恒例?2015年大予想「明日の新聞」

百年後に「あの年が大きな転換点だった」 と言われそうな2014年も本日でお終い。日本丸の前途は危うい。ウマズイめんくい村の前途も危うい。
「またそんなこと言って。毎年そうやって、不安をあおるんだから」
村民2号がおせち料理を作りながら、手裏剣を飛ばす。

「去年大みそかの大予想は安倍首相の退陣はハズれるし、田中マー君のドジャース入りもハズれるしで、ひどすぎて声も出ないわ」
「そんなことないぞ。球団こそ間違えたけど、田中マー君の衝撃デビューとオールスター前の故障者リスト入りも当たった。サッカーW杯で予選敗退もドンピシャ」
芦田愛菜ちゃんの件はどうなったのよ。ロサンゼルスで普通の小学生になっていたなんて。映画に出たじゃない」
「あれは事務所の社長が村長のブログを読んで、方針を変えたんだよ」
「ウソばっかし。こんな予想、もうやめたら。と言ってもやるでしょうね。しょうがないわ、村長もボチボチ危ないから、聞いてあげるわよ」
「・・・・・・」

大予想その一 マエケン、ドジャースへ
広島・松田オーナーがポスティングでメジャー入りに反対していたことで、2015年のメジャー入りを事実上断念していた前田健太投手が、1月某日、急転、メジャー移籍を発表。移籍先はドジャース。ヤンキース黒田が広島復帰したことで、球団もマエケンの意思を尊重。背景には黒田の後押しもあったようだ。広島ファンも黒田の男気に感涙、マエケンにエールを送った。

大予想その二 エボラ出血熱、日本に上陸
エボラ出血熱の感染者が大きく広がる中、ついに日本で感染者第一号が確認された。WHOは「このままでは年内に感染者数は10万人を突破し、死者も3万人に達するだろう」と緊急警告を発した。

大予想その三  田中マー君、緊急手術へ
ヤンキース・田中将大投手がまたも故障者リスト入り。トミー・ジョン手術を決断。球団が「田中は未来のある選手。これからに期待してほしい」とコメント。今季は2勝4敗で終わった。

大予想その四 イスラム国崩壊へ テロの懸念広がる
世界を震撼させたイスラム国が内部崩壊。だが、世界中から集まった兵士がそれぞれの母国に戻ったことで、同時多発テロの懸念が深刻化。

大予想その五 日本売り加速、日本国債暴落へ
アベノミクス破たんへ。株価は1万円台をキープするが、中小企業の倒産が相次ぐ。それに伴い失業率も悪化。日本国債を手放す動きが加速。作家・幸田真音がコメント「恐れていたことが現実になった。政府の責任は重い」。

大予想その六 小保方さん、タレントに転身
理化学研究所を退職していた小保方晴子さんがタレントに転身することが明らかになった。記者会見で「これまでにいない化学タレントを目指します」と晴れやかに語った。芸名はスタップ・ハルコ。

大予想その七 アギーレ監督辞任、後任は長谷川健太氏
八百長問題で揺れるアギーレ日本代表監督が辞任。AFCアジアカップでV2を逃した責任を取った形だが、スペインの検察当局が告訴に踏み切ったことで、日本サッカー協会が決断。アギーレ監督は成田で記者の質問を遮って、「グラシアス、ジャパン!」と叫んだ。退職金を支払う密約を結んだことが後で問題になる。後任はガンバ大阪・長谷川健太氏。

大予想その八 富士山が不気味な予兆
地震と噴火があちこちで起こり、週刊誌が騒ぎ立てる。テレビのワイドショーも特集を組み、「冷静に対応してください」と呼びかけるが、専門家も「いつとは言えないが、いつ富士山が爆発しても驚かない状況に入っている」とコメント。某有名占い師が「8月×日」と発表、ひんしゅくを買う。

大予想その九 北朝鮮でクーデター
金正恩総書記が緊急入院説流れる。韓国情報筋の話で、クーデター勃発が明らかになった。金正恩総書記はロシアに亡命するも、ロシアが拒否。その後行方知らずとなる。

大予想その十 どうでもいいこと
ウマズイめんくい村が経営破たん。村長の浪費が原因。村民2号が再建のために新たに村長に就任。「最初の仕事は絵本を出します。猫を主人公にした絵本です。まずは1000部売りたい」と抱負を語った。

当たるも八卦、です。本年はひどい年でしたが、皆さんはいかがでしたか? 来年、またお会いしましょう。よいお年を!



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年の瀬、築地名物「茂助だんご」の味

 築地名物「茂助だんご」を久しぶりに手土産にした。場内(本店)にあるものとばかり思っていたが、いつのまにか場外店もできていた。村長は軽く驚いて、人混みに揉まれながら、美味そうに並んだ「茂助だんご」をひとパック(こしあん3本、つぶあん3本入り 924円)買い求めたのである。1本154円。いつのまにかそう安くはなくなっていた。
           茂助だんご② 
     年末の遭遇・・・(「茂助だんご」築地場外市場店)
           茂助だんご 
           吸い込まれる

エンターテインメント新聞社がまだ築地にあった頃、仕事に区切りをつけ、場内にある吉野家(第1号店)で牛丼を食べ、その並びにある「茂助だんご」に立ち寄り、デザート代わりに2本ほど口にしたりした。竹串に刺さった餡だんごはひと串3個ながら、東京の串だんごには珍しくあんこが餅を1個1個ていねいに包んであり、村長の胸をときめかせたものだ。日暮里の羽二重団子(こちらはひと串4個)も1個1個だが、敷居が高かったのでめったに行かなかった。

その「茂助だんご」。数年前、北千住駅ビルの「成城石井」で見つけたときは驚いた。ついにここまで来たか、複雑な気分になった。「だんご3兄弟」の大ヒット(1999年)でそのモデルとしても脚光を浴び、「茂助だんご」も人気が加速した。だが、成城石井で買った「茂助だんご」は形は同じだったが、時間の関係か餅が少々固くなっていて、感動は薄れていた。

創業は明治31年(1898年)。魚河岸がまだ日本橋にあった頃だから、その歴史は古い。魚河岸の旦那衆の手土産として人気を呼んだという。現在は4代目。「お召し上がりは本日中」と言われ、ウマズイめんくい村で夜の賞味となった。たまたま恐るべき食通のドン圭氏が訪ねてきたので、「ご一緒にいかがですか」と誘った。村民2号がお茶を入れる。
           茂助だんご③ 
           さあ賞味だ
           茂助だんご④ 
           この胸のときめき
           茂助だんご⑤ 
           見事な串だんご

まずはこしあん。しっかりとした見事な竹串。きれいなこしあん。かつての記憶がよみがえる。胸がときめく。北海道十勝産の小豆で作ったこしあんはサラッとしていて風味もある。甘さは控えめ。餅は国産の上新粉で、北千住で買った時よりも柔らかい。上新粉の歯ごたえもある。串だんごの本流の味わい。
           茂助だんご⑥ 
           どないどす?(こしあん)
           茂助だんご⑦ 
           かじり愛?

次につぶあん。つぶあんの串だんごは珍しい。村長の知る限り、1個1個つぶあんでていねいに包んだ串だんごは「茂助だんご」だけである。こちらはこしあんよりねっとりしていて甘い。砂糖は多分上白糖だろう。塩気が甘みを増幅させている。口中に広がるつぶあんの存在感。うむ、悪くない。
           茂助だんご⑧ 
           どないでっか?(つぶあん)
           茂助だんご⑨ 
           貴重どすえ

「こしあんの方が好きだわ。きれいな味わいで、ファンが多いのもわかるなあ。でも、これ今でも1本1本手で作っているのかしら。昔はいざ知らず、これだけの本数を手づくりするのは大変だと思うわ」
村民2号がボソッと感想を漏らす。

「茂助だんごも会社が大きくなって、昔のように1本1本とはいかないんじゃないか。今でもすべて手づくりだとしたら凄い。江東区東陽で作っているようだけど、作っているところを見たいよ」
村長が調べてみたが、そのあたりは謎である。
           茂助だんご① 
           横のものを縦にする?

「そらあ、わからん。ロボットが作っていたとしても不思議じゃない。問題は美味いかどうかだ。わしはこしあんよりつぶあんの方が好きだな。村長お勧めの北千住の『かどや』よりこっちの方が好きだよ。『かどや』の餅は柔らかすぎて、わしは苦手だ」
ドン圭氏が無意味な問答に横串を刺した。

「イタタタ・・・ハハハ」村長は慌ててお茶を濁す。村民2号がお茶を継ぎ足す。「だんご3兄弟」というより「だんご3オヤジ(?)」の会話は無意味なまま夜更けまで続くのだった。今年も残すところもうわずかだというのに。


本日の大金言。

串だんごは手間ひまかけても1個1個こしあんで包んだものがいい。昔の会津の串だんごがそうだった。その丁寧な仕事は今はどこかへと消えてしまった。これほど悲しいことはない。


                      茂助だんご10 






築地の穴場でムフフの「カキフライ」

 エンターテインメント新聞社時代の友人夫妻と築地へ行ってきた。年末の築地買い出しはウマズイめんくい村の恒例行事。このところ築地は観光化され過ぎて、場内も場外もメディアに取り上げられた店は大行列。年末とあって、それがさらにエスカレート、犬一匹入り込む隙がない場所もある。特に有名な寿司屋、海鮮どんぶり屋などは要注意。高い上に1時間以上待たされることを覚悟で行くべき。
           築地場内 
       場内市場は大行列(午前11時20分)

村長はもちろん見学はするものの、そんな店には行かない。混雑する場内の6号館、8号館周辺をひと通り見た後、抜け道を通って、晴海通りに出る。そこから勝鬨橋方面へ。目的の店は築地場外のはずれ、誰も行かないような路地裏にある。知る人ぞ知る「多け乃食堂」である。時刻は午前11時40分。
           多けの1 
           喧騒を離れ、穴場へ

入り口には行列などない。ビールケースが積まれ、魚が入っていた空のケースが雑然と置かれている。これぞ、昔ながらの築地の食堂! 紺地の暖簾をくぐると、そこは天国だった。5席ほどのカウンター、4人座れるテーブルが3つ。2階もある。狭いながらも楽しい築地。驚くのは壁に張られたメニューの多さ。ざっと見ただけで100ぐらいはありそう。そのほとんどに値段が書かれていない。
           多け乃①  
         知る人ぞ知る「多け乃食堂」
           多け乃② 
          これぞ築地の市場食堂

創業は昭和10年(1935年)。築地市場が開設されると同時に店を開いているという由緒正しさ。こういう店がちゃんとあることを知らない人が多いことは悲しい。いや、その方がありがたいが・・・。カウンターの奥が板場になっていて、そこで男性スタッフが3人、女性が2人、さらにもう一人女性が忙しそうに注文取りと運びを担当している。
           多け乃③ 
           値段の妥当性

ウマズイめんくい村の一行4人は、テーブルに腰を下ろしてから、まずは瓶ビールを注文、それからランチメニューを見た。村長は「カキフライ定食」(みそ汁、ライス付 1080円)、村民2号は「おひとり用刺身定食」(同1250円)を選んだ。友人夫妻もほぼ同じメニュー。このカキフライが絶品だった。
           多け乃④ 
           カキフライ定食!

注文してから揚げるので、15分ほど待たされたが、千切りのキャベツとともに皿に盛られたカキフライはかなりデカい。普通のカキフライの優に2倍はある。それが4個。コロモがしっかりと付いていて、見るからに横綱級の迫力。マスタードを付け、ソースをかけてから、ガブリと行く。全員声もない。
           多け乃⑤ 
           見事なコロモ

厚めのコロモがガサッと崩れ落ち、その心地よい歯触りの奥から、濃厚な海の凝縮と香りが口中に広がった。ほとばしる旨味。美女が崩れる瞬間・・・予想をひと回り超える美味だった。
           多け乃⑥
           ソースか醤油か
           多け乃⑦ 
           美味の予感
           多け乃⑨ 
           1個に3個とは・・・

よく見ると、1個の中に小ぶりの牡蠣(かき)が3個ほど入っていた。今が旬の三陸産の生ガキのようだ。広島産のものよりも小さいが、濃密な味わいが特徴。海のミルクという言葉が脳内で羽ばたき、幸せのエンドルフィンが滲出してきた。それをビールで流す。その繰り返し。

アサリの味噌汁も絶妙だし、刺身も文句のつけようがないわ。こういう店が市場の喧騒から離れた場所にあるなんて驚きだわ」
辛口の村民2号が明るく言う。
           おひとり用刺身定食 
    平目、石鯛、マグロの鮮度(おひとり用刺身定食)
           多け乃12 
           あさりの味噌汁

『豊ちゃん』のカキフライが一番だと思ってたけど、そうではないことがわかった。いい店に連れて来てもらったよ」
友人夫妻が言う。

「豊ちゃんは経営が変わったようだよ。メディアに出過ぎる行列店より、本当にいい店は表通りの裏にあるということかもね、ムフフフ・・・」
村長がしたり顔で言う。

「たまに当たったからって、エラソーに言うと、勝鬨橋から落っこちるわよ」
店を出た後、村民2号が村長の脇腹を突きながらささやいた。ムフフの後のトホホ・・・。


本日の大金言。

築地市場の移転でこのあたりがどうなるか、心配だ。ビル化され、街並みは変わってしまうかもしれない。壊して新しくすればいいというものではない。



                        多け乃13 

築地より穴場、足立市場の絶品定食

 昨日はクリスマスイブ。だが、ウマズイめんくい村にサンタは来ない。代わりにポンコツ車を飛ばして、東京・北千住へと向かうことにした。目的は千住大橋にある足立市場のランチ! 意外と知られていないが、足立市場は今や観光化してしまった築地市場よりも規模は小さいながら、安くて旨い食堂が数軒ある。ここもれっきとした東京都中央卸売市場である。

正面入り口から入ると、すぐ右手に食堂街がある。寿司屋、ラーメン屋など7軒ほど。築地のような観光客がほとんどいない。昔の魚市場の雰囲気。だが、村長の目的はそのさらに先にある「カフェ食堂 みどり」である。ここは一応場外ということになっているが、ま、場内にしか見えない。守衛さんに聞くと、「場外ですよ」。
           カフェ食堂みどり 
           築地よりこっち?ランチの穴場

昭和の匂いが色濃く残る2階建ての古ぼけた建物を見上げると、「カフェ食堂 みどり」の看板が。ここだ、ここだ。村長がかつて北千住に別荘(?)を持っていた時に、一度だけ来たことがある。2階への急な階段を上る。ドアを開けると、市場で働いている人か関係者が旨そうに定食を食べていた。スポーツ新聞が無造作に置かれ、テレビがのんびりと流れている。クリスマス気分などカケラもない。
           カフェ食堂みどり① 
           昭和がそのまんま
           カフェ食堂みどり② 
           2階がカフェ食堂みどり
           カフェ食堂みどり③ 
           意外過ぎる?店内

意外に広い。皮張りのソファとテーブル。そこだけ見ると、豪華なレストランだが、壁にベタベタと貼られたメニューは大衆食堂そのもの。「さばみそ定食」(650円)、「カキフライ定食」(900円)などなど。村長はその中から「ゆで豚とまぐろブツの定食」(950円)を選んだ。「当店のおすすめ定食!」と書いてあったからである。
           カフェ食堂みどり④ 
           メニューは空から

ここは前金制なので、一瞬戸惑うが、世話焼き風のおばさんの感じが悪くないので、あれこれ話しながら待っていると、10分ほどでお盆に乗った「当店おすすめ」がやってきた。油揚げとキャベツの味噌汁、炊き立てのどんぶりご飯、見るからに新鮮なまぐろブツ、それに厚めに切られたゆで豚が6枚ほど大皿に盛られていた。壮観。ゆで豚の下には野菜炒めが敷かれていた。サンタが来た?
           カフェ食堂みどり⑤ 
           ゆで豚とまぐろブツの定食

ゆで豚は松阪ポークのバラ肉を使い、焼いてからじっくりと茹でるそう。湯気が立っている。白い脂の部分と赤身のバランスがきれいで、それを自家製の甘辛ダレに付けて口中へ。柔らかさと肉自体の旨みと甘み、それにタレが三位一体となって口内を支配した。うむむ。和辛子も付けてみる。
           カフェ食堂みどり⑥ 
           松阪のゆで豚どすえ
           カフェ食堂みどり⑨ 
           秘伝のタレに付ける
           カフェ食堂みどり13 
           炊き立てのご飯へ

ご飯は多分ひとめぼれ。柔らかめに炊かれているが、炊き方が上手いのだろう、固めが好きな村長でも出かかった文句を引っ込めたくなるほどの味わい。ゆで豚と一緒にかっ込むと、じわじわと至福感に包まれた。
           カフェ食堂みどり⑦ 
           まぐろブツの鮮度

まぐろブツの鮮度の良さ、出汁の効いたみそ汁・・・わき役陣にも神経が行き届いている。一見雑な定食屋だが、単なる定食を超える旨さだと思った。

「全部いいものを使ってるんですよ。ご飯も新米です。やっぱりご飯が旨くなくっちゃね」とおばさん。B級の上質。昭和の魚市場の実力。サンタは来ないが、おばさんがいた。お腹いっぱいの満足感。奥の厨房から、店主らしい男性が無言でこちらを見た。メリークリスマス!


本日の大金言。

ゆで豚とまぐろのブツ。こういう組み合わせがあってもいい。デコレーションケーキやチキンばかりがクリスマスではない。





                      カフェ食堂みどり15

「そば打ち名人」の新隠れ家

 そば打ちの趣味が高じて、サラリーマンを辞め、そば屋を開く中高年が増えている。中にはひどい店もあるが、ビックリするほど美味い店もある。埼玉のそば好きシンジケートの極秘情報で、久喜市にほど近い加須市北辻に「全日本素人そば打ち名人大会」でたった一人名人位を獲得した男が開いたそば屋がある、ことを知ってしまった。これは行かずばなるまい。よっこらしょっと。
           蕎麦匠 
           新しい隠れ家?

ポンコツ車を飛ばして、そこへ向かった。わかりにくい場所。田んぼの中の古い一軒家。「蕎麦 匠(たくみ)」という看板と旗が寒風にはためいていた。名人位を取ったのは約一年前。店を開いたのは今年8月。営業は木金土日の4日間だけ。しかも売り切れ御免という強気な設定。自宅の敷地内の納屋を改装して、奥さんと二人で始めたこともわかった。アマチュアの道楽、と言えないこともない。
           蕎麦匠② 
           工事中ではありません
           蕎麦匠① 
           そば打ち名人の店

海老茶の暖簾をくぐると、すぐ左手に板場があり、手前には3席ほどのカウンター席、そこから二組ほどが座れる広めの小上がり。そこに囲炉裏が切ってあった。さらに奥には仕切りがあり、一枚板の見事な長いテーブル。8人ほどが座れそう。「すごいわねえ。随分お金をかけてるわね」村民2号が感想をもおらす。気に入った様子。
           蕎麦匠⑤ 
           いい雰囲気
           蕎麦匠③ 
           高いか安いか
           蕎麦匠④ 
           メニューもあれこれ

長いテーブル席の隅っこに腰を下ろして、定番の「もりそば」(650円)を頼んだ。二八そば。「野菜天ぷら盛り合わせ」(600円)も頼んだ。正午前だというのに、客の入りはいい。15分ほど待って、「もりそば」がやってきた。円形の竹ザルに盛られたもりは見事な細打ちで、名人位がダテではないことがうかがえた。星がぼんやりと見えた。
           蕎麦匠2 
           むむむのむ

まずはひと口。最初のアタックはコシの強さではなく、むしろフワッとした柔らかさだった。コシではなくモチモチ感エッジの立った、コシの強めが好きな村長は、少々戸惑った。風味はまずまずで、期待していたほどは感じない。だが食べ進むうちに、この柔らかな中庸の世界にハマり始めた。奥深く奥ゆかしい味わい。
             
           蕎麦匠⑦  
           名人の打つそば
           蕎麦匠11 
           もそっとそばへ

何よりもツユが絶品だと思った。やや甘めだが、鰹節と昆布で取った出汁とかえしのバランスが絶妙で、そばとの相性がとてもいい。
「これ、今年食べたそばの中で一番好き」
辛口の村民2号がボソッとつぶやいた。 
           蕎麦匠⑨ 
           ツユに感嘆

「野菜天ぷら盛り合わせ」はカボチャ、山芋、舞茸、サツマイモが二つずつ。揚げ方が上手で、野菜は自分の畑で採ったもの。美味。
こういう店が増えると、プロは困るだろうな、そんな心配をしてしまうほど。勘定を支払う時に、店主と雑談。
「玄そばはどこのものを?」
「栃木県益子産です。ひと目で気に入ってしまったんですよ」
           蕎麦匠10 
           畑の天ぷら
           蕎麦匠12 
           舞茸をひと口

「名人位を取って、脱サラですか?」
「ええ、58歳で早期退職して、自宅の一部を改装して念願の店を開いたんです。オープン時には『竹やぶ』の阿部さんも来てくれました。うれしかったですよ」

「こんな場所で暖簾を下げて、しかも週4日間だけ。それも午後2時までとは。成功すれば、新しいトレンドになりそうですね」
「夜もやってるんですよ。夜はコースだけですが」
まだあまり知られていない隠れ家的な店だが、話している最中も、噂を聞きつけた客がやってきた。村長は早々に退散することにした。


本日の大金言。

素人と玄人(プロ)の境がどんどん狭まっている。生活がさほどかかっていない素人、生活がかかっている玄人。楽しむ素人、楽しめない玄人。問題はどっちが美味いか? その境が崩れかかっている。




                      蕎麦匠13 







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築地で見つけた「あんみつの傑作」

 日本プレスセンターで行われたメディア仲間との忘年会に出席するために、築地で降りることにした。時間が1時間ほどあったので、ぶらぶら歩いて銀座を抜けて内幸町まで歩いて行こうという算段である。エンターテインメント新聞社が築地にあったころ、よく歩いた懐かしいコース。すでに辺りはすっぽり夕闇。

村長がこれまで食べた中で最高の串ダンゴだと思う「福市だんご」(すでに閉店)の前でしばし立ち止まる。そこからあんぱんの木村家、宮川食鳥鶏肉店・・・いい店が多い。ふと、路地に入ってみた。昔のことが走馬灯のように頭の中を回る。いかんいかん、センチメンタルジャーニーは早すぎる。昔より今、でしょ。と、そこに「今」の灯りが見えた。
           天まめ 
        築地の路地裏に・・・(甘味処「天まめ」)

「天まめ」という小さな甘味屋だった。カフェのようなシャレた店構えで、昔はなかった店だった。入り口にメニューがあり、覗いてみると、自家製の生寒天と豆が売りの店のようだ。天草から寒天を作る店は極めて少ない。それだけでかなりのこだわりの店であることがわかる。PM5時半すぎ。「てんまめ」(780円=税込み)が美味そうだった。考えることはない。飛び込むことにした。
           天まめ② 
           これは一つの発見
  
4席ほどのカウンター席と2人しか座れない小さなテーブルのみ。母娘らしい二人が切り盛りしていた。カウンター席に腰を下ろして、「てんまめ」を頼むことにした。どう見てもあんみつだが、ここでは「てんまめ」と命名しているようだ。店は去年の8月にオープンしたそうで、「まだ1年半です」と感じのいい娘さん。「天まめ」は元々の屋号で、お母さんが天草から寒天を作っていたそう。
           天まめ③ 
           前菜?のなます

5~6分ほどで、前菜(?)が出てきた。これは珍しいスタイル。ピーナッツで合えた甘酢のなますで、これが意外に旨い。目の前で「てんまめ」づくり。大きめの陶器の器に盛られた「てんまめ」がスッと出された。ひと目で只者ではないことがわかった。中央につぶしあん、その周りに白インゲン豆、黒豆が配置されていた。赤えんどう豆の姿も。極めて自然な色合い。求肥(ぎゅうひ)や果物類はない。
           天まめ⑤ 
           「てんまめ」登場
           天まめ⑥ 
           どないどす?

その下にかなり大きめに切り分けられた生寒天の海。黒蜜をかけずにまずは生寒天を賞味。神津島産の天草から作ったというそれは、やや固めできりっとした歯ごたえ。それが絶妙で、噛んだ瞬間、海の香りが口中に広がった。うむむ。
           天まめ⑦ 
           うむむむ

白インゲンと赤えんどうは北海道産。黒豆は滋賀県近江産のもの。「黒豆は丹波産にしたかったんですけど、高くて、近江産にしました」とか。煮方もいいのだろう、柔らかすぎず固すぎず、ふっくらと炊かれている。甘みもかなり抑えている。その加減が上質である。赤えんどうは固めで塩気がやや強め。
           天まめ⑨ 
           つぶしあんの美味
           天まめ10 
           黒蜜をかける

つぶしあんも北海道産小豆を使い、三温糖でじっくり炊いているそう。穏やかで控えめの甘さ、風味ともにとてもいい。特筆したいのは黒蜜。沖縄・波照間産の黒糖を使って、奥深いコクと甘みを出している。普通のあんみつの1.5倍くらいのボリュームがあり、食べ終わると、大いなる満足感に襲われてしまった。こういう新しい甘味屋が出てきたことを祝福したい気持ちになった。
           天まめ11 
           すべてが上質

その後の忘年会も実に楽しいものとなった。気の置けない仲間なので、丁々発止、手裏剣が飛び交い、吹き矢が刺さり、意外な話、危ない話のてんこ盛り。ここに書けないのが残念だが、某大物俳優の病名の真相など、うめ・・・おっと危ない危ない。ギリギリ終電に間に合ったのだった。

本日の大金言。

古さと新しさ。それは単純に分けることはできない。古いものの中から新しさが出てくることだってある。新しい職人「天まめ」もその延長線上に位置していると思う。


                      天まめ13 


富山の手土産、絶妙「ます寿司」

 船を描かせたら多分日本一のイラストレーター・谷井健三さんと久しぶりにお会いした。谷井さんとはエンターテインメント新聞社時代に作家・高杉良さんの連載小説のイラストをお願いしてきた縁だ。出身が富山県魚津市ということもあり、特に魚介類に関しては相当なグルメである。

近況などを語り合いながら、楽しいひと時となったが、帰りに「これ、意外とうまいですよ」と言って、手土産をもらってしまった。ます寿司だった。東京・有楽町にある富山県のアンテナショップ「いきいき富山館」で買ってきたらしい。それが「ます寿司屋 ヒロ助」の「旨味 ます寿司」(1350円=税込み)だった。
           ます寿司 
           ヒロ助のます寿司

「ます寿司」はかつては富山に行かなければ手に入らない代物だったが、今ではデパートやスーパーなどのイベントでも見かけるようになった。それでも本場の「ます寿司」は値段も安くはなく、そう簡単に口にすることはできない。

「ます寿司屋 ヒロ助」は黒部市のます寿司専門店。創業3年目という比較的新しい店だが、富山でも注目の店らしい。添加物などは入っていないので、賞味期限は2日間ほど。ウマズイめんくい村に帰って、翌日の昼めしにすることにした。
           ます寿司① 
           正統派ます寿司!

包みを解くと、しっかりと竹の棒と輪ゴムで押さえられた木のわっぱが現れた。正真正銘の伝統的なます寿司! それを取り外し、逆さにしてから、わっぱを取ると、鮮やかな笹の葉に包まれたます寿司の本体が目に飛び込んできた。新鮮な笹の香り。目と鼻が同時に刺激される・・・。
           ます寿司③ 
           笹の葉がたまらない

ここからが本番。笹の葉を一枚一枚取っていく。このあたりはエロティックでさえある。中からきれいなサーモンピンクが現れた。何とも言えない旨そうな匂いが同時に立ち上がる。それを備え付けのナイフで6つにカットした。村民2号がみそ汁を作り、それを飲みながらいよいよ賞味となった。
           ます寿司④ 
           ビーナス誕生?
           ます寿司⑤ 
           6つにカットだあ

押し寿司なので、表面の鱒(ます)は2~3ミリほど、酢飯は20ミリほどの厚み。一口食べた途端、脂の乗った鱒の旨みと甘みが、いい塩加減とともに舌の美味センサーに最初のノックをした。さらに酢飯の旨み。酢はきつくなく、ほんのりとした甘みが漂う。その相乗効果で、このます寿司がいいものであることがわかった。グルメの谷井さんのニヤッとした顔が浮かんだ。
           ます寿司⑦ 
           脂がのっている
           ます寿司⑧ 
           どないどす?
           
醤油を垂らさなくてもいいが、ちょっとだけ垂らしてみた。これはこれで味に陰影が付いて旨いが、村民2号は「醤油はない方が旨いわ」とひと言。村長も納得。酢飯のご飯は富山産コシヒカリと富山のブランド米てんたかくをブレンドしているそう。
           ます寿司3 
        醤油を垂らしてみる

「ます寿司は魚津市が中心らしいけど、黒部市など富山湾沿いにもいい店があるようだよ。店によって味が少しずつ違うようで、そこがまた面白いらしい」
「へえー、村長が昔、レジャー記者をしていた時に富山にも何度も行ってたじゃない? ます寿司をお土産に持ってきてくれたことなかったわね」

「記憶にないなあ。最近は鱒(ます)も富山湾のものではなく、チリとかノルウェー産を使っているようだよ」
「話を逸らしたわね、マスオさん」
「おっとどっこい、サザエさーん」
「バッカみたい・・・・押し寿司にしちゃうわよ」
「・・・・・・」

本日の大金言。

爆弾寒気団の中、温かいみそ汁とます寿司で昼めしとシャレ込む。足るを知る幸せ。マスを知る幸せ・・・?









                        ます寿司2 


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超人気店「こうかいぼう」3年ぶりの味

 東京・門前仲町で行われる忘年会へ。久しぶりの門仲! 開始時間まで少々時間があったので、村長は深川不動尊から富岡八幡宮周辺をブラ歩き。池波正太郎や藤沢周平の世界が頭の中で回転し始める。ふと、ラーメンの行列店「こうかいぼう」に立ち寄りたくなった。「こうかいぼう」の女将は元気かな。なぜか素浪人気分。よく考えたら、前回来たのは約3年前。
           こうかいぼう① 
       都内有数のラーメン(東京・門前仲町)

午後3時ちょい前だったので、行列はなかったが、10席ほどのカウンターは埋まっていた。奥の小さなテーブルがたまたま空いていて、清楚な美人女将が「相席ですみませんが、よろしかったら」と村長を誘導した。脇差しを横に置いて「もちろんです」と村長。脇差とはむろんペンである。券売機は置いていない。支払いが後というのもこの店のポリシー。
           こうかいぼう③ 
           シンプルな店内

「こうかいぼう」は2001年に店開き。化学調味料を一切使わず、素材と作り方にこだわった店主の麺づくりは人気を集め、あっという間に都内でも有数のラーメン店にのし上がった。奥さんとの二人三脚。人気が出ても易々と店を広げない。人気が出ても驕り(おごり)がない。こういう店は貴重である。
           こうかいぼう② 
           シンプルなメニュー

村長は定番の「らーめん」(650円)を頼んだ。
「わざわざ雨の中をおいで頂き、ありがとうございます」
来る客来る客にこんなセリフを丁寧に出す。3年前とまったく変わらない。
           こうかいぼう④ 
           3年前と変わらない

12分ほど待って、いい匂いとともに「らーめん」がやってきた。美濃焼きの大きいどんぶり。その中に「こうかいぼう」の世界が旨そうに広がっていた。普通のチャーシューの2倍はありそうな、ピンク色の、きれいなチャーシュー。角材のようなメンマ、刻みネギ、海苔。その下の白濁したスープ、黄色みの強い中太麵・・・それらが整然と配置されていた。変わらないことの感動。
           こうかいぼう⑤ 
           ひとつの頂点?

まずはスープ。豚骨と鶏ガラ、それに野菜、煮干しなどから取った出汁に天然塩を加えたスープは量が少なめ。だが、ひと掬いを口中に運ぶと、自然な旨味が舌の先から内臓にまで染み入ってくるよう。濃厚で奥深い味わい。むしろ、物足りないほどの優しい味で、店主の「みそ汁のように毎日食べれるラーメンを作りたい」というポリシーの結実であることがわかる。
           こうかいぼう⑦ 
           飽きないスープ

所々に浮いているのは魚粉かと思ったら、「いえ、魚粉は入れておりません。それは節なんですよ」と女将。どうやら鰹節のようだ。それがいいアクセントになっている。

麺は中細ストレート麵で、これだけは3年前とやや違った食感。女将に聞くと、「はい、麵だけ今年の8月に少し変えました。ストレート感を強くしました」。その分、のど越しがすっきりしたが、村長は複雑な気分。以前の方が素朴でもっちり感が強く、スープがよく絡まっていたと思う。そこが少々残念だが、これはこれで悪くはない。
           こうかいぼう 
           中細ストレート麵
           こうかいぼう10 
           チャーシューの存在
           こうかいぼう⑥ 
           メンマの存在

チャーシューは相変わらず見事、色といい5~7ミリほどあろうかという厚みといい、柔らかな歯ごたえといい、文句のつけようがない。メンマもシャキッとした辰巳芸者(たつみげいしゃ)のようで美味。

ドンブリの底が見えるまでスープを飲み干し、後味を噛みしめる。相変わらず余韻がいい。美人女将に舌代を払うと、背中に一足早い春風が・・・。「またぜひお出でください」という雑味のない声。これが、「こうかいぼう」のもう一つの隠し味だと思った。


本日の大金言。

何も足さず何も引かずを13年続ける。驕(おご)らず、油断せず、丁寧に応対する。映画の中の高倉健のようなラーメン屋が下町に存在している。



                       こうかいぼう11 


兜町のNYスタイルチーズケーキ

 所用で東京・日本橋兜町(かぶとちょう)へ。ここは言うまでもなく日本金融界の中心「東京証券取引所」があるところ。江戸時代には大名屋敷が並び、維新後、三井家が維新の恩賞としてこの土地を受け取り、「兜町」と名付けた。平将門の兜を埋めた兜塚があったことに由来する。その血なまぐさい歴史を知ってか知らずか、会津藩足軽の末裔でもある村長は、東京証券所近くにある「シアトルズ ベストコーヒー」で知人と待ち合わせた。
           シアトルズカフェ  
           アメリカのスイーツ

もう一つの目的がここのスイーツ。狙いは「NYチーズケーキ」(420円)である。青い目の証券マンがここで美味そうにサンドウイッチやケーキ類を食べていたことが頭に焼き付いていたからである。「シアトルズベストコーヒー」はコーヒーの専門会社として、シアトルで誕生したが、10年ほど前にスターバックスの傘下に収まってしまった。
           シアトルズカフェ③  
           おいでやす

マリナーズにいた頃、ひょっとしてイチローや大魔神もこの店を利用していたかもしれない。高い天井、広い店内、働く若いスタッフ、BGMのヒップホップ・・・スタジオのような造りはアメリカそのまま。スタバとも違う。村長は、待ち時間を利用して、美味そうに並ぶスイーツの中から、「NYチーズケーキ」を選び、「ドリップコーヒー」(Sサイズ290円)も頼んだ。
           シアトルズカフェ④ 
           ザッツ・USA!
           シアトルズカフェ② 
         おらNYさ来ただっぺ

NYチーズケーキは普通のベイクドチーズケーキよりクリームチーズとサワークリームの量が多く、サイズも大きい。底のビスケット生地もどっしりとしているイメージがある。銀紙に包まれたこの店の「NYスタイルチーズケーキ」は本場もののはず。シアトルチーズケーキではない?
           シアトルズカフェ⑤ 
           デカくて本物感

フォークでまずはひと口。なめらかで濃厚な酸味が広がった。それを覆うようにクリーミーな甘みが押し寄せてきた。1か月ほど前、渋谷のジャズバーで食べたNYチーズケーキはボソッとした固さがとてもよかった。だが、ここはクリーミー。より柔らかいクリームチーズとサワークリーム。
           シアトルズカフェ⑥ 
           意外に柔らかい
           シアトルズカフェ⑦ 
           食欲の行方

その底にあるビスケット生地は思ったよりも柔らかく、滲み込んでいる甘いシロップと洋酒が効いている。忙しい証券マンがこれを食べて、脳の疲れを癒し「鉄火場」に戻るのもうなずける。とはいえ、好みの問題かもしれないが、村長は渋谷のジャズバーの素朴な野暮ったさに惹かれる。
           シアトルズカフェ⑨ 
           欲望の裏側

コーヒーはスタバよりも美味いと思う。磁器のデカいカップに入っているのも好感。女性スタッフの対応も悪くない。「タイム・イズ・マネー」の世界のNYチーズケーキを賞味しながら、村長は株で大損したことを思い出した。苦い思い出とNYチーズケーキ。食べ終えた銀紙を眺めながら、村長はガラにもなく世界の行く末をそこに見た気がした・・・なんてね。


本日の大金言。

アベノミクス、格差社会の裏側、集団的自衛権・・・アメリカと付き合うのは大変だ。くしゃくしゃになった銀紙の夢の果て。じっと手を見る。



                        シアトルズカフェ10 

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「百年以上同じ味」カレーうどんの極北

自公の圧勝を祝う(?)ように、北極から強烈な寒気が流れ込んでいる。さぶう~。こんな日はカレーうどんに限る。ゴッドマザーのお見舞いを兼ねて、桐生市のお隣り・みどり市にある「カレーうどんの山本屋」までポンコツ車を走らせることにした。ここはゴッドマザーの出身地でもある。知る人ぞ知るカレーうどんの超老舗。

創業が明治30年(1897年)。初代は人力車から身を起こし、その6年後の明治36年(1903年)にうどん屋を開いた。「カレーうどん」はその初代が作り上げ、その後、一子相伝で同じ作り方、同じ味を守り続けている。現在は五代目が厨房に立っている。111年変わらない味・・・アンビリーバブルな店なのである。
           山本屋 
      カレーうどんの隠れ名店(みどり市)

以前、ゴッドマザーからその話を聞いてはいたが、村長も村民2号も行ったことがなかった。今回が初めて。大間々町の通り沿いに歴史的な一軒家が建っていた。築百年になるそう。「やまもと屋」と書かれた白地の暖簾。何という情緒。中は4人用テーブルが8つほど。奥が板場になっていて、店主と女性二人が忙しそうに働いていた。タイムスリップしたような錯覚に陥る。うどんの他にそばもある。
           山本屋① 
           文化遺産

メニューの中から、むろん「カレーうどん」(730円、税込み)を選んだ。村民2号とゴッドマザーも同じもの。注文してから手打ちのうどんを茹で上げるようで、着丼まで16~7分かかった。巣鴨の有名店のように冷凍うどんではない。本物の予感。
           山本屋② 
           並で十二分?

かなりデカい陶器のドンブリから湯気が立ち、そこに黄色みの強いカレー汁がどんよりと寝そべっていた。それを木匙ですくい取り、口中に運ぶと、とろりではなく、どろりとした何とも言えないカレーの旨みがまろやかに広がった。片栗粉のとろみではない。カレー粉と小麦粉、それに出汁を加えたような素朴な食感。色から見て、よくあるようなツユ(かえし)は加えていないようだ。過剰に甘くない。ふわふわとしたダマが意図的に混じっている。隠し芸。
           山本屋④ 
           湯気とともに登場
           山本屋⑤ 
       これで並とは・・・明治のまま

具は斜め切りしたナルト、それに長ネギと豚肉だけしか見当たらない。豚肉は上質のロース肉で、村民2号が鶏肉と間違えたほど。カレーの風味はあるが、辛さはほとんど感じない。もっさりとした実に素朴な美味。

うどんは地粉を使い、かなりの太さ。コシとかのど越しというよりも、むにゅっとした素朴な田舎うどん。それにカレー汁が実によく絡む。ぽたぽたと落ちてくるよう。うどんの量も半端ではない。フツーのカレーうどんの1.5倍はあるのではないか。かようなカレーうどんが百年以上もこの地で生きていたとは・・・。
           山本屋⑦ 
           絶妙な素朴
           山本屋11 
           豚肉と独特のダマ
           山本屋⑧ 
           ズルズルしたい

若女将にこの独特の旨さについて聞いてみたら、「あらっ、企業秘密ですよ。愛情がいっぱい詰まってるんですよ」とはぐらかされてしまった。111年には勝てない。

「アタシよりも長生きだよ。アタシも頑張らなきゃ」
きれいに平らげたゴッドマザーが、ドンブリの底を見ながら言った。
「あと百年は大丈夫よ」
村民2号が励ます。

となると、村民2号はあと200年は生きている? 安倍自民党の圧勝など小さい小さい・・・。アブナイ首相に白紙委任状など出してはいないぞ。村長もドンブリの底を見ながら、腹の底で固い決意を結ぶのだった。


本日の大金言。

行き詰ったら、カレーうどんを食べるのもよし。それが本物ならさらによし。原発も集団的自衛権も特定秘密保護法も、本物のカレーうどんの前には意味が半減する。










                        山本屋12 



こんなのアリか「真っ黒い大福」の味

 本日は「真っ黒い大福」をご紹介しよう。多分かようなものは日本でここだけしかない。
初め見たとき、あまりのお姿に驚いた。見事に真っ黒なのである。スイーツ好きの友人からのおすそ分けだった。埼玉・大宮の老舗和菓子屋のもの。埼玉なので「隣のトトロ」の「まっくろくろすけ」を連想したが、そうではなかった。大宮に鉄道記念館が出来た2007年に、その老舗和菓子屋が作って売り出したもの。その名も「大宮ぽっぽ」(1個160円)

江戸表の帰り、大宮西口で途中下車して、その老舗和菓子屋「小川屋」を探す。創業が1903年(明治36年)で、その当時から作っている「田舎饅頭」が目玉の店。「御菓子司 小川屋」はすぐにわかった。大栄橋通りに「田舎饅頭」の幟(のぼり)がひるがえっていた。
           小川屋 
           大宮の意外
           小川屋3  
           ぽっぽ屋と真っ黒大福

4代目の主人が気さくな方で、「せっかく鉄道博物館が出来たので、記念に作ったんですよ。メディアにも取り上げられて、テレビも来ました」と愉快そうに話す。それを二つと、「田舎饅頭」(1個100円)、それに「栗蒸し羊羹」(1個180円)を買い、ウマズイめんくい村に手土産にした。田舎饅頭と栗蒸し羊羹は残りわずかだった。
           小川屋② 
           三役そろい踏み

真っ黒い大福「大宮ぽっぽ」はパケージに入っていて、それを取ると、漆黒の大福が現れた。小ぶり。まん中で切ってみると、中のあんまで真っ黒。かじると、プニュプニュした感触で、フツーの大福を期待している人には少々ガッカリものかもしれない。北海道産小豆から作ったこしあんに黒胡麻が練り込まれていて、口中に香ばしい胡麻の香りが広がる。甘さはほどよい。
          小川屋4  
          こんなの、ありィ?
          小川屋⑤ 
          皮もあんも真っ黒!

餅はわらび粉で、そこに竹炭を加えているんですよ。ここまで真っ黒にするにはかなり試行錯誤しました」(4代目主人)。話しのネタやお土産には面白いかもしれない。

思わぬ拾い物はむしろ「田舎饅頭」と「栗蒸し羊羹」だった。どちらもすべて手作りで、無添加。特に「田舎饅頭」は創業当時からの作り方を守っているそう。111年変わらぬ味ということになる。指型にへこんだ皮は茹でまんじゅうのようにもっちりしていて、食感がいい。中のつぶしあんは小豆の風味が立ってくる。控えめな甘さで、素朴で上品な美味。
          小川屋⑥ 
          明治の田舎饅頭
          小川屋⑧ 
          意外な美味

「上州の茹でまんじゅうより洗練されてるわねえ」
上州生まれの村民2号は、黒い大福よりこちらの方が気に入ったようだ。

「栗蒸し羊羹」は蜜煮した大栗がきれいな味わいで、蒸し羊羹も上質。ほどよい甘さで、口中で溶けていく感覚と大栗の自然な風味が余韻としてしばらく残る。この店の和菓子職人の腕がいいことを示していると思う。
          小川屋10 
          上質な栗蒸し羊羹
          小川屋13 
          がぶっと行け

伝統と和菓子離れのはざまで揺れる和菓子屋さん。その可能性の一つがこの店にあるかもしれない。天国の高倉健さんに、この「ぽっぽ」の大福を届けたらどういう顔をするだろう?そんなおバカな空想が頭の中を駆け巡るのだった。

本日の大金言。

伝統を守りながら、新しさに挑戦する。往く道は精進にして、忍びて終わり悔いなし。この特別な言葉を噛みしめる。





                        小川屋14 

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大人専用?下北沢のビストロランチ

 東京・下北沢は、村長にとって特別な場所。エンターテインメント新聞社時代にここに2年ほど暮らしていた。今回は久しぶりの下北沢で見つけたランチについて。
    
駅は大工事中で、待ち合わせ場所に困ったが、近くに住む娘のキオと何とか合流。「さて、シモキタをブラ歩きしながら、どこかでてランチと行こう」と衆議一決。だが、なかなか「これは?」という店に出会わない。数はあるのだが、昔知っていた店もなくなり、表面だけ賑々しい今どき流行の店がやたらと目につく。
           菜々亭3  
           ようやくめっけ!(東京・下北沢にて)

南口商店街を下りていき、お地蔵さまのところを右手の路地に入った。路地裏にいい店が潜んでいるかもしれない。ふと「おとなのワイン食堂」という看板が目に入った。「ビストロ 菜々亭」という南仏料理のレストラン。シモキタはガキの街だが、「そればかりではないぞ」という気配が漂ってきた。全員、ここにしようと意見一致。
           菜々亭 
           大人だって楽しみたい

時計を見ると、午後1時過ぎ。シモキタを1時間ほど歩き回ったことになる。雰囲気のあるドアを開けると、店主らしい人が出てきて「お時間がかかりますが、それでよろしければ」。店内には古いシャンソンが流れ、4人用テーブルが6つ、それに2人用テーブルが6つほど。ちょうど一組空いたところだった。「もちろん」と答えて、そのテーブルへ。

プリフィクスランチメニューの中から、一番安い「1500円コース」を選んだ。村民2号もキオも右に同じ。プリフィクスランチとはコースになっているランチで、メインは数種類から選べるというちょっとぜい沢なランチ。村長だけグラスワイン(赤500円)を追加注文。むふむふ。
           菜々亭① 
           安いか高いか

コースは「本日の小さなスープ」から始まって、「おまかせ前菜盛合わせ」、「オーガニック酵母の自家製パン」「コーヒー or 紅茶」で終わる。メーンディッシュは牛ハラミステーキなど5種類。マスターから「どれになさいますか?」と聞かれて、全員「牛ハラミステーキ!」。肉好きの村民2号とキオの勢いに、村長もつられてしまった。

15分ほどかかって小さなポタージュが登場、その後「おまかせ前菜盛合わせ」がやってきた。これが見事だった。特にかぼちゃのキッシュはトマトとベーコンがいいアクセントをつけていてまろやかな旨み。ラタトゥイユ、白インゲン豆の煮込み、鴨肉のハムもそれぞれいい味で、シェフの腕が確かなものだと思った。
           菜々亭② 
           ニンジンのポタージュ
           菜々亭④ 
           おまかせ前菜盛合せ
           菜々亭⑥ 
          かぼちゃのキッシュ

「オーガニック酵母の自家製パン」は表面がパリパリ、香ばしくて美味。やがて、メーンディッシュの「牛ハラミステーキ」がジュウジュウ音を立てるようにやってきた。ハラミとは内臓肉のこと。それが二つ、赤ワインの余韻を残したソースがたっぷりとかけられて、いい焼き色に仕上がっていた。予想よりもでかい。その横にジャガイモ、カリフラワーなど8種類の野菜が添えられていた。
           菜々亭⑧ 
           天然酵母の自家製パン
           菜々亭⑨ 
           牛ハラミステーキ!

ハラミステーキはミディアムに焼かれていてナイフで切ると、意外に弾力があり、噛むのに少々苦労したが、じんわりと旨味が歯の間から口中に広がってきた。黙々と食べる。村長はメーンは別のメニューにした方がよかったとやや後悔したが、2頭・・・じゃなかった2人の村民はきれいに平らげてから、満足げにそれぞれコーヒーと紅茶で余韻を楽しんでいる。
           菜々亭10 
           ま、ひと口

「今日は当たりね。1500円は安くはないけど、この内容だと満足よ」
「村長にこのステーキの味はわからないわよ。パリに行って焼きそばを食べるような人だから」
「前菜とグラスワインだけでよかったかもね」
「・・・・・」


本日の大金言。

シモキタのシンボルだった「ジャズ喫茶 マサコ」が閉店してから5年が経った。若者文化もどんどん変わっていく。大人だってやがて老人になる。














                        菜々亭11 



「おむすびカフェ」の意外ビーフカレー

 恐るべき食通のドン圭氏が、村長がよく立ち寄る「カフェ虎之介」でボソボソと言った。
「面白い店があってね、メインメニューはおにぎりとカレーしかない。おばさんが一人でやってる店でね。これが安くて旨いんだよ。B級の村長に教えなきゃと思ってね」
場所は埼玉の果て、加須市騎西町だという。騎西町は原発事故で被災した双葉町が集団移転した場所としてメディアにも大きく取り上げられた町でもある。

翌日、青いポンコツ車が、その「おにぎりカフェ 小道」の駐車場に止まっていた。騎西クリニックの隣りにある古い一軒家。「安い」と聞いて村民2号も付いてきた。ドン圭氏は元政治家で実業家でもある。そのため料亭料理から立ち食いそばまで舌のエリアは驚くほど広い。そのドン圭氏の情報に間違いはない・・・はずだが。
           小道① 
      隠れ家、発見?(「おむすびカフェ 小道」)

「おにぎりカフェ 小道」という地味な看板。「おむすび」の幟(のぼり)。入り口に小さな黒板があり、そこに「ビーフカレー500円(サラダ付き)」「おむすびセット500円(煮物、天ぷら玉子焼き、みそ汁付き)」とメニューが確かに二つしか書かれていない。のどかな田舎の陽だまりにでもいるような気分。
           小道③ 
           のどかな入り口
           小道② 
           安くて旨いか、それとも・・・

時刻は午後1時ちょい過ぎ。店内は4人用のテーブルが二つと2人用のテーブルが一つだけ。左手が厨房になっていて、そこにおばさん店主が一人。客も一人。若い女性がビーフカレーを食べている最中だった。それが旨そうだった。厨房のところに「騎西産コシヒカリ100%」という手書きの紙が下がっていた。
           小道 
           悪くない風景

村長はおにぎりセットにしようと思っていたが、女性が食べていたビーフカレーが旨そうだったので、方針転換、「ビーフカレーお願いします」。村民2号は「おむすびセット」を頼んだ。
          小道④ 
          おむすびセット、登場
          小道⑥ 
          ビーフカレー、登場

そのビーフカレーが意外に旨かった。じっくりと煮込んでいることがわかる濃厚で素朴なルー。タマネギは溶け込んでいて、姿が見えない。ビーフは大きめのものが3切れほど。マッシュルームが5~6個。想像していたジャガイモやニンジンの姿はない。田舎のカレーというより洋食屋のカレー。ほのかな甘みと旨味が滲み込んでいる。辛さはほどほど。
          小道⑧ 
          煮込まれたルー
          小道11 
          ビーフとマッシュルーム
          小道⑨ 
          濃厚な旨味

ビーフもマッシュルームも柔らかく煮込まれていて、よく炒められた小麦粉の名残りが余韻として絡んでくる。隠し味も何か潜んでいるようだ。炊き立ての騎西産のコシヒカリも美味。ボリュームもある。福神漬けではなく、からし菜の漬け物がライスの脇にちょこんと乗っかっている。これがライスによく合う。
          小道10 
          騎西産コシヒカリ

「おむすびセットは家庭の味そのもの。素材がいいからフツーに旨いわ。500円というのも好感」
このビーフカレー、どうやって作っているんだろうね。ジャガイモやニンジンがドカドカ入ったおばさんカレーを期待していたけど、いい意味で裏切られた気分だよ」

女将は無口な人で、店をオープンしたのが7年前で、「会社勤めを定年で辞めてから自宅を使って店を始めた」と聞き出すのが精一杯だった。料理は随分研究したとも。ビーフカレーの作り方を聞いてみたが、謎の微笑を浮かべるだけで、言葉が出てくることはなかった。その農家のおばさんのような、風雪に耐え抜いた風貌に、村長の言葉は届かない。あんた、まだまだ修行が足りないよ、道祖神のような謎の微笑はそう言っているようだった。


本日の大金言。

宇宙が広いように小さな町も広い。改めてメディアがすべてではないことを知る。諸君、たまにはスマホを捨て、街へ、村へ、走ってみよう。





                        小道13 







「最強のあんパン」の一夜

 「とんでもないあんパンがあるよ。想像を超えるという言葉がそのまま当てはまるようなあんパンだよ」
エンターテインメント新聞社時代に、珍しいもの好きの編集者がそんなことを言ってたことを突然思い出した。
「あんこの量がとにかく半端ではない。行っても売り切れで、予約しないと買えないんだ」
多忙にかまけて、その話をすっかり忘れていた。

それがあるきっかけで、思い出した。アンパンマンのあんこの量について考えていたときである。詳しいことは省略するが、その「とんでもないあんパン」を実際に見て、食べたくなった。思い立ったら止まらない。そのパン屋さんが江東区大島・中の橋商店街にあることを突き止めて、すぐに電話で予約した。甘味中毒がさらに進行しているようだ。
           メイカセブン① 
      奇跡のあんパン(東京・大島「メイカセブン」)

翌々日、江戸表での用事を済ませてから、夕暮れの中を都営地下鉄・大島駅で下車して、その「メイカセブン」というパン屋さんへ。。問題の「薄皮あんパン」(1個185円=税込み)はすでに「本日分は売り切れました」という札がかかっていた。予約しておいてよかった。奥がちょっとしたカフェコーナーになっていたので、こしあんと小倉あんをそれぞれ2個ずつ買い、出来立ての1個をそこで賞味することにした。
           メイカセブン② 
           売り切れの表示が・・・

「メイカセブン」は昭和33年創業の下町のパン屋さんで、「薄皮あんパン」はその当時から作っている。店の女性スタッフに聞くと、「創業時から同じ製法で、一日200個しか作りません」とか。コーヒー(235円)も頼み、袋に入った薄皮あんパンを手に取ってみた。ずしりと重い。その重さが半端ではない。甘い胸騒ぎ。「250グラムはあります」とか。
           メイカセブン③ 
           焼き立ての薄皮あんパン!

こしあんと小倉あんをそれぞれ1個ずつ食べようと思ったが、思い止まった。そのくらいの衝撃。とりあえずこしあんを賞味することにした。包みを取ると、卵白でこんがり焼けたパン生地、その上の黒ゴマ、さらにその下の世界に目が釘付けになった。アンビリーバブル・・・パン生地からどっしりと詰まったあんこが黒々と透けていた! ため息と感動。
           メイカセブン⑤ 
           文句ある? いいえ・・・

大きさは直径7センチから8センチくらいで、高さが優に5~6センチはありそう。想像を超える世界はホントだった。気を取り直してから二つに割ると、天も地も左右もぎっしりあんこの山状態で、パン生地はせいぜい1~2ミリ程度の薄さ。うむむうむむ。これはあんこの塊そのままではないか? 見てはいけないものを見てしまったような動揺・・・。
           メイカセブン⑥ 
           言葉がない

さて、問題は味。手でちぎってから、ガブリと行くと、薄いのにパン生地のこんがり感が口中に広がった。確かにあんぱん。こしあんは甘さを比較的抑えているが、かすかな塩気がその甘さを逆に引き立てている。出来立てのせいだろう、ねっとり感が強い。あんこは「金沢のあんこ屋さんから仕入れている」そうだが、質の高さはさほど感じない。期待していたほど風味も特出していない。業務用のあんこをそのまま食べている感覚・・・。やがて、あんこの深情けに押し倒される妄想も。複雑な感情が舌の上で行ったり来たり。
           メイカセブン⑦ 
          こんなのアリ?

あんこ好きにはたまらない黄金の時間とも言えるが、質を求める人には不向きのあんパンかもしれない。食べたこと、そのこと自体が記念になる・・・そんな稀なあんパン。

翌朝、小倉あんを食べてみた。半日経ったせいか、落ち着いた味で、こちらの方が村長の好み。それでも1個食べるのに時間がかかった。村民2号も途中で、「四分の一で降参するわ」とひと言。1個を6人くらいで食べることをお勧めしたい。
           メイカセブン① 
           こちらは小倉あんパン(翌朝)
           メイカセブン② 
           コマネチ!
           メイカセブン④ 
           参りました・・・

その夜、友人宅で行われた忘年会にスペシャルゲストとして、「薄皮あんパン」を登場させたところ、ひと目見て全員びっくり。1個を五つに切って賞味してもらった。「意外に美味い」という声や「パンを増やして欲しい」という声も。かなり酔っぱらっていた一人が大きめを勢いで食べた後、急に黙ってしまった。「もう勘弁してほしい・・・」とつぶやいてからソファにひっくり返った。そのまま甘い夢の中へ。最強のあんパン、恐るべし・・・。


本日の大金言。

あんパンのあんこに限度はない。究極のあんパンが56年の歴史を持ち、毎日午前中でほぼ売り切れという隠れた人気となっているのは、それが人を引き付けるからだ。あんパン界にもゴジラはいる。


                         メイカセブン⑨ 











北欧先生お勧めの鴻巣うどん屋

 スウェーデンから帰国中の瘋癲(ふうてん)北欧先生からうどん情報のメールが入った。鴻巣運転免許センターに行った帰りに、鴻巣駅近くでいいうどん屋を見つけたというものだった。瘋癲北欧先生は蕎麦よりもうどん好きで、旧宿場町の名残りを残す鴻巣の街並みも気に入ったようで、「村長がもし行ってなかったら、ぜひ行ってみては如何か」と結んであった。

調べてみたら、御成町通りの、創業120年という老舗のうどん屋「長木屋」だった。その向かい側が先週ご紹介した生菓子屋「伊勢屋」だった。串だんごに気を取られて、うどん屋は視界に入らなかった。不覚か・・・再び埼玉・鴻巣までポンコツ車を飛ばした。
           長木屋① 
           川幅うどんの幟が・・・

紺地の暖簾が下がり、鴻巣が売出し中の「川幅うどん」の幟(のぼり)が寒風にひる返っていた。時刻は正午前。小ぎれいな店構えで、店内もテーブル席と小上がり、それに小さなカウンター席もある。すでにご近所の主婦らしい女性など4~5人がいて、サラリーマンも入って来始めていた。地元でも愛されているうどん屋のようだ。これは期待できる?
           長木屋② 
           創業120年の暖簾(鴻巣・長木屋)

村長は川幅うどんにするか、瘋癲北欧先生が食べたおかめうどんにするか迷ったが、「実は人気№1?」という「カレーうどん」(720円)を頼むことにした。寒風には鍋焼きかカレーうどんに限る。
           長木屋13 
           ここはカレーうどんだっぺ

12~3分待って、お盆に乗って「カレーうどん」がやってきた。カレーのいい匂いと立ち上る湯気。色は黄色みが強く、そば屋の色の濃いカレーうどんを想像していた村長は一瞬、肩透かしを食らった。浅草「翁そば」のカレー南蛮そばとうどんのファンである村長は、ふと、そば屋のカレーうどんとうどん屋のカレーうどんの違いを考えた。「翁そば」は黒に近いほど濃厚なルーで、かえしの存在が強い。ここはかえしよりも出汁感が強いようだ。
           長木屋⑤ 
           うどん屋のカレーうどん

とろりとしたカレーがたっぷりとかかっていて、たまねぎ、長ネギ、それに豚肉がゆったりと寝そべっていた。それをスプーンでひとすくいして、ふうふうしてから口中へ。すっきりとした淡泊な味付けで、かなりスパイシー。辛さが後から来る。「鹿児島枕崎産の本節と明治より代々伝わる秘伝のかえし」を使い、「一番ダシのみを使用、化学調味料は使用していません」とか。
           長木屋⑥ 
           飛び込め
           長木屋⑦ 
           いい風味が・・・
           長木屋⑧ 
           豚肉の美味

瘋癲北欧先生のご先祖は鹿児島なので、ここの出汁が気に入ったのかもしれない。うどんは手打ちの平麺で、もっちり感があり、のど越しもいい。コシもしっかりしている。うどん粉は地粉ではなく北海道産を使っている。白さに気品がある。村長は地粉で野暮ったいカレーうどんが好きだが、これはこれで洗練された味わい。豚肉の脂身がきれいで、いい豚肉を使っているのがわかる。
           長木屋⑨ 
           もちもちの平打ちうどん
           長木屋1 
           鴻巣うどんの実力  
           長木屋11 
           上質の時間

瘋癲北欧先生はここのうどんが気に入り、お土産に2人前持ち帰って、夜も食べたと書いていた。スウェーデンに帰国してもうどんを食べるそうだが、やはり日本で食べるのが一番とおっしゃっていた。アクアビットをあおってから食べるうどんも案外オツかもしれない。


本日の大金言。

カレーうどんには人生が詰まっている。食べ終わったドンブリの底を見ていると、人生の最後はかように終わりたいと思ってしまう。足掻いた後の余韻・・・。










                       長木屋14 



「2500円懐石料理」の凄い中身

 恐るべき食通、ドン圭氏の周りには食べ歩き好きの女性が太陽の周りを回る惑星のように存在している。
「あのね、村長、彼女らがいい和食屋を見つけたって騒いでいるんだよ。ランチもやってるけど、夜のコースを食べに行かない?」
ドン圭氏からそんな誘いの電話が入った。断る理由はない。村長は新しいフンドシを締めて、いそいそと出かけることにした。村民2号にはナイショである。

村長はビールくらいは飲むことにしているので、酒を飲まないドン圭氏の車で、埼玉・久喜市菖蒲町三箇にあるその店に向かった。午後6時半。女性陣はすでに着席していた。店は久伊豆大神社の前にあり、一軒家の料亭のようだった。玄関先がライトアップされていて、「和彩 ちょうじ」という木の看板が柔らかな光に浮かび上がっていた。比較的新しい店のようだ。ふむ。
           ちょうじ 
           料亭のよう(久喜市菖蒲町)

店内はゆったりとした小上がりとテーブル席。右手奥が厨房になっていて、板前姿の店主がちらと見えた。いい料理屋の雰囲気。かような場所でかような店構えで、かような料理をやるというのは、腕に相当な自信がなければできることではない。

たまたまランチを食べて、驚いたのよ。で、夜はコース料理だけど、これまた2500円とは思えない内容だった。で、みんなに教えなきゃ、と思って、ドン圭さんを誘って、村長も誘ってもらったというわけなのよ」
ワシちゃんが言えば、タカちゃんも「ここ、穴場よ。たまにぜい沢したくなったらおすすめ」と相槌を打つ。ワシとタカの絶妙コンビ。だが、2500円はフツーに考えて、安くはない。
           ちょうじ① 
           夜のメニューどす

夜は三つのコースに分かれていて、全員、一番安い「花菖蒲 2500円(税込み)」にした。村長のみ生ビール500円(中)を頼んだ。女将さんがお品書きをさり気なく置いている。「前菜、御造り、茶碗蒸し、揚げ物、蒸ししゃぶ、お食事、甘味」全部で七の膳。これは懐石料理である。エンターテインメント新聞社時代に神楽坂や築地、向島などで懐石料理を何度か食べたことがあるが、それらは料理だけで1万~2万円はした。ここは2500円。あまり期待せずに料理を待った。
           ちょうじ④ 
           これで2500円とは・・・

最初の前菜で目を見張った。本格的な八寸で、カボチャを練って作った銀杏(いちょう)、ウズラの卵で作った柿、胡麻和え、粟麩田楽などが秋の世界を彩っていた。店主の腕が確かなことがわかった。味わいも確かなもので、前菜を食べただけで、女性陣が騒ぐだけのことはあると思ってしまった。聞くと、店主は東京の懐石料理店で修業したそう。
           ちょうじ② 
           前菜の八寸
           ちょうじ③ 
           板前の腕前 

ヒラメとイカの旬の御造りもエンガワが付いていて、鮮度のよさといい、満足できるもの。蒸ししゃぶは黒毛和牛で、下に敷かれた白菜ときのこを湯気とともにポン酢とゴマダレで賞味。これが美味。談笑しながら箸が進む。最後の黒ゴマのアイスクリームを食べ終えると、ドン圭氏が「これで2500円というのは確かに凄い。だけど、この内容で店やっていけるのかな。儲けが出ないんじゃないか」心配げにポツリ。
           ちょうじ⑨ 
           黒毛和牛の蒸ししゃぶ
           ちょうじ12 
           あーん
           ちょうじ10 
           ポン酢とゴマダレ
           ちょうじ13 
           ホタテの磯辺揚げ
           ちょうじ14 
           ちりめんご飯と赤だし
           ちょうじ15 
           〆のデザート

「大丈夫。ドン圭氏とワシちゃんとタカちゃん、それに村長が毎日一人3人連れて来れば、それだけで1日3万円の売り上げ。20日で60万円。その間に噂を聞いた客がどんどん増えるはず。それをずっと続ければいいだけです。やがて埼玉の有名店になる」
村長がほろ酔い顔で言い放った。

ウマズイめんくい村に帰ってから、村民2号にその話をすると、「バッカみたい。ずっとそうやって取らぬ狸をやってれば。そんな客、店にとっては返って迷惑よ」とコーヒーを飲みながら手裏剣を放つのだった。グスン。


本日の大金言。

一週間に一度くらいはささやかに贅沢をしたい。そういう店を一軒くらい持つと、人生がまた楽しくなる。


                       ちょうじ16 






「アベノミックスケーキ」より鴻巣宿の串だんご

ポンコツ車で 遠来の友人を埼玉・鴻巣の免許センターに送り届けた後、鴻巣市内をブラ歩きした。鴻巣宿は江戸時代、中山道六十九次の七番目として栄えた宿場町。徳川家康が鷹狩りをした場所でもある。古い街なのでいい和菓子屋も多い。

鴻巣駅近くの御成町レンガ通りに入って、何気なく歩いていると、そこだけセピア色の和菓子屋が目に飛び込んだ。さびれた佇まい。ひょっとして店を辞めてしまったのではないか? そんな思いが一瞬よぎった。だが、よく見ると、暖簾が半分だけ下がっていて、下の木枠のガラスケースには串だんごやかのこなど数種類が控えめに盛られていた。米印の伊勢屋だった。むむむ。
           伊勢屋① 
           開いてる?(鴻巣市御成町レンガ通り)
           伊勢屋 
           少量手づくり

「串だんご」はみたらしとこしあん。1本70円という安さ。これが実に美味そうだった。さらに「かのこ」(100円)は、珍しい金時豆の鹿の子で、普通のものよりもひと回りほど大きい。村長のよれよれのハートが早鐘になった。さらに、「あんドーナツ」(90円)の姿も。これは飛び込むっきゃない。
           伊勢屋12 
           まさかの発見?

中に入ると、テーブルが5つほどあり、そこで食べようと思った。だが、小ざっぱりとした女将が出てきて、「すいません。店の中は人手不足でもうやっていないんです。今はお持ち帰りだけなんです」と言うではないか。聞くと、昭和初期からこの場所で生菓子屋を営み、夏にはかき氷も出していたそう。今も少量だが、「毎日、あんこからすべて手作業で作り続けています」とか。

突如、アベノミックスケ-キのインチキに怒りがわいた。大企業より、こういう店やおまへんか。議員報酬の削減にも頬かむりとは魂胆が透けて見えやしまへんか。「あのう、庶民をナメテいやしませんか?」。自動翻訳機。「すいません、ナメテました。材料に表示外の添加物を入れ過ぎてます。だって、皆さんもナメラれたがってたじゃありませんか?」。ラジオ体操2回後、藤沢周平を読む。

仕方なく、「串だんご(こしあん)」を2本、「かのこ」を2個、それに「あんドーナツ」を1個買い求めた。締めて430円のプチ贅沢。消費税も取らない。ウマズイめんくい村に持ち帰って、賞味することにした。
           伊勢屋⑥ 
           正座していただく

まずはこしあんの串だんご。見ただけで見事なこしあんであることがわかる。70円とは思えないほどたっぷりと乗ったこしあんは、さらさらとした食感で、ピュアで控えめの甘さ。これがとてもいい。餅は米粉の餅で4個、ほどよい柔らかさ。村長はもち米の方が好きだが、これはこれで悪くはない。村民2号は「これが一番好き」
           伊勢屋9 
           職人がいる
           伊勢屋10 
           横から失礼
           伊勢屋8 
           食べてから飛べ

続いて、かのこ。金時豆は風味が強く、かなり甘い。中のこしあんとの相性はこしあんが控えめな分、金時豆の存在感が前面に押し出ている。金時豆好きの人にはいいが、村長は小豆派なので、これは思ったほどの感動はない。
           伊勢屋2  
           かのこでおます

最後のあんドーナツが秀逸だった。大きさは小ぶりだが、揚げパンの部分がサクッとした歯ごたえで、口に入れた途端、卵と小麦の風味が立ってきた。たっぷりとまぶされた白砂糖と中のこしあんの相性がとてもいい。三位一体のあんドーナツ・・・。
           伊勢屋4 
           うむむうむむ
           伊勢屋7 
           食感と風味

これは発見、かもしれないぞ。意外な場所で、串だんごとあんドーナツの発見・・・メディアで大量販売のアベノミックスケーキなど目ではない。村長はうれしくなって、これがある限り、日本はまだ捨てたもんじゃないぞ、とつぶやくのだった。


本日の大金言。

テレビの前から辺境の街中へ。その片隅から考える。それからテレビを見る。虚と実が少し違って見えてくる。


                伊勢屋11 


有楽町ガード下の「絶妙ナスカレー」

「 ガード下」という言葉には戦後のサラリーマンの哀愁と希望がある。神田、有楽町、新橋・・・村長はガード下が好きで、生活のシミがある牛丼屋、居酒屋、立ち食いそば屋などを歩き回るのが好きだった時代がある。今回ご紹介するのは、カレー屋である。有楽町ガード下の「カレー専門店 ふくてい」
           ふくてい 
           ガード下の世界(有楽町)

昭和30年から神田駅ガード下でスタンドカレー屋をスタートさせ、人気を呼んだ。その神田駅が改修されるに伴って、2011年に有楽町ガード下に移転。「東日本大震災が起きる少し前です」(店長)。村長はエンターテインメント新聞社時代に神田で何度か食べ、有楽町ガード下に移転してからもここのカレーを無性に食べたくなると、仕事にかこつけて、暗いやや湿ったガード下に足を運んだ。

都心に所用があったことにかこつけて、久しぶりに足を運んだ。ここはステーキカレーが有名だが、村長は決まって「ナスカレー」を食べていた。15席ほどのU字型カウンター席。奥が厨房になっていて、そこで白衣のコックが2~3人ほどどこかの一流洋食屋のような佇まいで忙しそうに働いている。そこだけ見てると、ここがスタンドカレー屋であることを忘れる。
           ふくてい② 
       スタンドカレー専門店「ふくてい」

今回もむろん「ナスカレー」(550円)を注文した。カウンターの上のレモンの入った氷入りの水ポット、福神漬けとラッキョウがこの店の職人気質をさり気なく感じさせる。弛みのない正統派スタンドカレー屋
           ふくてい1 
           B級の舌代
           ふくてい14 
           職人の気配

5~6分ほどで、ナスカレーがやってきた。大きい平皿に乗ったナスカレーは来ただけで旨そうな匂いが立ち上がってきた。黄土色のカレーの海。やや固めに炊かれたご飯、その上に鎮座する油で揚げた濃い紫色の長ナスが二つ。斜めに切り込みが入れられ、その表面には塩がパラパラとかかっていた。これだこれだ、とつぶやきながら、おもむろにスプーンを運ぶ。
           ふくてい⑥ 
           ナスカレー、である
           ナスカレー 
           ただのカレーではない
           ふくてい⑧ 
           どうでっか?

カレーはじっくり煮込んだ鶏ガラのスープをベースにしている。具はルーの中に溶け込んで、ほとんど形がない。口に運んだ途端、まろやかなで穏やかな旨みが口中に広がる。辛さはほとんどない。だが、そのじんわりと滲み込むような奥深い味わいに「この味は変わっていないな」という感慨が体の中から自然に湧いてくる。絶妙な美味。かすかに化学調味料の匂いもする。
           ふくてい11 
           ナスさま、である
           ふくてい⑦ 
           脇役ではない?

揚げナスとカレー、それにライスのバランスがとてもいい。後を引く旨さ。福神漬けとラッキョウのレベルも高い。20年ほど前、神田ガード下で初めて食べたときほどの感動はないが、村長にとっては懐かしいカレーライス。有楽町ガード下というワンダーな世界がその味わいに彩りを添える。黒の上の彩り。ガード下にはよれよれの背広の、幾千もの夢とため息と汗が滲み込んでいる、そんな気がするのだった。

本日の大金言。

たまにはガード下に行こう。高い場所より低い場所。そこで隣の男の顔を見る。自分の顔が見えてくることだってある。





                        ふくてい12 





埼玉の人気つけ麺屋の微妙

 「つけめん 102大宮店」と言えば、東京・千駄木のつけめん専門店「TETSU」の埼玉版の超人気店である。2年ほど前に一度行ってみたが、大行列だったので断念したことがある。会津若松から友人が来たので出迎えがてら、大宮に行ったついでに立ち寄ることにした。西口から歩いて6~7分ほどの距離。時刻が午後3時を回っていたこともあってか、行列はなかった。ゲット・ラッキーか?
           102.jpg 
           近未来的なシャレた外観

コンクリート打ちっぱなしの店構え。白い長ノレンが下がり、「102」という暗号のような無機的な屋号も近未来的でシャレている。店内は20席ほどの長いカウンター席のみ。目の前が厨房になっていて、そこに2人の男性スタッフがいい雰囲気で働いていた。客は他に3人しかいない。

券売機で定番の「つけめん(並)」(840円)を買い求めようとしたが、タッチパネル式で、少々戸惑った。近未来SF映画のような無機的な券売機。何とかクリアして、カウンター席に腰を下ろす。「麺は冷たいのと熱もりがありますが」とスタッフ。「冷たいほう」と村長。スタッフの対応は悪くない。「当店は太麺を使用しているため10分以上茹で時間がかかります」という表記が見えた。
           10212 
           近未来的な券売機
           102  
           旨そうな気配

その通り、10分ほどで「熱いのでお気を付け下さい」噂のつけ麺がやってきた。麺は黄色みが強いかなりの太麺で、ちょっと見にはうどんのようにも見える。つけ汁は魚粉を入れているような茶褐色のドロドロ系で、この時間帯は「豚骨と魚介」のWスープ。脂が所々に浮いている。焦がしネギ油か。ナルトが一枚と刻みネギが浮いていて、旨そうな匂いと湯気が立ち上っている。
           102③ 
           人気のつけ麺

麺は口に入れた瞬間、小麦の風味が立ち上がってきた。この風味がとてもいい。もっちりした歯ごたえ。悪くない。つけ汁は見た目よりも味は濃くない。まろやかでトロリとしている。豚骨はげんこつを使い、魚介は煮干し、鰹節、鯖節など数種類使っているようだ。麺にスープがよく絡む。美味。だが、食べながら何かが足りない気がした。
           102④ 
           もっちりした極太麵  
           102⑤ 
           うどんではありません
           102⑨ 
           つけ汁がよく絡む

つけ汁の中にチャーシューが1枚とメンマが2~3本入っている。チャーシューはそれほど大きくはない。メンマも特出するものは感じない。840円という舌代を考えると、チャーシューはもう少し厚みが欲しい。つけ麺は「大」(300グラム)にしても無料なので、「並」(200グラム)のボリュームを少ないということはできない。だが、どこかで採算点優先の匂いがした。「大」が300グラムという設定自体にそれを感じる。昔はもう少しインパクトがあり旨かったのではないか? 
            

           102⑦  
           チャーシューでござる
           102⑧ 
           メンマでござる
           10210 
           つけ汁の美味

これで東京や埼玉のラーメンランキングで常に上位というのが正直信じられない。スタッフも迷っているのではないか。ふと、スタッフに「昼どきに来ると大行列なんでしょ?」と聞いてみた。すると、「いえ、昔ほどではありません」という返事。「近くにライバル店が多くなってきた」こともその理由の一つだそう。

伝説とも言えるつけ麺専門店といえども、客は浮気で正直でもある。すぐ近くにあるライバル店を横目にしながら、ラーメン戦国時代の苛烈さを思った。入り口の近未来のような券売機が気のせいか一瞬、「ハル」に見えた。


本日の大金言。

職人とコンピューターは共存できるか。それを上手く両立することが出来たら、未来は輝けるものになるのだが。



                       10211 



プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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