叉焼の本星?お土産の味わい

 雨模様の横浜中華街で叉焼(チャーシュー)の美味い店を探すことにした。地元の食材屋で有力情報を何とかゲット。かつては「有昌(ゆうしょう)」という名店があったようだが、数年前に店を畳んだとか。

で、現在は? 「同發(どうはつ)」や「金陵(きんりょう)」、「一楽(いちらく)」という名前がちらちらと捜査線上に挙がった。いずれも老舗で「しっかり炭火で手作りしてるよ」とのこと。美味の本星はどこだ?
         
その中から村長が目星を付けたのが「一楽(いちらく)」だった。何のことはない。中華街の酔拳官房長官から「チャーシューの美味い店」として、事前にその名を聞いていたからである。
        一楽 
        叉焼の名店

店は中華街大通りにあり、その入り口に美味そうな紅色のチャーシューが置かれていた。毎朝、国産豚を炭火で焼き上げているそう。その中から形のよさそうな「一本270グラム 1516円(税込み)」をお土産用として包んでもらった。安くはないが、このくらいの出費はやむを得ない。日本の焼き豚とはかなり違う。
        一楽② 
      紅色の誘惑が・・・

女将は「爐(ろ)で吊るして炭火で焼いている店は少なくなったんですよ」とひとくさり。店は大正2年(1913年)創業で、広東料理と四川料理の老舗でもある。
        一楽④ 
        たまらない世界

祝勝会を終えて、ウマズイめんくい村に持ち帰り、翌日夕の賞味となった。キンキンに冷やした白ワインとそば仙人からもらった採れたての枝豆などがテーブルに並んでいる。村民2号は横浜中華街のチャーシューを手土産にしたことで機嫌が直っている。
        一楽① 
     いよいよ賞味の時間
        一楽② 
        270グラム1516円ナリ
        一楽③ 
        レンジで温める

「一楽」の女将が教えてくれた通り、レンジで30秒ほど温める(女将は10秒程度と言ったが、600Wなので少し長めに温めた)。包丁で半分だけ切ると、外側の紅色(紅糟)の中から、いい色のチャーシューが現れた。多分肩ロース肉で、宗像窯の角皿に移し、さらに小皿に取ってから、おもむろにガブリと行った。
        一楽⑤ 
        いい色といい匂い
        一楽⑥ 
        黄金の時間?
        一楽⑦ 
        た、たまらん

香ばしく、ほんのりと甘い、肉の凝縮感と美味さ。妙に柔らかくなく、ほどよい柔らかさ。厚みのある柔らかな弾力がとてもいい。赤身のなかに脂身が枝状に伸びていて、噛むと、それらが口中で混然一体となって村長のツボを攻めてきた。吊るし焼きの香ばしさがたまらない。味は薄味だが、擦り込まれた塩と香辛料、それに砂糖の甘みが肉自体の旨みを引き立てている。官能的な味わい。そんな陳腐な表現しか思い当たらない。これが中国四千年の味わい? 現中国は好きになれないが、中華料理は素晴らしい。
        一楽⑨ 
        動悸息切れ注意
        一楽11 
        ガブリ、上質の味

「紹興酒ではなく、白ワインも合うわね。日本の焼き豚とは別物ね」

佃島の肉のたかさごのチャーシューも美味いけど、最近味が落ちた気がする」

「ま、どっちも美味いけど、作り方が全然違うでしょ。このチャーシューは何とも言えない紅色と燻した香り、それに噛んだときの独特の甘い肉汁感が好きだわ」

「有昌のチャーシューも食べてみたかったなあ。そこが美味の本星だったかもなあ。もう手遅れだけど」

「それより、今度は私を連れてってよ。横浜中華街で肉まんも食べたいし、フカヒレ料理も食べたい。ツバメの巣もいいわねえ。いこいこ、明日いこ。四本足で食べないのは椅子とテーブルだけ・・・想像しただけでヨダレが出るわ」

「・・・・・・」

本日の大金言。

四本足で食べないのは椅子とテーブルだけ、二本足で食べないのは両親だけ、空を飛ぶもので食べないのは飛行機だけ・・・。「食在広州」の名言だが、中華街を歩いていると、本当にそんな気がしてくる。



                一楽12
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究極か、横浜中華街のチャーハン

全面 リニューアルした日本新聞博物館「ニュースパーク」の見学と大手メディアO氏の出世お祝い会に出席するため、横浜まで足を延ばすことにした。そのついでに、中華街を10年ぶりに散策することに。隠れ目的の一つが「中華街ナンバーワンのチャーハン」との声もある「中華菜館 同發(どうはつ)」のチャーハンを賞味すること。チャーハン好きなら一度は行きたい店。黄金のチャーハンを求めて三千里、なのである。
        横浜中華街 
        横浜中華街へ

かつてエンタメ新聞社時代に、炎の料理人・周富徳の「究極のチャーハン」を取材したことがある。カメラマンを連れて横浜のご自宅に行って、チャーハンを目の前で作ってもらった。気さくなお方で、サービス精神に富み、コック姿で出迎えてくれた。その後のスキャンダルなどで、メディアからほとんど姿を消し、一昨年亡くなった。村長にとっては思い出深いお方でもある。

その時、作ってくれたのは塩鮭チャーハンだった。わざわざコンビニの鮭弁当を用意し、「タネも仕掛けもないよ。この鮭弁当がおいしいチャーハンになるよ」と話しながら、鮮やかな手さばきで、見事なチャーハンに変身させた。調味料は塩だけだったと思う。料理の鉄人のタネのないマジック・・・考えてみればぜい沢な時間だった。
        同発別館① 
        チャーハン№1?

「中華菜館 同發(どうはつ)」は明治初期の創業。中華街の中でも有数の老舗。中華街大通りに本館と別館があり、村長が入ったのは別館の方。「予約はしてません」と言うと、一階のホールに案内され、メニューの中から「五目チャーハン」(税込み1100円)を頼んだ。1100円は安くはない。
        同発別館③ 
      どれにしようか、な
        同発別館④ 
      待つ時間を楽しむ

スタッフの応対は丁寧で、しばらくすると、小皿が2枚置かれ、ポットに入った温かい烏龍茶がやって来た。この烏龍茶が美味かった。風邪気味の体に染み入るような美味さ。10分ほどで、「五目チャーハン」が目の前に置かれた。
        同発別館⑥ 
        五目チャーハン!
           同発別館3 
        いい匂い

白地の磁器皿につややかなチャーハンがいい匂いを放っていた。卵の黄色とパラパラ感に満ちたライス、賽の目切りのチャーシュー、それに芝海老、レタス・・・それらが物凄い火力で炒められ、黄金のチャーハンに変身しているようだった。周富徳の魔法のチャーハンを思い出してしまった。だが、なぜかネギの姿が見えない。

街の中華屋のようなスープが付いていないのが残念だが、ひと口食べたら、そんな不満も吹っ飛んだ。穏やかな薄塩味で、何か隠し味でも入っているのか、何とも言えない旨味が口中に広がった。シンプルなのに深み。絶妙としか言いようのない炒め方。ややオーバーに言うと、ライス一粒一粒に魂が入っているよう。
        同発別館11  
        チャーシューと海老

チャーシューの量が大盤振る舞いのように多い。やや甘めで柔らかな肉質がいいアクセントになっている。芝海老はプリッとしたものが3~4個ほど。卵とレタスがふくよかなパラパラライスに馴染んでいる。周富徳はサラダ油を使っていたが、この油も同じなのかはわからない。
        同発別館2 
        ふくよかなパラパラ感
        同発別館⑧ 
        確かに美味い

食べ進むうちにボリュームがかなりあることに気付いた。だが、スプーンが止まらない。あっという間に皿がきれいになり、満足感だけが腹周りに残った。いい余韻。周富徳のチャーハンとは単純には比べられないが、フツーに美味い特上のチャーハン、だと思う。
        ニュースパーク① 
    新しいニュースパークへ

その約2時間後、新しくなったニュースパークを見て回る。想像以上の見事なリニューアルで、至るところに遊びと工夫と仕掛けがあり、子どもでも大人でも楽しみながら「新聞って何?」を知ることができる。ここに一日いたら、日本の過去・現在・未来の一端をつかまえることができるかもしれない。たまにはポケモンよりニュースパークへ。その後に気が向いたら中華街へ。

本日の大金言。

たとえ明日世界が終るとしても、私はチャーハンを食べ続けるだろう。なんてね。


               同発別館12 

老舗中華料理店の大月餅

「和菓子ばかりじゃなく、たまには月餅を取り上げてよ」
月餅好きの村民2号が、草餅を頬張りながら、提案してきた。「げっぺい」にはいささか思い出もある。
「そうか、月餅はこれまで取り上げたことなかったな。中華菓子のキングを忘れていたよ」

エンタメ新聞社時代、中興の祖HI社長行きつけの一つが東京・新橋の老舗中華料理店「新橋亭(しんきょうてい)」だった。ここの月餅(げっぺい)が美味かったことを思い出した。安くないのが難点だが、新橋に寄ったついでに、お土産に「栗子」と「豆沙」(2個入り 税込み1188円)を買い求めることにした。今回取り上げることにしたのは、ここの重量級月餅である。
         新橋亭① 
         新橋亭新館
         新橋亭②  
         人気の月餅

新橋亭は昭和21年(1950年)創業。政財界のファンも多い。あの中華宮廷料理の最高峰「満漢全席」を食べれる店としても知られている。今では新館や虎ノ門店、玉川店と首都圏に4店舗を構えている。

たまたま上海・台湾旅行から帰国した友人からもらった「凍頂烏龍茶(とうちょううーろんちゃ)」があったので、これを淹れて優雅なティータイムとなった。
         新橋亭④ 
         揃い踏み

「栗子(くりこ)」と「豆沙(とうさ)」は数種類ある月餅の中でも、同店では人気商品。村長は蓮の実やナツメなどがたっぷり入った月餅が好きだが、日本の餡に近いこの二つを並べ、まずは「栗子」から賞味となった。
         新橋亭⑥ 
      栗子に包丁を入れる
         新橋亭4 
         デカい

大きさは幅約8センチ、厚さは3センチ強。重さは172グラムほどあった。手で持つと、ズシリと重い。日本のまんじゅうの皮とは違って、小麦にラードや菜種油、ハチミツを加えてそれをオーブンで焼いているので、皮の手ざわり感はクッキーをしっとりさせたよう。油感がにじみ出ている。模様の入った表面には卵黄が塗られていて、その鈍いテカりが本物感をかもし出しいている。
         新橋亭⑦ 
         栗あんの絶妙
         新橋亭⑧ 
         たまりまへん

普通の月餅より大きい大月餅なので、一つを4~6等分して食べるとちょうどいい。包丁で切ると、見事な栗あんが現れた。よく見ると、栗の粒つぶが混じっている。ガブリと行くと、栗の風味と独特のねっとり感が伝わってくる。水飴も加えているようだが、思ったほど甘くない。

次に「豆沙」。こちらは重さが176グラムあり、「栗子」よりほんの少し重い。豆沙とはこしあんと考えていい。だが、餡には黒糖、ラード、くるみなどが入っていて、日本のこしあんとはかなり違う。あんは真っ黒で、ほどよい固さと風味。くるみが点々と練り込まれている。こちらも思ったほどは甘くない。控えめな甘さで、かすかに醤油のような香りもした。ゴマの風味も。
         新橋亭6 
     こちらは豆沙(こしあん)
         新橋亭10 
         黒あんにくるみ
         新橋亭7 
         独特の風味

栗子の方が好きだわ。日本の栗饅頭よりもどっしりした油感があるけど、とっても美味い。美味過ぎてカロリーが気になるわ」

「確かに栗子の方が好みかな。日本人の舌に合うと思うよ。豆沙も悪くないけど、あんこはやっぱり日本の方が洗練されているよ」

「三鷹時代に月餅に凝って、よく食べたわね。でも、体重が3~4キロも増えちゃって、調べたら、月餅のカロリーがお菓子の中で一番あるとわかったのよね。それで、すったもんだしたあげく、月餅禁止令を出したのよね。あの頃は体の線を気にしていたから(笑)」

「今回はそれ以来の本格的月餅だな。もう体の線を気にしていないってことかな」

「今は体の線より、財布の方が気になるわ。村長の稼ぎも悪いし。だから、今回は例外」

「彼女も昔の彼女ならず、って?」

「その言葉、そっくりお返しするわ」


「・・・・・・」

本日の大金言。

月餅はその名でわかるように、中国では中秋節に食べる伝統菓子だが、贈答用としても重宝されているようだ。日本では中秋の名月に食べるのは月見だんご。お菓子だけみても、日本と中国はかなり違う。あんこのルーツも中国にあるが、日本では独自の世界へと変換する。羊羹などはその典型例だが、羊羹についてはいずれ詳しく書きたい。



                新橋亭12 





卵料理専門カフェのオムライス

リオ五輪も今日でお終い。美人アスリートをもう見れないと思うとちょっとさびしい。で、今回取り上げるのはオムライス、である。

料理界の美人アスリートと言えば、村長の脳裏に真っ先に浮かぶのがオムライス! ナイスバディなオムライスは見ているだけで幸せな気分になる。で、以前から目を付けていたとある卵料理専門カフェへとポンコツ車を飛ばすことにした。イケイケ、オムライス。金メダルは近い?
        たまごカフェ 
        たまごカフェ

国道122号線沿い、埼玉・蓮田市閏戸(うるいど)交差点を超えたあたりに「たまごカフェ」の看板が見えた。閏戸という地名もどこかエロティックでポエム。考えすぎかもしれない。3.11のほぼ一年後、2012年3月に「卵料理専門カフェ」としてオープン、それからやく4年以上経ち、知る人ぞ知る、埼玉でも指折りのオムライスの隠れ名店になった。

B級グルメシンジケートの間ではすでにオムライス部門ではいい位置に付けている。100メートルハードル、オーストラリア代表のミシェル・ジェネクのような魅力的なオムライスを出してくれると言ったら、わかりやすいだろう(返ってわかりにくいよ)。
        たまごカフェ① 
      オムライスのお出迎え

ログハウスのような一軒家。入り口にはオムライスの写真があり、入るとウッディーなインテリアで、1階と2階がある。左奥が厨房で、オーナーシェフが一人でフライパン3~4個を見事な手つきで操っていた。期待が高まる。1階は一杯だったので、2階へ。テーブルが5つほど。ゆったりとした山荘風の造りが悪くない。
        たまごカフェ③ 
        ランチメニュー

ランチメニュー(オムライス)の中から「茄子ときのこのハヤシソース」(税込み880円、ミニサラダ・飲み物付き)を選んだ。村民2号も同じものを頼んだ。メニューには5種類ほどのオムライスの他に親子丼などもある。
        たまごカフェ2 
        まずはミニサラダ

10分ほどの待ち時間で、まずはミニサラダが登場。続いて、「茄子ときのこのハヤシソース」がやってきた。ひと目で豊満なボディーに目が吸い込まれた。デミグラスソースがいい匂いを放ちながら両側にたっぷりとかかり、茄子とシメジなどきのこが惜しげもなくその身をさらけ出していた。生クリーム(サワークリーム?)も少々かかっている。いい景色。
        たまごカフェ⑤ 
        見事オムライス
        たまごカフェ⑥ 
        幸せな気分

オムライス本体の卵の色の黄色みと見事なボディー。フツーのオムライスの1.5倍くらいありそう。アレックス・モーガンかミシェル・ジェネクが村長の頭をよぎった。村民2号も「すごいわねえ。ケチャップではなくデミグラスソースというのが私の好み」。
        たまごカフェ⑦ 
     デミグラスソースときのこ
        たまごカフェ⑧  
      この瞬間がたまらない

これがかなりのレベルのオムライスだった。卵は外側はきれいに火が通っていて、内側がふわふわだった。絶妙な職人芸。中のケチャップライスもしっかりと火が通っていて、パラパラ感が十分にある。具は少量の玉ネギ、ハム、マッシュルーム。チキンはない。グリーンピースもない。グリーンピース好きの村長にとっては少々残念だが、ボリュームと美味さは村長がこれまで食べたオムライスの名店と比べても引けを取らない。
        たまごカフェ10 
        卵の焼き加減

デミグラスソースが本格的ね。多分フォン(だし)から作っているんじゃないかしら」
「卵と米は青森の農場から直接仕入れているそうだよ。こだわりの卵で、黄身姫というブランドだって。さっきトイレに立った時に、店主に確認したよ」
「素早い。黄身姫って、私のことみたい。ここ気に入ったわ」
        たまごカフェ⑨ 
        ケチャップライス
        たまごカフェ4 
        火の通り方

食後、飲み物(村長は紅茶、村民2号はブレンドコーヒー)が来た。紅茶はしっかりとポットに入っていて2杯分ほどあり、好感。いいオムライスの店を見つけた気分。
        たまごカフェ13 
        食後の紅茶

ここは金メダルかな? この値段でこの満足感。銅メダルは行くと思うよ」と村長。

「甘いわねえ。唯一、トイレがイマイチ。ペーパータオルが切れていたわ。それがなかったら、メダルを上げてもよかったけど」

「たまたま切れていたんじゃないの? 銅メダルくらいはあげたいよ

「もう一度来て、別のオムライスを食べてからにしましょ。親子丼も食べてみたいわ」

「東京オリンピックの時にまた来よう」

「村長が生きていれば、ね」

「・・・・・」

本日の大金言。

オムライスの元祖は東京・銀座「煉瓦亭」と言われている。だが、諸説ある。幕末から明治にかけて横浜などの外国人居留地区でそれらしきメニューを出していたという説もある。現在のケチャップライスを卵で包む形は、大阪の「北極星」が大正末に初めてメニューに出したという説もある。オムライスの奥は意外と深い。



               たまごカフェ12 



路地裏で見つけた驚きのパン屋

 下町歩きには思わぬ発見がある。江戸での雑務を終え、いつものように東京・北千住の迷路を散策中のこと。予期せぬ場所で、いいパン屋に出会った。

看板も出ていない、パリの路地裏にあるような小さなパン屋で、そこで買い求めたバケットとあんぱんが「宝石」だった。人生にはたまにいいことがある。これだから道草はやめられない。

夕暮れ時の北千住。ぎっくり腰をなだめながら、いつもの西口ではなく、東口で降り、学園通りを抜け、知る人ぞ知るディープな柳原商店街へ足を延ばすことにした。稲荷寿司の名店「松むら」がたまたま休みだったので、いつもと違うコースに入った。昭和がそのまま残る迷路のような路地を歩く。これが楽しい。
        sigepannhausu.jpg 
    目立たない、まさかの場所

すると、オレンジ色のそこだけモダンな外観の店が見えた。子ども連れの近所の主婦が立ち話をしていた。どうやらパン屋のようで、ガラス張りの向こうには棚に置かれたパンが見えた。なぜか店の看板がない。好奇心がむくむく。

店の前で立ち話中の主婦に「看板がないって珍しい。ここのパンは美味いですかね」と聞いてみた。主婦は一瞬怪げんな顔をしたが、下町の気さくさで「ここは美味いですよ。いいパン作ってますよ」と白い歯を見せた。当たりの予感。
        しげぱんはうす② 
        パン職人がいる
        しげぱんはうす④ 
        パリの路地裏?

それが「しげぱんはうす」だった。3人も入れば一杯になりそうな狭い売り場には、ラウンドパンや食パン、フランスパン、惣菜パンが並んでいた。いずれも本格的なパンで、香ばしい匂いが充満していた。パン製造スペースがすぐ奥にあり、まだ若い店主(多分30代)が一人、小麦粉まみれのような顔で、仕込みにかかっていた。
        しげぱんはうす⑤ 
        バケットの誘惑
        しげぱんはうす⑥ 
        あんぱんの誘惑

何を買おうか迷ったが、いい焼き色の「バケット」(1本税込み220円)と「あんぱん」(こしあん、同130円)を買い求めた。どうして看板がないのか、聞いてみると、「あっ、そこにありますよ」と店内の隅を指さした。「看板出すのを忘れてました」。ジョークなのか、不思議なパン屋としか言いようがない。
        しげぱんはうす③ 
      こんなところに看板が

店は2013年7月にオープン。横浜で修業をしてここでパン屋を開いたそう。実家が北千住にあり、別の場所でパン屋を営んでいるという。ここにたどり着くまで村長は回り道をしたが、フツーに来れば学園通り(旭町商店街)をちょいと脇に入った場所にある。目立たない場所であることに変わりはない。

ウマズイめんくい村に持ち帰って、翌日の朝食で賞味となった。これが素晴らしい朝となった。太めのバケットは持った瞬間、ほどよい重みがあり、パン切りナイフで切ると、弾力と密度が並みのバケットとは違った。買ってから半日以上経っていたので表面のパリパリ感はやや薄れていたが、口に入れた途端、ほのかな塩気と小麦粉のいい風味が広がった。焼き色、ボリューム感、質感、食感ともに上質。むしろソフトフランスのようなもっちり感で、ハード系が好みの人には合わないかもしれないが、村長にはドンピシャ。
        しげぱんはうす① 
        さあ、朝めしタイム!
        しげぱんはうす③ 
      隠れたバケットの実力
        しげぱんはうす⑨  
        この存在感
        しげぱんはうす⑥ 
        まずはマーガリン
        しげぱんはうす⑦ 
     ソルダムジャムを塗って
        しげぱんはうす⑧ 
      ブルーベリージャムも

調べてみたら、フランスパンの小麦は無漂白の北海道産を使い、手間ひまのかかる低温長時間発酵でパン作りをしていることがわかった。220円という価格が信じられない。下町のパン職人の矜持だと思う。マーガリン、村民2号手作りの特製ソルダムジャム、ブルーベリージャムを取っかえ引っかえしながら付けて食べる。いい店を発見した感動が胃袋の奥から、じわりと湧き起こってきた。
        しげぱんはうす11 
        あんぱんの実力
        しげぱんはうす12 
        しばし見とれる

あんぱんも特筆もの。粒あんが売り切れていたので、こしあんだけを買ってきたが、パン生地の薄さと柔らかさ、その見事な焼き色とテカリ。パンナイフで切ると、ぎっしりと詰まった過剰気味のこしあんが顔を出した。あんこ好きにはたまらない世界(苦手な人には猫に小判だが)。控えめな甘さで、上質のあんこだとわかった。パン生地は多分酒種発酵で、風味がとてもいい。こしあんは自家製ではなく、あんこ屋から仕入れているそう。それでも、久しぶりに隠れたいい店を発見した喜びは変わらない。コレダカラミチクサハヤメラレナイ。

本日の大金言。

いい店は隠れている。それを見つける喜び。表通りより裏通り、テレビなどのメディアより、まずは自分の足で探してみる。足の先にだって舌がある。ホント、です。



            しげぱんはうす2 

フレンチ風「昔懐かしカレー」に感動

犬も歩けば思わぬ美味に当たる。今回はお盆休みに見つけた、一軒家木造レストランのカレーライスを取り上げようと思う。

お墓参りを兼ねて、ゴッドマザーの住む群馬・桐生市へポンコツ車を走らせた。その途中、村民2号が鼻歌混じりに「ランチはカレーはどう? すごくいい店があるのよ。このところ元気のないゴッドマザーにも食べさせたいのよ」とのたまった。鼻歌が半音ズレテいる。こういう時は逆らってはいけない。
         カレーすずき 
       アートな看板が見えた

それが桐生市のお隣り、みどり市大間々にある「カレー風味 すずき」だった。村長に内緒で先日、食通の友人と来たらしい。そばかうどんを考えていた村長だったが、軌道修正。お盆にカレーとは微妙だが・・・案外イケてるかも? それが大当たり、だった。

県道沿いにコンクリートのシャレた看板が見えた。「カレー風味」の文字が気になる。カレーではなくカレー風味って何だ? 樹木に囲まれた一軒家の隠れ家のような店で、お盆のせいか、店の外には4~5人、中にも数組が待っているようだった。
         カレーすずき① 
         かなりの待ち時間

結局30分ほど待たされ、ようやくウッディーな店内へ。そこでもさらに30分ほど待たされる。カレー屋というより、どこか軽井沢当たりのフレンチレストランのよう。ロッジ風の天井は高く、天井扇がゆったりと回っている。三角形の大きなテーブル席、その奥にはテーブル席がいくつか、さらに窓からは中庭が見え、きれいな樹木と柔らかな光が差し込んでいた。落ち着く雰囲気のせいか、お客の回転率は相当悪そう。待たされるはずだよ。
         すずき  
         待たされるはず、だよ
      
奥が厨房になっていて、3人のシェフの姿が見えた。キビキビしていて、職人の気配が漂っている。うむ。店は昭和63年(1988年)創業。カレー風味としたのはカレーを使ったフレンチスタイルのレストランを目指したからだそう。ただのカレー屋ではないことが見て取れた。
         カレーすずき④ 
      カレーのメニュー(一部)

メニューの中から、村長は一番安い「昔風の懐かしいカレー」(税別600円)を頼むことにした。カレーだけで30種近くある。村民2号は「ナスとひき肉のカレー」(同750円)、ゴッドマザーはなんと「牛肉のカレー」(同950円)を頼んだ。おおっ。「カレーはやっぱり牛肉に限るよ」ゴッドマザーは涼しい顔。辛さが普通、辛口、極辛と3種類から選べる。全員が「普通」を選んだ。「普通が一番」藤沢周平の言葉が頭をよぎる。
         カレーすずき⑤ 
       まずはサラダが登場
         カレーすずき⑧ 
         昔風懐かしいカレー
         カレーすずき⑥  
         秀逸な福神漬け

まずはサラダが登場。すべてのカレーにサラダが付いていて、自家製ドレッシングが美味。7~8分ほどで、「昔風の懐かしいカレー」がやってきた。白い大きな磁器皿に多めのライスとたっぷりのカレー。ひと目でスグレモノとわかった。

昔風懐かし、と来たので、てっきりジャガイモでも入っているのかと思ったが、いい匂いを放つルーは飴色のタマネギとサイコロ切りの豚肉が見えるだけ。豚肉の量が600円とは思えない量。じっくりと煮込まれているのが見て取れた。コーンも少々乗っているが、これは余分な配慮で不要だと思う。
         カレーすずき12 
         豚角がゴロゴロ

スプーンですくって口に入れた途端、やや甘めの、奥深い旨味がじんわりと広がった。どろりとした茶褐色のルーは、フォンからしっかり作っているようで、旨みがひと味違う。ひょっとして、じゃがいもや生姜など数種類のすりおろされた野菜や何かが隠し味として潜んでいると思う。添加物などはおそらく使っていない。それ故だろう、何とも言えない旨味の自然な余韻がとてもいい。
         カレーすずき⑨ 
         職人の煮込み方
         カレーすずき11 
         タマネギの絶妙
         カレーすずき10 
     これだけでも食が進む

ライスはやや固めに炊かれていて、柔らかな豚肉とタマネギのルーとよく合っている。特筆したいのはそれだけではない。自家製のやや薄味の福神漬けが実に美味い。これだけでライスを食べてもいくらでも食べれそう。 

待ち時間以外はすべて予想以上の上質。村民2号もゴッドマザーも中庭の緑を楽しみながら満足そうに微笑んだ。歯に肉が付いている。女性スタッフを呼んで、デザートとコーヒーを頼もうとしたら、「すいません、もう売り切れました」。「今度はデザートを食べに来なくっちゃ」全員が同じセリフを吐いた。いい店、見っけ。

本日の大金言。

田舎でいいレストランや料理屋を見つけるとうれしくなる。期待していなかった分、喜びも倍加するのかもしれない。それ以上に、いい料理人、いいコックが多分、全国意外な場所に隠れていることがうれしい。志しのある店を探す楽しみもまた。
 


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初体験「台湾マンゴーかき氷」の驚き

 リオ五輪に甲子園。テレビの前に釘づけの日々だが、ヒートアップする頭を少し冷やしたい。で、今回ご紹介するのは台湾の天然マンゴーかき氷。かき氷好きの村長だが、これまで「台湾かき氷」には近づかなかった。なぜか?

清少納言の枕草子にも登場するかき氷。いわば日本の伝統氷菓子である。台湾のかき氷はおそらく、日本統治時代に誕生したものと思われる。それ故、どこかでまがい物、というイメージを持っていたと思う。さらにメディアでブームとして取り上げられるたびに、へそ曲がりの虫がむくむくと起き上がり、「ルビー・モレノやシジミの醤油漬けは好きだけど、そんなもん、ケッ」と背を向け、日本の美味しいかき氷探しに奔走していた。何という傲慢(ごうまん)、何という無知。

東京・秋葉原に行ったついでに、今年のGWにオープンした、あの「マンゴーチャチャ」のアキバ店を覗いてみることにした。「マンゴーチャチャ」は台北で「アイスモンスター(冰館)に次ぐ人気店で、一昨年2014年4月に日本初上陸、東京・原宿で産声を上げた。その後、有楽町イトシアに2号店ができ、そして、ついにオタクのメッカ・アキバに3店目が誕生した。
          マンゴーチャチャ3 
          国籍不明の入り口

中国通の友人からその存在を聞き、「一度食べてみるといいよ。マンゴーの美味さに驚くよ」とすすめられてもいた。アキバ店は「マンゴーテラス カフェ&ダイニング」という店名で、かき氷だけでなく、カフェレストランとして、夜はワインやビール、料理も出している。「マンゴーチャチャ」の新しい展開でもある。

午後1時過ぎ、ようやくたどり着く。AKB劇場の並びの小さなビルの6階にあった。炎天下、AKB劇場の入り口にはアキバ人種がわらわらとたむろしていたのに、モダンな店内には客がほとんどいなかった。立地条件がよくないのでは、というのが最初の感想。メイドカフェに負けない可愛らしい女性スタッフが3人ほど。
          マンゴーチャチャ 
       あれっ、客が少ない
          マンゴーチャチャ① 
          マンゴーかき氷メニュー

スイーツのメニューから「モテキ」(税込み920円)を頼むことにした。マンゴーかき氷には3種類あり、「元カノ」(同1280円)などというおかしなネーミングもある。「元カノ」は別れた彼女との思い出を楽しく思い出させるほどおいしい、という意味だとか。遊び心もある。

「じゃあ、モテキってどういう意味?」
「これを食べるとモテキ(モテる時期?)が来るんですよ」
「へえ~、それはうれしいなあ。自民党のモテキと関係なくてよかった(笑)」
などと別の女性スタッフと意味不明なやりとりしていると、その「モテキ」がやって来た。
          マンゴーチャチャ② 
          絶景のモテキ
          マンゴーチャチャ③ 
        オムライスではありません
          マンゴーチャチャ⑨ 
          これが削り機?
          マンゴーチャチャ⑧ 
          後ろから失礼

白い三日月形の磁器皿の中央にマンゴーかき氷が山となっていた。日本のかき氷とは違って、白い部分がまったくない。きめ細やかさが見て取れる。頂上にはちょこんとハートのマシュマロ。左のふもとには角切りされたマンゴーそのものがどっさり。最高ランクの天然マンゴーだそう。さらに右手にはマンゴーアイスクリーム。初めて見るマンゴーの満艦飾。うーむ。しばしニラメッコ。
          マンゴーチャチャ④ 
          このきめ細やかさ
          マンゴーチャチャ⑤ 
          た、たまらん

かき氷は日本の「雪ノ下」のかき氷と同じ製法のようで、マンゴーそのもののジュース(練乳も入っている?)を削っている。そのあまりのきめ細やかさとマンゴーそのものの濃厚な風味に驚かされた。とろりとしたマンゴーの酸味とそれを上回る甘み。歯に滲みるとか、頭がキーンとするかき氷とはレベルが違う。まったく新しい氷菓子だと思う。
          マンゴーチャチャ⑥ 
          うむむ天然マンゴー
          マンゴーチャチャ⑦ 
       マンゴーアイスクリーム

角切りの天然マンゴーはシロップ漬けしているのでは、と思うくらいの密度。さらにマンゴーアイスクリームのジェラートのような上質の美味さ。これまで「台湾かき氷」に抱いていた格下扱いがあっという間に崩れ去っていた。これは天国に近い味ではないか? 桃源郷とはひょっとして台湾マンゴーかき氷のことを差しているのではないだろうか。ルビー・モレノ、シジミの醤油漬け、マンゴーかき氷・・・。

たとえ台湾かき氷のルーツが日本にあったとしても、台湾の変換能力の高さに素直に脱帽することにした。中国通の友人にも感謝せねばなるまい。1000円以下というのも好感。「台湾かき氷、恐るべし」という他はない。ところで、ビビアン・スーはどうしているんだろう?

本日の大金言。

かき氷の新しい店が続々誕生しているが、値段の高さも目に付く。せめてラーメン一杯の料金程度に抑えてほしい。地方にはそうした名店がまだまだ残っているのだから。




                  マンゴーチャチャ10 





「江戸グルメたまふわ」の味

本日ご紹介するのは珍しい「たまふわカレーそば」である。江戸時代のもてなし料理「たまごふわふわ汁」を再現してアレンジしたもの。江戸人がかなりのグルメだったという証しのような料理、である。

「最近よく江戸時代のことを書いてますが、たまごふわふわ料理をご存じでしょうか? 江戸時代に発行された本にも載っている料理です。メレンゲみたいな卵料理で、これを再現アレンジして、メニューに出している店があるのです。自慢のポンコツ車を走らせてみては如何でしょう。源泉掛け流しの温泉付きですよ、うふふ」

夏バテ気味の村長の下に、最近知り合いになった埼玉ウーマンからかようなメールが入った。最後のうふふ、が気になる。その後に、店名と所在地が書いてあった。それが「杉戸天然温泉 雅楽の湯(うたのゆ)」の中にある「お食事処 みやび」だった。リオ五輪の合間を縫って、天然温泉に浸かってから、たまふわ料理を食べるのも案外オツかもしれない。サッカーが一次リーグを突破できなかったショックも癒せる・・・むふふ。
          雅楽の湯 
        天然温泉と江戸の味

村長は埼玉・杉戸町までポンコツ車を走らせることにした。村民2号には内緒。国道4号線(旧日光街道)を少し入ったところに「杉戸天然温泉 雅楽の湯」の表記が見えた。杉戸はかつて日光街道杉戸宿のあった場所。そこで「たまふわ」が出されていたそう。「雅楽の湯」は源泉掛け流しの温泉施設で、2012年にオープンしている。この中にある「食事処みやび」が、今年の1月から「たまふわカレーうどん」をメニューに出している、ようだ。そう遠くないところには東武動物公園もある。
          雅楽の湯① 
          たまの極楽も悪くない
          お食事処みやび 
          お食事処みやび

ゆったりと源泉掛け流しに浸かってから(1050円=タオル・バスタオル・浴衣付き)、「お食事処みやび」へ。生ビールをきゅっと飲みたいところだが、クルマなので、ここは我慢がまん・・・。メニューを見て、「たまふわ杉農カレーうどん」(税込み850円)を頼むことにした。杉戸宿400年記念事業の一環として、杉戸農業高校の生徒が発案して再現したそう。だが、たまごふわふわ料理はこの一品だけ。
          食事処みやび① 
          江戸の卵料理?

「たまごふわふわ汁」は旧東海道・袋井宿でも出されていたようで、そちらでも再現されて人気を呼んでいるようだ。こちら平成28年の杉戸宿は「たまふわカレーうどん」。「うどんがお嫌でしたら、そばでもオーケーです。そばは十割そばです」との一言で、「では、そばで」に変更した。

これが想像よりも美味かった。ご飯と漬け物、サラダ、デザートも付いていた。「たまふわ」は、卵の白身をかき混ぜてメレンゲ状にし、それに黄身を加えたものを鍋で煮立てた出汁のなかに入れ、火を止め、ふたを閉じる。すると、ふわふわの「たまふわ」になるそう。それがカレーそばの上に覆うように乗っていた。湯気がゆらゆら立っている。初めて見る景色・・・ポエム。
          食事処みやび② 
          850円なり
          食事処みやび④ 
          たまふわ
          食事処みやび⑤ 
          江戸にタイムスリップ

そのフワフワをレンゲですくって、口中へ運ぶ。まろやかなカレー汁との相性は絶妙で、出汁も効いている。丸い煮卵のようなものが3個ほど隠れていた。よく見ると、海老天だった。その下のそばへと箸が向かう。十割そばとどろりとした本格的なカレー汁(そば屋のカレーうどん風)との相性はどうか? 
          食事処みやび⑥ 
          何だこれは?
          食事処みやび⑧ 
        十割そばとの相性は?
          食事処みやび⑨ 
      カレー汁との相性は?

そばは細切り(多分機械打ち)で、相性は微妙だと思う。カレー汁を吸って柔らかくなるのが早い。カレーの濃厚な味に十割そばの風味が消されている。ここはやはりうどんにした方がよかったかもしれない、と少し反省。カレーは見た目ほど辛くない。海老天の他に鶏肉も4、5片潜んでいていいアクセントになっている。やや固めのご飯もサラダもデザートもまずまずの旨さ。全体の印象として、これで850円はそう高くはないと思う。

とはいえ、せめて出汁醤油ベースの「たまふわ汁」くらいはメニューに加えてほしい。江戸の昔を思うにはシンプルが一番で、それこそが江戸人の舌の肥え具合がわかると思うからだ。埼玉ウーマンの「うふふ」はそういう含みだったのかも。弥次喜多のような、ほのかな恋心(助平心?)は「たまふわ」と消えて行った。

本日の大金言。

「たまごふわふわ」は寛永20年(1643年)に発行された「料理物語」にも載っている。当時、卵は貴重な食材で、江戸のおもてなし料理として将軍家や幕末にはあの近藤勇も好物だったようだ。「東海道中膝栗毛」では弥次さん喜多さんも食べている。今年は徳川家康逝去400年で、「たまふわ料理」が脚光を浴びるかもしれない。



                 食事処みやび14 

最中の最高峰か、江戸根元「壺屋」

 「そりゃあ、本郷の壺屋の最中(もなか)にはかないまへん」
先月のこと、あーだこーだ好きの甘党が集まった飲み会の席で、京都のグルメ先生がきっぱりと言い放った。

東京・銀座の空也、奈良の白玉屋栄壽のみむろ、吉祥寺の小笹など最中(もなか)の逸品の名前が次々と出る中、かくて「本郷の壺屋」が内々の最中番付で東の横綱に君臨することとなってしまった。ずっと以前、グルメ先生に「空也の最中は別格ですね」と村長が糸電話で言い放ったところ、数日後、奈良・白玉屋栄壽のみむろ最中を送ってくれたことがある。

その美味さと値段の手ごろさに仰天、グルメ先生の無言の戒めに脱帽したことを思い出した。ちなみに「空也の最中」はエンタメ新聞社時代の大ボスが贔屓(ひいき)にしていた最中界の最高峰の一つである。「最中では空也が一番だ」と言っていたほど。
        壷屋総本店② 
        最中界の頂点?

江戸での所用の帰りに、その「壺屋の最中」を買いに本郷まで足を延ばした。地下鉄湯島駅で降り、湯島天神を左手に見ながら、春日通りを200メートルほど上っていくと、蔵造りの古い小さな建物が見えた。「創業寛永年間 江戸根元」のさり気ない文字、引戸の上には「壺屋」の看板が掲げられていた。そのあまりの地味な佇まいに、ここが江戸時代初期から400年近い歴史のある老舗とは思えない。寛永といえば三代将軍家光の時代。
        壷屋総本店③ 
        通り過ぎてしまうほど

引戸を滑らせて中に入ると、女将さんが出てきて、さらに18代目という気の遠くなるような当主が出てきた。何も言われなければ、そんなすごい人とは思えない気さくさ。本物は肩に余分な力が入っていない。最中は3種類あり、「バラでも結構ですよ」と言ってくれたので、一番小さい「壺々最中」(こしあんのみ、1個税込み110円)を3個、一番大きな「壺形最中」(こしあん190円、つぶあん200円)をそれぞれ2ずつ、合計7個買い求めた。
        壷屋総本店① 
        本物はさり気ない

ウマズイめんくい村に持ち帰って、夜遅い賞味となった。村民2号が渋茶を入れ、まずは一番小さい満月のような円形の「壺々最中」を賞味する。厚みがないので、ふた口ほどで食べれる。江戸時代からの最中はこの壷々最中。ちなみに大きな壺形最中は終戦後に作られたもの。
        壷屋① 
        バラ買いもできる
        壷屋② 
    壺々最中(下)と壺形最中2種
        壷屋④ 
        江戸からある壺々最中

口中に入れた途端、皮種のサクサク感と風味が広がった。空也の最中と同じレベルで、パリッとしているのにスーッと溶けていく。黒々としたこしあんはかなり甘めだが、絶妙としか言いようのない風味と美味さ。皮との相性が素晴らしい。
        壷屋⑤ 
        こしあんと皮の凄味

あんこの独特のねっとり感とザラっとした食感。江戸時代から同じ作り方を続けているそうで、あの勝海舟も愛した味。江戸根元のあんこの素朴の凄味。空也やみむろのあんこが洗練された美味さなら、これは野暮ったい美味さの極致とでも表現するしかない。北海道十勝産の厳選した小豆と高純度の白ザラメ、それに水飴を加えているとのこと。毎日限られた量しか作らない。その徹底した仕事ぶりがこの味を生み続けていると思う。暖簾を1センチも広げないのも職人のプライドかもしれない。
        壷屋⑦ 
        こちらは壺形こしあん
        壷屋⑧ 
        このボリューム
        壷屋⑨ 
        すき間がない

壺形最中はこしあんが白い皮種で、つぶあんが焦がし皮種。どちらもあんこがすき間なくぎっしりと詰まっていて、黒光りしている。親分のような風格。

「何だか上等な羊羹を食べているみたい。皮との相性がピッタリね。私はこしあんの方が好きかな」
        壷屋15 
        壺形つぶあん
        壷屋12 
      風味が只事ではない

「つぶあんは、さらに風味が凄い。むしろつぶしあんで、こちらもねっとりした密度の濃さが只事ではない。どこかに黒糖のような風味も感じる。京都のグルメ先生の好みはどっちなんだろう?」

「多分、つぶあんじゃないかしら。和菓子のメッカ京都にはない江戸の最中の頂点はこっちだと思うから」

「アクの強い大ボスが洗練された空也が好きで、洗練されたグルメ先生がアクの強い壺屋が好きとは面白いね。村長は両方好きだけど」

「だから村長は中途半端なのよ。何やっても」

「最中のカラになりたい・・・」

「もぬけの殻のダジャレのつもり?」

「・・・・・・」

本日の大金言。

壺屋は明治維新後、一時廃業する。鈴木越後や金沢丹後など名だたる御菓子司が徳川に殉じて、相次いで暖簾を畳んだ。壺屋も同じ思いだったようだ。だが、勝海舟の「おめえンとこの最中は江戸っ子がみんな楽しみにしている。何も徳川に殉じるこたァねえ」(という意味のことを言ったようだ)のひと言がきっかけで、店を再開した。ホントは勝海舟自身が一番食べたかった?



                 壷屋14 

タンメンの最高峰か、白湯スープの深み

これはひょっとしてタンメン界の最高峰の一つかもしれない、という店をご紹介したい。村長が食べた中でも、東京・木場「来々軒」や西荻窪「はつね」に遜色ない美味さだと思う。タンメン、恐るべしの一品。

発端はメディア界の秘密グルメ会議。大手メディアの電脳魔女が「上野・御徒町にタンメンがとってもおいしい店があるのよ。私の上司も太鼓判を押してる。メディアにもあまり載っていない店で、知ってますか?」と、村長の底の浅さを見透かすように、塩味のスライダーを胸元に投げてきた。

冷や汗が三滴ほど。「へえー、行ったことない」と答えると、その場所を丁寧に教えてくれた。こういう情報はありがたい。
        富白 
        何屋さん?

それがJR御徒町駅から秋葉原方面へ少し行った裏通りにある「富白(とみしろ)」だった。シンプルな店構えで、「富白」の店名と白いノレンが下がっただけ。言われなければ、そこがタンメンの店とは思えない。よく見ると、入り口の左にメニューがいくつか書いてある。知ってる人だけが来てくれればいい、とでも言いたそうな、シンプルな店構えが気に入った。
        富白1 
        実はタンメンの名店

店は2012年、1月にオープン。まだ4年半ほどの歴史しかないが、すでに老舗の雰囲気が漂っている。L字の白木のカウンターに8つほどの椅子。右手にはテーブル(4人用)が一つだけ。L字のカウンターの向こうが厨房で、ヒゲのオヤジ(40代くらいか)と女将さん2人で切り盛りしていた。午後2時近いためか、客は3人ほど。BGMは最近多い「いかにもの」のジャズではなく、AMラジオが流れていた。ブルースの王様「BBキング」のポスターが渋い。
        富白12 
        メニューの一部

券売機で一番人気だという「鶏ぶた塩タンメン」(税込み860円)を押した。鶏塩拉麺(ラーメン、同680円)もあり、そちらは細縮れ麺だが、タンメンは太麺なので、茹でるのに時間がかかる。浅草開花楼の特製麺を使っているようだ。

10分ほど待っていると、白いどんぶりの「鶏ぶた塩タンメン」がいい匂いとともに目の前に置かれた。中華鍋で炒められたモヤシ、人参、キャベツが柔らかい山を作っていた。テンコ盛りの秀逸。さらに角型の豚バラ炙りチャーシューが3枚。
        富白② 
        こ、これは・・・

まずは白濁したスープ。最初のひと口で、その素晴らしさがわかった。あっさりした鶏白湯スープで、すぐに柔らかく奥深い旨み。野菜の甘みが溶け込んでいる。塩がいい具合に溶け込んでいる。余分な鶏油などが浮いていない。ふた口目で、スープのレベルが、これまで村長が食べた中でもベスト5に入る美味さだと思った。さり気ない奥行きを演出しているのがわかる。
        富白2 
        スキがない構成
        富白④ 
        かすかにとろみも

浅草開花楼の太縮れ麺は、もっちり感とゴワッとした歯ごたえ。太麺好きにはたまらない素朴な食感だと思う。細縮れ麺も食べてみたくなったが、胃袋が一つしかないのが残念。
        富白⑥ 
        秀逸な太縮れ麺
        富白⑧ 
        浅草開花楼の特注麺
        富白⑤ 
        炙りチャーシュー

脂身の多い炙りチャーシューはそのままの美味さ。全体としてよく考えられた構成で、職人気質の店主の控えめなポリシーも好感。食べている最中にコップの水をこぼしてしまった。女将さんの対応が見事で、「大丈夫ですよ」と言いながら、布巾でテキパキとふき取る。ぼけ老人の気持ちが少しわかった気がした。電脳魔女に感謝するしかない。

本日の大金言。

タンメンはラーメンの影に隠れているが、上質のタンメンは上質のラーメンを超えるかもしれない。体にもいいという点も含めて、これからタンメンの時代がやってくる?



                富白10

古民家カフェの「一汁三菜」

 古民家カフェがある種のブームになっている。シバの女王から久しぶりに「おもしろい古民家カフェを見つけたわよ。みんなで行ってみない?」とお誘いのメールが入った。シバの女王の情報にハズレはない。フンドシを新しくして、ポンコツ車を走らせることにした。古民家ときたら、ここはやはり越中フンドシで行くっきゃない。

そば仙人、おけさ嬢、上州アネゴも参加、にぎやかなランチ旅行となった。埼玉の北東の果て、加須市の田園地帯の一角、油井ケ島地区にうっそうとした森が見えた。遠くに菖蒲モラージュが見える。

「あの森がそうよ。ちょっとわかりにくい場所だけど、敷地が凄く広い。築百年以上の壊れかけた繭小屋(まゆごや)を改装したカフェで、まずはその建物に驚くわよ。米も味噌も完全無農薬で、畑ではイチジクの栽培もしてるの」(シバの女王)

「そりゃあ楽しみだよ。米と味噌は日本の原点だからなあ」(村長)

「感動したら、佐渡おけさを踊っていい?」(おけさ嬢)
         くくりカフェ 
      おっ、築百年以上の古民家
         くくりカフェ① 
       昔まゆ小屋、今カフェ

田んぼの中の広い駐車場にポンコツ車を置くと、大きな古民家のある広い敷地に入った。タイムマシンで遠い、田舎の親戚の庄屋を訪ねたような気分。店名でもある「繭久里(くくり)」の木の看板が下がった玄関から上がると、そこはグラビアにでも出てきそうな別世界だった。見方によっては今どき流行の古民家カフェ。中の改装はものつくり大学の学生も手伝ったそう。あちこちにオシャレな仕掛けがある。
       

         くくりカフェ③ 
         ランチメニュー
         くくりカフェ3 
         ゆったり店内
         くくりカフェ④ 
      卵かけごはん定食もある

桐のテーブルに腰をどっかと下ろしてから、ランチメニューを見る。板敷の床が心地いい。全員が「香り豚のしょうが焼き定食」(税込み1000円)を選んだ。他にオムレツなどもある。一汁三菜の無農薬料理。10分ほどの待ち時間で料理がやって来た。
         くくりカフェ⑥ 
       香り豚のしょうが焼き定食

まずは赤だしの味噌汁。自家栽培した大豆を使った手作り味噌の風味が鼻腔をくすぐった。味付けがやや濃い。具はキャベツ、人参、玉ネギで、まずまずの素朴な旨さ。それ以上に懐かしさが立ち上がってくる。  
         くくりカフェ⑧
         赤だし味噌汁
         
くくりカフェ⑨ 
        香り豚と自家栽培野菜
   
メーンの「香り豚のしょうが焼き」へと箸が向かう。香り豚とは加須のブランド豚で、きれいな脂身と柔らかな肉質が特長。そのバラ肉のしょうが焼きは大きなスライス切りが三枚ほど。玉ネギと一緒に炒められていて、そのためか味付けがかなり甘め。肉の旨みは確かにひと味違う。きれいな脂身も好感。だが、村長には甘すぎる。
         くくりカフェ10 
         脂身もイケる

売り物の一つ、炊き立てのご飯は、見るからにツヤがあり、真珠のようにも見えるほど。「漢方農法」(漢方薬を米作りに使用)で作った自家栽培のコシヒカリで、噛んだ瞬間、ふくよかな旨味と甘みが口中に広がるのがわかった。柔らかめだが、上質な無農薬米だとわかった。
         くくりカフェ⑦  
      炊きたて漢方農法米

ご飯の量など女性客を意識しているのか、ボリュームがやや物足りない。お代わり自由(二杯までとか)にしてほしいところ。野菜サラダやモロヘイヤのピリ辛煮、タクワンなど漬け物など脇役陣も悪くない。

細かい部分に改善の余地はあるが、今年5月末にオープンしたばかりだそうで、それを勘案すると、これからどんどんよくなっていくと思う。建物の雰囲気を含めて、埼玉でも有数の古民家カフェになる可能性は十分ある。

おけさ嬢がいつの間にか踊り始めていた。ありゃりゃ。村長も立ち上がる。繭小屋が民謡酒場になるのは時間の問題だった。

本日の大金言。

古民家カフェもサバイバル時代に入っていると思う。他とは違う何かをどう打ち出して行けるか。それが生き残りのカギとなる。


                 くくりカフェ12

ン? 北千住の不思議なまぜそば

 東京・日本橋での打ち合わせが長引き、北千住で途中下車したのは午後8時を過ぎていた。暑さと疲れで全身ポンコツ状態。自然と「牛骨らぁ麺 マタドール」に足が向かった。牛骨の出汁で知る人ぞ知る店。エナジー補給が必要だ。
                                 マタドール① 
                                夜のエナジー補給?

東京電機大学の裏手の通りに、オレンジ色の看板がぼうっと見えた。目がかすんでいる。5年前の7月にオープン、あっという間に北千住のラーメン店でも指折りの人気店となった。その後、同じ東口に「みそ味専門 マタドール」を出し、こちらも成功している。

昼どきは行列だが、時間が時間なのか、8席ほどしかないカウンター席に客は2人しかいない。券売機を見ると、「本日はまぜそば専門」。あれれ。月曜日は定番のメニューは止め、まぜそば5種類のメニューしかない。まぜそば醤油、まぜそば塩、まぜそば味噌、タイまぜそば、スパイシー&ハニーの5種類。メニューもどこかラテンのノリ。
                                  マタドール④ 
       本日は「まぜそば専門」

軌道修正。まぜそばも嫌いではないので、「まぜそば醤油」(税込み850円)を頼んだ。マタドールでは初めてのまぜそば。7~8分ほどで、まぜそば醤油が目の前に置かれた。スープ付き。かすんでいた目が点になった。
                                マタドール⑤ 
         こ、これは・・・
                                マタドール⑥  
         上空より

大きな白いどんぶりに、大きな春菊、刻みネギ、刻み玉ネギ、万能ねぎ、それに薄切りの牛バラ肉が乗っていた。中央には賽の目切りの白と黄色の何かがドカッと乗っていた。底には醤油ダレが潜んでいる。春菊が乗ったまぜそばというのは初めて。春菊が苦手な村長の脳裏に嫌な予感が漂った。ミスマッチではないか?
                                 マタドール⑦ 
         ポエムか?

 「まん中の白と黄色は何?」
「半熟の煮卵ですよ。サイコロ状で面白いでしょ? このまぜそばはすき焼きをイメージして作ったんですよ」
「すき焼き? ポエムと言えなくもないな」
「かき混ぜてから食べてみてくださいよ」

店主はヘンの字のつくアイデアマンのようで、「スパイシー&ハニー」も気になる。マタドール(闘牛士)という店名も漢字全盛のラーメン業界ではユニークではある。闘牛は客ということになる?
                                 マタドール⑧ 
         当たりか?
                                 マタドール⑨  
         極太麵

言われたとおりに混ぜ混ぜ。麺がエッジの立った黄色みの強い極太縮れ麺で、それがテカリを帯びてきた。堂々としたもっちり感。多分全粒粉が入っているのだろう、小麦の風味も十分。醤油ベースのタレが思っていたよりも甘く、脂のこってり感もかなりある。半熟の煮卵と薄切り牛肉、それに刻みネギなどの薬味が混然となって、極太麵にしがみついてくるよう。うむむ。
                                   
                                 マタドール10 
         混ぜ混ぜ
                                 マタドール11 
         すき焼き?

「ホント、これはすき焼きの味だね。意外にイケるよ。こんなの初めてだよ。でも、脂がちょっと多いかな。ラード?」
「残念でした。タレは和風で、鰹と昆布です。すき焼きですからね」
  
ボリュームがかなりあり、「麺は240グラムありますからね。二郎と同じ三河屋製麺の特注麵ですよ」と店主。ラードを使っていないとは思えないが、苦手のはずの春菊がいいアクセントになっていることに気づいた。

きれいに食べ終えると、甘い余韻が口中に残った。もう少し甘さ(砂糖)を抑えてくれたら、半年に一度はエナジー補給に来たいと思った。次はアルコール補給せねば・・・二軒目はどこにしようかな。

本日の大金言。

ラーメン界はもはや何でもありの坩堝(るつぼ)状態だが、ベースがしっかりしているかどうかが成功への鍵となる。マタドールにはそれがあると思う。



                                                          マタドール13 



あの雪ノ下で「京都宇治抹茶水」

週末、 花のお江戸で修業中のキオが久しぶりにウマズイめんくい村に帰ってきた。

「佐野プレミアムアウトレットに行かない? ボーナスが出たの。バッグがボロボロになったから、買い換えたい」
とのたまった。すっかりレディーになっていた。村民2号も「いい提案ね。私も買い換えたいわ」と話しに乗ってきた。

泣く子と連合軍には勝てない。炎天下、ポンコツ車を走らせる。午前10時半に到着。二人が村長そっちのけで、スキップしながらショッピングに出かけた。シメシメ。鬼の居ぬ間に命の洗濯・・・。立ってるだけで、汗が噴き出すほどの暑さ。それが気にならない。むふむふ。
         雪ノ下  
         ついに「雪ノ下」へ

ここについ先月、あの「パンケーキとかき氷」で知られる「雪ノ下」がオープンしていることを密かにリサーチしていたからである。「雪ノ下」には軽い因縁がある。2年前のこと、京都本店で行列ができているかき氷を賞味しようと、三条油小路まで足を運んだ。だが、臨時休業だった。木造の京町家の店舗前で呆然と天を仰ぐしかなかった。雪ノ下ではなく、空ノ下・・・。

その「雪ノ下」がFCチェーン展開を始め、東京・銀座や池袋にも看板を出し、そして、まさかの佐野プレミアムアウトレット店のオープン。時間が早かったせいか、白を基調にしたオシャレでモダンな店内は混んでいたが、行列はなかった。
         雪ノ下2 
         シンプルな店内
         雪ノ下③ 
         これは定番の一つ

メニューを見て、人気の「白桃水」にも惹かれたが、あんこ好きとしては、ここは渋く「京都宇治抹茶水」(750円=税別)を頼むことにした。これが想像を超えるかき氷だった。
         雪ノ下1 
         おおおの世界

待ち時間は7~8分ほど。白磁の器に暗緑の山。かき氷には見えない。氷の白い部分が1ミリもない。茶道の濃茶そのものが塊のように山を築いていた。頂点にはいい色のあんこと黒豆が3粒ほど。村長がこれまで食べた宇治抹茶とはまるで違う。

スプーンでまずはひと口。濃厚な抹茶の風味がそのままストレートに口中に広がった。凝縮した濃茶をそのまま凍らせ、削ったものを食べているような驚くべき風味。極上の苦みとかすかな甘み。余分な甘さがまったくない。シロップらしきものもかかっていない。
         雪ノ下⑥ 
         別次元の宇治抹茶
         雪ノ下10 
         ミルクの意外

だが、かなりの冷たさで、それが結構歯に滲みる。調べてみたら、「雪ノ下」のかき氷は、産地や生産者を絞り込んで、素材をそのまま凍らせてから削り下ろす独特の製法を取っているようだ。水もシロップも使わないそう。

食べ進むうちに、中から練乳の氷が現れてきた。こちらも甘さがかなり控えめ。これは意外な感動もの。
         雪ノ下11 
         甘さより風味
         雪ノ下⑨ 
         あんこと黒豆

頂上のふっくらと炊かれたあんこかなり甘さが抑えられ、それは黒豆も同じ。素材と炊き方にこだわりがあるのがわかる。確かに上質の本物感にあふれている。だが、歯の悪い人はご用心。そのフリーズしたような冷たさと抑えられた甘さが好みの別れるところ。村長はあんこの量が少ないのがやや不満。
         雪ノ下13 
         残りの時間

食べ終えると、体の底から南極が見えてくるようだった。ショッピング中のペンギン2匹は今ごろ何をしているんだろう? 長い間、幻だった「雪ノ下」とクールな時間を満喫した村長は、再び炎天下に出ていくのだった。むろん、かき氷を食べて涼んでいたことは内緒、である。

本日の大金言。

「雪ノ下」は平成24年(2012年)7月、大阪・梅田で産声を上げている。オーナーシェフでパティシエの近藤薫がレシピを作り、素材と製法にこだわった作り方で評判を呼び、2013年にチェーン展開をスタートさせている。雪ノ上作戦が成功するかどうか、注目されている。




                 雪ノ下16 

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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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