デパ地下の「ピスタチオジェラート」

 デパ地下は村長の好きなワンダーワールドだが、都心から外れたデパ地下も魅力的である。今回は埼玉・春日部の西武春日部のデパ地下で賞味したイタリアンジェラートについて。六本木に本社のある「ドナテロウズ」を覗いたら、数種類のイタリアンジェラートの中から期間限定プレミアム「ピスタチオ」が目に飛び込んできた。冬のかき氷もポエムだが、2月のジェラートも悪くない。
           ドナテロウズ4  
           イタリアンジェラート!
           ドナテロウズ① 
           期間限定ピスタチオ!

ドナテロウズは1986年創業のジェラート専門店。本社は六本木にある。首都圏を中心に10店ほど。関西にも進出している。その西武春日部店。2種類を楽しむこともでき、気の多い村長は「ピスタチオ」と「小倉」を選んだ。「コーンとカップ、どちらになさいますか?」とバイト(?)の女性。愛くるしい。「カップでお願いします」。合計510円ナリ
           ドナテロウズ② 
           小倉もあるでよ
           ドナテロウズ1 
           カップorコーン?

イートインコーナーで賞味となった。このプレミアム「ピスタチオ」が美味だった。ピスタチオの産地の中でもイタリア・シチリア島産が最高峰と言われているが、このピスタチオはそのシチリア島ブロンテ村産を使っている。深いうぐいす色をスプーンですくうと、どっしりとしたねっとり感が指先に伝わってくる。本物感。
           ドナテロウズ2 
           冬のジェラート
           ドナテロウズ④ 
           わお~
           ドナテロウズ⑧ 
           重量級のピスタチオ

口中に運んだ途端、ローストしたピスタチオの風味がぐわんと広がった。ジェラートは空気の含有量が低いため、アイスクリームよりも濃厚感がある。それでいて乳脂肪分がアイスクリームより低い。ピスタチオのジェラートを食べたのは初めてだが、絶妙なこってり感が実に心地いい。冷たい美味。村長にとっては一つの発見だった。
           ドナテロウズ⑦ 
           ねっとり感

ピスタチオはリノール酸とオレイン酸の含有量が特に多い。動脈硬化予防と悪玉コレステロールを下げる効果もある。村長にとってこの2つは悩みのタネでもある。デパ地下で「いいもの、めっけ」の感じ。

「小倉」は牛乳と砂糖、バニラ、それに生クリームの風味がいい。小豆の風味もそれなりにある。もう少し小豆の量を多くしてくれると村長の好みになるのだが。「ピスタチオ」ほどのどっしり感はないが、さわやかな美味さではある。
           ドナテロウズ⑤ 
           軽量級の小倉
           ドナテロウズ3 
           混ぜてみる

最後のところで、この2つを混ぜてみた。ピスタチオの個性に小倉が隠れてしまった。これはミスマッチ。イタリアマフィアに大和なでしこが押し切られてしまったような印象。ピスタチオと小倉を恋愛させてはいけない。村長は訳の分からない妄想にしばし捉われるのだった。

本日の大金言。

夏にたい焼きを食べ、冬にジェラートを楽しむ。これもスイーツの究極の楽しみ方の一つかもしれない。


                         ドナテロウズ⑨ 

スポンサーサイト

これは苦行か、カツ丼の怪物と格闘

 千葉に住む友人から久しぶりにメールが入った。
「東京と埼玉ばかりでたまには千葉を取り上げてはいかがか。例えば醤油の街・野田市にある『やよい食堂』など。食に対する考え方が根底から変わります。結構有名なので知ってるかもしれないけど(笑)」

村長は舌打ちをした。『やよい食堂』はデカ盛りで有名な大衆食堂で、テレビで確か石ちゃんがここで怪物みたいなカレーライスを食べていたことを思い出した。2008年には「全国人気デカ盛店第一位」に輝いたこともある。村長には無縁な世界だが、友人の挑発的なメールを無視するわけにもいかない。会津藩足軽末裔の血がちょっとだけ騒いだ。
           やよい食道 
           デカ盛りのメッカ

翌日の正午ちょい前、青いポンコツ車が野田市中野台にある「やよい食堂」の狭い駐車場に滑り込んでいた。最寄りの駅は東武野田線愛宕駅。村民2号は「デカ盛り」と聞いただけで「どうぞゆっくり楽しんできてね」と去って行った。大正15年創業の大衆食堂で、ひと目見ただけで昭和がそこにあるよう。なぜか「幾時代かがありまして 茶色い戦争ありました」という中原中也のワンフレーズが浮かんだ。
           やよい食堂③ 
           昭和のよき大衆食堂       

すすけた青いノレンをくぐると、そこはまさによき大衆食堂の世界。4人用のテーブルが左右に三つずつ。奥が厨房になっていて、そこから甘い醤油の匂いが漂ってくるようだった。家族で営んでいるようで、客のほとんどは常連客のようだ。いい雰囲気。村長はメニューの中から「かつ丼」(並610円)を選んだ。「並」と「大」しかない。
           やよい食堂⑤ 
           驚きの世界
           やよい食堂1 
           どんどん客が・・・

待っている間にどんどん客が入ってきた。ほとんどが男性で、女性客はたった一人。10分ほどで驚異の「かつ丼」がやってきた。みそ汁とタクワン付き。ドンブリとフタの間からかつ丼の具が大きくはみ出ていた。フタを取ると、いい匂いとともに普通のかつ丼の軽く二倍の分量はあると思われる煮込みカツ丼が横たわっていた。これで並とは・・・噂に違わぬデカ盛り。
           やよい食堂⑥ 
           おおおの世界
           やよい食堂⑦ 
           フタを取る
           やよい食堂⑧ 
           唐辛子、出過ぎ

実際に目の前にすると、どこから手を付けていいのか戸惑う。まずはカツ。これが驚きだった。厚さが優に5センチはある。その特大カツが3切れ。よく見ると、中央に厚さ6ミリほどの豚バラ肉、それを薄切りの豚肉が幾重にも取り囲んでいた。コロモはツユでぶよぶよになっている。苦労しながら箸でつかんで、ガブリと行く。うむむうむむ。
          やよい食堂⑨ 
          アーユーかつ丼?
          やよい食堂10 
          うむむ

肉の質はこの際問わない。醤油ベースの薄甘いツユ、出汁感はない。溶き卵がいい具合だが、その下のたまねぎの量も並みではない。何よりツユだくが尋常ではない。まるでオジヤを食べているよう。額から汗が滴ってくるのがわかった。食べながら、これは格闘だと思い始めた。610円という値段が信じられない。
           やよい食堂12 
           すべてが規格外
           やよい食堂13 
           救いのタクワン

次第に一体自分は何のためにこのカツ丼を食べているのか、という疑問が湧いてきた。これは修行かもしれない、とも思い始めた。途中でタクワンを一切れ。ごくフツーのタクワンなのに、これが実に美味。不幸があって幸福がある。幸福があって不幸がある。20分ほどかかってようやく平らげた。苦行のかつ丼。うまい、まずいを超えた世界。その瞬間、幸せな虚脱感に襲われた。

本日の大金言。

やはり人生はほどほどが肝心だと思う。そのほどほども極端を経験して初めてわかることなのかもしれない。





                          やよい食堂14 



火を吹く?北千住の「四川担々麺」

 東京・北千住は村長にとって第二の故郷でもある。ときどきここに行かないと、脳みそが停滞する。久しぶりに「おじゃら画廊」のおじゃらりかさんと歓談する。不思議な人で、画家でありオブジェ作家であり・・・そうしたジャンル分けをすること自体に意味がないクリエイターとでもいう他はない。

抹茶をごちそうになりながら近況などを話し合う。猫が狭いアトリエ内をしなやかに歩いている。
「あっ、そうそう、おじゃら倫子(りんご)と改名したのよ」
別れ際に新しい名刺をもらう。確かにおじゃら倫子(りんご)になっていた。ビートルズのアップルレコード、ジョブスのアップル社、椎名林檎・・・ひょっとしてリンゴは世界を救うキーワードかもしれない。
           鶴亀飯店 
           シャレた外観

その足で、最近「四川担々麺」で人気の「中華ダイニング 鶴亀飯店」で遅いランチを取ることにした。東京芸術大学の斜め向かい側あたり。今どきのきれいな外観で午後2時過ぎだというのに女性客でにぎわっていた。カウンター席とテーブル席。村長はカウンター席に腰を下ろして一番人気の「四川担々麺」(880円)を頼んだ。目の前が厨房。
           鶴亀飯店① 
           当店一番人気

10分ほどでいい匂いとともに「四川担々麺」がやってきた。白ゴマの入った小さなすり鉢も同時に置かれた。「四川担々麺」は花椒(胡椒)と自家製ラー油がまだら状に浮いていた。恐るべきビジュアル。どろっとした醤油ベースのスープは豆板醤、ゴマペーストなど様々な隠し味が入っていて、レンゲでひとすくいすると、一瞬地球誕生時のマグマを連想させる。むろん、見たことはないが。
           鶴亀飯店③ 
           絶景といい匂い
           鶴亀飯店④ 
           うむむ、汗

そのスープが絶妙だった。最初のアタックが複雑で濃厚な旨み、すぐ後から花椒とラー油の辛さが身をよじるように追いかけてきた。思わずため息が出かかる。ゴジラになりかかる。だが、その強烈な辛さが思ったほどきつくない。ギリギリのところで日本人向けに穏やかに変換する。細かく砕かれたピーナッツがいいアクセントになっている。うむ。
           鶴亀飯店⑤ 
           自家製ラー油と花椒
           鶴亀飯店⑧ 
           飛び込みたい
           鶴亀飯店⑨ 
           すりゴマを入れる
           鶴亀飯店⑦ 
           ストレート細麺

麺はストレート細麺で「特注です」とか。コシはほどほど。村長はもっと固めが好きだが、悪くはない。合挽き肉、小松菜など具もまずまず。全体的にボリュームは女性をターゲットにしているのか少なめ。スープがいいので一滴残らず飲み干してしまった。腹八分の満足感。

本場・中国四川省の担々麺は汁なしだが、陳建民(陳建一のお父さん)が日本に来て、日本人向けに現在の担々麺を作った。その流れを汲む北千住の四川担々麺。最近脳が疲れ気味の村長にとってはほどいい刺激となって、テッペンからつま先まで体中がポカポカしてくるのだった。

本日の大金言。

医食同源。担々麺にはこの哲学が隠れている。疲れた時はジャンクフードより担々麺。



                         鶴亀飯店10 




安く楽しむ銀座の新しい止まり木

先週末の午後5時半、 花のお江戸は銀座に降り立った。6時から東京・内幸町のメディアクラブで気の置けないギョーカイ仲間と小宴会がある。歩いて20分ほどの距離。和光の時計塔を見ながら夕暮れの銀座を歩くのは気分がいい。すずらん通りに入る。左手には銀座鹿乃子。その少し先で、つい足が止まってしまった。
           銀座長野 
           急がば回れ

長野県の物産館「銀座NAGANO」が視界に入ったからだ。昨年10月26日にオープン。その時にも行ったが、館内は人でごった返していた。それから約4か月。館内は意外なほど空いていた。こ、これはいかん。たまたま客が少なかったのか? 北海道と並んで美味い物の宝庫の信州がかような状況では日本の舌の未来が心配だ。
           銀座長野2 
           ラッキーか?

村長は宴会に遅れることを忘れて、飛び込んだ。ひと通り信州の美味を見て回ってから、シャレたL字カウンターで食前酒を楽しむことにした。オープン時には行列で食べ損ねたことがウソみたい。だが、よく考えると今は狙い目でもある。信州の簡単な料理、地酒、ワインが楽しめる一角でもある。ちょっとした止まり木としても利用もできる。
           銀座長野3 
           ピノノワール2013青木原

村長はまずは「ピノノワール2013 プルミエ青木原」(グラス500円)を頼んだ。信州でピノノワールは珍しい。それと、ツマミに「五平餅」(漬け物付き300円)を注文した。ミスマッチか? 普通なら地酒だが・・・。
           銀座長野② 
           うむ、手ごろな値段・・・

「ピノノワール2013」は予想に反して(?)いい出来だった。ブルゴーニュの3000円クラスのようなピノ独特の香りがふくよかに口中に広がった。熟成感のあるタンニンと果実味がとてもいい。信州ワインの実力を改めて確認させられる味わい。
           銀座長野③ 
           至福が来るか?
           銀座長野⑤ 
           主役と脇役

「五平餅」は伊那市「鈴平」のもの。妻籠や駒ヶ根のあまりに素朴な五平餅とは少々違って、丸い平餅が二つ、ごま味噌ダレを付けて焼かれている。餅は半殺し(半つき)にしたうるち米。いい匂いが吹き上がってくる。南信州産の菊芋の味噌漬け、野沢菜、凍み豆腐が添えられている。これで300円はリーズナブル。
           銀座長野⑥ 
           ごま味噌ダレの五平餅
           銀座長野⑧ 
           半殺しの餅

五平餅はごま味噌ダレの量がもう少し欲しい気もするが、脇役陣が意外にいい。凍み豆腐、野沢菜はまずまずの旨さだが、味噌漬けの菊芋がピノノワールに意外に合う。コリッとした食感とピノの華やかな熟成が意外なカップル誕生か、と思った。銀座のど真ん中で800円のリッチな時間をしばし楽しむ。信州の食の実力は底知れない、と改めて確認する。
           銀座長野⑦ 
           信州の凍み豆腐
           銀座長野10 
           新鮮な野沢菜
           銀座長野⑨ 
           意外な菊芋

時計を見ると、6時を大きく回っていた。あわててメディアクラブへ走る。12人が集まっていた。丁々発止、空になった熱燗とっくりが次々と並べられ、楽しい時間はラウンジのスタッフに「もういい加減にしてください。ラストオーダーです」と言われるまで続いた。気がついたら3人ほどが倒れていた。暴露話のオンパレードだったが、残念ながらここには書けない。人気ブログ「渓流斎日乗」を読まなくちゃ。2日ほど古いけど。

本日の大金言。

銀座を安くリッチに楽しむ方法はいくらでもある。新宿や渋谷とは違う銀座の表通りと路地裏の世界。猫流の楽しみ方。



                            銀座長野11 





「かけそば200円」衝撃の味

 世の中は広い、ということを改めて思い知らされてしまった。午後1時ちょい前、兜町ペンクラブの編集作業のため、茅場町で下車。時間があまりない。立ち食いそばでもかっ込もうと思って、駅近くの「小諸そば」に寄ろうと思ったが、ふとした気まぐれで霊岸橋方面を見ると、「おそば200円」の看板が視界に入った。200円だとオ? そこからプチストーリーが始まった。
           亀島 
           うむむの世界

それが知る人ぞ知る「そば処 亀島」だった。長年、茅場町には立ち寄っていたが、気がつかなかった。村長の目は節穴、ということになる。店内が混み合っていることがわかった。店の外の券売機でその「かけそば」(200円)とトッピングで「かき揚げ 90円」と「海老天 90円」を買った。驚くべき安さ。「富士そば」や「小諸そば」でさえ「かけ」はぞれぞれ270円、250円である。
           亀島④ 
           〆て380円なり

多分味はそれなりだろうな、という予想が見事に外れた。店内は狭く、椅子もない。右手に4~5人、左手にせいぜい3人ほどしか食べるスペースがない。本物の立ち食い。正面斜め、奥まったところが板場になっていて、そこで2人の男性スタッフが隙なく働いていた。職人の気配。
           亀島③ 
           まさかの世界
           亀島② 
           タイムスリップ?

注文を受けてから生めんを茹で上げている。天ぷらは揚げ置きのようだが、ほとんど揚げ立てで、いい天ぷらの匂いが板場に充満していた。5分ほど待たされて、お盆に乗った「かけそば」が渡し口にもなっている木のカウンターに差し出された。こんがりと揚がった海老天とかき揚げ、それに刻みネギがどっかと乗っていた。旨そうな湯気。
           亀島1 
           ホンマどす
           亀島⑤ 
           すべてが一級品

パラパラと七味を振りかけてから、まずはそばをひと口。これが予想を超える旨さだった。黒っぽい江戸前の細麺で、歯ごたえがシャキッとしていて、コシがかなり強い。そばの風味もある。ツユはかなり濃い色だが、見た目ほどの辛さはない。それ以上にまろやかで甘め。鰹節の出汁がいい具合に効いていることに驚いた。村長にとってはドンピシャの味わい。
           亀島⑥ 
           コシと歯切れ

海老天はコロモがかさばっているが、カラッと固めに揚がっていて、コロモ自体が旨い。中の海老もまずまず。かき揚げもタマネギ、ニンジン、長ネギが不都合なく入っていて、立ち食いそばのレベルとしては上々。食べながら味を噛みしめ、噛みしめながら箸を進める。
           亀島11  
           かき揚げ
           亀島⑧ 
           海老天

敬意を持って、ツユを最後の一滴まで飲み干す。かけそば200円の軽い衝撃。消費税も取らない。これほどの立ち食いそば屋が平成27年の都心の一角に存在していたことに驚くとともに、我が身の置き場がなくなった。忙しそうなのでほとんど話が聞けなかったが、店はこの場所で10年ほどになるそう。大いなる満足と苦みの入り混じった感情を抱えて、外に出る。ポロリと駄句。節穴の曇空仰ぐ蟻となる 

本日の大金言。

立ち食いそばにはひょっとして忘れかけていた日々がある。もういちど人生を振り返りたくなったら、かけそば一杯も悪くない。




                        亀島13 






続きを読む

美人姉妹のフレンチトースト

 「小さくて素敵な店、見つけちゃった。カフェと雑貨の店なんだけど、センスが私向きでとってもいいのよ」
村民2号が猫足でやってきて、村長の耳元でささやいた。
「ふむ。よくある店じゃないか」
畑仕事中の村長はつまらなさそうに答えた。
「メニューにはフレンチトーストもあるのよ。村長の好・き・な・・・」
村長はすっくと立ち上がった。

約1時間後、ウマズイめんくい村の一行約2人はその店にいた。埼玉・加須市花崎駅北口からすぐ。ケーキ屋さんの裏の路地にその店「PU-PU(ぷぷ)」があった。「カフェ&雑貨」とローマ字で表記してあった。入り口には近くの畑で採れたという新鮮そうなキャベツやネギなどが安い値段で置かれていた。うむ。
           カフェププ 
           ここはどこ?
           カフェププ① 
           カフェ&雑貨

白を基調にしたシャレた店構えで、店内には確かに村民2号が気に入りそうな食器類や衣類などが置かれている。値札がかなり安めに設定されている。その奥がカフェコーナーになっていて、3人用のテーブルが2つと2人用のテーブルが一つ。しばらく店内をチェックしてから、ランチすることにした。

「ここはね、去年の11月にオープンしたばかりなのよ。火・水・木・金の週4日営業で、姉妹2人で切り盛りしているの」
「へえー、気楽でいいね」
「村長ほどではないわよ」
           カフェププ② 
           いいビジュアル

メニューはそう多くはないが、「ベーコンフレンチトースト」(ドリンクセット600円+税)と「スイートフレンチトースト」(同)に素早く目が行った。スイーツ類も美味そうだが、とりあえずは財政事情からその二つを注文した。ドリンクはコーヒー。しばらくして姉妹が美人なことに気付いた。うむ。
           カフェププ③ 
           気軽な値段

料理は妹さんの担当らしく、注文を受けてから奥で料理しているのがわかった。12~3分ほどで「ベーコンフレンチトースト」、すぐ後から「スイートフレンチトースト」がやってきた。フライパンを使わずにオーブンで仕上げるそう。
           カフェププ⑤ 
           ベーコンフレンチトースト
           カフェププ⑧ 
           スイートフレンチトースト

こんがりと焼かれたフランスパン生地の中は黄色みが強い。外側がカリカリしていて、中は柔らかい。輪切りにしたフランスパンを卵とミルクに一晩漬けるのがコツだとか。

「ベーコンフレンチトースト」はベーコンと2種類のチーズのバランスが悪くない。モッツァレラチーズが効いている。フツーに旨い。ほどよいボリュームで、ダイエット中の村長と村民2号向きかも。
           カフェププ⑥ 
           ベーコンフレンチトーストの美味
           カフェププ⑦    
           ガブッと行け
     
「フレンチトースト」は生クリームが上にどっかりと盛られ、メイプルシロップとパウダーシュガーが夢のようにかかっていた。卵とミルクの香りのするパン生地とメイプル、それに生クリームが口中で溶けていく。ここにアイスクリームがあればなぁ・・・天国まで8マイル。突然のように確か楠本憲吉の一句「珈琲の香や美しき人といて」が頭に浮かんだ。
           カフェププ⑨ 
           絶景かな
           カフェププ2 
           品よく行け

「大丈夫? どこ見てんのよ」
目の前に村民2号がいた。手にはしっかりと伝票が・・・。天国は消えていた。

本日の大金言。

人生はフレンチトーストにしかない。半分食べてから残りをどう思うか? その思いの中にその人の人生が隠れている。なんてね。



                       13カフェププ 


食通氏と月島もんじゃ初体験

 恐るべき食通のドン圭氏が「月島のもんじゃを食いてえ」と言い出した。仕方なく(?)村長はお供することにした。泣く子とドンには勝てない。東京・月島はエンターテインメント新聞社時代によく通った場所。だが、いつも夜ばかりで、居酒屋専門だったために、ホントのところもんじゃ焼き屋には入ったことがない。

今や有名観光スポットともなったもんじゃストリートは1980年代後半のもんじゃ焼きブームでできたもの。それまでは駄菓子屋の隅で子ども相手に焼かれていたもんじゃ焼きだが、ブームによって次々ともんじゃ焼き屋がオープン。今やその数100軒とも言われている。浅草をしのぐもんじゃ焼きの一大メッカとなっている。
           もんじゃ麦 
           月島でも老舗の暖簾

村長はその中でも老舗の「もんじゃ麦」の暖簾をくぐることにした。午後3時過ぎ。用件が一つ済んで、おやつにちょうどいい時間。ここは創業が昭和58年(1983年)、月島もんじゃブームが起きる前からのもんじゃ焼き屋。仕切りの付いた木のテーブル席に腰を下ろすと同時に、ドン圭氏が鋭い目つきで店内を一瞥(いちべつ)した。沈黙の後、「いい店だべ」とひと言。 

「夏木マリスペシャル」(1500円)が目に止まった。どういう経緯かは知らないが、あの夏木マリが考案したというもんじゃ焼きで、納豆やキムチがどっさりとトッピングしてある。「絹の靴下」のフィンガーシーンが村長の脳裏に浮かんだ。よろっと行きそうになる。若き日のドン圭氏が夏木マリのファンだった可能性もある。だが、最終的に選んだのは、「ホタテもんじゃ」(980円)だった。
           もんじゃ麦4 
           夏木マリに視線が行く
           もんじゃ麦① 
           ホタテもんじゃ

「もったいねえから、二人で一人前を分けて食べっべえか?」
ドン圭氏の素晴らしい提案にフトコロ事情が苦しい村長もこっくりとうなずいた。その代わり、健康ジュースのグランベリーアロエジュース」(350円)を注文することにした。店のスタッフの労わるような目線が心地よい。
           もんじゃ麦3  
       キャベツ、ホタテ、鰹節、小海老

もんじゃ焼きは店のスタッフが途中まで作り方を解説付きで焼いてくれた。実際は怪しい二人組に見かねた末の気配り、というのが真相だが。キャベツなどの具でドテをつくり、そこにウースターソース入りの溶いた小麦粉を流し込む。見事な手つき。ジュウジュウといい匂いが鉄板から立ち上る。「食べごろです。どうぞ」の声。
           もんじゃ麦④  
           まずはドテづくり
           もんじゃ麦⑦ 
           流し込みへ
           もんじゃ麦⑨ 
           いい匂いが立ち込める
           もんじゃ麦10 
           そろそろ出来上がり
           もんじゃ12 
           リッチな時間

小さなヘラを押さえるようにしてパリパリとした焦げ目を作り、それを口中へと運ぶ。ホタテと野菜の出汁と、ウースターソースなどの隠し味がよく効いている。魚介類など材料は近くの築地市場のもの。思った以上に美味。パリパリ感とねっとり感のバランスがいい。粉末海苔と花ガツオを乗せてさらに食べる。もんじゃ焼きのルーツは一説によると、千利休が茶会用に作らせた「麩の焼き」にまで遡る。元々は茶菓子だったということになる。
           もんじゃ麦12 
           ヘラで整える
           もんじゃ麦13 
           あーん
「これがもんじゃか。そんなうめえもんじゃないけど、おやつにはちょうどいいもんじゃ
きれいになった鉄板を眺めながら、ドン圭氏がシンプルにつぶやいた。ダジャレか? ドン圭氏が千利休に見えてきた。肖像画とどこか似ている・・・。

本日の大金言。

月島のもんじゃ名人によると、ドテを作るのは月島流で、浅草など他の下町はドテを作らずにそのまま流し込むそう。



                       もんじゃ麦14

「本日の煮干つけ麺」の行列

 埼玉・大宮に所用があって立ち寄った。そのついでに、埼玉ラーメン界の人気店をのぞいてみた。西口から歩いて5分ほど桜木町2丁目の「煮干分家 つけめん蕾(つぼみ)」である。近くには「つけめん102」もある。つまりこの辺りはラーメン激戦区でもある。
           蕾① 
       ごめんよ、と入りたくなる店構え

「つけめん蕾」は本店が東口にあるが、「煮干し」を前面に押し出した西口の分家の方が人気がある。2012年5月にオープン、古民家風の店構え、「煮干しそば」の提灯、白いノレン・・・時代劇のセットのような外観。店の中に5~6人ほど並んでいるのが見えた。「本日の煮干し」と書かれた黒板には「千葉県九十九里産片口イワシ」と書かれている。横に三河屋製麺の木箱。悪くない雰囲気。
           蕾② 
           煮干し好きにはたまらん!

店内に入って並ぶことにした。カウンター席が12席ほど。対面が厨房になっていて、男性2人と女性1人がテキパキと動いていた。券売機で定番の「本日の煮干つけ麺」(並200グラム 780円)を選んだ。ふと見ると、床の隅に銀色に輝く千葉県産片口イワシの山が見えた。本当に店でダシを取っているようで好感。
           蕾11 
           煮干しが並ぶメニュー       

5分ほどで「3番」の席に座ることができた。それから10分ほどでドンブリに盛られた太麺と、見るからにドロリとした茶褐色のつけ汁が置かれた。太麺は見るからにもっちりしていて、「つけめん102」よりも白っぽい。国産小麦を使っていると表記してあった。見ようによってはうどんのようにも見える。以前はあった大きな海苔とレモンがなぜか消えていた。
           蕾④ 
           いい匂い

つけ汁はかなり濃厚で、表面には魚粉の名残りと細かな泡、刻みネギなどが浮いていた。確かに煮干しの素朴ないい匂いと湯気。太麺をくぐらせてからまずはひと口。こってりとした、片栗粉でも入っているかのようなトロミと濃厚な旨み、ほのかな甘みと酸味が奥から滲み出てきた。えぐみもある。ベースは豚骨かもしれない。基本的に「つけめん102」と同じような味わい。うむ。
           蕾⑦ 
           濃厚なつけ汁
           蕾⑤ 
           うどんではない
           蕾⑨ 
           あーん

太麺のもっちり感とコシがいい。つけ汁の中にはゴロッとした角切りのチャーシューが4個ほど。柔らかくて美味。メンマも悪くない。だが、と村長は考えてしまう。これが今人気のつけ麺の特徴だと思うと、あまりに右ならえのトレンドに物足りなさを覚えてしまう。確かに旨いが、それ以上の感動が押し寄せてこない。これは村長がおかしいのかもしれないが。
           蕾⑧ 
           チャーシューの美味

「スープ割り」をお願いすると、柚子(ゆず)の香りが漂った。こうした心配りも「よくできました。花丸です」といいたくなるほど。スマホ片手の若いお客が多いのもなるほど、と思ってしまうのだった。安倍首相の施政方針演説が気になる。

本日の大金言。

つけ麺の中に世界を見ることだってある。一粒の砂の中に世界を見るにはほど遠いが。



                        蕾10 

早朝の突撃、今西軒のおはぎ

 「仙太郎のぼた餅が美味かった? 京都では今西軒ですよ、ひっひっひ」
以前、東京・新宿伊勢丹のデパ地下で行列に並んで京都の老舗「仙太郎」のぼた餅を買い、賞味したことがある。行列の凄さと1個260円という値段に驚いた。確かに美味かったが、コスパ的にはわざわざ並ぶほどのものではないな、というのが率直な感想だった。そのことを京都にお住いのグルメ先生に話した時の反応が上記のひと言だった。

京都の最終日夜、そのグルメ先生が病院からわざわざ「今西軒に行くといいですよ。朝7時半には開いてます。ウマズイめんくい村に帰る前に行ったらよろしい」とメールを打ってきた。むろん、当初からその予定だったのだが、グルメ先生の好意を無にするわけにもいかない。「へーい、了解しました」と急いで返信したのだった。
           今西軒 
        おはぎ一筋118年(烏丸五条「今西軒」)

開業時間を調べたら、午前9時半だった。突撃気分で10分前に烏丸五条にある「今西軒」に到着。すでに5人ほどが並んでいた。明治30年(1897年)創業、古い町家造りの建物に「名物おはぎ」の看板が歴史を感じさせる。今西軒では仙太郎と違って「ぼた餅」とは言わない。並んで待っていると、どんどん後ろに行列ができるのがわかった。
           今西軒1  
         午前9時半開店の瞬間

9時半ぴったりに若い店主(多分四代目)が中から現れ、木戸を外しにかかった。なかなか見れない光景。見事なおはぎが店頭に並んでいた。大きさはフツーの大きさだが、色味といい風格といいかなりのものを感じさせる・・・。
           今西軒① 
           行列の価値
           今西軒2 
           3種類しか作らない
           今西軒4 
           1個190円なり
            
おはぎは3種類のみ。「つぶあん」「こしあん」「きなこ」(それぞれ1個190円)。作る数が限られているため、売れ切れたらそこでお終い。村長はそれぞれ1個づつ買い求めた。「賞味期限は本日中」なので、ウマズイめんくい村に持ち帰って賞味することにした。
           今西軒⑥ 
           一夜の夢?
           今西軒⑦ 
           つぶあん(右)とこしあん

村民2号がお茶を入れて待っていた。「京都おはぎ界の最高峰」を前に村長の小さな胸が高鳴る。まずは「つぶあん」。箸で割ると、つぶあんの厚みがわかる。うむむ。それだけで小豆のいい風味が立ち上がってきた。小豆は北海道産。ガブリと行くと、甘さがかなり抑えられていて、雑味のなさに軽く驚く。こってり感はあるが、しつこくない。
           今西軒⑧ 
           つぶあんの厚さ

あんこの作り方にかなりの時間とエネルギーを使っていることがわかる。もち米は半搗(つ)きのようで、搗きたて餅のように柔らかい。知らなければ通り過ぎてしまいそうなほど、その味わいは繊細で、絶妙なバランスというしかない。

「こしあん」にはさらに感心。さらさらとしたきれいな風味が口中から鼻腔を抜け、そよ風となって脳天にまで達したのがわかった。ピュアな洗練という言葉が浮かんだ。塩の気配は感じられない。砂糖はグラニュー糖でも使っているのか? 美味。野暮ったいぼた餅好きの村長にとっては軽い驚きでもある。
           今西軒⑨  
           こしあんの厚さ

最後の「きなこ」は今西軒でも一番人気でいち早く売り切れになるそう。中はこしあん。よく見ると、きな粉に黒ゴマが混じっていた。
「私はこれが一番好き。もち米もとてもいいわ。1個190円というのも納得よ。今西軒のおはぎは初めて食べたけど、洗練されたおはぎというものが確かに存在するのね。さすがグルメ先生の情報だわ」
村民2号がため息交じりに感想を漏らす。             
           今西軒12 
           希少なきなこ
           今西軒13 
           ピュアな絶妙

人間と同じだ。品格のある人間は少ないけれど、確かにいる。ここにも・・・」
「それ以上言わないで・・・。わかってるわよ」
なぜかお互いに自分のことだと思って、少しだけ下を向いた。ウマズイめんくい村に救いはない。

「グルメ先生も早くこれを食べれるようになればいいわねえ。お嫁さんでも来ないかしら・・・」
村民2号がきな粉の付いた口でポツリとつぶやいた。


本日の大金言。

ぼた餅は春のお彼岸に食べる。おはぎは秋のお彼岸に食べる。「牡丹(ぼたん)」と「萩(はぎ)」の時期からそうなったようだが、今では一年中食べれる。四季餅と言った方が正しいかも。



                       今西軒14 








続きを読む

「トーストモーニングセット」の底力

 今回取り上げるのは京都で食べたトーストの「モーニングセット」二題。これまで進々堂やイノダコーヒ本店など値段も高めの有名モーニングセットを取り上げたことがあるが、今回はごくフツーのモーニングについて。

まずは乗降客の多い京都駅新幹線中央口近くのカフェ「イリイ」。「トーストセット」(550円)が写真で見る限り旨そうだった。こんがりと焼かれた分厚いトーストのビジュアルに引かれて、ふらっと入った。
           カフェilly① 
       分厚いトーストだが・・・(京都駅構内「イリイ」)

最初の軽い誤算。実際のトーストは確かに分厚かったが、パン自体が小さい。焦げ目もまだら。ま、こんなもんだろうな、と思い直す。それでもパン自体は生地に伸びがありマーガリンを付けて食べると意外に旨い。サラダは鮮度がイマイチでドレッシングも村長にとっては味が濃すぎ。それほどひどくはないが、満足度はそれなり。場所柄ひっきりなしに客が来る。外国人も多い。この光景を楽しむこともできるが、忙しい人向きではある。
           illy.jpg 
           忙しい人向き
           illy③ 
           トーストの歴史

もう一軒は柳馬場通り二条上ルで見つけたトーストのモーニングセット。「れもん」という名の小さなシャレた喫茶店で、その入り口のメニューボードに引かれた。「モーニングBセット」(430円)。入ると、テーブル席とカウンター席があり、午前10時過ぎということもあってか、客は少ない。コーヒーのいい香りが立ち込めている。近くには京都正ハリストス正教会がある。
           れもん 
           喫茶「れもん」(柳馬場二条下ル)
           喫茶れもん② 
           正統派モーニングセット!

一番安いモーニングセットを頼んだのだが、トーストは大きくて分厚い。これぞ正統派のトーストで、焼き具合としっかり塗られたマーガリンがとてもいい。いいパンを使っていることがわかる。それにバナナとオレンジの鮮度にも感心した。当り前のことをごく当たり前にやっている感じがいい。白いきれいな磁器皿、コーヒーカップにも心が休まる。
           喫茶れもん③ 
           37年の歴史
           喫茶れもん⑥ 
           厚さと焼き加減
           喫茶れもん⑤ 
           パン生地
           喫茶れもん④ 
           果物の鮮度

コーヒーはドリップ式でマイルドな味わい。ミルクも生ミルク。正統派のいい喫茶店がフツーにある。
「ママは今出かけていないけど、コーヒーもパンもすごくこだわっているんですよ」
「これで430円は得した気分だなあ」
美人女性スタッフとしばし雑談を楽しむ。店は37年になるそう。

「このあたりに大昔、戦国武将の蒲生氏郷の別屋敷があったらしいけど、聞いたことありますか?」
「へえー、ママならひょっとして知ってるかもしれません。お客さんにも詳しい人がいるんですよ。その方が来たら聞いておきましょか?」
怪しい村長の突拍子もない質問にも丁寧なお答え。二軒目のモーニングで改めて京都の底力の一端を知るのだった。

本日の大金言。

朝のトーストのモーニングは基本の一つである。例えばコーヒーの生ミルクで喫茶店のコーヒーに対する思いとこだわりがわかる。



                        喫茶れもん⑨ 





京都のチャーシューメンに仰天

 意外に思われるかもしれないが、京都はラーメン王国でもある。東京・日本橋にも進出している行列店「ますたに」、全国展開の「天下一品」などファンも多い。基本的に醤油味ベースでこってりした味わい、九条ネギを使用していることと、ストレート系の細麺などが主な特長だが、村長は日本橋の「ますたに」の背脂の多さに仰天した記憶がある。和の淡泊なイメージとはほど遠いこってり系の旨さが意外だった。

村長は京都には毎年のように来ているが、これまで本場(市内)でラーメンを食べたことがないことに思い至った。これはマズイ。老舗の「新福菜館」か「本家第一旭」あたりに行こうか。病院へのお見舞いの帰り、友人と別れた後、安宿に帰る途中で、「背油豚骨醤油ラーメン 大宝」の看板が見えた。うむ。村長のセンサーが反応した。ここらでよかよか。ぎっくり腰が限界に達していたこともある。
           大宝① 
           京都ラーメン

烏丸通り五条下ル。調べてみると、約3年前にオープンした注目のラーメン店だった。入り口のメニューの「チャーシューメン」の写真に目が釘付けになった。チャーシューがラーメンどんぶりをぐるりと覆うように包囲していたからである。圧倒的なチャーシューの量。あぶら汗。これは飛び込むっきゃない。
           大宝③ 
           ドヒャーどす

店内は面白い作りで、8人ほど座れそうなコの字のカウンター席が二つ。午後8時を過ぎていたが、ほぼ満員だった.。左手が厨房になっていて、スタッフは4人ほど。メニューはラーメン650円、塩ラーメン700円などだが、むろん「チャーシューメン」(800円)にした。12~3分ほど待っていると、皿の上に乗った正統派のラーメンどんぶりがいい匂いとともにやってきた。
           大宝② 
          メニューは多くない 

写真の通り、チャーシューがドンブリの縁に張り付くように全面を覆っていた。下が見えない。中央の凹みには九条ネギとシナチク。それに背脂の浮いた醤油スープが揺蕩っていた。チャーシューはかなり薄切りで枚数を数えようと思ったが、多すぎて数えきれない。国産豚のロース肉だそうだが、ばら肉かと思うほどいい具合に脂分が付いている。これが柔らかくていい味。
           大宝④ 
           おいでやす
           大宝⑤ 
          噴火口ではありません
           大宝⑥  
          しゃぶしゃぶではありません

レンゲがなかったので、レンゲをもらう。このあたり油断がある? このスープが実に美味だった。村長は背脂ギト系は苦手だが、口中に運ぶと意外や余分なこってり感がない。背脂は鶏の背脂なのか、スッキリとした味わいで、それが豚骨醤油ベースの柔らかなスープに溶け込んでいる。九条ネギの甘みと相まって奥深い旨味。
           大宝10 
           絶妙なスープ
           大宝⑨ 
           細ストレート麵

麺は黄色みの強い細ストレート麺で、コシがシャキッとしている。全体的には「ますたに」と似ているが、過剰なこってり感がない分、村長にとっては後味がいい。麺が少なめなのが少々残念だが、これは京都ラーメンに共通しているのか? チャーシューをきれいに食べ、最後の一滴までスープを飲み干してしまった。村長にとっては予想外のいい余韻。安宿まで歩く元気が出て来た。

本日の大金言。

京都ほど美味の多様性に溢れた街を知らない。和洋中の玄関の奥は迷路のようになっていて先が見えない。千年の歴史の底の底・・・。





                       大宝12 


今ふう定食屋のブリの照り焼き

京都の宿泊先はゲストハウス。今風の民宿である。安いうえに村長の利用するゲストハウスは銭湯も近くにあるので、京都の庶民生活を肌で感じることができる。銭湯にはじっちゃんもいればタトゥーの入ったお方もいる。

グルメ先生に寄れば「京都は一皮剥けばマフィアの街ですよ」とか。その下々がフツーに銭湯に入っている。和気あいあいで世間話などをしている。祖先が会津藩の下々だった村長はなぜか落ち着く。風呂上がりのコーヒー牛乳も旨い。連綿と続く京都の底辺・・・。
           あいばカレー食堂① 
           おんや? 妙なキャラ

翌日の昼、そのゲストハウスからブラブラ歩いて20分ほど、寺町通り高辻上ルでランチを取ることにした。一軒の店の前で足が止まった。格カレーと定食の店「あいばカレー食堂」。店構えがレトロにほのぼのとしていて、カレーライスが売りの店のようだが、定食もいい感じでそろっているようだった。
           あいばカレー食堂 
       今どきの定食屋さん?(あいばカレー食堂)

店の前の黒板に手書きで「特製日替りあいばランチ」とあり、「メイン ブリの照焼き 小鉢 とり団子と水菜、れんこんきんぴら」(800円)とあった。即決。京都の冬の魚はサバかブリに限る。今風の店とも言えるアットホームでウッディーな店内。白人の外人女性がみそ汁を旨そうにすすりながら定食を食べていた。うむ、これも京都・・・。
           あいばカレー食堂③ 
           寒ブリ・・・めっけ!

京都には和風のいい店が多いが、こうした新しい食堂も悪くない。素朴な木のテーブル席に腰を下ろして「特製日替りあいばランチ」を注文する。ご飯は玄米を選んだ。しっかり作っているようで、15分ほどの待ち時間。四角いお盆に乗って家庭的ないい匂いとともにブリの照り焼き定食がやってきた。茶碗に山盛りの玄米ご飯。ほのぼの。
           あいばカレー食堂④ 
           フツーに丁寧な仕事    

まずは味噌汁をひと口。フツーに美味。ダシの効き加減がひと味違う。「京都は昆布出汁(だし)なんですよ。東京は鰹でしょ?」と女性スタッフ。ブリの照り焼きは小ぶりだが、よく見ると厚みがあり、醤油の照り加減がいい。甘みがほとんどない。味りんは使っていないようだ。脂がのっていて、フツーに旨い。
           あいばカレー食堂⑤ 
           ブリの照り焼き
           あいばカレー食堂⑧ 
           フツーに旨い
           あいばカレー食堂⑨ 
           フツーの価値
           あいばカレー食堂10 
           玄米ご飯
           あいばカレー食堂⑥ 
           とり団子と水菜

小鉢の「とり団子と水菜」が気に入った。出汁の旨さ、こってりした薄味が美味。柔らかく炊かれた玄米ご飯を噛みしめる。素朴で自然な甘みが名残りを惜しむように食道へと落下していく。きれいに平らげる。このフツーの旨さのほのぼのとした感動はどこから来る? ほうじ茶を飲みながら、京都の下々の底力をしみじみと感じる。店は10年ほどの歴史だそう。勘定前にトイレに行くとフツーに香がたかれていた。

本日の大金言。

高い和風料理屋もいいが、京都は大衆食堂もいい。ダシの効いた味わいがフツーに存在しているぜい沢。





                      あいばカレー食堂11 



続きを読む

お見舞い後のフレンチトースト

 グルメ先生のお見舞いを兼ねて冬の京都へ。約3か月ぶりの京都。グルメ先生は順調な回復を見せていた。お見舞い客がひっきりなしに訪れているようで、元々話好きのグルメ先生だが、「入院前より3キロやせちゃったよ。ダイエットになったと考えれば、それもまた良しということ」と苦笑い。このお方にはやっぱり神様が付いているかもしれない。

村長を始め駆けつけた友人相手に話が尽きない。返ってこちらが心配になるほど。「しゃべることがリハビリにもなるんですよ」とも。声のトーンはまだ六分咲きだが、名人芸と言っていい話の面白さについ腰が上がらない。お見舞いに行ったつもりがこちらがお見舞いされている不思議な気分になる。グルメ先生が志ん生に見えてくる。とまれ、第一段階はクリア。胸を撫で下ろす。
           カフェバスティーユ 
           パリ?京都?(カフェ バスティーユ)

その帰り道、お腹の虫がキュウと鳴いた。すでに夕暮れ。柳馬場三条上ルあたりでパリのカフェレストランのような店が視界に入った。テラスがあればパリそのもの。入り口のボードに目が吸い寄せられた。「特製フレンチトースト」(690円)。それが「カフェ バスティーユ」だった。
           バスティーユ10 
           目が吸い込まれた!

調べてみると、2009年6月にオープン。オーナーシェフはフランスでコック修行したようだ。口の肥えた京都人にもファンが付いているようで、もう一軒ビストロ風の「オステリア バスティーユ」も経営していることもわかった。村長はいい雰囲気の木のテーブル席に腰を下ろし、まずはロワールの白ワイン「シュヴェルニー ブラン11」(グラス820円)を頼み、「バスティーユ風オムレツ」(きのこ入り900円)、仕上げに「特製フレンチトースト」をお願いした。
           バスティーユ② 
           メニューの一部

ちょっと贅沢だとは思ったが、グルメ先生の「一人快気直前祝い」ということにした。理屈は後からついてくる。オムレツはケチャップが少々多いのが気になったが、しめじとマッシュルーム、ふわふわの焼き加減が絶妙で、バターの香りが鼻と舌をくすぐった。卵は3~4個は使っているのではないか。添えられているサラダも新鮮で、自家製ドレッシングが効いている。ロワールの白ワインのふくよかさと奥行きに驚く。多分、保管もいいのだろう。ここにもプロフェッショナルがいる。
           バスティーユ③ 
           バスティーユ風オムレツ
           バスティーユ⑤ 
           ふわとろ

オムレツを食べ終えた頃、最大の目的「特製フレンチトースト」がジュワジュワ音を立てるようにやってきた。「熱いうちにお召し上がりください」と女性スタッフ。上にバニラアイスが乗っかっている。それが少し解け始めていた。メープルシロップのような金色のソースとパウダーシュガーがかかっていた。1メートル四方を甘い香りが支配する。これが驚くべき美味さだった。
           バスティーユ⑥ 
           特製フレンチトースト
           バスティーユ⑦ 
           驚きの味
           バスティーユ⑨ 
           いかがどす?

フレンチトーストは食パンを使うことが多いが、ここは斜め切りした自家製バゲット。表面に焦げ目がついていて、フォークで口中に運ぶと、カリッとした歯ごたえのすぐ後にプルプルした練乳のような美味が押し寄せてきた。新鮮な卵の風味も同時に押し寄せてくる。これは何だ? 初めての食感。フランスパンとは到底思えない。女性スタッフに聞いてみる。
           バスティーユ⑧ 
           冷たさと熱さ

「アパレイユと言って、卵とミルクなどの下地にバゲットを一晩中漬けておくんです。プルプルした柔らかさはそのせいです。シェフのオリジナルです」とか。進取の気性に富んだ街、京都。どこかパリと似ている京都。グルメ先生のおかげで偶然見つけたカフェレストラン。村長はしばらくはグルメ先生の分まで食べまくる決意を固めるのだった。

本日の大金言。

メーンストリートより裏通り。グルメの法則は食のメッカ・京都にも当てはまる。食べることは生きることだと改めて思う。





                      バスティーユ11 

まさかの場所にプロのイタメシ屋

 「イタリア料理の隠れたいい店があるのよ。京都のグルメ先生の術後も順調に回復に向かっているようだし、気晴らしもかねて、そこ行ってみない?」
パスタ好きの村民2号が明るい顔で提案した。

「今日はイタリア料理の気分じゃないなあ」
レディ・ガガを聴きながら、村長がしぶった。
「つべこべ言わずにポンコツ車を走らせろ」
           ルーチェ1 
            まさかの場所・・・(埼玉・久喜市菖蒲町)

その約1時間後、埼玉・久喜市菖蒲町にある「トラットリア ラ・ルーチェ」にたどり着いた。菖蒲小学校のすぐ近く、まるで南イタリアあたりの田舎家のような一軒家がその隠れたいい店だった。「トラットリア」とはイタリア語で「気軽に入れる」とか「大衆食堂」、「ラ・ルーチェ」とは「光り」とか「輝き」の意味。あまり関係ないが、村長は宮仕え時代、「ラ・ルーチェ」というプレミアムワインを何本か飲んでいた。今はチリワインだが。
           ルーチェ 
           南イタリアか?

古い木造の一軒家に入ると、中は別世界だった。高い天井、木のテーブルが10卓ほど、奥がテラス風になっていて、見渡すと女性客が多い。今どき流行の店とも言えるが、悪くない雰囲気。テーブル席に腰を下ろして、ランチメニューの中から「広島産牡蠣(カキ)と菖蒲産寒ちぢみほうれん草のクリームスパゲティ」(自家製パン、サラダ、ドリンク付き 1280円)を選んだ。名前が長すぎるのが難点。ドリンクはコーヒーにした。
          ルーチェ① 
          セットメニュー
          ルーチェ② 
          店内の別世界

「この前とはメニューが違うわ。でも、今が旬の牡蠣と地元の寒ちじみほうれん草の組み合わせはそうはないと思う。パスタもここは生パスタなのよ
村民2号が自信ありげにささやいた。

10分ほどして、自家製パンとサラダが置かれ、しばらくしてメーンの「広島産牡蠣と菖蒲産寒ちぢみほうれん草のクリームスパゲティ」がやってきた。これが脱帽したくなるような旨さだった。地産地消をモットーにしているとはいえ、まずは菖蒲産の野菜の鮮度に軽く驚く。自家製パンは2種類で、全粒パンとフォカッチャ。風味、食感共にいいレベル。
           ルーチェ③ 
           地元産のサラダ
           ルーチェ④ 
           自家製パン

メーンのパスタは細めのきしめんのような生パスタで、コシとモチモチ感が際立っている。ホワイトクリームの絶妙な塩加減、奥からバター、生クリーム、オリーブオイルなどの風味が折り重なるように絡んでくる。広島産牡蠣は小ぶりだが2個、それに濃い味わいの菖蒲産寒ちぢみほうれん草が怒涛の旨みとなって口中に広がった。
           ルーチェ⑤ 
   牡蠣と寒ちぢみほうれん草
           ルーチェ⑥ 
           エロティックな美味
           ルーチェ⑨ 
           生パスタ

「パスタは一見量が少なく見えるけど、パンとサラダがあるのでボリューム的にもちょうどいいわ。そのあたりは微妙だけれども女性が喜びそうな出し方とも言えるわ」
「最初ここに来るのを渋ったけど、来てよかったよ。今日がたまたま当たりだったのかもしれないけど、これまで食べたパスタの中でこれはベスト5に入る旨さだ。プロの味とはこういうものかもな」
           ルーチェ⑦ 
           広島産牡蠣(カキ)の誘惑
           ルーチェ⑧ 
           ひと味違う世界どすえ

「単純ねえ。この前より今日のほうが旨かった。サラダの鮮度も波があるわ。でもまあ、私に感謝してよ。京都のグルメ先生が元気になってまたウマズイめんくい村に来たら、ここに案内しなきゃね。佐野ラーメンより感動するかもよ」
ようやくおかゆを食べれるようになったグルメ先生だが、パスタを食べれる日もそう遠くはない。リハビリを終えて復調したら、赤坂不動尊も何か快気祝いを考えているかもしれない。中東の状況も気になる。今日も渓流斎ブログを読まなくっちゃ。

本日の大金言。

素人とプロフェッショナルとの違いとは何か。それは満足度の高さだと思う。意外な場所にもプロがいる。


                       ルーチェ11 









続きを読む

プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

最新記事
カテゴリ
彦作のつぶやき
最新コメント
月別アーカイブ
カレンダー
01 | 2015/02 | 03
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
最新トラックバック
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR