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歌舞伎より「江戸前きつねそば」

 「木挽町(こびきちょう)」と言えば、歌舞伎座のある一帯の旧地名。江戸時代初期の江戸城大修築のとき、全国から集まった多くの木挽き(製材職人)が住んでいた場所。木挽きは大工と並んで、築城などの際に重要な仕事だった。
          歌舞伎座① 
          歌舞伎座は素通り

この一帯には山村座や河原崎座、森田座などの芝居小屋もあり、料亭も並び、当時は一大歓楽街でもあったようだ。

前回の東京オリンピック(昭和39年)のときにこの地名は消えてしまったが、今思うと無粋な話ではある。日本橋の頭上にかけられた首都高速道路といい、池波正太郎はじめ東京を愛した人たちが大いに嘆き怒ったこともむべなるかな、である。
          木挽町砂場 
          こちらへ

という能書きはさておき、この消えた地名を守り続けているのが、「木挽町砂場(こびきちょうすなば)」である。歌舞伎座の裏手にあるそば屋で、創業は明治36年(1903年)。江戸時代まで遡ると「砂場」のルーツは大阪だったようだが、暖簾分けを繰り返すうちに今では大阪のそば屋の匂いはすっかり消えている。正真正銘の東京のそば屋。
          木挽町砂場① 
        この店名と店構え

諸事情で歌舞伎座は素通り。銀座の夜会議に出席する前に、ここで小腹に江戸前そばを入れることにした。歌舞伎座周辺にはもう一つ、有名な「歌舞伎そば」もあるが、「木挽町砂場」ほどの歴史はない。
          木挽町砂場③ 
          これこれ

今回テーブルに乗せるのはここの定番の一つ「きつね」(税込み700円)である。暖簾をくぐると、下町のそば屋の雰囲気と活気。おばさん店員の対応に外連味がない。「やっぱり猿之助がいないと寂しいわねえ」何気ないお客の会話がこのそば屋の位置を感じさせる。

10分ほどでお盆に乗った「きつね」が湯気を立てながらやって来た。大ぶりのきつね(油揚げ)が3枚、かまぼこが白と昆布2種類、長ネギ、それにほうれん草。すべてが普通にきっちりとしている。東京のきつね。薬味の刻みネギをかけ、七味をパラパラ。
          木挽町砂場⑤ 
          東京のきつねそば
          木挽町砂場⑥ 
          きつねやーい

まずはつゆ。カエシが強めで、甘さの少ない、あっさりした江戸前のつゆ。関西の昆布出汁のよく効いた旨みとは別の世界の味わい。じっくりを噛みしめたくなる旨さではない。
          木挽町砂場⑦ 
        関西の対極つゆ
          木挽町砂場12 
          東京の油揚げ
          木挽町砂場11 
          おめえ、どこだい?
          木挽町砂場13 
          すっとこどっこいめ
          木挽町砂場14 
          ほうれん草マル

きつねも薄めでシンプル、京都のだし汁で甘めにふっくらと炊かれたものとは違う。その妙に深入りしない、淡泊な人間関係を思わせる味わいも悪くない。おめえよう、べたべたするのがいい付き合いってもんじゃねえぜ。
          木挽町砂場⑧ 
          二八そば

そばは更科系二八で、つなぎには多分卵白も使っていると思う。コシは思ったほどはない。ほうれん草と長ネギのシャキッとした鮮度。かまぼこも普通に質が高い。

神田「まつや」ほどの食べ終えた後の感動はないが、一滴残さずつゆも飲み終え、ドンブリを返すと、体の中がシンプルになった感覚。あらよっと、尻をからげて、寒風の中に飛び出したくなる。おっとすっとこどっこいめ。

本日の大金言。

東京のそば屋の御三家は「藪(やぶ)」「更科(さらしな)」それに「砂場」だが、関西のうどん文化に対して、東京のそば文化。「きつね」は関西では=うどん、不思議なのはたぬき=きつねそば(天かすではない)。西と東でこうも違うというのも面白い。




                  木挽町砂場15 







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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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