焼きお結びと冷や汁

あまりに暑い日が続いたので、今回も冷たい美味で行こうと思う。

「冷やし天丼」ほどの衝撃はないが、信州・下諏訪で食べた焼きお結びと冷や汁。これが諏訪神社のご利益か、絶妙な味わいだった。

おにぎりとお結びの違いはよくわからないが、お結びの方が何となく神の力が宿っている気がする。そう言う説もある。諏訪大社の門前にある「料理茶屋 神楽(かぐら)」。縄のれんが神妙に下がり、悪くない雰囲気。
          神楽 
          かしわ手

「今日は午後3時までですが、よろしいでしょうか?」

縄のれんをくぐって店内へ入ると、板場から白衣の店主が顔を出して、そう言った。時刻は午後2時過ぎ。忙しいランチタイムが過ぎて、店内は他に客が一組のみ。

「全然大丈夫ですよ」
          神楽② 
          当たりか?

女性スタッフが冷たいお茶を持ってきた。メニューの中から、目を付けておいた「神楽御膳(かぐらごぜん)」(税込み900円)を頼んだ。焼きお結びが2種類、味噌と醤油。まずそれに引かれた。さらに野菜の「冷や汁」が美味そうだった。いい和食料理屋の気配。
          神楽③ 
          洗練と自然

15分ほどの長めの待ち時間。焼きお結びのいい匂いが板場から流れている。ここでは焼きおにぎりと言わずに焼きお結び。有田焼の器に焼きお結びが2個。お新香と昆布の佃煮が添えられていた。ワサビ漬けのピンポイント。さらに朱色の漆器のドンブリには野菜の冷や汁。これがかなり凝ったものだった。
          神楽⑤ 
          野菜の冷や汁

まずは冷や汁をレンゲで賞味。地場・信州の野菜をすり下ろしたそう。

「ゴボウ、人参、大根などをすり流しにしてます」(店主)

朱色のシャーベットが冷たい美味を演出していた。トマトのシャーベットだそう。塩ベースで、和の出汁がよく効いている。ミョウガの香りがほのかに舌から鼻へと抜けていく。昔はこのミョウガが苦手だったが、今は気にならない。トマトのシャーベットはアイデアもので、全体を冷たく引き締めている。暑さがこの瞬間はどこかへと飛んでいる。
          神楽⑥ 
        トマトのシャーベット
          神楽⑦ 
          凝った作り

焼きお結びは醤油の方が気に入った。地場の天然醸造醤油を使用。焼き色と風味がほどよく調和している。味噌の方は甘めで、一瞬鯛みそかと思ったが、自家製だそうで、信州味噌をベースにクルミやタマネギなど7種類のやさいを加えたもの。両面ではなく片面だけだったのがやや残念だが、これはこれで美味。
          神楽⑨ 
          醤油の焼きお結び
          神楽10 
          ええで、ええで
          神楽11 
          こちらは自家製味噌
          神楽12 
          たまらんでえ

米の味わいも上質。聞いてみたら「茅野の米沢米です。いい米で、献上米なんですよ」とか。美味いはずだよ。食べ終えると、腹八分の満足感。店主の腕が和の修業に裏打ちされている。
          神楽4 
          お新香

舌代を払う時に、何代目か聞いたら、「いえ、まだこの店を開いて、一年半です」。「東京で10年ばかり修業しました」とも。それで納得。その時になって、BGMがなぜか「蝶々夫人」だったことに気がついた。ここはやはり東儀秀樹くらいにしてほしかったが・・・。

本日の大金言。

焼きおにぎりと焼きお結び。庶民派と殿上派。どちらも日本の米文化の粋だと思う。これに美味い漬け物さえあれば、何もいらない。




                神楽13 

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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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