行列に並んで「出町ふたばの豆餅」品定め

 京都に来て「出町ふたばの豆餅」を避けて通るわけにはいかない。「豆大福」を堂々と「豆餅」と称する店は、日本広しといえどもここくらいだろう。関東では虎ノ門岡埜栄泉、護国寺の群林堂、原宿・瑞穂が彦作村長の中では図抜けた豆大福御三家である。だがしかし、友人の和菓子好きがかつてこう断言した。

「和菓子は京都を抜きにしては笑われます。京都は上生菓子屋ばかりではありません。まんじゅうや最中を出すおまん屋さん、そして餅菓子中心の餅屋がありましてね。豆大福は餅屋さんですが、中でも出町ふたばの豆餅はピカイチ。これを食べずして、豆大福について語るなかれ、です」

          出町ふたば① 
          まず並べ。考えるのはそれからだ

「売れ切れたらおしまい」と聞いていたので、午前11時前に、その「出町ふたば」に到着。すでに40人ほどが並んでいた。聞きしに勝る人気ぶりである。店は行列さえなければ、ごく下町の派手で庶民的な和菓子屋さん。虎ノ門岡乃栄泉や群林堂、瑞穂のようなある種の格調の高さはない。女性の店員さんが4~5人で忙しそうに客の応対をしている。奥では男性の職人さんが6~7人で、豆餅に餡を入れる作業をしている。

ターゲットの「新豆赤えんどう 名代豆餅」(1個170円)と「栗みな月」(抹茶200円)を2個ずつ買った。創業は明治29年(1899年)と京都ではそれほど古くはない。初代は石川県の米どころから京都に来て開業。故郷の豆餅にあんこを入れて売り出したところ、評判を呼び、加賀の豆餅を京都に広めたという。現在は4代目。

         出町ふたば③ 
         甘い関係、甘い誘惑

ホテルに戻って、ウワサの豆餅と直にご対面。
「はじめてお目にかかります」
「なんやあんた、今ごろ来るなんて。けったいなお人やな」


          出町ふたば④ 
          偉大なる豆餅

大きさは小ぶりである。直径5センチほど。虎ノ門岡埜栄泉の豆大福と比べると、まるで横綱白鵬と舞の海、いやそれ以上かもしれない。オーバーではなく半分くらいの大きさ。特徴的なのは赤えんどう豆が目立つこと。森羅万象に通じている京都の超人・調布先生がかつて「東京の豆大福は豆がダメ。岡埜栄泉も瑞穂も群林堂も赤えんどうが柔らかすぎる」とバッサリ斬っていたことを思い出した。今回、出町ふたばについて感想を求めたら、「ああ、あそこね。まあ観光客用の店。行列などしたらダメですよ」とこちらもバッサリ。

とりあえず真ん中から切って、賞味してみた。見事なこしあん。甘さは控えめで、くどさのないきれいなこしあんだ。極めて珍しい例だが、砂糖だけで塩をまったく使っていないそうで、そこに店主のこだわりを感じる。北海道十勝産のいい香りが吹き上がってくる。驚くのは餅の柔らかさ。手で引っ張ってみるとどこまでも伸びそう。もともとが餅屋なので、餅に対するこだわりは半端ではない。最上級のもち米を蒸し上げてから、普通の丸餅の倍以上の時間をかけてつくという。塩が少々入っていて、これがピュアなこしあんと実によくマッチしている。


         出町ふたば⑤ 
         おこしやす、こしあんどす

とはいえ、敢えて言うと、こと餅に関しては、彦作村長は虎ノ門岡埜栄泉に軍配を上げたい。好みもあるが、その柔らかさにさらに凄味があると思う。

だが、特筆したいのは赤えんどう豆。これが実に大きくて、しかも固め。この固さが絶妙で、岡埜栄泉や群林堂、瑞穂より1ランク上と見た。京都の赤えんどう豆がすべてこのレベルなら、調布先生の辛口評論も納得せざるを得ない。餅、あんこ、赤えんどう豆。この三位一体のうまさは「さすが」と言うべきだろう。行列ができるのも不思議ではない。


         出町ふたば⑧ 
         月と大納言

「栗みな月」はそれなりのうまさ。豆餅ほどの甘い衝撃はない。大納言と栗がもっちりした抹茶ういろとさっぱりとした三角関係を作っている。賞味しているうちに美熟女の村民2号の分まで食べてしまったことに気づいた。たらりと冷や汗。
「満足でしょ? どうせ村長も三角関係を作りたいんでしょ。甘い三角関係をお望みならいつでもどうぞ」
目が三角になっていた。天国特派員のチャイ、た、たすけてくれー。



本日の大金言。

東の虎ノ門岡埜栄泉、西の出町ふたば。たかが豆大福、されど豆大福。あんこ道に終わりはない。



              出町ふたば② 


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赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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