三百年前の「そばと栃餅」の味

 大内宿と言えば、会津と日光を結ぶ旧宿場として、約300年前の茅葺きの街並みがそのまま残る歴史的建造物群として知られている。江戸時代初期(1640年頃)に宿場となり、その後、正徳元年(1711年)の大火で、ほとんどが消失、建て直されている。
          大内宿⑤ 
       300年の世界(大内宿)

現在の建物の多くは、その時に建て替えられたもの。それでも300年以上の歴史を持っている。現在残っているのは、茅葺き(かやぶき)33戸で、その他の建物を入れると、44戸もの歴史的建造物が通りの両側に並んでいる。タイムマシンの世界。


会津の帰りに、ランチを取るために、ポンコツ車で久しぶりに立ち寄ってみた。観光客でにぎわっているのは相変わらず。観光化され過ぎて、「ちょっと興ざめ」という声もあるほど。
          こめや① 
          こめや

それでも大内宿は立ち寄りたくなる場所である。いつもは「山本屋」に寄ることが多いが、今回は、その隣こめや」にワラジを脱ぐことにした。入り口の餅やイワナを焼く光景に、村民2号が「今日はここにしない?」と鼻の穴をぴくつかせたからだ。
         こめや⑥ 
         タイムスリップ

「手打ちそばとつきたて餅」の文字がポエム。時間がちょうど正午過ぎだったこともあり、待ち客が7~8組みほど。15分ほどの待ち時間で、囲炉裏のある入り口を抜け、広い座敷へと案内された。山本屋とほとんど同じ開放的な世界。黒光りした天井と梁、それに畳が心地いい。
          こめや③ 
        そばのメニュー(一部)
          こめや④ 
          つきたて餅

メニューから「ざるそば」(税込み850円)をまず選んだ。村民2号も同じもの。さらに目が「つきたて餅」をしっかり捉えていた。その中でも「大内宿名物 栃餅(とちもち)」がぺこりと頭を下げた・・・気がした。きな粉とあんこが一個ずつ。それで550円。

ざるそばは観光地値段だが、栃餅はその作り方の手間ひまを考えると、リーズナブルだと思う。
          こめや⑦ 
          ポエム

この栃餅がうまかった。甘さが控えめなこしあんの風味もよく、青きな粉の風味も素晴らしい。何より栃餅はつきたてということもあるのだろう、その伸びやかさと十分なコシが、舌の上で歴史をささやきかけてくる。
          こめや⑧ 
          あんころ餅
          こめや⑨ 
          こちらがきな粉

フツーの餅に栃の実を加えた栃餅だが、独特の風味が口中から鼻へと抜けていく。何と言ったらいいのか、あえて言うと、硫黄のような匂いがかすかにする。それが意外に面白い味わいになっている。隠し味は300年の風雪の歴史ということか。
          こめや10 
          ざるそば

その後に来た「ざるそば」はグレー色の田舎そばで、悪くはないが、去年、檜枝岐(ひのえまた)で食べた裁ちそばほどの感動はない。地粉9割、つなぎ(小麦粉?)1割だそう。ボソッとしたコシ。ツユは鰹節の出汁が効いていて、どちらかというと辛め。
          こめや13 
          300年の歴史
          こめや15 
          キュウリの塩もみ

「そばは山本屋の方が好きだわ。でも、栃餅がうまい。特にきな粉。栃餅の茶色といい組み合わせになっているわ。きな粉もあんこももう少し量が欲しいけど」

「確かに。そばはどうってことないけど、栃餅はいいね。硫黄のような風味が大内宿、って感じだ。ネギ一本と辛味大根の薬味で食べる高遠そばもあるけど、高いだけで、一度食べればいい。今回は食わずで、正解だと思う」

「財布のひもの関係でしょ。無駄にカッコつけちゃうとこが村長の悪い癖ね」

「武士は食わずに爪楊枝、ネギ一本なんてとんでもない」

「十分食ってるわよ。バッカみたい」

「・・・・・・」

本日の大金言。

大内宿にはおばあちゃんが店先で頑張っている光景が微笑ましい。草餅と豆餅を買ったが、その際の会話のやりとりも面白い。「おつり、なし」という会津弁を久しぶりに聞いた。この場合の「なし」はお釣りがない、という意味ではない。「おつり、です」の丁寧語なのである。幕末に会津藩が京都で苦労した一つの理由に会津弁がある。今では考えられないが。




                  こめや17 

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赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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