驚きの発見「チャボかつ丼」

 東京・三鷹時代の友人たちと一泊温泉旅行へ。夜遅くまでドンチャン騒ぎでへろへろ。翌朝、二日酔いのまま、信州・下諏訪まで足を運んだ。

目的の一つは塩羊羹の元祖「新鶴屋(しんつるや)」。ここでしか買えない塩羊羹で、以前知人からいただいた折、そのグレーグリーンの姿とあまりの美味さに腰を抜かしそうになった。で、これは店まで行くっきゃない、となったわけである。
          諏訪大社秋宮 
          諏訪大社秋宮

そのレポートは後日として、今回テーブルに乗せるのは、下諏訪駅からすぐのところにある「食堂 チャボ」。今回の小旅行で最大の発見が、この小さな食堂である。かような場所にかような食堂が存在していることに、うれし涙が数滴出かかったほど。アルコールが混じった涙だが。
          食堂チャボ① 
          いい食堂の気配

下諏訪駅を出て、諏訪大社下社秋宮へ歩き始めたら、すぐ右手に、何とも言えないセピア色の食事処が見えた。夕暮れ前。それが「食堂 チャボ」だった。通り過ぎてから気になって、引き返し、黒地の暖簾をくぐると、白衣の老夫婦がいた。

「すいません。昼はもう終わって、夜は5時からです。あまり長い時間はやってませんけど」(女将さん)
           
当たりの予感。で、夕方6時過ぎに再訪。テーブルが三つほど。壁にはメニューの木札が下がっている。品数は多くはない。小さいながら、隅々まで神経が行き届いた、こだわりの店と感知できた。客は他に家族連れが一組だけ。
          食堂チャボ② 
          メニューは多くない
          食堂チャボ③ 
          隠れ名店?

創業は昭和46年(1971年)とか。ポークのソースかつ丼にも惹かれたが、一番人気という「チャボかつ丼」(税込み750円)を頼むことにした。

「チャボ」という店名からチキンが目玉の食堂。チャボかつとは、チキンカツのことだとわかった。つまりはチキンカツのソースかつ丼。注文と同時に奥の厨房で、トントンという音とともに、油で揚げる軽やかな音が聞こえてきた。
          食堂チャボ④ 
          言葉がない

待ち時間は15分ほど。見事な、甘辛の自家製ソースにくぐらせた、揚げたての巨大チキンカツがドンブリを覆っていた。ひと目で本物、とわかった。いい匂いが立ちのぼっている。その下にはキャベツの千切りが見える。豆腐のみそ汁と、キュウリの浅漬け。隙がない。
          食堂チャボ⑤ 
          美味の山
          食堂チャボ⑥ 
          このボリューム

最初のひと噛みで、そのコロモのカラッとした歯ごたえ、ソースの絶妙、肉の柔らかさ、肉汁の余韻・・・すべてが1.2倍の美味さ。炊きたてのご飯は柔らかめで、タレのかかり具合がほどよい。肉の厚さは1センチほどで胸肉中心だが、柔らかくて上質。食べながらため息が出るほど。
          食堂チャボ⑧ 
          静かな感動
          食堂チャボ11 
          まさかのソースかつ丼
          食堂チャボ12 
          どんどん食べ進む
          食堂チャボ14 
          プロがいる

静かな感動が波のように舌から全身へ。妙な例えだが、地方の草相撲を見に行ったら、大関高安が相撲を取っていたような、そんな感動と言ったらいいのか。

キュウリの浅漬けの美味さも書いておきたい。意地悪な目線でアラ探しをしたが、残念ながら見当たらない。かような場所に飛び切りの老いたプロがいる。憑かれたように箸がすすむ。イッツ、オートマチックだよ。参りました。
          食堂チャボ10 
          恐るべき一品

食べ終えると、老店主にひと言、お礼を言いたくなった。

「チキンはチャボですか?」
「チャボは固すぎて使えないですよ。フツーの鶏肉です。元々はチキンソースかつ丼って言ってたのに、いつのまにかお客さんがチャボかつ丼って言い始めて、それが定着したんですよ。誤解する人が多いですけど(笑)」

「感動しました。長野は駒ヶ根のソースかつ丼が有名ですけど、下諏訪にこういう店があったとは、想像だにしてませんでした。恥ずかしながら」

「昔からずっとこのメニューです。常連さんが付いてくれて、それで何とかこの年まで続けて来れました」

中央ばかり見ていると、世の中を見間違う。諏訪大社とともに、こちらの神様にもそっとかしわ手を打ちたくなるのだった。

本日の大金言。

地方にはいい店が隠れている。中央より地方。そこにいぶし銀が埋まっている。口先だけのアベノミクスより、舌先のアジノミクス。



                  食堂チャボ15 



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赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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