こいつぁ春から「天然酵母トースト」

大方の サラリーマン諸君は今日が仕事始め。だが、村長はペンクラブの急な仕事が入ってしまい、ゲラ片手にきのうから仕事始め。

外にも出ず、マドンナの「MUSIC」をかけながら、午後3時近くまで活字の山とニラメッコ。ついてねえ。小腹が減ったので、栃木・佐野までポンコツ車を走らせることにした。今回の目的はラーメンではない。

以前から目を付けていた「茶房 直(なお)」の自家製天然酵母食パンのトースト! ここを見つけたのはひょんなことから。昨年末にゴッドマザーの実家へ大掃除に出かけた帰り、佐野に立ち寄り、コーヒーを一日三杯飲まないとツノが出始める村民2号のご機嫌を取るために、佐野市内の喫茶店をウロウロ探し回った。で、たまたま見つけたのが「茶房 直」だった。
          茶房直 
          意外な出会い

普通に通ったら、気がつかないほどの地味な店構え。まともな看板すらない。このとき何故かセンサーが働き、思い切って飛び込んでみた。
          茶房直① 
       まさかの喫茶店
          茶房直② 
          隠遁者の世界?

驚いた。一枚板の磨き抜かれた長いカウンターとテーブル席。それに暖炉。ゆったりと時間が流れていた。客は常連らしき品のいい老夫婦が一組だけ。本格的なサイフォンコーヒーの台が3台、ひと目でスグレモノとわかるコーヒーカップやグラスが棚に整然と置かれていた。シンプルなのに隅々まで気が配られているのがわかった。
          茶房直④ 
          あらまあの世界
          茶房直1 
      喫茶店ファンも知らない

晩年の淡路恵子のようなママさんが一人。このコーヒーが美味かった。食べログにも出ていない喫茶店で、ママさんによると、創業は1977年(昭和52年)1月。「昔は3人でやっていたんですよ。でも今の時代はこういう店は流行らないでしょ」とポツリ。

そのときにメニューに載っていたのが天然酵母パンのトーストだった。よくよく聞いたらパンは自家製で、しかも小麦は北海道・美瑛町(びえいちょう)産小麦粉だという。
          茶房直⑤ 
          自家製の極み

ラーメンを食べた後だったので、コーヒーだけで「また来ます」と店を後にした。その幻のトーストが頭の隅に残ったまま。というわけで、今回の再訪問となった。

天然酵母トーストは数種類あるが、最も定番の「トースト」(税込み 450円)を選んだ。むろんブレンドコーヒー(同 500円)も頼む。正直安くはないと思ったが、それは十数分後に間違いだとわかる。
          茶房直⑥  
          幻のトースト

コーヒーの美味さはさておき、このトーストが並のものとは違った。待ち時間は10分ほど。ひと目でただのトーストとは違うことがわかる。厚さは約3センチほど。天然酵母パン独特の香ばしさと深い色。茶グレー。表面にバターが塗ってあり、その焼き加減がとてもいい。イチゴジャムが脇に置かれていた。
          茶房直⑦ 
          利休の世界?
          茶房直⑨ 
          シンプル

切れ目が二筋。それを両手で割ると、素朴なもっちり感と重みが直に伝わってきた。ひと口。表面のパリパリ感と中のもっちり感が絶妙という言葉を押し出してくる。この浮いたところのない美味さは何だろう?
          茶房直11 
          この瞬間

「生地にほんの少し黒糖を加えてるんですよ」

すべてがさり気なく本物で、手抜きは一ミリほどもない。何も足さず何も引かずの世界。これほどの喫茶店なのにあまりに客が少ない。なぜだ? 去年の秋、神戸最古の喫茶店「エデン」で味わった衝撃に劣らない。まさか佐野でかような喫茶店が生き残っていて、しかも隠遁者のようにひっそりと常連客だけを相手にしているように見える。こんなのありか?
          茶房直12 
          理屈は後で
          茶房直2 
          器の凝り方

値段が安くなくても満足がそれを上回るということもある。千利休の世界にも通じるような喫茶店が関東の片隅にある。そのことを素直に喜びたい、と思う。こいつぁ春から縁起がいいわい。

本日の大金言。

ついてねえ。それがついてる、に変わることもある。天然酵母トーストのささやかな教訓。今年はこの小さな出来事を胸の奧に仕舞って乗りきって行こうと思う。


                  茶房直14 

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赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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