明治亭の元祖ソースかつ丼

何を隠そう、 信州に来た目的の一つが「駒ヶ根のソースかつ丼」を食べること。ソースかつ丼の4大メッカ、会津若松と桐生と福井は桂馬跳びで制覇しているが、元祖を言い張る駒ヶ根のソースかつ丼は未踏の世界。中でも、評価の高い「明治亭」のソースかつ丼を食べないことには話にならない。村長の沽券(こけん)にかかわる。大した沽券ではないが。

その「明治亭」が今年3月、軽井沢に店を出したという情報はすでにつかんでいた。駒ヶ根本店、中央アルプス登山口店に続く出店で、大雨にたたられたこともあって、急きょ、軽井沢ショッピングプラザ・味の街にポンコツ車を飛ばした。渋滞に巻き込まれて、正午過ぎに何とか到着。「駒ヶ根ソースかつ丼 明治亭」の看板と暖簾。ここも行列だった。

           明治亭② 
           待てば海路の日和あり?
           明治亭1 
        駒ヶ根ソースかつ丼の名店

15分ほどで仕切りのあるテーブルに案内される。メニューから定番の「ソースかつ丼」(国産ロースカツ200グラム 1340円)を選んだ。これが一番安いことに軽く驚く。会津若松の「いとう食堂」1200円、桐生の「志多美屋」1070円(6個入り)と比べてもかなり強気の設定。これだけ高いのだからまずかったら文句言ってやろっと。

           明治亭③ 
           強気の設定

12~3分ほどで着丼。みそ汁と漬け物が付いている。。漬け物が野沢菜でないことにやや失望。だが、主役の「ソースかつ丼」は黒塗りのドンブリの蓋から豚カツがはみ出ていた。蓋を取ると、ドンブリを覆うようにソースをくぐらせた圧倒的な豚カツの山。何というビジュアル。厚さは2センチほどだが、斜め切りされているのでより分厚く見える。数えてみたら5切れ。それがいい匂いを放って、ふんぞり返っていた。

           明治亭④ 
           蓋が閉まらない!
           明治亭
            蓋を取ると・・・ 
           明治亭⑤ 
           キャベツの圧倒

その下のキャベツの量が半端ではなかった。オーバーではなく2.5センチくらいの層。会津若松のソースかつ丼もキャベツが敷かれているが、これほどではない。ちなみに桐生と福井のソースかつ丼にはキャベツが敷かれていない。その下のご飯の量も多い。
「これはスゴイわ。駒ヶ根恐るべし、ね。問題は味だけど」
村民2号が食べ始めた。村長もドンブリの蓋に2切れほど移動して、食べ始める。しばし沈黙の時間。

肉の柔らかさが際立っている。脂身は少ない。やや甘めの特製ソースは、こんがり揚げられたコロモによく滲みこんでいて、肉の旨さをよく引き立てていた。会津若松「いとう食堂」の豚カツの厚さは3センチほどあり、それに比べると、衝撃度という点では落ちるが、肉の柔らかさという点ではこちらの方が上ではないか。だが、ご飯がよくない。信州の米はもっと美味いはずだが、どうしたことか。

          明治亭① 
          おおおっ
          明治亭⑥ 
          言葉はいらない
          明治亭⑧ 
          美味の断崖

「私が食べたソースかつ丼の中では一番美味いわ。もうお腹がパンパン」
「ここは豚カツの美味さに尽きるね。キャベツは量が驚きだけど、鮮度がイマイチかな」
「1340円はちょっと高いかな。半分くらいにしてくれてら、毎月来たいわ」
「・・・・・・」


本日の大金言。

ここ数年、ソースかつ丼が全国的に静かなブームになっている。元祖がどこなのか論争が続いている。村長は浅草だと思うのだが。



                        明治亭10
スポンサーサイト

標高1100メートルの「ガトーバスク」

「来る途中でいいカフェを見つけたのよ。そこ寄って行きましょ」
戸隠でそばを食べた帰り、バードラインの途中で村民2号が歌うように言った。何故か半音ズレテいる。こういう時は逆らってはいけない。一日にコーヒーを3杯飲まないと体調とアルファ波がおかしくなる。村長は仕方なく雨で緑が濃くなった樹林の先でポンコツ車を止めた。

          チェンバロ3 
          めっけ!

深緑の静寂の中に枕木の階段が伸びていた。その先に山荘のような一軒家。戸隠の喧騒が嘘のよう。「おいしいコーヒーあります」という文字が見えた。「カフェ チェンバロ」の文字。見ただけで只者ではない雰囲気が伝わってきた。村長は村民2号の美味いコーヒーを嗅ぎ付ける能力に舌を巻いた。

          チェンバロ2 
          天国へ8マイル
          チェンバロ1 
          ここはどこ?

調べてみたら、20年以上の歴史があり、オーガニックにこだわり、本格的なワインと料理も楽しめるカフェレストランで、夏の間だけ営業していることもわかった。天井が高く、ゆったりとした店内。グランドピアノがさり気なく置かれ、形の違うーブルが七つほど。午後2時近くだったためか、熟年のカップルが一組だけ。

          チェンバロ10 
          ガトーバスクって何?
          チェンバロ12 
          かなりのレベル

「あのう、コーヒーだけでもいいですか?」
B級の村長が恐るおそる聞いてしまうような雰囲気。
「はい、大丈夫ですよ」
オーナーらしい女主人が笑いながら答える。村民2号はすでに腰を下ろしかけていた。目尻が下がっている。

ここで食べた自家製「ガトーバスク」(540円)が実に美味だった。フランスとスペインの国境に位置するバスク地方の焼き菓子で、カスタードクリームをアーモンドのクッキー生地で包んで焼き上げたもの。見た目はアップルパイのよう。村長は当初スイートポテトが入っているとばかり思っていたが、作っているパティシエが「カスタードクリームとアーモンドクリームです」と説明してくれた。

          チェンバロ4 
          ガトーバスクの登場
          チェンバロ5 
          パティシエの腕前
          チェンバロ8 
          濃厚な歴史
          チェンバロ6 
          カスタードクリーム

添えてあったマスカットとブルーベリーは地場産のオーガニックもの。これもひと味違った。ブルーベリーは特に美味。
「私の目に狂いはなかったでしょ。めっけ、って感じ。コーヒーも美味しいし値段もリーズナブル。今度は料理も食べに来たいわ。8月いっぱいで今年は終わりらしいから、来年また来ましょ」
「来年はどうなっているかなあ」
「大丈夫よ。私はあと30年は持つから。村長だって1年は持つわよ」
「・・・・・・」


本日の大金言。

戸隠は蕎麦ばかりではない。標高1100メートルの本格スイーツの小世界。ガイドブックに頼らない探し方もある。




                      チェンバロ13 


「戸隠そばの最高峰」を食べに行く

 「村長はそばがお好きなようですが、信州戸隠そばについて書いたものを見たことがありません。ひょっとして行ったことがないのでしょうか? 戸隠まで行くのは大変ですが、やはり行くべきです。信用度の問題です」

           そばの実 
           戸隠の湧水(「そばの実」で)

蕎麦シンジケートの知人から、今年の春、かようなメールが入った。く、くやじい。思い出すたびにくやじい。コシ周りの環境が整った3日前、村長はついに「そば界の最高峰」の一つと言われる戸隠までポンコツ車を飛ばすことにした。村民2号が腰痛ベルトを持って助手席に陣取っている。「2泊3日信州食べまくりの旅」の幕開け、である。 

長野市内からバードラインを抜け、途中、七曲りと呼ばれる小腸のように曲がりくねった道を上って、約1時間ほど。戸隠神社中社にたどり着く。午前11時前。樹齢800年を超える見事な三本杉に圧倒されるが、観光客の予想外の多さにも圧倒されてしまった。目的の「うずら家」の前には開店したばかりだというのに、恐るべき大行列。「2時間ほど待っていただきます」と店の人。「地元の人は行かないですよ」(土産物店主)という声を聞いて、「うずら家」は諦めることにした。

            うずら家 
            「うずら家」は2時間待ち

中社から奥社へとさらに向かうことにした。その途中でもう一つの名店「そばの実」の看板を見つける。そば好きの間でも有名な店。ここは「待ち時間は20分ほどです」(女性スタッフ)。ここに決めた。戸隠には神社を中心に30軒ほどのそば屋があるが、自家製粉している店は意外と少ないそう。「そばの実」はその一軒で、毎日石臼でその日の分を挽いているという。

           そばの実① 
           もう一つの名店「そばの実」

一階の7人掛けのテーブルに案内される。店自体の歴史は27年ほどだが、大きな老舗料理屋のような雰囲気。「もりそば」がないので、メニューの中から、定番の「ざるそば」(860円)と「そばがき」(1080円)を頼むことにした。村民2号は「ざるそば」のみ。15分ほどで、「ざるそば」がやってきた。海苔がない。村民2号が「あれっ、ざるそばなのに海苔がない」と素っとん狂な声を上げる。「戸隠では昔から海苔がないんです」と女性スタッフ。

           そばの実③ 
           メニューは安くない
           そばの実⑤ 
           戸隠のざるそば
           そばの実⑥ 
           なめんなよ

ボッチ盛りという戸隠独特の盛り方がなされた戸隠そばは、グレーがかった茶色の見事な細切りそばで、挽きくるみの二八そば。ひと口でその美味さがわかった。風味といいのど越しといい、レベルが違った。「美味いわ。私がこれまで食べたそばでは一番美味いかもしれない。値段も高いけど」と村民2号。薬味は本わさび、辛み大根、刻みネギ。ツユは辛めでカツオ節の風味が強い。アラ探しを試みたが、値段以外は見つからない。そば湯の美味さも村長が食べた中でベスト3に入る。

          そばの実⑦ 
          コシ、歯ごたえ、風味文句なし
          そばの実10 
          うむむうむむ

続いてやってきたそばがきも柔らかい餅のような食感で、そばの風味が際立っていた。そばの甘みさえ感じた。こちらのツユはやや甘め。

          そばの実1 
          そばがき登場
          そばの実2 
          柔らかな至福
          そばの実4 
          ツユをかける

「何だか清流に打たれているみたいな気分になってきたわ。そばを食べててピュアな気持ちになるなんて、あまりない体験だわ
村民2号が感心したようにつぶやく。
「水がいいのもあるなあ。そば自体がいいことはもちろんだけど、ここの湧水はひと味違う。戸隠流の忍者や修験者も飲んだ水・・・来てよかったよ」
「村長も食べることばかり考えてないで、ここで二三年修行したら?」
手裏剣がチクリと飛んできた。


本日の大金言。

かつては秘境だった霊山戸隠も観光客が押し寄せる。人気店には行列ができる。それでも戸隠のそばは食べる価値がある。



                      そばの実6 



驚きの「氷あづき」と「むし鹿の子」

 首都圏は本日も猛暑日。あまり暑いので、とっておきのかき氷の極秘情報をお届けしよう。東京・日本橋茅場町から霊岸橋を渡って、永代通りを人形町方面へぶらぶら。すると、左手にそこだけセピア色の古い和菓子屋が視界に入ってくる。正確に言うと、10年ほど前の冬に来たことがある「御菓子處 田川堂」である。もうなくなったものとばかり思っていたので、村長は驚いた。そこだけ、明治が生き残っているよう。

           田川堂① 
       暖簾を守り続ける田川堂(中央区新川)

「あんみつ、ところてん、わらびもち」と手書きの墨文字が見えた。かき氷の旗も見える。開けっぱなしの造りで、暖簾の奥は打ち水がされたようにひんやりしていた。店内に入ると、たまたまなのか客はいない。和菓子が数種類置かれていて、「むし鹿の子 140円」がすぐに目に飛び込んだ。「むし鹿の子」とは珍しい。左手に仕切りがあり、甘味処になっていた。古いテーブルが4つほど置いてある。そこで「抹茶とお菓子」(400円)やかき氷が楽しめるようだ。

           田川堂12 
           珍しい「むし鹿の子」

村長が戸惑っていると、女将さんらしい女性が奥から出てきた。
「あのう、かき氷を食べたいのですが・・・」
「あっ、どうぞ」
テーブルに腰を下ろすと、さっと風が吹いてきた。さりげなく扇風機のスイッチを入れたことがわかった。その扇風機も古い。エアコンなどはない。あまりの情緒に村長は胸が熱くなった。まさかオスプレイが飛ぶ時代にかような店が残っているとは・・・。

           田川堂③ 
         タイムスリップの世界
           田川堂② 
           かき氷のメニュー

壁に張られたかき氷のメニューは少ない。「氷あづき」(400円)を頼むことにした。しばらくして氷を削る軽やかな音が聞こえ、冷たい水とともにお盆に乗って、「氷あづき」がやってきた。小ぶりのガラスの容器に粗めのかき氷。「昔から同じ作り方なんですよ」と女将さん。「もう100年以上になります。毎日細々と昔と同じ方法で和菓子を作ってるんですよ」。余分な飾りも無駄もない江戸しぐさが目の前にある。

           田川堂⑤ 
           明治のかき氷?

スプーンで氷を崩していくと、「あづき」が現れてきた。多分大納言小豆で、一粒一粒がつややかで、風味が際立っていた。つぶしあんではない。甘露水はきれいな甘さで、粗めのかき氷とふくよかな大納言小豆がいいバランス。明治、大正、昭和のよきかき氷って、多分こういうものだったんだろうな、と思わせるに十分だった。東京のど真ん中にかような店がまだ残っていたとは・・・村長にとっては一つの発見でもあった。 

          田川堂⑧ 
          あづきが現れた
          田川堂⑨ 
          飛び込みたい
          田川堂10 
          際立つ小豆

気になっていた「むし鹿の子」を手土産に、外に出ると、むわっとした暑さに包まれた。原発、広島の土砂災害、オスプレイ・・・日本はどうなっているのか、どうなっていくのか、セピア色の「田川堂」が問いかけている気がした。「むし鹿の子」は平べったい形の珍しいものだった。田川堂の昔からのもの。三温糖が入っているような、どこか懐かしい手づくりの美味だった。

          田川堂13 
          これが「むし鹿の子」
          田川堂15 
          田川堂独自のもの


本日の大金言。

本物は何も足さず、何も引かない。鉋(かんな)を削るようにそれを長年続けるのは、過剰な宣伝に頼るよりも大事なことだと思う。





                   田川堂11

「焼きあご冷やしラーメン」って何?

 午後からお江戸でサングラス編集長と打ち合わせ。茅場町駅で下りて、炎天下、汗だくになって歩く。まだ正午前。約束の時間には少々時間がある。どこか美味い店に入って、昼飯を済ませようと考えた。この辺りは証券会社が多く、それ故に、美味い店が多い。「どこかいい店はないかいな」と八丁堀方面へふらふら歩いていると、「期間限定 焼きあご冷やしらーめん(850円)」のメニューが視界に入った。

           由丸 
                         炎天下の彷徨
           由丸② 
           フーアーユー?

「焼きあご冷やしらーめん」って何だ? そんなもの聞いたことがない。村長の好奇心がグググと刺激された。「博多らーめん 由丸(よしまる)」の看板と暖簾。お客が結構入っている。850円は安くはないが、場所柄仕方がない。「冷やしラーメン」は山形を旅行した時に食べたが、この店は博多ラーメン。当たりかハズレか。好奇心が村長の自制心に打ち勝った。

           由丸① 
           よし、マルとなるか?

店内はカウンター席とテーブル席。調べてみたら、都内を中心に13店舗ほど展開する博多ラーメンの店だった。その茅場町店。ここは午前中(11時~12時)は替え玉が無料で、正午前に客が多い理由がわかった。カウンターに座って「焼きあご冷やしらーめん」(850円)を頼んだ。「あご」とはトビウオのことで、今が旬。北九州などでは美味い魚として人気がある。

15分ほど待たされて、「焼きあご冷やしらーめん」がやってきた。ドンブリはフツーのラーメンどんぶりで、持った瞬間、冷たさが伝わってきた。鶏のチャーシューがごろっと4つほど。それに煮卵、メンマ、ナルト、小松菜、刻みネギ、海苔が色鮮やかに浮かんでいた。スープは透明で、キラキラと脂が浮いている。氷も2~3個浮かんでいた。ポエム!

           由丸⑤ 
        焼きあご冷やしラーメン、登場!
           由丸⑦ 
           鶏チャーシュー

「あれっ、焼きあごがない。どこに泳いでいるの?」
村長が店のスタッフに聞くと、「出汁に使っているんですよ」とややあきれ気味なお答え。

村長はレンゲでそのスープをひと口。これが焼きあごなのだろう、カツオとも豚骨とも違う、ややくせのある魚のまろやかな出汁が口中に広がった。すっきりした旨味。悪くない。博多の細麺をズズズとすする。麺は黄色みが強く、博多ラーメン特有の固めでゴワゴワした食感。黄色みが強いのはこのメニューのためにアレンジしたに違いない。冷たい美味。

           由丸⑧ 
           焼きあごの出汁スープ
           由丸⑥ 
           細麺の固さは選べる
            由丸10 
          氷の世界
鶏のチャーシュー、メンマ、煮卵も冷たさの中で健闘している。飛び切りの美味さではないが、まずまずの美味さ。物珍しさと暑さ対策。山形の冷やしラーメンにも通じることだが、味わいがやや単調になるきらいがある。冷やしラーメンはまだまだ未知の分野で、ここに西洋料理のシェフが入ってきたら、面白くなるのではないか。冷やしラーメンの未来。

村長が東京・三鷹に住んでいた頃、あるビストロが冷やしラーメンをメニューにしたことがある。ブイヨンをベースにしたその味は絶品だった。あれ以上の冷やしラーメンに出会ったことはない。残念なことだが、その店は今はない。


本日の大金言。

都内にもいくつか冷やしラーメンを食べさせる店がある。冷やしかつ丼があるくらいだから、夏の新しい定番として、これからもっと美味い店が出てくることを期待したい。



                                                            由丸11

限定かき氷「スペシャルいちごミルク」

 あまり暑いので、「忍城」近くの「かねつき堂」でかき氷を食べることにした。ここはゼリーフライの美味い店として知る人ぞ知る店だが、夏はかき氷の人気店でもある。埼玉・行田市は忍城の城下町だが、古くは足袋(たび)の街として栄えていた。その歴史が街並みにも残っている。川越ほどではないが、蔵造りの小ジャレタ店も結構ある。

           かねつき堂10 
           鐘が鳴るか?

「かねつき堂」も忍城の鐘楼をそのまま移築して、それを店のシンボルにしている。往時をしのびながら、「かねつき堂」でかき氷。案外イケるかもしれない。村長はいい雰囲気の暖簾をくぐる。午後3時を過ぎていたためか、お客は一組だけだった。右手が小上がりになっていて、テーブルが4つほど。村長はそこに陣取って、壁に張られたかき氷のメニューを見た。全部で25~30種類ほど。

           かねつき堂① 
           庶民的な店構え

氷イチゴ330円、氷ミルク380円、氷あずき450円・・・一番高いのが氷宇治金時ミルク600円。どれにしようか迷っていると、「数量限定 スペシャルいちごミルク」(600円)が写真入りで村長の目を捕らえた。数量限定だとお? 店のおばさんスタッフに聞くと、「まだありますよ」というお返事。「生のいちごを使ったシロップなんですよ」とか。うーむ。数量限定の割にはこの時間まで残っているのが不思議だが、ひょっとしてカネ三つものかもしれない。あるいはカネ一つ?

           かねつき堂② 
           数量限定に目が行く

カシャカシャカシャという氷を削る音が聞こえ、そのしばらく後、お盆に乗って「スペシャルいちごミルク」がやってきた。富士山のような裾野の広いかき氷で、なぜかガラスの器の下に布巾が敷いてあった。頂上から練乳が白雲のようにかなり多めにかかっていた。その下にはいちごソースがこれまた多めにかかっている。その自然な色。粒つぶが目立つ。だが、生のいちごが乗っかった姿を想像していたので、少々肩すかし。

           かねつき堂④ 
           絶景かなあ~

久喜市菖蒲のかき氷の行列店「雪みるく」の「生いちごミルク」も600円だが、生のいちごがドドドと乗っている。それに比べると、見た目の衝撃度は薄い。だが、ここには鐘楼がある。風情がある。村長は気を取り直して、スプーンでひとすくい。氷は柔らかい。天然氷か?雪というかみぞれのような柔らかさで、食感としては悪くない。練乳の多さが好感。

           かねつき堂⑦ 
           中身が違いまっせ
           かねつき堂⑤ 
           練乳がたっぷり
           かねつき堂⑧ 
           氷の柔らかさ

たっぷり入ったいちごソースはまるでジャムを食べてるような美味さ。練乳との相性がとてもいい。余韻を楽しみながら聞いてみると、氷は普通の氷で、いちごソースも自家製ではなく仕入れているそう。ここはやはりゼリーフライの店で、ゼリーフライとセットでかき氷を食べるのがいい。食べ終わると、カネ二つの心境だった。女将は面白いし、雰囲気もいい。ああ惜しい。500円ならカネ三つなのだが・・・。


本日の大金言。

かき氷の値段は不思議だ。ベラボーに高いか、フツーか、安いか。その値付けの根拠がわからない。日本の庶民の夏の定番としては、500円以内に納めてもらいたいが。





                       かねつき堂⑨ 

「のぼうの街」のさぬきうどん

 「のぼうの城」で有名になった埼玉・行田市は村長の好きな街の一つ。うどん戦国地図があるとしたら、このあたりは武蔵野うどんの勢力圏だが、行田市役所前に気になるうどん屋がある。木造りのしゃれた外観。「うどん」と大きく書かれた白いノレンが下がっている。よく見ると「大地」という店名で、右側に「あなたは、ぶっかけ派? それとも、生醤油派?」というクイズ番組みたいなキャッチコピーが書かれている。

           大地① 
          気になるうどん屋

店が醸し出す雰囲気から、村長はここはさぬきうどんの店ではないか、と推測した。中の様子を窺うと、客が5~6組ほど。午後2時過ぎでまずまずの混み具合。これは期待できるかもしれない。店内は長い両面のカウンター席があり、その奥にはテーブル席が3つほど。スタッフは男性2人と女性2人。村長はカウンター席に座り、メニューを見る。やはり、基本はさぬきうどんで、「ぶっかけ、かけ、生醤油、ざる」の4種類の中から選ばなければならない。

           大地③ 
           メニューは複雑

村長は生醤油を選んで、「ちく玉天」(税込み886円)にした。ちくわ天2個と半熟たまご天1個のセットで、「うどんは冷たい方」と頼んだ。並で300グラム。はなまるや丸亀製麺のようなセルフではないし、値段も安くはない。強いて言うと、今東京・人形町で人気のさぬきうどん屋「谷や」と同じスタイル。素材に対するこだわりが半端ではない点も似ている。

さぬきは茹で上げるのに時間がかかる。15分ほど待って、砥部焼き(?)の深い器に盛られたうどんと「ちく玉天」がお盆に乗ってやってきた。
「生醤油をひと回り半かけてください。生醤油は香川から老舗のものを取り寄せてます」
女性スタッフが丁寧に説明してくれる。見た目はどう見てもさぬきだが、「小麦は香川産と北海道産、それにオーストラリア産をブレンドしている」とかで、「純粋にさぬきうどんではないんです。いわばオリジナルうどんです」とおっしゃる。

           大地④ 
           生醤油うどんとちく玉天
           大地⑤ 
         どう見てもさぬきだが・・・
           大地⑥ 
          ちくわ天と半熟たまご天

うどんはさぬきよりもやや細いが、コシといいもっちり感といい、ノド越しといい上質なさぬきそのもの。村長はふた回りほど生醤油をかけ、大根おろしと分葱とともにかき混ぜる。これが美味だった。生醤油はあの丸尾醤油のもので、イリコの出汁が沁み渡っているようで、旨味がひと味違った。もちっとしたうどんによく絡む。

           大地⑦ 
          こだわりの生醤油を・・・
           大地⑧ 
         ま、まずはズズッと
           大地⑨ 
           生醤油をたらーり

ちくわ天は小ぶりで、もう少し大きい方がいいと思うが、カラリと揚げられていて、チェーン店のものよりも美味い。半熟たまご天は半熟というより三分の二熟だったが、こちらも「谷や」のものとそう遜色はなかった。抹茶塩やカレー塩などさまざまな味も楽しめる。全体として北埼玉で本格的なさぬきうどんを楽しめる店だと思う。だが、いかんせん価格設定が高いと思う。もう少し安いメニューを工夫すれば、のぼう様も喜ぶし、ウマズイめんくい村の村民も踊ると思うのだが。


本日の大金言。

高くて美味いより安くて美味い。うどん戦国時代でも、生き残るのは多分、そこを見極めた職人技だと思う。





                      大地15

北千住中華屋の「冷し担担麺」

 秘密ペンクラブの打ち合わせの後、北千住で途中下車。「ゆうらいく」でジャズでも聞こうかと覗いてみると、「本日はお休みです」のお知らせ。お盆だから仕方がない。村長は軌道変更。東口に出て、美味い冷やし中華の店を探すことにした。粘りつくような夏の夜は冷し中華か冷やしたぬきに限る。

だが、今どきのラーメン屋には何故かちゃんとした冷やし中華が少ない。つけ麺ばかり。そうだ、「珍来」がある。東武スカイツリーライン(東武日光・伊勢崎線)で「珍来」を知らない奴はモグリだ、という噂があるほどの古い中華屋。草加や梅島、さらには近隣に店舗を増やしている。北千住店もその一つ。夜風に吹かれながら、村長は学園通りの「珍来」を目指した。

           珍来① 
           中華屋の冷やし中華
           珍来② 
           冷し担担麺!

裏さびれたネオンが心地いい。入り口で「冷し中華」と「冷し担担麺」のメニューに出くわす。ここで迷ってしまった。冷し担担麺のお姿にそそられてしまったからだ。奥のテーブル席に座って、「冷し担担麺」(850円)を頼むことにした。名物の餃子も付けようかと思ったが、予算の関係で我慢。

12~3分ほどで、ガラスの器に盛られた「冷し担担麺」が登場。千切りされたキュウリ、ナルト、錦糸卵、それにトマト。その真ん中頂上に辛味噌肉がどっかと乗っかっていた。タレはごま味噌ダレで、それが冷たい重厚な美味を予感させた。まずはひと口。麺は中太縮れ麺で、黄色みが強い。その麵が村長にはドンピシャだった。ゴワゴワとした歯触りの多加水麺で、「珍来」のオリジナル麺。それが辛みのあるごま味噌ダレによく絡む。酢の酸味も潜んでいる。濃いが美味。

           珍来④  
           当たりか?
           珍来⑤ 
           ハズレか?
           珍来⑥ 
           見る前に食え
           珍来⑧ 
           オリジナル麵の実力
           珍来⑨ 
           辛味噌肉の実力

キュウリ、錦糸卵、ナルトがややもすると濃厚な辛みを和らげる。麺を辛味噌肉とともに口中に運ぶと、冷たい至福感が広がる。「珍来」で「冷し担担麺」を食べるのは初めてだが、この満艦飾のような中華屋の実力を改めて知った気分。今どきのラーメン屋にはない、街の中華屋の料理人のワザ。あと100円安くしてくれたら、文句なし。何故かツマヨウジをくわえたくなる。大いなる満足感とともに外に出ると、ディープな毎日通り飲食店街へと自然に足が向かった。


本日の大金言。

メディアが伝える今どきのラーメン屋がすべてではない。古い、昔からある中華屋のラーメンに絶品が潜んでいることもある。



                          珍来10

続きを読む

ガガ公演後のアサイーボウル

 レディー・ガガのライブを見に、海浜幕張のQVCマリンフィールドに行く。花のお江戸で修業中のキオが奇跡的にチケットをゲット、その2日目の公演。ポップスが苦手な村民2号はウマズイめんくい村でお留守番。ニューアルバム「アートポップ」を引っ提げてのワールドツアーの一環で、日本公演は2日間のみ。村長は何を隠そう、レディー・ガガの熱烈なファンである。2008年にアルバム「ザ・フェイム」が出たときは、その才能に久しぶりに血が沸き立ったほど。

           ガガ⑥ 
      レディー・ガガのチケットを手に(東京駅)
           ガガ⑦ 
        リトルモンスターたち (QVCマリンフィールド)

サプライズで前座に「ももクロ」が登場すると、3万5000人の観衆が一斉に立ち上がった。キオも立ち上がる。村長は座ったまま。つい田中マー君のことが気になった。午後4時開場で、ガガが登場したのはその3時間後の午後7時だった。小雨が止み、辺りはすっかり暗くなっていた。ガガが「ビーナス」で登場した瞬間、すべてが一変した。アートレイブ。「アートポップ」を中心に、ガガが作り出す世界に3万5000人が揺れ動く。村長は1時間30分、立ちっぱなし。ぎっくり腰であることも忘れてしまった。

          ガガ⑤ 
          前座のサプライズ、ももクロ登場
          ガガ10 
          ついにレディー・ガガが登場(午後7時)
          ガガ③ 
          巨大なディスコと化した

ガガのライブには口パクの噂もあるが、初めて生で見て、それが嘘だったことがわかった。圧倒的な地声の素晴らしさ、観客を楽しませる術、なるほどこれが世界一流のエンターテナーというものか、という内容だった。アンコールが終わると、8時半を過ぎていた。海浜幕張駅は大混雑。村長は夢から覚めたように、そこで初めてパン屋&カフェ「デリフランス」が目に入った。即決、中で休むことにした。

          ガガ⑨ 
          ガガ後の一服

「アサイーボウル(680円)があるよ。ガガを見た後のアサイーボウルもいいかも」
キオがめざとく提案。安くはないが、村長も乗ることにした。全身を包み込んでいる心地よい疲れ。
アサイーボウルは、ブラジル原産のヤシ科の植物の実をペーストにして、それに数種類の果物を乗せたもの。ブラジルからハワイに飛び火してブームとなり、今では日本にもその波が押し寄せている。アサイーはポリフェノールの含有量がブルーベリーの18倍といわれ、疲労回復にも効果があるとされている。

          アサイーボウル① 
          アサイーボウル

デリフランスのアサイーボウルは、アサイーに牛乳とバナナを加えて、ミキサーにかけたもの。茶色っぽい紫色のどろりとしたアサイーペーストの上にマンゴー、ブルーべりー、輪切りにしたバナナ、干しブドウが乗り、フルーツグラノーラがパラパラとかかっていた。カスピ海ヨーグルトのようなものも生クリームのように乗っかっていた。

          アサイーボウル② 
          疲労回復なるか?
          アサイーボウル⑤ 
          パラダイス?
          アサイーボウル⑥ 
          アサイーの深み

「甘酸っぱいけど、酸味があまりない。甘く作られていて、食べやすい。今日はマンゴーだけど、イチゴの時もあるらしい。イチゴの方が酸味があって、バランス的にはいいかもね」
キオが分析する。
「レディー・ガガの感動が大きすぎて、アサイーボウルも小さく見えるね。ガガ様には敵わない
「人気が下がってきているけど、今日のライブでガガはやっぱりガガ。帰ったら、アートポップを聞こうっと。ごちそう様、村長様」
「・・・・・・・」


本日の大金言。

いい音楽は心を解放する。ライブの醍醐味はさらに全身を解放する。一生に一度あるかないかのレディー・ガガの夜。じっと手を見る。






                ガガ④ 





お盆に謎の石臼挽きもりそば

「お盆くらい、質素におそばでも食べたいな」
村民2号がテレビから流れる帰省ラッシュの渋滞ニュースを見ながらつぶやいた。このところ、ウマズイめんくい村の財政事情が急激に悪化している原因が村長の浪費であることをチクリと皮肉っているのは間違いない。村長は返す言葉がない。だが、返す悪知恵はある。

「じゃあ、こうしよう。農協食堂でランチしよう。安いそばもある。農協食堂は親戚みたいなものだ」
食べ歩きが三度の飯よりも好きな村長が、苦肉の提案をした。
「村長のおごりということならオーケーよ」
悪知恵がきれいに返された。

           農協食堂 
           お盆はそばに限る

その1時間半後、青いポンコツ車が埼玉・久喜市菖蒲の「農協食堂」前で止まった。「農協食堂」はJA南彩直営の食堂で、自家製手打ちうどんとそばの人気が高い。以前、ここの「熟成梨入りカレー」を紹介したこともある。お盆とあって券売機の前は行列ができていた。村長は石臼挽きの「もりそば」(並570円)と「かき揚げ」(100円)を頼むことにした。村民2号はなぜか「熟成梨入りカレー」を頼んだ。

          農協食堂②   
          行列の時間
          農協食堂③ 
          農協食堂のそば

ここのそばは長野県青木村のそば粉を使用した本格的なもの。打ち場が左手にあり、そこで二人のスタッフがうどんを打っている最中だった。広い食堂は帰省客やら常連客やらでごった返している。20分ほど待たされて、村民2号がいらいらし始めた。その直後、番号が呼ばれ、お盆に乗って「もりそば」とかき揚げがやってきた。「熟成梨入りカレー」がやってきたのはその5分後。ぎりぎりセーフ?

          農協食堂⑤ 
          打ち立て茹で立て
          農協食堂⑥ 
          信州の田舎そば

もりそばは挽きくるみで、黒い星が点々としていた。見事な、まるで機械で打ったような手打ちそばで、並なのにボリュームがすごい。かき揚げは揚げ立て。そばはボソッとしていて、田舎そばそのもの。コシもそれなりにあるが、カツオと昆布の出汁がよく効いたそばつゆに付けて口に運ぶと、村に里帰りしたような気分になった。二八というより三七か。つなぎは多分小麦粉だろう。美味いには美味いが、ボリュームがあり過ぎて、次第に飽きてきそうになった。

          農協食堂⑦ 
          風味もまずまず
          農協食堂⑧ 
          そばつゆの美味
          農協食堂10  
          揚げ立てかき揚げ

かき揚げはタマネギと人参だけ。それでもカラッと揚がられていて、そばつゆを付けて食べると、いい箸休めになる。村民2号がボリュームのある「熟成梨入りカレー」と格闘していた。こちらも凄いボリューム。村長は何とか食べ終えて、打ち場をのぞきに行った。うどんを打ってはいるが、そばを打っている気配がない。

そばは手打ちなのか? 気になって、食堂のスタッフに聞いてみた。
「ええ、手打ちですよ。奥の方で打ってるんですよ」
たまたまなのか、そばを打っている姿はついに見れなかった。そば打ちの妙技は簡単には見せないということか。
「打ってるにきまってるでしょ。スゴイ技なのよ。あれだけきれいに揃ったそばは滅多にないわよ。私もそばにすればよかったわ」
熟成梨入りカレーをすっかり食べ終えた村民2号がお腹をポンとたたいた。


本日の大金言。

農協食堂の凄さは質より量にあり。そば湯が置いていないのも、「たらふく食ったら、お次の方」という実用主義なのかもしれない。それもまたよし、としよう。














                     農協食堂11

イモ洗いのソフトクリーム考

 「村長、ソフトクリームをお忘れですか? かき氷がキングなら、ソフトクリームこそ日本の夏のスイーツの女王です。かき氷ばかり取り上げないで、たまにはソフトクリームをお願いします。ソフトクリームさんがいじけちゃいます」
スイーツ好きのガールフレンドから、かようなメールが入ってしまった。村長はこの手のメールに弱い。仕方がない。お盆ということもあるので、取って置きのソフトクリームをご紹介しよう。

東京・有楽町「交通会館」1階の「北海道どさんこプラザ」のソフトクリームである。村長はエンターテインメント新聞社時代から、仕事の合い間を縫ってはここでソフトクリームを食べていた。いつの間にか人気スポットとなり、都内でも女性が群がる場所として、メディアの徹底マークがつく場所になってしまった。ホンマかいな。

           どさんこプラザ① 
      北海道どさんこプラザの夏(東京・有楽町「交通会館」)

久しぶりに江戸に出張したついでに、「北海道どさんこプラザ」でソフトクリームを味わうことにした。驚いたことに入り口の通路までソフトクリーム片手の女性がたむろしていた。食べるスペースが狭いためにかような事態になる。北海道のさわやかな風を味わうはずが、とんだイモ洗いになりかねない。だが、そのイモ洗い状態の中で味わうソフトクリームというのも案外オツかもしれない。

ソフトクリームのメニューは3種類しかない。「バニラ」(360円)、「夕張メロン」(390円)、「メロンミックス」(390円)。決して安くない。「最近はどれが人気なの?」女性スタッフに尋ねると、「一番人気はメロンミックスですね。両方楽しめますから」というお返事。「じゃあ、それ」と村長。ちなみに村長はここでは「バニラ」しか食べたことはない。北海道のトンデンファームから空輸しているという牛乳を使っていて、「甘さを一般のソフトの半分に抑えて」いるとか。確かにひと味違う美味さではある。

           どさんこプラザ② 
           値段の不思議

今回は「メロンミックス」。バニラより30円も高い。なぜ10円でもなく20円でもなく30円なのか、実に不思議であるが、この際、その疑問は置いておく。通路で食べるのも何なので、イモ洗い状態の狭いイートインコーナーで味わうことにした。考えようによってはポエムな状況。バニラと夕張メロンが半々のソフトクリームは、見事な螺旋(らせん)のボディーで屹立していた。確かに女王様!ここはコーンのみの販売だが、そのコーンもパリッとしていて見事である。

           どさんこプラザ③ 
           ソフトクリームの女王?
           どさんこプラザ⑤ 
           ひとナメいかが?
           どさんこプラザ 
           大人の楽しみ

まずはひと口ペロリ。このペロリこそソフトクリームの楽しみの醍醐味で、大人が堂々とこの手の食べ方を楽しめるのは、ソフトクリームしかないのではないか? なめらかな中にざらっとした感触。同時に夕張メロンの香りが口中から鼻腔へと広がった。夕張メロンの果汁を入れているらしい。 

           どさんこプラザ⑦ 
           コーンも美味
           どさんこプラザ⑨ 
           幸せの終わり

だが、夕張メロンの存在が強すぎて、バニラのあのすばらしい風味を味わうことができない。しまった。村長は「バニラ」にしなかったことを後悔した。コーンの奥までメロンミックスが入っていた。それはそれで素晴らしい。だが、二兎を追うものは一兎も得ずということわざもある。村長は「メロンミックス」がここの人気ナンバーワンであることに、2014年夏の日本女性が二兎を追っていることを知った。一兎で行くか、二兎を追うか。


本日の大金言。

かつて人気急上昇中だった鳩山由紀夫を称して、中曽根大勲位が「ソフトクリームみたいなもの」と比喩したことがある。確かにその後を見ると民主党も鳩山さんもあっという間に溶けてしまった。慧眼と言わざるを得ないが、ソフトクリームの立場から言わせてもらうと、「一緒にしないでよ」とも言いたくなる。美味いソフトクリームは記憶に残る。




                           どさんこプラザ11 






続きを読む

流行を追わない氷宇治金時

 「メンマル」で420円冷やし中華を食べた村長は、ひさご通りをぶらぶら。このまま「徳太楼」にでも行って、デザートにきんつばでも買おうかと算段していると、前方にかき氷の旗がひらひら見えた。道中で絶世の美女に出会ってしまった気分。知る人ぞ知る「甘味処 初音茶屋」である。足が勝手に動く。甘味中毒者の悲しいサガ。

           初音茶屋① 
           この佇まい(ひさご通り)

初音茶屋は戦後創業の甘味屋で、原浅草の匂いを残している。店構えはシンプルで、チャラチャラしていない。テレビで取り上げられるような過剰な宣伝も見当たらない。かき氷の旗がなければ本当に中でかき氷を売っているのかさえわからない。本物の東京の下町はこうでなくっちゃ。外面より中身。村長はすぐに飛び込んだ。

店内はカウンター席とテーブル席が5つほど。ちょうどいい広さで、女性客があちこちでかき氷を食べていた。目の前に冷たい薄茶がサッと出された。年季の入った女将と主人が二人で切り盛りしている。村長は「氷宇治金時」(600円)を頼むことにした。あちこちから「美味いわねえ」という溜息のような声が漏れてくる。ひょっとして桜かな、とも疑ったが、どうやらそうではない。

           初音茶屋1 
           昔の浅草の匂い
           初音茶屋② 
           迷うところ

カウンターの向こう側で主人がかき氷をかき始める。7~8分ほどでお盆に乗った「氷宇治金時」がやってきた。どっしりとした正統派のガラスの器に富士山のようなかき氷がゆったりと広がっていた。ひと目でそのかき氷のきめ細かさがわかった。氷というより雪のようなふわり感。宇治抹茶のシロップが頂上付近から広がっている。その自然な色。

           初音茶屋③ 
           氷宇治金時さま

スプーンでひと口。抹茶シロップは多分自家製で、抹茶の自然な苦みと甘いシロップがほどよく溶け合っていた。ふんわりした、湿気の多い、柔らかな氷だった。女将に「これ、天然氷?」と聞いてみた。「いえ、うちはそんなものは使っていませんよ。いつもの氷屋の氷です。ただ、それを一反保冷器に入れて、すこし温度を下げてから削るんです。だから、柔らかいんですよ」。うむむ。そんなやり方があるとは。「昔からの東京のやり方なんですよ。かき氷とフラッペは違うんですよ」。やられた。

           初音茶屋⑤  
           柔らかい雪氷
           初音茶屋⑧ 
           抹茶シロップ
           初音茶屋⑥ 
           煮小豆が見えてきた

雪のようなかき氷を崩していく。すると、底の方から金時小豆の姿が見えてきた。これがまた不思議だった。見慣れたつぶしあんではなく、まるで煮小豆のように一粒一粒独立していた。そのふっくらとしたつややかな姿。口に運ぶと、甘さを抑えたいい小豆の冷たい風味が広がった。氷あずきでは初めての食感。きれいな食感。

           初音茶屋⑨ 
           およしになって~
           初音茶屋⑦ 
           つぶさない

「うちは小豆をつぶさないんです。こしあんとは別に作るんですよ」
女将がそう説明してくれたが、つぶしあん好きの村長としては、やや物足りなさも残る。だが、このやり方を昔からずっとやり続けていることに敬意を表することにした。お腹に溜まらないすっきりとしたいいかき氷だと思う。値段も虎屋のようにベラボーではない。浅草の本物のかき氷を食べ終えると、遠くで物売りの声が聞こえた気がした。江戸家猫八はどうしているか、気になった。


本日の大金言。

何も足さず何も引かず。本物はさり気ない。だからこそ食べる側の見分ける能力が試される。




                      初音茶屋11 


まさかの冷やし中華、ディープな浅草

 久しぶりに浅草へ。浅草寺でお参りをした後、以前から目を付けていた激安ラーメン屋で遅いランチを取ることにした。浅草はB級グルメの街でもある。以前、「ら麺亭」の驚異のワンタンメンをご紹介したが、もう一軒、驚異のラーメン屋がある。ひさご通りの「らぁめん メンマル」である。「ら麺亭」のラーメンは330円だが、こちらは320円! しかもフツーに美味い。

           浅草寺2 
           まずは浅草寺
           浅草寺1 
           暑いのでついでに・・・

あんまり暑いので、今回ご紹介するのは「冷やし中華」である。映画館や寄席がある浅草六区、ホッピー通りとほとんど隣接したひさご通りは村長の好きな場所。その入り口。「メンマル」の大きな屋号が見え、「四二〇円冷し中華」の表記が嫌でも目に入る。半分露店のようなカウンターだけの世界。420円はフツーはあり得ない。あの激安ラーメンチェーン「幸楽苑」でさえ、529円(税込)である。チェーン店ならいざ知らず、単独店でこの値段は驚きである。

          メンマル2 
          ディープな浅草
          メンマル  
          向こう側とこちら側

7席ほどのカウンターに座って、「冷やし中華」(420円)を頼んだ。お客は他に男性客2人と、いかにも下町のオヤジ、それに若い女性客2人組。世の中の酸いも甘いも噛みしめたような男性スタッフが慣れた手つきで麺を茹で上げ、それを冷水で締めて、具を盛り、「はい」と村長の前に置く。時間にして10分程度。

           メンマル④ 
           ホントに420円? 

透明なガラスの容器に入った涼やかな「冷やし中華」は、錦糸卵、キュウリ、ハム、ワカメがいい分量で鎮座していた。端っこに和辛子がチョコン。紅ショウガもなければナルトもない。トマトやチャーシューやゆで卵もない。東京ラーメンの冷やし中華の原形を見る思い。その小ざっぱり感が「これ以上、何が必要なんだい?」と問いかけるよう。

           メンマル⑥ 
           手抜きがない

麺は東京ラーメンの細縮れ麺で、コシとモチモチ感がほどよい。タレは鶏がらスープと酢醤油のバランスがいい。余分な甘さがないのが好感。その旨味が細縮れ麺によく絡む。錦糸卵もキュウリもハムも正統派で、見た目の愛想よりも、中身で勝負しようぜ、の世界。先日、「博多天神」新橋店の冷やし中華(400円)をご紹介したが、博多ラーメンと東京ラーメンの違いはあるが、こうした心意気を感じる店がまだ残っていることに感動すら覚える。

           メンマル⑦ 
           東京の冷やし中華
           マンメル3 
            細麺のワザ

「店はオープンしてどのくらいになりますかねえ」
「10年、いや14年くらい経ってるな」
「この値段でよくやってますね」
「4月の消費税アップの前はラーメンは290円でやってたけど、ちょっと上げざるを得なくなってしまった。ウチは製麺もやってるから、何とかこの値段でやってけるんだよ」

ポツリポツリ男性スタッフと雑談していると、競馬でスッテしまったという常連らしいオヤジが、「ビールと餃子」を頼んだ。外はまだ明るい。レオナルド熊さんみたいなオヤジがリアルに生息している。東京スカイツリーの浅草ではない、ディープな浅草。村長もついビールを頼んだ。


本日の大金言。

浅草は奥が深い。観光化された場所から裏通りに入ると、案外、いい店に出会う。宣伝ばかりのガイドブックを捨て、たまには自分の足で路地裏に入るのもいい。




                       メンマル1

湯島の限定10食「氷あんず」

東京でも 上野から湯島にかけては老舗のいい甘味屋が多い。村長は昔、すぐ近くの池之端に親戚があり、そこで下宿していたこともある。そのため、時々ふらりとこの界隈を歩きたくなる。新橋での会合の後、甘味中毒者の本能が目覚めてしまい、「みはし」であんみつでも食べようか、それとも「みつばち」で氷あずきでも食べようか、あれこれ考えていると、ふと「つる瀬」が視界に入った。猛暑の夕涼み。

           つる瀬3  
           夕暮れの湯島(甘味処「つる瀬」)
           つる瀬1 
           むむむ

「つる瀬」も昭和5年(1930年)創業の甘味屋で、10年ほど前に一度入ったことがあるくらいで、馴染みではない。ここでかき氷でも食べて、火照った体を冷やすのも悪くはない。夕方だったので客が一人しかいなかった。「みはし」や「みつばち」ほど混んでいないのも気に入った。江戸前の、感じのいい女性店員が冷たいお茶を持ってきた。上野に来ているという実感が全身を包み込む。

ふと、「限定十食 氷あんず 630円」の張り紙が目に飛び込んできた。むむむ。「氷あんず」は以前、人形町の甘味屋「初音」で食べ損ねたもので(その時は「白玉氷あずき」を食べた)、その心残りが記憶から目を覚まして脳内に広がった。聞いてみると、「まだ大丈夫です」とのお返事。即決。

          つる瀬② 
          ん?限定10食だって?

東京で氷あんずの評価が高いのは人形町「初音」、「虎屋茶寮」赤坂本店、神楽坂「紀の膳」あたりだろうか。それらは最低でも700円はする。虎屋茶寮などは1200円近くもする。「つる瀬」の氷あんずは当たりかもしれない。7~8分ほどで、「氷あんず」がやってきた。ガラスの透明な器にかき氷が白くそびえ立っていた。

          つる瀬③ 
          お待ちしておりました
          つる瀬④ 
          上ではなく下

氷あんずは初音にしても虎屋にしても紀の膳にしても外側にあんずが乗っかっていて、さらにシロップも上からかかっている。だが、この店は違った。外側には削った氷だけ。「うちはあんずにしてもシロップにしても下に入ってるんです。珍しいとよく言われます」と江戸前娘。氷はきめ細かくもなく粗くもない。ふわっともしていない。ざらっとしたほどよい感触で、冷たさがじんわりとくる。猛暑にはいいかもしれない。 

          つる瀬⑥ 
          あんずソース
          つる瀬⑦ 
          濃厚な甘酸っぱさ

ステンレスのスプーンで氷を掬い取っていくと、とろりとしたあんずソースが広がっていた。その甘酸っぱい風味が美味。どこか初恋の味に重なる。かき氷と甘露水とあんずソースが脳内のどこかを刺激する。予想外のそよ風。蜜煮した大きな半身のあんずが二つ姿を現した。干しあんずを砂糖でじっくり煮詰めたもので、これがいいアクセントになっている。できれば3~4個欲しいが、2個というところに江戸前の粋があるのかもしれない、と勝手に思う。ねっとりとした歯ごたえと食感。甘酸っぱい思い出・・・。

          つる瀬⑨ 
         蜜煮のあんず
         つる瀬10 
         ひと口ガブリ
         つる瀬11
         もう一個あるでよ

「また来てくださいね」
江戸前娘のひと言。それは営業トークだが、村長は寅さん気分で、「また来るよ」と答える。「あのう、お代がまだですけど・・・」。馬鹿丸出し。一歩店を出たら、サウナのようなムワッとした暑さに全身が包まれた。あんず色の空。


本日の大金言。

氷あんずが意外なブーム。だが、谷中の超人気店「ひみつ堂」には氷あんずがない。何故だろう?




                      つる瀬14 



炎天下の謎?煮干しつけ麺

 埼玉のラーメン屋の中でも人気の一軒が店名を変えた。「おさる」が「モンキッキー」になり、また「おさる」に戻したり、アメリカの天才アーティスト・プリンスが名前を記号にしたり・・・そう言えば「くりぃむしちゅー」が昔は「海砂利水魚」だったっけ。だが、人気ラーメン屋が途中で店名を変えるのは珍しい。JR東鷲宮駅そばの「煮干しそば とみ田」のことが頭にあって、炎天下、村長はポンコツ車を飛ばすことにした。

           とみた①  
           煮干しそば「とみ田」(埼玉・久喜市)

人気店なので行列ができる正午前に到着。3年前に来たときは「支那そば 天風」だったが、今年の春、「煮干しそば とみ田」と改名していた。理由は「煮干しの出汁感、香りを重視したスープ」に変えてきているので、「支那そばとは言い難く」、「煮干しそば」とし、店名も「とみ田」に変えたとのこと。随分律儀な店主のようだ。

           とみ田②  
           相変わらずの人気

相変わらずの人気で、正午前だというのに、どんどん客がやってくる。だが、3年前ほどのあきれるほどの混雑ではない気がした。店内は右手にテーブル席が二つ。左手が小上がりになっていて、テーブルが三つ。創業14年になるが、板張りの店内はきれいで、正面奥の厨房で店主が黙々とラーメン作りに励んでいた。女性スタッフ(奥さん?)が一人で、厨房と客席の間を行ったり来たりしていた。

           とみ田④ 
           徳つけにしよっと

村長はメニューの中から「つけ麺 徳つけ(並) 麺250g 750円」を選んだ。国産地粉を使った自家製麵で、そのため茹でるのに時間がかかると表記してあった。その通り20分ほど待たされて、「徳つけ(並)」がやってきた。つけ麺の麺は黄色みがかった太麺で、もっちり感とコシが際立っていた。「煮干しそば」の麺はもう少し細いようで、そちらを注文した客の方が早く着丼する。

           とみ田⑤ 
           果報は寝て待て
           とみ田⑨ 
           自家製麵
           とみ田11 
           つけ汁の個性

つけ汁はとろみがあり、煮干しと豚骨の出汁感にあふれていて、その奥に長方形の豚バラと肩肉チャーシューが2枚ほど潜んでいた。さらに角切りのチャーシューも1~2個。メンマもよく煮込んだ色で、みじん切りしたタマネギがバラバラと浮いていた。最近の人気店はこの手の濃厚豚骨魚介系が多い。多分魚粉もたっぷりと入っていて、それがいい匂いを立ち上らせている。
 
           とみ田⑦ 
           チャーシュー2種
           とみ田⑧ 
           もっちり感がいい

まずはひと口。もっちりした太麺をつけ汁にくぐらせる。最初の印象は「うっ、甘い」というものだった。カルメラでも入れているのかというような甘さで、それがこの店の特徴でもある。同じ煮干し系でも東京・赤羽の「麵屋 伊藤」とも違うし、豚骨魚介系の埼玉・鴻巣「次念序」とも似ているようで違う。この濃厚な甘さは多分確信犯で、村長のような、「もう少し甘さを抑えた方がいいのに」という客は相手にしていないのかもしれない。その志やよし。

          
           とみ田10 
           煮干しと魚粉の風味

それでも自家製麺は美味いし、半熟玉子も美味。甘ささえ除けば、全体的にはていねいに作っていて、好感が持てる。たまたま千葉県松戸市にも人気店「中華蕎麦 とみ田」があったので、ひょっとして同じ系列かと電話で聞いてみたら、「全然関係ありません」とのこと。炎天はいつまで続くのか? 改名の改名があったら面白いのだが。


本日の大金言。

名前は重要である。故に改名も重要である。そして、それ以上に重要なのは中身であることは言うまでもない。








                       とみ田12 






不思議な日本酒とワインの夜

 あまりに暑いので、久しぶりにウマズイめんくい村主催の暑気払いを行うことにした。メンバーはワインと日本酒に給料の約半分を注ぎ込む加山プロフェッサー、ワインアドバイザーの資格も持つ田山酒屋の若主人ご夫妻、スペシャルゲストとして埼玉の名蔵元・清水酒造の五代目ご夫妻、それにぎっくり腰の彦作村長、料理担当の村民2号。

まずはトウモロコシと枝豆をツマミにビールで乾杯。話題は「獺祭(だっさい)」の蔵元・旭酒造が酒造好適米・山田錦の生産強化のために富士通と提携したニュースについて。「富士通のクラウドで山田錦の生産を管理して、どんどん増産しようなんて、酒の神様がビックリしているよ」村長が言うと、田山酒屋の若主人が「山田錦はデリケートな酒米で、作るのがとてもむずかしい。そう簡単ではありませんよ」と注釈。誰かが「ダッサイニュースね」とダジャレを飛ばす。いいムード。

           暑気払い① 
        これは何だ?

ドラえもんポケットを持っているという噂がある加山プロフェッサーが、おもむろに白ワインのビンテージものを取り出した。
「これはね、何だと思いますか?」
「早く飲ませろ」
「まま、今夜はゆっくりと行きましょう。これはですね、ちょっとやそっとではお目にかかれないお酒です。富山の桝田酒造店が造ったもので、純米大吟醸を何と白ワインのオーク樽で熟成させたものです。ビンテージは1996年。それを私がセラーでさらに十数年寝かしたのです」

           暑気払い」2 
            まさかの裏側

「うむ、不思議な味です。純米大吟醸なのに熟成ワインのような香りと酸味がある」
試飲しながら五代目がワイングラスの中をじっと見つめる。プロの視線。
「香りはオーク樽のワインでノド越しは確かに日本酒。おもしろい味です」
若主人が静かに分析する。
「何だか古い梅酒みたい」
ほろ酔いの村民2号が半音外した。
村長は桝田酒造店のユニークな試みと加山プロフェッサーの希少物を探す目利きぶりに舌を巻く。

                 暑気払い 
       新政の超レア酒(左)と「花菱」純米大吟醸無調整原酒(右)

それからエンジン全開、田山若主人が持参してきた「新政 限定酒 特別純米21BY」を開け、清水酒造の逸品「純米大吟醸 花菱 無調整原酒」に移り、最後の締めはイタリアの至宝「サッシカイア2004」。そう簡単には飲めない貴重な日本酒、ワインの数々を次々と飲み干しながら談論風発、毀誉褒貶、風神雷神、支離滅裂・・・。

           暑気払い② 
           サッシカイア2004どす

村長は途中から記憶がなくなる。慌てた村民2号が冷たい水と大分産「鶏めしの素」(600円)で作った混ぜこみごはんを持ってくる。

           鶏めしの素② 
           鶏めしの素を・・・
           鶏めしの素③ 
        炊き立てのご飯に混ぜまぜ
           暑気払い⑤ 
           大分の美味

これが意外に美味だった。京都にお住いの調布先生からいただいたもの。鶏肉とゴボウを醤油と味りんで煮込んだもので、炊き立てのご飯に混ぜる。仕上げの一品。喜多郎の「Thinking of you」が流れる。それぞれのシンキング・オブ・ユーが熱帯夜に交錯する。スペシャルな夜は4時間半後、タクシーを呼んで幕を閉じた。


本日の大金言。

暑気払いは楽しい。そこにいい酒といい料理、さらにいい友人がいればなおいい。始まりがあれば終わりもある。真夏の夜の一瞬の夢。



                       暑気払い⑥ 





続きを読む

40年値上げせず、奇跡の50円甘味屋

 本日も暑すぎる。出来るものなら、氷の海に飛び込みたい。で、今回もかき氷。安くて美味いかき氷屋探しを決行中の村長が、仰天した店をご紹介しよう。この情報をくれたのも、かき氷好きの友人だった。

「最近かき氷に凝っているようですが、極めつけの情報を教えましょう。そこは今川焼きもやっていて、創業が昭和50年になる小さな店です。驚くべきはその値段です。創業当時の1個50円のまま。それでいて手抜きがない。それを食べながら、かき氷を食べるのがツウというものです。かき氷もメチャ安です」

創業が昭和50年というと、40年間近く値上げしていないことになる。まさか。村長は半信半疑でポンコツ車を飛ばし、埼玉・羽生市にあるその店を目指した。スイーツ界のイリオモテヤマネコみたいな天然記念物的なその店の名は「あま太郎」。以前、このブログでも取り上げた春日部「あま太郎」の弟が店主の店らしい。今川焼きの「あま太郎」は首都圏には今やこの2店しか存在していない。春日部は1個80円で、かき氷「アズキミルク」は270円だった。この価格も信じられない安さだった。

           あま太郎① 
           歴史的な看板(埼玉・羽生市)
           あま太郎② 
           昭和50年がそのまま

羽生市中央通りから少し入ったところに、ややさびれた感じで「あま太郎」の看板とかき氷の旗が見えた。だが、ここは隠れた人気店で、夕方になると近隣から客が殺到する。「あま太郎 1個50円」の文字が見えた。外からはわからなかったが、中にテーブル席があり、入ると、4人用のテーブルが3つ。意外に広い。村長は、創業以来約40年間値上げしていないという「あま太郎」(あずき、白あん1個50円)をまず頼んだ。同時にかき氷「アズキミルク」(200円)をしっかり注文した。春日部「あま太郎」よりさらに安い。これはひょっとして、日本一安いのではないか?

           あま太郎④ 
           驚くべき値段

価格が価格なので、味はさほど期待していなかったが、とんだ間違いだった。「あま太郎」は皮がもっちりとしていて、弾力もかなりある。「世の中の流れに負けてたまるか」という店主の意地を感じるほど。中の粒あんはそれが50円ということを一瞬忘れるほどの量で、口に入れた途端、小豆の風味がぐわんと広がった。塩気もかなり効いている。あんこはすべて自家製、小豆は北海道産、砂糖は上白糖を使用している。 白あん(これは春日部店にはない)も、国産の大手亡豆を使用し、白あんのいい風味が立っていた。こちらも塩が効いている。

           あま太郎⑧ 
       200円アズキミルクと50円あま太郎
           あま太郎3 
           まさかの中身(あずき)
           あま太郎6 
           こちらは白あん

「アズキミルク」は上から練乳がかかっていて、フツーの美味さだったが、200円という価格が信じられない。つぶしあんが美味。あんこの量が少なめなのは仕方ないにしても、「特盛」(別料金)のメニューも欲しい。とはいえ、これらの価格はあり得ない。これはよほどの覚悟と職人意識がないとできることではない。村長はこの店主に興味を持った。だが、忙しそうに「あま太郎」を焼いていて、声をかけるチャンスがない。

           あま太郎 
         アズキミルクを崩していく
           あま太郎11 
            あんこの美味

何とかほんの少しだけ話を聞いた。
「いつまで50円でやっていられるかわからないですよ。苦しいなんてもんじゃないです。でも、中身のレベルは落としたくない。これは意地かもしれません。ええ、春日部の方は兄がやってます。私も春日部で修業して、昭和50年にこの羽生で店を開いたんですよ」

村長はこの店主にシンパシーを感じた。同時に、世の中の広さを改めて思い知った。かような人物が2014年の8月の日本に存在している。砂漠の中の砂金のようなその事実。村長は最敬礼してから、ポンコツ車に向かった。ぎっくり腰。頭上には炎天。


本日の大金言。

埼玉の北の果てで出会った「スイーツ界の世界遺産」。高くて美味いは当たり前、安くて美味いがむずかしい。六本木ヒルズや永田町の対極に位置する小さな店。世の中は理不尽だが、そう悲観することもないかもしれない。









                       あま太郎9 

古都郊外の恐るべきかき氷屋

 毎日暑すぎる。ウマズイめんくい村も夏バテ状態。村民2号も大の字。隣りの犬も脱水症状で病院入り。そんなところに、かき氷好きの友人からメールが入った。

「東京のかき氷なんてコスパがひどすぎる。村長が書いた菖蒲のかき氷も凄いけど、1時間待ちが当たり前で、しかも安くはない。足利市郊外にあるかき氷屋に行ってみるべし。目からウロコかも(笑)」
むむむ。村長は、その挑発的なメールを読んで、おもむろにポンコツ車を飛ばすことにした。村民2号がむっくりと起き上った。

炎天下、東北道を飛ばし、佐野藤岡インターで下りて、国道50号に入る。そこからさらに古都・足利方面へ。その郊外、八幡八幡宮を超えると、目的の「三船屋」が見えてくるはず。「三船屋」は地元では知られた甘味屋で、紺地の幟(のぼり)と「氷」の文字が陽炎の中でひるがえっていた。いい佇まい。懐中時計を見ると午後4時過ぎ。駐車場は狭く、5つほどあるテーブル席は満杯で、何人かが順番待ちをしていた。とはいえ、埼玉・菖蒲町の「雪みるく」ほどではない。

           三船屋① 
           ついにめっけ!(足利市「三船屋」)

5分も待たずにテーブル席に腰を下ろし、村長は「氷あずきミルク」(340円)を、村民2号は「氷宇治金時」(360円)を頼んだ。創業65年の店で、二代目という店主が忙しそうにかき氷を作っていた。女性スタッフが2人。「ウチはもともとは羊羹屋なんです。自家製のあんこが売りで、夏はかき氷、冬はたい焼きを出してます」と店主。年季の入った木の棚にはさり気なくガラスのいい器がいくつも置いてあり、この店が、「庶民の正統派かき氷屋」であることがわかる。氷は「奥秩父源泉の氷」を使っているようだ。

           三船屋② 
           いい雰囲気である
           三船屋④ 
           どれにしようか

7~8分ほどで、「氷あずきミルク」がやってきた。透明なガラスの器に真っ白い氷の山がそびえ立っていた。その頂上辺りから練乳が夢のように雪崩れ落ちていた。そのビジュアルに感心。面白いことに、肝心の小豆あんの姿が見えない。
「あれっ、変だな。氷ミルクが来ちゃったんじゃないか?」
「バカねえ。奥に隠れているのよ。きっと。ほら、うっすらと見えるでしょ?」
村民2号が、これまた見事な「氷宇治金時」を崩しながら、恍惚に近い表情で、村長の疑問に答えた。どうやら目が三つあるようだ。

           三船屋⑤ 
           氷あずきミルク登場
           三船屋⑥ 
           こちらは氷宇治金時

村民2号が言った通りで、中を崩してみたら、小倉色のつぶしあんがどっかと隠れていた。氷のきめ細かさが絶妙で、ふわりと表現したくなるものだった。練乳もたっぷりかかっていて、最初のひと口で、村長はこの店の実力がかなりのものであることを理解した。あっという間に氷の山が小さくなっていく。純度の高い甘露水、口に入れた途端広がるあんこの風味。思わず「かんろかんろ」という言葉が漏れた。これは一つの発見だった。

           三船屋⑧  
           奥が深い
           三船屋10 
           天然氷と練乳と・・・
           三船屋12 
           見事なつぶしあん
           三船屋11 
           参りました

「不思議ね。お腹が冷えない。この値段でこれだけのものは、東京ではちょっと考えられない。東京のかき氷屋はアグラをかき過ぎと言いたくなるわ」
「あんこも美味い。聞いてみたら、北海道十勝産の小豆で、砂糖は上白、それに三温糖も加えていると言ってたよ。あんこに相当力を入れているのがわかったよ。最近、プラスティックの器を出す店が増えているけど、ここはそんな手抜きではない。いい店を見つけた気分だよ。友人に感謝しなきゃ」
「私にも感謝しなきゃ。あんこの存在を教えてあげたでしょ? ごちそうさまァ~」
「・・・・・・」


本日の大金言。

値段が高いうえに大行列。メディアやネット情報がその流れを加速する。人の行く裏に道ある花の山。この言葉の意味を噛みしめたい。



                      三船屋14

店も絶滅危惧?「老舗の絶妙うな重」

 上州に住むゴッドマザーの快気祝いを群馬・桐生市で行うことになった。うなぎ好きのゴッドマザーに、村長が清水の舞台から飛び降りる覚悟で「土用の丑の日が過ぎちゃったけど、蒲焼はいかがですか?」とお伺いを立てると、すかさず村民2号が「珍しくいい提案!」と反応した。続けて「どうせ食べるなら老舗がいい」。ゴッドマザー以上に村民2号がうなぎ好きだったことを思い出した。

桐生のうなぎの老舗と言えば、坂口安吾も愛した「泉新」(天保6年=1830年創業)だが、村長は、フトコロ事情がよかった宮仕え時代に何度か行ったことがある。確かに建物から料理までさすが老舗と言いたくなる味わいで、関東有数の鰻屋であることは間違いない。だが、へそ曲がりの村長は、7年ほど前に入った、もう一つの老舗が忘れられない。

          山もと① 
          もう一つの老舗{山もと」(桐生市錦町)

「泉新」とばかり決め込んでいたゴッドマザーと村民2号を、錦町の「蒲焼 山もと」(昭和11年=1937年創業)に連れて行った。ブーブーいう2人が、その古い、風情豊かな店構えをひと目見た瞬間、「あら、ここはいいかもね」に変わった。中に入ると、小上がりになっていて、二間の座敷に、テーブル(4人用)が3つしかない。すぐ左手が板場になっていて、かなりご高齢の店主がうなぎを割いていた。背中がいい。奥の6畳の座敷に座ると、女将さんが、おしぼりとお茶を持ってきた。ゆったりとした時間が流れている。

           山もと1   
           うなぎを裂く店主
           山もと② 
           座敷の風情・・・
           山もと③ 
           メニューは少ない

村長にとっては2年ぶりのうなぎ。メニューが少ないのが好感。村長は奮発して「うな重」(3300円)、村民2号も同じもの。「きも吸」(100円)も付けてもらう。ゴッドマザーは食が細くなっているためか、「蒲焼」(2200円)を頼んだ。ビールを頼むことも忘れない。この店の凄さは、注文してから、うなぎを裂き、素焼きをし、蒸し、さらにタレを付けて焼く。その作業を、ご高齢の店主が一人で行っていること。だから時間もかなりかかる。それを待つ楽しみ。いい匂いが板場から流れてくる。

           山もと④ 
           うな重の登場
           山もと⑥ 
           肝吸いの美味

40分ほど待って、肝吸い、次に「うな重」がやってきた。肝吸いはやさしく深い味わいで、この店の実力がわかった。うなぎの肝とミョウガ、それに板わさが一切れ。そのバランスが絶妙だった。主役の「うな重」は、蓋を取った瞬間、いい匂いとともに、重箱一杯に大きな蒲焼がズシンと横たわっていた。うなぎの厚みと脂のテカり。尻尾の方に焼き過ぎも見られるが、山椒をぱらぱら振って、口中に運ぶと、柔らかさとふくよかさが広がった。代々継ぎ足したタレは甘すぎず辛すぎず。鰻のいい脂分が美味という他はない。炊き立てのご飯(こしひかり)との相性がいい。絶妙なタレのかけ加減。ゴッドマザーも村民2号も無言で箸を進めている。

「うなぎは昔から同じところから仕入れていて、国産ものです。最近はあちこちから変なものが入っているようですけど、うちは昔から同じものです。どうぞご安心ください」
村長のストレートな質問に、女将がそう言って、かすかに笑った。年季の入ったいい笑顔だった。

           山もと⑧  
            ふくよかな豊饒
           山もと10 
    串打ち三年、割き八年、焼き一生
           山もと⑨  
           言葉はいらない

日本うなぎが絶滅危惧種に指定されたが、村長は店主と女将さんの行く末の方が気になった。うなぎを食べる作法のイロハのイは待つ時間を楽しむことで、日本酒かビールでも飲みながら、蒲焼が焼き上がるのをゆっくり待つ。それすらわからない客が増えている中で、この隠れ老舗のよさがわかるのだろうか。こうした老舗こそが、絶滅危惧種かもしれない。村長はその危惧をゴッドマザーと村民2号につぶやくと、「あら、私たちだって」という答えが返ってきた。


本日の大金言。

世界のうなぎの7割を日本人が胃袋に収めているという。いくら何でも、それはやり過ぎだと思う。うなぎは毎日大量に食べてはいけない。ハレの日か特別な日に、老舗のうなぎ屋でじっくりと味わうべきものだと、村長は思う。



                          山もと12 




プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

最新記事
カテゴリ
彦作のつぶやき
最新コメント
月別アーカイブ
カレンダー
07 | 2014/08 | 09
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -
最新トラックバック
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR