「炙り〆鯖の棒寿司」の夜

 今回テーブルに乗せるのは鯖寿司(さばずし)、である。ただの鯖寿司ではない。

炙り〆鯖(あぶりしめさば)の棒寿司・・・形容詞が二つも付く。四国・高松市の料理屋で見つけたもの。地元のオッサンから教えてもらった情報を頼りに、日本一長いアーケード商店街をぶらりと散策しながら、ようやくたどり着いた。磨屋町の一角。
          ひら井① 
          父帰りたい?

すっかり日が暮れていて、「酒とめしの ひら井」の看板と白地の暖簾が灯りで浮かんでいた。いい風情だが、どこか今どきのモダンな和の世界。鯖寿司と言えば、京都の「末廣」や「いづ重」があまりに有名だが、その歴史の浸みこんだ店構えとは比べようがない。つまりは今どき。
          ひら井 
          いい店構え

だが、地元のオッサンのせっかくの情報。それにパッと見にはいい料理屋。ビジネスマンや旅行者が好みそうな店構えで、中に入ると、モダンな和の世界そのもの。BGMもモダンジャズ。嫌いな世界ではない。

生ビールと地酒の特別純米「大瀬戸」(1合890円)をまず頼んだ。ここで村民2号が「サラダを食べたい」と第一声。「自家製ギョーザ」(税込み500円)と「旬野菜の玉葱ドレッシングサラダ」(同680円)をひとまず注文。


          ひら井④ 
          メニューの一部
          ひら井⑤ 
          秀逸なサラダ
          ひら井⑥ 
          自家製ギョーザやで

このサラダがボリュームといい、鮮度といい、文句のつけようのないものだった。高松の料理のレベルはかなりのものと確信した。ギョーザも小ぶりだが8個もあり、絶品とまでは言えないが、まずまずの美味さ。
          ひら井2 
          おおの安さ

店に入った時から気になっていた炙り〆鯖の棒寿司」(同1280円)を頼んだ。一匹丸ごと使った鯛めしも食べたかったが、予算の関係で断念。

この「炙り〆鯖の棒寿司」が舌代を考えると、想定を超えていた。
          ひら井⑦ 
          ヨダレが出かかる

全部で8切れ。酢で軽く〆られた鯖は厚みが十分にあり、表面が炙(あぶ)られている。見るからに脂も乗っている。だし醤油につけて食べると、鯖の甘みと酢飯の甘みが押し寄せてきた。

酢飯は柔らかめで、もう少し固めの方が好きだが、悪くはない。

味わいの深みという点で、京都の名店の鯖寿司とは横綱と小結ほどの違いはあるが、1280円という安さを考えると、これは特筆ものだと思う。大雑把にいうと、京都の半分以下の舌代。満足度は五分の三くらい。
          ひら井⑧ 
          この厚み
          ひら井10 
          ガブッと行け
          ひら井⑨ 
          醤油の存在

この店は昭和59年(1984年)高松を拠点に産声を上げ、今では神戸にも店を広げていることもわかった。

「それなりにいい雰囲気で、それなりにいい料理を食べ、それなりに財布も軽くなる。高松の夜に乾杯だわ」

「高松はあの菊池寛の出身地でもある。近くには菊池寛通りもあるんだ。天下の文藝春秋社は元々は彼が作ったもの。又吉も恩田陸も彼がいなかったら、誕生していなかったかもしれないぞ」

「ベッキーだって、あそこまでいじめられないで済んだってこともあるわよ」
          ひら井② 
          地酒が進む

「菊池寛の偉大さを想いながら、鯖寿司を食べるってのも悪くないな」

「父帰る。父帰らない・・・」

「父と乳はコインの裏表。乳も帰って来てほしい・・・」

「くっだらない! そんなことしか言えないの? 村長を〆鯖にしたくなってきたわ」

低レベルのチチ・・・いやオチになってしまった。申し訳ない・・・。

本日の大金言。

瀬戸内海を要する香川県は美味しいものの産地。さぬきうどんばかりではなく、魚介類の宝庫でもある。菊池寛ばかりでなく、空海や平賀源内、宮武外骨もこの風土から生まれている。




                  ひら井4 





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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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