本場の「鰹塩タタキ」と「鰹めし」

 四国上陸のもう一つの目的が「鰹(かつお)のタタキ」、である。本場・高知市内を歩くと、あちこちに「鰹タタキ」のメニュー板が見える。クジラやウツボのタタキなどもあるが、土佐の本命はやはり鰹、だと思う。比較的安いというのも心強い。

秋の戻りガツオが脂が乗って一番おいしいと言われるが、春のこの時期の上りガツオも幾分さっぱりしているが、本場物はひと味、いやふた味ほど違うはず。数時間前から頭の中は鰹とビールがぐるぐる泳いでいる。
          はりまや橋 
          はりまや橋の夜

はりまや橋近くの安ホテルに荷物を置いて、外に出る。すでに夕闇。どこか黒潮の匂いがする。坂本龍馬の影も伸びている・・・気がする。アーケード商店街周辺をウロウロ、帯屋町を行ったり来たり。店構えなどから、鰹料理の店数軒を値踏みする。

その中で、地元客が次々と入っていく居酒屋に目星を付けた。たまにハズレることもあるが、長年培ったセンサーがピコピコ。それが「土佐の居酒屋 一本釣り」だった。たまたま出てきたオヤジに聞いてみると、「ここがこのあたりじゃ一番だよ。あんた、いい勘してるよ」。
          一本釣り 
          センサーがピコピコ

階段を上って二階へ。広い座敷とテーブル席。ほぼ満員だった。隣の団体は高歌放吟状態。よく言えば土佐いごっそうの活気。こう来なくっちゃ。
          一本釣り② 
          みんな食べたい
          一本釣り① 
          メニューの一部

すぐにビールを頼み、「本日のおすすめ」の「鰹塩タタキ」(税込み980円)をまずは頼んだ。元気のいいお姉ちゃんスタッフがバタバタと走る。「ちょっとうるさいわね。でも、これが土佐なのね」と村民2号がうなずく。
          一本釣り10 
          黒潮の活気

この「鰹塩タタキ」が予想通り絶品だった。醤油ダレよりも塩、がおすすめ・・・メニューにそう書いてあった。

「塩タタキは土佐の漁港から直送の鰹でないとダメなんですよ。鮮度が違います。それをワラで炙って、冷水で〆る。それを分厚く切って、ニンニクで食べるんです。これが本場の食べ方です。まあ食べてごらんなさい」(高知出身の編集者)
          一本釣り2  
          塩タタキに限る

その言葉を思い出した。上りガツオは5切れだが、一切れの厚さが2センチ近くある。表面の焼き加減と中の赤身の鮮やかさ。薄っすらと脂が乗っていて、ひと目でスグレモノだとわかった。見た目からして、いつもスーパーなどで買うものとは明らかに違う。
          一本釣り⑤ 
          わさびとニンニク
          一本釣り1 
          厚みと藻塩

薄切りのニンニクが豪快に置かれ、藻塩とワサビが小さな山を作っていた。それを付けて口中へ。つい目を閉じて黒潮を想う、絶妙な美味さ。この脂の乗りで上りガツオとは・・・と思ってしまった。鮮度のいい旨みと甘み、柔らかな肉質。ニンニクと塩とワサビが一体となって、怒涛の寄り。これでこの美味さなら、戻りガツオは? こちらも戻り客になりたいぜよ。
          一本釣り⑧ 
          柔らかな美味
          一本釣り⑦ 
          たまりませぬ

隣りの客のクシャミが気になったが、酒がすすんでくると、気にならなくなった。地酒を頼み、肴をつついていると、あっという間に時計の針が9時を回っていた。

村民2号が「おむすび」(2個380円)、村長が「鰹めし」(500円)で〆ることにした。

「おむすびは想像よりずいぶんデカいわ。土佐サイズってとこかな。鮭と梅干しだけど、結構うまい。土佐が好きになって来たわ」
          一本釣り12 
          鰹めしで〆
          一本釣り14 
          煮汁のめし
          一本釣り15 
          鰹がドカドカ

鰹めしは漁師の賄い飯(まかないめし)だと思うけど、カツオの甘辛煮が生姜が効いていて悪くない。ご飯もその煮汁で炊いたもの。もう少し甘さを押さえた方が好みだが。でもおこげがいいね。海苔と万能ねぎもいい。だけど、腹がきついぜよ。ギブアップ。龍馬といい弥太郎といい、あのバイタリティーはこのあたりから来てるのかな。でも、だんだん腹が立ってきた。板垣退助も土佐藩だった」

「わあ~もう打ち止め。会津の足軽の末裔の血が騒いできたのよ。戊辰戦争の恨みなんて言わないでよ。白旗上げたんだから。早く会計しましょ。ホテルに戻りガツオしましょ」

何が薩長土肥だ、官軍だ。テロリストの詐欺集団じゃないか~」

そう大声でわめくつもりが、なぜか声にならなかった。勝てば官軍、負ければ賊軍。ぐやじい。トホホ・・・。

本日の大金言。

鰹は止まった瞬間がそのまま死である。鰹のように生き、カツオのように死ぬ。鰹のタタキが美味いのは、その死生観が舌の上で交錯するからかもしれない。冷凍したら味が一枚落ちるのも、きっとそのせいだ。鰹は黒潮のナマに限る。




                  一本釣り16
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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