ビジュアルの演出もうまい。店内は立ち食い席がほとんどだが、椅子も少しある。村長は混雑を避けて、店の外の立ち食い席で、「鴨つくねつけそば」を賞味することにした。

         きくち④ 
         おおっという登場
         きくち⑨ 
         コシと白ゴマ

挽きぐるみというより三番粉のような褐色のそばは、中細切りで、見るからにコシが強そうで、上から白ゴマと海苔がかかっていた。白ゴマを振っているもりそばというのは珍しい。ボリュームも十分あり、その風情は悪くない。国内産の鴨つくねが入った熱いつけ汁はゴボウも入っていて、かえしがきつめでかなりの甘辛だった。江戸そばの伝統を引き継いでいるということなのか。鴨つくねだんごは2個ほど、軟骨が入っていて、やや粗い食感。味付けも濃いめ。

         きくち⑥  
         あんまし付けちゃあいけませんぜ
         きくち⑧ 
         軟骨入りの鴨つくね

そこに薬味の生姜と刻みネギを加えて、そばを半分ほど付けて手繰(たぐ)る。ゴワゴワした歯ごたえとノド越し。そばの風味もそれなりにある。イケる。人気が急上昇していることが実感として理解できる。そば自体に江戸の粋と野暮が練り込まれているよう。「おい、トウヘンボクめ! 能書き言ってないで、さっさと食っちめいな」そう急かされている気分。人形町においては、それも悪くない。560円という価格設定も悪くない。

ポットにはそば湯が入っていて、それを注いでゆっくりと飲み干す。すぐ近くで人が歩いているのが不思議だ。猿や馬やキリンまで歩いている錯覚に陥る。空は高い。天高く馬肥ゆる秋。いつの間にかもう秋か。ふと食後の後味に化学調味料のような違和感がかすかに残った。


本日の大金言。

立ち食いの世界はどんどん進化している。元々が屋台から始まった江戸のそば屋。その伝統を受け継ぐのは立ち食いそば屋かもしれない。




                     きくち10 

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酒蔵で見つけた八重の酒粕カステラ

 NHK大河ドラマ「八重の桜」の舞台は会津からすでに京都に移っているが、会津と京都を結ぶ面白いスイーツを発見した。久しぶりの秋の会津若松市内を散策中のこと。時刻は午前10時過ぎ。宿泊先の「大阪屋ホテル」から七日町を下り、日新町へと歩いていると、創業が嘉永三年という「末廣嘉永蔵」が見えた。末廣は会津でも有数の酒蔵で、首都圏でも人気の高い日本酒ブランドである。その出発点となった「嘉永蔵」。蔵が多い会津の中でも、この蔵は一見の価値がある。

         末廣② 
         末廣嘉永蔵

メーンの木造の建物の他に四つの蔵がある。その中の一つがカフェとして再利用されている。「コーヒー&ケーキ 杏(きょう)」という看板に惹かれて、ふらふらと飛び込んでしまった。飛んで火にいる彦作村長。明治25年に建てられた蔵は、羊羹色の木の床と欄間(らんま)と黄色いソファが和洋の見事な調和を見せていた。まるで、京都で「山本ぬえ」と揶揄された新島八重のよう。

         末廣③ 
         蔵の中の喫茶店
         末廣④ 
         こんなところにも八重が

村民2号が一目で気に入ってしまった。まだ客は一組しかいない。腰を下ろしてメニューを見ると、そこに「八重さんの酒粕ティラ(カステイラ)セット」(紅茶orコーヒー付き650円)の文字が・・・。「会津・末廣×京都・鼓月」とも書かれていた。ウケ狙いだろうが、意味がわからん。女性スタッフに聞いてみると、「末廣の酒粕で作ったカステラなんです。京都の鼓月さんに特別に作っていただいてるものなんですよ」とか。珍しいもの好きの村民2号が「それ、お願いします。もちろんコーヒーで」。村長は「自家製梅ジュース」(525円)を追加注文。

          末廣⑤ 
          650円ナリ

白い皿に酒粕で作ったカステラが二切れ。果物のナシも二切れ。生クリームとイチゴジャムとミントの葉が添えられていた。酒粕の甘い香りが鼻腔をくすぐる。「嘉永蔵」には創業当時からの天然の湧水があり、酒はもちろんのこと、カフェのコーヒーにも使われている。酒粕のカステラはしっとりとしていて、そこに酒粕の何とも言えない風味が混じり合い、まずまずの美味さ。会津ー京都の2013年のコラボとしては悪くない。

         末廣⑥ 
         酒粕入りカステラ
         末廣⑧ 
         あーん
         末廣⑦  
         梅ジュースのカリカリ梅

「水のせいかコーヒーが美味いわ。カステラも意外に酒粕と合っていて、悪くないわ。ま、もう一切れ多いともっといいけど」
「自家製梅ジュースはさっぱりした酸味と甘みがいいね。底に沈んでいる高田梅が効いている。これを取り出して食べると、食感がカリカリしていて、体の中がきれいになっていくような気分になるよ」
「村長は汚れすぎてるからねえ。3日後の食道と胃の内視鏡検査、うまく行くといいわね。でも、酒蔵に来てお酒を飲めないなんて残念でしょ? ま、これまでの暴飲暴食を考えると、自業自得かもよ」
「せめて酒粕のカステラ、もっとちょーだい」
「だめっ。ならぬものはなりませぬ」
新島襄と八重とはあまりにほど遠い村長と村民2号のやり取りが、その後30分ほど続くのだった。



本日の大金言。

会津と京都。最澄や空海と論争した徳一の時代から不思議な縁がある。そして、最後は京都に飲み込まれてしまうのも共通している。



                     末廣11

大内宿の「くるみもりそば」とそば団子

 ポンコツの愛車で、5年ぶりの大内宿へ。戦国時代から江戸時代にかけての宿場町の面影を残す茅葺(かやぶき)の屋根の古民家が両側にずらりと並ぶ。あの豊臣秀吉も奥州仕置きの際にこの宿場町を通った記録が残っているそう。その後は会津ー日光ー江戸を結ぶ参勤交代の宿場町として栄えた。彦作村長の祖先も足軽として、この大内宿の軒先を利用して、雨をしのいだのではないか。今では観光客でにぎわう会津の見どころの一つになっている。

          山本屋 
          時代劇セットではありません

その大内宿は蕎麦のメッカでもある。高遠そばを箸の代わりに長ネギで食べる「ねぎそば」が名物となっているが、へそ曲がりの村長は、ねぎそばではなく「くるみそば」を売り物にしている「金太郎そば 山本屋」に入ることにした。3度目の訪問。入り口では「じゅうねんみそ」を付けた焼きだんごとそばがきだんごを炭火で焼いていた。観光客さえいなければ、江戸の昔にタイムスリップしたよう。

          山本屋14 
          この風情

江戸時代中期の建物をそのまま利用した店内は、広い座敷になっていて、さり気なく炉端もある。村民2号が「ここは先代の金太郎さんがそば屋を始めたのよ。この近くで採れたそばの実を石臼で挽いて自家製粉している本格的な手打ちそば屋さんなのよ。でも、十割そばでなくつなぎに小麦粉をちょっと使っているので、十一そばなんだって。十一そばなんて聞いたことないわ」とウンチクをひとくさり。

         山本屋③ 
         お品書き

煤(すす)でいぶられた真っ黒い天井を仰ぎながら、「くるみもりそば」(900円)を注文する。店先で焼いていた「焼きだんご」(大1本300円)と「そばがきだんご」(小2本300円)も注文する。お通しが二品。「ぜんまいとシラタキの甘辛煮」にまずは舌鼓。薄味で辛口の村民2号が思わず「うまい」と唸る。「大根の酢漬け」も麹でも入っているのか、何とも言えない甘みで、ついお土産にしてしまったほど。

        山本屋④ 
        焼きだんごとぜんまいの甘辛煮

やがて、主役の「くるみもりそば」が登場。そばは量は少なめ。細打ちで、コシが強く、ほどよく出汁の効いたツユに付けて食べると、いい風味が口中に広がった。新そばはもう少し先だが、この時期のそばとしては、まずまずの味わい。

         山本屋⑧ 
         くるみもりそば
         山本屋10 
         コシとエッジが立っている
         山本屋⑨ 
     山ぐるみの薬味

山ぐるみをすり潰した薬味を加えてみる。くるみのまろやかな風味が悪くない。村長はさらに薬味を加えてみる。大根おろしとワサビ。刻みネギも入れる。すると、意外な化学作用が起きた。イケる。
味わいに強弱が付き、最後に口中に残るくるみの風味が、そばの旨味とともに風雪に耐えてきた大内宿の営みの歴史を運んでくるようだった。一瞬の風。この建物の中で食べることが確実に味わいに深みを増している。

        山本屋⑦ 
        香ばしい焼きだんご
        山本屋⑥ 
        こちらはそばがきだんご

「焼きだんごは甘味噌が香ばしくて、まずまずの味。餅はもう少し柔らかい方がいいと思うけど。ま、こんなもんかなという味ね。上州の焼きまんじゅうの方がうまいわよ。そばがきだんごは文字通りにそばがきを団子にして油で揚げたもので、甘辛のゴマだれがよく合っている。私はこっちの方が好き。くるみそばはちょっと高いかな」
上州女の村民2号がエラソーにのたまった。 
「観光名所としてはこの味で十分だと思うよ。地産の物で添加物など使っていない作り方も好感が持てる。村長はぜんまいの甘辛煮に感心したよ。会津若松市内で食べた有名店のものと遜色なかった。さり気ないサービスがいい。それに何よりも、縁側に座って観光客の相手をしている、大内宿の昔美人たちが元気でいい。最後に頼りになるのはやっぱりおばあちゃんだな」
「私もン十年後はああなりたいわ。もっとも、その時には村長は天国行ってると思うけど」
「・・・・・」


本日の大金言。

大内宿の商売熱心は訪れる人を驚かさせるかもしれない。だが、京都も川越も商売熱心に変わりはない。そうした表層の奥にある人間の営みを見る。




                      山本屋12 

会津祭りと涙のソースかつ丼

 祖先が会津藩の足軽だった赤羽彦作村長にとって、会津祭りは欠かせない。特にメーンイベントの「藩公行列」は血が騒ぐ。槍を持って駆け付けたくなる。今年はNHK大河ドラマ「八重の桜」効果もあり、街中は観光客であふれ返っていた。エンターテインメント新聞社時代にお世話になった作家の故・早乙女貢さんの取り巻き連中も東京から駆けつけている。何を隠そう村長もその一人だが。

         会津祭り② 
         藩公行列のお成り~

時代劇さながらの藩公行列を楽しんだ後、会津の名所をポンコツ車で巡り、夕飯時に市内に帰ってきた。「ソースかつ丼」を食べたくなったからだ。だが、祭りの後の市内は、波が引いたように観光客もまばらになり、午後5時過ぎには店もどんどん早仕舞い。何ということだ。あれほどひるがえっていた「伝統会津ソースカツ丼の会」の幟(のぼり)も夕暮れの中に埋没していた。

          いさみ① 
          これこれ!

歩き回ること約45分。神明通りの裏手の路地で、刀折れ矢尽きかかった村長の目にソースカツ丼の幟がぼんやりとかすんで見えた。単に暗くなって見えにくくなっただけかもしれないが。それが「手打ちラーメン いさみ」だった。ここの手打ちラーメンは喜多方ラーメンに負けないくらい旨いが、実はソースかつ丼の名店のひとつでもある。まだツキがある。涙のソースかつ丼。村長はよたよたと飛び込んだ。

         いさみ④  
         「いさみ」の灯りよ

広い店内に客はふた組ほどしかいなかった。出されたお茶をがぶっと飲んでから、「かつ重ソース」(950円)を頼んだ。店によって言い方は微妙に違うが、「ソースかつ丼」のことである。この店は会津出身の俳優・佐藤慶が愛した店で、作家・西村京太郎さんも訪れている。西村京太郎さんも村長がかつて担当した作家で、偶然とはいえ、ソースな縁を感じる。ソースな縁って何だ?

          いさみ② 
          メニューの向こう側

注文してから作り始めるようで、ロース肉にコロモを付けるかすかな音、油で揚げる音、キャベツを刻む音などが聞こえてきて、この店の誠実さが伝わってきた。おもちゃの刀を差した店の子どもが走り回っているのも悪くない。15分から20分ほど待たされて、「かつ重ソース」が黒いお盆に乗ってやってきた。みそ汁と漬け物付き。ふたを取る。ソースだれにくぐらせた見事な豚カツが一枚6切れ、千切りのキャベツを敷かれて「食べておくんなんしょ」と現れた。揚げ立てのいい匂いも立ち上がる。

          いさみ③ 
          ソースかつ丼さま
          いさみ⑥ 
          揚げ立てである
          いさみ⑦ 
          会津産コシヒカリ

みそ汁は会津味噌を使い、よくダシが効いていて、うむと唸りたくなる。出だしとしては悪くない。メーンのソースカツは肉の厚さが約1センチほど。村長の好きな脂身もほどよく付いていた。ソースだれは濃厚でやや甘いが、ほどよい酸味が、ロース肉とよく合っていた。サクッとしたコロモと柔らかい肉質。キャベツの千切りも糸のように細い。村長が会津でこれまで食べた「いとう食堂」や「白孔雀」「めでたいや」ほど豚カツ自体は仰天するようなデカさではないが、まずは十分な大きさである。

          いさみ⑨ 
          この脂身がたまらない

炊き立ての会津産コシヒカリが秀逸。タレの滲み込みもほどよい。だが、しかし。テーブルにマスタードがなかった。村長はソースかつ丼にマスタードは欠かせないと思う。女性店員に頼むと、あわててどこかから持ってきた。その態度に悲しいかな「おもてなし」の気配はなかった。会津の裏名物「つっけんどん」。座布団一枚取り。祭りの後のソースかつ丼は八分の満足で終わった。



本日の大金言。

例年以上に盛り上がった会津祭りだが、「八重の桜」の綾瀬はるかも西田敏行もなぜか来ていなかった。極秘情報によると、本人たちは来たがったが、某国営放送が難色を示したという。なしてだ?




                     いさみ11 

「もったいない」ガーリックピラフと遭遇

 今日からまた3連休。先週と違って、今回は天候にも恵まれそうだ。ウマズイめんくい村の空も青々としている。で、本日は特別版。東京オリンピック招致の最終プレゼンで、滝川クリステルが「お・も・て・な・し」という日本語を使って大きな話題を呼んだが、村長はもう一つの素晴らしい日本語「もったいない」を取り上げてみたい。「ああ、もったいない」味の巻・・・。

東京でのイベントの帰り、ウマズイめんくい村の怪しい一行は、北千住ルミネ8階レストラン街で遅い夕飯を取ることになった。どこにしようか散々迷った末、どこか南欧的で開放的で小ジャれた一件のレストランに入ることにした。お客が少なかったことと、メニューの中に「ガーリックピラフ スクランブルエッグのせ」を見つけたことが決め手だった。ガーリックライスが大好きな村長にとっては、ガーリックピラフも多分同じものだろうという軽い認識だった。スクランブルエッグはない方が好みだが、そうもいかない。

          やきもんや① 
          いい雰囲気

「やきもんや ソテー」という店で、新宿ルミネにも店舗がある。実に不思議な店で、ワインが充実していて、ビールはハートランドもある。料理のエリアがワールドワイドで、お好み焼きや焼きそばがあったかと思うと、地中海ふうの一品料理、ソテー類まで揃っている。見晴らしのいい開放的なテーブル席の他に鉄板焼きのカウンター席もある。働いている女性スタッフもクールで一生懸命で感じは悪くない。あらゆる売れ筋をガラガラポンして、今風に仕分けすると、かような店になるのかしらん。嫌いな世界ではない。

          やきもんや② 
          ガーリックピラフ発見!

村長は見晴らしのいいテーブル席に座って、「ガーリックピラフ スクランブルエッグのせ」(680円)とハートランド(小瓶650円)を頼んだ。村民2号は「サーモンのソテー レモンバター醤油」(880円)と「アボガドとくるみの明太サラダ」(780円)を注文。やや予算オーバーになってしまったが、「ま、たまにはいいっか」と村民2号。

          やきもんや⑤ 
          サーモンのソテーとアボガドサラダ

「アボガドとくるみの明太サラダ」は新鮮な野菜にアボガドとくるみと豆腐、それに明太ドレッシングが意外に合っていて前菜としてはまずまず。やがて、村長待望の「ガーリックピラフ スクランブルエッグのせ」が鉄板に乗ってやってきた。

          やきもんや11 
          ガーリックピラフ スクランブルエッグのせ
          やきもんや⑦ 
          鉄板で焼いたライス
          やきもんや⑨ 
     あーん

ガーリックのいい匂いが半径1メートルを支配する。これは当たりかもしれない。そう思ってスプーンでひと口。
ライスがひと粒一粒よく炒められていて、細かく散りばめられたベーコンとタマネギとともにいいハーモニーを奏で始めた・・・と思ったが、どうしたわけか塩分がきつい。スクランブルエッグもふわとろで悪くはない。最後の塩の一振りをもっと押さえれば、見事なガーリックピラフになったのに・・・。も・っ・た・い・な・い。

「サーモンのソテーはうまいわよ。ノルウェー産のサーモンを使っているらしいわ。でも、こっちもちょっと味が濃いかな。塩と醤油を使い過ぎる傾向があるかも。ホントもったいないと思うわ。このブログを読んで、コックさんにはぜひ薄味の深みを勉強してほしいわ」
このところ「もったいない体重増」が続いている村民2号がエラソーに言った。


本日の大金言。

悲しいかな「もったいない」という言葉は今やほとんど死語になっている。日本人一人あたりの米の年間消費量は約60キロだそうだが、それと同じ量の「まだ食べられる食品」が捨てられているという。「おもてなし」の前に「もったいない」を噛みしめるべし。



                     やきもんや10 

「100食限定親子丼」680円の驚き

 人形町「玉ひで」や茅場町「鳥ふじ」といった親子丼の名店を制覇している彦作村長には少々不満がある。どちらもうまいには美味いが、値段が高すぎる。「玉ひで」などはランチタイムに行くと、1時間待ちもザラ。それで一番安い親子丼が「元祖親子丼」で1500円ナリ。「鳥ふじ」もランチタイムで950円。通常で1600円。店構えも立派で、それはそれで感動もあるが、へそ曲がりの彦作村長にはどこか気にくわない。懐石料理ではない。

          伊勢ろく④ 
          飛んで火にいる・・・

もっと手軽で美味い親子丼はないものか。敷居の高い親子丼に対して、安くて美味い「愛すべき親子丼」はないものか。上野・アメ横周辺をぶらぶら散策中に、そんな村長の乾いた目に「伊勢ろくの親子丼 スープ付き680円 一日限定100食」という看板が飛び込んできた。飛んで火にいる親子丼! 「伊勢ろく」は神田に本店がある老舗の鳥料理専門店。上野店も古い木造の3階建てで悪くない雰囲気だった。時計を見ると午後1時半。

                 伊勢ろく③ 
          伊勢ろく上野店


照明を落とした店内は、何やら江戸の昔の時代劇の世界のよう。1階は入るとすぐに白木のカウンターとテーブル席がある。カウンター席のすぐ前が調理場になっていて、料理人が忙しそうに親子丼を作っていた。手元を見るとガス台が6つほど。そこで一つ一つ見事な手さばきで親子丼鍋を操っていた。職人の誠実な作り方。これは信用できる。村長は直感した。すぐに「親子丼」を注文した。だが、680円という安さがどこか引っかかる。

         伊勢ろく 
         白木のカウンター

お茶とおしぼりと箸が置かれ、続いて、しその実の漬け物と鳥スープの順。手抜きがない。その後に主役の「親子丼」がやってきた。漆器のドンブリ。ふたを取ると、いい匂いとともに湯気が立ち上り、ふわとろの世界が現れた。卵は多分2~3個使っているだろう、黄身の部分が7~8割、卵白部分が2~3割で、その雲間から鶏肉の塊がゴロリゴロリと突き出ていた。数えてみたら4つほど。三つ葉の緑もいい色合い。やはり手抜きが感じられない。680円というのは何かの間違いではないか?

          伊勢ろく⑤ 
          ふたを開けると・・・
          伊勢ろく⑥  
          親子の関係
          伊勢ろく⑨ 
          このバランス

パラパラと七味唐辛子を振りかける。まずはひと口。江戸前なのかやや甘めだが、出汁が効いたやさしい味わい。鳥は放し飼いで育てた若鳥を使っているそうで、新鮮な食感だった。ご飯は多分コシヒカリでやや固め。そこにツユが滲みこんで、ふわとろの卵とのバランスがいい。シイタケが浮いた鳥スープはあっさりとしていてきめが細かい。店の雰囲気といい、手抜きのない味といい、これでこの値段とは・・・。量は少なめだが、大いなる満足感。

         伊勢ろく12 
         鳥スープ

勘定を払うときに、ふと「この安さで儲けが出るんですか」と聞いてみた。すると、店員さんは「うちの味を知っていただいて、夜も足を運んでもらえればと思いまして」。むむむ、で、できる。夜も来なければ、と思ってしまった。押し出しで村長の負け。ちなみに夜の親子丼は950円ナリ。



本日の大金言。

親子丼の歴史は明治になってから。人形町「玉ひで」で客が鳥鍋の残りをご飯にかけて食べていたことがヒントになったという説が有力。もともとは表立ったメニューではなかったようだ。浮雲や老父と食べる親子丼。お粗末。




                     伊勢ろく11

病院帰りの仰天「濃厚あつもり」

 埼玉の久喜市郊外にある「済生会栗橋病院」に行ったついでに、彦作村長は埼玉でも有数のつけ麺の店「麵屋みつば」をのぞいてみることにした。あのラーメン評論家・石神秀幸も絶賛している店である。病院からポンコツ車で4~5分ほど。ほとんど田園地帯の目立たない場所に「麵屋みつば」があった。隣はファミリーマート。バラック小屋のような、プレハブ小屋のような、何とも言えないワビさびムードに「みつば」と書かれた白いノレンが下がっていた。彦作村長は黒澤映画の「どですかでん」を思い出した。ビビビと来た。気に入った。

         みつば① 
         隠れ家?この店構え

よほどの志しがなければ、かような場所にかような店構えで旗を立てるはずがない。時間は午後1時50分。ひと戰終えた後のようで、客は2組しかいなかった。6席ほどのカウンターと4人用テーブル席一つという狭さ。店主と女性スタッフ2人で切り盛りしていた。彦作村長は、つけ麺ではなく「あつもり」(並800円)を注文することにした。「あつもり」は混ぜそばの一種で、麵を熱いまま入れるのが特徴。「みつば」のあつもりとはどのようなものか、さりげなく戦国武者のような店主を観察した。

          みつば10 
          このこだわり

「極太麵なので茹でるのに10分はかかります。うちみたいな作り方をしている店は関東でも数えるほどしかないですよ」」
店主は「六厘舎」のつけ麺を食べて感動、4年ほど前にフレンチ・イタリアンシェフからこの道に入ったという異色の経歴。こだわり方が半端ではないことが雰囲気から見て取れる。

         みつば② 
         絶景かな

15分ほど待つと、「あつもり」がやってきた。真っ白いどんぶりに分厚い炙りチャーシュー、白ネギ、みじん切りのタマネギ、角材のようなメンマ、カイワレ大根、大きな海苔が見事なレイアウトで一つの世界を作っていた。よく見ると、白ゴマが散りばめられている。さらには、魚粉が小さな山を作っていた。

         みつば④  
         極太麵の食感

「混ぜそばの一種ですが、混ぜないで食べてほしいんです。それぞれの具を付けていろんな味を楽しんでほしいんです」
具のすぐ下には極太の麵が控えていた。まるで釜揚げうどんのよう。色味が茶のグレーががっていて、わざと精製を抑えた特注の麵を使っているようだ。さらに、こってり系の醤油だれが沈んでいた。

         みつば⑦ 
         うどんではありません
         みつば⑥ 
         見事なチャーシュー

         みつば⑤ 
         角材のようなメンマ

まずはひと口。極太麵はゴワゴワしていて、噛みごたえのある無骨な旨さ。悪くない。濃厚だれは鶏ガラ、豚骨、魚介などさまざまな出汁から作られているのがわかった。極太麵がそれによくからむ。白ネギとの相性もいい。味が濃い分、甘みのあるタマネギとのコラボレーションが気に入った。魚粉との絡みも悪くない。自家製チャーシューの柔らかな肉味にも感心した。メンマもまずまず。

          みつば⑧ 
          スープ割りは必須

だが、何分、味が濃い。濃厚こってり系が好きな若い人にはたまらない魅力だろう。病院帰りの村長にはちと刺激が強すぎた。「スープ割り」を頼むと、雪平鍋でていねいにスープを温めてくれる。残ったタレにそのスープを入れてもらい、ゆったりした気分でその味わいを楽しむ。次回は石神秀幸絶賛のつけ麺を食べることにしよう。帰りがけに村長は水をなみなみ1杯、ぐびびと飲んだ。


本日の大金言。

つけ麺の元祖は「大勝軒」の山岸一雄と言われる。今ではどんどん新しい味が出てきて、つけ麺の世界も百花繚乱。それだけで一つのジャンルになっている。




                     みつば11 

メッカ北千住の絶品和牛バーガー

 東京会館で行われた秘密ペンクラブの例会の帰り、彦作村長はいつものように北千住にふらりと立ち寄った。時計を見ると、午後8時半を回っていた。小腹がすいていたのと、前から行ってみたい店があったので、村長は氷川神社方面へと急いだ。今、北千住で最もうまいハンバーガーを出すという評判の店「サニーダイナー本店」へ。噂は本当か? 自分の舌で確かめてみようと思った。

         サニーダイナー13 
         懐かしい場所

彦作村長は北千住がハンバーガーのメッカになりつつあることを、このブログでも紹介したことのある「蜂の巣」ですでに実感していた。「サニーダイナー」は7年ほど前に北千住で産声を上げた。その後、行列のできるバーガー屋として、人気を呼び、今ではルミネにも2号店ができている。何を隠そう、この「サニーダイナー」と彦作村長はちょっとした縁がある。

エンターテインメント新聞社時代、北千住のアパート2階に一部屋借りていたことがあるが、「サニーダイナー」はその真下の1階で産声を上げたのである。いわば彦作村長の足元でドラマが起きたということになる。7年前の話だが・・・。

         サニーダイナー① 
         サニーダイナー本店

外観は当時のまま、真っ赤なアメリカンポップスタイルで、アンディ・ウォ―ホールが店内でハンバーガーを食べていてもおかしくない雰囲気。店内は6席ほどのカウンターと左奥がテーブル席二つというほどよい狭さ。テーブル席のソファも真っ赤で、オーナーの徹底したアメリカンポップ好きがわかる。なぜかカウンターにはキューピー人形が置いてあった。

         サニーダイナー② 
         メニューは安くない

本格的なハンバーガーは安くない。最近ビンボーな村長は、一番人気の「タルタルベーコンチーズバーガー」(1380円)に目が行ったが、右目がメニューの右下をしっかりとらえていた。一番安い「フッツウ」(980円)。ここで見栄を張るべきか否か迷っていると、女性チーフの「一番シンプルで国産牛肉100%のパティ(手ごねハンバーグ)とトマトなどの野菜が付いています。美味しいと思います」という説明の仕方が気に入った。天使のような感じのよさ・・・。「フ」と「ツ」の間に小さい「ッ」が入っているセンスも悪くない。

         サニーダイナー③ 
         〆て1230円ナリ
                 サニーダイナー⑥ 
            この圧倒

「生ビールが半額で250円ですけど・・・。オーナーの気まぐれで半額にしてるんですよ(笑い)」
「それも一緒にお願いします」
右奥の鉄板でパティを焼き始めた。いい匂い。12~3分ほどで「フッツウ」がレーベンブロイの生ビールを従えてやってきた。うむむむ。こんがり焼けた国産牛のパティを挟んだハンバーガー。デカい。その横にはトマトとタマネギ、それにキャベツのコールスロー。さらに揚げ立てのフライドポテトがどっさり。見た目と存在感はマル。

         サニーダイナー⑦ 
         黒毛和牛のジューシー
         さにーだいなー 
         柔らかな豊饒

この店がなぜ人気があるのか、ひと口ガブリで理解できた。バンズ(パン)の柔らかさとモチモチ感が際立っていた。特注のバンズだそう。間にトマトとタマネギを挟みさらにガブリ。主役の手ごねパティから、いい黒毛和牛特有の肉汁の甘みがじゅわじゅわと滲み出てきた。味付けが塩だけのようで、それがまた肉の旨味を引きたてている。野菜から何からいい素材を使っていることが伝わってくる。

        サニーダイナー⑨ 
        脇役にも感心

バンズに塗られたホワイトソース、コールスローの自然な味わい、フライドポテトの塩加減。村長の足元でかようなハンバーガーが誕生していたとは・・・。レーベンブロイを飲み飲み、残りのフライドポテトをつまむ。目の前には愛らしい女性チーフ。最近不幸せな村長は、ハンバーガー一個の幸せをしばしの間、噛みしめるのだった。



本日の大金言。

ポパイの脇役ウィンビーもジミ・ヘンドリックスも大好きだったハンバーガー。アメリカ文化のよき時代。それが日本で新たな可能性を生んでいる。





                     サニーダイナー12

下北老舗カフェのチーズケーキ

 東京・代々木上原でジャズピアニスト・佐藤允彦の生演奏を聴いた後、その感動の余韻を残したまま、ウマズイめんくい村ご一行は若者の街・下北沢まで足を延ばすことにした。
「久しぶりの下北ね。昔、村長が住んでいたこともあったわね。なつかしいわあ」
村民2号が遠い目をした。
「ジャズ喫茶のマサコは4年前に閉店しちゃったし、わしが住んでた頃とは街も変わっちゃったかもな」
村長も遠い目をした。

         トロワ・シャンブル③ 
         下北の誘惑

「せっかく下北に来たんだから、美味いコーヒーと美味いチーズケーキを食べたいわ。村長のスイーツシンジケートの極秘情報はないの?」
村長は滝川クリステル風に「お・も・て・な・し」のポーズで6文字を発した。
「ま・か・せ・な・さ・い」
下北で有数のチーズケーキとコーヒーを、さらにはジャズを流している店の情報は抜け目なく仕入れていた。南口から商店街を下って、4~5分ほどの「カフェ トロワ・シャンブル」。創業34年ほどの歴史のカフェである。ここのチーズケーキがめっぽう美味いらしい。

          トロワ・シャンブル② 
         フランス風の隠れ家?

入り口から雰囲気が違った。古き良き時代のカフェの匂い。中に入ると、クラシカルなジャズ喫茶のようでもあり、右手には見事な木のカウンター席があり、左手には大きなテーブル席、その奥には仕切りがあり、小さなテーブル席がいくつかある。トロワ・シャンブルとはフランス北部の街の隠れ家という意味なのだろうか。レオナールフジタの版画がさり気なく飾ってある。BGMはMJQだった。

         トロワ・シャンブル④ 
         時間が止まっている

チーズケーキセット(850円)を頼むことにした。村長はレアチーズケーキ、村民2号はベイクドチーズケーキを選んだ。ブレンドコーヒーはニレ(苦みが強い)とガゼ(ややマイルド)があり、2人ともガゼを選んだ。

         トロワ・シャンブル⑦ 
         レアチーズケーキセット
         トロワ・シャンブル⑨ 
         品のいいクリーミィ―さ

「レアチーズケーキ」は細くカットされていて、小さめ。表現を変えると、気品が漂うような見た目だった。蜜煮の自家製ブルーベリーが5個乗っかっていた。ベイクドチーズケーキも同じ細めのカット。コーヒーカップと皿はそれぞれジノリとロイヤルコペンハーゲンで、銀のフォークとスプーンが添えられていた。器とコーヒーとチーズケーキにうるさい村民2号が「この店の雰囲気も含めて気に入ったわ」とひと言。

          トロワ・シャンブル⑤ 
          こちらはベイクドチーズケーキセット
          トロワ・シャンブル⑥ 
          人気の味だが・・・

村長はレアチーズケーキをひと口。濃厚でクリーミィー。底のビスケット生地も柔らかくしっとりしていた。村長はビスケット生地はもう少し固めが好きだが、この品のいい味も悪くはない。ブルーベリーも甘さが控えめで果実味が十分にあり、クリーミィーなチーズケーキとのバランスもいい。
「ベイクドチーズケーキは素朴な味ね。濃厚でちょっとパサパサ感もある。ほのかな酸味も悪くない。八分くらいの満足かな。コーヒーは深煎りで、私の好み。結局のところ、この店の隠し味はこの雰囲気だと思う。チーズケーキが少々物足りなくても、ここで食べることが何物にも代えがたい。そう思わせる店ね。ここでゆっくりと本でも読みたくなるわ」
村民2号が遠い目をした。勘定の伝票がしっかりと村長の手元に置かれていた。


本日の大金言。

下北が若者の街であることは昔と同じだった。そこに立っている自分だけが昔の彼ならず。ゆく川の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。




                     トロワ・シャンブル10

アキバの意外「冷やしかつ丼」

 「冷やしかつ丼」なるものを知ったのはごく最近である。東京・渋谷で、「冷やしかつ丼」の看板を見つけ、目を二三度こすった後に、好奇心がむくむくと湧き起こった。「かつ吉」というトンカツ屋さんのメニューだった。「冷えたかつ丼」なんてうまいはずがない。きっと受け狙いだろう、そう思いながら、値段を見ると、「1500円」なり。安くない。財布の中は千円札一枚と小銭のみ。そのときは無念のリタイアとなった。

         浜勝②   
         冷やしかつ丼さま~

秋葉原のヨドバシカメラ8階レストラン街を散策中に、偶然「冷やしかつ丼」の文字を見つけたときは、「これは神様のおぼしめしかもしれん」と思った・・・いや、思うことにした。「かつ吉」ではなく、「とんかつ浜勝」というノレン。舌代も「かつ吉」より安い990円(税込)。あまり大きく宣伝していないのも気に入った。即決。

         浜勝③ 
         目立たないところに・・・

よもぎ色の作務衣姿の女性店員に「冷やしかつ丼、一丁!」そう注文すると、「ご飯は白いご飯と麦ごはん、どちらになさいますか?」。麦ごはんは村長の世界でもある。「では麦ごはんでお願いします」。ここはトンカツ専門店だが、リンガーハット系の店であることもわかった。「冷やしかつ丼」は2011年から始めた夏季限定のメニューだそう。興味はあのトンカツを冷やして、賞味に耐えうる味にしているのか、の一点だった。フツーに考えると、あり得ないメニューである。

          浜勝④ 
          ふたを取った瞬間

熱い焙じ茶を飲みながら、15分ほど待つと、黒いお盆にのかって、「冷やしかつ丼」が登場した。浅漬けの小皿が控えていた。有田焼き風のドンブリのふたを取る。丼物はこの瞬間が最高である。山芋の白と梅肉みその赤、それにサラダ菜、赤タマネギ、キュウリの薄切りがいい彩りで「おいでやす」とささやいた。その下にローストンカツが「主役のワイを忘れたらあきまへんでえ」と寝そべっていた。ローストンカツ1枚の存在感。さらに、いい色の出汁醤油が浅瀬のようにひたひたと波打っていた。うーむ。

         浜勝⑤ 
         かつ丼というよりかつ茶漬け
         浜勝⑥ 
         これこれ

トンカツは揚げ立てを少し冷ましてから出しているようだ。コロモがサクサクとしていて、ロース肉の柔らかさといい、予想以上の味わいだった。肉の厚さは7~8ミリくらいか。厚くもないが薄くもない。梅肉みそと山芋を付けて食べると味の強弱が楽しめるという構成。出汁醤油に浸った麦ごはんは、麦の他に黒米なども入っていた。ダシが意外に効いていて、薄味だが悪くない。キンキンには冷えていない。むしろ常温の感じ。麦ごはんはやや固め。木の匙(さじ)ですくって口中に運ぶと、「案外、イケるじゃん」という言葉が漏れてきた。

         浜勝⑦ 
         出汁つゆと麦飯

食べ終えると、頭の中で「あり得ない冷やしかつ丼」が「あり得る冷やしかつ丼」に変換していた。これは「冷やしお茶漬け」の進化系かもしれない。アキバのオタクの中にも「冷やしかつ丼」にハマっている輩がいるという。トンカツの揚げ立てサクサク感にも感心した。「冷やし親子丼」とか「「冷やしお好み焼き」が登場する日も案外近いかもしれない。ブラックジョークの世界が現実になる? 村長はドンブリの底をしばしの間じっと見つめた。


本日の大金言。

これまでの常識が通用しない時代に突入している。時には物の見方を変えて見ることも必要かもしれない。冷やしかつ丼もそのキッカケのひとつになり得る。



                     浜勝12 

「幻のカレーパン」は幻だった?

3連休を祝して本日は特別バージョン。今週の深~いガッカリ編をお届けしよう。軽井沢の街をぶらぶら歩いていると、「三笠ホテルカレー」や「三笠ホテルカレーパン」のポスターをよく見かけた。「あの懐かしい味を再現しました」うんぬん。それが実に旨そうなのである。三笠ホテルは1906年(明治39年)純西洋建築のホテルとして軽井沢に誕生した。そこで出されるカレーは絶品で、伝説となっていたもの。約3年前、軽井沢のご当地グルメとして「三笠ホテルカレー」が再現され、TVなどメディアでも話題になった。

          カレーパン② 
          ああ幻のカレーパン

彦作村長はそのカレーを食べることはできなかったが、「カレーパン」はしっかりゲットした。幻のカレーパン、である。横川SAでのこと。黄色地に茶色の文字の旗がひるがえっていた。「三笠ホテルカレーパン」。クラシックなキッチンカーに心躍った。1個350円ナリ。むむむ。カレーパン好きの彦作村長だが、その値段の高さに少々驚いた。だが、すぐに思い直す。これはよほど凄い味なのだろう。その値段の高さが逆に期待感を膨らませたのだった。

          カレーパン③ 
          うーむの存在感

カレーパンはキッチンカーの中で温めているようで、コック姿の男性が、調理作業をしていた。白い紙袋に入った幻のカレーパンを受け取り、SAの中で賞味することにした。SAの中ではお茶も無料で飲める。三笠ホテルカレーパンは普通のカレーパンよりもひと回り大きく、こんがりとキツネ色に揚げられたパン生地はカリッとしていて、いい食感だった。だが、肝心のルーがあれっと拍子抜けするほど少なかった。ゴロッとした牛肉(信州牛?)だけという印象。カレーというより、牛肉のカレーまぶしのよう。その牛肉も肉汁感もしっとり感も感じられない。これは村長の味覚がおかしいのか?

         カレーパン④ 
         三笠の焼き印じゃ
         カレーパン⑤ 
         具が左側へ、右側は?

これが幻のカレーパンとは・・・。どうしてルーがこんなに少ないのか、実に不思議だった。街のパン屋さんでもカレーパンにはルーがきちんと入っている。戸惑うペリカン、じゃなかった彦作村長。パン生地はルーに反比例するかのようにボリュームが十二分にあり、フワッとしていていい食感である。だが、具の少ないカレーパンをどう考えればいいのか。小学生でもわかる算数・・・。発売元がわからないはずはない。

村長は、ひょっとしてこれは、「幻のカレーパンは幻だったんだよ」観光客にそう思い知らせるための高等戦術かもしれないぞ、と勘ぐった。現実は厳しいんだぞ。「軽井沢の鹿鳴館」と言われ、有島武郎など文豪や政財界人、外国人に愛された三笠ホテルの幻のカレー。それをパンで食べようなんて百年早い。もっと人生を修業してから来い。このカレーパンはそのための入場料みたいなもんだ。そうつぶやいている気がした。まさか? 村長は三笠カレーパンの食べ残しを傷心の思いでじっと見ながら、我が身の甘さを思い知らされるのだった。

          カレーパン⑧ 
          パン生地はうまかった


本日の大金言。

具の少ないカレーパンを好む人もいる。好みは千差万別。あまり期待を膨らませ過ぎると、実態が幻と化すこともある。


                     カレーパン⑨ 

「旧近藤長屋」のそば団子

 あん団子好きの彦作村長が、以前から目に付けていたのがそば団子。軽井沢でのランチタイム。そば団子を求めて三千里。軽井沢銀座を北に向かってどんどん上がっていくと、明治の文豪が愛した老舗旅館「つるや」が見えてくる。その手前が8年前の平成15年まで、「近藤長屋」と呼ばれた江戸・明治の面影を残す一角である。ここに終戦直後、東京大空襲で焼け野原になった銀座の老舗がそっくり移転してきた。「軽井沢銀座」の名前の由来である。

         ちもと①  
         ちもと総本店

いい雰囲気の茶屋風の店から、焼きダンゴの匂いとともに、「そば団子」の文字が見えた。「ちもと総本店」。そこが目的の店。近藤長屋は惜しまれながら、平成15年に取り壊され、「ちもと総本店」も以前の面影を残した造りで建て替えられた。開放的な造り。「ちもと餅」や「天然かき氷」など名物メニューにも目が行ったが、あんこマニアで団子好きとしては「そば団子」(2本400円)は外せない。「もりそば」(780円)と一緒に頼むことにした。村民2号は「冷やしとろろそば」(950円)。

          ちもと③ 
          リーズナブルなそば

お茶ではなく水がやってきた。続いて「もりそば」と「冷やしとろろそば」。そばは手打ちの信州二八そば。これが意外にイケた。量は少なめだが、歯ごたえとのど越しがいい。そろそろ新そばの時期だが、これはまだ旧ソバだそう。ツユの出汁とかえしの加減も悪くない。

          ちもと④ 
          もりそばでござる
          ちもと⑦ 
          あちきは冷やしとろろそば

「しっかりした味ね。軽井沢が信州だということがよくわかるうまさ。ちもとは甘味処というイメージだったから、そばもイケるとは思わっていなかった。私に言わせれば、軽井沢のそば処は高すぎる。ざるに天ぷらを付けると1500円は軽く行ってしまう。敷居が高過ぎよ。その分、ここは穴場かもね」
村民2号が喜んでいるのか怒っているのかよくわからない言い方でひとくさり。

          そば団子① 
          ディスイズそば団子!

「そば団子」がやってきた。竹串でピンポン玉大のそば団子が2個串刺しにされている。それが2本。こしあんでしっかりと包まれている。これこれ。絶景、である。竹串を指先でつまんで、あいさつ代りにひと口。むにゅりとした食感。こしあんは甘さがかなり控えめ。奥に控えたそば団子は、そばがきそのもので、こしあんとの境が一瞬わからないほどの色合いだった。本物の素朴なそば団子。その当たり前の現実にささやかな感動を覚えてしまった。軽井沢の旧近藤長屋で、そば団子を賞味している。目を閉じると、江戸・明治の人の行き交いが映し出される・・・。

          ちもと⑧ 
          これこれ
          そば団子③ 
          ああ無情

「でも、水じゃちょっと興醒めね。せめて温かいお茶くらいサービスしてほしいわ」
「2013年9月の軽井沢だよ。ここは比較的値段も良心的だし、ぜい沢言ってはいけない。天然かき氷も食べたいけど、ウマズイめんくい村の財政事情から今回は我慢するよ」
「当り前よ。この先に芭蕉の句碑があるの。芭蕉の名句、蚤虱馬の尿する枕もと。村長も爪の垢を煎じて欲しいわ」
「ノミシラミ馬のしとする枕もと、かァ。滲みるなあ」
「ずーっと滲みっ放しになっててよ」
「・・・・・・」


本日の大金言。

駄句二つ。竹串を残して団子成仏す 東風吹かば蚤も虱も家もなき ダメだこりゃ。




                      そば団子④

五輪と「アサイーボウル」の隠し味

 軽井沢はいいカフェが多い。スイーツのメッカでもある。騒々しい軽井沢銀座を離れて、駅方面へに向かってぶらぶら歩いていると、どこか南洋の島を思わせるカフェが目に入った。開放的で入り口の雰囲気は、軽井沢というより南のリゾートムード。「カフェイーナ」という看板。女性客が多い。「うまい店には女が集まる」というグルメの法則が頭をよぎった。午後3時過ぎ。おやつの時間である。

         カフェイーナ① 
         軽井沢の別世界

ふとメニューボード(黒板)を見ると、写真付きで「アサイーボウル」とポルトガル語で書いてあった。アサイーとはブラジル原産のヤシ科の木で、その果実はブルーベリーに似ていて、中に含まれるポリフェノールとアントシアニンの量がブルーベリーをはるかに超えるという。その実を潰してベースト状にして、季節の果物をどっさりと乗せる。ブラジル版フルーツポンチみたいなもののようだ。そのあまりにカーニバル的な、カラフルな写真は村長のグルメ心をギュッとつかんだ。即決。村民2号はオーガニックコーヒーに吸い寄せられた。頭の中でサンバが流れ始める。

         カフェイーナ② 
         アサイーボウルって何だ?

カウンターにはイケメン店長とブラジル人の女性。それにイケメンスタッフというメンバー構成。怪しいウマズイめんくい村一行約2人は、カウンターとテーブル席を抜けて、外のテラス席に腰を下ろした。南米かハワイのリゾート地のような雰囲気。軽井沢の中のブラジル。村長は「アサイーボール」(840円)を注文してから、「マテ茶」(525円)も追加、食い過ぎ中の村民2号は「コーヒー」(525円)のみ。

         カフェイーナ③ 
         まずはマテ茶で待て

「ここはブラジル風リゾートカフェね。スパーシーなメニューも多い。スイーツもそろっている。それにイケメンとくれば、女性が集まるはずよ。私も気に入っちゃった」
「東京五輪も決まったし、その前の2016年はブラジル五輪。めでたい。これは何かの縁かもしれん。アサイーボウルで祝宴といこう」

         カフェイーナ⑤ 
         どんぶりにフルーツ
         カフェイーナ⑥ 
         アミーゴ!

ドロリとした、やや苦みのある南米の健康茶「マテ茶」を飲みながら、そんな浮いた話をしていると、メーンの「アサイーボウル」がやってきた。おおおっ。白い磁器の器(ボウル)に色鮮やかなフルーツがどっさり。バナナの輪切り、ぶどう、キウイ、プラムのようなもの、さらに赤いラズベリーのドライフルーツが降りかかっていた。その下には紫色のアサイーがペースト状でたっぷりと控えていた。まるで、ブラジルー東京にかかる虹の架け橋のような色合い。

         カフェイーナ⑦ 
         これがアサイー

まずひと口。アサイーはまるでカスピ海ヨーグルトのような食感。濃厚で甘酸っぱい。フルーツは季節のフルーツを使っているそうで、アサイーと一緒に口に運ぶと、体中がきれいになっていくよう。村長は初めてだが、なぜか初めてのような気がしない。この果実味と懐かしさは何だろう?イケメンマスターに聞いてみた。

          カフェイーナ⑧ 
          どろりの美味

「ヨーグルトが入っている?」
「食感は似てますが、全然入っていないんですよ。アサイーはブラジルから取り寄せてます。果実の5パーセントくらいしか使えない貴重な果物なんですよ。それをペースト状にしてます。豆乳も入れていますが」
ほのかに豆乳・・・。これはブラジルと日本のスイーツにおける結婚ではないか。めでたい。

「軽井沢でブラジルと出会えるなんて。五輪の縁かもね。アサイーボウルは小さなドンブリくらいの量で、何よりもヘルシーで結構いい味だったわ。値段は安くないけど」
「来年はブラジルに行って、サッカーW杯を観たくなってきたよ。で、本場のアサイーボウルも楽しむ。いいアイデアだ」
「アサイー考え。その瞬間、ウマズイめんくい村が破産しちゃうわよ」
「・・・・・」


本日の大金言。

日本とブラジルの縁は深い。かつては日本が貧しく、ブラジルへと移民する時代もあった。その先人の苦労を思うと、ブラジルー東京の五輪リレーは感慨深い。




                    カフェイーナ⑨ 

軽井沢まさかのランチ天丼

 そうだ、軽井沢へ行こう。東京五輪の話題で盛り上がるテレビを見ながら、彦作村長はそう思った。理由は特にない。エンターテインメント新聞社を退社した際に、後輩諸君からJTBの商品券をもらっていたことを突然思い出したからだ。すっかり忘れていた。で、どうせ行くなら、軽井沢。ジョン・レノンも愛した軽井沢。ほとんど刷り込み、である。

よく考えてみたら、約10年ぶりの軽井沢だった。すでにホテルは予約してある。ポンコツ車をぷかぷか走らせながら、ランチをどこにするかで、村民2号と意見が衝突した。
「軽井沢は信州だから、やっぱりそばにしましょ。最近、太り気味だし」
と村民2号。
「いやいや、やっぱりここは旧三笠ホテルの幻のカレーだろう。これは外せない」
と村長。車を有料駐車場に入れて、あちらこちらと歩き回る。食べログなどでも人気の蕎麦屋は高いうえに行列。バカバカしい。時間だけがどんどん過ぎて行った。お腹の虫がわめき始める。

          万喜① 
          軽井沢で天丼?

すったもんだの末、軽井沢銀座をちょいと横に入ったところで、二人同時に立ち止まった。「万喜天丼1100円」というメニューが・・・。若者で混雑する軽井沢の中心部らしからぬ閑静で老舗の佇まい。「万喜(まき)」の看板と白地の暖簾。昭和34年創業の老舗の天ぷら専門料理屋だった。「万喜天丼」はランチタイムのみのメニューで、この店構えで「1100円天丼」は当たりかもしれないぞ。食べログなどの評価がそれほど高くないことも気に入った。

          万喜② 
          ここはどこ?

L字型の白木のカウンター、テーブルと小上がり。時間が午後1時半とランチタイムぎりぎりだったこともあるのか、客はまばらで5~6人ほど。白衣にネクタイ姿の料理人が3~4人ほど。どこか銀座の一流天ぷら屋のような雰囲気にいささかたじろぐ。もう一度ランチ天丼の値段を確認してから、おもむろに注文した。

          万喜③ 
          ランチメニューを確認

注文してからカウンター越しで料理人が揚げ始めるのが見えた。待つこと12~3分ほど。黒塗りのお盆に乗って、万喜天丼とみそ汁、お新香がやってきた。隙がない。みそ汁に箸を付ける。
「いいダシが出てるわ。みそ汁でわかる店の実力・・・」
村民2号がつぶやきながら、天丼のふたをる取る。いい匂いとともに、エビ天、魚2種(たぶんキスとメゴチ)、ししとう、かぼちゃ、5つの天ぷらが現れた。コロモはやや多めだが、ツユがほどよくかかっていた。

         万喜④ 
         おお天丼!
         万喜⑤ 
         もっと、ちこう

たぶんゴマ油で揚げられた天ぷらはコロモがカラリとしていて、そのサクサク感はプロのワザだった。ツユの加減が絶妙で、やや甘めだが、自然でダシ感のある奥深い味。炊き立てのコシヒカリ(だと思う)は、ほどよい柔らかさと固さを兼ね備え、ふっくらしていて、そこにもツユが絶妙な加減でかかっていた。エビも魚もかぼちゃも素材がいいことがわかる。食べログなどの評価が正しいとは限らない。それは村長もいつも感じることだ。要は自分の目、自分の舌、自分の五感。

          万喜⑥ 
          エビさま~
          万喜⑦ 
          このごはんとツユ・・・
          万喜⑨  
          最後のキス

「若い人なら量がもう少し多い方がいいかも。でも、私にはちょうどいい。何といっても、これだけの味とピリッとした雰囲気をこの値段で味わえたことがうれしいわ。まさか軽井沢の中心部で、うまい天丼に出会えるとは・・・」
「おっ、辛口の村民2号が珍しくホメた。浅漬けのお新香もよかった。でも、村長が感心したのは料理人だな。立ち振る舞いに怖いくらいに隙がない。目つきが鋭い。背筋がシャキッとしている。観光客でにぎわう軽井沢銀座横にかような店があるとはね。きっと夜は別荘の紳士がくるんだろうな」
別荘など無縁の村長が、ちょうどいい満足感で外に出た。駐車場料金が気になった。



本日の大金言。

ジョン・レノンとオノ・ヨーコはこの天丼を食べたのだろうか? イマジンしてみるが、箸を使って天ぷらを食べるジョンを想像できないことが悲しい。





                      万喜13

ジョン・レノンも愛した絶妙「モカソフト」

伝説の怪物プロデューサー・康芳夫さんを囲む会から夜遅く帰ってきて、一眠りしてテレビを見る。まさかのビッグニュース。 「2020年オリンピック開催」が東京に決まった。まずはめでたい。「福島第一原発の放射能漏れ問題」について、安倍首相があれだけきっぱりと「ご安心ください」と国際公約したのも驚いた。それを実行する責任はとてつもなく大きい。仰天続きの一日。まずは、その言を信じることにしよう。

お祝いに、赤羽彦作村長からとっておきのスイーツ情報をお届けすることにしよう。日本橋三越前にある「ミカド珈琲のモカソフト」である。ソフトクリーム好きの彦作村長の中でも、このモカソフトは別格である。昭和23年(1948年)、日本にもコーヒーの時代が来ると予測していた創業者・金坂景助が、日本橋の今の地に日本で初めて一般庶民が飲める自家焙煎のスタンドコーヒーの店をオープンした。その名も「ミカド珈琲」。

          ミカド珈琲11 
          このレトロ感

「モカソフト」は昭和44年(1969年)から軽井沢店で販売開始以来、大人気となり、ジョン・レノン、オノ・ヨーコも定宿の万平ホテルからこのモカソフトを散歩がてら味わいに来ていたという。彦作村長も宮仕え時代から思い出しては日本橋本店に来ていた。1階のスタンドでテイクアウトすると、300円(コーン)。だが、2階以上(3階まである)で座って食べると430円(蜜煮したプラム付き)となる。お金のないときは1階、ちょっとある時やゆっくりしたいときには2階以上。村長はそう決めていた。

          ミカド珈琲②  
          ミカドワールド入り口

この日は3階で味わうことにした。煙りとバカは高いところに昇りたがる。落ち着いた雰囲気のテーブル席に座って、ウエイトレスが運んできた水を飲みながら、「モカソフト!」とひと声。待つこと7~8分ほど。シャレたステンレス製のカップに「モカソフト」(430円)がモンブランのように聳(そび)え立ってやってきた。密煮した自家製のプラムがちょこんと乗っかっている。この姿がたまらない。ブエノスアイレスでプレゼンテーションした滝川クリステルにも劣らない絵になるお姿。絶景かな~。

                ミカド珈琲⑤ 
          溶ける前に食べよ

ステンレス製のアイスクリーム用スプーンで、ひとすくいして、舌の上に運ぶ。その瞬間、冷たい至福が口中にスーッと広がった。コーヒーのモカとアイスクリームの結婚が、絶妙な甘みと香りとほんの少しのビターを運んでくる。大人の夏のスイート。44年の歴史。ジョン・レノンはこの味を何度味わったんだろう? ジョンはもうこの味を楽しむことはできない。それを思うと奇妙な喪失感とセピア色の感動に襲われる。モカソフトフォーエバー・・・。

         ミカド珈琲⑥ 
         冷たい美味
         ミカド珈琲⑧ 
         こっちもひと口

プラムは柔らかく蜜煮してあり、これをウエハース代わりに摘まむ。これがまた味わい深い。430円が高いか安いか。村長の実感としては満足度からいっても高いとは言えないと思う。2020年東京オリンピックで、外国からのお客にこのモカソフトを提供したくなった。日本の暑い夏にモカソフトの至福。「「ミカド珈琲」という名前も案外生きてくるかもしれない。その時、福島の放射能はどうなっているんだろう?



本日の大金言。

安倍首相の父だった安倍晋太郎はついに首相になれず、プリンスメロンと言われた。どこか人柄が甘すぎることからそうあだ名されたのだが、息子はどうか。今からでも遅くはない。康芳夫さんを参謀に付けることを提案したい。



                    ミカド珈琲10 

天才日本画家展のち「玄米豆カレー」

 京都のグルメ亀仙人から突然の糸電話。「東京国立近代美術館で竹内栖鳳(たけうちせいほう)展が開かれてます。東の横山大観、西の竹内栖鳳と称される日本画家で、このお方の絵は一見の価値があります。村長も枕絵ばかり見てないで、たまにはこういうものを観るとよろしい。腐りかけた頭には目からウロコ、ですよ。ぐひひひ」。枕絵ばかり見てる? ドキリ。

          クシガーデン12 
          東京国立近代美術館

村長は思い立って、「東京国立近代美術館」がある竹橋へと向かった。ついでに、久しぶりに毎日新聞社があるパレスサイドビル1階にある「KUSHIGARDEN(クシガーデン)」で玄米ランチでも食べようかと思ったからである。絵画好きで玄米好きの村民2号も付いてきた。竹内栖鳳(たけうちせいほう)は確かに目からウロコだった。中でも「金獅」は特に村長の心を揺さぶった。初めて観る原画。日本画と洋画の驚くべき融合。その余韻を引きずりながら、歩いて3分ほどの「クシガーデン」でランチを取ることにした。

「クシガーデン」は玄米中心のマクロビオティックレストランの老舗で、村長は宮仕え時代にお世話になった「週刊ポスト」元編集長S氏にここを指定され、何度も食事やお茶を飲んだものだ。S氏はすでにこの世にはいない。S氏は村長の敬愛した不屈の鬼才で、「週刊ポスト」を週刊誌売り上げナンバーワンにした伝説的な編集者でもある。

          クシガーデン② 
          玄米中心のレストラン

その「クシガーデン」のランチメニュー。村長は「スパイシー玄米豆カレー」(サラダ、スープ付き980円)を選んだ。村民2号は「豆腐の味噌焼き」玄米セット(1000円)。店内はどこかバリ風の開放的で、牧歌的なムードが漂う。お客のほとんどが女性だった。女性は自然食がお好き。10分ほどで、スープとスパイシー玄米豆カレーが登場。中央に柔らかく炊かれた玄米が位置し、その右隣にキーマカレーのようなカレーと焼いたさつまいもと大根が乗っかっていた。湯にくぐらせたキャベツ、ニンジンのサラダも乗っている。

         クシガーデン④ 
         ジョン・レノンもハマった?
         クシガーデン⑦ 
         キーマカレーのよう

カレーはレンズマメ(平豆)とタマネギ、それに味噌も使っているそう。スプーンで口に運ぶと、煮込まれたレンズマメとタマネギの食感が悪くない。まるでキーマカレーの味わいで、挽き肉が入っているのでは、と思えるほどのうまさ。その後に結構な辛みがふわーっと広がる。ふと疑問を女性スタッフに聞いてみた。
「ここでは肉とか砂糖とか食品添加物は使われていないんだよね。でも、挽き肉が入ってるみたいだね」
「それは小麦から取ったタンパク質なんですよ。正蛋(せいたん)って言うんですよ。肉の食感みたいでしょ?」
村長は精進料理を思い出した。豆腐でウナギのかば焼きを作るワザ。うーむ。

          クシガーデン⑤ 
          女性がお好き?
          クシガーデン⑥ 
          もっちりと炊かれた玄米

玄米は見た目よりも柔らかく、もちもちしていて、どういう炊き方なのか、玄米=固めという固定観念を砕く。美味いというより「体にいいだろうな」という味わい。スープもキャベツも薄味で、こちらもうまいというよりは「体がきれいになる感じ」だった。
「私が炊く玄米よりも柔らかい。味も薄味だけど、うまく作っているわ。値段は高めだけど、これだけ食材にこだわれば、納得よ。気に入ったわ」
村民2号が、一瞬だけ竹内栖鳳の「絵になる最初」のような表情をした。村長はマヌケな「熊」になるしかなかった。


本日の大金言。

あのジョン・レノンもマクロビオティックにハマったという。世界は「イマジン」の世界からどんどん遠ざかっている。その分、ジョンの叫びは世界の辺境で生き続ける。




                     クシガーデン11

まさかの「冷やし大学芋」と出くわす

 「さつまいも」は彦作村長にとっては苦手な分野だった。だが、東京・北千住の「おいもやさん」でスイートポテト(1個210円)を食べてからは、脳内で「アハ体験」が起き、さつまいも=ダサイからさつまいも=クールに変換してしまった。「おいもやさん」は浅草を中心に都内や埼玉に14店舗ほどあり、もともとは明治9年(1876年)埼玉・川越で創業した甘藷(さつまいも)問屋・川小商店がルーツ。川越はさつまいも文化のメッカでもある。そこから出た「おいもやさん」。

          おいもや④ 
          おおっという出会い

彦作村長は大宮ルミネ1のデパ地下を散策中に、「おいもやさん」を見つけてしまった。アハ体験を超えるアハハ体験。見ると「ひゃっこ~い大学芋 うっま~い」という文字が見えた。「ひゃっこい」だって? さらに近づくと、「冷やし大学芋」というメニュー。「女子高生にも人気 食べ歩きカップ」(350円)と「ワイコイン500円」という2種類見えた。女子高生にはなりきれない。村長は500円の袋詰めを買い求めることにした。

          おいもや⑤ 
          冷やし大学芋なんてアリか?

「ところで、冷やし大学芋って初めて聞いたけど、うまいの?」
ぶしつけな質問。若い女性スタッフは、突然現れたどう見ても怪しい村長の軽いジャブを受け流して、太陽のような笑顔で答えた。
「もちろんです。サツマイモの種類はカモテといって、ちょっと固めですが、冷やしてもうまいんです。蜜を一杯入れておきますね。賞味期限は3日です。食べると、シアワセ~ってなりますよ~」
このところ不幸せな村長の心がくすぐられた。

ウマズイめんくい村に持ち帰って、冷蔵庫に入れて十分に冷やしてから賞味することとなった。村民2号がいつのまにか隣にいた。袋を開けると、冷やし大学芋が8個。見事な飴色で、蜜がたっぷりとかかっていた。黒ゴマも点々としていて、いい景色だった。「大学芋」に対するイメージがスイートポテト体験のように劇的に変換しそうだった。

         おいもやさん① 
         袋を開けると・・・

皿に5個ほど盛って、まずは箸でひと口。濃厚な蜜がぐるるんと糸を引いて彦作村長の口の中へと入っていった。表面はやや固めだが、中が柔らかい。カモテはフィリピンのさつまいもで、甘さは紅あずまほどないが、ほどよい甘みで、冷やしても確かにいい食感だった。蜜は砂糖と水飴と塩少々を煮詰めたもの、それに秘伝の何か(それは教えてくれなかった)。それらが合わせ技で村長の口内を攻め立てる。うむむむ。イ、イケる。「大学芋=揚げ立てうまい」が「大学芋=冷たくてもうまい」に変換していった。

         おいもやさん② 
         もっと近くにお寄りになって~
         おいもやさん⑤ 
         たまらん
         おいもやさん④ 
         冷たい幸福だってある

大学芋の新しい世界。珍味の発見。ひと夏の恋。村民2号が3個ほど食べたところで声を上げた。
「冷やした大学芋がこんなにうまいなんて驚きだわ。初体験なのにハマりそう」
「ビタミンCと食物繊維が多いさつまいもは、免疫力を上げ、腸内環境を整える効能があるといわれる。便秘にもいい」
「確かに。私にピッタリ・・・ナニ言わせるのよ」
「次は北千住でスイートポテトを買って来よう。やっぱり最後はスイートポテトだよ」
「これで決まり。残り4個は私のもの」
「・・・・・」


本日の大金言。

大学芋の発祥については諸説あるが、大正時代、東大の赤門の前の店がでさつまいもに蜜を絡ませて売ったところ大人気になったとも言われる。それで「大学芋」。歴史にイフはないが、もしそれが幼稚園の前だったら、「幼稚園芋」になっていたかもしれない。組事務所前だったら、極道芋?




                 おいもやさん⑥ 

兜町も飲み込む「巨大ホットケーキ」

 東京・兜町での秘密ペンクラブの仕事の合い間に、彦作村長はトイレに行くふりをして、ネコ足で外に出た。時間は午後3時近い。目的は、歩いて5分ほどの距離にある古い喫茶店「珈琲家」地下鉄・茅場町駅からもすぐのところ。ティータイムにここの「伝説のホットケーキ」を賞味しようというわけである。伝説の巨大ホットケーキ。これを食べなければ、本日の人生の意味を見失う。

          珈琲家 
          物語の始まりィ~

「珈琲家」は約40年の歴史を持つコーヒー専門店。日本経済が右肩上がりでどんどん上昇し、兜町が輝かしい熱気を放っていた1970年代初めから、地下1階の元金庫室だったというこの場所で、美味いコーヒーを出し、巨大ホットケーキを焼き続けている。1985年のプラザ合意をきっかけに発生した異様なバブル期を見、1989年をピークにそれがはじけるさまも見、失われた20年も見、東日本大震災後の底の見えない状況も見ている。それは現在進行形でもある。兜町の栄枯盛衰と変わらぬ巨大ホットケーキ。これはいい案外テーマかもしれない。

         珈琲家② 
         ようこそ!

雰囲気のある地下へのコンクリートの階段を下りると、こげ茶のウッドベースの、「これぞトーキョーのよき時代のよき喫茶店」が見えた。テーブル席が6つ、カウンター席が6つほど。照明に温かみがある。カウンターにはマスターらしき男性ともう一人の男性スタッフ。ウエルカムムードにもある種のダンディズムが流れているようだ。常連らしき身なりのいいお客が3組ほど。この「珈琲家」はサンドウィッチも定評がある。

         珈琲家③ 
         いい時代の香るメニュー

「珈琲家特製ブレンド」(420円)と目的の「特製ホットケーキ」(1枚300円)を注文する。事前に「おやつならここのホットケーキは1枚で十分。いやそれ以上です。もし2枚食べたら、夕飯が要らなくなるよ」という情報を得ていたからである。
「じっくり焼くので、20分から30分ほどかかりますが」というマスターの言葉も予想通り。特製ブレンドを味わいながら、待つ。いい匂いとともに、大きな白い磁器皿に乗っかった巨大なホットケーキが登場した。うーむ。想像よりもデカい。

         珈琲家⑤  
         おおっと、デカ~

こんがりとキツネ色に見事に焼き上がったそれは、幅がゆうに20センチ、厚さは3センチくらいあるのではないか。バターが召使いのように隅に控えていた。メープルシロップがたっぷり入った容器が流し目を送っている。村長のスイーツの歴史の中でかようなホットケーキは初めてである。たまらない。バターを少し乗せてナイフで切る。表面が予想以上にパリッと焼かれていて、焼くのに20分以上かけていることが実感できる。どうやら銅板で焼いているらしい。それにしても、これだけの大きさをムラなくこんがり焼くには、かなりのワザが必要ではないか? 

         珈琲家⑦ 
         バターとメープルといい仕事
         珈琲家11 
         来るか、ホットな景気・・・

それでいて、中の生地はふかふか していて、ほんのりと甘い。素朴な絵本の世界のホットケーキ。メープルシロップをかける。バターの塩分とメープルの自然な甘みが厚みのある生地に滲みこみ始めて、それをフォークで口に運ぶ。目を閉じたくなる。実に素朴な美味さ。それを何度も繰り返す。生き馬の目を抜く兜町の証券マンたちの姿が走馬灯となる。彼らもこのホットケーキを食べて、取引所に走ったに違いない。大いなる欲望と大いなる失望。日本経済を胃袋から支えた?伝説のホットケーキ。時代は変わっても、その味は変わらない。

         珈琲家⑨ 
         あ~ん

「シンプルだけど、これだけの味を出すのは大変でしょう? 時間のかけ方も半端じゃない。名が知られてもスタイルを変えない・・・」
村長が合計720円を支払いながら、そう聞いてみた。すると、マスターがニヤリとしてこう言った。
「まあ、40年もこうやって焼いてますからねえ」
一瞬、マスターが哲学者のように見えた。


本日の大金言。

パンケーキではなくホットケーキ! 雨の日も風の日も同じ作業をていねいに40年続けると、人は哲学者になるのかもしれない。





                     珈琲家10

病院レストランで「豚ひれ肉ソテー」

 昨日は散々な一日だった。こんな日もあるさ、という一日。彦作村長は年に一度の恒例行事「人間ドッグ 日帰りコース」に行った。東京・秋葉原の三井記念病院総合健診センター。宮仕え時代から10年以上にわたって、ここにお世話になっている。昼食もついているので、ひと通り検査が終わってから、本館1階にある「レストラン クロワッサン」で早いランチをとることにした。病院とは思えないシャレたレストランである。一般の人もオーケーの開放的なオーガニック系レストランでもある。

          三井記念① 
          病院内とは思えないシャレた店

入り口には「当店のおすすめメニュー」が・・・。彦作村長は、事前に「豚ひれ肉のソテー」(サラダ・スープ付き1300円)に決めていた。カロリーが567.1kcal、塩分は1.7gで、おすすめメニューの中で一番カロリーが少なかったからだ。昨年も食べた「天ぷらせいろ蕎麦」(717kcal、塩分3.1g)よりもカロリーが少ない。右から左から食いまくる村長にとって、最近の悩みのひとつが体重増で、これはいかんともしがたい。砂漠に水一滴ほどの気休めだが、今回は「豚ひれソテー」。

         三井記念② 
         ちょいと高いが・・・

ほとんど待たずに「豚ひれソテーさま」がやってきた。デミグラスソースがたっぷりかかった4~6センチほどの豚ひれが4枚。マイタケとブロッコリーと赤いパプリカが添えられていた。素材の良さがわかる見事な色だが、こんなに早く出てくるのが不思議だった。箸でも千切れるほどの柔らかな豚ひれ肉で、デミグラスソースはかなりの薄味だった。見た目はうまそうだが、寝ぼけたような淡泊な味。病院レストランだから仕方がない。寝ぼけた味の割には健闘していると思い直す。これで味が濃かったら、逆に病人を作るためのレストランになってしまいかねない。薄味グルメ。

         三井記念③ 
         豚ひれソテーさま
         三井記念④ 
         デミグラスソースもイケてる

ライスには感心した。多分コシヒカリだろう、炊き立てのようで半透明に輝いていて、噛むと甘みが広がった。うまい。だが、と村長は思い直した。病院のレストランというコンセプトを考えると、ここはせめて白米の他に胚芽米とか五穀米を選べるようにすべきではないか。1300円という値段も安くはない。そのぐらいの選択の余地があってもいいと思う。惜しい。座布団一枚取り。

         三井記念⑥ 
         ライスに感心
         三井記念⑦ 
         マイタケにも感心

その約1時間半後、目の前の高齢の男性医師が、こちらの顔も見ずに診断結果を告げる。「これはちょっと問題。すぐに精密検査しなさい。紹介状を書いておく」。ついに天罰が下ったか。それとも名誉の負傷か? 目の前が暗くなったり明るくなったり。

「私にとっては大事なことです。ちゃんとわかりやすく説明してください」

KO寸前の村長がロープ際でついに声を上げた。医師は驚いた表情でふっとこちらを見つめ、口調が少し丁寧になった。これまでの女性医師は説明が丁寧でわかりやすく、とても好印象だったので、余計にこの医師の無神経(?)に腹が立った。なぜか腹立てる自分にも腹が立つ。腹立ちの連鎖。年齢と肩書きと人徳はイコールではない。思い直して、何とか怒りの虫をなだめる。

ゲン直しに北千住で一杯やってから、その帰りの電車。埼玉・越谷で巨大な竜巻があり、電車が一時ストップしていた。道々、大ニュースとなっていたことをスマホで知り、甚大な被害状況もわかってきた。ふと足元に違和感を覚えた。確認すると、村長のこげ茶の皮靴の底がほとんど剥がれかけていた。村長にとっては一番高価な靴。これがホントの「クツ辱の日」かも。こんな日もあるさ。村長の頭の中で、ダニエル・バウターの「バッド・デイ」が流れていた。ぐすん。



本日の大金言。

誰にでもバッド・デイはある。そういう日は足の爪でも切って、おもむろに大の字になるに限る。時間という名医に身を任せると大概のことはうまく行く。




                     三井記念⑨ 
プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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