「江戸の切り羊羹」驚きの味

東京・ 日本橋高島屋のB1は和菓子好きにはたまらない場所である。銀座プランタンB2は洋菓子、ここは和菓子。村長は時間があるときはここを覗くことにしている。特に「銘菓百選コーナー」には全国各地のいい和菓子が並べられ、現地に行かなくても、ここで用を済ますこともできる。
           小城羊羹② 
            和菓子好きのメッカ?

江戸時代から「羊羹(ようかん)の街」として知られる佐賀県小城市の切り羊羹もここで見つけた。数年前のこと。エンターテインメント新聞社時代に行きつけの喫茶店のママがささやくように言った。

「珍しいようかんが手に入ったから食べない?」

それが村岡総本舗の「特製切り羊羹(ようかん)」だった。竹の皮に包まれた羊羹は2種類で、それを切り分けて出してくれたが、その容姿に驚き、見入ってしまった。紅と小豆。表面が砂糖化していて、細かいヒビ割れが入っていた。美味だった。

日光「ひしや」の「練りようかん」とよく似ていた。どこで買ったのか聞くと、歌うように「日本橋高島屋の地下売り場よ」。それが小城羊羹との出会いだった。時間を見つけて、高島屋の「銘菓百選コーナー」に行くと、「特製切り羊羹」は4種類あり、本練り、小倉、紅練、挽茶だった。

村岡総本舗は明治32年(1899年)創業の羊羹屋で、江戸時代の製法を伝承している。小豆と砂糖と角寒天で作った羊羹を羊羹舟と呼ばれる木型に流し込み、それが固まってから、包丁で長方形に切り分けていく。夏目漱石が愛した羊羹もおそらくこうした羊羹だった。
          小城羊羹① 
          小城羊羹めっけ

兜町ペンクラブのミッションの帰り、村長は日本橋高島屋B1に立ち寄って、村岡総本舗の「特製切り羊羹」(小倉 1本801円)を買い求めた。予算の関係で紅練は今回はあきらめた。一本の大きさは長さ18センチ、幅5センチ、高さ3.2センチほど。日光「ひしや」の切り羊羹(1本1500円)となぜかほぼ同じ大きさ。

ウマズイめんくい村に持ち帰って、賞味。レトロ感たっぷりの包装紙を取ると、さらに経木で包まれている。木のいい匂いがたまらない。それを解くと、今度は竹の皮である。この丁寧さと重厚感に心が静かにざわめいてくる。それを取ると、ようやくご本尊のお姿が・・・。表面が白く砂糖化して、ヒビが見える。黒々とした羊羹。天国まで1マイル。
           小城羊羹① 
           天国まで8マイル
           小城洋館② 
        経木と竹の皮と切り羊羹
           小城羊羹③ 
           出たア~
           小城羊羹⑤ 
          江戸人も楽しんだ?

口中に入れて歯を立てると、表面に浮き出た糖化した膜がガサッガサッと音を立てる。この歯触り感がたまらない。
           小城羊羹⑥ 
           ま、お一つ・・・
           小城羊羹⑦ 
           歯型の夢?

中の羊羹は柔らかめで北海道産(たぶん)小豆の風味がいい。素朴な甘み。大納言小豆の粒つぶがその風味にさらに彩りを添える。あんこ好きにはこたえられない至福の時間。脳内エンドルフィンがそよ風となる。吾輩は羊羹である。むふむふ、むふふ・・・・。


本日の大金言。

羊羹の祖先は中国から伝わり、砂糖の普及と寒天の発明により、江戸時代に開花したという。ひょっとして江戸時代の方が現代人よりも美食家だったかもしれない。


                         小城羊羹⑨ 


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田んぼの中の「孤高のそば屋」

 世の中は実に広い。ポンコツ車を飛ばして東奔西走していると、思わぬ隠れ名店に出会うことがある。今回ご紹介するそば屋はその極め付けと言えるかもしれない。

最近知り合った司法書士の敏腕女史からお誘いの電話が入った。
「埼玉・羽生の郊外に凄く美味いそば屋さんがあるのよ。週3日、土日月曜しか店を開けないんです。それも売り切れ御免で、正午過ぎに終わってしまうことも多いのよ。よかったら、これからみんなで行きませんか?」
電話口で耳をそばだてていた村民2号が、「行く、行く」とせっついた。
           たけ田① 
         田んぼの中の隠れ名店

その1時間半後、敏腕女史の案内で、国道125号線羽生バイパスをひた走り、そこから一本はずれた田舎道で先導する車が止まった。一行7人。辺り一面ぐるりと田んぼ。空が高い。その一点に「手打ちそば」の幟(のぼり)がひるがえっていた。ポエム! 「そば処 たけ田」の看板。そこからさらに奥に古い一軒家が見えた。そこが目的のそば屋さんだった。
            たけ田 
            週3日、売り切れ御免
            そば処たけ田 
            まるで隠れ家?

午前11時45分到着。予約を入れていたので、スムーズに入れたが、すでに待っている客が4組ほどいた。メディアにもネットにもほとんど取り上げられていないので、口コミだけで静かな人気になっているようだ。席は廊下を挟んでテーブルが4つとソファ席が一つしかない。
                  たけ田③ 
       廊下を挟んで2部屋のみ

店主はそば好きが高じて、会社をリタイア後、3年前に奥さんと二人で自宅を改装してオープンした。そば好きも半端ではない。全国をそば行脚し、プロのそば職人に負けない修業と研究を重ねたそう。メニューは多くない。それが欠点と言えば欠点かもしれない。村長は定番の「もりそば」(650円)と「かき揚げ」(100円)を選んだ。全員同じもの。
           たけ田④ 
           メニューは少ない

17~8分ほど待って、お盆に乗って、もりそばとかき揚げがやってきた。小鉢とお新香も付いている。このそばが絶品だった。二八の挽きくるみで、茶グレーの見事な細打ち。星が点々としている。ひと目でこのそばが只者ではないことがわかった。近くの加須・騎西産の玄そばを使用しているそう。あまりに意外な発見。
           たけ田⑤ 
         もりそばとかき揚げプラス・・・
           たけ田11 
         加須産の玄そば挽きくるみ
           たけ田⑦ 
           ツユも美味
           たけ田⑧ 
           風味がいい

口に入れた途端、新鮮なそばの風味がふわりと広がり、コシといい、ノド越しといい、文句のつけようがない。そば自体の甘みもかすかに漂ってくる。村長が今年食べたそばの中でベスト5に入ると思った。ツユはやや甘め。鰹節と昆布の出汁がかなり効いていて、かえしもきつくない。その穏やかな旨味がそばに絡んでくる。至福、しふく・・・そうつぶやきたくなる。
           たけ田⑨ 
           100円の至福

「こんなところにこんな店があるなんて、驚き。ホント、驚いた。かき揚げも3種類で100円とはね。すべて自宅で作った野菜だって。美味いはずだわ。デザートにチーズケーキセット(300円)も頼むことにしたわ」
村民2号がキツネにつままれたような顔で言った。
           たけ田12 
        手づくりチーズケーキセット300円ナリ

「ここはちょっと教えたくないな。食べログなんかに出たら、大変なことになるかもな。週3日営業というのもそれ以上は無理ということのようで、客が殺到したら困ることになる。そっとしてあげたい隠れ家のそば屋さん・・・」
「と言ってブログに書くんでしょ?」
「まあね。サガだから」
「・・・・・」


本日の大金言。

プロと半プロと素人。脱サラやリタイア後のそば屋も増えている。だが、その腕前は玉石混交。プロのレベルが落ち、素人のレベルが上がっているということもある。そば界もミュージックシーンと同じ現象が起きているようだ。





                       たけ田10 



リンゴの傑作「ベイクドタタン」

リンゴの美味い季節、である。本日はスイーツのメッカ 花の銀座で見つけた逸品をご紹介しよう。

「何か美味いものはないかいな」

夕暮れ時、銀座6丁目から1丁目あたりをいつものように探索していると、凄い行列が視界に入った。1丁目のタルト専門店「キルフェボン」だった。女性客ばかり。スタッフに聞いてみると、「カフェコーナーは30分以上の待ちになります」。冗談ではない。行列の嫌いな村長は即、退散した。値段も高すぎる。

ふと、「銀座プランタン」のB2が頭に浮かんだ。ここもスイーツのメッカである。その中の一店に目が吸い寄せられた。焼き菓子の店で、「チーズケーキフォンデュ」とか「ベイクドマロングラッセ」「ベイクドタタン」などなど、珍しい名前の半生焼き菓子がズラリと並べられていた。「私を食べて」その美味そう光線に脳内エンドルフィンが反応し始めた。
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           めっけ!(銀座プランタンB2)

今年3月にオープンしたという「timi(ティミ)」という店だった。本店は半蔵門。イートインのカウンターに腰を下ろして、まるでガーネットのような「ベイクドタタン」(税込み496円)を頼むことにした。飲み物は「アールグレイ」(同324円)にした。可愛らしい女性スタッフが一人、にっこりとほほ笑んで「ベイクドタタンは人気なんですよ」
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           むむむ光線
           timi② 
           イートインのカウンター

今が旬の信州リンゴ秋映(あきばえ)を半分に切り、キャラメルソースをかけながら、長時間じっくりと煮込む。それをパイ生地に入れてベイクド(焼いた)したもの。アップルパイのようだが、アップルパイよりもベイクド感があり、リンゴの蜜煮度も高い。それが目の前にある。リンゴがほとんどジャム化していて、その赤黒い、ガーネットの沼に引き込まれそうになる。縁 にはスノーパウダーが夢のようにかかっていた。飛び込みたい。
           timi③ 
           ベイクドタタンとアールグレイ
           timi⑤ 
           夢の中へ
           timi⑥ 
           失敗から生まれた?

ナイフを使って切り込みを入れ、フォークを突きたて、口中に運ぶ。蜜煮した果実の甘みが広がる。形をなくしたぷるぷるの秋映にはリンゴの余韻が残っている。甘みと酸味のバランスがいい。ベイクドパイ生地との相性は悪くない。かすかにアーモンドの香り。
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           言葉はいらない
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           信州リンゴ秋映どす

「イケるね。これフランス菓子?」
「そうです。タルトタタンと言って、フランスロワール地方の半生焼き菓子なんです。誕生のエピソードが面白いんですよ。小さなホテルを営んでいたタタンという名前の姉妹がアップルパイを作っていて、焼きすぎて失敗しちゃったんですって。それで仕方なく上にパイ生地を乗せ、オーブンで焼いてみたところ、とんでもなく美味かった。それがホテルで大人気になったんですって」
「へえー、面白いね。失敗は成功の素。いや、酸っぱいは成功の素かな」
           timi⑨ 
           あ~ん

幸せなひと時。合い間にホーローカップに入ったアールグレイを飲みながら、遠いフランスロワールにあるホテルタタンに想いが走る。失敗をひっくり返して見事なスイーツに変身させたタタン姉妹はどんな顔をしていたのだろう? 理由もなく目の前の可愛い女性スタッフとかぶってくる。バカ顔の空想の羽根が広がっていく・・・。


本日の大金言。

誰にでも失敗はある。そこでへこみ続けるか、へこみから立ち上がるか。人生はマイナスばかりではない。





                       timi12.jpg 




立食いそば界の「逸ノ城」

 立ち食いそばのレベルが猛スピードで上がっている。このブログでもご紹介しているが、十割そばや松茸そばまで登場するに至っては、かつてのような「安い早いマズイ」というイメージは無くなりつつある。今回ご紹介する立ち食いそば屋もその一つ。

東京・新橋での会合の後、西新橋方面へとぷらりぷらりと歩いていると、派手な店構えの立ち食いそば屋が目に入った。時計を見ると、午後3時過ぎ。新橋から虎ノ門にかけては立ち食いそば激戦区で、ここに店を出すということは相当な自信と覚悟が必要で、村長は昼飯を食べたばかりだったが、飛び込むことにした。
           大吉田 
           派手な外観

「そば処 大吉田(おおよしだ)」という店名で、調べてみたら、立ち食いそばファンの間でも赤丸急上昇の店だった。オープンして3年目。コの字のカウンター席と一列のカウンター席。全部で23~5席ほど。正面奥が厨房になっていて、そこで3人の男性が天ぷらを揚げ、大鍋でそばを茹でていた。メニューが多い。
           大吉田15 
           やや高めだが・・・

村長は券売機で人気ナンバーワンという「大吉田そば」(580円)を選んだ。「数量限定」という表記。注文してから茹で始めるようで、5~7分ほど待たされた。「お待たせしました」スタッフが持ってきてくれるシステム。お盆に乗った姿に軽く息を飲んだ。大きめの陶器のドンブリに巨大なかき揚げが花魁(おいらん)のように、どっかと寄りかかっていた。ウヒャー! 豪快な刻みネギとワカメがかすんでしまう。
           大吉田⑤ 
           ドヒャ!
           大吉田⑥ 
           かき揚げ屋~!
           大吉田⑦ 
           唐辛子をパラパラ
           大吉田10 
           逸ノ城土俵入り~

日本橋「よもだそば」の特大かき揚げに勝るとも劣らないデカさで、それは花魁というよりも大相撲の新怪物・逸ノ城に例えたくなってしまった。揚げ置きで、直径15センチは優にありそう。驚いたことに、この上にさらにデカい「超大吉田そば」(690円)もある。この店はかき揚げのデカさを売りにしているようだ。激戦区で生き残るにはこのくらいの常識破りは必要かもしれない。だが、問題は味。

そばは細麺で、嘉味庵の生めんを使っている。人形町の福そばと同じ麺。コシ、歯ごたえ、ノド越しともに高いレベル。ツユは一見濃い目だが、カツオと鯖節中心の出汁が効いていて、かえしもきつくない。ほどよい旨味。主役のかき揚げは「海老、いか、いかげそ、たまねぎ、にんじん、春菊」と書いてあるが、たまたまなのか、いかげそは見当たらなかった。イカが5個ほど、タマネギが目立つ。それ以上にコロモの存在感。これは仕方のないところ。
          大吉田⑧ 
          細麺も高レベル
          大吉田⑨ 
          ツユも高レベル
          大吉田11 
          崩れる前に

図体がデカいのにカラリと揚げられている。注意点はツユに浸かっている部分がどんどん崩れていくこと。そばの吸収も早いので、早めに食べなければならない。食べ終えると、お腹がかなり膨らんでいた。腹だけ相撲取り? 全体的に高レベルで、確かに立ち食いそば界の超新星だと思う。だが、村長の頭の片隅に、「安い早いマズイ」時代の猥雑な立ち食いそばがノスタルジックに佇んでいるのだった。


本日の大金言。

立ち食いそばには人生の味も滲み込んでいる。その隠し味はそう簡単には出ない。



                      大吉田13

荷風の愛したクレオール料理の味

 「たまには浅草に行かない? 今度友人と食事するので、下見に行きたいのよ」
村民2号がラジオ体操中の村長の耳元で囁いた。目に星が宿っていた。こういう時は逆らってはいけない。浅草は村長も時々行きたくなる場所で、いくつかの店が頭に浮かんだ。財布の中身が気になる。

1時間半後、ウマズイめんくい村の一行2人は「アリゾナキッチン」の前にいた。「アリゾナキッチン」は昭和24年(1949年)創業の洋食レストランで、晩年の永井荷風が足しげく通った料理屋として知られている。へそ曲がりの村長はこれまで行くことをためらってきた店だ。ミーハーなくせにへそ曲がり。荷風はいつもの背広に下駄ばき姿で、浅草ロック座の踊り子をよく連れてきたそう。
           アリゾナ 
           路地裏の洋食屋(浅草1丁目)

店名通りアメリカ南西部アリゾナのような開放的な店構え。入り口にはウッドデッキもある。65年ほどの歴史だが、店内は歴史がしみ込んだ木製テーブルが大小合わせて7つほどある。村長は永井荷風がいつも座っていたというレジ近くのテーブル席に腰を下ろした。アロハシャツの店主と女将さんが忙しそうに動いていた。
           アリゾナ① 
           いい店構え

メニューの中から村長は荷風がいつも食べていたという「チキンレバークレオール」(1300円)にロールパン(300円)を頼んだ。桜むつ子・・・じゃなかった村民2号は「ロールキャベツ」(1500円)と「ロールパン」(300円)。財布の中身が気になる。店の奥が厨房になっているようで、白衣のコックさんの姿がちらりと見えた。
           アリゾナ③ 
            チキンレバークレオール!

15分ほどで「ロールキャベツ」が登場。続いて「チキンレバークレオール」がやってきた。クレオールとは植民地という意味で、クレオール料理は主にアメリカ南部で誕生した混血料理で、フランス、スペイン、西アフリカなど複数の食文化が現地で融合したもの。その流れを汲む「チキンレバークレオール」はチキンのレバーと肉、タマネギをトマトソースでグツグツと煮込んだもの。
           アリゾナ⑦ 
           ロールキャベツ
           アリゾナ⑥ 
      チキンレバークレオールとロールパン

湯気が立つ濃厚なトマト色のシチューをスプーンですくってひと口。濃い。酸味。予想以上に濃い味付けで、酸味と旨味が混然一体となっている。黒褐色のチキンレバーは臭みは抑えられているが、レバー独特の風味が口中に広がる。レバー好きにはたまらない味だろうが、レバーがやや苦手な村長には微妙な感動。細かく刻まれた白い鶏肉が美味で、それが全体を中和している。見た目よりも量があり、スプーンで掬(すく)ってもすくっても底が見えない。永井荷風の闇・・・。
           アリゾナ⑨ 
           荷風の面影?
           アリゾナ13  
           チキンレバー
           アリゾナ12 
           鶏肉とタマネギ
           アリゾナ14 
           ロールパン

「ロールパンが美味いわ。ロールキャベツは煮込みが足りない感じ。私はもっと柔らかく煮込んだ方が好き。ちょっとがっかり」
「ロールパンはペリカンのロールパンらしいよ。浅草老舗のパン屋さん」
「そっちはどう?」
「永井荷風が愛した料理だけど、村長にはレベルが高すぎる。値段も安くはない。せめてハンバーグにすればよかった」
墨東奇譚の世界は遠いわね。次に行きましょ。ヨシカミがいいかな」
「・・・・・・」

本日の大金言。

永井荷風は好きな作家で、晩年とその最期には未だに衝撃を受ける。三島由紀夫と対極の死に方。どちらも苛烈すぎる。合掌。







                      アリゾナ16 




老舗ジャズ喫茶のNYチーズケーキ

 ちょっとした会合に出席するために、久しぶりに東京・渋谷へ。約束の午後5時にはまだ1時間ほど時間があったので、桜ヶ丘のジャズ喫茶「メアリージェーン」へ。渋谷にはかつて百軒店に「スイング」や「ミンガス」などいいジャズ喫茶があり、さらには「ブラックホーク」「BYG」などロック色の強い店もあった。今ではほとんどが閉店してしまった。
          メアリージェーン① 
          ニューヨーク・マンハッタン?

「メアリージェーン」は1972年創業の老舗ジャズ喫茶で、ファンも多い。ランチやデザートにも力を入れ、若い客にも人気がある。渋谷に残る数少ないジャズスポット。NYにでもいるようなジャジーな入り口から2階へと階段を登る。ドアを開けると、ウッディーな室内にチック・コリアが流れていた。客は3人しかしない。二代目のマスターと女性が1人。奥が厨房になっているようだ。懐かしい世界。
                 メアリージェーン② 
         入り口の誘惑
                 メアリージェーン③ 
          天国への階段

村長はメニューの中に「チーズケーキ」の文字を見つけた。「エスプレッソコーヒー」とセットで1000円。村長のセンサーがビビビと反応した。チーズケーキはマンハッタンスタイルのチーズケーキだとわかった。マスターにそれを頼む。7~8分ほどで、まず「エスプレッソコーヒー」が登場。カップの底に少量のエスプレッソが沈んでいる。角砂糖を入れてかき混ぜてから飲む。ほのかな苦みと豊かな香り。まろやかさ。コーヒが苦手な村長でも美味いと思った。
          メアリージェーン④ 
          天国の誘惑
          メアリージェーン⑤ 
          本格的エスプレッソ
          メアリージェーン⑥ 
         香りと苦みとまろやかさ
          メアリージェーン⑦ 
        マンハッタンスタイルのチーズケーキ

少し遅れて「マンハッタンスタイル チーズケーキ」がやってきた。大きめで、ドッシリとした乳白色が可憐なクレソンをかしずかせて鎮座していた。これが美味だった。しぼりたての牛乳をそのまま固めたような素朴な味で、フォークを入れようとしても、少し力を入れないと固くて入らない。だが、口中に入れると、ほろほろと崩れ、溶けるように粘膜の奥へと消えていく。ほどよい甘みとまろやかな酸味。その濃厚な余韻。エスプレッソコーヒーがスタンリー・クラークのベースのようにそれを引き立てる。うむむうむむ。
          メアリージェーン⑧ 
          アーユーレディ?
          メアリージェーン10 
          素朴な圧倒
          メアリージェーン11 
          突きたてろ

「このチーズケーキは自家製ですか?」
マスターに聞いてみた。
「いえ、チーズケーキだけは特別に仕入れてます」
「マッハンタンから直行便で?」

マスターは苦笑しながら、「知人に頼んでるんですよ。チーズケーキの名人です」。チック・コリアのピアノがおバカな村長の疲れた脳にピンポイントで突き刺さってくる。セロトニンが流れ始める。バカが消えていく。天国まで3マイル・・・。


本日の大金言。

ジャズ喫茶が少なくなっていくのは寂しすぎる。都会の大人の隠れ場としても、さらに進化して生き残って欲しい。


                      メアリージェーン12 

創業93年、人形町の「ちくわドッグ」

 京都からお江戸に戻ってきた村長は、兜町にある秘密ペンクラブへ。大好きな人形町で降りて、ぶらりぶらりと兜町方面へと歩いて行った。時計を見ると、午後2時を回っていた。腹の虫がキュンと鳴いた。まだ昼飯を食べていない。近くに「サンドウィッチパーラー まつむら」があることを思い出した。大正10年(1921年)創業の下町のパン屋で、喫茶コーナーもある。
           まつむら 
      めっけ!(日本橋人形町1丁目)

ご高齢の店主は2代目で、一家で店を切り盛りしている。クリームパンが有名だが、「ちくわドッグ」や「豆腐メンチ」などアイデアにあふれた惣菜パンも美味い。村長はここのメロンパンが好きで、何度か食べに来たこともある。いつ行っても地元の客でにぎわっていて、このパン屋さんが地元で愛されていることを感じる。
           まつむら① 
           ここでパン屋さん93年

村長は喫茶コーナーに腰を下ろし、パンを選びに行った。「ちくわドッグ」(165円)と「メープルメロン」(130円)が残り少なくなっていた。今回はこの二つをゲット、「アイスコーヒー」(280円)も頼んだ。二代目と女将さんが元気に働いている。その姿を見ているだけでなぜか幸せな気持ちになってくる。
           まつむら④ 
           ちくわドッグ残り3個
           まつむら③ 
     メープルメロン残り2個(隣はメロンパン)

まずは「ちくわドッグ」を賞味することに。むろん、この店のオリジナル。自家製のコッペパンに縦に切り込みを入れ、そこにツナペーストを塗り、半分に切ったチクワを乗せる。それをさらに焼く。チクワとパンはミスマッチだと思うかもしれないが、これが実に美味い。ガブリと行くと、まずしっとりとしたパンの素朴な美味さに気づく。ツナペーストとチクワが絶妙にマッチする。かすかにマヨネーズの味もする。
           まつむら⑤ 
           いい組み合わせ?
           まつむら⑨ 
         これが「ちくわドッグ」さま
           まつむら10 
          ホントに美味いかって?

「パンが美味いですねえ」
女将に言うと、「あら、うれしいわ。うちのパンは普通よりも卵を多く入れているんです。しっとり感と歯ごたえはそのせいかもしれませんよ」下町のおばさんそのままの飾りのない応対。

次に「メープルメロン」へ。「メロンパン」が美味いのはわかっているが、「メープルメロン」は初めて。何よりも外側のビスケット生地がドテッとしていて、しっとり感にあふれている。メロンパンはカリッとしてるのに、メープルメロンはしっとり。その素朴で無骨な姿も悪くない。手で二つに割ると、メープルを練り込んだデニッシュのような生地が現れた。むむむ。
           まつむら⑥ 
           どっしりメープルメロン
           まつむら⑦ 
           ふんわりしっとり

かじると、メロン風味のビスケット生地と、中のしっとりと柔らかいメープルのパン生地が、口中で絶妙な風味に変換していく。ミルクとメープルの濃厚な風味。ここでもパンの美味さが際立っている。素朴に美味い。合計575円のほどよい幸福。古き良きパン屋さんが街にあることの幸福。このところ自分が幸福なのか不幸なのかわからなくなっている村長に、「あんた、そんなぜいたくなこと言っちゃあ、ダメよ」とメープルパンがささやいたような気がした。


本日の大金言。

同じ場所で93年パン屋を続ける。その気の遠くなるような時間と困難を思い描いてみる。石の上にも三年。



                      まつむら12

緋毛せん縁台、まさかの「焼き草餅」

 新京極をブラブラしていた時に見つけた見つけた珍しい、きな粉でまぶした焼き草餅をご紹介しよう。新京極は明治になってできた比較的新しい繁華街で、かつては見世物小屋や芝居小屋が建ち並んでいたという。
一時はヤンキーがたむろしたり、地元の人も「難儀やなあ」と敬遠する時期もあったようだが、今では魅力的な店も増え、観光客はもちろん、地元の人や若者、外人の観光客などで賑わう通りとなっている。

           新京極① 
           ゲット、ラッキー?(京都・新京極)

美女らしき女性の後ろ姿に見とれていると、ふと、甘いいい匂いが村長の鼻腔をくすぐった。若い女性が草餅を焼いていた。甘味中毒者の悲しきサガで、目がびよーんとズームアップ。鉄板の上で、きな粉をまぶした大きめの草餅が薄っすらとキツネ色に焼かれていた。珍しいきな粉の焼き草餅! 「特製 京の草餅」(1個120円=税込み)の表記。見た目の美味そうさと値段の安さ。ゲット、ラッキーか?
           寛永堂 
           いい匂いが流れてくる

店は寛永7年(1630年)創業の「三条菓子司 寛永堂」だった。本店は四条にあり、ここは京極店。その老舗が縁日のような売り方をしているのが気に入った。多分新京極の成り立ちを取り入れての店の粋な計らいではないか。店の前に緋毛せんの縁台も置いてある。
           寛永堂① 
           あの老舗「寛永堂」だった
           寛永堂④  
           降参どす

「1個ちょーだい。あの縁台で食べてもいいの?」
「へえ、おおきに。もちろんどす」
草餅を焼いていた若い女性スタッフがにこやかに対応する。滝川某の「おもてなし笑顔」には少々違和感を感じていたが、この女性の笑顔にはなぜか違和感を感じない。

緋毛せんに腰を下ろすと、別の女性スタッフが温かいお茶を持ってきてくれた。見ると黒豆が2個入った黒豆茶。寛永堂は黒豆羊羹が売りだったことを思い出した。とはいえ120円のお客にこのおもてなしサービス。つい黒豆羊羹を買おうかという気持ちになってしまう。むろん、買わなかったが。
           寛永堂⑤ 
           120円のぜい沢

焼き草餅は手を汚さずに食べれるようにという配慮で、紙で包まれていた。焼き立てなので熱さがじんわりと手に伝わってくる。それが心地よい。きな粉をまぶした草餅は表面がキツネ色のこんがり感。かじると、よもぎの香りときな粉の香りが1・3倍ほど引き出されて口中に広がっていくのがわかった。その後から柔らかい、甘さを抑えた絶妙なつぶしあんが口中を支配していった。
           寛永堂⑦ 
           こんがりキツネ色
           寛永堂⑧ 
           ため息どす
           寛永堂⑨ 
           おおきに

よもぎ餅はちょうどいい厚さで、柔らかく伸びがある。その中にたっぷりと詰まったつぶしあん。小豆のいい風味が立ち上がってくる。塩気はない。予想以上の美味。「竹隆庵岡埜のこごめ大福」にも焼き草大福(1個210円=税込み)があるが、そのドテッとした野暮ったさとは比較しようがない。むろんその野暮ったさも好きだが、京都の奥の深さをここでも感じる。新京極を行き交う若いカップルを見ながら、村長は、ほんの一刻だけ甘味中毒者の幸せに浸るのだった。


本日の大金言。

空高く馬肥ゆる秋。テレビの前から、パソコンの前から、スマホの前から、諸君、外に出よう。安くて美味いものがきっとどこかにあるはずだ。話しはそれからだ。



                       寛永堂10 



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日本最古「和菓子屋のあぶり餅」

 「玉の輿(こし)神社」とも言われる今宮神社参道に日本で一番古い和菓子屋がある。「あぶり餅 一和(一文字和輔)」である。村長はこれまで何度も京都に来ているが、「一和」には行ったことがない。友人のお茶の師匠から、「一和に行かずして和菓子は語れませんよ」と言われたこともある。何せ創業が長保2年(1000年)という俄かには信じがたい店。源頼朝も豊臣秀吉も生まれていない。ひょっとして、世界一古いお菓子屋さんかもしれない。
           今宮神社① 
         まずは今宮神社に参拝

今回の旅の目的の一つがここへ行くこと。午前10時、今宮神社は疫病を鎮める神様でもあるので、「どうかエボラ出血熱が少しでも早く治まりますように」と祈願してから、静ひつな空気の中を、南側の参道へと向かった。すると、両側にタイムスリップしたような大構えの茶屋が向かい合って二軒並んでいた。右が「一和」で、左が江戸時代創業と言われる「かざりや」。1000年超とと400年超という歴史。頭がクラクラしてきた。どちらもあぶり餅の店。まだ口開けしたばかりで、お客はまばらだった。
           一和とかざりや  
           右が「一和」、左が「かざりや」
           いち和③ 
        1014年の時を超えて

村長は創業年に敬意を表して、一揖(いちゆう)してから「あぶり餅 一和」の縁台に腰を下ろした。開放的な縁台の奥は広い座敷が二つ。そこで食べることもできる。「一和」は代々茶道や華道を指南する家柄で、千利休もここのあぶり餅を茶菓として使っていたという。入り口で、年配の女性が竹串の小さなあぶり餅を一本一本ていねいに焼いていた。炭は備長炭で、赤々と熱を放射し、大きなヤカンも置いてある。焼き上がったら、それを秘伝の白味噌ダレにくぐらせていく。
           いち和⑤ 
         備長炭でていねいに焼く
           いち和13 
       最後に白味噌ダレにくぐらせる

あぶり餅(お茶付き 一人前500円)を頼んだ。7~8分ほどで、香ばしい匂いとともに「あぶり餅」がやってきた。えんじ色の漆器の皿に載ったあぶり餅は予想以上に小ぶりで、女性の小指の先ほどの大きさ。それが13~15本ほど。餅の焦げ目と秘伝の白味噌ダレ。口中に含むと、その焦げ目が見た目ほど気にならない。というよりも、むしろその絶妙な焦げ目が甘味噌ダレと相まって実に香ばしい。
           いち和11 
           一人前500円どす
           いち和⑦ 
           おこしやす
           いち和⑧ 
           焦げ目が美味
           いち和⑨  
           あーん

急須に入ったお茶が美味い。千年以上の歴史に思いをはせながら、ていねいに食べる。本数はあるが、餅自体が小さいために、きれいに平らげても、せいぜい腹三分ほど。もう一皿頼むかどうか思案していると、右手の部屋で女性4人が車座になって、あぶり餅を作っている光景が目に入った。つき立ての餅を小さく手でちぎって、それにきな粉をまぶしていく。それを細い竹串に刺していく。見事な手つき。
           いち和14 
           仕込中どすえ

餅にきな粉をまぶし、それを備長炭で焼くという一連の手作業は見ているだけで感動する。1000年以上前から同じ作り方で、代々一子相伝で継承しているという。想像を超える歴史。観光客が殺到するのも頷ける。だが、どこかの観光地のような浮ついた感じがない。
           一和 
           当代は25代目

舌代を払う時に年配の女性にそっと聞いてみた。
「このあぶり餅を信長とか秀吉も食べたんですかね?」
「さあ、そないなことわかりまへん(笑)。見た人も残ってまへんよってに。記録に残ってたらええんですけどなあ。へえ、食べはったかもおへんなあ」
村長は間違いなく食べたと思った。美味そうに頬張る秀吉の猿顔が前頭葉をよぎったのだった。


本日の大金言。

最古の和菓子屋で時間の旅をする。そのぜいたく。当時、京都は何度も疫病に見舞われている。今宮神社とあぶり餅には病気・厄よけの切実な思いも込められている。



                         いち和15

京都の凄み、三条会商店街のランチ

 昼メシどき、グルメ先生の案内でちご餅で知られる堀川の「三條若狭屋」前で待ち合わせ。ちご餅でも食べるのかと思ったが、そうではなかった。三条会商店街の入り口にある、時代から取り残されたような店の前でグルメ先生の足が止まった。「ジャポネコーヒー」というレトロな看板。喫茶店のようでもあり、洋食屋のようでもある。入り口のショーケースにはうどん定食、洋食弁当、ランチ、焼き飯、カレーライスなどが並んでいる。どこか東京下町の洋食屋にも通じるような世界。「ジャポネコーヒー」が店名かと思ったが、ちから」が店の名前のようだ。
           ジャポネ① 
           侘びしい外見だが・・・(洋食「ちから」)

「ここで昼メシにしまひょ。ボクが普段よく来るところ。ここは洋食弁当かランチ以外はダメですよ」
いつものヒッヒッヒがない。カレーライスか焼き飯にしようかと算段していた村長の心を見透かしたように、釘を刺す。まるで叔母さんの家にでも来たような慣れた手つきでドアを開ける。やや怪しい気配。
           ジャポネ② 
           レトロなショーケース

三条会商店街は百年ほどの歴史を持つアーケードの商店街で、全長800メートルの長さの中に180もの店が軒を並べている。魚屋、豆腐屋、パン屋、レストラン、ラーメン屋、衣料品屋・・・京都の日常の庶民生活が息づいている。そんな印象が村長には心地よい。調べてみたら「ちから」は創業が大正2年(1913年)で、今年で101年目という洋食屋さんだった。だが、京都では100年くらいの歴史の店は老舗とは言わないそう。
           ジャポネ③ 
          うむむのメニュー

グルメ先生も今年で何歳になるかわからない。一説では応仁の乱をナマで見たという情報もある。グルメ先生おすすめの「ちからランチ」の中から、「A ビフコロッケ、えびフライ、ポークチャプ」(870円)を選んだ。「ビフコロッケ」「ポークチャプ」という表記に思わず感動。お上りさんの悲しいサガ。本当のおばさんのような気さくな女将が一人で切り盛りしていた。

店内はダークブラウンのカウンター席、それに年季の入った木組みのテーブルが4つほど。古き良き洋食屋の趣きで、外から見たよりもゆったりしていて落ち着く。カウンターの向こう側が厨房になっているようだ。瓶ビールを頼んでそれを飲みながら、待つこと15分ほど。いい匂いとともに、Aランチがやってきた。
           ジャポネ④ 
           いい匂いとともに登場

ひと目でスグレモノだとわかった。このおばさん女将の腕前、只者ではない。「ポークチャプ」は箸で切れるほどに柔らかい。たぶんロース肉。口中に入れると、肉の旨味がほとばしってくる。上にかかっているデミグラスソースの美味。エビフライは尻尾がピンと上がっていて、カラリと揚げられている。こちらにはタルタルソースがかかっている。特製ソースのかかった「ビフコロッケ」はビフは少ないものの、雑味のないジャガイモと細かいパン粉のバランスがフツーにいい。どこにも手抜きが見られない。3種類のソースが何事もなくフツーにかかっていることの驚き。
           ジャポネ⑤ 
           ほとんど完ぺき?
           ジャポネ⑥ 
           ポークチャプの実力
           ジャポネ⑦ 
           えびフライの実力
           ジャポネ⑧ 
           ビフコロッケの実力

大きな茶碗に小山のように盛られた炊き立てのご飯。それに湯気が家庭的に立ったみそ汁。すべてがフツーに上等で、それがさり気なく目の前にある。これ見よがしの宣伝がかけらもない。舌代の安さ。グルメ先生はいつもこんなものを食べているのか。ガイドブックにも載っていない街の洋食屋さん。食べログにも出ていない。「ここはあんまり教えちゃいけませんよ」グルメ先生が声を潜める。村長は京都の奥の深さに改めて舌を巻いた。


本日の大金言。

フツーの旨さがフツーにあることの凄み。ガイドブックや食べログがあまりに軽く見える世界が京都の奥に隠れている。




                      ジャポネ11 

昭和大衆食堂の自家製コロッケ

 夕暮れ時、にぎやかな新京極通りをぶらぶら歩いていると、突然エアポケットに入ってしまったような錯覚を覚えた。「三丁目の夕日」以前の、映画のセットのような昭和の世界。昭和モダンの世界。「スタンド」と書かれた白い暖簾が下がっていた。最近多い、作り物の、映画のセットのようなレトロ居酒屋とは雰囲気が違った。噂に聞いたことがある「京極スタンド」だった。昭和2年創業。吉田類や太田和彦も訪れている、京都の老舗居酒屋だった。いや、居酒屋というよりも大衆酒場という言葉のほうが似合う。
           京極スタンド① 
     ホンマもんのレトロどすえ(新京極「スタンド」)

中に入ると、右手には細くて長い大理石のカウンターテーブルがどこまでも伸び、左手には丸テーブルが4つほど。それらは昭和2年の創業当時の物だそう。壁にはレトロなポスターが張られ、なぜか懐かしいキューピー人形も置いてある。めっけ、という感じ。村長は大理石のカウンターテーブルに腰を下ろし、まずは「生ビール」(中=520円)を頼み、次に「自家製コロッケ」(620円)と「はも天ぷら」(680円)を注文した。京都にはもは外せない。
           京極スタンド③ 
           木札のメニュー
           京極スタンド12 
           昭和2年の世界

6時前だというのに、客がどんどん入ってくる。観光客らしい3人組の若い女性がハイボールを旨そうに傾け、すじ煮込みやポテトサラダをつついている。上沼恵美子を若くしたみたいな女性(若女将?)がいい感じで生ビールを置き、続いて揚げ立ての「自家製コロッケ」、「はも天ぷら」を置いていった。
           京極スタンド④ 
           自家製コロッケ
         

           京極スタンド⑤ 
           はも天ぷら

自家製コロッケは丸くてデカいのが2個。デミグラスソースふうのソースがたっぷりかかっていて、それはトマトケチャップにとんかつソースを加えたオリジナルソースのようにも見え、細かなパン粉のこんがり具合といい、実に旨そう。添えてあるレタスとレモンがみずみずしい。白いスパゲティもマル。昭和から出来立てのままタイムスリップして「出前でーす」とやってきた感じ。マヨネーズもどっかと添えられている。

箸を入れると、マッシュされた男爵イモがそのままで、そのほっこり感がよき時代の大衆食堂の味わい。余分なものがないコロッケ。よく見ると、合いびき肉も入ってる。豚か牛かわからない。上沼恵美子さんに聞いたら、快活に「豚ですよ。あんまり入ってへんでえ」。よき大衆酒場の匂い。
           京極スタンド⑧ 
           この瞬間がたまらない
           京極スタンド⑨ 
           ほとんどジャガイモ!

「はも天ぷら」はそば屋の天ぷらのようにコロモがどっかと付いている。それが6個。山椒塩が添えられているのが「さすが京都」。熱いのでふうふうしながら食べると、コロモの存在が強すぎて、はもを味わうどころではない。それでも淡泊な味わいはかすかに伝わってくる。この野暮ったさがいい。
          京極スタンド10 
          はも天ぷらを山椒塩で・・・

向かい側の青年が声をかけてきた。
「ボクは太田和彦さんのファンで、本で見てきたんですよ。横浜からです」
それを聞きつけた、さらに奥のメガネ男が合いの手を入れてきた。
「オレは吉田類のファン。太田和彦はキザすぎる。酒場放浪記で見て、名古屋から来たんだ」

太田和彦か吉田類かで舌戦になった。二人が同時に村長を見た。あんたは一体どっちなんだ? 村長は吉田類の方が好きだが、それを言うと、横浜青年が苦境に陥る。困った、どうする? スカンク作戦で行くしかない。仕方なく、酔った勢いでシェーをした。困った時のシェー。二人ともきょとんとした。昭和は遠くなりにけり。


本日の大金言。

大衆という言葉に力があった時代。一般庶民よりも言葉にユーモアと力があると思う。その大衆の姿はどこに消えたのか?




                     京極スタンド11 

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老舗「タマゴサンドウィッチ」の味

 二条城を見た後、近くの「雪ノ下本店」で評価の高いフレンチトーストを食べようと思い、三条油小路に向かった。本日は早朝からすでに3万歩近くは歩いている。腰にかなり来ている。午後3時半。まだランチを食べてない。だが、「本日休業」の看板。ツイテない。空が高い。
           京都 
           天国まで8マイル

近くにいたグルメそうなおばさんに、「このあたりで美味いフレンチトーストかサンドウィッチを食わせれくれる店はありませんかねー」と聞いてみた。京都で道を尋ねると、実に懇切丁寧に教えてくれる。それで、店の情報もひょっとして、と思い、生の情報をゲットしようと思ったのだった。足が限界に来ていたこともある。

おばさんはしばらく考えてから、ニカッして、「少し歩きはりますけど、寺町通り三条上るにタマゴサンドウィッチの旨い店があります。古い喫茶店ですけど、最近凄い人気のようですよ」と丁寧に道順を教えてくれた。天国まで8マイル。寺町方面へとしばらく歩くと、三条商店街があり、そこにおばさんが教えてくれた「スマート珈琲」があった。喫茶店というよりもパリのビストロのような店構えで、ダークブラウンのレトロな店内にはゆったりとした時間が流れ、午後4時だというのにほぼ満席だった。
           スマート珈琲① 
           たどり着いた!(「スマート珈琲)

たまたまか一番奥のテーブルが開いていて、そこに座ると、フレンチトーストにしようか、タマゴサンドウィッチにするか迷った。おばさんの助言を信じることにした。「タマゴサンドウィッチ」(650円)と「珈琲」(450円)を頼んだ。去年「イノダコーヒ本店」でモーニングを食べ、雰囲気を含めて感動したことを思い出した。
           スマート珈琲③ 
         タマゴサンドウィッチ650円なり

「スマート珈琲」はその「イノダコーヒ」よりも古い。昭和7年(1932年)創業で、イノダのように店舗を広げていない。太秦(うずまさ)にもう一店舗あるだけ。4人の女性スタッフがテキパキと動いている。奥が厨房になっていて、そこでサンドウィッチを作っているようだった。

12~3分ほど待って、いい匂いとともに「タマゴサンドウィッチ」とコーヒーがやってきた。東京は茹で卵を潰すスタイルだが、関西は卵焼きスタイルが多い。目の前のサンドウィッチも、かなり厚みのある見事な卵焼きが柔らかい食パンの間に挟んである。それが6切れ。レタスなど野菜らしきの姿はない。そのシンプル。
           スマート珈琲④ 
           シンプルの極み
           スマート珈琲⑤ 
           魔法がかかってる?
           スマート珈琲⑥ 
           あ~ん

ひと口、ガブリと行く。サンドウィッチはガブリに限る。まずパン生地の柔らかさとしっとり感。次に卵焼きの絶妙な焼き加減。卵の肉汁(おかしな表現だが)がジワリと滲みでてくるよう。卵がふくよかに感じる。ほのかにマスタードとバターの香り。実にシンプルな構成だが、旨みと柔らかさのギリギリのところで勝負している。これも職人芸なのは確か。
           スマート珈琲⑧  
           絶妙な焼き加減
           スマート珈琲⑦ 
           秘密の世界・・・
           スマート珈琲⑨ 
           どないどす?

女性スタッフに聞いてみると、「卵は3個ほどで、滋賀県産のものです。味付けは塩だけで特別なものは使っていません」とか。焙煎のいい香りのするコーヒーを飲みながら、甘みさえ感じるタマゴサンドイッチを楽しむ。足の疲れもどこかに飛んで行った。


本日の大金言。

京都にはいい洋食屋やカフェも多い。京都は伝統の街だが、進取の気性に富んだ街でもある。和食だけではない。





                        スマート珈琲10 


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奈良・浅草「柿の葉寿司の夜」

 三軒茶屋博士ご夫妻の京都別邸で賞味した「柿の葉寿司」について書こうと思う。上七軒のおでん屋で少々ぜい沢な夕飯をごちそうになってしまった村長は、誘われるままにグルメ先生と一緒に、近くにある京都別邸へと酔い覚ましのお茶を飲みに上がった。泡の立つお茶・・・。

「グルメ先生から頂いた柿の葉寿司を開けましょう」
三軒茶屋博士がそういって、包みを解き、「柿の葉ずし」を取り出した。それが奈良・吉野町に本店を構える平宗の「柿の葉寿し」(鯖3個、鮭3個入り 875円)だった。きれいな柿の葉に包まった柿の葉寿司が現れた途端、村長の心が少しざわめいた。
           柿の葉寿司① 
           平宗の「柿の葉寿し」

以前、このブログでもご紹介したが、東京・上野駅構内にある「ザ・ガーデン」で弁当人気ナンバーワンという別会社の「柿の葉寿司」を食べたことがある。食べた後にその話をグルメ先生にしたら、「あそこの柿の葉寿司は添加物が入っているし、本物じゃない」と一刀両断されたことがある。そのグルメ先生おすすめの柿の葉寿司が目の前にある。

(株)平宗は(株)柿の葉ずしと先日合併したばかりだが、「平宗」の屋号はそのまま残している。創業が文久元年(1861年)の老舗で、本店以外にも奈良市内に直営店がある。どんなものか調べてみたが、昔ながらの木桶で作る製法にこだわり、ナレ(乳酸発酵したもの)と糀(こうじ)に魚を漬ける。それによって魚の鮮度と旨味をさらに引き出す。添加物は使用していないようだが、調味料だけは使用しているようだ。これは楽しみ。ひっひっひ。ありゃ?
           柿の葉寿司② 
           見事な柿の葉

まずは鯖(さば)をいただく。醤油は付けない。ネタの大きさは上野駅の柿の葉寿司よりも大きい。確かに本物感。口に入れた途端、鯖の甘みと旨みが広がる。感心したのは酢飯で、一粒一粒がやや固めながら、全体がふわりとしている。空気がいいクッションになって緩やかに詰まっているという印象。上野で食べたものよりも座布団二枚ほど美味。
           柿の葉寿司⑥ 
           鯖でおます
           柿の葉寿司⑤ 
           テカりと旨味

次に鮭(さけ)。キングサーモンのような脂の乗りで、ナレと糀によって、その過剰がじっくりと抑えられ、その寝かされた新鮮な旨味が口中で開花するよう。酢飯の旨さがそれを下から支える。うむむ、うむむ。グルメ先生が満足そうにうなづいている。白旗どす。 
           柿の葉寿司④ 
           鮭どすえ
           舟和あんこ玉② 
           ま、ひと口

柿の葉寿司は奈良、和歌山を中心に石川にもある郷土食だが、柿の葉には殺菌効果もあるそう。そんな話をしていると、若々しい三軒茶屋博士夫人が浅草「舟和」の芋ようかんとあんこ玉を見事な大皿に出してくれた。京都で奈良の柿の葉寿司と浅草甘味のまさかの出会い。テーブルの上の三都物語・・・。ミシンと蝙蝠傘はないか。村長は馬鹿面のまま京都の思わぬ夜をしばしの間堪能したのだった。
           舟和あんこ玉① 
         舟和の芋ようかんとあんこ玉

本日の大金言。

寿司のルーツはなれずしで、古来から保存の効く食糧として、近江地方を中心に発達したようだ。琵琶湖周辺には今でもなれずしを食べさせてくれる店がある。柿の葉寿司はその流れを汲むものなのだろうか。



                        柿の葉寿司⑦ 





北野天満宮門前の「やき餅 1個100円」

北野天満宮へ豊臣秀吉が造った御土居跡を見に行く。 現在ではその名残りしか残っていないが、そのスケールは想像を絶する。京都の中心部をぐるりと土の城壁で囲み、内側を洛中、外側を洛外とした。城壁の外側には広くて深い濠まで巡らせている。目を閉じて四百二十数年前、往時の様子を思い描こうとするが、スケールがデカすぎてイメージすらできない。「想像力が貧困なだけですよ。ひっひっひ」グルメ先生の声がした気がした。
           北野天満宮②  
           秀吉の夢の跡

そのグルメ先生が三軒茶屋博士と合流、両巨頭と落ち合う時間が迫ってきた。グルメ先生も三軒茶屋博士も天満宮の近くに屋敷と別邸を構えている。東門へと急ぐ。すぐ向こうは上七軒。今上映中の「舞妓はレディ」(周防正行監督)の舞台にもなった古い花街が目の前。すると、グルメ先生からケイタイ。「30分ほど遅れます。あーた、その辺歩くとよろしい」。

午後4時半。村長は仕方なく東門から上七軒へと周辺をブラ歩きすることにした。すると、白い長暖簾に「やきもち」と書かれたいい雰囲気の「おまん屋さん(饅頭・餅菓子屋)」が目に飛び込んできた。「やきもちの天神堂」で、知る人ぞ知る店だった。
           天神堂① 
        おおっという店構え(天神堂)

入り口にある年季の入った木組みのケースを覗くと、蝋細工の「やき餅」が並べられ、ほとんど売り切れ状態。「残り8個(1個100円)」の文字が神様に見えた。よく見ると、焼き大福のよう。ツイテル。滑り込みセーフ!
           天神堂③ 
           残り8個

店内は実にシンプルで、小さなテーブルが二つだけ。中で食べることもできるようだ。こちらも見るからに年季の入った店主(二代目)に「2個ください」と注文、中に入ってテーブルに腰を下ろした。小皿に盛られて、ラップに包まれた「やき餅」が2個運ばれてきた。テーブルの上には麦茶のペットボトルが置かれていて、店主が湯呑みを持ってきてくれて、どくどくと入れてくれる。何やら東京の古い下町か田舎の門前にでも紛れ込んだ気分。村長の好きな世界。
           天神堂④ 
           やき餅2個登場  
           天神堂⑥ 
           この存在感

この「やき餅」が実に美味だった。素朴な美味。焼いてから時間が経っていて、冷たくはなっているが、焦げ目がギリギリのところで限界を保っている。職人芸。外側の餅がかなり薄いので、中のつぶしあんがいい具合に透けて見える。その圧倒的な存在感に思わず見入ってしまった。太宰府天満宮門前の「梅ヶ枝餅」にも似ている。

手で割り、まずはひと口。餅が柔らかい。つぶしあんがぎっしりと詰まっていて、こってりとした濃厚な小豆の風味と甘みが口中に広がった。餅の焦げ目がいい風味になっている。村長にとっては思わぬ発見。店主としばし雑談した。
           天神堂⑨ 
           言葉は不要
           天神堂⑦  
       餅の薄さとあんこの圧倒

「息子(三代目)が大鍋であんこを炊いてますのや。かまどと薪で時間をかけて炊いてます。材料は北海道の小豆と砂糖だけ。塩は使ってまへん。それを餅で包んで焼く。全部手作業です。熱いのを食べたい? そりゃ、あきまへん。口ん中火傷しますで。冷めてるからええんです。創業? 元々は初代が上賀茂の『神馬堂』で修業して、昭和27年にここで店を出したんですのや」

神馬堂の「やき餅」はあの池波正太郎もファンだった。その流れを汲む歴史の滲み込んだ味。200円で大いなる満足感。店主は消費税も取らなかった。京都の奥の深さ。その大きな背中を見つめながら、暖簾の外に出ると、遠くにグルメ先生と三軒茶屋博士のお姿が見えた。グルメ先生が神様に見えた。


本日の大金言。

京都の和菓子は上菓子から餅菓子まで一つの宇宙である。その入り口ですでに迷子になってしまった。


                      天神堂10 






これぞ究極?京都のおいなりさん

 京都の油揚げは格別である。きつねそば・うどんにしても衣笠丼にしても主役は「お揚げさん」で、その美味さは相撲番付に例えると、西の横綱で、永遠の双葉山とでも言いたくなる。こと油揚げに関しては東京も「稀勢の里」か「遠藤」だと思う。京都の街を歩くとよくわかるのだが、街のいたるところに油揚げ屋がある。大きさも「大」「中」「小」3種類あり、その多様さに驚く。関東の油揚げは京都では「小」でしかない。

その「お揚げさん」を最も楽しめるのが「おいなりさん」かもしれない。村長はその頂点の味を求めて京の街を右往左往した。旅館の女主人から、「そやなあ、新京極の『乙羽』に行ってみはたっらどないですか。いいお味出してはります」という情報をつかんだ。調べてみたら、「寿司 乙羽(おとわ)」は明治中頃創業の寿司屋で、穴子の「むしずし」が有名な店だった。箱寿司や巻き寿司もある。
           寿司乙羽① 
           新京極の老舗「寿司 乙羽」

四条通から新京極に入って、すぐ右手に「寿司 乙羽」の看板が視界に入った。入り口のショーケースには蝋細工の箱寿司や巻き寿司などが陳列され、その目立たないところに「いなり」(税抜き780円)のお姿。店の右手が板場になっていて、3~4人の寿司職人さんの姿が見えた。暖簾をくぐると、年季の入った明るい木のテーブルが8つほど。小上がりもあり、そこにはテーブルが二つ。
           乙羽 
           迷路への助走
           寿司乙羽11 
           おいなりさん、めっけ!

午後2時を過ぎていたためか、客は少ない。女将さんらしき女性が「おこしやす」とお茶とおしぼりを運んできた。
「おいなりさんを一つ、お願いします。安い注文ですいません」
村長が胸元に軽く変化球を投げると、手をひらひらと横に振って、
「ここに来て食べてくれはることが一番うれしいんです。老舗? うちは創業120年ですけど、京都ではいくらでもあります」
まるで下町のおばさんのように、しばらく雑談に応じてくれる。
           寿司乙羽⑥ 
           メニューの一端どす

注文してから作り始めているようで、15分ほど待つと、金地の漆器の皿に見事なおいなりさんが6個「おいでやす」と鎮座していた。隅には桜色のガリ。東京の俵型ではなく三角形で、横から見ると大きな巻貝のようにも見える。これが絶品だった。口に入れた途端、油抜きしてからじっくり炊いた「お揚げ」の柔らかさに軽く驚く。
           寿司乙羽③ 
           おこしやす
           寿司乙羽④ 
           究極のおいなりさん?
           寿司乙羽⑦ 
           後ろから失礼

「昔から同じ作りで、1時間以上炊いている」というお揚げは、大きくてふくよかな厚みがある。それでいて形の崩れがまったくない。かつお節と昆布だけで取った出汁に薄口醤油と砂糖と酒で味付けをする。言葉で書くと簡単だが、その120年の技はダテではない。中の酢飯はよく見ると、細かな人参とゴボウ、それに白ゴマが点々と混じっている。酢飯は少なめでつややか、それがお揚げの存在感をより際立たせている。
          寿司乙羽⑧ 
          酢飯の絶妙なバランス
          寿司乙羽⑨ 
         京都流の酢飯

やや甘めのジューシーな幸福感にしばし浸りたくなる。村長の体がほとんど骨抜きになる。これは究極のおいなりさんか? グルメ先生に聞いてみたいと思ったが、「あーた、京都では究極なんて言葉を使ったらあきません。お里が知れますよ、ひっひっひ」という顔が浮かんで、糸電話するのを辛うじて思い止まった。京都は奥が深すぎる。

本日の大金言。

東京の稲荷寿司も旨い店があり、比べるのが間違いかもしれない。だが、京都のおいなりさんはそんな配慮さえも超えていると思う。京都のお揚げ文化こそ世界文化遺産かもしれない。



                        寿司乙羽10

縄のれん「学生居酒屋」のだし巻き

「いいとこへご案内しましょう。ぐひひひ」
不気味なほどきれいな夕焼けに向かって、グルメ先生が千鳥足の3人を引き連れて、何処かへと向かう。いつのまにか通称裏寺町通の細い路地に入っていた。新京極通四条上ルあたり。迷路の予感。刺客がどこかに隠れているかもしれない。京都に慣れているはずの浪花の大出局長代理も辻山教授も「ここはどこ? 私は誰?」状態。村長は二度ほど蹴つまづいた。

グルメ先生の足が止まった。暗がりに見事な縄のれんが下がっていた。「静」という灯りがボッと浮かび上がっている。どうやら店名らしいが、外側から見ただけでは、ここがまさか居酒屋だとは思えない。グルメ先生が妾宅にでも入るような手慣れた手つきで引戸をガラガラッと開けた。一瞬昭和初期にでも紛れ込んだかのような別世界が広がっていた。京都にはいつも驚かされる。
          静1 
           路地裏の別世界
          静② 
          見事な縄のれん

それが縄のれん居酒屋「静」だった。創業は戦後という説や戦前説、さらには大正時代という説まである。セピア色の照明の向こう側には煤けた天井の下、古いカウンター席があり、手前は十畳ほどの広さで歴史がしみ込んだ木のテーブル席がある。止まり木で浪花の織田作之助がこちらを振り向いた気がした。若き日の小松左京や開高健の残像も見えた。奥には半個室が何部屋かあるようだ。
          静③ 
          素晴らしき世界

「ここは昔から学生の居酒屋でね。店名は静なのに、中に入るとガヤガヤ。そこら中に落書きが書いてあるから見たらよろしい」
同志社OBだという金髪のイケメン店員が、怪しい一行を奥の半個室に案内する。6畳ほどの広さの古い壁からテーブルまで落書きが盛大に書かれていた。京都の学生の落書きの歴史。「これはアートかもしれない」村長は瓶ビールを飲みながら、唸った。1万年後、ここは「ラスコーの壁画」になるかもしれない。人類が生き残っていたらの話だが。
          落書き 
          落書きかアートか
          静⑥ 
          「だし巻」ははずせんでぇ

ここの「だし巻」(490円)と「あじの南蛮漬け」(460円)が美味だった。「だし巻」は卵を6~8個使っているのではないか、というほどのデカさで、京都にしてはやや味が濃いが、出汁感がたっぷりあり、その焼き加減が絶妙だった。大根おろしが欲しいが、学生の居酒屋という歴史を考えると、そんなヤワなことを言っている場合ではない。
          静9 
          迫力と焼き加減
          静10 
          熱々をふうふう
          静12 
          くせ者「あじの南蛮漬け」

「いもサラダ」(480円)は男爵イモがストレートに伝わってきて、こちらも味付けはやや濃い目。瓶ビール(中瓶600円)を3本ほど追加。大出代理は焼酎のお湯割りを飲み始めている。辻山教授の話が止まらない。グルメ先生がデカンショ節を唄い始めた。つられて村長も会津磐梯山を唄いはじめた。アナログが止まらない。「昔はよかったなあ」誰かが意味もなくつぶやいた。デジタル撲滅!村長も叫んでいた。安保反対! 酒税反対!反対の反対の反対・・・!
          静⑧ 
      ポテトサラダやない、いもサラダや

後日談。村長は創業年が気になって、女将に電話取材を決行した。
「それがようわかりまへんのどす。主人が4年前に亡くなって、その辺りのことはもう誰も知らはりまへん。主人のお母さんの代に店を始めて、ここに移ったのは戦後のようどす。今は娘も一緒にやってて、三代目ということになります。昔から学生さんがよう来てくれはります。また京都に来たら、ぜひいらしてください」


本日の大金言。

京都は三高以来学生の街でもある。だが、高歌放吟はカラオケに移り、デカンショはスマホに変わっている。香港の学生のデモがどこか懐かしい。







                        静13   




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祇園「いづ重」噂の「ぐぢのヒレ酒」

 約1年ぶりに京都へ。今回のミッションはいくつかあるが、その一つはむろん食いまくり。日本の食物連鎖の頂点に位置するグルメの魔都・京都で箸を枕に討ち死にたい、という密かな野望もある。京都にお住いのグルメ先生が「おいでやす、ひっひっひ」と待ち受けてもいる。

「あーた、ぐぢのヒレ酒、ご存じ? フグのヒレ酒なんて目じゃない。京都に来たら、祇園の『いづ重』にご案内しますよ。ここのぐぢのヒレ酒を味わったら、あーたでもすぐにでも天国行けますよ。ぐひひ」という誘いも受けている。いつもの南座前で午後6時に待ち合わせ。どこかに罠を仕掛けているに違いない。村長は西大寺を懐に入れて、グルメ先生と落ち合った。浪花から友人の大出局長代理と辻山教授も合流した。
           いづ重 
           嵐の予感

『いづ重』は天明元年(1781年)創業の超老舗「いづう」から明治末に暖簾分けした店。さば寿司などの巻き寿司や箱寿司が有名で、歴史は110年ほどだが、今や祇園の老舗としてメディアでも取り上げられることが多い。そのため並ぶのを覚悟で行かなければならない。夜も午後7時で店仕舞いしてしまう。
           いづ重① 
           老舗の情緒

幸い15分ほどで奥のテーブル席に案内された。タイムスリップ異空間。歴史がしみ込んだテーブルは右側に4つ、左側には一つ。古い見事な格子天井、壁面の上部には有田焼の皿がいくつも配置されている。骨の髄までおもてなしが滲み込んだ、感じのいい若女将がグルメ先生に何事か囁いた。グルメ先生がこの老舗の上客であることがうかがえた。

「『さばはこ』と『さばサンマ』を2人前ずつ。それにぐぢのヒレ酒を4つ
座るなり、グルメ先生が注文した。
「さばはこ」は一人前1512円(税込み)、「さばサンマ」は1674円。安くはない。さらに値段の高い「さばぐぢ」(3240円)や「はもぐぢ」(3780円)には目もくれない。その素早さに村長は舌を巻いた。達人芸。
                  いづ重17 
           雰囲気の圧倒        
           いづ重⑤ 
           メニューの選択

「ぐぢのヒレ酒」はメニューにはない。わかる人だけが注文するというのも京都の奥の深さ。グルメ先生に「いくらなの?」と聞いてみたら、小声で「1000円」。10分ほどで陶器の器に入った「ぐぢのヒレ酒」が何とも言えないいい匂いとともにやってきた。ぐぢ(若狭湾で捕れたアマダイ)を炙ってから、熱かんを入れ、炙ったヒレからにじみ出た旨味がいい具合になってからチビリと飲む。濃い飴色で、細かい泡が縁に浮かんでいる。 

           いづ重10 
       サンマ寿司、さば寿司、箱寿司の登場
           いづ重⑧ 
           ぐぢのヒレ酒どすえ
           いづ重⑨ 
           ま、ひと口
           いづ重15 
           イケずやなあ

全員が同時にチビリ。意外に甘い。もう少し辛口の方が好みだが、グルメ先生の座布団を一枚取るわけには行かない。濃密な甘みとアマダイのエキスが混然一体となっている。酒は多分西宮の名酒「白鷹」の本醸造。白鷹は辛口ではない。甘さはそのためなのか。それとも・・・グルメ先生に「砂糖でも入れているのかも」と小声でささやくと、さらに小声で「アマダイって甘鯛と書くくらいで、その甘さに決まってるでしょ」と返ってきた。その目が魯山人になっていた。
          いづ重11 
         サンマの巻き寿司

あまりに旨いので、全員がおかわり。次第に酔っぱらってきて、格子天井がゆっくりと回り始める。親子酒ならぬ四人酒。さば寿司も噂通りの旨さだったが、村長はサンマ寿司が気に入った。酢飯の旨さ、さらに米酢で〆たさんまの鮮度の良さと塩加減が絶妙で、それらをつつきながら、ぐぢのヒレ酒をどんどん飲む。久しぶりのメンバーで談論風発。格子天井がはずれ、京の夜が現れてきた。「じゃ、次行きますか? ひっひっひ」グルメ先生がすっくと立ち上がった。全員の足下がヨロヨロ。この先、大丈夫か? 南からは超大型台風18号が近づいてきているというのに。


本日の大金言。

京都の夜は濃密である。底知れない迷路と闇の深さ。さば寿司もぐぢのヒレ酒もその隠し味があるからこそ、だと思う。




                      いづ重16 



ジャンクなアキバの無化調「中華そば」

 秋葉原はやはり変な街である。ひと昔前は電気屋の迷路というわかりやすい街だったが、街角にメイドが立っていたり、アニメキャラの店がピカピカしていたりすると、それが慣れっこになってしまったものの、村長の心のどこかで「これは不思議の国だ」という意識が作動する。アリスではなく不思議の国のアンギラス。

アキバをぐるぐると歩き回る。で、改めて気づいた。ラーメン屋が実に多い。それも脂ギトギト系がほとんど。さらにシシカバブ―の店やステーキ・ハンバーグなど肉系の派手ハデ満艦飾の店も目に付く。ジャンクフードの街・・・アキバに来るヤングボーイ・ヤングガールの食生活が気になる。アンギラスは「アオーン」と叫びたくなった。

昌平橋通りで「福の神食堂」というラーメン屋が目に入った。午後2時過ぎだが、人気店らしく、客が入っていた。ここで遅いランチを取ることにした。「福の神」という名前に引かれたのと、ギトギト感がなかったからだ。レトロチックだが、アキバらしくない清楚な店構え。白いノレンに「福の神食堂」という墨文字。店内は変形のL字型カウンター席のみで、15人も入れば満席という狭さ。スタッフは男性が2人。素材へのこだわりがあれこれ書かれている。福の神はいるか?
          福の神食堂 
          福の神はいるか?

村長は券売機で定番の「中華そば」(700円)を買い求めた。これが一番安い。「マル特 中華そば」(950円)とか「濃厚鶏茸つけ麺」(880円)など一見しただけでは訳の分からないメニューもある。
          福の神食堂② 
          定番の中華そばへ

7~8分で白い陶器のドンブリの「中華そば」が置かれた。「熱いですよ」とひと言。シンプルな構成で、ほどよい大きさのチャーシューが2枚、それにシナチク、海苔、白髪ねぎ、万能ねぎが配置され、ほんのりと脂が浮いたスープからいい匂いが立ち上っていた。スープは魚介系と豚骨・鶏がらの出汁を合わせているようだ。
          福の神食堂④ 
          こだわりの中華そば
          福の神食堂⑤ 
          景色はいい
          福の神食堂⑦ 
          スープの旨味
          福の神食堂⑥ 
          腰の強い中細麺

その下の麺は小麦色の中細ストレート麵で、コシが強め。大成製麺の特注麺。スープはマイルドな味で煮干しの匂いもする。「中華そば」の王道から外れない味わい。チャーシューは多分肩肉とバラ肉。やや固め。素材へのこだわりが過剰なほど書いてあるのは興醒めだが、ジャンクフードの街ではこれも大事なサービスかもしれない。
          福の神食堂⑧ 
          やや固めのチャーシュー

メンマも悪くないし、全体的にインパクトはないが、そこそこの旨さで、丁寧に作っているのがわかる。ほどよい満足感。どこか物足りなさも残る。
「ひょっとして化学調味料は使っていない?」
スタッフに聞いてみた。
「ええ、無化調です。体にいい素材にこだわってます」

気が付くと、アンギラスはすっかりおとなしくなってしまった。福の神はどこにいる?


本日の大金言。

アキバは未来への巨大な実験場かもしれない。ノアの方舟かバベルの塔か。何かが始まっている。



                       秋葉原  










浪花の「くずまんじゅう」に一目惚れ

所用で 東京・渋谷に出たついでに、久しぶりに東横のれん街を散策した。村長は昔から東横のれん街が好きで、老舗のすき焼き屋やうなぎ屋ばかりでなく、いい和菓子屋が並んでいる。たまたまそこで見つけたのが「いなば播七(はりひち)」の「くずまんじゅう」(1個173円=税込み)だった。ひと目見た瞬間、村長はその太夫(たゆう)のようなどっしりとした、豊満な存在感に釘付けになってしまった。
           いなば播七③ 
           創業233年暖簾の実力

「いなば播七」は大阪北新地に本店を構え、創業が天明元年(1781年)という老舗の和菓子屋。もともとは餅屋だったらしいが、おはぎが特に人気で、あべ川、黒豆大福なども売れ筋。「くずまんじゅう」は青々とした笹の葉に包まれて、そこからはみ出そうな透明なくず餅の皮とその奥に控えたあんこが、「おいでおいで」をしていた。
           いなば播七1 
           目移りしてしまう
           いなば播七① 
           目が釘付けに・・・

ついでに「黒豆大福餅」(1個173円)も買って、酒席を終えてから、ウマズイめんくい村に持ち帰り、賞味となった。買ってから6~7時間経っていたのと、電車に揺られて「くずまんじゅう」も「黒豆大福餅」も少し変形していたのが惜しい。

「黒豆大福餅」は黒豆の量が少なく、大きさもフツー。柔らかい餅とかなり甘い粒あんのバランスは悪くはないが、塩気が効きすぎているのと、餅の柔らかさが少々気になった。好みの問題かもしれないが、村長の舌には特筆するものを感じなかった。

だが、「くずまんじゅう」は見た目の凄み同様、笹の香りと中のくずまんじゅうが秀逸だった。半透明のくず餅はぷるんというよりねっとりした重厚な食感で、ほんのりと塩気が効いていた。その絶妙。その中のこしあんはやや甘めで、しっとりとしていて、口中で笹の香りとともにくずと小豆の風味が重なるように広がる。
           いなば播七② 
           圧倒的な存在感
           いなば播七③ 
           なめんなよ
           いなば播七⑤ 
           たまらん!

冷たい素朴な美味。ボリュームがあるのも好感。こちらも全体的に塩が効いているが、それがいい合いの手になっている。食べている途中で、くず粉は本くず粉を使っているのか、片栗粉なのか、好奇心がむくむくと湧いてきた。
          いなば播七⑥ 
          くず餅とこしあん

村長は大阪北新地の本店まで電話取材することにした。
あっ、東京でお買いになった? こちらは本店です。東京は東京でやってますんで、そちらに聞いてください」
どうやら本店のある大阪と東京店は別の経営のようだ。教えてもらった電話番号にかける。

くず粉は本くず粉と並くず粉、それに加工澱粉を使ってるんですよ。本くず粉だけだと冷やすと固まってしまうんです。いい食感を保つには加工澱粉を入れる必要があるんですよ。こしあんの小豆ですか? 北海道産です。砂糖? 上白糖を使ってます。添加物は使っておりません」
「あのう、こんなことをお聞きするのも何ですが、大阪の本店と同じですか?」
「そうです。同じレシピを使ってますから」

電話の向こうが村長の妙な質問攻めに呆れているのがわかった。冷や汗。だが、その丁寧な応対に「いなば播七」の暖簾の意地を感じた。「いなば播七のくずまんじゅうは美味かった」それでいいではないか。村長は好奇心が赴くままのリトル村長を思いきりシッペした。バカ者め。

本日の大金言。

暖簾と看板の重み。それは和菓子だけでなくすべてに通じるかもしれない。もろんその中身が問題なのは言うまでもない。



                         いなば播七10 

                 ※「いの字」様、ご指摘ありがとうございます。謝謝。




評価急上昇の立ち食いそば屋

 敬愛する人気ブロガー・渓流斎さんの「祝!210万超アクセス大祝賀会」に出席するために久しぶりに花のお江戸へ。100万アクセスを達成した約2年前にも参加している。会場はいつもの日本プレスセンター裏手の居酒屋「はらぺこ」。京都からわざわざ京洛先生も出席するとかで、村長は越中ふんどしを新調し、新しいワラジで日光街道を上った。

だが、途中でふと思い立って、人形町で途中下車。時間が多少あったので、立ち食いそば「福そば」に立ち寄ることにした。人形町は立ち食いそばの激戦区で、この店は最近メキメキと評価を上げている。村長が脱帽した日本橋「そばよし」を超えると評価する人さえいる。「食べログ」などでも評価が驚くほど高い。

今どき「食べログ」の評価をそのまま信じる人はよほどのお人よしだと思う。村長は、その新しい星を自分の目と舌で確かめようと思った。甘酒横丁の「玉ひで」からすぐ近く、村長が昔何度か通った「小料理 喜味」の並びに「福そば」の看板が見えた。「立喰いそばうどん」の幟(のぼり)がひる返っていた。外装を工事中だったが、悪くない店構え。
           福そば1 
        立ち食いとは思えない店構え

店内は清潔で、長い木のカウンターが伸びていた。椅子がなく、まさに立ち食い。和帽に白衣の男性と女性が二人で切り盛りしていた。立ち食いというよりもカウンターだけのきれいな小料理屋にでも入ったような雰囲気。入り口に券売機があり、村長は「天ぷらそば」(430円)を選んだ。
           福そば① 
           メニューはシンプル

「天ぷらは何にしますか?」
多分中国系だろう、だが、とても感じのいい応対。目の前には揚げ立ての天ぷらが数種類、旨そうに並んでいた。
「では、野菜のかき揚げでお願いします」
                          福そば② 
                         揚げ立ての天ぷらがズラリ

注文してから麺をゆで始める。かなり修行した形跡。水切りもいい。5分ほどで、目の前に「天ぷらそば」が置かれた。かき揚げはかなりの大きさ。タマネギと人参だけのシンプルなものだったが、カラリと揚げられていて、具のタマネギの甘みがとてもいい。刻みネギも新鮮。そばは日本橋の「そばよし」よりもほんの少し太めだが、コシがほどよくあり、立ち食いとしてはレベルの高さをうかがわせる。
           福そば③ 
           この高級感
           福そば④ 
       真上から・・・秀逸なかき揚げ
           福そば⑤ 
           そばも高レベル

ツユは濃く見えるが、甘めでやさしい味わい。もう少し甘さを抑えた方が好みだが、聞くと「昆布とカツオ節の他にサバ節も加えて出汁を取っている」そう。日本橋「そばよし」ほどではないが、上クラスなのは間違いない。天ぷらも麵もツユを吸って次第に膨らんでくる。早めに食べるのがルール。村長は「そばよし」が横綱とすると、ここは「大関クラス」だと思った。
           福そば⑥ 
           ツユは甘め

その後の「210万超アクセス大祝賀会」は波乱となった。キングギドラが火を吹き、ゴジラがシェーをやり、キングコングがワインをあおり、ガメラが焼きそばをつつき、あっちでワイワイ、こっちでガヤガヤ。これだからパーティーは止められない。気が付くと北極グマさんが倒れていた。次の300万アクセス大祝賀会が楽しみだ。


本日の大金言。

立ち食いそば屋を借り切ってパーティーというのはどうか。立ち食いそば屋の新しいビジネスモデルになるかもしれない。



                         福そば⑨
プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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