閉店デパ地下の「十勝おはぎ」

 「保育園落ちた。日本死ね!!!」のツイッターが話題になっているが、「日本は一体どうなってるんだ?」と思うことがこのところ多々ある。世界の状況と同じように、平和な国・日本も難しい時代に突入しているのは確かだ。こういう時は渋茶でも飲みながら、「あんこ」菓子を食べるに限る。
              西武春日部店3 
              ああ西武春日部店!

埼玉・春日部にある唯一のデパート「西武春日部店」が今月いっぱいで閉店となる。目下「閉店売りつくし」セール中。「30年のご愛顧、誠にありがとうございました」の垂れ幕が悲しい。西武というよりロビンソンの方がしっくり来る。3年前に「ロビンソン春日部店」から「西武春日部店」になったが、売り上げ減を止められずに、閉店の道を選んだ。イオンモール春日部の出現で、客を食われたことも大きい。
              西武春日部店1 
              日本はどこへ行く?

この地下一階食品売り場は村長の遊び場の一つでもある。ロビンソン時代から含めて20年ほどの付き合いだが、お別れに行かなければ、とポンコツ車を走らせたわけである。ここの「十勝おはぎ」が旨い。サザエ食品が清算してしまったために、今は春日部の瀬田商が引き継いでいる。たい焼きも人気だが、何と言ってもおはぎが村長のドンピシャ好み。別れのおはぎ、とは悲しすぎるが、最後は笑って別れたい。
              十勝おはぎ① 
              うれし悲し

閉店セール中なのか、1個150円が125円(税込み135円)になっていた。つぶしあんのおはぎときな粉のおはぎを一個づつ買い求めて、キーコーヒーでブレンドコーヒーを飲みながら(残念ながらお茶はない)、まずはつぶしあん。大きめで裏側まで柔らかなつぶしあんがびっしりと付いている。この丁寧さがとてもいい。底にあんこのない手抜きおはぎが最近は多い。
              十勝おはぎ11 
              別れのおはぎ
              十勝おはぎ④ 
              見事なおはぎが・・・

口に入れた瞬間、北海道十勝産のいい小豆の風味が口中に広がった。柔らかくふくよかな風味。かなり抑えた自然な甘さがけな気である。つぶしあんの量も文句がない。中のもち米も北海道産もち米を使用、その伸びやかなもっちり感もとてもいい。脳内エンドルフィンが春風となってじゅわりと出てくるのがわかった。これこれ。
              十勝おはぎ⑤ 
              別れたくないわ
              十勝おはぎ⑥ 
              おはぎの横綱
              十勝おはぎ⑦ 
              きな粉の秀逸

続いてきな粉。きな粉の風味と中のつぶしあんが絶妙で、どこかの仙太郎などよりも村長の評価は上。京都「今西軒」のおはぎと比べても、さほどの遜色がないと思う。キーコーヒーを飲みながら、絶妙で、素朴で、ていねいなおはぎを味わい尽くす。別れの予感が感情を揺り動かす。大きさといい、安さといい、これほどのおはぎが春日部で食べれなくなるとは・・・悲しみが次第に怒りに変換してきた。

西武の跡地がどうなるのかはまだ最終的には決まっていないようだが、せめてこの「十勝おはぎ」は存続できないものか。
「この後はどうなるの?」
店のスタッフに聞いてみた。

「何とか存続したいんですけど、まだ決まっていないんですよ。この周辺で店を続けたいと思っているんですが」
いささか悲しい声が返ってきた。だが、まだ希望はある。十勝おはぎのない春日部なんて悲しすぎる。「日本、死ね」とまでは言わないが、「日本よ、おはぎを救ってくれ」と吠えたくなった。寒空へ鹿馬が一匹叫びおり

本日の大金言。

東京に人口がさらに集中し、地方がどんどんさびれていく。実体のない、掛け声だけの「一億総活躍社会」より、「一個のおはぎ活躍社会」の方が未来が開けると思う。ホンマに。



                          十勝おはぎ10

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古都で「30円パンの耳」の驚き

 風流とは無縁だが、栃木・足利「鑁阿寺(ばんなじ)」で梅を見る。ここは元々は足利氏の館(やかた)で、鎌倉時代の名残りを残す真言宗大日派のお寺。本堂や鐘楼などが国の重要文化財に指定されている。村長は年に数回ここに来て、周辺をウロウロぶら歩きする。京都にお住いの総本山グルメ先生をご案内したこともある。足利と京都は根っこで繋がっている。チャリン。とりあえず手を合わせる。
              足利鑁阿寺① 
              ええのう(足利「鑁阿寺」で)

おさい銭を奮発したご利益がそのすぐ後に訪れた。おさい銭は裏切らない(まさか)。ポンコツ車を佐野方面へと走らせる。岩戸橋を渡った旧50号線沿いに「マルシェ足利店」が見えた。ひょっとして旨いパン屋が入っているかもしれない。その勘が的中した。それが「職人のパン ペルル」だった。
              ペリル① 
              隠れ名店か?

地元以外はほとんど知られていない手づくりパン屋さん。「天然酵母食パン」(1斤250円)が目に飛び込んできた。幾分小ぶりだが、その安さに驚いた。目をこすってみる。「全粒粉食パン」(同250円)、「湯ごね食パン」(同220円)にも驚いた。いいパン職人がいる気配。
              ペルル② 
              わお~

最後の一個になっていた「天然酵母食パン」を買い求めた。女性店員さんと雑談。店はここ一軒だけで、いくつかのスーパーにも少しだけ卸していることもわかった。小麦粉は国産が中心だが、「天然酵母食パン」はカナダ産小麦粉を使っているそう。

「パンの耳はお好きですか?」
「大好きですよ」

突然、女性店員さんがパンの耳がどっかと入った包みを取り出した。パンの耳といっても、見事なもので、それが数えてみたら6枚! 天然酵母食パン、湯ごね食パン、全粒粉食パンの端の部分で、村民2号もこの部分が特に大好き。「30円」というシールが貼ってあった。いつもあるとは限らない。むろんこれもありがたく頂戴した。こういう店が隠れているから、表通りを外れた道草は面白い
              ペルル① 
           天然酵母食パンとパンの耳(右)

ウマズイめんくい村に帰って、翌日の朝、まずは「天然酵母食パン」を賞味。気泡が多いが、天然酵母の香りがとてもいい。期待していたほどの旨さではないが、まずまずの素朴な旨さ。ま、こんなものかな、と思った。
              ペルル② 
              ご利益か?
              ペルル③ 
              天然酵母の香り
              ペルル④ 
              これで30円、パンの耳さま

だが、トーストしてみたら、評価が一変した。もっちり感と風味がオーバーではなく倍増した。その魔法のような密度。マーガリンを付けても、最近ハマっている黒ゴマクリームを付けても実に旨い。うむむ。これは一つの発見だと小躍りした。
              ペルル① 
              トーストしてみる
              ペルル⑤ 
              旨味が倍増した
              ペルル⑦ 
              ゴマクリームも合う
              ペルル⑦ 
           全粒粉食パンの耳

30円パンの耳がその感動に輪をかけた。それぞれに旨い。日本一のパンの耳ではないか?
「村長の久しぶりの当たりね。毎日買ってきてほしいわ。何だかすごく得した気分になるわね」
「鑁阿寺のご利益かもな。人生、道草しているといいこともある」
「でも道草ばかりじゃね。そのうち日が暮れてしまうわよ」
「・・・・・」

本日の大金言。

時間に追われる生活。スマホを離せない生活。それも悪くはないが、たまには道草を楽しむことも悪くない。メディアに毒された頭をときどきはリセットするのも必要だと思う。



                            ペルル⑨ 

超人気店「無化調ラーメン」の味

 ゴッドマザーのお見舞いと蔵の修理の進行具合を見に、上州まで朝早くポンコツ車を飛ばした。ゴッドマザーは元気を回復しており、蔵の修理も順調に進んでいた。ホッと一息。その足でもう一つの目的、群馬県ラーメンランキング1位の座に輝き、首都圏でも注目のラーメン店へとポンコツ車を走らせることにした。
              蔵の屋根修理 
              蔵の修理は大変

これまで2度ほど足を運んだが、「麺切れで本日は終了しました」の看板に歯噛みしている。何せ営業時間が午前7時半~午後2時という常識外の店。「築地かよ」と突っ込みを入れたくなるほど。しかも、2時まで開いていることは少ない。その前に「スープ切れ」「麺切れ」になってしまうからだ。
              芝浜 
          首都圏でも注目の店

午前10時に到着。これでダメならこの店はあきらめよう、覚悟の滑り込み。桐生市相生町1丁目、県道68号線を挟んで対面には眼鏡市場がある。「らーめん芝浜 自家製麺」の日除け暖簾がいささかくすんでいる。オープンが2014年7月末。まだ1年半ほどしか経っていないのに、首都圏でも注目の超人気店になったからには理由があるはず。
              芝浜② 
              メニューがユニーク

面白いのはモーニングメニュー「朝らー定食」(650円)や定番メニュー「小麦三昧」(まぜそば+つけめん+らーめん 1200円)などコースメニューがあること。ただのラーメン屋とは違う独創性が売りのようだ。さらに化学調味料を一切使わずに、麺まで自家製で、それもメニューによって作り分けているようで、かなりのこだわりが見て取れる。

午前10時だというのに、駐車場は一杯で、2人ほど並んでいた。10分ほどで呼ばれて、中へ。ビートルズが流れていた。8人ほどのカウンター席と4人用テーブル席が二つ。カウンターの対面が厨房で、そこに肥満気味の店主が麺づくりに勤しんでいた。女性スタッフが2人。対応は悪くない。いい割烹にでも来たような感覚。
              芝浜⑤ 
              ドンブリも凝ってる

村長は旨いという評判の「塩らーめん」(650円、税込み702円)を頼むことにした。7~8分ほどで着丼。白いどんぶりは逆三角形で、そこに見事な塩らーめんが「あんた、よく来たね」と微笑んでいた。黄金色のスープ、中央の白髪ねぎ、刻みネギ、2種類のチャーシュー、角メンマ2本、その下に揺蕩っている自家製麺はストレート細麺で、全体とそして極めてこだわりの強い、繊細な完ぺき主義が見て取れた。
              芝浜⑥ 
              見事な世界

スープは先日食べた佐野ラーメン「いってつ」ほどの透き通ったものではないが、口に入れた途端、その穏やかなまろみに軽く驚く。無化調ラーメンにありがちな、物足りないほどのまろやかな味わい。大山とり、北海道天然真昆布、瀬戸内いりこ、千葉煮干し、牛深サバ節などの天然素材で出汁を取っているそう。
              芝浜⑨ 
              繊細と完ぺき主義
              芝浜⑧ 
              自家製ストレート細麺
              芝浜10 
          柔らかな豚バラチャーシュー
              芝浜11 
              鶏チャーシュー
               
チャーシュー2種類(豚バラ、鶏)も文句のつけようがない。角メンマもほぼ完ぺき。だが、村長には不満が残った。売り物の自家製麺。小麦の風味は素晴らしいが、かん水を少なく抑えているためだろう、コシが弱め。時間が経つにつれて、スープを吸い、そのスープも少なめなので、味わいが落ちてくると思った。すばやく食べることが肝心のようで、その範囲ではいい店だと思う。だが、期待が大きかった分、いささか空振りの気分。

店を出がけに、店主に一つだけ聞いてみた。
「店名は落語の『芝浜』から来てるの?」
「そうです。壁の色紙も立川談志さんのものです」
ビートルズと落語好き。村長の趣味とも重なる。何ということだ。村長は未だに夢から覚めないが。

本日の大金言。

脱線するが、談志さんには苦味の混じった思い出がある。取材で何度かすっぽかされ、ようやく捕まえたと思ったら、あのつまらなそうな表情で「いちごパフェ食べたいんだけど、いいかい?」。喫茶店に入って、話しはじめたら、次第に熱が入ってきて、そのまま立川一門若手の高座に上がってしまった。予定外の登場に観客は大喜び。得難い体験だった。これは夢ではない。

                          芝浜12

宿場町通りの宝石「あんこ玉」

 犬も歩けば棒ではなく、玉に当たることもある。意外な発見という意味である。村長にとっては第二の故郷、東京・北千住をブラ歩きしていた時のことである。夕暮れが近い。「かどや」にでも立ち寄って、あんだんごをお土産にしようと思った。だが、あいにく売り切れていた。

仕方なくトボトボと宿場町通り(旧日光街道)を戻る。頭の中からあんだんごが消えない。このあたりのあきらめの悪さは甘味中毒者の悲しいサガかもしれない。ふと、「和菓子 甘味 福寿堂」の暖簾が目に入った。この店は気にはなっていたが、いつも素通りしていた。昭和のディープな匂いのする甘味屋で、あんだんごや桜もち、いなり寿司ばかりでなくのり巻き、いそべ焼きなど下町の甘味屋の定番がずらりと並んでいる。中はちょっとした喫茶店にもなっている。
              福寿堂① 
              犬も歩けば・・・
              福寿堂② 
              昭和の匂い

これまで素通りしてきたのは品数の多さと、「かどや」の存在が大きすぎたこともある。店には客の姿がない。ふと立ち止まって、あんだんご(1本90円)と草だんご(同90円)の素朴な姿に甘味中枢を刺激されてしまった。さらに「あんこ玉」(120円)のテカりにも。
              福寿堂④ 
              だんごの神様
              福寿堂③ 
              隠れた逸品

とりあえず中で食べることにした。店は親父さんが一人で切り盛りしていた。あんだんごと草だんご、それに草餅(120円)を頼むことにした。これが「かどや」ほどではないが、まずまずの旨さだった。餅もあんこも丁寧な自家製で、北千住の下町の甘味屋の矜持(きょうじ)を感じた。やきそばやおしるこのメニューもある。今どきの外面だけの、見かけのいい甘味カフェが見失った世界。
              福寿堂⑦ 
              まずは店内で

親父さんとしばし雑談となった。店は「そんなに古くないんですよ。45年ほどになります」とのこと。小豆は北海道十勝産、砂糖はザラメを使っているそう。だんごのこしあんも草餅のつぶあんも塩気がほどよくいいあんこだと思った。ザラメを使っていることが職人のこだわりを感じさせる。

お土産に「あんこ玉」を包んでもらうことにした。これが驚きの一品となった。賞味期限は2日ほどなので、ウマズイめんくい村に帰って翌日、二日酔いのまま、熱いお茶を入れて賞味してみた。一個が双子のようになっていて、つまり2個で120円ナリ。小倉色のこしあんと寒天の透明なテカリが宝石のように見えた。しばらく見入ってしまった。
              福寿堂① 
              お持ち帰りの事件
              福寿堂② 
              双子の宝石?

あんこ玉は浅草「舟和」のものが有名だが、このほとんど無名のあんこ玉を賞味して、世間の評価があまりアテにならないことを改めて実感させられた。期待していなかった分、驚きも大きいということかもしれないが。

中のこしあんのしっとり感と風味が何よりも素晴らしい。ザラメのねっとりした甘さ、それを引き立てる塩加減が絶妙で、文字通りいい塩梅。双子の寒天の食感と見た目の姿のよさ。村長的には老舗のあんこ玉と比べても引けを取らないどころか、それ以上だと思う。
              福寿堂⑤ 
              飛び込みたい
              福寿堂④ 
              こしあんの絶妙
              福寿堂⑥ 
              発見の楽しみ

犬も歩けば、玉に当たってしまった、そうとでも表現するしかない。たまたまのたま。こいつは春から縁起がいいわい。あまり関係ないが、赤江珠緒さんのいなくなったモーニングバードはあんこのないあんこ玉みたいだ。

本日の大金言。

看板よりも中身が大事。ただの石なのに宝石だと思い込んでいる。すぐ近くに宝石があるのに、ただの石にしか見えない。すべての属性を一度はぎ取ってみて、素直に見つめること。それが案外難しい。虚と実が入り乱れた高度情報社会のすき間に本物が潜んでいることだってある。自戒を込めて。


                         福寿堂11

古墳級の隠れ「みそらーめん」

 さきたま古墳群までポンコツ車を飛ばしたその足で、国道17号線(中山道)にあるラーメン屋の暖簾をくぐることにした。麺類とワインに給料の半分を注ぎ込んでいるフィリプス君の情報では埼玉でも意外に知られていない名店の一つ。

「味噌ラーメンが旨いよ。村長がホメていた先日の東京・京橋の味噌ラーメンと比べてみるといい。無化調の出汁で、店長のこだわりは半端ではない。10年続けているから本物だと思うよ」
どんな店でも10年しっかりと続けて初めて認める、話題先行のぽっと出のラーメン屋などは論外、そう豪語しているフィリプス君の舌はある程度信用できる。たまにハズレもあるが。
              くりやらーめん① 
              隠れ名店か?

その店が「くりやらーめん」だった。「純天然だし」の看板とやや古めの洋風一軒家。純天然だし、とは今どき珍しい表記で、店主の一途な思いが伝わってくる気がした。調べてみたら、オープンしたのは2004年で、11年ほどの歴史がある。「くりや」は英語の「クリア」から来ているそう。
              くりやらーめん 
              クリアできるか?

店内は磨き抜かれたウッディーな造りで、山小屋風の喫茶店のよう。面白い造りのカウンター席が16席ほど。対面が厨房になっていて、そこに店主が静かに麺づくりに励んでいた。多分夫婦だろう、女将が水を運んできた。丁寧な応対がこの店のポリシーを感じさせる。付け焼刃の匂いはない。村長は「みそらーめん」(税込み780円)を頼んだ。
              くりやらーめん12 
              スキのない厨房
              くりやらーめん③ 
              メニューを見る

10分ほどで、白い大きめのどんぶりにたっぷり入った味噌ラーメンがやってきた。ひと目で本物と理解できた。モヤシとネギはフツーだが、手づくりの見事なチャーシュー、メンマの存在感。それに脂の浮いた茶褐色のスープ。チャーシューは手切り感にあふれていて、4~5枚はある。メンマは竹の子の穂先まで使っていて、自家製のこだわりが見て取れた。
              くりやらーめん⑥ 
              みそらーめん、登場
              くりやらーめん⑤ 
              ぽっと出ではない

まずはスープ。豚骨、鶏ガラをベースにして魚介類の出汁も取っている。味噌は数種類ブレンドしていると思う。脂と魚介のまんだら模様と細かいあぶく。見た目は濃そうだが、最初のアタックは意外なもの。物足りないほど穏やかな味わい。無化調を基本にしているためだろう、添加物になれた舌にはやや物足りないかもしれない。
              くりやらーめん⑧  
              無化調のスープ

豚バラチャーシューの柔らかな旨みに感心。メンマの柔らかなシャキシャキ感も好感。麺は黄色みが強い中太縮れ麺で、コシと歯ごたえが札幌ラーメン横丁の名店と遜色ない。スープがよく絡む。ボリュームがかなりある。味の濃い京橋の「どみそラーメン」と比較はできないが、無化調でこれだけの味噌ラーメンをしっかり作り続けていることは評価に値する。
              くりやらーめん1 
              手切りのチャーシュー
              くりやらーめん⑨ 
              メンマの凄味
              くりやらーめん10 
              特注麵のコシ

「これだけ手づくり感がある味噌ラーメンが埼玉で食べれるとはね。知らなかったとはいえ、恥ずかしいなあ」
女将に言うと、「麺だけは自家製ではないんですよ。特注麵です。麺だけは専門家に任せた方がいいと思いましてね。他にも旨いラーメンがありますので、また食べに来てくださいね」と微笑んだ。門前仲町「こうかいぼう」の女将を思い出した。

店はもともと喫茶店だったものを改装したそう。個人的にはさきたま古墳群の近くで、古墳級のラーメン屋(?)を発掘した思い。フィリプス君のしてやったりの顔が浮かんで、慌てて頭を振った。それから村長はすっかり温まった体を寒風の中に押し出すのだった。春よ、早よう来ておくれやす。

本日の大金言。

添加物の時代に無化調ラーメンはむずかしい。物足りなさと紙一重の世界。それをクリアするには店主の腕がポイントであることはむろんだが、客の舌も同時に問われることになる。先は長い。



                          くりやらーめん11

初体験「さつまいも餅入りお汁粉」

 温かい日が続いたかと思ったら、また冬に逆戻り。本日は朝から小雨模様。ほころび始めた庭の梅も肩をすくめたまま。本日は小江戸・川越で見つけた「おさつもち入りおしるこ」について。春はもうちょっと先、である。

埼玉・川越は日本でも有数の蔵の街でもあるが、その一軒入母屋造りの黒壁蔵「陶舗やまわ」の前で、一匹のヨレ犬が立ち止った。村長のことである。「さつまいもミニ懐石」の文字。川越はさつまいもの街でもある。観光化され過ぎて、あまりにテレビ受けする店が多すぎる。天海僧正も泉下で嘆いているに違いない。困ったもんだ。
              陶路子10 
              お先真っ蔵?

小腹がすいたので、さつまいも料理も悪くないな、そう思って、入ろうとしたら、若い女性3人組が「ここはスイーツもいいのよ。さつまいものお餅が入ったお汁粉がおすすめ」と話しているではないか。さつまいもの餅入りお汁粉とは聞き逃せない。さつまいも餅などこれまで食べたことはない。よく見ると、「自家製おしるこ」の文字。これは入るっきゃない。
              陶路子 
              わお~
              陶路子② 
              こちらがカフェの入り口

店内に入り、奥へ奥へと行くと、癒しの一角があり、そこが直営カフェ「陶路子(とろっこ)」だった。絵になるカフェで、京都や鎌倉などのカフェと遜色ない。腰を下ろしてから、おもむろに「おしるこ(おさつもち入り)」(税込み690円)を頼んだ。
              陶路子① 
              幸せな時間

10分ほどの待ち時間で、半円の朱塗りのお盆に乗って、自家製お汁粉がやってきた。さすが老舗の陶器屋直営店、器がいい。ほうじ茶と箸休めの漬け物付き。
              陶路子③ 
              器屋の器

蓋を取ると、小豆が小倉色のふくよかな色味で湯気を立てていた。いい小豆の風味。その中央あたりにさつまいもの餅が2個沈んでいた。黄色みが強く、見た目にはさつまいもそのもののよう。多分紅あずま? 正座してから箸を付ける。小豆は北海道十勝産で、多分大納言小豆だと思う。控えめの甘さで、塩がやや強めに効いている。砂糖はザラメを使用しているそう。柔らかく炊かれた小豆の具合がいい。
              陶路子④ 
              如月の月見?
              陶路子⑤ 
              さつまいもの餅
              陶路子⑦ 
              小豆との和解

さつまいもの餅はもっちりしていて、口に入れた途端、さつまいもの風味が広がる。だが、伸びがあまりない。悪くはないが、やはり村長は普通の餅の方が好み。女性スタッフに聞いてみると、「さつまいもとデンプンで練った餅です」とか。ま、アイデアではある。小豆が美味いので、その欠点を十分に補っていると思う。
              陶路子⑥ 
              見事な炊き方
              陶路子⑧ 
              ホラふき?

漬け物は蕗(ふき)かと思ったら、「芋のつるなんです。醤油漬けにしたものです」とか。ここはさつまいもの街であることを改めて実感させられる至福の甘い1時間だった。目の前には美女3人・・・。

本日の大金言。

寒い日はお汁粉がいい。美味いお汁粉に出会うと、一刻だけ世界が輝く。一日、幸わせになりたかったら、お汁粉を食べなさい。犬も歩けば、棒にも槍にも当たる。美味にだって。



                           陶路子⑨ 




蔵開き後の絶品「塩ラーメン」

 「蔵開き」のシーズンである。日本酒好きにとっては待ちに待った季節。最近贔屓(ひいき)にしている栃木・佐野市の第一酒造から案内が来たので、ポンコツ車を飛ばした。狙いはむろんしぼり立て生原酒。蔵でしか買えない限定酒「開華ふなくち生原酒」(純米吟醸 750ml1500円)をしっかりゲット。ついでに蔵の中を見学。試飲もしっかりさせてもらい、ほろ酔い状態で村民2号に運転を代わってもらう。「ずるいわね」と村民2号が角を出す。
              第一酒造⑥ 
            待ってた蔵開き!(第一酒造)
              第一酒造③ 
            ええのう、新酒の香り
              第一酒造④ 
              これこれ

もう一つの目的は、佐野ラーメンの新星「いってつ」。麺類シンジケートの情報では「特にここの塩ラーメンが旨いよ。佐野ラーメンの新しいムーブメントといっていい」とのこと。醤油ラーメンが佐野ラーメンの代名詞だが、塩ラーメンが旨いとはこれは見逃せない。店は10年ほどの歴史で、店主は和食料理の修業をしてから、佐野で勝負をかけたという。
              いってつ① 
              「いってつ」に到着

午後2時を過ぎていたのに、佐野環状線沿い高萩町にあるモダンな店の前には5~6人ほどが順番待ちしていた。佐野でも人気ラーメン屋のよう。15分ほど待って、中に入ると、すぐ左側に青竹麺打ち場があり、この店が佐野ラーメンの伝統線上にあることがわかった。しかも、中はステンレス製のカウンター席とテーブル席で、新しさも兼ね備えていることが見て取れた。「麵屋ゐをり」とは違った意味で、佐野の新しい流れを感じる。
              いってつ3 
              青竹打ち場
              いってつ② 
              メニューは多くない

カウンター席に案内されて、村長は迷わず「塩ラーメン」(税込み600円)を頼んだ。餃子(同450円)も頼むことにした。村民2号も同じものを頼んだ。角はすでに引っ込みかかっている。
              いってつ④ 
            おお塩ラーメン

この塩ラーメンが絶品だった。まずはスープ。透明感とほのかに浮いた脂。白ゴマも浮いている。レンゲでひとすくいすると、旨みの凝縮が口中に広がった。やさしくて穏やかで、奥深い旨味。かすかにごま油の香り。鶏ガラとゲンコツベースに和の出汁が潜んでいる。ホタテの旨みも感じた。この黄金のスープだけで、この店主の腕が本物と言わざるを得ない。
              いってつ⑤        
              只者でないスープ
              いってつ⑦      
              麺の秀逸
  
青竹手打ち麺は佐野の王道を行くひらひら麺で、コシといいつるりとした食感といい、かなりのレベル。チャーシューは一枚だが、丸型で分厚い。豚バラ煮豚チャーシューで、実に柔らかい。メンマもシャキシャキしていていいレベル。珍しい生青海苔とナルトの秀逸。佐野で塩ラーメンを食べたのは初めてだが、これはもはやトップクラスの味わいと言っていいと思う。
              いってつ⑧ 
            チャーシューの腕前
              いってつ⑨ 
              こ、これは・・・

餃子はやや高めの価格設定だが、皮も手づくりで、1個が大きい。それが5個。たまたまなのか、焼きすぎ気味だったが、白菜とキャベツ、ニラ、挽き肉のバランスがいい。村長はかねてより話題先行の宇都宮の餃子などよりも佐野の方が旨いと思う。ここの餃子も美味。
              いってつ10 
              餃子の旨さ
 
「いい店見つけたわね。最初、ラーメンのドンブリが小さいのでボリュームがイマイチかなと思ったけど、深いので、それもクリア。伝統と新しさを見事に融合させたこういういい店が出るのは佐野の凄さね」

「首都圏でラーメン店が約200軒もあるのは佐野くらいじゃないかな。ハズレが少ないし、古い酒蔵もある。新酒を飲んで、ラーメンを食べる。ああ天国、天国・・・」

「そのまま天国行っちゃえば? ちゃいも待ってるし」
「しまった。天国の隣りはジゴ・・・」
村長は次の言葉を何とか飲み込むのだった。

本日の大金言。

飲んだ後のラーメンの旨さについて。酒好きなら誰しも知っていることだが、それは秘密にしておいた方がいい場合もある。



                            いってつ12 


奇跡?「5千円ブランチ」の満足度

「ビッグサプライズ」という言葉は軽薄で嫌いだが、大きな驚きが起きてしまった。花のお江戸で修業中のキオから村民2号宛てにメールで「臨時ボーナスが出たから、たまにはおごってあげるわよ」。初めての出来事。ウマズイめんくい村は上を下への大騒ぎ。村民2号は「どうせならステーキがいいわ」とキオに返信した。さすがは親子。村長は和食を希望したが、却下されてしまった。

キオがセッティングしてくれたのが、東京・丸の内の新丸ビル6Fにある「ソルト」だった。オーストラリアシドニーの名シェフ・ルーク・マンガンのレストランで、1970年代にパリで起きたヌーベルキュイジーヌ(新しい料理)の流れを汲むレストラン。調べてみたら、シドニーとニューヨークに店を持ち、新丸ビルがオープンした9年前に日本に初出店した記念すべき店だとわかった。
              ソルト① 
              「ソルト」の塩加減は?

ブランチコースの中で一番高い「5000円コースを予約しといたわよ」とキオ。
「奮発したなあ。2000円くらいのコースで十分だったよ」と村長。
「何言ってんのよ。キオには昔から随分高い料理をごちそうしてるのよ。少しくらい返してもらわなくちゃ」と村民2号。
「ああ恥ずかしいわ。店の前で、ごちゃごちゃわめかないでよ」キオが慌てる。
              ソルト② 
              5000円ブランチ

久しぶりの高級レストラン。どうやら一番見晴らしのいい席を取っておいてくれたようで、眼下には皇居が見えた。少々遠慮して、村長は「プレミアムモルツ」(900円)を頼んだ。村民2号とキオはフルーツジュース。そこからが驚きの連続だった。オーストラリア料理と聞けば、大雑把な味というイメージが強いが、新しい流れは想像を超えていたと言っていい。
              ソルト4 
              黄金の泡?

フレンドリーなスタッフの応対に感心していると、5000円コースがゆっくりとやってきた。最初に登場したのはイタリアのパン「チャパタ」とオリーブオイル。むろん自家製パンで、小麦と麦芽の香ばしさがとてもいい。これでこの店の実力がわかった。
              ソルト③ 
          チャパタとオリーブオイル

前菜の前のアミューズ(ひと口のお楽しみ)がスプーンに乗った逸品。オーストラリア産の鱒と薄切りの大根、その上にキャビアがちょこんと乗っていた。それにホワイトソース。かなり凝ったもので、素材の良さと繊細な味わいに村民2号の声もない。「オーストラリア料理のイメージが変わったよ」と村長。
              ソルト④ 
              ひと口のお楽しみ

続いて「西オーストラリア産海老のスチーム」が登場。海老の鮮度とヨーグルトソースが悪くない。間を置いて、「ウズラのオージーバービースタイル」。鶏ではなく、ウズラのもも肉とナスのみそ焼き。「あら、ウズラの卵かと思ったら、肉だった。柔らかくてとても旨い。ナスのみそ焼きも気に入ったわ」いつもの辛口が消えた村民2号。
              ソルト⑤ 
              オーストラリア産海老
              ソルト⑥ 
              ウズラのもも肉

村長が最も感心したのはメーンの「オーストラリア産仔牛のロースト」。肉自体の柔らかさと肉汁感がマル。付け合わせの赤カブの赤ワインソース、それに京風の白カブ煮の組み合わせが秀逸。さらに栗のペーストをサンドしたジャガイモの凝りよう。
              ソルト⑧ 
              仔牛のロースト、登場
              ソルト⑨ 
              柔らかな喜び
              ソルト11 
              デザートも凝っている

「デザートの白いフォンダンショコラも文句がないわ。コーヒーも鮮度がよく、美味いわ。これで5000円は高くはない。器の素晴らしさにも感心。ひと昔前なら1万円コースの満足度だわ。キオに感謝しなくっちゃ」と村民2号。

「気にしなくていいわよ。それよりもうすぐ私の誕生日だから、そのときは・・・バッグが欲しいかなぁ」とキオ。

イモの煮っ転がしでも作っておくわよ。腕によりをかけて、ね」すかさず村民2号。

「何という親子だ。次がどうなるか、心配になってきた」
村長は窓の外を見る。皇居がかすんでいる。陛下は大丈夫だろうか?

本日の大金言。

人生は谷ばかりではない。むろん山ばかりでもない。当たり前のことが当たり前でなくなる。そんな日もあることが心に滲みることだってある。人生のソルト(塩)・・・。




                           ソルト13 





から揚げ名店の絶妙「やきとり丼」

 兜町秘密ペンクラブの仕事で東京・茅場町へ。ちょうどランチタイムの終盤。今ならひょっとして、「やきとり 宮川」の行列がピークを過ぎているかもしれない。これまで何度か試みたが、いつ行ってもランチタイムは大行列で、村長にとっては鬼門の店の一つだった。1時半で暖簾を下げてしまう。
              宮川① 
              いつも行列(東京・茅場町三丁目)

「宮川」といえば、うなぎの暖簾だが、ここは昭和24年(1949年)創業の焼き鳥専門店。元々は国産鶏肉卸問屋だった。鶏肉の旨さを一番よく知っているプロフェッショナルの店で、よくある「比内地鶏使用」とか「名古屋コーチン使用」などという表示はしていない。このあたりの粋さは、築地「ととや」などと共通している。私見だが、名店は余分なものを飾り付けない。
              宮川② 
              いい暖簾

午後1時過ぎ。ぎりぎりセーフ。それでも店の前には6~7人並んでいた。寒風の中を15分ほど待って、店内へ。テーブル席とカウンター席。超満員。カウンター席は年季の浸みこんだ白木の一枚板で、その一角に腰を下ろす。対面が板場になっていて、熟練の板前がここの名物「から揚げ」を次々と揚げていた。食欲をそそるいい匂いが鼻先でワルツを踊っている。
              宮川③ 
              ランチメニュー

村長はへそ曲がりなので、ほとんどの客が頼む「から揚げ定食」(税込み880円)は止めて、「やきとり丼」(税込み830円)を頼むことにした。すぐに「鶏スープ」とお茶が来た。4~5人いる女性スタッフの動きと対応がとてもいい。目の前で繰り広げられる調理と大鍋で揚げる様子、やきとりを焼く職人さんの光景は見ているだけで心が躍る。
              宮川⑥ 
              まずは鶏スープ

15分ほどの待ち時間で、「やきとり丼」がやってきた。見事な焼き色の世界。レバ(ここではレバーとは言わない)1本分、砂肝1本分、ねぎま1本分がドンブリを覆い尽くしていた。いずれも醤油ダレ。鶏スープがまた来たので、「さっき来ましたよ」と言ったら、「いいんですよ、サービスです」とのお返事。この鶏スープは奥深い、穏やかな塩味で旨い。ほのかに胡椒の香り。先日、埼玉・川越で食べた極上親子丼に付いてきた鶏スープよりも旨味が1ランク上。
              宮川⑤ 
              おおおの登場
              宮川⑦ 
              ご飯が見えない
              宮川⑧ 
              心躍るか

七味唐辛子をパラリと振ってから、まずはレバを口中へ。鶏肉は鮮度のよさが重要なポイントだが、それがレベル以上だとすぐにわかる。レバの臭みはほとんどなく、むしろジューシーと言いたくなるボリュームと風味。
              宮川⑨ 
              レバの鮮度

続いて、箸はねぎまへ。多分胸肉ともも肉で、こちらも鮮度のよさが噛んだ途端わかる。鶏の種類はわからないが、国産鶏を朝締めしたものを使っているのではないか。焼き具合がちょうどよい。ネギを焼き過ぎていないのも好感。
              宮川2 
              ねぎまの滴り
              宮川11 
              砂肝の歯ざわり
              宮川3 
              日本の未来?

砂肝はコリコリ感が特長だが、それがマックスに近い。炊き立てのご飯はほどよい柔らかさで、タレのかかり具合もほどよい。間に敷かれた海苔の風味がやきとりとご飯の恋愛を盛り上げる。ボリュームもある。総じて上質のやきとり丼で、830円という舌代も高くはない。行列店なのに店に驕りがない。次は夕暮れ時にふらっと来て「から揚げ」を食べたくなった。夕闇へ梅ほころぶや焼鳥丼

本日の大金言。

いい店ほど勘違いの気配がない。余分なものがない。対極は勘違いと余分な説明。裏に余分な強欲。どこかの国会はいい店か? 総務大臣様のテレビ局への脅しともとれる発言とテレビ局トップのチキンぶり。大丈夫か、ニッポン。


                           宮川6 


赤羽「昼から宴会」後のお稲荷さん

 北千住、立石と並ぶ東京ディープな居酒屋の街・赤羽。天空の城ラピュタからグルメ師匠が舞い降りてきたので、知る人ぞ知る「まるます家」を予約して、昼から宴会を開くことになった。赤羽は日曜でも朝から店を開いている居酒屋が多い。北千住などはほとんどの名店は「日曜はお休み」。立石もお休みが多い。その意味で赤羽はキングオブ居酒屋の街かもしれない。「まるます家」はその中でも東の横綱格の人気居酒屋。創業は昭和25年(1950年)。
              赤羽③ 
              まるます家!(東京・赤羽)

メディア関係の仲間がドカドカと赤羽に集合して、昼から宴会となった。昨今のメディアを巡るディープな情報が飛び交う。近くにCIAやチャイニーズスパイや007がいるかもしれない。だが、そんなことは気にも留めない。酔うに従って、何語で話しているか理解不能になってくるからだ。むろん意図してのことであるが。
              赤羽④ 
              昼から混み合っている

グルメ師匠が「鯉のあらい」に舌鼓を打ち、某放送局が「たぬき豆腐」に感嘆し、酔拳記者が「もつ煮」の旨さに口の端を少し上げる。熱燗徳利がどんどん横になっていく。「こういうところは1時間半でさっと切り上げるのが粋というもんですよ。村長、お会計を頼みますよ」酸いも甘いも噛みしめたグルメ師匠のひと言で一次会は締めとなった。二十本の千鳥足・・・空はまだ高い。青が目に染みる。
              赤羽① 
              酔い覚ましの塩大福?

その後のことは中身が濃過ぎて、残念ながらここでは書けない。村長はその帰り、一番街で目を付けていた「伊勢屋」へ。赤羽でも人気の庶民的な和菓子屋で、創業は昭和34年(1959年)。「いなりずし」(5ケ入り 310円)とここの名物でもある「塩大福」(1ケ110円)を買って、それを夕飯にしようと目論んだのである。
              赤羽⑥ 
              スグレモノめっけ

夜9時過ぎ、ようやくウマズイめんくい村に辿り着き、遅い夕食となった。「いなりずし」は俵型の関東スタイル。これが予想を超える旨さだった。一個の大きさはやや大きめで、油揚げの色つやがいい。千住の「松むら」よりも色は薄めで、むしろ京都のお揚げに近い色味。

ふくよかに炊かれていて、口に入れた途端、いい甘みがジュワリと広がる。関東は基本的に京都のように出汁を取らないが、お揚げのふくよかさの中に出汁を感じた。ほどよい甘辛で、油抜きもしっかりしている。日本酒を加えてじっくりと煮込んだ旨味がお揚げの中から滲み出てくる。
             赤羽⑨ 
             ふくよかなバディ
             赤羽⑧ 
             お揚げの秀逸
             赤羽10 
             赤羽の実力
             赤羽12 
             酢飯のシンプル

酢飯は何も入っていない。白ゴマも入っていないシンプルなもの。ほどよい柔らかさで、お揚げの旨さを引き立てている。バランスのいい手作り感で、好みの問題かもしれないが、個人的には志乃多寿司などよりも旨いと思った。

「塩大福」は普通の大福よりもひと回り大きく、塩気が予想よりも強い。粒あんも田舎のあんこのようで、しっとり感がない。甘さをかなり抑えている。北関東の「塩あんびん」と似ている。大福餅は江戸中期にその源流を求めることができるが、元々は砂糖ではなく塩大福だったようだ。砂糖が庶民の間まで広がったのは寛政年間以降で、その意味で、この「塩大福」は原点に近いものだと思う。
             赤羽13 
             名物塩大福
             赤羽16 
             餅とあんこ
             赤羽15 
             塩気が肝心

あまりに素朴な塩大福さま。それをしっかりと食べ終えると、今日一日がとてもいい日だったことが胃袋の底から実感として湧き起ってくるのだった。天空の城ラピュタにかしわ手・・・。

本日の大金言。

開高健が「オーパ!」で引用した言葉。「一時間、幸わせになりたかったら酒を飲みなさい。三日間、幸せになりたかったら結婚しなさい。永遠に、幸せになりたかったら釣りを覚えなさい」。これには修正が必要と思うこともある。



                           赤羽17 




東京駅地下の人気駅弁「イベリコ豚重」

ちょっくら小旅行に行ってきタダ。オラは天国へ行ったダ・・・天国よいとこ一度はお出で・・・はずはない。今回取り上げるのは、小旅行の帰りに東京駅地下「グランスタ」でゲットした「イベリコ豚重」(税込み1100円)。カロリーも過剰だが、これが予想以上に旨かった。何よりもイベリコ豚の駅弁なんてシ、知らなかった・・・。

グランスタの一角が人混みで殺気立っていた。旨そうな弁当類や惣菜が所狭しと並んでいる。「いーしょん」という洋風惣菜屋のマークが見えた。おばはんから若い女性までが群がっているポエムな光景。オッサンまでいる。好奇心にかられておばさんの山をかき分けかき分け覗いてみると、「人気ナンバー1 イベリコ豚重」の文字。その下に弁当が折り重なるように積み上がっていた。次々と作りたてのイベリコ豚重が運ばれてくる。
              イベリコ豚弁当 
            女性が集まる先には・・・
              イベリコ豚重① 
              わお~

調べてみたら、「B1Fグランスタ6年連続第一位」の人気急上昇中の駅弁だとわかった。イベリコ豚の中でもどんぐりで育てた最高級スペイン産ベジョータを使っているそう。1100円は安くはないが、イベリコ豚の最高級種がこの値段とはにわかには信じられない。ちなみにベジョータとはスペイン語でどんぐりの意味だそう。イベリコ豚は脂身のきれいな旨さが特長で、村長も嫌いではない。それがベジョータとなるとどんなものかいな。鼻がひくひくする。
              イベリコ豚重② 
              イベリコ豚重

こういう場合は賞味してみるに限る。ウマズイめんくい村に持ち帰って、最高級の安赤ワインを用意して、夕飯のアテにすることにした。プラスティックの蓋を取ると、見事な醤油色の世界! ベジョータが表面をほとんど覆い尽くしていた。そのテカリと飴色の脂身によだれが出かかる。
              イベリコ豚重④ 
              オラ、ベジョータ!
              イベリコ豚重⑤ 
              豚肉好きにはたまらん?
              イベリコ豚重⑥ 
              脂身、折り紙つき?

シシトウが一つちょこんと乗り、さらに卵焼きと生姜漬けが箸休めとして配置してある。まずはベジョータをひと口。甘辛の醤油味で、そのこってりとしたイベリコ豚の食感が口中に広がった。濃厚な甘み。官能と愛のベジョータ。絶妙な旨さだが、どこかに添加物の匂いもかすかにした。それも含めて人気通りの旨さ。
              イベリコ豚重⑨   
              卵焼きと生姜
              イベリコ豚重10 
              マスタードを・・・
              イベリコ豚重11 
              愛の断崖

マスタードを付けると、濃厚な味わいにさらにアクセントが付く。赤ワインできれいな脂身とともにノド奥へと流し込む。ご飯はすっかり冷え切っているが、タレのかかり具合といい、うむと言わざるを得ない旨さ。冷えていても旨い。箸休めの卵焼きは薄甘い味付け。生姜漬けも悪くない。全体的によくできた味わいだと思う。
              イベリコ豚重⑧ 
              かぶりつけ

野菜がないのがちょっと残念かな。旨いのは旨いけど、食べ終えてからも後味が残る。それが気になるわ」
「駅弁で添加物を使っていないものってないんじゃないか。ボリューム的にも結構あるし、イベリコ豚の最高級種をこの値段でこういう形にしたのは評価したいなあ」

「甘いわねえ。カロリーの多さも気にしない、1100円も高くないなんて、最近ちょっと昔のぜい沢病が再発したんじゃない?
「どんぐりでも食べて、人間のベジョータになりたくなってきた」
「いいアイデアよ。そうすれば?」
「・・・・・」

本日の大金言。

駅弁には旅情が詰まっているが、ほとんどが1000円を超える価格帯。京洛先生お勧めの京都駅「目刺し弁当」はその対極にある。高級化とシンプル化。ぜい沢と質素。その両方を味わいたい。



                           イベリコ豚重12 




江戸歌舞伎流?こってり「味噌ラーメン」

 本日もさぶ~。こう寒い日が続くと、味噌ラーメンが食べたくなる。江戸での小会議を終えて、京橋方面へとぶらりぶらり。このあたりは宮仕え時代にもよく歩いた場所。「江戸歌舞伎発祥の地」の碑を見る。松竹の創業者・大谷竹次郎が建立したもの。寛永元年(1624年)に初代中村勘三郎(猿若勘三郎)が開いた中村座があった場所を「江戸歌舞伎発祥の地」としたようだ。歌舞伎には無縁な村長だが、つい立ち止まってしまう。400年近く前の歌舞伎ってどんなものだったんだろう? 
              江戸歌舞伎発祥の地 
              江戸歌舞伎がここから?(東京・京橋)

そのすぐ近くに味噌ラーメンの人気店「どみそ本店」がある。8~9年ほど前、二三度食べて、その旨さが記憶に残っている。当時はそれほどの人気はなかったと思う。今では暖簾を7軒ほどに広げ、都内でも有数の味噌ラーメンの名店になっている。今回、久しぶりに思い出し、暖簾をくぐることにした。いつの間にか午後三時半を回っていた。小腹がすくはずだ。
              どみそ 
              どみそ本店

時間が時間なので、行列はない。黒を基調にした店内はカウンター席が10席ほど。相変わらず狭い。先客は4人ほど。かなりのラーメン好きの外国人が慣れた手つきで、味噌ラーメンを旨そうに賞味していた。うむ。券売機で「みそこってりらーめん(背油あり 780円)を押した。背油は苦手だが、以前食べたのもこってりしていたので、確認の意味でこちらを選んだ。
              どみそ③ 
              ラーメン通の外国人も
              どみそ② 
              メニューの選択

7~8分ほどで「みそこってりらーめん」が登場。早すぎる。味が落ちているのではないか、と危惧した。深めのドンブリにモヤシとコーンがどっさりと乗り、赤味噌ベースのスープが濃厚な世界を作っていた。いい匂いが立ち上がっている。ドンブリの縁には海苔が二枚。まずはスープをひとすくい。
              どみそ⑤ 
              これこれ
              どみそ④ 
              急がば回れ

スープの濃厚な旨さは昔のまま。豚骨、鶏ガラ、ニンニク、ニラ、生姜、唐辛子などの複雑なエキスがじっくりと滲み込んでいるのがわかる。黒ごまも浮いている。他にも何か隠し味があるに違いない。思ったほどのしつこさはない。むしろ穏やかな旨味が冷え切った体の中に広がっていく感じ。相変わらず旨い。かすかに化学調味料の匂いが残るもニンニクの余韻が心地よい。
              どみそ⑥ 
              ズープの旨さ

極太の麺が秀逸。浅草開花楼の特注麵で、もっちり感とごわごわした食感が融合している。歯切れ感がとてもいい。濃厚な味噌スープに合っている。モヤシのシャキシャキ感も昔のまま。コーンもいい鮮度。スープを飲み干すと、9割7分ほどの満足感。あえて言うと、ボリュームがやや物足りない。チャーシューをトッピング(3枚200円)すればよかったとやや後悔。
              どみそ⑦ 
              極太麵の秀逸

ここの創業者は元証券マンで、深川生まれ。札幌ラーメンとはひと味違う東京の味噌ラーメンを作ろうと、10年ほど前にこの世界に飛び込んだそう。とはいえ、麺などの違いは少々あるが、どう見ても札幌系の味噌ラーメンだと思う。出雲の阿国が京都で歌舞伎を起こしたように、初代勘三郎もその流れから江戸で歌舞伎を起こしたとしたら、この味噌ラーメンも本歌取りかもしれない・・・と書いたところで、こじつけがひどすぎるかと気づいた。ありゃりゃ、食えない味噌を付けてしまった・・・。

本日の大金言。

京橋・日本橋周辺は江戸文化の発祥地でもある。当時は魚河岸も近くにあり、遊郭吉原(葦原)も現在の人形町に誕生していた。東京のこってり味噌ラーメンがここから出発したのも偶然ではないかもしれない。



                            どみそ⑧
プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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