「湯葉ぜんざい」結婚の微妙

 箱根食べまくりの締めは「湯葉ぜんざい」である。

「裏通り好き」の習性で、箱根湯本駅のメーンストリートから一本裏手をふらふら散策中に「うろこの宮 ととや」という面白い干物屋を見つけた。コンクリートのモダンな建物。看板も暖簾も下げていない不思議な店で、客はいない。キツネにつままれた気分で、アートフルな店内に陳列してある干物を見ていると、突然、異星人のような主人(失礼)が現れ、「よくここを見つけましたね」と不思議なあいさつ。嫌いな世界ではない。自家製の釜揚げしらすといわしの梅煮を買ってしまった。後で食べたら美味だった。

          直吉 
          料亭?(直吉)

それを手提げしてさらにブラ歩きしていると、「湯葉丼」の看板が見えた。「直吉(なおきち)」という湯葉の料理屋だった。ちょうどおやつタイム。「湯葉丼」はキツイなあ、と思いながら、入り口でメニューをのぞくと、「湯葉ぜんざい」なるものが載っていた。湯葉とぜんざい? 想像だにしなかった6文字の世界。小豆好きとしてはこれはトライするっきゃない。

          直吉③ 
          開放的でシャレてる
          直吉② 
          ユニークな甘味

店内は広く、和のモダンにあふれていて、ジャズが流れていた。「如何にも」の雰囲気だが、村長の許容範囲。早川が見える木のテーブル席に腰を下ろして、「湯葉ぜんざい」(720円)を頼んだ。「豆腐ぜんざい」(720円)もあるが、村民2号も「湯葉ぜんざい」を選んだ。

10分ほどで「湯葉ぜんざい」がやってきた。グレー地の大きめの陶製の器と木匙。器の中で、いい色の茹で小豆と湯葉が湯気を立てていた。関西風のぜんざい。箱根の湧水で作っているという湯葉は売り物だけあって量もかなりある。ちょっとしたドンブリ。そのお姿に村長の胸は小躍りした。これは発見かもしれない。

          直吉④ 
          湯葉ぜんざい

まずはひと口。茹で小豆は柔らかく炊かれていて、風味もほどほどあり、ざらっとした食感は悪くない。甘さもほどよい。だが、湯葉と一緒に食べると、「ン?」と首をかしげたくなった。村長の舌がおかしいのか、噛み合わない。湯葉は湯葉で美味い。茹で小豆は茹で小豆でそれなりに世界を持っている。それが一緒になると、湯葉の風味が強すぎて、小豆の風味を消している印象。別々に味見したい気分。かつての紀香と陣内の結婚みたい。

          直吉⑦ 
          見事な湯葉
          直吉⑤ 
          小豆の微笑
          直吉⑧ 
          湯葉と小豆の結婚生活
          直吉⑨ 
          柴漬けの美味

「このゆるさは関西風のぜんざいだけど、村長は関東風にもっと煮詰めた方が好みだな。小豆のこってり感をもっと出して、湯葉の量を少なくする。せっかくのアイデアが生きていない気がするよ」
「確かにちょっと水っぽいかな。でも、私は結構好きよ。口直しの柴漬けが美味い。店の雰囲気も気に入ったわ。次に来たら、湯葉丼を食べてみたいわ」
「次はいつになるかなあ」
「あっ、村長は来なくていいの。友だちとまた来るから」
「・・・・・・」


本日の大金言。

湯葉とぜんざい。イメージ的にはありだが、これはミスマッチなのか、それともここからさらに発展するのか。結論を出すのはまだ早い。




                       直吉10 

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元箱根で「昔懐かしナポリタン」

 復元された箱根関所を通過。「江戸の昔なら足止めを食らって牢屋にぶちこまれてるよ」などと軽口をたたきながら、怪しいウマズイめんくい村一行は、元箱根箱根町まで杉木立の旧東海道を歩いた。目的はランチ。そばにするかトンカツにするか、あちこちの店を物色するが、ビビビとくるものがない。全体的に値段が高い。観光地とはいえ気にくわない。

          箱根関所  
          箱根関所

偶然にもロープウェーで見かけた浅田真央似の美女二人組の姿を見かけた。その二人組は旅慣れた様子で、イタリア国旗が翻る小さなイタリアンレストランに入って行くところだった。中心街から少し外れた場所。彼女たちが行くからには美味い店に違いない。それが「イタリア食堂 トンチーノ」だった。パスタ専門店。入り口でチェックすると、周辺の人気店と比較して値段もベラボーではない。

          トンチーノ② 
          ビビビ
          トンチーノ④  
          ビビビの確認

順番待ちが3~4人ほど。店内はダークブラウンの世界で、4人用テーブルが2つと2人用テーブルが一つだけ。家族経営なのか熟年夫婦と若いシェフの3人で切り盛りしていた。客は村長以外は女性ばかり。パスタのいい匂いが漂っている。村長はメニューの中から「昔懐かしナポリタン」(900円)を選んだ。村民2号は「ナスとバジルのトマトソース」(1000円)を頼んだ。

          トンチーノ③ 
          一番下の美味

せっかくなので「グラスワイン」を頼もうかと思ったら、「すいません、アルコール類は置いてないんです」とあんまりな言葉が返ってきた。イタリアンでワインが置いていない店は初体験。頭の中から白いハトが一羽逃げて行った。10分ほどで、食欲をそそる匂いとともに「昔懐かしナポリタン」がやってきた。

          トンチーノ1 
          昔懐かしナポリタン
           トンチーノ⑦ 
          湯気とともに


これが美味だった。「昔ながら」とうたうだけあって、濃厚なトマトケチャップがたっぷり入っていて、アルデンテのパスタとよく絡んでいた。ハム、タマネギ、ピーマンが「昔ながら」を盛り立てている。こってり感とガーリックの匂いがたまらない。トマトの甘酸っぱい酸味が心地いい。ボリュームもかなりある。ふと、粉チーズとタバスコが置いてないことに気付いた。こ、これはいかん。


          トンチーノ⑧  
          アルデンテ
          トンチーノ10 
          絶景かな

「ナスとバジルのトマトソースも丁寧に作られていて、とてもいい味。パスタ専門と言うだけあるわ。美女に引かれてきた甲斐があったわね」
「店も早く閉めるようだし、その徹底ぶりはある種好感。しかし、粉チーズとタバスコはぜひ置いてほしい。景観を損なっても置いてほしい。昔懐かしさが2割減になってしまうよ。それとグラスワインくらい・・・・」
「シャラップ! 居酒屋のレトロおじさん丸出しよ。みんなこっちを見てるわよ。ああ恥ずかしい」
「シャラップとは懐かしい」
「ずーっと懐かしがってれば」
「・・・・・・」


本日の大金言。

昔ながらのナポリタンを売り物にする店は最近増えている。日本のパスタ文化はナポリタンから始まった。日本独自のナポリタンに敬意を表したい。




                     箱根関所2 




モディリアーニと洋菓子

 新緑の中を箱根・強羅駅からバスでポーラ美術館へ。村民2号は何度か来たことがあるが、村長は初めて。ちょうど「モディリアーニを探して」を開催中で、実はモディリアーニ好きの村長にとっては今回の小旅行の楽しみの一つ。ポーラ美術館は想像以上のスケールで、白を基調にしたモダンな建物が気に入った。都内の美術館よりもゆっくり観れ、改めてモディリアーニの凄まじい足跡と天才を確認できた。

          ポーラ美術館① 
          ポーラ美術館(箱根)

2時間以上ほとんど立ったまま観歩いたので、館内にある「TUNE CAFE(チューンカフェ)」で甘味補給することにした。甘味中毒者のティータイム、である。入場する前から目を付けていた「モンブラン」と「ティラミス」。村長は迷った末に「ティラミス」(紅茶とセットで980円)を選び、村民2号は迷うことなく「モンブラン」(コーヒーとセットで980円)を選んだ。

          ポーラ美術館1 
          チューンカフェ
          ポーラ美術館② 
          これこれ

広々としたカフェで、前方はガラス張りになっていて、そこに新緑の世界が広がっていた。それ自体が一つの作品のよう。美形のウエートレスが白い磁器皿に乗った「ティラミス」と紅茶を運んできた。ティラミスはイタリア産のクリームチーズ、マスカルポーネが二層になっていて、エスプレッソを滲みこませたスポンジが合い間に挟んである。表面にはココアパウダーがかかり、夢のような生クリームと小枝のチョコレートがちょこんと乗っかっていた。

          ポーラ美術館⑥ 
          ティラミスさま
          ポーラ美術館⑤ 
          モンブランさま

以前ティラミスが大ブームになったとき、村長は、その濃厚で苦みのある大人のスイーツに舌を巻いた。「イタリア人はこんなものを食っているのか」と驚き、いつまでたっても苺ショートケーキ好きの我が身を嘆いたものだ。そのティラミスが目の前にある。

まずはひと口。濃厚な、ねっとりするような感触を想像したが、意外にもあっさりとした味わい。淡泊という言葉が浮かんだ。マスカルポーネ自体がほのかな酸味ときれいな味わいで、エスプレッソと洋酒を滲みこませたスポンジもしっとりしていて淡泊だった。ココアパウダーの風味とチョコレートがそこに混じり合う。これはこれで悪くない。モディリアーニの凝縮を観た後は、淡泊がいい。

          ポーラ美術館⑧ 
          むふふ
          ポーラ美術館⑨ 
          意外な淡泊

「モンブランの方が当たりだわ。栗の風味がとてもいい。第一、村長にティラミスの味がわかるわけがないでしょ。不二家のティラミスしか食べたことないくせに」
「ヤマザキのティラミスを食べたこともあるぞ」
「語る資格なし」
「・・・・・・・」


本日の大金言。

モディリアーニは35歳で死んだ。その2日後、恋人のジャンヌはモディリアーニとの子供を胎内に宿したまま、後を追うように自殺した。何という凄まじい人生だろう。



                       
ポーラ美術館10 




ジョン・レノンと温泉シチューパン

 箱根湯本駅から箱根登山電車に乗り換え、宮ノ下駅で途中下車することにした。セピア通りの「渡邊ベーカリー」で、「温泉シチューパン」を賞味するのが最大の目的だが、ジョン・レノンが軽井沢の万平ホテルとともに愛用した富士屋ホテルもついでに覗いてみようと思ったからだ。

その途中の「嶋写真店」(明治11年創業)で、一枚の写真と出会った。村長はしばし見入ってしまった。ジョンとヨーコ、それに幼いショーンが写っていた。1978年、と表記されていた。服装から夏だろう。ジョンが活動を休止していた時期で、写真の中のジョンはパナマ帽を小粋にかぶり、サングラスをかけ、リラックスして微笑んでいた。さまざまな思いが交錯する。

           ジョン・レノン写真 
           イマジン・・・(嶋写真店前で)

「渡邊ベーカリー」はすぐ近くにあった。明治24年創業の、箱根では有名なパン屋さん。フツーのパンばかりでなく「梅干あんぱん」など不思議系のパンも人気を呼んでいる。特に「温泉シチューパン」はこれを食べるためにわざわざ海外からもやってくるという恐るべき代物。ひょっとしてジョンとヨーコもこれを食べたのだろうか? ところで、温泉シチューパンとはなんぞや。

           渡邊ベーカリー② 
           渡邊ベーカリー

店内はパン売り場の左側が小さなカフェコーナーになっていて、2人用テーブルが5つ並んでいた。正午前なのに満員だった。運のいいことにすぐに席が空いた。直球勝負で「温泉シチューパン ドリンクセット」(税抜910円)を注文。ドリンクはコーヒー。パン好きの村民2号は奥のパン釜から漂ってくる小麦の香りにすでにマタタビ猫状態。

          渡邊ベーカリー③ 
          噂の温泉シチューパン

「温泉シチューパン」が10分ほどで登場。丸いブールのフランスパンで、パン自体を器にしていて、フタを取ると、湯気とともにビーフシチューが現れた。まずはアイデアに脱帽。スプーンで掬って口に運ぶと、本格的なビーフシチューで、よく煮込まれた牛肉がごろっと入っていた。それにじゃがいも、人参。濃厚でほどよい甘みと酸味。滋味豊かな味わい。

           渡邊ベーカリー④ 
           主役の登場
           渡邊ベーカリー⑤ 
           なめんなよ
           渡邊ベーカリー⑦ 
           何だこれは?

パン自体の美味さもさりながら、ちぎってビーフシチューに漬けて食べると、これまた美味。周りにパリパリしたフランスパン生地が粉となって少々散らかる。だが、そんなことは構っていられないほど、夢中になる。ふと、「温泉シチューパン」というネーミングが気になった。ビジュアル的にビーフシチューが温泉ということなのだろうか? すると牛肉は人間か? じゃがいもが人間か? それとも温泉の成分をどこかに使っているのだろうか? テーブルの上の温泉とパンの出会い・・・シュールすぎる。

          渡邊ベーカリー⑧ 
          本格的なビーフシチュー
          渡邊ベーカリー11 
          スプーン一杯の幸せ
          渡邊ベーカリー13 
          ま、ひと口

「バーカねえ。そんなこと、どうでもいいでしょ? ボリュームもほどいいし、一歩間違えれば、キワモノだけど、そうならないのはさすが老舗のパン屋さん。ホントにいい味だわ」
「ジョンはピコットのアップルパイが好きだったらしいけど、温泉シチューパンはどうだったんだろう? 気になる」
「つける薬がない・・・」


本日の大金言。

箱根は奥が深い。ジョン・レノンはその写真の約2年半後、ニューヨークで凶弾に倒れた。それからもう34年近い時が流れている。







                        渡邊ベーカリー14

ロマンスカーで駅弁「うなむすび」

何をトチ狂ったのか、財政難の ウマズイめんくい村の怪しい一行がロマンスカーに乗って箱根へ小旅行することになった。特に目的はない。新緑もきれいだし、モディリアーニ展も開催中。たまにプチ贅沢もいいか、と介護疲れの村民2号。だが、村長の真の狙いは箱根食べまくり、である。箱根への旅はJRではなく、ロマンスカーでなければならない。村長の微妙に歪んだ頭にはそう刷り込まれている。

           うなむすび 
           ロマンスカーホーム売店
           うなむすび① 
           めっけ

で、朝食が問題になった。出がけにパンを食べた村民2号は「一食抜き」を主張。村長はロマンスカーに駅弁ははずせない、と主張。双方の立場を尊重することで合意した。村長はロマンスカーのホームの売店へ。そこで見つけたのが、「うなむすび」(648円)だった。ウナギのおむすびで、値段が手ごろなのがいい。「おーいお茶」(145円)も付ける。体調の関係で缶ビールは我慢することに。

          うなむすび1  
          至福の時間

パッケージが紙とプラスティックというのがやや哀しいが、この際ぜい沢は言ってられない。「三宿 月暈(つきがさ)」と書かれた紙をほどいてからふたを開けると、真っ黒い海苔に包まれた小ぶりのうなむすびが2個現れた。そこに甘辛煮の鶏の唐揚げ、卵焼き、柴漬けという構成。見た目はいかにもだが、いい雰囲気。通路を挟んで隣の席の若いカップルは駅弁を突きながら、350ミリリットル入りの缶ビールを開けていた。ぐやじい。

          うなむすび③ 
          この瞬間がたまらない

うなむすびは出汁と醤油で炊いた茶飯で、上に薄く切られたウナギのかば焼きが乗っていた。それを海苔で包んだもの。ガブリとかじりつくと、海苔と茶飯の合い間からウナギのかば焼きの風味が口中に広がった。やや甘め。それなりにうまい。自虐的な冷たさがたまらない。B級の美味。米は国産米、ウナギは中国産で、ここでは日中が平和共存していた。駅弁なので添加物があれこれと入っている。

          うなむすび④ 
          ガブッと行け
          うなむすび⑤ 
          ウナギどす
          うなむすび⑨  
          鳥唐揚げ

甘辛煮した鳥の唐揚げも2個。なぜか大きさが違う。味はコンビニの弁当と同じくらいのレベル。卵焼きは薄甘い。ここはできれば醤油を付けてほしい。

突然、昔、ロマンスカーで竹の皮に包んだ「うなむすび」を食べたことを思い出した。調べてみると、「弁天さまうなむすび」だった。十年ほど前までホームでも売られていたが、ロマンスカーホームからは撤退し、今は「江ノ電の珈琲屋さん」などで売られ、地元名物として人気を呼んでいるようだ。この駅弁うなむすびとはどうやら関係ないこともわかった。

          スーパーはこね2  
         車窓の世界

車窓から広がる世界がビルから新緑の世界になり、丹沢山系の山々が浮かび上がってきた。隣りのカップルの缶ビールは空になっていた。村長は「うなむすび」で小満足。村民2号はじっと我慢の子。この先どうなるのか? 一寸先は闇。天下の険、箱根の山が近づいてきた・・・。


本日の大金言。

ロマンスカーで駅弁は、戦後の日本の豊かさのシンボルの一つである。ロマンスという言葉はすでに死語になりつつある。






                   スーパーはこね 




駅ナカの行列「ずんだとみたらし」

久しぶりに 大宮の駅ナカ「エキュート大宮」に立ち寄った。村長はここでパンをよく買ったりしたが、知人との待ち合わせ時間まで間があったので、ウロウロすることにした。すると、ひと際行列のできているコーナーがあった。女性がずらりと並んでいた。「吉祥寺天音(あまね)」の看板。あの羽根つきたい焼きの天音か? 覗いてみると、「たい焼き」の実演販売の他に、焼き大福や串ダンゴが実に美味そうに並べられていた。あの吉祥寺天音が大宮にも進出していたとは・・・。し、知らなかった。

          天音1 
          あの「天音」?

串ダンゴ好きの悲しいサガで、「ずんだ」(1本129円)と「みたらし」(1本119円)に目が行ってしまった。行列嫌いだが、この際そんなことは言ってられない。ずんだの串ダンゴは珍しい。村長はパブロフの犬状態で行列に並んで、残り少なくなっていたその二つをゲットした。知人との会合を早めに終わらせて、心ウキウキ、ウマズイめんくい村で固くならないうちに賞味することにした。

          天音③ 
          実に美味そう

ほろ酔いでお茶を入れ、夜の賞味となった。「ずんだ」は枝豆をすりつぶして砂糖を加えたもので、仙台など東北の郷土料理だが、今ではずんだ餅やずんだおはぎは全国的な和のスイーツになりつつある。ずんだ好きの村長にとってはうれしい流れで、そのまさかの串ダンゴ版がエキュート大宮で売られていたことに目がウルウル。

          天音④ 
          なが餅みたいな串ダンゴさま

だが、感動は次第に薄れて行った。平べったい餅は羽二重のように柔らかく、塩も効いていて、いい食感だが、肝心のずんだには粒つぶ感がなく、ペーストがゆるく洗練され過ぎで、村長の好みとは違った。ずんだのあの風味もあまり感じない。村長にとってのずんだはもっと素朴に、風味豊かでなければならない。見た目で期待が大きすぎたのかもしれないが、村長は悲しく首を振るばかりだった。

          天音⑤ 
          裏側の世界
          天音⑥ 
          洗練か素朴か
          天音⑦  
          こちらはみたらし
          天音⑧ 
          予想外の美味

あまり期待していなかった「みたらし」は美味だった。きれいな甘辛ダレと柔らかい餅の相性がいい。こちらの洗練は心地いい。価格もずんだより10円安い。期待していなかった分、思わぬ発見をした気分。人生も生菓子も一瞬先に何があるのかわからない。

村長は北千住「かどや」の串ダンゴを思い出していた。「かどや」にはずんだはないが、つい比較してしまう。「かどや」は店舗を広げず、1本90円を守り続けている。それでいて美味。むろん個人的な好みの問題かもしれないが、横綱と関脇くらいの違いを感じる。村長は職人芸とマニュアル芸の違いかもな、お茶をすすりながら、そう思ったりするのだった。


本日の大金言。

たかがダンゴ、されどダンゴ。ずんだの串ダンゴはこれからが楽しみ。まだ勝負は始まったばかりかもしれない。 



                  天音⑨

仰天また仰天、想定外の信州そば

 美味いもの発掘シンジケートの友人から久しぶりのメール。
「B級の看板はまだ維持してますか? 埼玉・鴻巣に面白いそば屋さんがある。村長の驚く顔が目に浮かびます(笑)。旨いかどうかは別にして、絶対行くべし」
面白がり症候群の村長の性格を見透かした文面に少々腹が立ったが、とりあえずポンコツ車を飛ばすことにした。村民2号も「オモシロそー」と付いてきた。

          安曇野2 
          いらっしゃい!

埼玉県道38号線沿いにその面白いそば屋「石臼挽 安曇野(あずみの)」が暖簾を下げていた。白い壁面には「名物 お煮かけそば」という垂れ幕が。
「お煮かけそば」とは信州安曇野地方の郷土料理で、野菜つけ汁そばのようなもの。その下に「ボリューム満点!」という文字が見えた。ボリューム満点? 一見して、フツーの正しいおそば屋さんだが、波乱の匂いもしないではない。

          安曇野③  
          座敷に限る

中はテーブルもあるが、上がり座敷中心で、いかにもそば屋らしいざくっとした雰囲気。ちょうど正午だったためか、どんどん客が入ってくる。村長は「お煮かけそば」ではなく、この店のもう一つの目玉メニュー「みくにそば」(800円)を頼んだ。村民2号は「お煮かけそば」(750円)。「みくにそば」はカレーつけ汁そばのようで、「ココナッツミルクをふんだんに使い・・・」と説明してあった。期待を裏切る波乱の匂い。

          安曇野② 
          
12~3分ほどで、まず「お煮かけそば」がやってきた。仰天。年季の入った長方形のソバざるの大きさが想像を超えていた。で、デカい。村民2号が「こんなに食べられないわ」と尻込みしているのがわかった。続いて、「みくにそば」。同じ盛りだった。だが、よく見ると、盛りは広いが薄く、せいぜい1.8人前くらいではないか。それでもかなりのボリューム。

          安曇野④ 
          仰天の登場
          安曇野⑤ 
          こちらは「みくにそば」

臼挽きそばはグレーの信州蕎麦で、かなりの細麺。星が点々としていた。そばを運んできた女将に聞くと、「挽きくるみですが、手打ちではなく、機械打ちです」。「みくにそば」のつけ汁がユニークだった。見た目は濃いカレー汁。だが、箸を入れると、中からデカい鶏の手羽先が2本もぬっと現れた。半日煮込んだというだけあって、手羽先は柔らかく美味。ただ、箸で食べるのは無理で、おしぼりが欲しい。

          安曇野⑦ 
          挽きくるみ
          安曇野⑧ 
          手羽先がごろり

そばはコシというよりもボソッとした素朴な食感。つけ汁はかなり濃い味付けで、ココナッツの風味はあまり感じない。そばを付けて口に運ぶと、カレーのスパイシーさが口中に広がる。刺激的で濃い味好きの人にはいいが、そうでない人は「お煮かけそば」の方がいいかもしれない。

          安曇野5 
          濃厚なカレー風味

確かに面白いそば屋さんね。お煮かけのつけ汁は野菜が一杯で私の好み。でも、そばの量が多すぎるわ。私にはこの半分で十分」
「みくにの意味を聞いたら、三つの国の味という意味らしいよ。日本、インド、どこかココナッツの国だって。おもしろきこともなき世をおもしろく。村長は好感を持ったよ」
「おもしろきことなき世もおもしろい。次は村長一人で来てよ」
「・・・・・・」


本日の大金言。

おもしろきことなき世をおもしろく、とは高杉晋作の言葉と言われているが、おもしろさの中身は人それぞれ。そこがまたおもしろいところではある。



                       安曇野⑨

犬も歩けば・・・下町「手づくりパイの店」

 久しぶりに東京・北千住。メーンストリートから離れて、はぐれ犬になった気分で仲町あたりを散策していると、女性客が入ったり出たりしている小さな店を見つけた。店の前には赤いスタンドボードが置かれ、白いチョークで「手づくりパイの店」と書かれていた。「Kibusi(キブシ)」という店名。ミートパイやソーセージパイ、反対側にはアップルパイなどの文字が見え、いかにも手づくり感あふれた店であることがわかった。パイ好きの村長はほとんど条件反射的に入ってしまった。ゲット、ラッキーか?

          きぶし② 
          アートな出会い?
          きぶし① 
          ゲット・ラッキーか?

店内にはバラエティーに富んだ手づくりのパイが並び、女性店主と女性スタッフが忙しそうに客の応対をしていた。手前に5席ほどのイートインコーナーがあり、コーヒーや紅茶も楽しめるようだった。村長は、迷った末に「ピロシキ」(1個180円)と「アップルポテトパイ」(4分の1サイズ 220円)を選んだ。飲み物は「こんぶ茶」(100円)。合計500円ナリのリッチなランチタイム。自分で言うのも何だが、渋すぎる。

          きぶし③ 
          この手づくり感
          きぶし④ 
          うむむうむむ

「ピロシキ」は楕円ではなく、細長い珍しい形。ドーナツのような食感で、中の具は、合いびき肉、シラタキ、人参、シイタケなど。それが甘辛く煮込まれていて、口に入れた途端、どこか懐かしい和風の旨味がじんわりと広がった。ロシアではなく和風のピロシキ。こんぶ茶との相性もいい。このところ戦闘的なプーチンにも食べさせたい味わい。

          きぶし⑥ 
          リッチなランチ?
          きぶし13 
          ピロシキの中
          きぶし⑧  
          アップルポテトパイさま

「アップルポテトパイ」が特に美味だった。こんがりと焼き上がったパイ生地、中は二層になっていて、蜜煮した紅玉がぎっしり詰まっていて、その下には黄金色のポテトクリームが厚めに敷かれていた。ひと口パクリと行くと、リンゴの酸味と甘み、それにポテトクリームの甘みが絶妙に調和していた。余分なものは入っていない。パイ生地も柔らかい。素朴な美味。

          きぶし10 
          このギッシリ感
          きぶし12 
          アップルとポテトの二層

女性店主としばし雑談。
「このポテトクリームが美味い。さつまいもの種類は紅あずま?
「当たり、そうです。それに生クリームとバター、砂糖も入れてます。あと塩も少し。それだけです」
「価格が高くないのもありがたい」
「試行錯誤の毎日なんですよ。店をやっていくってホント大変です。老舗の力ってすごいなあって、最近改めて思ったりしてます」

元々お菓子作りが好きで、その延長線で約5年前に「手づくりパイの専門店」を開いたそう。メディアにも少しずつ取り上げられるようになり、常連客も増えているようだ。老舗になるにはあと数十年はかかりそうだが、老舗だって最初は手探りだったはず。店名のキブシは植物の名前から取った。数十年先には黄色い花がたわわになっているかもしれない。花も実もない、冬木立状態の村長は食べ終えた後、意味もなくそう確信するのだった。


本日の大金言。

老舗の看板の上にアグラをかいて、味がどんどん落ちている店もある。名前だけの老舗より、小さくても新しい星。




                         きぶし15 

「海鮮唐揚げ600円定食」の驚き

 GWで見た埼玉・春日部の大凧祭りのときに、凄い行列の出店があった。基本的に並ぶのが嫌いな村長は、その店が「海鮮からあげ」の「光苑(こうえん)」だったことを頭に入れて、春日部の江戸川べりを後にした。「光苑」はもともとは中華料理店で、春日部では有名な店だった。日を改めて、春日部までぷかぷかポンコツ車を飛ばした。

春日部駅東口の「ぷらっとかすかべ」に立ち寄って情報収集。「からあげグランプリ 塩ダレ部門」で4年連続金賞を受賞したこと、一ノ割店は閉鎖したが、西武百貨店(旧ロビンソン)近くで、行列のできる店として、メディアなどで取り上げられていることなどなど最新情報をつかんだ。村長は混み合う時間を避けて、午後1時過ぎ、かすかべ大通り沿いにある「光苑」へ。

           からあげ光苑 
           「からあげ光苑」

ちょうど忙しい時間が終わり、カウンターとテーブル席があるモダンな店内にはお客が3~4人ほど。天井に大凧が飾ってあった。まだランチタイムだったので、村長はメニューの中から、一番安い「海鮮からあげ 単品定食」(600円)を頼んだ。注文してから揚げ始めるようで、女性店主が揚げる軽やかな油のはねる音がいいBGMになっている。15分ほどの待ち時間。

           からあげ光苑② 
           天井には凧が・・・
           からあげ光苑① 
           単品定食に目が・・・

黒いお盆に乗った「単品定食」は、とてもこれが600円とはおもえないものだった。メーンの海鮮からあげはかなりのデカさのものが3個。レタスとマヨネーズが添えられていた。それに、大根と糸こんにゃくとさつまいもの煮付け、さらに小松菜と油揚げの煮びたしまでセットされていた。ご飯とみそ汁、お新香付き。ひと目ですべて手づくりなのがわかった。うむむ。

           からあげ光苑③ 
           まさか?これで単品定食
           からあげ光苑⑤ 
           海鮮からあげだどー
           からあげ光苑⑦ 
           オラオラオラ~
           からあげ光苑⑥ 
           脇役の充実

主役の「海鮮からあげ」は表面がこんがりきつね色に揚がっていて、デカいのに中まできれいに火が通っていた。薄い塩味で、サクッとかじると、肉汁がじゅわりと出てくるのがわかった。鳥肉の柔らかさとボリューム。熱いがイケる。ビールを飲みたくなる。だが、我慢。フーフーしながら食べ進むうちに、旨みがひと味違うことに気付いた。海鮮というからには何か隠し味が入っているのだろう。

女性店主に聞いてみると、「鶏肉をイカ、エビ、ホタテなどから取った出汁に漬けているんですよ。それがうちのオリジナルなんです」というあまりにオープンな返事が返ってきた。好感。ついでに、「この鳥肉は国産?」と聞くと、「いえ、ブラジル産です。国産に負けないですよ」。

          からあげ光苑⑨ 
          柚子こしょうを付けてみる

さまざまな調味料が置いてあり、それを試してみた。村長が気に入ったのは「隠れ里の柚子こしょう」。薄味の海鮮からあげに付けて食べると、両方の風味がいい具合に絡み合った。ご飯がどんどん進む。みそ汁、ご飯も悪くない。煮付けと煮びたしもまるで家庭の味。何より「600円」という安さに驚く。クレヨンしんちゃんの後は、「からあげ光ちゃん」で決まり? そんな冗談を言いたくなる店だった。


本日の大金言。

あの東京・立石「鳥房」の半身唐揚げも「からあげグランプリ」で金賞を受賞している。主催は日本唐揚協会とか。知らないうちにどんどん協会が出来ている。




                     からあげ光苑10

幻の「純米大吟醸無調整」といがまんじゅう

 ワイン好きで日本酒もかじったことのある彦作村長にとって、夢にまで見た「純米大吟醸 無調整」をついに手に入れた。ゲット、超ラッキー、である。

                  花菱① 
         夢かうつつか?

村長はかつて「マスコミ酒の会」という酒好きの会に所属していたことがある。メンバーには著名な酒の評論家がいて、全国あちこちの酒蔵を回ったり、折に触れて、試飲会などを企画したりしていた。正直言って、村長は、分析よりも飲む方が好きで、蔵元での利き酒の時など、いちいち吐き出すのがもったいなくて、しっかり飲んでしまい、顰蹙(ひんしゅく)を買ったことも一度や二度ではない。

その村長にとって、埼玉・騎西町にある「清水酒造」は特別の存在である。銘柄名は「亀甲花菱(きっこうはなびし)」。ここは年間200石(一升びん換算約2万本)しか造らない。創業は明治7年(1874年)。現在五代目となる清水社長が職人気質で、今や全国でも数少ない、すべて手造りという実に手間ひまのかかる製法にこだわりを持っている。新酒の鑑評会では何度も金賞を受賞していて、酒好きの間では評価の高い酒蔵。

          花菱2  
          贅沢なディナー

村長はこの「亀甲花菱」の純米酒のファンだが、たまたま運よく、この春搾ったばかりの「純米大吟醸 無調整原酒」(1・8リットル 3888円)を手に入れることができた。出た途端すぐに売り切れになってしまうという貴重な酒で、村長にとっては「幻の酒」。これを飲むことは村長にとっては、数年越しの夢でもあった。

アテは枝豆と大根と厚揚げの煮付け。さらに面白いものも用意した。埼玉・鴻巣郊外にある生菓子屋「一福」のいがまんじゅう(1個130円)である。「一福」のいがまんじゅうは村長の見るところ、北埼玉一だと思う。ということは世界一? いがまんじゅうとはまんじゅうの外側をお赤飯で包んだもので、北埼玉の郷土食。「秘密のケンミンショー」でも取り上げられ、会津のまんじゅうの天ぷらとともに、全国のまんじゅうファンを驚嘆させた代物。村長は、日本酒に意外に合うのではないか、とひそかに睨んでいた。

           花菱④ 
           他に何もいらない
           花菱⑤ 
           芳醇の極み
           花菱1 
           すべて手造り

「亀甲花菱 純米大吟醸 無調整原酒」は、口に含んだ途端、フルーツのような質の高い吟醸香がふわっと広がった。ボディーはしっかりしていて、越後の酒のような淡麗ではない。淡麗ではなく芳醇。やや辛口で、かすかな酸味。それを包み込むような、まろやかな旨味が実に際立っている。造り手の丁寧で繊細な心までが伝わってくる。透明なグラスの縁がとろりと光っていた。ボルドーのいいワインが見せる粘度と共通した現象。これは凄いぞ。村長は今年の亀甲花菱の出来がかなりいいことを確信した。

          花菱⑧  
          一福のいがまんじゅう

「一福」のいがまんじゅうとの相性も発見だった。周りのお赤飯は塩気があり、その内側のまんじゅうは甘みがほどよい。村長が日本酒のソムリエなら、これは予想外の組み合わせとして、おすすめしたくなる。これだけの酒をグイ飲みするのはもったいないので、2合ほどで切り上げると、大いなる充足感に包まれたまま、村長は、大の字になって、しばしの間、天井を見上げるのだった。天井の向こうには夜空が広がっているはずだ。その向こうの宇宙・・・。


本日の大金言。

手に入りにくい日本酒を手に入れるには、こまめに足を運ぶに限る。どこへかって? 天国の白いカラスに聞け。




                        花菱10

「安ウマ」の極致?浅草のワンタン麺

根がひねくれ者ゆえに、 基本的に「行列のできる人気店」は出来る限り避けるようにしている。浅草・伝法院通りをブラ歩き中に、「浅草メンチ」の行列を横目に、ふと見ると、「ら麺亭」が珍しく空いていた。ここは本格的なラーメンが330円という驚くべき安さで、「肉厚ワンタン麺」や「焼売」もファンが多い。幸楽苑や日高屋など激安ラーメンはチェーン店だが、ここはそうではない。ポリシーの感じる店。

          ら麺亭① 
          行列店だが、空いていた

村長は飛び込むことにした。L字のカウンター席のみ。10人ほど座れば満席という狭さ。ここの名物の一つ「肉厚ワンタン麺」(550円)を頼んだ。スタッフは男性二人。たまたま空いていたのか、下町の匂いのするスタッフと気さくに雑談。

          らー麺亭① 
          うむ、という安さ

「表には創業25年と書かれたままですけど、ホントは28年です。直していないだけです(笑)。ワンタンから焼売からすべて手作りで、この価格でよくやってるとよく言われます

10分ほどで「肉厚ワンタン麺」が登場した。見るからにデカいワンタン軍団が、大きめのドンブリを半分くらいを占領していた。大きいチャーシューが一枚、それにメンマ、海苔、ほうれん草・・・きれいな鶏ガラ醤油スープが揺らめいていた。ワンタンに圧倒されて少なく見える。だが、いい匂い。その姿だけで、この店の実力がある程度わかった。

          ら麺亭④ 
          肉厚ワンタン麺
          ら麺亭⑤ 
          うむむ、という眺め

まずはスープ。白いレンゲですくうと、透明な醤油スープに鶏の脂がキラキラ。見た目は濃そうだが、すっきりとまろやかで奥深い味。美味。麺は東京ラーメンの本流の細麺で、やや柔らかめ。村長はもっとコシが強い方が好みだが、これはこれでありだとも思う。時間が経つとさらに柔らかくなるので、早めに食べた方がいい。チャーシューもほどよく柔らかい。

          ら麺亭⑨ 
          スープが絶妙
          ら麺亭⑥ 
          ストレート細麺
          ら麺亭11 
          メンマとほうれん草
          ら麺亭⑦ 
          チャーシュー

主役の肉厚ワンタンへ。これがかなりのものだった。具は鶏の挽き肉とネギそれにショウガなど。それを自家製のワンタンの皮で毎朝手包みしているそう。数えてみたら5個! そのボリュームにも感動を覚える。しっかりと作られていることがわかる。

          ら麺亭⑧ 
          肉厚ワンタンでござる
          ら麺亭10 
          覗いちゃイヤ

大阪のおばさんに負けないくらい派手なおばさん客が、「ここのスープが好き。こんなに安くて美味い店は浅草で一番よ」と盛んに村長に話しかける。村長は、その自然な旨味にふと店のスタッフに「化学調味料は?」と聞いてみた。「少しだけ使ってます」と率直に答える。村長は完全無化調主義者ではない。ほどほど主義者。この値段でこの旨さを続けることの方に意義があると思う。チェーン店より個人商店。マニュアルより職人芸。たかがラーメン、されどラーメン。されどカネはなし・・・。


本日の大金言。

「安くて美味い」を続けるのは覚悟がいる。そういう店を支え育てるのは最後はお客しかいない。真贋を見分ける目と舌を持ちたい。自戒を込めて。



                        ら麺亭12

不思議系パン「ぴかるのたまご」

あちこちポンコツ車でドライブしていると、思わぬ珍グルメに出会うことがある。埼玉の広域農道沿いにある道の駅「アグリパークゆめすぎと」 (杉戸町)で見つけた「ぴかるのたまご」もその一つ。農産物直売所の中のパンコーナーには地元のパン屋さんのパンが置いてある。あんぱん好きの村長は、「ぴかるのたまご」(130円)というネーミングに「ふむ」となった。「埼玉県産米粉入りのあんぱん」と表記してあった。白いあんぱん。

          アグリパーク1 
          「アグリパークゆめすぎと」農産物直売所
          アグリパーク① 
          なんだ、こりゃ?

「ぴかる」とは杉戸町のゆるキャラ。それが白いパン生地に焼き印されていた。どうやら卵のイメージのよう。それをゲットしてから、もう一品、フツーの「自家製あんぱん」(160円)も買い求めた。「ぴかるのたまご」はアグリパン工房、「自家製あんぱん」は杉戸町のミルーエルブが製造元だった。ウマズイめんくい村に持ち帰って、食べ比べすることにした。

「自家製あんぱん」は見た目はこんがりといい焼き色で、中は北海道産のつぶあん。160円という価格は安くはない。期待して食べたが、ごくごくフツーの美味さだった。特筆すべきものは感じない。だが、どちらかというと、お笑い系の「ぴかるのたまご」はちょっとした拾いものだった。めっけ、という感じ。

          アグリパーク① 
          「自家製あんぱん」と「ぴかるのたまご」(右)

まず白いパン生地は米粉入りのためだろう、実にもっちりしていた。手で割ると、中から甘露煮した大栗とつぶしあんが出てきた。「ぴかるのたまご」の意味がわかった。パン生地は卵の白い殻を意味し、栗は卵黄ということのよう。そこにどれほどの意味があるのか、やや意味不明だが。それ以上につぶしあんの立場はどうなるのか、余計な心配をしてまった。

          アグリパーク⑤ 
          美味そうだが・・・
          アグリパーク⑥ 
          つぶしあんと大栗が・・・
          アグリパーク③ 
          意外な発見

この「色物」の珍あんぱんが予想外に美味だった。パン生地のしっとりしたモチモチ感がとてもいい。つぶしあんは小豆の風味が立ち、控えめの甘さが絶妙だった。さらに甘露煮のきれいな大栗が三重奏のように絡んでくる。130円という価格も好感。まさかの場所で思わぬ発見。調べてみると、パン生地には国産米粉の他にスキムミルクも加えていた。それもパン生地にコクを加えているようだ。アグリパン工房の二遊間ヒット、と拍手を送りたくなった。

          アグリパーク④ 
          あんぱん対決

突然意味もなく、村長の頭に「うただぴかる」はどうしているんだろう?という思いが浮かんだ。オートマティックにやっているんだろうか? 「ぴかるのたまご」をそんな「うただぴかる」にあげたら、案外彼女は喜ぶのではないか。あまりにもくだらない連想。ニヤニヤする村長を、村民2号が心配そうな表情で見ていた。


本日の大金言。

道の駅にはデパ地下や駅ナカのような探す楽しみがある。安いのも魅力。道の駅は田園のデパ地下である。



                        アグリパーク⑦ 

夏日の街で絶妙「氷あずき」

全国各地で30度を超えるニュースが流れ、まだ5月だというのに、 Tシャツ一枚でも過ごせるバカ陽気。村長はかき氷を食べたくなった。日本でも有数の猛暑地帯、群馬・館林に気になる店がある。先日、ツツジを見に行ったとき、かき氷の旗がひるがえっていた。「ヤギヤ」という地元では有名な店で、冬はたい焼き、夏はかき氷を売り物にしている。以前、ここの「たい焼き(1匹100円)」を紹介したところ、思わぬ反響をいただいた。そのときに暑くなったら、かき氷を食べに来ようと決めていた、その店。

           ヤギヤ 
           「ヤギヤ」さま(館林市)

ポンコツ車を飛ばし、大手町通りで止める。ほどよい暑さ。およそ飾りというものがない、白いアパートのような外観が目に入った。「ヤギヤ」という文字とかき氷の旗が無愛想にはためいている。敷地内にある「たい焼き」売り場は閉鎖されていた。店内はだだっ広く、30~40人は入れそう。まるで工場の社員食堂か学食ではないか。正面には驚くべき数のかき氷のメニューが貼られていた。手前の左手が厨房になっていて、そこでカシャカシャと氷を削っていた。スタッフは3人。創業は大正末期。

           ヤギヤ11  
           なんと94種類!
           ヤギヤ② 
           シロップをたらーり

村長は「氷あずき」(400円)を注文した。たい焼きの時の素朴なあんこの美味が頭の中に余韻として残っていた。5分ほどで、氷あずきがやってきた。軽く息を飲む。透明なガラスの器に山盛りのかき氷。薄っすらと浮かび上がるその底のあんこの量。目測で2センチは悠にある。これだこれだ。あんこの少ないかき氷は氷あずきに非ず。

           ヤギヤ⑤ 
           絶景かな

村長はローティーンの時に会津若松の「山田屋」で食べた「氷あずき」がこれまで食べた最高の氷あずきだと今でも思っている。その「山田屋」は数年前に暖簾を畳んでしまった。村長はその知らせを受け、大いに嘆き悲しんだ。だが、今目の前にあるのは、ひょっとしてと思わせる「氷あずき」。村長の胸の鐘がキンコンカンと鳴った。

          ヤギヤ⑥ 
          頂上から行け

頂上には透明な自家製シロップが大胆にかかっていた。氷は「奥秩父の天然原流水」で作った氷だった。スプーンを入れると、氷は意外に粗めで、秩父の長瀞で食べた天然かき氷のような絹の感触ではない。「山田屋」の氷もこんな削り方だった。絹もいいが木綿も捨てがたい。氷の甘い山を崩していく。次第にあんこの鉱脈が見えてきた。翼よ、あれが氷あずきの灯だ。

あんこは見事な小倉色のつぶしあんで、かき氷とシロップと一緒に掬い取り、口に運ぶと、冷たさと同時に小豆の風味がすっくと立ってきた。甘めのあんこが天然水の氷とシロップによって、素朴で絶妙な味わいに変化していく。山田屋以来の感動。思わず涙が出そうになる。あんこと氷、あんことシロップ、そのミックス・・・村長はスプーン片手に考えられるさまざまなバリエーションを楽しんだ。不思議なことに歯にしみるような嫌な冷たさがない。
 
          ヤギヤ15 
          あんこの圧倒
           ヤギヤ16 
          言葉はいらない
          ヤギヤ14 
           甘美な底

至福の時間はあっという間に終わった。400円という安さも好感。帰り際、店のスタッフに「かき氷は全部で何種類あるの?」と聞いてみた。すると、「いくつあるのかなあ。最近は数えていない」という答え。うむむ。しばらくして、店主らしい人が出てきて、「94種類です」とのこと。館林で、これは一つの発見だった。かき氷を食べるために館林に行く。というのもアリかもしれない。


本日の大金言。

かき氷のシーズンに入った。本番はこれからだが、都内の甘味屋のかき氷の値段が高すぎるのが気になる。1000円近いものもある。こりゃ、ヘンだ。



                        ヤギヤ10 

昔の「街の洋食屋」の味わい

 本日はピカソと街の洋食屋の話。

陶器好きで絵心のある村民2号が埼玉県立近代美術館で開催中の「ピカソの陶芸」に行こうと言い出した。ピカソの陶芸? 村長はピカソが晩年、陶芸の制作にハマっていたことを知らなかった。まるで池田満寿夫ではないか、などと軽口をたたきながら、北浦和にある安くて美味い洋食屋「レストラン四季」でランチすることを条件に、ポンコツ車を走らせることにした。

           埼玉近代美術館 
           ピカソの陶芸(埼玉県立近代美術)

「ピカソの陶芸」は自由で伸びやかな感性と色彩感覚に圧倒された。頭の窓が開く。観終わってから、約束通り、常磐9丁目にある「レストラン四季」に足を運んだ。昭和のよき匂いのする洋食屋で、40年以上スタイルを変えずに「手抜きのない洋食」を作り続けている埼玉でも稀有なレストランの一つである。

           洋食四季① 
           レストラン四季

時刻は正午少し前。どこか懐かしい店構えにすでに数人が並んでいた。「本日の定食 780円」という手書きのボード。少し待ってから店内に入ると、古い木製テーブル(4人用)が5つ。扇風機が回っていた。正面が厨房になっていて、そこでご高齢の店主がコック姿で料理をコツコツと作っていた。奥さんが出来上がった料理を運ぶ。夫婦二人で店を切り盛りしているようだ。いい匂いとともにフライを揚げる軽やかな音が心地いい。

           洋食四季 
           本日の定食

村長は「本日の定食」の中から「カキフライ ハムかつ、野菜揚げ」(ライス、みそ汁、お新香付 780円)を選んだ。村民2号は「メンチかつ、ハムかつ、野菜揚げ」(同780円)を頼んだ。注文を受けてから作り始めるので、待ち時間は17~8分ほど。見た瞬間、街のコックさんが作った昭和の正統派洋食だと実感。大ぶりのカキフライが3個、ツマヨウジが刺されたタマネギのフライ、それにハムカツ。みずみずしい千切りキャベツ、トマト・・・フライの上からかかったデミグラスソースとキャベツの上のドレッシングが燦然と輝いていた。どこにも手抜きが感じられない。昭和期に修業したコックの実力。

          洋食四季⑤  
          「カキフライ、ハムかつ、野菜揚げ」
          洋食四季⑥ 
          この圧倒

カキフライは衣が厚めで、サクッとしていた。その中から岩ガキが濃厚でエロティックな姿を現した。さらに噛む。じゅわりと海のミルクが滲み出て、口中に広がる。美味。ウースターソースをかける。醤油も試してみる。村長はウースターソースが一番合うと思った。マスタードがないのは少々残念だが、それを忘れさせてくれるほどの旨さ。タマネギとプレスハムのフライも文句のつけようがない。

          洋食四季⑧ 
          カキフライをかじる
          洋食四季⑦ 
          タマネギの美味
          洋食四季⑨ 
          ハムかつ

このボリュームと内容で780円とは驚きね。私はみそ汁とドレッシングの旨さも強調したいわ。お腹はパンパンだけど」
「脇役のナポリタンにしても手抜きがない。こういう洋食屋が街の中にある、ということに感動を覚える。ピカソの陶芸とこの洋食屋、北浦和って意外にいい街だよ」
「ピカソの皿にこの洋食は合うかもね。空想レストラン・・・」
「それはいいけど、ここの代金はどうする?」
「ごちそうさま。もう一軒、コーヒーの美味い店にハシゴしない?」
「・・・・・・」


本日の大金言。

昭和の街の洋食屋。まだ人間に対するささやかなロマンがあった時代。それを懐かしむのは感傷に過ぎないのか?



                       洋食四季12 

浅草「梅むら」の豆かんてん

「辞めた会社には近づくな」
エンターテインメント新聞社時代の上司で、エッセイストのKさんが、かつて決然とそう言ったことがある。Kさんはそれを自分の戒めとして、その後、次々とベストセラーをプロデュース、自らも主に「男の生き方」をテーマにした本を100冊以上書いて、喜寿を迎えた今でも現役で時代の最先端を走り続けている。恐るべき人なのだ。その言葉を思い出しながら、村長は会社から遠く離れた浅草でかつての同僚と酒宴を開くことにした。同僚には宇宙人もいる。

           梅むら 
           本物はさり気ない

と前置きを書いたところで、浅草「甘味処 梅むら」の豆かんの話に突入する。酒宴の時間にはまだ間があり、村長は、「雷5656会館」裏手にある「梅むら」に足を伸ばした。ここは昭和43年(1968年)創業、豆かんの元祖の店で、甘味好きの間では、「豆かんの最高峰」とまで言われている。酒を飲んだ後の豆かんというのがフツーのコースだが、村長は逆を行くことにした。というより、ここは夕方6時には店を閉めてしまうので、飲んだ後の締めの豆かんとはいかないのである。飲む前の豆かん。
           梅むら① 
           敷居が高くない

名前の割には店は意外に小さく、江戸茶の暖簾をくぐると、6席のカウンターとテーブル二つの小上がりのみ。よき時代の庶民的なお汁粉屋のよう。余分な見栄も飾りもない、職人の匂い。この店の歴史がしみ込んだ木のカウンター席に座り、「豆かんてん」(470円)を頼んだ。温かいお茶が江戸しぐさで出された。「豆かんてん」としっかり表記しているのが好感。カウンターの向こうには気さくな二代目。

           梅むら② 
           メニューは多くない

「豆かんてん」は噂通りの逸品だった。意地悪な村長はどこかに欠点を見つけようとしたが、ついに発見できなかった。欠点がないことが欠点、というしかない。驚くべきは赤えんどう豆の黒光りである。ある種感動すら覚える。下の寒天がまったく見えないほどの分量が目の前で黒い宝石のように輝いているのである。

           梅むら④ 
           生で見ると驚きが倍加する
           梅むら⑤ 
           これは一つの作品である

しかも口に運ぶと、そのぷりっとした食感と、羽毛のような柔らかさに二度目の驚き。かなり長時間炊かないとこの柔らかさは出ない。以前このブログで有楽町「おかめ」の豆かんを取り上げたことがあるが、値段(おかめは660円)も風味もかなり違う。浅草「梅園」もそうだが、フツーの豆かんは塩気をかなり効かせている。むろん、それはそれで美味いが、「梅むら」の場合は、塩がかすかで、長時間炊いているはずなのに、ひび割れがない。その下には風味が際立っているさいの目切りの寒天の海。ほどよくかかった自家製の黒蜜は品よく、あっさりしている。ハーモニーの極致と言わざるを得ない。ここにも本物の職人がいる。

「これ、本当に赤えんどう豆? あまりに黒いので、黒豆だという説も出てるけど」
「いえ、北海道産の赤えんどう豆です。作り方ですか? そこは・・・秘伝です」
「寒天も口に入れた途端、テングサの香りがすごいね。しかも、このしゃきっとした食感がとてもいい。これも自家製?」
「いえ、寒天だけは注文してます」

           梅むら⑦ 
           ため息と食欲
           梅むら⑧ 
           黒蜜と黒真珠?

「随分と熱心に写真を撮りますね」と隣りにいた常連客があきれ返ったように話しかけてきた。次第に怪しまれる(?)村長。村長は中身のない正体を明かし、決して怪しい者ではない、と弁明に努める。次第に打ち解ける。二代目が「そう言えば、村長の元いた会社の記事がありますよ」と指さした。そこには確かに「梅むら」を紹介した記事が・・・。「辞めた会社には近づくな」Kさんの言葉が頭をよぎった。


本日の大金言。

本物はさり気ない。今や一大観光地となった浅草だが、昔ながらのスタイルを変えない名店も残っている。浅草にはそれを探す楽しみもある。




                       梅むら10 





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新宿アルタ近くの「黒タピオカ」

 「笑っていいとも」が31年6か月の歴史に終止符を打って、一か月ちょっとしか経っていないのに、もうずいぶん昔のことのように思える。改めてテレビのもつ情報消費の恐るべきスピードに唖然とさせられる。現代の怪物君、一体どこに向かってるんだい? エンターテインメント新聞社時代に、「笑っていいとも」を創った名プロデューサー・横澤彪さんにスタジオアルタで取材したことが昨日のことのようだ。村長は、その後のスタジオアルタを見に新宿まで足を伸ばした。

           パールレディ① 
           何も変わらないアルタの光景

フィナーレであれほど盛り上がったことが嘘のように、アルタ前はいつもの光景だった。こうして記憶は一部の人の脳に留まり、やがて風化していく。今ではテレビの一時代を創った横澤彪さんでさえ、若い人はほとんど知らない。ゆく河の流れは・・・鴨長明の「方丈記」の一節がBGMとして流れている。と、くだらない感慨にふけっていると、村長の目に、赤と黄とピンクの世界が飛び込んできた。原宿ギャルのような女の子がたむろしていた。

          パールレディ1 
          パールレディ新宿店
          パールレディ③ 
          黒タピオカとカラータピオカ

それがタピオカとクレープの専門店「パールレディ」だった。村長の好奇心が感慨を押しのけてすっくと立ち上がってきた。これは食べるっきゃない。若い女の子に混じって、怪しすぎる村長が一歩踏み出した。メニューの中から「抹茶杏仁ミルク 黒タピオカ」(レギュラーサイズ370円)を注文した。

「パールレディ」は新宿や原宿を中心に国内27店舗を展開するスイーツ店で、ターゲットは若い女子。主力商品のタピオカは、すべて自家製。キャッサバの粉と海藻ゼリーで作った、グミのような食感のぷりぷりスイーツで、その食感が人気を呼んでいるらしい。多分バイトの女性店員から、でっかいストローが刺されたプラスチックのカップを手渡された。ポエム。

           パールレディ④ 
           抹茶杏仁ミルク
           パールレディ⑤ 
           巨大ストローでズズズ

黒タピオカはカラメルで色を付け、それが抹茶ミルクと杏仁ゼリーの中で底に沈んでいる。スプーンで引き揚げると、キャビアのように輝いていた。巨大ストローで吸うと、抹茶ミルクは甘く、杏仁ゼリーは柔らかくぷるんとした食感で、「今どき」のスイーツ。スプーンで粒つぶの黒タピオカをすくって口に運ぶ。ムニュっとする噛みごたえ。駄菓子屋のグミのような食感。南国の匂いがする。日本のスイーツとは違うラテン的で大雑把な味わい。

           パールレディ⑧ 
           黒タピオカ
           パールレディ⑨ 
           杏仁ゼリー

黒タピオカがタモリに見えてきた。タモリのサングラスがいっぱい。タモリは日本芸能史に確実に残るだろうが、黒タピオカをストローで吸いこむ若い女子の頭の中からはやがて消えていく。偉大な才人も情報の消費から逃れられない。それでいいのだ。初期のタモリの世話をした赤塚不二夫さんがそうつぶやいているような気がした。なんてね。


本日の大金言。

テレビというモンスターと街中のスイーツ店。その下に流れる河。たまにはわが手をじっと見るのもいい。




藤の花と鴨せいろうどん

 足利フラワーパークの藤祭りに行くか、春日部・牛島藤花園にするか。「藤の花」がきれいなこの季節、首都圏有数の名所のどちらに行くかで、ウマズイめんくい村の村民会議が紛糾した。
「バッカみたい。それより、騎西にある玉敷神社がいいわよ。穴場よ。樹齢400年の藤が見事だし、何てったって、入場料がいらない。タダであれだけの藤の花は拝めないわよ」
見かねた情報通のキオが仲裁に入った。タダ、という言葉が決め手となった。悲しい現実ではあるが。

           玉敷神社① 
           玉敷神社の藤棚

その玉敷神社までポンコツ車を飛ばして、見事な藤棚を堪能した。藤には平和がよく似合う。その足で、うどんの街・加須の老舗「子亀」でランチすることにした。入り口の見事な縄のれんをくぐると、如何にも門前町のうどん屋の世界が広がった。ほとんど満席で、活気に満ち溢れた店内。ここは「冷や汁」が有名だが、村長は「鴨せいろうどん」(790円)を選んだ。村民2号も同じ。キオは埼玉ご当地グルメ王にも選ばれた「肉味噌うどん」(570円)を頼んだ。

          子亀① 
          加須うどんの老舗「子亀」
          子亀③ 
          メニューはリーズナブル

10分ほどで「鴨せいろうどん」が登場。加須うどんは地粉を使い、寝かせに時間をかけ、場合によっては少し干す。店によって若干違うが、コシが強めで、ノド越しがつるりとしている。「子亀」は干さず、もちもち感を重視した手打ちうどん。手打ちうどん選手権で3位になったこともある。

           子亀⑤ 
           鴨せいろうどん
           子亀1 
           肉味噌うどん

さぬきうどんのようなインパクトはない。太めだが、それほど太くもない。絹のような白さで、温かい鴨汁に付けて口に運ぼうとすると、その長さに驚く。何とか畳むようにして口に入れると、最初のアタックはもっちり感。その後のつるっとした食感が悪くない。盛りは多くもなく少なくもない。かすかに塩気を感じる。

鴨汁は鴨肉が4~5切れ、それに長ネギ、なぜかナルトも入っている。ダシの効いたかなり甘めのツユで、鴨の旨みをかもし出している。鴨から出た脂がキラキラしている。薬味とワサビを入れて食べる。もっちりしたきれいなうどんとよく絡み、その相性がいい。格別の感動はないが、フツーに美味いうどん。値段もリーズナブルだと思う。

          子亀⑥ 
          白くモチモチ感
          子亀10 
          鴨汁の美味
          子亀⑧ 
          長~い

「子亀で食べるのはこれで3回目くらいだけど、冷や汁よりもこっちの方が美味いわ」
村民2号が言うと、最近食べ物にうるさくなったキオが不満げに言った。
「私も鴨せいろにすればよかった。ここの肉味噌うどんはストレートすぎる。野菜が欲しいな。これでは女性には受けないと思う」
「タダできれいな藤の花を堪能したんだから、村長は満足だよ」
村長が話を引き取った。ウマズイめんくい村ののどかな一日が半分終わろうとしていた。

本日の大金言。

鴨がネギを背負ってやってくる。この場合の鴨の意味について、今の日本の現状を考えてみるのもいいカモ。鴨とはだれか?




                       子亀⑨ 

隠れ処で味わった〆の「だし茶漬け」

 ウマズイめんくい村に飛び込んだ久しぶりの明るいニュース。村長のワイン仲間でもある、山川酒屋の若旦那がついに金星を射止めた。GW最終日、そのお祝いを埼玉・加須市の「酒楽・食彩 べんてん」で行った。この「べんてん」が秀逸な店だった。給料のおそらく半分くらいをワインに注ぎ込んでいる畏友・加山プロフェッサー行きつけの店。ここで〆に食べた「だし茶漬け」が実に美味だった。

           べんてん① 
           居酒屋「べんてん」

加須市はジャンボ鯉のぼりとうどんの街だが、数は少ないながら、いい居酒屋もある。以前、「吉田類の酒場放浪記」(BSーTBS)で、「居酒屋 平八」が取り上げられたが、悲しいかな、その後暖簾をたたんでしまった。「べんてん」はもし吉田類がやってきたら、かような場所にかような店があるとは・・・と驚くだろう。寡黙な主人と日本酒通の女将が切り盛りする小さな店で、とにかく出される料理がすべてレベル以上で、しかも安い。京都にお住いの調布先生が教えてくれた東京・北千住の「やすらぎ」とは違った意味で、首都圏60キロ以内の隠れた名店だと思う。

           べんてん④ 
           センスとこだわり
           べんてん⑥ 
           リーズナブルである

生ビールで乾杯した後、いくつか料理を頼んだ。村長は生ビールから、「本日の女将のおすすめの日本酒」の「美田 純米吟醸生」(600円)へと移った。福岡の地酒で、すっきりしたまろみとかすかな吟醸香が特徴で、「茨城産天然平目の刺身」(680円)とよく合う。刺身の新鮮さと盛り付けがとてもいい。村長は「富山湾内ホタルイカの酢味噌かけ」(480円)が特に気に入った。おそらく大宮の魚市場から買い出してくるのだろう、ぷりっとした鮮度と甘みが口に入れた途端、広がる。

           べんてん⑦ 
           天然平目。エンガワもしっかり
           べんてん⑧ 
           富山湾内のホタルイカ
           べんてん⑨ 
           「美田」を残すな
           べんてん10 
           アルガブランカイセハラ2011

「では、若旦那の結婚を祝って、特別のワインを開けましょう。持ち込み厳禁ですが、今回のみ特別に・・・」
加山プロフェッサーが、今注目の入手困難な甲州ワイン「アルガブランカイセハラ2011」を抜栓した。これがアロマといい、口に含んだ時のエレガントな果実味といい、「甲州種のイメージを変える」という評価を確かに裏付ける逸品だった。

酔いが回り、時間が経つにつれて、若旦那の顔は真っ赤、はんなり嫁さんのきれいな顔にもほんのりと紅が差してくる。新婚の輝き。「美男美女で、いいカップルねえ。私たちとは大違い」と村民2号がボヤキを入れる。遠い目。村長はすでにヨレヨレ。ろれつが怪しくなっている。それでもさらにワインを注文し、杯を重ねる。宴がたけなわになった頃、「では〆のだし茶漬けと行きましょう」と加山プロフェッサー。

          べんてん11 
          仕上げのだし茶漬け

この「だし茶漬け」(480円)がかなりのものだった。梅、海苔、明太子が選べる。村長は「海苔」を選んだ。たぶん鰹節と昆布で取った出汁と薄口醤油の加減が絶妙で、ワサビを少し溶かして、箸でかっ込むと、五臓六腑に和の旨みがじんわりとしみ込んでくる。海苔の香りとともに「今生きていることのささやかな幸福感」が広がってくる。何という陳腐な表現。まさかの場所でプロの料理人の味。村長の恍惚。天国まで後8マイル・・・。



本日の大金言。

恋は人を盲目にするが、結婚は視力を戻してくれる。(リヒテンベルグ) 結婚前には目を開け、結婚してからは目をつむっていることだ。(トーマス・フラー)


                     べんてん12 

春日部の大凧と元祖つけそば

 テレビで埼玉・春日部の「大凧(おおだこ)あげ祭り」を取り上げていた。たまたまそれを見た村長は、少年時代のことを思いだしてしまった。タコ少年だったあの頃・・・。これは行くっきゃない。GWの後半、村長はラーメン好きでウマズイめんくい村の社外取締役でもある外山ご夫妻を誘って、春日部市郊外にある会場の江戸川河川敷まで、プカプカとポンコツ車を飛ばした。

           大凧① 
           おおっと・・・大凧あげ祭り(春日部)

腹が減っては大凧は見れぬ。美味いものはないかいな。近くは田園風景ばかりで、これはという店は見当たらない。だが、村長はこのあたりに「大勝軒しのや」があることを知っていた。「大勝軒しのや」は、あの伝説の東池袋大勝軒・山岸一雄直系の店。オープンして7年ほど。今や行列のできる店として、埼玉でもちょっとは知られた存在である。午前11時半だというのに、広い駐車場はかなり埋まっていた。

           大勝軒しのや② 
           大勝軒しのや
           大勝軒しのや③  
           直系の店

5~6人ほどがすでに並んでいたが、それほど待たずに入れた。メニューの中から「つけ麺」の元祖、「もりそば」(普通盛り300グラム 750円)を注文した。村民2号も「もりそば」(少なめ210グラム 700円)。外山ご夫妻は「もりそば」(中盛り450グラム 850円)と普通盛り。もりそばは冷やもりと熱もりを選べる。村長は冷や盛りを選んだ。

           大勝軒しのや④ 
           元祖つけ麺「もりそば」

店内は意外に広く、頭にタオルを巻いた「山岸スタイル」のスタッフが6~7人ほどテキパキと動いていた。背中に「東池袋大勝軒」の文字。15分ほどで山岸一雄直伝という「もりそば」がやってきた。麺は黄色みがかった中太ストレート麵で、普通盛りでかなりの量。「別の店で食べたのより全然盛りがいいよ。こっちがホントなんだろうな」と外山夫妻。

           大勝軒しのや⑤ 
           普通盛り300グラム

「大勝軒」の系列店は今や全国あちこちにあるが、店によって大分違いがある。だが、この「しのや」は直弟子の店だけに、東池袋店に近いと言われている。麺はかすかに小麦の香りがして、口に入れた途端、もっちり感が際立っていた。素朴でもっちりした歯ごたえ。つけ汁は豚骨魚介系だが、煮干しや鯖節の自然な出汁の風味がよく出ている。今流行の脂の過剰なギトギト感や魚粉のこってり感がない。むしろ牧歌的な味わい。好感。甘酸っぱいのも東池袋とほとんど同じ。

           大勝軒しのや⑦ 
           素朴なもっちり麵
           大勝軒しのや⑧ 
           つけ汁
           大勝軒しのや10 
           ギトギトしてない

脂身のないもも肉の大きいチャーシューが一枚。それに細切りのチャーシュー、半熟ゆで卵、ナルト、メンマ、小さい海苔、刻みネギ・・・山岸一雄の原点の味を忠実に継承していると思う。だが、と村長は思う。普通盛りで十分で、味わいがよく言うと自然で淡く、悪く言うと単調で、後半戦、ほんの少し飽きが来てしまった。これは東京・門前仲町の人気店「こうかいぼう」で感じたものと似ている。ひょっとして、この感覚は化学調味料や濃厚すぎる味に慣らされてしまった弊害なのかもしれない。

           大勝軒しのや⑨ 
           古典の味わい

「コスパ的にもいい。この店が流行るのがわかるよ」
「お腹がパンパン。早く大凧揚げ見に行きましょ」
前頭3枚目あたりからいきなり関脇クラスのお腹になってしまったウマズイめんくい村の一行は、よろよろと席を立つのだった。


本日の大金言。

大勝軒の「もりそば」(つけ麺)はもともとは賄い食だったという。山岸一雄がそれをメニューにしたところ、評判となって、評判が評判を呼び、今ではラーメン店でこれを出さない店はほとんどないと言われるまでになった。コロンブスの卵。




                        12しのや大勝軒 





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まさかのイタメシ屋「新タケノコパスタ」

 タケノコの美味なシーズン。このGW期間中、あちらこちらで「新タケノコ」を見かけた。今回はその中でも特筆の店で出会った木の芽と新タケノコのイタメシをご紹介しよう。
 
          館林②          
           旧秋元邸のつつじ(館林)

新緑と花の香りに引きつけられて、つつじの名所・群馬県館林市内を散策中のこと。お腹の虫がキュッと鳴いた。時計を見ると、午後1時半を過ぎていた。
「せっかく館林まで来たんだから、美味いパスタを食べたいな」
と、村民2号がつぶやく。
館林には美味いイタリアンレストランが多い。村長は駅前の通りで情報をゲットすることにした。生きたグルメ情報は地元の女性に聞くに限る。これはという中年女性に聞いてみると、小鼻をぴくつかせて「ここから歩いて7~8分くらいのところに、いい店があるわよ」と教えてくれた。ゲット・ラッキーか?

           西ノ洞②  
           「西ノ洞(ほら)」の入り口
           西ノ洞③ 
           ランチメニュー

それが古い街並みが残る大手町にある「ロートルメゾン 西ノ洞(ほら)」だった。ロートルメゾンとはフランス語で「もうひとつの家」。驚くべき店だった。古民家を大胆に改造した店構えで、外から見ると由緒のある古民家に見えるが、一歩中に入ると、別世界だった。天井が広く高く、しかも吹き抜けの2層構造になっていた。一番底がコンサート小ホールになっていて普段は食事用のテーブルが置かれ、中2階はそれを取り囲むように見下ろす構成。木のカウンター席やテーブル席が配置されていた。壁面は大谷石とステンドグラス。うーむ。村長は息を飲んだ。店の人に聞いてみると、有名な建築家が造ったそう。

         西ノ洞⑤ 
         そこは別世界だった

木のテーブル席に腰を下ろし、ランチメニューの中から、一番安い「Aコース 1080円」を選んだ。一瞬高い、と思ったが、それが間違いだったことを30分後に知ることになる。オードブル、パスタ、サラダ・パン、それにコーヒーか紅茶付き。それぞれいくつかのメニューから選べる。

村長はオードブルは「冷製 ホタテと海老のテリーヌ」、パスタは「館林産新タケノコとシラスの塩味木ノ芽の香り」を選んだ。頼むときに舌を噛みそうになってしまった。食後は紅茶。村民2号は「アボカドとフレッシュトマト」にコーヒー。 

オードブルとサラダ、パン、パスタの順番でやってきた。注文してからシェフが作り始めるので、パスタが来るまで15分以上はかかった。ゆったりとした時間。音響効果がいいのだろう、BGMのガットギターの音が素晴らしい。全部書くとキリがないので、新タケノコのパスタについて。こんがりとローストされた地場の新タケノコは量も多く、こりっとした歯ごたえとにじみ出てくる甘みが美味。シラスもどっさりと乗り、木の芽(山椒の新芽)の香りとの相性は悪くない。それに細切りのベーコン。

           西ノ洞⑥ 
           サラダと冷製テリーヌ
           西ノ洞⑨ 
           新タケノコのパスタ
           西ノ洞12  
           シンプルな味付け
           西ノ洞11 
           五月の美味

パスタはアルデンテで、素材を生かすためだろう、味付けは塩のみ。オリーブオイルとニンニクの匂いが食欲をそそる。パスタの量はそれほど多くはないが、焼きたてのフランスパンもあるので、ボリューム的には十分に満足できる。

           西ノ洞⑧ 
           パンもスグレモノ

初めは高いと思ったけど、これで1080円はちょっと驚きだわ。館林は意外と奥が深い。つつじが岡公園だけじゃないわね」
「皇后さんと女性宇宙飛行士の実家のある街だからな。文化があるんだよ」
「群馬ってすごいでしょ。私の実家がある桐生の次にいいわ」
「確かに」
村長は逆らわずに食後の紅茶を静かに楽しむのだった。

本日の大金言。

つつじを見に館林に行って、新タケノコのパスタと出会う。人の行く裏に道あり花の山。つつじよりタケノコパスタという発見だってある。





                         西ノ洞14

縄文グルメ遺産「栃餅」にシビれる

 大内宿は会津観光の目玉の一つ。江戸時代の茅葺き屋根の古民家が30軒以上並ぶ街並みは、一瞬タイムスリップしたような感覚に襲われる。だが、生活のためとはいえ観光化され過ぎて、時代劇のセットのように見えることもある。ネギを箸のように使って食べる高遠そば(ねぎそば)や岩魚の串焼きなど美味いものも多いが、値段もそれなりで、人気スポットと化した故の光と影が見え隠れする。

           大内宿① 
           大内宿の街並み
           大内宿 
           桜と鯉のぼり

それでも村長は江戸時代の面影が残る大内宿が好きで、会津に行くと立ち寄ることが多い。GW真っ最中のなので、大内宿は観光客でにぎわっていた。いつものように「山本屋」にしようか、「三澤屋」にしようか迷っていると、美味そうなメニュー写真が視界に飛び込んできた。あんころ餅ときな粉餅がセットになっていた。「栃餅(税抜き600円)」なり。「茶屋 みさわや」だった。店構えもいい。これは入るっきゃない。

           みさわや① 
           茶屋みさわや
           みさわや② 
           うむむうむむ

栃餅(とちもち)は縄文人が食用にした栃の実を餅と混ぜて搗(つ)いたもの。栃の実は固いうえに苦みがあり、そのままでは食べられない。時間をかけてアク抜きしてふかし、苦みを取るまで1週間以上の時間と工程が必要で、この上ない手間ひまがかかる。その栃餅のあんころときな粉。他にくるみパンや五穀パン、岩魚サンド、それにスイーツ類もあるが、村長は珍しい「栃餅」に釘づけ状態。村民2号とキオは「また始まった」とばかりにげんなりしている。初志貫徹。

           みさわや④ 
           栃餅のあんこときな粉

店の無愛想なおばさん店員に「栃餅」を注文して、待つこと10分ほど。「作り立てよ」という言葉とともに、皿に乗ったあんころ餅ときな粉餅がしずしずと登場してきた。湯気が立っている。それを恭しく持って、階段を上がって、2階で賞味することにした。1個が意外にデカい。緩めのつぶしあんがたっぷりとかかっていた。もう一つにはサラサラしたきな粉。白砂糖も混入している。色がきれい過ぎることが気になるが、窓から入ってくる光に反射してキラキラする様はとてもこの世のものとは思えない。ここはどこ?極楽まで3マイル?

   
           みさわや10 
           あんころ餅さま

まずはあんころ餅を賞味。やや甘めで、あんこのざらざら感が舌に心地よい。何よりも手間ひまかけた栃餅の食感が素晴らしい。よく見ると色は自然な黄土色で、その伸び加減やしっかりとした歯ごたえがフツーの餅とはひと味違う。苦みもえぐみもない。それどころか、独特の旨味さえ感じる。こういう形で栃餅を食べたのは村長といえども初めて。
          みさわや⑥ 
          きな粉さま
          みさわや⑧ 
          栃餅の美味
          みさわや⑦ 
          ため息

次にきな粉餅に移った。きな粉は砂糖を加えているせいか、サクサクしている。だが、そのサクサク感が栃餅の自己主張とよく合っている。あんころよりもきな粉の方が栃餅の旨味をよく引き出していると思う。美味。自然の恵みを最大限に生かした縄文人は実はグルメだったという説を思い出した。大内宿で縄文人の遺産「栃餅」を静かに賞味しながら、村長は「うむむうむむ」と唸るしかなかった。


本日の大金言。

現代日本人は基本的に縄文人と弥生人の混血だが、美味の遺伝子は縄文人から受け継いでいるのではないか。




                      みさわや11 



創業80余年人気食堂の味

 喜多方ラーメンは有名だが、首都圏で会津ラーメンを知っている人は少ない。と書いて、ハタと困った。どこがどう違うのか。スープは豚骨・煮干しなどでダシを取った醤油味・・・それらは基本的に同じで、九州ラーメンや札幌ラーメンほどの違いがない。麺も平打ち太麺で、店によって若干の違いはあるが、全体としてすっきりしたまろみのある醤油ラーメン。喜多方は水がいいのは確かだが、それ以外に大きな違いはないと思う。全国展開している「幸楽苑」は会津若松が出発点だが、チェーン店化したために平打ち太麺ではなくなっている。

           石部桜 
           樹齢650年の石部桜

と書いたのには訳がある。創業八十余年「牛乳屋食堂」の存在である。牛乳屋から身を起こし、途中でラーメン屋も始めたという歴史を持つ。今や会津ラーメンを代表するラーメン店で、首都圏にも進出するなど、そのユニークな店名とともに、ラーメン好きの間にも浸透しつつある。ウマズイめんくい村のおかしな一行は、会津若松市の郊外にある本店へポンコツ車をぷかぷか飛ばした。

           牛乳屋食堂① 
           牛乳屋食堂

時刻は午後1時過ぎ。GWということもあり、駐車場は混み合っていた。村長がこの店に来るのは十数年ぶり。三度ほど食べているが、麺が中太縮れ麺で、喜多方ラーメンに負けない旨さだった。ソースかつ丼や餃子も旨かった記憶がある。入り口で名前を書いて、10分ほどで、「赤羽さん」と呼ばれた。入ると、手前がテーブル席、奥が座敷になっていて、建て替えたのだろうか、以前より広くきれいになっていた。

           牛乳屋食堂② 
           人気のセットメニュー

メニューも合理的になっていた。村長はBセット「半カツ丼とラーメン1人前」(1100円)を選んだ。「半カツ丼」はむろんソースかつ丼。村民2号とキオは「牛乳屋ミニセット」(1000円)。麺は中太麵と極太麵(プラス50円)を選べる。昔は確か中太だったので、中太麵を選んだ。

          牛乳屋食堂④ 
          ラーメンと半ソースカツ丼
          牛乳屋食堂⑥ 
          中太麵

待ち時間は長めの17~8分ほど。まずはラーメンから。見た目は濃い醤油色で、キラキラと脂が浮いている。十数年前と同じ。ゴロッとした厚さのチャーシュー、メンマ、ナルト、海苔という構成。旨そうな匂いがドンブリから立ち上がっている。スープは豚骨よりも鶏がら感が出ていて、醤油の味が強め。中太麵は縮れていて、醤油スープがよく絡む。チャーシューは肩肉なのか、歯ごたえがあり、肉感に満ちている。だが、昔のような感動が湧いてこない。微妙に味が変わった気がした。これは果たして会津ラーメンの代表なのか。

          牛乳屋食堂10 
          いい揚がり具合
          牛乳屋食堂11 
          ソースだれの微妙

半カツ丼(ソース)も会津ではフツーの旨さで、「いとう食堂」のような感動がない。多分肩ロースのトンカツ3切れと下に敷かれたキャベツ、それにご飯はまずまずだが、秘伝という甘辛のソースだれの濃さがいささか気になった。濃い味好きにはいいかもしれないが。
「旨いけど、ソースがくどいわ。ご飯の中にまでかかり過ぎ。ちょっと残念」
村民2号とキオが、「ここはメチャ美味いぞ」と言って案内した村長をキッと睨んだのだった。


本日の大金言。

店が大きくなると、味も大きくなるのかもしれない。彼は昔の彼ならず。老舗の味を守り続けることのむずかしさ。





                       牛乳屋食堂13 

プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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