意外な場所の「玉ひで」親子丼

 東京・人形町「玉ひで」と言えば、元祖親子丼で有名な鳥料理の老舗。ランチ時はいつ行っても行列、土日などは1時間以上待たされることもある。創業が宝暦10年(1760年)と古く、あの石原慎太郎さんが常連の店でもある。敷居の低い店ではない。

宮仕え時代に何度か並んで「元祖親子丼」(1500円)などを食べたことがあるが、正直に言うと、一度食べたら、並んでまでも、という気にはならない。とはいえ、生に近いふわとろ卵としゃも肉(東京しゃも)だけの甘く濃厚な味は、往時の東京っ子の好みを知る上では貴重だと思う。
          五味八珍 
          いい外観では?

てな前振りで、本題に入る。群馬・桐生市の中心部・本町をブラ散歩中に、いい店構えの料理屋が目に入った。「五味八珍」(ごみはっちん)の長ノレン。ちょうどランチタイム。入ろうかどうか迷っていると、村民2号が「あら、この店の三代目が、人形町『玉ひで』で修業したんだって」と入り口のメニューをめざとく見つけた。
          五味八珍① 
          当たりかハズレか?
          五味八珍② 
          玉ひで?

「ふわとろ玉子 親子丼」の文字。まさかの玉ひで。行列はない。好奇心がむくむく。これは入るっきゃない。

元々はフグ料理と海鮮料理の料理屋で、三代目が「玉ひで」で修業したことで、鳥料理も売り物に加えたようだ。年季の入った木のカウンター席とテーブル席がいい料理屋の気配。白衣の二代目と三代目、それに女性スタッフが切り盛りしていた。
          五味八珍16 
          ポエム
          五味八珍③ 
          メニューの一部

テーブル席に腰を下ろして、「ふわとろ親子丼セット」(サラダ、お新香、味噌汁付き 1000円=税込み)を頼んだ。メニューがきれいではない。中山秀征と井森美幸のポスターがポエム。
          五味八珍④ 
          おいでやす

15分ほどの待ち時間で、玉ひで直伝の「ふわとろ親子丼」がやって来た。漆器の大きなドンブリ。フタを取ると、黄色い海。ふわとろというより、半熟、いや生に近い部分がどこまでも広がる、あの「玉ひで親子丼」そのもの。細かい気泡までそっくり(当り前だが)。甘いいい匂いが鼻腔を刺激する。
          五味八珍⑤ 
          おおお玉ひで
          五味八珍⑥ 
          半なまの世界

木匙でまずはひと口。かなり濃い。玉ひでは甘さの方が強いが、ここは上州流が入っているのか、甘さが少し抑えられ、かえし(醤油)がきつめ。つゆだくなのは同じ。ご飯はやや固め。
          五味八珍11 
          地鶏の柔らかさ
          五味八珍⑧ 
          出は人形町かい?
          五味八珍12 
          七味をパラリ

鳥肉はほどよい大きさのものがころころと10個ほど。もも肉が多い。玉ひでよりも柔らかい弾力で、悪くない。女性スタッフにそれとなく聞いてみると、「最初の頃は玉ひでと同じくしゃも肉を使ってたんですけど、固いので秋田の地鶏にしました」とか。
          五味八珍13 
          たまらーん

卵は3個使っているそう(玉ひでと同じ)。なめこと豆腐のみそ汁、サラダ、漬け物もフツーに美味い。

「1000円でこの内容だと、コスパも悪くないわ。コーヒーまで付いてきた。私は大満足よ。第一、並ばずに玉ひでの親子丼を食べれるのがいいわ」

「本家玉ひでよりも手ごろなのがいいけど、もう少し醤油を抑えた方が好みだけどね。本家は砂糖まで加えているらしいけど、ここは味りんだけで、砂糖は加えていないようだよ。だから醤油をもう少し抑えた方がいいのにね」

「上州の好みなのよ、この味の濃さが。ボリュームもかなりあるし、わざわざ人形町に行かなくてもいい。いい店を見つけたわ」
          五味八珍2 
          お新香マル

「ここは創業60年くらい。桐生は花ぱんの小松屋とうなぎの泉新、それに坂口安吾も通った芭蕉といういい店がある。そこまでは行かないけど、まずまずいい店だと思う」

「もっといい店が隠れているかもよ。それを探すのが村長の仕事。隠れた美味の発掘屋、なんでしょ?」

「苦節3年、骨折2年、発掘屋もつらいよ」

「またくだらないダジャレでごまかそうとして」

「発掘されたい・・・・・・」

「それじゃミイラってこと? ミイラ取りがミイラに? 笑えるわ」

「・・・・・・」

本日の大金言。

東京に一極集中の代償は地方都市のさびれ感。これは深刻だと思う。人体に例えると、心臓だけで体は動かない。地方の文化、歴史、そこにいる職人さんたちに目線を。



                    五味八珍15 



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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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