伝統食ランチの黒豆寒天

 たまに行くジャズバーのマスターが「ボクの知り合いが菖蒲町にオーガニックなカフェを開いたんですよ。ちょっと覗いてみてくれませんか?」とのたまった。村長の苦手な世界だが、マスターの目が血走っていた(?)ので、行くっきゃない。

たまたま花のお江戸で修業中のキオが「帰村中」だったので、ポンコツ車を飛ばすことにした。「オーガニック」と聞いて、村民2号は「私向きね」とルンルン気分。癒しの世界にハマっているキオも「私のためのカフェだわ」

埼玉・久喜市菖蒲町はかつて作家・深沢七郎が「ラブミー農場」を開いたところ。今では菖蒲モラージュなど大型ショッピングモールのある町に変身している。マスターが言ったカフェは菖蒲文化会館「アミーゴ」の1階にあった。カフェ「葉のん」の看板が今風である。
         葉のん1 
         今どきカフェ
         葉のん① 
         癒しの世界

村長は複雑な思いに捉われた。そこは3年半前に訪れた場所だったからである。確か「みどりの風のレストラン」という店名で、シルバーおばさんたちが運営するレストランだった。そこで食べたカレーライス(450円)に強い印象を受けた。具が玉ネギだらけで、そのあまりに素朴な味わいに「玉ネギババカレー」と勝手に命名したことを思い出した。

その店はすでになく、そこが「葉のん」になっていた。「葉のん」はこの4月にオープンしたばかりで、一歩店内に足を踏み入れると、モダンで開放的な造りが悪くない。「明るい木のイメージが自然でシャレてるわね」とキオ。
         葉のん② 
         体がきれいになる?

メニューの中から「葉のんランチ」(1000円=税別)を選ぶことにした。メニューは3週替わりのようで、今回はたまたま和風ミートローフがメーン。それに高野豆腐の煮ものやいんげんのマリネ、レンコンとキュウリのきくらげ和えなどの構成。ご飯は十穀米で、みそ汁はもずくのみそ汁。さすが「温故知新」を売りにしているカフェらしい。伝統食を再発見するというのもポリシーとか。
         葉のん③ 
         葉のんランチ
         葉のん④ 
         温故知新メニュー

スタッフに管理栄養士もいて、よく考えられた体にいいメニューだと思う。麩(ふ)と大豆、さらには菖蒲の野菜を使った煮物や小鉢は素朴で自然な味わい。どこかタニタ食堂のようだが、タニタほど極端な薄味ではない。その分旨みもある。
         葉のん⑤ 
         こりゃ女性が喜ぶ?
         葉のん⑨ 
         和風ミートローフ


「和風ミートローフが美味いわ。多分、豚と鶏の挽き肉を使っている」(村民2号)
「それにひじきとゴマ、ニンジン、玉ネギ、えんどう豆も入ってるようね。隠し味はお麩じゃないかな。それをつなぎにしていると思うわ」(キオ)
「当たり~。こっそり聞いたら、店の人がそう言ってたよ。みそ汁も十穀米も地産地消だそうで、それなりに旨い。でも、男にはちょっと物足りないかな」(村長)
         葉のん⑧ 
         うむ、高野豆腐
         葉のん10 
         ほお~黒豆の寒天

村長が最も気に入ったのは「黒豆煮豆の寒天」。じっくり炊いた黒豆と煮汁の風味が見事に閉じ込められていて、口中にいい食感と風味が残った。ほのかな甘みも好感。全体として腹八分目のほどよい満足。箸を置くと、ふと玉ネギババカレーが食べたくなった。あのおばあちゃんたち、どこへ行ったのだろう?

本日の大金言。

食生活も温故知新。若者はジャンクフードに走り、中高年は伝統食や自然食につい目が行く。だが、温故知新にはそれなりにお金がかかる。価格設定も温故知新だといいのだが。


                  葉のん11 



スポンサーサイト

「下町の惣菜パン」に改めて驚く

 江戸での所用の帰り、北千住に途中下車することにした。目的は「ふらんすや」の惣菜パン。知る人ぞ知る下町のパン屋で、村長お気に入りの店でもある。久しぶりにここのパンを無性に食べたくなった。

西口を出た途端、懐かしいドンチャカ音が聞こえてきた。「白塗り美女3人」のチンドン屋! わお~、これだから北千住は止められない。全身の細胞が踊りはじめるのがわかった。ゴミ箱まで踊っている。
         北千住チンドン屋 
         わお~

宿場町通りをサンロード方面へ。すると八百屋、豆腐屋などの先に自家製パン「ふらんすや」が見えてくる。街のパン屋さん。代が変わって店もリニューアル、それからすでに10年ほど経っている。コロッケバーガー、メンチカツバーガーなど惣菜パンが人気で、すぐに売り切れてしまうことでも知られている。
         ふらんすや 
       自家製パン「ふらんすや」

思った通り、どちらも売り切れていた。おばさんスタッフと雑談。「最近は何が人気?」「バジルフランクとかサルサ&バジルなどフランクソーセージ系もよく売れてますよ」とか。奥がパン焼き工房になっていて、3人ほどが忙しそうに働いていた。香ばしい匂いが流れてくる。
         ふらんすや③ 
         これこれ
         ふらんすや④ 
         下町の矜持

まずは見るからにボリュームのある「バジルフランク」(280円=税別)を選んだ。もう一つ、この店の名物「ホワイトロール」(136円=同)も。これは白い細身のコッペパンで、カスタードクリームなど6種類から好きな具財を選び、注文と同時に豪快に塗ってくれる。ピーナッツバターを選ぶことにした。この安さも下町のパン屋ならでは、だと思う。

テイクアウトのみなので、別の場所でコーヒーを頼んで、賞味することにした。まずは「バジルフランク」。「ふらんすや」のパンの美味さをどう表現したらいいんだろう? 

東京でも指折りのハンバーガーショップ「サニーダイナー」のバンズはここのバンズを使っている。村長に言わせると、サニーダイナーのハンバーガーの美味さの約半分はここのバンズのお蔭ではないか、と思う。もっちり感と風味が只事ではない。
         ふらんすや⑤ 
         ランチの時間
         ふらんすや⑥ 
         言葉はいらない

いい色に焼かれたフランクフルトソーセージがどっしりと中央に陣取り、レタス、トマト、チーズという構成。ガブリと行くと、フランクフルトソーセージの肉汁がバジルマヨネーズソースとともに口中であふれそうになる。レタスとトマトの鮮度もマル。何よりもパン生地の凝縮したもっちり感が素晴らしい。圧巻の美味さとしか言いようがない。
         ふらんすや⑦ 
         絶妙の世界
         ふらんすや3 
         1+1=3

次にピーナッツバター入りのホワイトロールへ。たっぷりのピーナッツクリーム、砕かれたピーナッツが混じっている。ホワイトロールのパン生地はもっちり感に加えてしっとり感が凄い。「バターと牛乳を加えていないんですよ」とかで、ひょっとして米粉か何か特別なものを入れているのではないか? あるいは魔法でもかけている?
         ふらんすや⑨ 
         ピーナッツバター
         ふらんすや10 
         パンの秀逸
         ふらんすや11 
       これ以上何を望む?

こちらも村長の好みにドンピシャで、リーズナブルな値段を加味すると、東京で一、二の惣菜パン屋さんではないかと思う。そう断言してしまいたくなるほどの深い味わい。食べ終えてから、しばらくささやかな余韻に浸る。ハード系好きには合わないかもしれないが、北千住パン職人の隠れた実力を改めて思い知らされるのだった。

本日の大金言。

下町気質の良さはあからさまなビジネスを内心軽蔑していることではないか。「宣伝上手の中身なし」の店が増える中で、地味な手づくりにこだわり、値段も抑える。スマホの評価だけで店選びをすると、本物を見失うことだってある。


ふらんすや12 







ほうじ茶パフェと今西軒おはぎ

 何という一日だろう? 人生には誤算がしばしばあるが、これほどの誤算はそうはない、と思う。文字通りの甘い誤算・・・。

京都にお住いのグルメ仙人先生が空から降りてきた。M子さんを励ます茶話会を開くため。もう一つR大学で講演を頼まれたこともあるらしいが、昨夜は茶話会。メディア関係の仲間が三々五々集まった。

そのとき、グルメ先生が両手に下げていたのが知る人ぞ知る京都五条「今西軒」のおはぎだった。いつもながら予測できない行動で、村長は久しぶりに腰を抜かしそうになった。見事な粒あん15個、こしあん15個! 一個190円として、合わせて5700円ナリ。早朝から並んで買ってきたそう。ぎっくり腰が一気にダルマ落とし状態になってしまった。
         今西軒② 
         今西軒のおはぎ!
         今西軒① 
         最高峰の味わい

まさか今西軒のおはぎを手土産にしてくるとは。東京では仙太郎のぼた餅が人気だが、「京都では今西軒ですよ」(グルメ仙人先生)という代物で、おはぎ界の最高峰に君臨する逸品である。それと知っていれば、来る前に人形町「森乃茶房」でほうじ茶パフェを食べてくるんじゃなかった・・・。ぐやじ~い。

甘酒横丁にある「森乃茶房」はほうじ茶専門店「森乃園」の2階にあり、この店は「日本一のほうじ茶」を看板にしている。創業は大正3年(1914年)。「森乃茶房」のほうじ茶パフェも一度チャレンジしたかった代物。
         森乃茶房① 
         人形町も負けない?
         森乃園 
      隠れたメッカ?(森乃園)
         森乃茶房③ 
         いざ、ほうじ茶パフェ

茶話会の開始のゴングまで1時間ほどある。2階の窓側の席にぎっくり腰をソロリと下ろすと、すぐに「ほうじ茶パフェ」(1080円)を頼んだ。安くはない。待つこと10分ほど。まずは熱いほうじ茶が置かれ、続いて「ほうじ茶パフェ」がやってきた。香ばしい匂い。
         森乃茶房⑤ 
         人生は楽しい

聞きしに勝るパフェで、見事な色味。下から寒天、ゼリー、アイスクリーム、つぶしあんなどが5層になっていた。頂上部近辺には栗、ミカン、求肥、白玉が乗り、さらに茶グレーのホイップクリームが渦巻き状にそびえ、何故か最中、チョコレート色のカステラが張りついていた。ポエム。
         森乃茶房⑥ 
         別の角度

愛らしい女性スタッフによると、「すべてにほうじ茶が入ってるんですよ」とか。チョコレート色に見えるのもほうじ茶の色ということになる。ほうじ茶は緑茶を焙煎したもので、焙煎の仕方によって、色が濃くなったり薄くなったりする。自家製ほうじ茶専門店で、しかもほうじ茶パフェまであるのは多分日本でここだけだと思う。
         森乃茶房⑦   
         あり得ない世界?
         森乃茶房⑧ 
         ほうじ茶入り
         森乃茶房⑨ 
         最中の中

ほうじ茶の香ばしい香りが悪くない。ホイップクリームだけ余分だと思ったが、それ以外はほどよいほうじ茶の苦味が甘さのブレーキ役になっていて、予想よりも美味。チョコレートかと見間違えたつぶしあんとほうじ茶アイスクリームのコラボも素晴らしい。最中のこしあんまでほうじ茶が入っていて、皮のパリパリ感も悪くはない。
         森乃茶房10 
         ほうじ茶アイスクリーム

すっかり食べ終えると、まわりの女性たちの視線がチラチラとこちらに向かってきているのがわかった。冷ややかな視線。その足で、よろよろとグルメ仙人先生の茶話会へ。で、今西軒のおはぎとご対面となったわけである。むろん、つぶあんとこしあん2個をペロッと平らげたのは言うまでもない。相変わらずの絶品。だが、食べ終えるとさすがに頭がクラクラしてきた。マイスウィートロードの先には何がある?

本日の大金言。

一歩先には誤算がある。予測できないからこそ楽しい、と思う。甘くて苦い誤算ほど楽しい。



                                                           森乃茶房12  




続きを読む

東京進出、さぬき名店のカレーうどん

 久々ぎっくり腰にやられてしまった。昨日はムッとくる暑さの中をペンクラブ懇親会へ。その前に内神田1丁目にある讃岐(さぬき)うどんが美味いという「香川一福(かがわいっぷく)」に立ち寄らなければならない。尺取虫のような歩き方が情けない。

若い麺食いシンジケートのKが「小川町から歩いて4~5分のところに、本場の名店が暖簾を下げているんですよ。東京進出1号店です。そこのカレーうどんがメチャクチャ旨いとネットでも評判です。ホントかどうかぜひ立ち寄って下さいよ。相当辛いらしいので、食べたらぎっくり腰も治っちゃうかもしれませんよ」と村長に指令を出したのだ。憎めない奴。

猛暑の中、ぎっくり腰でカレーうどんを食べる。ネットで評判というのが気にくわないが、状況的に案外、ポエムではないかと思う。午後4時過ぎに何とか辿り着いた。時間が時間のせいか行列はない。白と黒のシンプルな外観に白地の暖簾が下がっていた。モダンな店構え。
         香川一福① 
         モダンな店構え

入るとすぐ左に自販機があり、やや意外な展開。セルフ方式かとばかり思っていたのに、これはよくない予感。BGMがビートルズで、フツーに入れば「シャレたたうどん屋だな」と好感を持つと思う。だが、本場香川・高松で人気の行列店の東京初進出と聞くと、これは基本コンセプトを間違えているのではないか?
         香川一福⑨ 
         セルフ方式ではない
         香川一福3 
         高級感?

先入観はよくない。気を取り直して、「カレーうどん」(小=1玉 680円)を押した。ちなみに中=1.5玉が750円、大=2玉820円なり。本場の本店よりもかなり強気の価格設定。セルフ方式ではないので、ちくわ天(200円)やゲソ天(同)もここで選ばなければならない。やや興醒めなので、カレーうどん一本勝負で行くことにした。
         香川一福③ 
     人気の肉うどんとカレーうどん  

長い相席のテーブルが2列、それに右手にはカウンター席。広々と開放的でこれは好感。コンクリート打ちっぱなしの壁と床も悪くはない。奥が板場になっていて、そこに男性スタッフが3人ほど。茹で上げたうどんを揚げている姿も悪くない。
         香川一福④ 
         当たりかハズレか?
         香川一福⑤  
         新たな世界か

10分ほどの待ち時間で、お盆に乗ったカレーうどんがやって来た。思ったより小ぶりのドンブリ。どろりとした褐色のカレールーが全面を覆っていた。鮮度のいい青ネギとなぜかバター(マーガリン?)が乗っていた。北海道ラーメンのいいとこ取り? 湯気が立ちのぼり、カレーのいい匂いをシュウシュウと発散していた。隣りにいりこ出汁のお椀が控えていた。

「半分食べたら、いりこ出汁のスープを入れて食べてみてください」と女性スタッフ。このあたりが受ける理由の一つかも。

うどんはさぬきうどんにしては細めで、コシよりももっちり感を優先した食感。カレールーが欧風カレーのようにドロリとしていて、かなり辛い。細めのうどんによく絡み、牛骨と野菜で出汁を取ったというルーのこってりした味わいとの相性は悪くはない。
         香川一福⑦ 
       欧風カレーとさぬきうどん
         香川一福4   
      いりこ出汁を加えると・・・

いりこ出汁のスープを加えると、味わいが柔らかく奥深くなった。これはいいアイデア。だが、村長にはどこか物足りなさが残った。さぬきうどんにしては高めの値段設定も違和感を覚える。ネット情報は半分信用できないなあ。七分の満足感。次は本場の本店に行ってみたくなった。外に出るとまだ猛暑。ぎっくり腰がさらにひどくなった気がした。自業自得だって?

本日の大金言。

さぬきうどんの素晴らしさは安さとコシの強さと早さだと思う。さらにセルフ方式といりこ出汁。その基本は忘れてほしくない。




                香川一福12 



銀座の穴場?氷あずきの至福

 東京・銀座は大好きな街だが、こと美味いものに関する限り、舌代がかなり高め。猛暑の絶品かき氷を求めて、虎屋や源吉兆庵など老舗を覗くと、軽く1000円を超えた数字が並ぶ。おおおお、やっぱりなあ。財布の中を寒風が通り過ぎる。炎天下の孤独。

入り口の女性店員さんに聞くと「銀座ですからね。このくらいのお値段はどこでもすると思いますよ」とか。で、むくむくと反骨の虫が動き出した。銀座の老舗で、1000円以下の絶品かき氷を見つけてやる~。

本当のところ目算があった。中央通りから少し離れた銀座七丁目の「清月堂本店」へ。創業が明治40年(1907年)。水ようかん、くず桜、きんつばで定評のある老舗和菓子屋、である。ここの2階にある「清月茶房」が今回のターゲット。実はここは村長の穴場なのである。
         清月堂本店① 
         オアシス!
         清月堂本店 
         清月堂本店

昭和通りを超えると、一気に人通りが少なくなる。人の行く裏に道あり、花の山。老舗のいい造りで、特に2階の茶房はゆったりとした時間が流れ、エンタメ新聞社時代は疲れたときなどはここで英気を養ったこともある。
         清月堂本店13 
         清月茶房へ

午後3時過ぎだったせいか、客が少ない。メニューの中から「氷あずき」(税込み908円)を選んだ。ピアノ曲が優雅に流れている。
         清月庵 
         こうでなくっちゃ

フツーに考えると安くはないが、銀座という場所を考えると、これは穴場だと思う。女性スタッフの対応もいい。2~3分ほどで、まずは白磁のきれいな急須でお茶が運ばれてきた。2杯分ほどある。これこれ、このサービスがマル。

奥の厨房(見えない)から、カシャカシャという氷を削る軽やかな音がかすかに聞こえてきた。やがて、黒い角盆に乗って、「氷あずき」がしゃなりとやって来た。ガラスの器。見るからに柔らかそうな山のような氷のボリュームとその上のどっかと乗っかった小豆がポエム。小豆はトロリとしたツヤが際立っていて、氷の底にも小豆がうっすらと見えた。これは虎屋や源吉兆庵に劣らない。
         清月堂本店② 
         マッターホルンでっか? 
         清月堂本店④ 
         頂上の天国

氷はフワフワとしていてきめが細かく、湿気も多めで、天然氷のよう。だが、「天然ではありません。銀座の氷屋さんから仕入れているものです」(女性スタッフ)。錫製(?)のスプーンで小豆と氷を口中に運ぶ。冷たい美味。小豆は甘めで、柔らかくこってりと炊かれている。ほんのりと塩気が効いている。ふっくら感と風味も十分にある。上質のつぶあん。
         清月堂本店⑤ 
         つややかな小豆
         清月堂本店⑥ 
         絶妙でんなあ

創業当時、水ようかんとくず桜で評判を取った店だけのことはある。
「この小豆のこってり感は、ひょっとして水飴を加えてる?
「いえ。多分使ってないと思います。でも、ちょっと聞いてきます」
         清月堂本店⑨ 
         底にも天国
         清月堂本店11 
         残りの時間

しばらくして戻ってくると、「水飴は使ってないそうです。小豆は北海道産のいいものを使っているそうです」(女性スタッフ)。このテカリとこってり感は炊き方の技のようだ。お代わりのお茶を飲みながら、あえて言うと、底の小豆がもう少し多かったら、文句なしなのだが。銀座は中央より路地裏とか裏通りに限る、改めてそう思うのだった。

本日の大金言。

かき氷のシーズン到来。梅雨が開けると、かき氷が夏のスイーツのメーンステージに躍り出る。新興のかき氷屋もいいが、歴史のあるかき氷屋、それもリーズナブルな値段の店を探すのも楽しい。あの紫式部が楽しんだかき氷を空想しながら、探すのもいい。


                 清月堂本店12 

続きを読む

江戸の余韻と微妙な「深川めし」

 久しぶりに東京・清澄白河にある「江戸資料館」へ。エンタメ新聞社時代に何度か足を運んだ場所。江戸末期の深川周辺の下町を再現した世界にどっぷり浸かる。物売りの声がポエム。
         江戸資料館 
   江戸のシンプル生活(江戸資料館で)

その足で、深川めしの名店の一つと言われる「釜匠(かましょう)」で遅いランチを取ることにした。来る途中で、どこか深川めしの穴場はないか、見るからに下町のオヤジに聞いたら、しばらく考えてから「この時間だと『釜匠』がいいよ。安くて、アサリがビックリするほど一杯入ってる。3時で終わるから急いだ方がいいよ」と教えてくれた。
         深川釜匠1 
       深川めしの名店「釜匠」

「釜匠」は穴場というより、観光客も多い有名店だが、時間が遅かったので仕方がない。滑り込みセーフ。入り口には金色の飯炊き釜が置いてあり、「深川めし」の幟(のぼり)がゆらりとはためいていた。店構えは悪くない。

「あまり時間がありませんけど、いいですか?」
と40代くらいの女性スタッフ(若女将?)が声をかけてきた。ややおきゃんな雰囲気の美人。
「あいよ、ぶっかけめしだから急いで食べますよ」
軽い冗談で答える。
         深川釜匠② 
         安いか高いか

2階もあるようだが、1階のテーブル席に腰を下ろした。雑然とした造りで、4卓ほどしかない。深川丼ではなく、「深川めし」(税込み1050円)を頼むことにした。深川丼はぶっかけ、深川めしは炊き込みご飯。元々は漁師飯で舟の上でささっとかっ込んだもの。昭和37年(1962年)に江戸時代から続く漁業権を放棄してから、この一帯で食べられていた深川丼も深川めしも消えて行ったという歴史がある。

それが復活したのはどうやら「江戸資料館」や「芭蕉記念館」が開設した昭和60年前後からのようだ。深川めし振興協議会もでき、それに加盟している店は周辺に13店舗ほどある。それぞれに店独自の作り方がある。
         深川釜匠③ 
         深川めし、登場

4~5分ほどで、「深川めし」がやってきた。早すぎる。みそ汁、昆布の佃煮付き。深川めしは朱塗りのドンブリに収まっていた。刻み海苔、ネギが中央にどっかと乗っていた。その下にはアサリの炊き込みご飯がいい盛りで控えていた。具はアサリとしめじだけ。アサリの出汁のいい匂いがそこはかとなく漂う。
         深川釜匠④ 
         炊き込みご飯
         深川釜匠2 
         絶景やなあ
         深川釜匠⑤ 
         食欲が出る

だが、ひと口食べると、かなりの薄味で、ご飯が思ったよりパサパサしていた。それはそれで悪くはないのだが、炊き込みご飯自体がすっかり冷めていた。おこげがあるのは好感。アサリはふっくらしていたが、たまたまなのか量はそれほど多くない。下町オヤジが「ビックリする」と言ったほどビックリはしなかった。時間がギリギリだったことがアサリの量に影響したのかもしれないぞ、そう思うことにした。
         深川釜匠⑨ 
      ふっくらアサリとしめじ
         深川釜匠⑦ 
         おこげの力
                                深川釜匠⑥ 
                               サービスだす

昆布の佃煮で食べると、薄味がちょうどいい具合に口中で旨みに変換した。特筆したいのは3種類の漬け物がサービスなこと。大根の壷漬け、ラッキョウ、甘酢生姜が意外に美味い。

ご飯の量がかなり多めで、大急ぎでかっ込むと、ちょうど3時になった。満腹と八分の満足感。ラッキョウで口直し。船が出る時間。1050円は微妙な舌代だと思った。

本日の大金言。

深川めしは1500円前後の店が多い。賄いのB級ぶっかけめしがルーツだったことを考えると、もう少し安くした方がさらに人気が出ると思う。下町の心意気と高値は似合わない。



                 深川釜匠10 

どら焼きか?御三家の大行列

今回ご紹介するのは、東京・東十条「黒松本舗 草月」の黒松である。上野広小路「うさぎや」、浅草「亀十」と並ぶ東京三大どら焼きの一つとか、どら焼き御三家と呼ぶ人もいる。

「どら焼き」とは言わず「黒松」と言っているところや、価格がうさぎや(1個200円)や亀十(1個315円)よりはるかに安い1個100円(税抜き)、大きさが小さいところ、黒糖を使用していることなど、正統派どら焼きとは少し別物という気がする。

早朝に電話で予約しようとしたら、「電話予約は本日分はすでに終了いたしております」というお返事。「後はお並びいただくしかございません」。で、お並びすることにした。
         黒松本舗① 
       店外の行列、店内にも

早めに用事を終えて、午後3時半過ぎ、東十条の坂を下りていくと、長い行列が見えた。ざっと14~5人。一番後ろに並んで、前の人と雑談。「このくらいの行列なら少ない方ですよ。土日ならこの2~3倍は並んでますよ」とか。

店の入り口には「本日黒松あります」の立て看板。店の中にも15~6人ほどが順番待ちをしていた。うーむ。草月は昭和5年(1930年)創業の老舗和菓子屋で、羊羹や最中も売っている。「黒松」は昭和33年ごろに考案されたそうで、甘党で下町出身の北欧先生も昔よく食べたと言っていた。
         黒松本舗② 
      恐るべき庶民価格

都合40分ほど並んで、10個入り(税込み1080円、簡易箱入り1166円)を買い求めた。ウマズイめんくい村に持ち帰って、翌日の賞味となった。どら焼きは焼き立てよりも一日置いた方が味がなじんで美味いと思う。

表面の焼き色が虎模様で、亀十のどら焼きを小ぶりにしたような外観。うさぎやや人形町「清寿庵」の本格どら焼きとはいささか違う。だが、ハチミツと黒糖を含んだ甘い、焼けた香ばしさが、どこか懐かしさを誘う。阪神ファンが喜びそうなどら焼き・・・。
         黒松①  
         よき包装なり
         黒松② 
         どら焼きだって?
         黒松③ 
         いえ黒松です

皮が秀逸で、ふわふわ感としっとり感が融合している。黒糖の風味が押し寄せてくる。つぶしあんはほどよい量で、かなり甘い。どら焼きに黒糖は主張が強すぎて合わない、と思っていた村長の思い込みが一気にくつがえされた。黒糖が見事に調和している。意外なハーモニーで、これは草月の作り方が上手いからだと思う。うさぎやほどの感動はないが、この庶民価格を考えると、驚きが倍加する。
         黒松⑤ 
         でもどら焼き?
         黒松⑥ 
         黒松だってば
         黒松⑦ 
       やっぱ、どら焼きでしょ?
         黒松⑨  
         ま、ひと口

渋茶を飲みながら、あっという間に2個平らげる。
「100円というのがホント驚きよねえ。添加物も使っていない。フツーのどら焼きとはイメージが違うけど、これはこれでマルだわ」と村民2号。

「どら焼きというより虎焼きだね。店の人にどら焼き?って聞いたら、『いえ、どら焼きではありません。黒松です』と言ってたよ。このこだわりが脱帽もの」と村長。

「東京三大どら焼きだなんて誰が言ったのかしら? 御三家というのもヘン」
「清寿軒が入ってないのもおかしい」
「きっとウケ狙いのどこかの村長みたいな人が付けたのよ」
「・・・・・」

本日の大金言。

どら焼きは江戸末期にはすでにあったようだ。梅花亭が再現した元祖どら焼きは二枚重ねではなく、銅鑼(どら)の形の一枚の中につぶしあんが入っている。関西では三笠山。生地に小麦粉、卵、ハチミツなどを使っているのが共通している。南蛮菓子と和菓子が融合した日本独自の一品であると思う。




                黒松10 

「日本一暑い街」の抹茶小豆かき氷

 本日は雨だが、週末は暑かった。気象庁によると「6月4日頃に梅雨入りしたものとみられる」と微妙な表現。このところの世界中の異変は、どうも地球規模でこれまでになかったような気候変動が起き始めていることと無関係とは思えない。こんな時はかき氷に限る。

「日本一暑い街」埼玉・熊谷にポンコツ車を走らせることにした。2013年に高知県四万十市に記録を抜かれたものの、それまでは岐阜県多治見とともに、「日本一暑い街」のタイトルホルダーだった。
         熊谷① 
         ラグビーか、かき氷か?

あまりうれしくない「日本一」だが、それを逆手にとって、地元の地下水で作った「雪くま」というかき氷を売り出している。2019年開催のラグビーワールドカップの開催都市にも選ばれ、街は盛り上がっているかと思いきや、一向に盛り上がっている様子はない。「まだ3年先の話ですからねえ」(市役所)とのんびりしたもの。寂しき日本一暑い街。だが、そのローカル感が村長の好みで、たまにポンコツ車を走らせる。
         お茶カフェ① 
         雪くまって何だ?

まずは超人気かき氷屋「慈げん」へと向かった。だが、あまりの行列ぶりにへそ曲がりの虫がへそを曲げてしまった。で、もう一つの穴場に行ってみた。熊谷駅北口ニットモールの1階にあるお茶カフェ「葉風穂(はふうほ)」である。こちらはそれほど混んでいない。シメシメ・・・スマホ情報に踊らされていると人生を見間違える?
         お茶カフェ③ 
         こうでなくっちゃ

ここはお茶専門店「矢島園」が経営するお茶カフェで、「慈げん」よりも安めなのがいい。「熊谷かき氷 雪くま」の幟(のぼり)が涼しげ。メニューの中から「冷し抹茶ぜんざい氷」(税込み530円)を選んだ。ちなみに「慈げん」の「抹茶あずき」は850円。

氷を削る軽やかな音が聞こえ、しずしずと「冷し抹茶ぜんざい」がやってきた。「慈げん」よりも氷のボリュームはやや少ないが、それでもかなりのボリューム。雪くまのふわりとしたきめの細かい氷と抹茶の緑が目に染みる。何よりも頂上にどっかと乗った見事な小豆に心が躍った。蜜煮した栗が一個ちょこんと乗っていた。底にも小豆が潜んでいる。ポエム。
         お茶カフェ④ 
         冷し抹茶ぜんざいダス
         お茶カフェ⑤ 
        上空より

スプーンでまずはひと口。氷は十分にきめが細かく、ふわふわと口中に広がり、すぐに溶けていく。歯に滲みない。抹茶の風味とシロップ、それにこってり感のある小豆が思ったほど甘くはなく、それが悪くない。
         お茶カフェ⑥ 
         たまらん

栗は多分缶詰めだが、小豆は粒が大きく大納言小豆のよう。いい風味で、食べ進むうちに、ひょっこりと白玉が現れた。フツーにもっちりした白玉だが、軽い驚きがうれしい。
         お茶カフェ⑨ 
         白玉どすえ
         お茶カフェ10 
         この先には?

去年賞味した「慈げん」の抹茶あずきには感動したが、値段と満足度を考えると、このお茶カフェの冷し抹茶ぜんざい氷は狙い目だと思う。かき氷専門店がある種のブームになっているが、全体的に値段がかなり高め。その意味で、このほどよい価格でこの内容のかき氷は一石を投じるものかもしれない。日本一暑い街のかき氷、もいろいろである。

本日の大金言。

地方都市の疲弊は想像以上に進んでいる。アベノミクスのインチキぶりは地方に行くとよくわかる。「皆さん、アベノミクスの果実はこれからなんですよ」と繰り返す首相。本当の狙いは別にある?




                  お茶カフェ11 





絶句したくなる「谷中のぶどうパン」

 東京・谷中周辺は村長の好きな場所だが、観光化され過ぎて、最近はあまり近づかないようにしている。とはいえ、古くからのいい店はしっかりと残っている。

その一つが「手作りパン リバティ」である。村長はここのチョココロネが好きで、折に触れて買いに行く。チョコクリームの量が半端ではない。B級の手作りパンの極限の一つだと思う。

だが、今回ご紹介するのはこのパン屋さんの目玉「ぶどうパン」である。こちらも度肝を抜かれる干しぶどう入り食パンで、初めてご対面したときはオーバーに言うと腰を抜かしそうになってしまった。
         手作りパンリバティ 
       知る人ぞ知るパン屋

千駄木駅から夜店通りに出て、谷中銀座方面へとしばらく行くと、右手にオレンジ色の小さなパン屋が見えてくる。昭和の匂いのする街のパン屋の店構え。創業は昭和32年だが、それ以前から給食用のパンを作っていたらしい。
         リバティ② 
         昭和のよき匂い

メディア関係の会合に出かける前に立ち寄って、「ぶどうパン」(1本 385円=税抜き)を受け取る。「チョココロネ」(1個 同147円)もしっかり受け取る。すぐ売り切れてしまうので、早朝に予約しておいた。

翌日の朝食で、「ぶどうパン」を賞味することにした。干しぶどうの量が想定外の量なので、手に持った瞬間、ズシリとくる。見事な焼き色で、昔ながらのその姿に惚れ惚れする。量りで測ってみたら443グラム! 
         リバティ② 
         わお~
         リバティ④ 
         わおわおわお~
         リバティ⑤ 
         何じゃこれは?

パン切りナイフで切ると、パンのいい匂いとともに、びっしりと詰まった干しぶどうが崩れ落ちてきそうになった。マーベラスなぶどうパン。干しぶどうはつややかに黒々としていて、店の女性スタッフ(女将?)が「ウチのぶどうパンは特別な作り方で、干しぶどうも特製シロップに漬けてるんですよ。これはどこも真似できませんよ」と自信たっぷりだったことを思い出した。

パン生地は弾力よりもしっとり感が勝っていて、その食感が干しぶどうにマッチしている。よく見ると、細かい干しぶどうが練り込められていた。素朴だが、手が込んだ作り。        
         リバティ⑨ 
         言葉がない
         リバティ⑥ 
         何か?

マーガリンをたっぷり塗ってからガブリと行くと、その冷たい塩分が重量級の甘いぶどうパンに実によく合う。パンの風味もどこか懐かしい。洗練というよりも素朴な昭和の香り。あえて言うと、B級の洗練だと思う。
         リバティ4 
      マーガリンをたっぷり
          
「すごいパンよねえ。主役がパンではなく干しぶどうって感じ。チョココロネも凄すぎ。私は降参よ。普通の食パンの方がいいわ」

「このぶどうパンの凄さがわからないとは・・・。チョココロネは持ってくる途中で潰れちゃったのが残念。あっ、そうそう。来週も秘密ペンクラブの用があるから、途中に寄ってこようかな。ここのクリームパンも美味いんだ。ああヨダレが・・・」

「人間ドッグが心配になってきたわ・・・」

本日の大金言。

京都などと同じように、谷中も他から資本が参入してきている。「最近の谷中、どう思います?」老舗の女将が大真面目に村長に問いかけてきた。古くからある店を大事にするのも大事、と言いたい。



                 リバティ11 




続きを読む

三鷹で涙の食堂カレーライス

 知人の告別式の帰りに、東京・三鷹に立ち寄ることにした。

三鷹は十年近く暮らした懐かしい場所。もう一度住むなら三鷹がいい、と思うほど気に入っていた街で、井の頭公園を通って吉祥寺までも自転車で15分ほどで行けた。村長にとっては天国に最も近い街、でもある。

ン十年ぶりのお散歩。時計を見ると午後1時半。ディープなラーメン好きに愛された中華そば「江ぐち」はすでになく、その伝統を受け継いだ「中華そば みたか」はあいにくお休み。くびすを返して、もう一つのディープな食堂の暖簾をくぐることにした。

知る人ぞ知る「いしはら食堂」である。南口から歩いて10分ほど、下連雀3丁目の通り沿いに「御食事の店 いしはら」の看板が見えた。創業は昭和50年(1975年)。建物がきれいになっていたので、リニューアルしたようだ。
         いしはら食堂 
         三鷹の奇跡か

だが、メニューはほとんど昔のまま。軽い驚き。「定食 安い、うまい、早い、品数多し」の文字に偽りはない。朝5時から店を開け、朝からお酒も飲める。ここで朝飯を取るサラリーマンやOLも多い。
         いしはら食堂1 
         タイムスリップ?
         いしはら食堂③ 
       カレーライスにすっべか

カウンター席ではなく、テーブル席に腰を下ろして、まずはビール(中ビン 税込み440円)とポテトサラダ(100円)を頼んだ。若女将だろうか、女性スタッフの自然な対応がとてもいい。カウンター席の向こうが板場になっていて、そこに店主とおぼしき白衣の店主が黙々と働いていた。ポエム。
         いしはら食堂④ 
         ポエムな食堂

カウンター席の上にずらりと下がっている手書きのメニュー。その数、優に50種類はある。そのすべてが手作り。時計が昭和のまま止まったような、その安さ。その手間ひまと店主の考え方を思うと涙がぽろっと出かかる。知人の告別式の余韻で涙腺が緩んでいる? 「あじのフライ一枚 110円」「生姜焼き 280円」「メンチかつ2個 150円」「まぐろぶつ 250円」などなど。
         いしはら食堂⑤  
         昼から天国
         いしはら食堂2 
       手づくりポテトサラダ

ここの名物の一つ「さば焼き」(180円)を追加、仕上げとして「カレーライス」(360円)も頼んだ。このさば焼きが脂の乗った見事なさば焼きだった。注文してから作り始めたので、焼き上がるのに10分ほどかかったが、塩加減といい、焼き方といい、安食堂(失礼)のものとは思えない旨さ。ポテトサラダは甘めで、それは好みの別れるところだが、100円という値付けに驚かされる。
         いしはら食堂⑥ 
         名物さば焼き

鮮度のよさがわかるさば焼きをつつきながら「昼からビール」。お清めの意味もある? 頭の中には「天国よいとこ、一度はおいで。酒はうまいし、ねえちゃんはきれいだ」のフレーズが回っている。天国の知人も飲んでいるに違いない。
         いしはら食堂3 
       仕上げはカレーライス

おっと。仕上げに登場した「カレーライス」を書き忘れるところだった。昭和の手づくりカレーライスで、360円という安さが信じられない。小麦粉からじっくりと炒めて作っているのがわかる素朴な味わい。肉は少ないが、玉ネギとニンジンが溶け込んでいる。こってりとした甘み。特筆したいのはライスの旨さ。食堂の良し悪しをはかる大事なポイントはライスとみそ汁だと思う。
         いしはら食堂5 
         手抜きがない
         いしはら食堂⑨ 
         素晴らしき世界

固からず柔らかすぎず。その真珠のようなツヤといい、滲み出る甘みといい、申し分がない。この安さで手抜きがない。BGMのAMラジオが流れている。ここにもいい職人がいる。三鷹にかような食堂があることに感謝せねばなるまい。

本日の大金言。

強欲と悪知恵。どこかの都知事とは対極の世界がまだ残っている。カネカネの心の貧しさ。世界一貧しい大統領の言葉が胸に滲みる。




              いしはら食堂12 







続きを読む

浜松餃子の名店に飛び込む

宇都宮か浜松か? 餃子消費量日本一の座を大真面目に争っている二つの街。村長は宇都宮の餃子は何度か食べているが、浜松餃子は食べたことがない。で、浜松に行ったついでに、駅から最も近い名店「むつぎく」の暖簾をくぐることにした。
         餃子むつぎく 
       浜松餃子に突撃ィ

南口から歩いても2分ほど。午後6時近いというのに、13~5人ほど行列ができていた。「餃子 むつぎく」の大きな屋号・・・さすが人気店。並ぶことが大嫌いだが、仕方がない。スマホ片手の常連だという30代くらいのヒゲ面と何気なく会話。
         むつぎく1 
         昭和33年創業

「すごい人気だねえ」
「ここは旨いですよ。浜松餃子の特徴は円盤型なんですけど、円盤になるのは12個(中)からなんですよ」
「そんなに食えないよ」
「それが大丈夫なんです。具は野菜なので腹がそんなに膨れない。ボクはいつも16個(大)ですけど、楽勝ですよ」
         むつぎく① 
         円盤がいい?
        
待ち時間の間に、女性スタッフが注文を取りに来た。メニューを見ながら、ヒゲ男を信じて、「12個(中) 税込み720円」を頼むことにした。安くはないが、12個とあれば仕方がない。それともう一つの名物「ホルモン焼き(豚みそ)」(600円)も頼んだ。むろん生ビール(中ジョッキ 600円)も忘れない。餃子にはビールに限る。これは鉄則だと思う。
         むつぎく③ 
         もう一つの名物

15分ほどで中に入れた。カウンター席とテーブル席があり、カウンター席に案内される。対面が厨房で、家族経営のようで、4~5人が忙しそうに働いていた。いい匂いと活気が充満していた。

最初に生ビールが置かれ、続いて主役の餃子が登場。円盤状に12個。中央には湯がいたモヤシが乗っていた。モヤシというのは珍しい。うむ、これが浜松餃子かあ。一個当たりはほどよい大きさ。皮は薄めで、中の具がうっすらと緑色に透けて見える。表面がいい具合にパリッと焼かれているが、口に入れた瞬間は、むしろしっとりしていて柔らかい。皮の旨さ。
         むつぎく② 
         揃い踏み
         むつぎく⑤ 
         わお~
         むつぎく⑦ 
         ナイスバディ

具はキャベツがほとんどで、同様に細かく刻まれたニンニクだけ。肉の姿もニラの姿もない。単純な構成だが、ラー油たっぷりの醤油ダレと絶妙に合っている。キャベツの甘みなのか、やや甘め。宇都宮は白菜中心、浜松はキャベツ中心だそうだが、肉の量は浜松の方が多いそう(例外もある)。だが、この「むつぎく」の餃子には肉の姿が見えない。だが、不思議に旨い。
         むつぎく⑨ 
         具はシンプル
         むつぎく⑧ 
         たまらん

隣りに座ったヒゲ面が声をひそめて、「実はもう一軒、助信町に『むつ菊』があるんですけど、元は同じです。あまり仲が良くない(笑)。でもそっちの方は肉が入ってます。そっちは餃子専門で、ここのようにラーメンはやってないんですよ。好き好きですけど、地元の評価はそっちの方が高い。ま、ボクは両方好きですけど」と教えてくれた。
         むつぎく10 
         負けませんでエ~

「ホルモン焼き(豚みそ)」はどちらの店にもあるそうで、これがまた生ビールに合っていた。コリコリした歯ごたえ。赤味噌とニンニク、それに油の風味がとてもいい。

すべてきれいに平らげると、腹周りがほどよい満足感に包まれた。外に出ると、ぬるめの風が気持ちいい。もう一軒どこかに寄ろうか。ふんふん。

本日の大金言。

浜松には餃子を食べさせてくれる店が約300軒、宇都宮は約200軒あるそう。どちらも「おれんとこが一番」と胸を張るが、村長は本音で言うと、餃子の一番美味い街は栃木・佐野だと思う。佐野はラーメンの街だが、実は餃子がメチャ旨い。何だい、この結末は?





                  むつぎく13 



歌舞伎町の喜多方ラーメン

 東京・新宿歌舞伎町で喜多方ラーメンを食べる、というのも案外オツではないか?

所用で新宿に来たついでに、久しぶりに歌舞伎町を歩く。かつてはここからゴールデン街へとぶら歩きするのが楽しみだった。久しぶりの歌舞伎町は中国人観光客の姿が目立ち、監視カメラが設置されたせいか、かつてのような猥雑感がやや薄れた印象。とはいえ、魔界の匂いは残っている。派手な看板と雑踏は相変わらずで、遠くに副都心の高層ビル群が見え隠れしている。舛添都知事も歌舞伎町に来たことがあるのだろうか、やや気になる。
         坂内1 
         魔界の入り口?

高杉良さんが「金融腐蝕列島」で描いた大蔵省(現財務省)キャリアの実態の舞台になった「ノーパンしゃぶしゃぶ 楼蘭」も歌舞伎町にあった。当時大きな衝撃を与えた小説で、その金融世界の裏側が今も完全になくなったとは思えない。天井と地下は繋がっている。
         坂内① 
         喜多方ラーメン

「坂内(ばんない)歌舞伎町店」は西武新宿駅近くにある。暑かったので、喜多方ラーメン(650円)ではなく、「和風冷やしラーメン」(税込み750円)を選んだ。冷やし中華もあるが、ここは冷やしラーメンと行きたい。
         坂内2 
         どれにすっべか

「麺は太麺と細麺、どちらになさいますか?」
「もちろん太麺でお願い」
可愛らしい女性スタッフがどうやら中国人のバイトのようで、それはそれで悪くない。ここは歌舞伎町なのだ。

「坂内」は東京で食べる喜多方ラーメンとしては、村長の好みで、内幸町ガード下店や木場店はよく通った。昭和の終わり頃に会津・喜多方の「坂内食堂本店」(昭和33年創業)の味に惚れ込んだ北海道・日高市出身の中原明が株式会社麺食を設立、全国展開するチェーン店である。坂内食堂本店とは微妙に違うが、その味を上手く再現している。本場の喜多方ラーメンよりも美味いという声さえある。
         坂内⑤ 
         きたー、冷やしラーメン!

10分ほどの待ち時間で、「冷やしラーメン」がやって来た。「喜多方ラーメン」よりもスープの色が濃いめ。旨そうなチャーシューが5枚、別皿に盛られていた。いいアイデアかもしれないが、ここはやはり坂内の特徴であるチャーシューの大盤振る舞いを実感したい。すぐに麺の上にのせる。これこれ。ポエム。ワサビがちょこんと付いているのも好感。
         坂内⑦ 
         こうこなくっちゃ
         坂内⑧ 
         甘めのスープ

冷たい醤油スープは豚骨の出汁とかつお出汁が効いていて、甘めだがまろやかで、悪くはない。だが、ここは好みがわかれるところで、村長はもう少し甘みを抑えた方が好み。化学調味料のかすかな匂い。
         坂内3  
         平打ち縮れ麺 

麺は喜多方ラーメンの本流の平打ち縮れ太麺で、コシもしっかりとありいい食感。モチモチ感がもう少しあれば、文句なしだが・・・。豚バラチャーシューは毎日店舗ごとに作っているそうで、そのこだわりぶりがわかる。大きさといい肉感といい、いいレベルを保っている。
         坂内10 
       チャーシューの存在感
         坂内11 
         メンマもあるでよ

メンマもシャキシャキしていて悪くない。全体として、この値段でこの味わいをキープしているのは坂内食堂の名前に恥じないと思う。隣の常連だというオヤジが話しかけてきて「酢を入れるともっと旨くなるよ」と言って、ニカッと笑った。

本日の大金言。

「坂内」は東京だけでも44店舗(小法師を含む)にも広がっている。西日本にも進出。京都、高知にまで手をのばしている。山口や鹿児島に進出するのも時間の問題かも。いけいけ、坂内。逆戊辰戦争だったりして。



                  坂内13 


バラ園より「苺のミルフィーユ」

 このところ多忙につき、あやうく忘れるところだったよ。いかんいかん。美女とバラと美味いケーキを忘れるなんて。きっと人生が終わりに近づいているに違いない。まさかね。

バラ好きのメッカの一つ、埼玉・伊奈町のバラ園へとポンコツ車を走らせた。花好きの村民2号が「早くいかないとバラが終わっちゃうわよ。多分きれいなトゲ付きのバラもいるわよ、うふふふ」のひと言で、バラ好きでもない村長も重い腰を上げたのだった。
         伊奈バラ祭り2 
       美女とバラとカメラマン

300種類4800株の薔薇(ここは漢字で行きたい)が咲き乱れる壮観な公園で、6月上旬までバラを楽しめるが、この期間だけ入場料200円を払わなければならない。
         伊奈バラ祭り② 
         素晴らしき人生

トゲ付きのバラに、アマチュアカメラマンが群がっていた。バラよりも人間の方に興味のある村長は、その光景を撮りまくる。本末転倒の極みだが、こういうカメラワークがあってもいいと自己弁護する。きれいな薔薇には棘があるくらいだから、きたない人間にはきっと棘がない? いやいや、棘があり過ぎて、見えなくなっている? むろん村長のことだが。
         ラパン② 
         バル・ドゥ・ラパン

ひと通りバラを楽しんでから、近くの「バル・ドゥ・ラパン」でお茶することにした。この店は埼玉でも美味いケーキ屋さんで、いいパティシエがいる。カフェがあるのも好感。コーヒー好きの村民2号が、「ちょっと値段が高いのが難点だけど、スイーツもコーヒーも美味いはずよ」と誘導する。
         ラパン③ 
         バラよりケーキ
         ラパン④ 
         どれにすっべか

美味そうなケーキが並んでいた。迷った末に「一番人気」という「苺(いちご)のミルフィーユ」(380円+税)を選んだ。飲み物は「庄内深煎り珈琲」(480円+税)。村民2号も同じものを頼んだ。セットメニューがないのが残念。
         ラパン⑤ 
         凝り方の勘定
         ラパン⑧ 
         たまらんでえ

この「苺のミルフィーユ」がいいレベルで、朝焼きのパイ生地のサクッとした歯触り。それに鮮度のあるカスタードクリームが美味。那須の御養卵の黄身を使っているそうで、素材にかなりこだわっていることがわかる。上に乗った2個の苺(いちご)はジャムがコーティングされ、生クリームとともに洗練された味わいを作っている。カスタードクリームの中にも苺が入っていて、都心の有名パティスリーと遜色がない。
         ラパン⑨ 
         まずは敬礼
         ラパン10 
         しずしずと・・・
         ラパン11 
         食べられる関係
         ラパン12 
       パティシエの力量

「埼玉の田舎で、よく頑張っていると思うわ。コーヒーも本格的で美味い。器の凝り方も文句なし。でも、これだけの値段なんだから、このくらいの満足感は当たり前よ」

「確かに。コーヒーのアテについてきた焼き菓子が気に入ったよ。干し柿入りの焼き菓子だそうで、これは絶品だと思う。バラよりミルフィーユより小さな焼き菓子」
         ラパン⑦ 
         意外な実力者

「ヘンな感動の仕方ね。この店、2004年にオープンして、今年で12年になるそうよ。ところで、バル・ドゥ・ラパンって意味知ってる?」

「フランス語でウサギのダンスって意味だろう? とっくに調べたよ」

「失礼しました。日本の童謡にもあるわね。野口雨情作詞で作曲は中山晋平。昔よく歌ったわ。そそらそらそら、ウサギのダンス~」

「何だか妙に本題とズレてきたなあ」

「タラッタラッタラッタ~」

「冷や汗タラッタラッター~」

「・・・・・・」


本日の大金言。

酒とバラの日々を送っているスウェーデンにお住いの北欧詩人にバラ園の写真を転送したところ、このバラ園にも何度か行ったとのメールが届いた。世界は確かに繋がっている。スウェーデンのきれいな薔薇の棘はどんなものか、聞き逃したが。



                  ラパン14
プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

最新記事
カテゴリ
彦作のつぶやき
最新コメント
月別アーカイブ
カレンダー
05 | 2016/06 | 07
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
最新トラックバック
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR