立食いそば屋の名物カツカレー

 ペンクラブのデスク仕事で、東京・兜町へ・・・のつもりが、ふとした思いつきで神田明神へ寄り道。正月も10日過ぎたというのに、まだ初詣の参拝客でにぎわっていた。村長にとっても久しぶりの神田明神。お願い事は内緒だが、あまりに寒かったので「綾部糀(こうじ)店」で名物の甘酒(350円)を楽しみ、そのまま末広町方面へと足を延ばした。
          神田明神④ 
          名物甘酒
          神田明神① 
     正月10日とは思えない

ペンクラブの仕事始めは午後1時。時計を見ると正午まで15分ほどある。早めの昼飯を取ることにした。今年の個人的なテーマの一つが「少欲知足(しょうよくちそく)」。欲を少なくして足るを知る。

まずは胃袋から、と立ち食いそば「きぬそば」に飛び込むことにした。ここは東京立ち食いそば番付の名店の一つでもある。店主がカツカレーで有名な神保町の老舗「キッチン南海」で修業し、その暖簾分けとして洋食屋を開いた。だが、昭和47年(1972年)、突如、洋食屋を止め、立ち食いそば屋に転身してしまった。キッチン南海グループの変わり種、と言える。
          きぬや② 
    ただの立食いそば屋ではない
          きぬや① 
          カツカレーの文字
          きぬや③ 
      メニューの親近感

そこからが面白い。原点の「カツカレー」はメニューに残したまま。ゆえに入り口の看板には「そば・うどん・カツカレー」と書かれている。かような立ち食いそば屋は全国でもおそらくここしかない。ただのカツカレーではなく、洋食屋のカツカレー。しかも安い、とくる。

狭い店内は正午前だというのに客で混み合っていた。店主はご高齢で、女将さんと二人で板場を切り盛りしていた。すき間を見つけて隠れ名物の「カツカレー」(税込み 580円)を頼んだ。
          きぬや④ 
          旨そうな天ぷら

待ち時間は4~5分。お吸い物付き。カツカレーはキッチン南海のカツカレーほど黒くはない。黄土色の海。ボリュームも思ったほどはない。少なくはないが、多くもない。まさに少欲知足の世界。ステンレスのスプーンがルーの海に突き刺さっている。ポエム。
          きぬや⑥ 
      隠れ名物カツカレー

トンカツは大きめだが薄めで、揚げ置きなのにサクサク感がある。キッチン南海もカツは薄めなので、その伝統は生きているようだ。肉の柔らかさ。

ライスが意外にいい。洋食屋のライス。カレーはこってり感があり、じっくり煮込んでいることがわかる。タマネギと人参、それにお愛想程度の豚肉がルーの中に溶け込んでいた。塩分と酸味も溶け込んでいる。スパイスもほどよく効いている。
          きぬや⑦ 
        薄めのトンカツ!
          きぬや⑨ 
        ライスがいい
          きぬや10  
      キッチン南海の影?

どんどん食べ進む。キッチン南海ほどの感動はないが、立ち食いそば屋のレベルは越えていると思う。ただ一点、福神漬けが欲しい。紅ショウガが代わりに添えられているが、ここはやはり福神漬けとラッキョウだと思う。
          きぬや12 
         紅ショウガの謎?

券売機ではなく、直に口頭で注文するのも「昭和」を感じさせる。支払いも手渡し。帰りがけにオヤジさんに店名「きぬそば」の由来を聞いてみた。キッチン南海の一字もない、「きぬそば」とはいかに?

「ああ出身が栃木で鬼怒川なんですよ。そのきぬ、です。深い意味はないですよ」

神田明神に眠る平将門も泉下で苦笑いしているかもしれない。少欲知足のスタートにふさわしいB級の食べ始めでもある。ほどよい満足感。口中に化学調味料のかすかな余韻が残った。「きぬぎぬの別れ」とはいきそうもない。

本日の大金言。

洋食屋から立ち食いそばというのはシュールすぎる。シュールという言葉すらも死語に近い。原点のカツカレーをメニューに残しているのが凄いことだと思う。ここはかき揚げそばやげそ天そばも旨い。





                  きぬや13 




スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

最新記事
カテゴリ
彦作のつぶやき
最新コメント
月別アーカイブ
カレンダー
06 | 2018/07 | 08
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最新トラックバック
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR