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「運慶」前の元祖かつサンド

 東京・上野はとんかつのメッカでもある。東京国立博物館で開催中の「運慶」を観に行くついでに、もう一つの目的、湯島の「井泉(いせん)本店」で「元祖かつサンド」を食べることにした。

上野は老舗中の老舗「ぽん多本家」(明治38年創業)、「蓬莱屋(ほうらいや)」(大正元年創業)があり、かつて「とんかつ御三家」の一角だった「双葉」は3年前に閉店に追い込まれている。「井泉本店」は創業が昭和5年(1930年)で、その次あたりに位置する存在。ぽん多本家や蓬莱屋より敷居がやや低いのがいい。ここは「かつサンド」の元祖でもある。
          運慶展 
          大行列だった

「運慶」展は予想以上の大行列で、待ち時間が50分だった。ため息が青空に吸い込まれて行く。見てから食べるか、食べてから見るか。芸術の秋か食欲の秋か。少し迷ったが、村民2号が「食べてから見ましょ」。運慶を見るには体力がいる。で、先にランチとなった。
          井泉本店 
          井泉本店へ

正午前ということもあり、こちらはさすがに行列はなかった。「蓬莱屋」ほどの古さではないが、一軒家の古い木造の店構えと紺地の暖簾はポエム、である。
          井泉本店② 
          メニューの一部
          井泉本店③ 
          いい座敷

暖簾をくぐると、一階はカウンター席で満員。とんかつを揚げる白衣の職人さんが4~5人ほど、さすが老舗のとんかつ屋。中居さんの動きもテキパキとしている。軋みそうな古い階段を上り、二階座敷に案内される。蓬莱屋とよく似たいい雰囲気。村長は「かつサンド」(6切れ 税込み900円)、村民2号は「かつ丼」(同1350円)を頼んだ。ついでに「グラスビール」(同400円)も忘れない。
          井泉本店⑤ 
        元祖かつサンド、登場
          井泉本店④ 
          こちらはかつ丼

初代の女将さんが考案したという「かつサンド」は、創業当時とほとんど変わらないもの。注文を受けてから揚げるので、待ち時間は12~3分ほど。白い大皿に下紙が敷いてあり、そこにきれいに6切れが並んでいた。
          井泉本店⑥ 
          見事なバランス

とんかつはきつね色にきれいに揚げられていて、濃厚な自家製ソースにたっぷりとくぐらせている。見るからに柔らかそうな肉は厚みが1センチほど。思ったほど厚みはないが、上質のロース肉だとわかる。脂身はきれいに取られている。脂身好きにはちょっと残念だが。鮮度のいいパセリがちょこんと添えられている。

食パンは8枚切りの薄さで、しっとりと柔らかい。手に持った瞬間、指型が付くような感じ。
          井泉本店⑧ 
          失礼します

ガブリと行くと、とんかつは揚げたてのサクサク感が残っていて、ソースは思ったほど甘くはない。ロース肉はこの店の特徴である「箸で切れる柔らかさ」。筋や繊維を丁寧に叩いて柔らかく仕込んでいるに違いない。
          井泉本店1 
          マスタードなど脇役陣
          井泉本店10  
        マスタードを付ける
          井泉本店11 
          上質な味だが
 
食パンにはバターもマスタードも塗られていない。余分なものがない。直球勝負の元祖かつサンドで、それがこの店の伝統と矜持かもしれない。途中でマスタードを付けると、さらに味わいに変化が付く。

「かつ丼」はドンブリではなくお重で、黙々と食べていた村民2号が「思ったほどボリュームはないけど、きれいな味で、ヘンなものが入っていない、洗練された味わいだわ。タマネギではなく長ネギというのも伝統を感じさせる。良きトンカツ屋なのは確かだわ。ドンブリにしてほしかったけど」と中辛の寸評。

残りのグラスビールを流し込むと、胃袋が落ち着いた。芸術の秋か食欲の秋か。いや、両方だろう。目線の先には運慶の大行列・・・。

本日の大金言。

かつサンドは銀座梅林も有名。東京かつサンドの東西横綱と言えるが、銀座梅林の創業は昭和2年(1921年)。とんかつ(カツレツ)の元祖は銀座「煉瓦亭」(明治30年創業)と言われている。明治末期から大正、昭和にかけて、上野と銀座はとんかつのメッカだった。かつサンドはコロンブスの卵で、その中から生まれた。


                   井泉本店13
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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