食パン専門店の食パンさま

 「食パン専門店」の存在を知ったのはつい最近。浅草ペリカンが食パン専門店に近いが、ここはロールパンも売っている(村長はここのファン)。

大阪には高級食パン専門店「乃が美があるが、美味いだろうけど高すぎる。銀座一丁目の行列店「セントルザ・ベーカリー」も安くはない。街中には安くていい食パンを作っている小さなパン屋さんも多い。そういう店を見つけたときはうれしくなる。
          一本堂 
          食パン一本

たまたま群馬・高崎市で見つけたのが「食パン専門店 一本堂」の食パンだった。食パンしか売っていない。しかも1斤ずつしっかり焼いている。軽い驚き。

「一本堂」は2013年3月、大阪・都島区で産声を上げている。偶然か、銀座の「セントルザ・ベーカリー」もこの直後にオープンしている。
          一本堂① 
        1斤ずつは珍しい

あっという間に行列店になり、その翌年には東京に進出、今では全国展開に踏み切り、東京を中心に「食パン専門店 一本堂」の看板が広がりつつある。このあたりの広げ方は好きではない。

高崎で見つけたのはその一つだったというわけ。し、知らなかった。狭い店内に入った瞬間、香ばしいパンの匂いとともにキツネ色の焼き上がった角食パンが数種類棚に並んでいた。本当に食パンだけ。しかも種類が少ない。値段がそう高くはないことに心が動いた。
          一本堂② 
          これで260円なり
          一本堂③ 
        こちらは「れーずん}

定番の「一本堂食パン(プレーン)」(1斤260円=税込み)と「れーずん」(同360円)を買い求めた。

耳までしっかりと付いていて、しかも1斤ごとに焼いているのは珍しい。翻訳家・ライターのみい子さんから数年前にいただいた燕三条のパン切りナイフで切って、試食となった。みい子さんは現在闘病中で、パンを切るときに不意に目のダムが危うくなった。

村長自家製のあんこ、村民2号手づくりのジャム(リンゴジャム、柚子(ゆず)ジャム)、それにマーガリンを用意する。
          一本堂② 
          ずっしり重い
          一本堂⑧ 
          手づくりトリオ

まずはプレーンの角食。生地のもっちり感とカナダ産小麦の風味がいい。あれこれ組み合わせを楽しむ。村長の好みはあんことマーガリンの組み合わせとリンゴジャム。どっちも食パンのきめの細かさとモチモチ感にフィットしている。
          一本堂7  
          あんことマーガリン!
          食パン試食2 
          リンゴジャム
          食パン試食3 
          柚子ジャムどす
           
「村長にしてはこんなしっかりした食パン、よく見つけたと一応ホメておくわ。この値段でこの風味と味わいはマル。トーストしたら、さらにおいしくなった。私的には柚子ジャムが一番合うと思う。香りとジャムの酸味がトーストの香ばしさともっちり感にとっても合う。反対にあんこは微妙だな」
          一本堂④  
          時間よ止まれ
          一本堂5 
          手包みのこだわり
          一本堂10 
          柚子も合う

『れーずん』が予想以上に美味い。店員さんによると、洋酒に漬けたレーズンを一つ一つ手包みしているそうだよ。パン生地もプレーンをさらに凝縮したものを使っているって言ってたけど、その通りだった。これにはマーガリンが一番合う。あえて言うと、マーガリンしか合わないと思う」
          一本堂⑨ 
          マーガリンとの相性

「このパン切りナイフでこうして食べている間にもみい子さんが苦しんでいると思うと、ちょっと切なくなるわ。柚子ジャムを持って行ってあげたいんだけど、今は無理かなァ・・・」

「奇跡が起きることを祈るしかないよ。以前、村民2号手製のマーマレードが美味かったって言ってたから、きっと喜ぶと思うよ」

「そうね。その可能性を信じて、飛び切り美味いジャムを用意しなきゃ」

本日の大金言。

美味い食パンを食べる。人はパンのみに生きるものではない、神の口から出る一つ一つの言葉によって生きる。というマタイ伝の有名な言葉がある。「神の口」はよくわからないが、一つ一つの言葉によって生きる、というのは同意したくなる。むろんパンを食べながら、だが。




                  一本堂4 

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天才シェフの「フレンチトースト」

フレンチトーストと聞くと、落ち着かなくなる。

2年ほど前、京都へグルメ先生のお見舞いに行った時に、ぶらりと入ったフランス料理屋で食べた「特製フレンチトースト」が抜群に美味かった。その甘い蜜の記憶が頭の中に残っている。

知り合いのグルメおばさんから「春日部に『究極のフレンチトースト』ってのがあるらしいわよ。凄いシェフが作ってるんだって。ポンコツ車を飛ばしてみたら?」という情報を聞いてしまった。聞いてしまったからには行かねばならない。我ながら悲しい(うれしい?)サガ。だが、フレンチトーストはハズレが多い。

料理と恋愛は食べてみなければわからない。

ちょうど春日部に用事があったので、その店「パスタ ヒロ」に立ち寄ることにした。西口「ララガーデン」3階へ。白を基調にしたガラス張りのしゃれたレストランで、入り口にはかつてイタリア料理の天才シェフと呼ばれ、料理の鉄人で陳建一を破ったこともある山田宏巳の写真と経歴が派手に飾ってあった。ヒロとは山田宏巳のようで、彼がプロデュースした店ということらしい。
          パスタヒロ4 
          天才シェフの店
          パスタヒロ② 
          ランチメニュー

山田宏巳は過去にいわくのあるシェフで、それがどん底からこうして復活したということなら、それはそれでめでたい。誰にだってどん底はある。

午前11時半という早い時間のせいか、まだ客は少なかった。感じのいい女性スタッフに「『究極のトースト』ください」と言うと、「ちょうどランチタイムですので、お得なメニューがあります」と教えられ、「フレンチトーストランチ」(自家製ハム、スープ、サラダ、ドリンク付き 税別850円)を頼むことにした。最後の言葉に期待感が高まった。
          パスタヒロ③ 
          これこれ

「手づくりなので、出来上がるまでお時間がかかりますが」
「かまいませんよ。ゆっくりやってください。飲み物はコーヒーでお願いします」

BGMの軽快なジャズを聴きながら、15分ほど待っていると、白い大皿にフライパンでこんがりと焼かれた食パンのフレンチトーストとスープ、サラダ、それに自家製ハムが乗っていた。メイプルシロップも控えている。皿が大きすぎるのか、やや寂しい印象。
          パスタヒロ⑤       
    天才は忘れた頃にやってくる ?
          パスタヒロ1  
        美味そうな厚み

フレンチトーストは厚めの自家製デニッシュ食パン1枚を二つに切ったもの。卵とミルクに十分浸されたことがわかる黄色地と焦げ目。そこからバターのいい匂いが立ち上がっている。だが・・・忘れたのか、パウダーシュガーがかかっていない。
          パスタヒロ10 
          卵焼きのよう
          パスタヒロ11 お
          耳とカリカリ感
          パスタヒロ12 
      メイプルシロップをかける
      
ナイフとフォークを使ってガブリと行くと、十分に滲み込んだ新鮮な卵黄とミルク、それに焦げたバターの香りが、柔らかなデニッシュ生地からじゅわりと来た。表面のカリカリ感と中のプルルン感がいい感触。きれいな味わい。

続いてメイプルシロップをかけると、黄金のツヤとともに味わいも甘みが加算され、フツーに美味い。卵液に浸されたデニッシュ生地はまるで出し巻き卵のような食感で、「究極」は大げさとしても、「小極」として一つの売りにはなると思う。
          パスタヒロ13 
          たまらない

スープ、サラダ、自家製ハムは可もなく不可もなし、と言ったところ。山田宏巳がどこまでかかわっているのか不明だが、調べてみたら、この店はあのお好み焼き「ぼてぢゅう」の系列店だった。うむ。
          パスタヒロ⑥ 
          甘めの卵スープ
          パスタヒロ⑦ 
          グリーンサラダ
          パスタヒロ⑨ 
          自家製ハム

気がつくと、あっという間にテーブルとカウンター席がほぼ一杯になっていた。女性客が多い。そこそこに美味しく、そこそこにオシャレな「今どきのカフェレストラン」だと思えば、そう小腹も立たない。それどころか小腹を満たすにはいい店だと思う。ところで、天才シェフはどこに向かっているんだろう?

本日の大金言。

彼は昔の彼ならず。そう言ったのは太宰治。彼女も昔の彼女ならず。猫だって昔の猫ではない。人間は堕落する、堕落するのが人間、そう言ったのは坂口安吾。人間稼業も楽ではない。



                 パスタヒロ15

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大寒に「おぼれたアイスクリーム」

 東京・人形町での用事を終えた夕刻、上野・アメ横に立ち寄った。このあたりは村長にとってはオーバーに言うと「聖なる場所」なんですダ。聖と俗はコインの裏表。心をリセットしたくなる時に、ふらりと訪れる。
          アメ横夜 
         いいね、アメ横

築地よりもどこか怪しげで、人間のDNAの匂いがする。DNAの中に入って行ったら、多分、アメ横が現れるのではないか。そんな気がする。
          アメ横夜1 
          元気が出てくる

これがたまらない魅力で、親戚が近くの池之端にあった関係で、1年ほど下宿したこともある。ここにいるだけで元気になってくる。

魚屋のオッサンのダミ声が幾分きれいになった感もあるが、昭和の匂いがここほど色濃く残っている場所は少ないと思う。
          珈琲王城② 
          オシャレになった?

で、今回取り上げるのは、アメ横から裏筋にある「珈琲 王城」の「アフォガート」であります。バニラアイスクリームの上から熱いエスプレッソをかけたデザートで、これが意外にイケる。あまりに寒いので、久しぶりにこれを食べたくなった。大寒にアフォガートはポエムだと思う。

アフォガートとはイタリア語で「溺(おぼ)れた」という意味だそうで、アイスクリームの上からかけると、「溺れたアイスクリーム」という意味になる。素晴らしいユーモア。
          珈琲王城③ 
          デザートメニュー

「珈琲 王城」は上野に残っている正統派「純喫茶」の一つ。創業は昭和45年(1970年)。「古城」「丘」「マドンナ」など上野界隈には昭和のよき喫茶店が数軒残っている。しっかりと美味いコーヒーを作っていて、トーストなどの軽食もいい。
          珈琲王城3 
          横山大寒だって?

前置きが長くなってしまったが、さて、「王城風アフォガード」(税込み650円)。バニラアイスクリームがデカ盛り気味でガラスの器に納まっている。脇には熱いコーヒー。イタリアではエスプレッソだが、ここでは日本風にアレンジして、濃いコーヒー。

ちなみに「アフォガード」の表記だが、「ト」ではなく「ド」にしているのは、ガード下なのでわざとシャレているのかもしれない。
          珈琲王城⑤ 
          この素晴らしき世界
          珈琲王城10 
          熱いコーヒー

熱く濃いコーヒーをかけると、バニラアイスクリームがすぐ溶けると思うかもしれないが、意外に溶けない。スプーンですくい、口中に運ぶと、バニラアイスクリームとコーヒーの相性がとてもいい

バニラの風味とコーヒーの香りが見事に融合している。

銭湯で飲むコーヒー牛乳を高級にした感じ。日本橋三越前の「ミカド」のモカソフトとも似ている。        
          珈琲王城⑥ 
          あり得ない瞬間
          珈琲王城⑦ 
          かけ方注意
          珈琲王城⑧ 
          1+1=3です

ただし熱いコーヒーを注ぐときに注意が必要。一気にかけないと、下にこぼれてしまう。「こぼれたアイスクリーム」はいただけない。村長も失敗してしまったが、このデザートの味わいは絶妙だと思う。外に出ると、大寒の風が頬に切りつけてきた。頭上には三日月。何だか三文芝居の舞台みたい。

三日月や舌に溺れるアフォガート

本日の大金言

昭和45年といえば、三島由紀夫が自決した年でもある。その時代は「純喫茶」全盛の時代でもある。それ以前は「カフェ」と言えばアルコール類を出し、女性が接客していた。「純喫茶」はアルコール類を出さない、純粋な喫茶店という意味だった。現在は別の意味のカフェブームだが、47年後はどうなっているか?



                  珈琲王城⑨ 


駅前食堂のカレーチャーハン

 急な用事ができ、福島・郡山までポンコツ車を飛ばした。

東北では仙台に次ぐ商業都市で、3.11以降、風評被害などで観光客減に悩まされてきたが、それも少しずつ戻っているようだ。今回テーブルに乗せるのは、郡山駅西口の大衆食堂で食べた「カレーチャーハン」である。

実のところ郡山で美味い物を食べた記憶がほとんどない。

村長の中では「味覚不毛地帯」(失礼)の街でもある。午後4時過ぎ、ビルの谷間に夕暮れが忍び始める頃、小腹がすいてきた。昼飯が那須高原SAで食べたメロンパン一個だったこともある。クルマをパーキングに止めて、西口周辺をブラ歩きすることにした。
          三松  
          奥の世界
          三松② 
        ワインがお出迎え?

メーンストリートから横道に入ると、「三松会館」の建物が見え、その下に「総合食堂 三松(さんまつ)」の暖簾が下がっていた。昭和のよき食堂の匂い。浅草「水口食堂」のようなサンプルケースがあり、その上下にブルゴーニュワインの瓶が無造作に並べられていた。

よく考えれば不思議な世界。ポエム。
           
サンプルケースにはオムライスなど洋食からタンメン、ハンバーグ、天ぷらまで和・洋・中まで幅広い数と種類が並んでいた。一瞬、ハズレの予感が頭をよぎったが、店構えがどこか昭和の職人の気配がして、ダメもとで黒い暖簾をくぐることにした。
          三松3 
          いい地酒も
          三松③ 
          メニューの一部

日本酒の熱カンを飲みたくなったが、クルマなので我慢。

迷った末に、メニューの中から「カレーチャーハン」(税込み680円)を頼むことにした。ご高齢の店主夫妻と若い女性スタッフが2~3人ほど。アットホームな家族経営の匂い。テーブル席、小上がり席、壁に張られた日本酒のラインアップ・・・すべてから「昭和のよき食堂居酒屋」の風合いが滲んでいる。
          三松④ 
          まさかの出会い

10分ほどで、スープとともに「カレーチャーハン」がやってきた。カレー粉のいい匂いがゆらゆらと立ち上がってくる。スープはラーメンスープで、普通の美味さ。外の寒さからようやく解放されて、緊張が緩む。
          三松⑤ 
          カレーの風味
          三松⑨ 
          よき昭和か

カレーチャーハンはこれまで一度しか食べたことがない。それほどの感動はなかったが、ここのカレーチャーハンはひと味違った。火力が相当強いのだろう、ライスのパラパラ感と旨味がチャーハンの名店に負けていない

ひと口で、その美味さに「うむ」となってしまった。
          三松⑦ 
          あーん

カレー粉がかなり効いていて、口中に広がるスパイシーな感触と余韻が大衆食堂のレベルを超えている。具は卵、ナルト、人参、チャーシュー、それにグリーンピース。ネギの姿は見えない。

グリーンピースの姿がとてもいい。あっという間に平らげると、小さな満足感に包まれた。680円のシアワセ。
          三松⑧ 
          あああーん
 
まさか郡山駅前の横丁でかようなチャーハンに出会うとは、今年に入っていいことの少ない日々だが、そうそう悪いことばかりは続かない

カレーチャーハンの中に神様が宿っていた、そう思うことにした。 

支払いをするときに、ご高齢の店主と雑談。店は昭和28年(1953年)創業だそうで、厨房は息子さん(3代目)が立っているとか。ご本人が立つこともあるそう。もっとあれこれ話したかったが、どんどん常連らしい客が入ってきたので、早々に引き揚げることにした。

本日の大金言。

古きよき大衆食堂の実力に驚かされることも多い。この店もその一つで、ブルゴーニュワインまで置く。大衆食堂は元々はモダンだったことに改めて気づかされる。




                 三松11 





高崎宿の意外な支那そば

ちょっとした 調べ物があり、旧中山道六十九次の一つだった高崎宿までポンコツ車を飛ばした。現在は高崎市。戦後は福田赳夫や中曽根康弘など首相を輩出し、平成の大合併で群馬県最大都市になった。人口は約37万人。群馬出身のタレント・井森美幸が一時ここから新幹線で通い愛していたことでも知られる(へえー)。

本日テーブルにのせるのは、北高崎飯塚町にある「支那そば なかじま」の支那そば、である。北関東でも有数の名店との評判。ラーメンや中華そばとは言わず、わざわざ「支那そば」と表記するのがある種のトレンドになっている。中身が伴っていない店もあるが、ここはどうか。
          なかじま①  
          群馬の人気店
          なかじま③ 
          いい店構え

「行列が凄いから覚悟して行った方がいいよ」
麺類シンジケートの友人から聞いていたので、覚悟して行ったが、午後1時過ぎということもあるのか、待たずに入れた。雑居ビルの一階に薄紅色の大きな日除け暖簾がかかっていた。コンクリートの外壁。シンプルな店構えで、中に入ると、L字の木のカウンター席のみ。15席くらいか、ゆったりしている。対面が板場になっていて、そこに店主が一人。女性スタッフが二人。
          なかじま② 
          メニューは少ない

板場はきれいで、無駄のない動きから、店主がかなりのこだわりと経験を持っていることがわかる。すぐに「支那そば(醤油)」(税込み720円)を頼んだ。たまたま隣に座ったキャップ姿のダンディーなオヤジと雑談。「ここは美味いよ。今日は珍しく行列がない。あんた、ツイテルよ」。
          なかじま⑤ 
          隙がない
          なかじま3 
          湯気の向こう側

待ち時間は長めで12~3分ほど。正統派の白い大きな陶器ドンブリが置かれた。魚介系のいい匂いが鼻腔をくすぐった。鶏ガラ、豚骨、鰹など動物系と魚介系のブレンドスープのようで、薄っすらと濁っている。麺は自家製で、中細ストレート麺。それが二つに畳まれて、きれいに置かれている。
          なかじま⑥ 
          で、できる
          なかじま⑦  
          コショウをパラリ

その上に海苔が置かれているが、ずらしてみると、その下には自家製チャーシューが2枚と細いメンマ。刻みネギがスープに浮いている。シンプルで見事な構成。
          なかじま⑧ 
          スープの絶妙

まずはレンゲでスープをひと口。醤油の色が濃い目だが、穏やかでまろやか。鰹と鯖節、それにかすかに煮干しの風味がジワリと来た。その奥に鶏ガラと豚骨がウッドベースのように流れている。化学調味料の匂いがしない。スープで勝負している店のようだ。
          高崎なかじま  
          自家製麺

小麦の風味が立ち上がるような麺はかなりコシが強く、あの東京・赤羽の「自家製麵 伊藤」を思い起こさせる。特筆したいのは自家製チャーシュー。縁が紅色で、横浜中華街のチャーシューのよう。ハチミツを塗って炙っているようだ。肩ロース肉とモモ肉だと思うが、その肉肉とした食感が悪くない。出来ればもう少し大きいか、もう一枚プラスしてくれると、もっといい。
          なかじま5 
          自家製チャーシュー
          なかじま4 
          メンマもこだわり

細いメンマはフツーの出来。全体としてよくまとまった美味さで、シンプルの奥にこだわりの技が潜んでいる。平ザルを使って茹で上げた麺をすくっているのも好感。これなら支那そば、を名乗るのも理解できる。うどんとそばの群馬で、「支那そば」の暖簾を下げたのは2008年12月だそう。「秘密のケンミンSHOW」で井森美幸が「群馬はラーメンも凄いんですよ」という日も近い?

本日の大金言。

高崎宿は日本橋から数えて13番目の宿場町。そばやうどんばかりでなく、ラーメン文化も中山道で広がるかもしれない。




                 なかじま10 




パン作り60年の「カレーパン」

本日取り上げるのは業界で知られたパン職人の店で食べたカレーパン、である。天然酵母の食パンが有名だが、カレーパン好きには見逃せない隠れた名店だと思う。

国立劇場で開演中の歌舞伎「しらぬい譚」のチケットをもらったので、半蔵門へ。むろん3階の一番安い席。正午12時ちょうど開演なので、その前に大急ぎで早いランチを取ることにした。
          国立劇場① 
          春から縁起がいいわい

せっかちな村民2号が、コーヒーとパンの美味い店を希望していたので、一番町の「シェ カザマ」に行くことにした。オーナーは「人を感動させるパンづくり」をモットーにパンづくりひと筋60年という業界では知られたお人。ドンクなどで修業してから、1992年(平成3年)、一番町1丁目に小さなパン屋を開いた。近くのイギリス大使館から食パンを求められるなど、その真面目な仕事ぶりは評価が高い。
          シェカザマ① 
          街のベーカリー「シェ カザマ」
          シェカザマ④ 
      60年のこだわりの歴史

ガラス張りの外観からどこかパリの街のパン屋のような匂い。ドアを開けると、バゲットやグラハム粉を使った食パンなどが見え、調理パンなどもズラリと棚に並んでいた。パンを焼くいい匂いが奥から流れている。時計を見ると、11時20分を回っていた。

レジの前に「出来たて!」の文字が目に入り、ダ円形のカレーパンが列を組んでいた。一個220円(税込)とやや高めだが、ひと目で当たりの予感が走った。ビヨンセのようなナイスバディ・・・揚げたてのパン粉の色と、パン生地、その奥のルーが透けて見えるようだった。
          シェカザマ⑤ 
          カレーパン!

それとピザのような「ドライトマトのフォカッチャ」(同250円)、「スイートポテト」(同350円)を選んだ。ブレンドコーヒー(同350円)も注文する。時間が早いためか、「コーヒーは少しお時間がかかりますが」と女性スタッフ。「どのくらい?」「15分ほど」「お願いします」の会話。伝説のオーナー店主のお姿も見えた。
          シャカザマ1 
          フォカッチャだって?
          シェカザマ⑦ 
          甘きよき夢?
          シェカザマ1 
          急がば回れ

このカレーパンが出来たてとはいえ、ひと肌ぐらいの状態になっていた。手で割ろうとすると、伸びやかな弾力で、ちぎれない。仕方なくガブリと行くと、パン生地の美味さがすぐに伝わってきた。伸びやかなもっちり感と表面のカリカリ感、小麦粉の風味がとてもいい。
          シェカザマ⑨ 
          当たりか?
          シェカザマ4 
          見事な色合い
          シェカザマ2 
          これはこれは
          シェカザマ3 
          すべて上質

ルーも手づくりで、挽き肉(合挽き肉?)と溶け込んだ玉ネギ、人参がこってりと口内にささやきかけて来た。数種類のスパイスが効いている。じっくりと煮込んでいるのがわかる味わいで、ボリューム的にもほどよい。かなり上質のカレーパンであることは間違いない。
          シェカザマ5 
          デカい
          シャカザマ6 
          底がそのまま
          シェカザマ6 
          素朴の極致?

「これは気に入ったわ。いいカレーパンね。スイートポテトもちょっと高いけど、ドシッとした重さで、自然で素朴な甘さが好き。種子島産と書いてあるから、てっきり安納芋かと思ったけど、ちょっと食感が違うわ。別の種類だと思うなあ」

「確かに。余分なものが入っていない。いいサツマイモをそのまま味わっているようだね。村長はもう少し甘くてクリーミーな方が好きだけどね」

「私はとっても気に入ったわ。『ドライトマトのフォカッチャ』はどう?」
          シェカザマ7 
          安くて美味い

「ドライトマトがベーコンに見えたけど、チーズとフォカッチャが合っている。チーズが羽根になっていて、そのカリカリ感が気に入った」

「ヘンなとこに感心するのね。食パンを買いたいけど、ちょっと高いから今日は我慢・・・あっ、早くいかないと。開演まで10分しかない!」
「一句ひねりたくなってきた」
「その頭をひねりたくなってきたわ。ヘタな句なんて聞きたくない。先に行ってるわよー」

寒空や椅子に残りしパンの夢

本日の大金言。

カレーパンほど日本人に愛されている調理パンはないと思う。森下町の「カトレア」(旧名花堂)が元祖と言われているが、諸説ある。元々はピロシキから来ているという説もある。日本人の変換能力がここにも。




                 シェカザマ10 




京都の珍種「あんこ屋のもなか」

 先週末のこと、京にお住いのグルメ先生が空から舞い降りて来て、「あーた、これ」と言って、さり気なく手土産を手渡した。いつもながら、その心遣いにうるうる。グルメ先生は風の又三郎のいとこかもしれない。先生の手土産は、普段はなかなか手に入らないものばかりで、村長もその都度、小さな目を見開かされる。 

それが「中村製餡所」の「あんこ屋さんのもなか」だった。北野天満宮近く、大将軍通り商店街にある店で、創業は明治41年(1908年)。昔ながらのあんこ作りを続ける製餡所で、15年ほど前から、「もなかセット」を売り出している。これが和菓子好きの間でひそかに評判を呼び、今では、売り切れになることも多い。
          中村製餡所 
          極上の世界へ

小倉(粒)あん、こしあん、白あんの3種類あるが、グルメ先生が持ってきてくれたのは、小倉あん(1パック500グラム、税込み550円)だった。ドンピシャ。あまり関係ないが、小倉さんはお元気か?
          中村製餡所① 
          慌てるな

シンプルな紙袋を開けると、その小倉あんがぎっしり詰まったパックと菊形の最中(もなか)の皮(10組入り、同550円)が別包みで現れた。何というシンプルさ。一枚一枚手焼きしているそう。自分であんこを詰めるというスタイルのようで、これだけそのままの世界というのは極めて珍しい。村民2号が渋茶を入れてきた。
          中村製餡所② 
          まだまだ・・・
          中村製餡所③ 
          あんこの銀河

これがスグレモノだった。小倉あんは見事なツヤと色味で、ひと目で只者でない雰囲気が見て取れる。スプーンでたっぷりと取って、皮(種)に盛り、上から蓋をする。寒さのためか小倉あんは思ったよりも固めで、きれいに盛るのにひと苦労するが、その後が凄い。
          中村製餡所⑦ 
          手焼きの皮
          中村製餡所⑥ 
          利休の世界?
          中村製餡所⑧ 
          盛る楽しみ・・・

ガブリと行くと、最初のアタックで皮の香ばしさとパリパリ感に驚かされる。いやいやパリパリだけではない。サクッとした羽毛のように軽い感触が神業的で、まるで空気投げのような皮。一部がほんの少し剥がれ落ちていたが、これは村長が電車で運ぶ際に出来たものだと思う。
          中村製餡所10 
          隙がない
          中村製餡所11 
          香ばしい誘惑・・・

小倉あんはやや甘めで、手作業でじっくり煮詰められていることがわかる。小豆の皮まで柔らかく、きれいで深い味わい。北海道十勝産の小豆と砂糖は多分ザラメ、それに水飴を加えているようだ。塩を使用している気配はない。小豆の風味は思ったほどない。皮の香ばしさが凄すぎて、小豆の風味を消しているのかもしれない。いや、待てよ。そんな単純な話ではないはずだ。
          中村製餡所13 
          もそっと近こう・・・

「あんこだけ見ると、華やかなあんこではないよ。いぶし銀のあんこということかな。そうか、千利休の世界・・・」

「何わけのわからないこと、言ってるのよ。確かにこの皮、すごいわねえ。あんこも甘くて本物って感じ。絶妙なコンビだわ。これに比べたら、村長が作るあんこなんて相撲で言うと、フンドシ担ぎってとこかな」(村民2号)

たまたま遊びに来ていたグルメ親父・ドン圭氏にもすすめると、「へえー、こんな最中があるんだ。京都は奥が深いなあ。今度、行ってみっか」そう言って、バリバリ食べ始めた。その手と口が止まらない。どないしよう・・・。

本日の大金言。

北野天満宮は関白・秀吉が北野大茶湯を開いた場所。秀吉は和菓子好きだったようで、そのせいか、周辺には今もいい和菓子屋や餅屋が多い。


                中村製餡所15 

人形町の「生麺ソース焼きそば」

昼は 兜町ペンクラブで小作作業、夜は内幸町Pセンターで新春会と忙しい一日だった。その合間を縫って、ランチの激戦区・人形町で昼めしを取ったが、今回テーブルにのせるのはこの一品。甘酒横丁「玉ひで」近くで見つけた「大阪お好み焼き 英(ひで)」で食べた「焼きそば」である。
          お好み焼き英 
          隠れ家、みっけ

最近、神保町の「みかさ」など生麺を使った焼きそば屋が人気を呼んでいるが、この店はどうか。数日前から目を付けていた店である。何を隠そう(隠してもどうってことないが)、ここは村長がエンタメ新聞社時代にたまに通っていた小料理屋があった場所。小股の切れ上がった美人女将と美味い肴で人気店だったのに、忽然と店を畳んでしまった。閉店の理由は未だにわからない。
          お好み焼き英① 
          夢の跡の新しい夢

その後に、町家風の店がうぐいす色のいい暖簾を下げていた。「大阪お好み焼き 英(ひで)」の文字。江戸の本場・人形町に大阪お好み焼きとは、いい度胸をしている。その心意気、そっとのぞいてみたい。で、今回の訪問となった。
          お好み焼き英2 
          いい雰囲気

お好み焼きが目玉だが、焼きそばや牛すじめしもそそられる。本店が田町にあり、ここは半年前にオープン、田町店は行列店として不動の地位を築き上げているが、こちらはさほどの行列はない。「玉ひで」の意味不明の大行列に比べて、これはいささか腑に落ちない。
 
ガラガラと引戸を開けると、長いカウンター席があり、奥にテーブル席も見えた。カウンター席の対面が大きな鉄板になっていて、そこに店主がいた。カウンター席に腰を下ろすと、可愛らしい女性スタッフが水とおしぼりを持ってきた。いい雰囲気。BGMはボブ・ディランの「激しい雨」。外は晴天、ポエム。
          お好み焼き英③ 
          たまらないメニュー

お好み焼きか牛すじめしかで迷ったが、「茹でたて極太麺の焼きそば」を頼むことにした。へそ曲がりの習性。ソース・辛口ソース・塩の中から、定番の「ソース」(豚、目玉焼きのせ 税込み700円=並)を選んだ。
          お好み焼き英④  
          いい匂い

これが「みかさ」に劣らない味わいだった。ボリュームはやや落ちるが、美味さが十二分にある。目の前で生麺を茹で、それを鉄板で焼き上げていく。いい匂いと音。「みかさ」にない世界。見ているだけで楽しい。
          お好み焼き英⑥ 
          主役の登場
          お好み焼き英⑦ 
          横たわる美女?
                                     お好み焼き英⑨ 
                                     失礼します
          お好み焼き英11 
          まろやかな味わい

スチール皿に盛られた焼きそばは半熟の目玉焼きが上にどっかと乗っていて、青海苔がパラパラとかかっている。端には細かく刻まれた紅ショウガ。極太麺はモチモチ感とコシがいい歯ごたえで、最初のアタックはソースが強めかな、だったが、次第にまろやかな旨味が口中一杯に広がってきた。ソースの中にかつお出汁と何か隠し味が効いている。鶏ガラの気配もする。
          お好み焼き英12 
          どないでっか?

柔らかな豚肉とキャベツ、モヤシ、人参がほどよく絡んでくる。食べ終えると、いい余韻の満足感が押し寄せてきた。夜も来たくなった。明日は御茶ノ水の病院へ友人のお見舞いへ。

目を閉じる枯野の夜に梅一輪

本日の大金言。

いい一日とはこういう日のことを言うのかもしれない。陰陽師先生主催の新春会はビールとカレーライスとワイン。30人以上が参加、メディアの裏話が飛び交い、一人一人のあいさつがまた面白い。脱線もまた楽し。ふとトランプの影。



                  お好み焼き英13 


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両国の至福「限定豚とろ丼」

久しぶりに朝のラッシュ時に東京・両国へ。ちょうど大相撲初場所中とあって、相撲取りの姿が寒風の街中に見える。両国ならではの光景。目的の一つは 江戸東京博物館で開催中の「戦国時代展」。戦国武将の手紙の細やかな息遣いに心打たれる。まぎれもなくそこに戦国の世を必死に生き抜いた人間がいる。時空を超えて、そのリアリティーに目が釘付けになってしまった。
          江戸東京博物館1 
          タイムスリップ

午後は兜町ペンクラブに用事があるため、早めのランチを取ることにした。東口の「横綱横丁」に入ってみた。よさそうな店がいくつか。その一つに目が行ってしまった。「とんかつ はせ川」。高そうな店構えだが、海老茶の暖簾が悪くない。ランチメニューの下にかの「平田牧場三元豚」使用の文字。その中で「限定豚とろ丼」がうまそー光線を放っていた。どすこい。これは入るっきゃない。
          はせ川① 
          いい店構え
          はせ川③ 
          山形のブランド豚

正午前なのに、村長が入った後、どんどん客が入ってくる。かなりの人気店のようだ。調べてみたら、元々は「とんかつ むさしや」だったようで、4年ほど前に独立、「はせ川」と店名を変えたようだ。
          はせ川④ 
          期待できる?
          はせ川⑤ 
          限定豚とろ丼!

ゆったりしたモダンな和の造りで、奥の厨房には3人のシェフが隙のない動きをしていた。BGMはジャズ。今どき流行のスタイルだが、軽さは感じられない。おしぼりで手を拭きながら「限定豚とろ丼」(1000円=税別)を頼んだ。待ち時間は15分ほど。やや長めだが、雰囲気からしっかりと作っているのがわかるので、いらだたない。
          はせ川⑥ 
          どすこい
          はせ川⑦ 
          横綱か?

これがスグレモノだった。黒い陶器のドンブリをいい色に焼かれた、そぎ切りの豚肉が覆い尽くしていた。脂身がジュウジュウと音を立てているようで、滲み出るきれいな脂分と赤身のバランスがいい。その数、優に20枚はある。端っこにワサビが小さな山になっていた。とろ肉の連なりの下には千切りキャベツ。なめこの味噌汁と、大根の醤油漬けが控えている。ポエム。
          はせ川⑨ 
          ガブリ寄り?
          はせ川14 
          お見事な脂

どすこいとばかりにひと口大きく行くと、豚とろ肉のきれいな旨味とタレがガブリ寄ってきた。タレはシンプルな醤油ダレで、生醤油のままのよう。すぐ後からニンニクの香りが口中に広がる。炊き立てのご飯は硬めで、タレのかかり具合がいい。豚とろ肉はバラ肉ではなく、首の後ろの肉だそう。サシが特長で、食感も柔らかい。
          はせ川10 
          たまらん世界
          はせ川11 
          タレとご飯
          はせ川13 
          まだまだ

ワサビをたっぷりつけて、さらに食べ進む。どんどん箸が進む。ワサビが効いていて、頭のてっぺんにキーンと登って行く。こうでなくっちゃ。一見ぶっきら棒の奥によく考えられた味わいがじわりじわりと押し寄せてくる。
          はせ川12 
          いぶし銀

味噌汁はフツーの美味さだが、大根の醤油漬けは甘めで美味。大相撲と戦国武将と豚とろ丼。両国の醍醐味をすっかり堪能してから、兜町へ急ぐ。そこでとんだ大失態をやらかしてしまった。恥ずかしいので内容は言えねえ、言えねえ・・・。

本日の大金言。

いいことばかりはありゃしない。身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ川の丼ぶり。


                  はせ川16 



「かぼちゃガーリックライス」の力

本日は成人の日。お祝い代わりに飛び切りの情報をお届けしよう。群馬・桐生市郊外で見つけた「ガーリックライスのチーズ焼き」である。なかなかのものだった。

桐生は村民2号の故郷で、ゴッドマザーが住んでいる。かつては「西の西陣、東の桐生」と言われた絹織物の街で、今でもいい店があちこちに残っている。少し元気の出てきたゴッドマザーをポンコツ車に乗せて、ランチとなった。ラジオ体操はまだ無理だが、20メートルくらいは何とか歩ける。食欲は衰えていない。
          カボチャの花 
          当たりか?

数年前に成人式を終えたキオも同行、村民2号がグルメの妹から仕入れた情報を頼りに、東国文化歴史街道に入った。明治記念館を桐生市内方面へ少し行くと、右手に「かぼちゃの花」の看板が見えた。淡いイエローの一軒家カフェ。
          かぼちゃの花① 
          ファミレスではない

入り口にはイタリアの国旗があり、木と白壁のイタリアンレストランのようでもあるが、喫茶店のようでもある。カウンター席とテーブル席がいくつかあり、ゆったりとしていて、落ち着ける雰囲気。
          かぼちゃの花7 
          いい雰囲気

メニューを見てちょっと驚いた。ドリア、スパゲティばかりでなく、キムチチャーハンや豚肉のマヨネーズ焼きなど、面白そうなメニューが並んでいた。かぼちゃ、の文字があちこちに見える。そのバラエティーとオリジナリティーにキオが反応した。「美味そう。デザートも楽しみ」。
          かぼちゃの花2 
          メニューが豊富

村長は悩んだ末に「ガーリックライスのチーズ焼き」(税込み760円)を頼むことにした。村民2号とキオは「かぼちゃミートドリア」(同820円)を即決。ゴッドマザーは「食えるなら何でもいいよ」で、同じものを頼んだ。

奥が厨房になっていて、そこからいい匂いが流れてきた。待ち時間は長めの15~6分ほど。シェフの姿は見えないが、雰囲気からして、期待感が高まる。
          かぼちゃの花④  
       ガーリックライスのチーズ焼き
          かぼちゃの花⑤ 
          このロケーション
          かぼちゃの花3 
   こちらはかぼちゃのミートドリア

「ガーリックライスのチーズ焼き」が最初にやってきた。予想したものとはいささか違っていた。おこげの姿におおっとなる。いい色で、ガーリックライスの彩りを深めていた。トロリとしたチーズが頂上部分から溶岩状に流れていて、その上には刻み海苔がかかっていた。脇にはスープではなく、豆腐の味噌汁のお椀。いい匂いとビジュアル。何という現代版和洋折衷のアイデア。
          かぼちゃの花⑥ 
          これはスゴイ
          かぼちゃの花⑧ 
          おこげの存在感
          かぼちゃの花11 
          あーん

これが意外や絶妙と言えるものだった。ガーリックライスは一粒一粒がフライパンできっちりと焼かれていて、ガーリックが効いている。隠し味の醤油が全体の香ばしさに深みを与えている。薄切りのガーリック以外に具の姿は見えない。おこげのパリパリ感がたまらない。さらにととろけたチーズ・・・それらが料理自体を1+1=3にしている。だが、驚きはそればかりではなかった。
          かぼちゃの花10 
          かぼちゃの存在感
          かぼちゃの花12 
          どないでっか?

スプーンを進めると、カボチャが現れてきた。デカい。ほくほくとした見事なカボチャで、これが2個も隠れていた。村長としてはここは1個で充分だと思うが、かぼちゃ好きにはたまらない世界だと思う。厨房の奥で姿が見えないが、かなりの腕のシェフなのは間違いない。店はこの場所に移転してから13年になるそう。いい店見っけ、の気分。

「確かにまた足を運びたくなる店ね。ミートドリアも満足よ。ボリュームもほどよい」(村民2号)
「デザートに頼んだかぼちゃのケーキも自然で美味いわ。残念だけど、文句のつけようがない」(キオ)
「あたしゃ、少し残しちまったけど、これでラジオ体操ができるかもねえ」(ゴッドマザー)

夕暮れを丸めたるかな冬南瓜

本日の大金言

かぼちゃの花言葉は寛大とか包容。非寛容と壁の時代にかぼちゃの力が必要になってくる・・・という妄想が起きてくる。



                 かぼちゃ花  





あの浅草「染太郎」で行列に並ぶ

いくつかの用があり、東京・浅草へ。 浅草寺で参拝をしてから、西浅草の「ギャラリーとべとべくさ」へ。備前焼の新進作家・曽我尭氏から案内をもらっていたので、ちょっくら顔を出す。21人の注目の若手陶芸家の作品が陳列されていて、運がいいことに、ご本人がいらっしゃった。あれこれ雑談後、外に出ると、午後1時近くなっていた。
          浅草② 
          浅草六区でやんす
          曽我尭展 
    新進陶芸作家展(ギャラリーとべとべくさ)

近くに「風流お好み焼き 染太郎(そめたろう)」があることを思い出した。先日、「ぼてぢゅう」でお好み焼きを食べたばかりだが、お好み焼き好きの村民2号が乗ってきた。「一度行ってみたかった店よ」。雷門から浅草寺、六区あたりは混雑がひどく、ランチはどこか裏通りで、と決めていたので、探す手間も省ける。お酒も飲める。しめしめ。
          染太郎① 
          ユーは何しに?
          染太郎② 
          この風情

村長は十数年ぶりの訪問。江戸の面影を残す店先には7~8人ほどが並んでいた。外国人が多い。以前にはなかった光景で、日本に来る外国人が急増していることが実感できる。お好み焼き屋は回転率が悪いので、結局40分ほど並ぶ羽目になった。

「染太郎」は創業が昭和12年(1937年)と言われているが、はっきりした記録がないようだ。「その辺り」ということらしい。現存するお好み焼き屋としては日本で一番古いらしい。過去の常連客には高見順や坂口安吾、川端康成、野坂昭如などそうそうたる作家が名を連ねている。坂口安吾に至っては鉄板に手をついて火傷したという伝説も残っている。無頼派作家らしい伝説、と好感。
 
「相席でよかったら」
「三代目JSoul Brothers」の小林直己似の男性スタッフが申し訳なさそうに言ってきた。で、タイ人カップルと国際交流となった。
          染太郎③ 
          メニューの一部
          染太郎⑤ 
          春が来たなあ

メニューから「豚玉」(税込み760円)、看板メニューの「しゅうまい天」(同760円)、それに「あんこ巻き」(同550円)を頼んだ。むろん、お酒も忘れない。かん酒がないのが残念だが、「原酒(冷) 深山菊」(1合600円)を選んだ。

タイ人カップルと「ハピーニューイヤー!」と乾杯してから、まずは「豚玉」。女性スタッフに手伝ってもらいながら、焼き上がるのを待つ。ソースを塗ってからマヨネーズをかけ、青海苔を散らす。具は卵、豚肉、キャベツ、揚げ玉。うどん粉(たぶん中力粉)の存在感が強い。まさに東京のお好み焼き。関西のようなだし汁が入っていないので、旨味という点では落ちるが、風情という点では得難いものがある。
          染太郎⑧ 
          いい匂い
          染太郎10 
          豚玉の出来上がり
          染太郎12 
          どっしり感

「しゅうまい天」は餅4個を囲むように置き、豚ひき肉、玉ネギ、にんにくを入れて溶いたうどん粉を流して焼く。醤油をかけてさらに焼く。これがモチモチしていて素朴に旨い。
          染太郎14 
          しゅうまい天
          染太郎15 
          モチモチ感

最後にデザート代わりに食べた「あんこ巻き」はここの名物でもあり、こしあんを一列に置いてから、クレープのようにくるくる巻く。これが素直にイケる。こしあんは甘めで、うどん粉との相性がとてもいい。鉄板に残っているソースがくっついてきて、この猥雑さがたまらない。村長の世界。
          染太郎17 
          あんこ巻き!
          染太郎2 
          たまらん
          染太郎3 
          絶妙な味わい

「でも皿の替えが欲しいわ。ソースがくっつくのは興ざめよ。豚玉は悪くはないけど、もっと野菜が欲しい。やっぱりお好み焼きは関西の方が好みだわ」
「この駄菓子屋伝統の味の素晴らしさがわからないとは・・・鉄板に両手をつきたくなってきた(笑い)」
「どうぞご自由に。手が焼けるわねえ。誰も介抱しないわよ」
意味がわかったのか、タイ人カップルがあきれたように笑った。

初春や染太郎のソース跡

本日の大金言。

「染太郎」は昭和12年ごろ、浅草芸人だった林家染太郎の妻はるが家計を支えるために始めた。このはるさんがやり手で、多くの芸人や文化人が慕うように集まってきたという。店にはさまざまなお宝が残っている。



              浅草寺 

初春やまずは「ニシン山椒漬け」

 とり年。フードコートで初ランチ、となったが、本命はこちら。村長手作りの「ニシンの山椒漬け(さんしょうづけ)」である。会津の郷土料理で、酒の肴によく合う。今は冬なので山椒の葉が手に入らず、やむなく山椒の粉を代用に使ったが、まずまずの出来だった。自分で言うのもヘンだが、質素でそれなりの味わいだと思う。今年はここからスタートしたい。

年末に大宮市場で身欠きニシン(半身3枚 300円=税別)を買い込み、その日のうちに調理にかかった。作り方は意外に簡単。身欠きニシンを斜め切りにし、タッパを用意し、タレ(醤油80ml・酢80ml・みりん30ml・日本酒30mlを合わせる)に漬け込む。山椒の粉を多めに振りかけておく。重石を載せ、冷蔵庫に入れて、約6日間漬け込んでおいた。
          にしん漬け 
          材料はこれだけ
          にしん漬け1 
        男の手料理?    
          にしん漬け③ 
          タレに漬け込む
          にしん漬け④ 
        代用の粉山椒を・・・
          にしん漬け⑤ 
          最後に重石

村民2号がほぼ一日がかりで作ったおせち料理が来る前に、大好きな清水酒造「亀甲花菱」のしぼりたて生酒(4合=税込み1080円)を用意し、漬け込んでおいた「ニシンの山椒漬け」を取り出した。初春にふさわしい質素なぜい沢。   

          にしん漬け③ 
          質素なぜい沢
          にしん漬け⑤ 
          いい漬け具合

身欠きニシンはソフトを使用したので、ひと口噛んだ瞬間、ほどよい柔らかみと熟成感が口中に広がった。醤油、酢、みりん、日本酒のほどよい酸味と甘みが悪くない。山椒の香りは粉で代用したために、思ったほど吹き上がってこない。本来の「ニシンの山椒漬け」はソフトではなくハードを使うので、十分に漬け込んでも歯ごたえがもっと強烈で固い。だが、旨味という点では村長の好みはソフト。
          にしん漬け④  
          たまりませぬ

「思ったより美味いわよ。ニシンの匂いが苦手だけど、これなら食べれる。生酒も美味いわ」
最近食べ物にうるさくなった辛口のキオが、珍しくやさしい言葉をかける。うるうる。東京で修業して、人間的にも熟成してきた? まさか。

「こっちの方が手間暇がかかってるから、美味いわよ」
村民2号が手製のおせち料理を運んできた。こだわって作った和の世界が二つのお重に納まっていた。正月らしい彩り。
          おせち料理① 
          こっちが主役
          おせち料理④ 
       たまりませぬ×3

特に気に入ったのは、シイタケ煮。出汁の効き方と煮込みが悪くない。干しシイタケのいい香りと滲み込んだ出汁が口中に広がると、何となく今年がいい年になりそうな気がしてきた。根拠がないのが寂しいが。花菱の搾りたて生酒が生娘のように「はあ~よいよい」と唄い出す。酔いがどんどん回ってくる。天井も回り始める。

「いつまで飲んでるのよ。あすはゴッドマザーのところに年賀のあいさつに行くんでしょ。朝早いから、もう寝なくっちゃ」

誰かがクラゲ状態になった村長をくちばしでつついた。イタタ。誰かが締めのお雑煮を持ってきた。おトソの海の向こうに何が見える? 果たして、今年はどんな年になるのやら。

初春や月を飲み込む杯の底

本日の大金言。

まずは我が手から始める。そこからスタートしなければならない。失敗してもいいじゃないか。



                おせち料理⑤ 



初詣と元祖中津から揚げ

 コケコッコー、あけおめ。2017年、平成29年酉(とり)年が本日からスタートした。午前10時過ぎ、ウマズイめんくい村のほぼ全住民約3名で、今年も関東最古の大社埼玉・鷲宮神社に初詣へ。アニメ「らき☆すた」人気はとっくにピークを過ぎたのに、アニメキャラがまだ大鳥居の前にたむろしていた。オヤジ化していた。行列は相変わらず凄いが、運よく40~50分ほどで参拝することができた。こいつは春からツイテルわい。
          鷲宮神1社 
       初詣は「鷲宮神社」

サル年が過ぎたせいか、今年は猿回しが目立たない場所で芸していた。神楽殿では重要無形文化財の「神楽」が舞っていた。ポエム。その後、酉年の元日、最初のランチをどうするかであわや内紛・・・トンカツを主張する村民2号と鶏肉料理を主張する村長がぶつかった。村長としては今年一年を占う食べ始めはこだわりたい。(お笑いのカミナリ調で)トリ年にトリ肉は欠かせねえ、つーもんだべな。
          鷲宮神社② 
          何を願う?
          鷲宮神社③ 
          伝統神楽

「豚と鳥のレベルの低い闘いねえ。あきれるわ。スタートが肝心、元旦は質素に行きましょ」(キオ)
「アリオ鷲宮のフードコートにしましょう。よく考えたら、トンカツはカロリーが高いからやめたわ。『ぼてぢゅう』でお好み焼きにしようかな」(村民2号)
「鳥料理があるといいなあ。それ食べて今年こそ30センチくらい羽ばたきたいなあ」(村長)
          ぼたじゅう屋台① 
          おっ、ぼてぢゅう屋台

フードコートは混み合っていた。「ぼてぢゅう屋台」も5~6人ほどが並んでいた。村長はめざとく「元祖中津から揚げ」の文字を見つけた。「日本一のから揚げ もり山」の文字も。大分・中津市に本店のある「もり山」は6年連続塩ダレ部門金賞受賞の店で、中津から揚げの元祖の店としても知られる。それが「ぼてぢゅう屋台」と提携していたとは・・・やっぱりこいつは春から縁起がいいや、そう思うことにした。
          ぼたじゅう屋台② 
       から揚げ界の金メダル?

村長は「大たこ焼き」の定番6個入り(税別480円)と「元祖中津からあげ」(税別S330円)を頼んだ。我ながらいい選択。村民2号とキオは人気1位のお好み焼き「ネギ焼モダン」(同830円)を選んだ。
          ぼたじゅう屋台④ 
       こちらはネギ焼モダン

15分ほどの待ち時間で、呼び出しのベルが震動し、「元祖中津からあげ」と「大たこ焼き」がやってきた。リッチ感がないのがいい。「元祖から揚げ」はSなので3個。1個がかなり大きい。トリ年最初のランチ。ガブリと行くと、あちちち~。揚げたてのようで、思ったよりも熱い。片栗粉のコロモがカリッとしていて、まったりとしたアブラ感がじゅわりと来た。
          ぼたじゅう屋台⑤ 
        〆て810円なり(税別)
          ぼたじゅう屋台111 
          元祖中津から揚げ
          ぼたじゅう屋台12 
          飛び上がれ

塩ダレだが、意外に薄味。ニンニクの香りがほのかにする。鶏肉はモモ肉だろう、柔らかく弾力がある。脂のこってり感が口中に居座り続ける。このしつこさが好みの別れるところで、多分鶏油がかなり入っていると思う。ビールを飲みたくなったが、年末から飲み続けなのでここは我慢。質素に、のひと言も頭をよぎった。

口直しに大たこ焼きに箸をつける。こちらも熱々。オリジナルのやや甘めのマヨネーズと花ガツオ、それに青海苔がかかっている。花ガツオがゆらゆらとダンスをしている。恋ダンスではなく、たこダンス。ふうふうしながら食べると、クリーミーで旨い。中の真ダコは大きい。昔、大阪・道頓堀で食べた味とさほど変わらない。
          ぼたじゅう屋台⑦ 
          大たこ焼やで
          ぼたじゅう屋台⑧ 
          どや、ええやろ?

「ネギ焼モダンはまあまあの旨さ。元日はこのくらいがいいわ。今年も足るを知る、で行きましょ」(村民2号)
「私にはボリュームが足りない。デザートが欲しくなるわ」(キオ)
「今だ足るを知らず。でも、樽酒は大好き」(村長)

「また笑えないダジャレ言ってる。今年も村長は飛べなさそう」(村民2号)
「サントリーも大好き」(村長)
「げっ元旦早々、座布団3枚取り~」(キオ)
「・・・・・」

本日の大金言。

2017年、平成29年はどういう年になるのだろう? 地球上には現在約73億7300万人が生きている。1年に約6000万人が亡くなり、1億3000万人がオギャーと生まれている。地球を船に例えると、どのくらいのスペースが残っているのだろう? 人類の理性と知恵が試されている、と改めて思う。平和と一人一人の幸福を祈らずにはいれない。




              アリオ鷲宮 


プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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