限定20食今半「百年牛丼」の味

 浅草今半、といえば「すき焼き」の老舗だが、元々の今半本店(新仲見世通り)をはじめ、別館、国際通り本店など暖簾分けがややこしい。

創業が明治28年(1895年)、吾妻橋で「牛鍋屋」としてスタートしている。この時代は元祖牛鍋チェーン「いろは」(明治11年創業)の全盛時で、当時の東京は牛鍋が大人気だった。社長の木村荘平は立志伝中の怪人物で、都内に22店舗を持ち、それぞれにお妾さん(これって死語?)を配置し、店長をやらせていた、今の常識で考えると、とんでも人物。あだ名は「いろは大王」(このあたりは山田風太郎著「明治バベルの塔」の中で詳しく書かれている。これがメッチャ面白い)。
          浅草今半 
          浅草今半(国際通り)

この流れの中で、今半も「牛鍋屋」を始めたと思われる。それから約122年後、浅草に用事があり、国際通りを歩いていると、「浅草今半 国際通り本店」の立派な建物が見えた。ここは昭和3年(1928年)に本店から暖簾分けしている。時計を見ると、午後2時近い。
          浅草今半③ 
          狙い目?

敷居が高い店だが、入り口で「百年牛丼」(税別 1500円)の文字が見えた。今半にしては比較的安い。しかも限定20食、の文字。ダメもとで入ることにした。

「20食、もうないでしょ?」
「いえ、たまたまですが、まだございます」(和服の女性スタッフ)

で、半信半疑のまま、入ることにした。エレベーターで三階へ。高級料亭の雰囲気。長くなるので、このあたりの途中経過は省略。
          浅草今半④ 
          プチリッチ?

目の前に「百年牛丼」がある。大きな有田焼のドンブリ。赤だし、お新香付き。畳と障子戸から明かりが差し込んでいる。他の客は多分1万円以上のメニューを楽しんでいる。隣りと後ろに関西弁の家族と中国語の家族。あまりにポエムな状況。
          浅草今半⑤ 
        主役、登場でありんす
          浅草今半⑥ 
          フタを取ると・・・

フタを取ると、いい匂いとともに、和牛が長じゅばん姿で寝そべっていた(まさか)。大きな薄切りが二枚ほど。見るからに旨そうな霜降り赤身で、その上に焼き豆腐二つと面取りした玉ネギ5個、それにグリンピース。
          浅草今半⑦ 
          百年が見える

値段を考えると、ま、それなりの肉だろうな、と高をくくっていたが、これが大間違いだった。割下で軽く火を通した霜降り牛は噛んだ瞬間、柔らかい感触とジューシーさにうむむ、となってしまった。多分黒毛和牛でもAランクの下だろうが、それを全く感じさせない。
          浅草今半3 
          当たりィ~
          浅草今半15 
          たまりまへんなあ
          浅草今半16 
          焼き豆腐
          浅草今半11 
          秀逸な玉ネギ

関西ほど甘くないのもいい。玉ネギはさっと熱湯にくぐらせた程度だが、それが絶妙。焼き豆腐も申し分ない。牛肉の下には細切りの煮コンニャク。見た目のきれいさも感動もの。
          浅草今半12 
          長じゅばんの奥?

ご飯だけがやや不満。つゆのかけ具合はいいが、米自体の美味さが思ったほど伝わってこない。お新香の中で紅ショウガが美味。仕上げにこれを乗せ、思い切ってかっ込むと、牛丼チェーンの味わいとは別格の美味さが口中に広がった。七味もかけると、これは牛丼の大王、だと思う。イマハン大王さま・・・。
          浅草今半17 
        紅ショウガの秀逸

帰り際、和服姿の中居さんに「よく限定なのに残ってましたね」と言うと、「これはもともとはオレンジ通り店のオリジナルだったんですよ。オレンジ通り店が閉店して、それをこちらで引き取ったんです」とか。今半のランチメニューの中で、多分一番安いと思う。どこか得した気分になって、ついツマヨウジを口にくわえたくなった。オロウカモノめ。

本日の大金言。

今半はあまりに有名で、あまりに安くはない。だが、探せば、その高級感を安く味わうことも不可能ではない。他の老舗も子細にチェックしていけば、新しいリッチな楽しみ方もできると思う。





                 浅草今半18 

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面白すぎ。人形町今半を忘れている。それに1500円は高いということも忘れている。山田風太郎って誰かもわからない。
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赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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