これは何だ?豆腐の新しい味に混乱する

 豆腐は晩酌には欠かせない。絹ごし豆腐と純米酒。枝豆とビール。さつま揚げと焼酎。これは「ウマズイめんくい村」の定番である。村民2号と京都をウロウロと散策中に南禅寺周辺で豆腐茶屋に入ろうと思ったが、ちょっとしたコースで3500円もする。
「2年前に食べたからいいでしょ。まだ景気のいい時に」
「1000円ぐらいでうまくて安い店はないものか」
「そんな虫のいい話、あるわけない。村長がもっと稼げばいいのよ」

「そうだ、豆腐料理を食おう」も京都での壁は高い。
「京都で豆腐を食べないなんて、鰹節を前にして、サッと引っ込められた猫にでもなった気分だよ」

意外だが、京豆腐(絹ごし豆腐)の歴史はそう古くない。豆腐自体は空海が中国から持ち帰ったという説をはじめ諸説あって、はっきりしたことは不明である。しかし、現在のつるっとした絹ごし豆腐は戦後になって登場したという。それまでは木綿豆腐が「豆腐の代名詞」で、今よりも「固くてゴワゴワ」が一般的だった。

現在、日本の食卓に上がっている絹ごし豆腐(京豆腐)は、京都の「嵯峨豆腐」が源流になっている。「森嘉」の先代が中国での体験をヒントに、凝固剤にすまし粉(硫酸カルシウム)を使用することを思いつき、柔らかい豆腐を開発することに成功したという。これが絹ごし豆腐の原点で、戦後の高度成長期の波に乗って、テレビとともに全国の茶の間に浸透していった。

          南座の夕暮れ② 
                          夕暮れの南座

夕暮れ時、華やかな南座周辺から鴨川沿いにトボトボと歩いて三条通りに出て、ホテルに戻ろうとする途中だった。「とうふ処 豆雅傳(とうがでん)」という看板とノレンが視界の隅に飛び込んできた。町家づくりのはんなりした店で、一階が自家製の豆腐が売られていて、二階は食事コーナーになっている。ボードを見ると「湯とうふセット」(1400円)、「生ゆば丼セット」(1000円)などと比較的安めの値段設定。「豆乳ぜんざい」(450円)という文字も見えた。

「ダメよ。もう予算ないわよ。晩ご飯用にコンビニで弁当を買ったばかりでしょ。速やかにホテルに戻って食べる」
「では、こうしよう。デザートメニューだけ食べる。予算は一人500円以内」
「デザートだけなんて、ダメに決まってるでしょ」
「賭けよう」

                 豆腐ドーナツ① 
         ここまで来ている豆腐ワールド

OKだった。他の客が豪華な食事をする中あんこマニアの村長は「豆乳ぜんざい」(450円)なるものを注文。コーヒー好きの村民2号は態度を一変、「コーヒーととうふドーナツセット」(400円)。豆乳ぜんざいにしても豆腐ドーナツにしても初体験。豆腐料理がここまで来たか、という物珍しさも加わって、村長の胸は甘い期待感で一杯になっている。

          豆腐ドーナツ⑤ 
          ようお越しやす

            豆腐ドーナツ③ 
          豆腐ドーナツどす
           
来た。何ということか。「豆乳ぜんざい」は、小豆が底に沈んでいて、外見上はただの豆乳ミルクにしか見えない。小皿に白玉2個と栗1個。一方、「とうふドーナツ」は直径3~4センチのこんがり色のドーナツが3個。実にうまそうなのだ。
「うっふっふ。私の方が当たり。しかも村長より50円安い。領土侵犯は許さないわよ」
コーヒーをうまそうに飲みながら、勝ち誇った表情の村民2号。

         豆腐ドーナツ⑥
                      大納言さまア~
                       豆腐ドーナツ④  
         このお味がわかりますやろか

豆乳ぜんざいは木のスプーンですくうと、いい香りが立ち上がってきた。その下に沈むぜんざいと合わせて口中に運ぶと、極めて薄味のはんなり世界が「ようお越しになりましたなあ。お疲れどすやろ」とささやいてくるよう。拍子抜けの味。もう少しぜんざいが前面に出た方が村長の好みだが、ここは豆腐の店。白玉を乗せてもう一度味わう。甘さがかなり控えめでやさしい味なのだが、脳の中枢には響いてこない。ひょっとしてこれはミスマッチではないか。

                       豆腐ドーナツ⑧ 
         甘く見ると火傷しますえ

「村長の豆腐みたいな頭に響くわけないでしょ。こっちもはんなりしていて、ほとんど甘さがない。豆腐の香りもかすかにする。でも、この自然な柔らかさが溶けるような感じで、とてもいい。コーヒーとの相性もいい。これで400円なら満足満足」
「ちょっとだけ味見させてくれよ」
「領海侵犯。一人で夫婦ぜんざいしてれば?」
ウマズイめんくい村にもドーナツ化現象が・・・。日中国交回復も遠い・・・。



本日の大金言。

和スイーツの新しい波もまだまだ戦国時代のようだ。豆腐という守護大名から信長や秀吉が出てくる日は案外近いかもしれない。豆腐の未来を想像してみよう。


                            豆腐ドーナツ⑦
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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