バラの命と「冷やしきつね」

 「ああ退屈だよ。どっかパアーッと遊びに行きたいなあ」

10メートルも歩けないゴッドマザーが聞こえるようにつぶやいた。体と頭が昔のように連動しないので、ストレスが溜まっているようだ。このまま噴火されたら困る。

「しょうがないわねえ。じゃあ伊奈のバラまつりでも行く? まだ大丈夫だと思うわ」

村民2号が提案した。で、埼玉・伊奈町「バラまつり」へとポンコツ車を飛ばすことにした。車椅子があることも確認した。
          バラまつり① 
          伊奈バラまつりへ

約380種4800株ものバラが咲き乱れる伊奈バラ園は、すでにピークは過ぎていたが、何とかギリギリセーフだった。バラにも女性にもピークの終わりはある。悲しいかな男はバラにさえなれない。本質的にバラバラな生き物。
          バラまつり② 
          バラの命

その後、ランチをどこで取るか、少々モメたが、結局すぐ近くにある「久兵衛屋(きゅうべえや)」に入ることにした。チェーン店だが、うどんが安くてそれなりに旨い。親会社はすき家などを傘下に持つゼンショーグループ。
          久兵衛屋 
          久兵衛に入る
          窮兵衛屋② 
          B級のうどん

暑かったので、村長は「冷やしきつねうどん」(税別490円)を頼むことにした。週末から凄い料理ばかり続いていたので、基本に帰ることにした。B級の原点へ。村民2号は「きのこつけ汁うどん」(同590円)、元々パワー系のゴッドマザーは「肉つけ汁うどん」(同590円)。
          久兵衛屋⑤ 
          冷やしきつねうどん
          久兵衛屋⑥ 
          チェーン店の実力

これが予想外に旨かった。チェーン店の実力恐るべし。打ちたて、茹でたての自家製うどんを売り物にしているだけあって、やや細めのうどんはコシが十分にあり、のど越しもつるりとしている。つゆは濃いめだが、思ったよりも悪くない。昆布よりも魚介の出汁が強い。
          久兵衛屋⑦ 
          これって原点?

大きなきつね(油揚げ)が一枚、8つに包丁が入っていて、こちらもやや濃いめの味付けながら、十分に冷えたいい味わい。ワカメ、刻みネギ、薄切りの蒲鉾・・・感心したのは揚げ玉。カラリと揚がっていて、ワサビとともにうどんときつねをかっ込むと、冷たい美味が口中に広がり、それが悪くない。かすかに化学調味料の余韻。
          久兵衛屋⑨ 
          揚げ玉とワサビ
          久兵衛屋⑧ 
          自家製うどん
          久兵衛屋4 
          ワカメの鮮度

きのこつけ汁は当たり。この値段でこれだけの満足感は文句なしよ」(村民2号)
「悪くはないけど、これじゃあお腹いっぱいにはならないよ。もう一つ頼んでもいいかい?」(ゴッドマザー)

ゴッドマザーは食べ終えると同時に食べたことを忘れてしまった? まさか? 頭と胃袋があべこべになっている? バラはしぼんでも棘(とげ)はある。やや腹立たしくもあるが、そこが楽しくも愛おしい・・・そう思うことができるか?
          久兵衛屋12 
        ま、食べておくれやす

先日、高貴な義母の介護体験を話してくれた、パリジェンヌ未亡人の言葉が胸に突き刺さっている。夫が他界してから、義母との二人暮らしは約10年間続き、最後の5年間は寝たきりになったそう。そして最後の最期まで一人で身の回りの世話をした。そのこと自体も凄いが、「スプーンで食べさせてあげるとき、本当にかわいいのよ。妙な話だけど」。その心の持ち方。発露。さり気ない話しぶりに内心驚いた。彼女が天使か妖精に見えてしまった。

「もう忘れちゃったの? ダメじゃない」

もう一つのバラの棘が遠慮なくチクリ。その様子を見ている、バラとは無縁な村長。これもまたよし、とも思う。だが、その数分後、「デザート食べにどこに行く? パアーッと行きたいなあ」しぼんだバラが、またつぶやくように言った。バラバラバラ・・・うーん困った。

本日の大金言。

バラの命は短くて・・・とはいえ、その一生には様々な思いが詰まっている、と思う。ひょっとして図書館一つ分の思い。食べ終えた冷やしきつねうどんのどんぶりを見ながら、人は他人をどれだけ愛せるか、つい考えてしまった。









                   久兵衛屋13 

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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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