「日本一親子丼」の味わい

 東京・永田町で利根川会議があり、その合間を縫って、久しぶりに赤坂周辺をうろつくことにした。時間が思っていたほどない。それに空模様が怪しい。蒸し暑さで体中がべとついている。台風が近づいている。

さすが赤坂、美味そうな店が多い。チャーハンの名店に行こうと思ったが、ちょうど昼時で長い行列。こんな日は行列はごめんだ。みすじ通りの途中で、「日本一親子丼」の立て看板が見えた。日本一親子丼だって? そのあざとさが気に入った。
          はやし 
          うーむ

ノボリまで立っていた。「すみやき料理 はやし」。赤坂山王会館ビルの4階。狭いエレベーターで上がることにした。有名店のようで客は多い。だが、午後1時近くなっていたためか、並ぶほどではない。

まさかの世界。赤坂の中心部の小さなビルの4階にかようなレトロの世界があるとは。調べてみたら、「すみやき料理 はやし」は創業が昭和39年(1964年)、つまり東京オリンピックがあった年。半世紀を超える歴史。
          はやし② 
          まさかの世界

ランチメニューは「親子丼」のみ。それも「少なめ」850円、「普通盛り」950円、「大盛り」1050円から選ぶ。恐るべき強気の一本勝負。赤坂という場所柄を考えると、それほど高くはない。

岐阜・飛騨高山の古民家を移築したという室内は、囲炉裏があり、自在鉤(じざいかぎ)が下がり、天井のすすけ具合も時代劇のセットのよう。ビッグハットのTさんもこっそりここに来ているに違いない。
         はやし13 
         ここは飛騨高山?
         はやし③ 
         お新香と鶏スープ

冷たい麦茶をガブと飲んでから、「普通盛り」(税込み950円)を頼んだ。待ち時間は12~3分ほど。まずお新香と鶏スープが来て、いい匂いとともにメーンの「日本一親子丼」がやってきた。陶器のドンブリ。
          はやし⑤ 
          ときめき

蓋がないのがやや残念(丼物は蓋を取る時の楽しみがある)。だが、ふわとろ卵のまんだら模様はマル。中央に張りのある色味の濃い生の卵黄が乗っていた。ふわとろの海に小さめの鶏肉がコロコロ隠れているのがわかる。ネギと三つ葉、それに刻み海苔。色彩の濃淡が悪くない。
          はやし⑥ 
          レベルの高さ

鶏スープをひと口飲んでから、木匙でグイと掬うと、いい匂いと湯気が立ち上がってきた。炊き立てのご飯がやけに白い。人形町「玉ひで」のような過剰なつゆだくではない。それを口に運ぶ。      
          はやし⑦ 
          ご飯のツヤと白さ

味付けは濃いめ。甘すぎないのがいい。鳥肉は胸肉が多く、弾力から見て、ここの売り物の大和鶏ではないと思う。フツーに美味い。卵の黄身を崩す。ドロリとした鶏の夢が痛ましく流れ出す。それが味わいにさらに滑らかさを加える。痛ましいけどポエム。
          はやし⑨ 
          ポエム
          はやし10 
          鶏肉がコロコロ

卵は多分3個使っている。ご飯が意図してだろうが、固めに炊かれている。鶏スープはあっさりし過ぎていて、もう少し深味が欲しい気がする。お新香はフツーの美味さ。ボリュームは多くもなく少なくもなく、ちょうど良い。大食漢は大盛りを頼んだ方がいいかもしれない。
          はやし11 
          胸肉?

全体としてレベルの高い親子丼だとは思うが、茅場町「鳥ふじ」や新橋「末げん」と比べると、それを超えているとは思えない。「日本で二番目の親子丼」くらいにしとけば、ユーモアもあっていいと思うのだが。おばさんスタッフの対応はとてもいい。「千住で二番」の北千住「大はし」の大将の顔が浮かんだ。帰りに途中下車しようかな。

本日の大金言。

親子丼の元祖は人形町「玉ひで」というのが定説。明治中期に、客がしゃも鍋の残りをご飯にかけた食べたのが始まりと言われているが、当初はメニューには出さなかったらしい。あまりにがさつだったため。それが今や丼物の中心の一つにまで出世している。賄い料理がブームになるなど、敷居の低い料理に案外旨いものが多い。



               はやし12 








スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

最新記事
カテゴリ
彦作のつぶやき
最新コメント
月別アーカイブ
カレンダー
06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
最新トラックバック
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR