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山谷地区の仰天「カツカレー」

 曹洞宗に帰依している旧友らと東京・北千住で待ち合わせ。だが、途中でトラブルがあり、集合時間が午後5時となってしまった。
          いろは商店街① 
          いろは会商店街へ

時間が浮いたので、その前に南千住で降り、旧山谷地区をぶら歩きすることにした。久しぶりの山谷。「あしたのジョー」の舞台にもなった「いろは会商店街」へ。老朽化などでアーケードは撤去され、昭和51年(1976年)建築から42年に渡る、戦後の一つの歴史がもうすぐ終わろうとしている。
          いろは商店街② 
     天井が抜け人通りもまばら

10年ほど前に来たときには、仕事にあぶれた日雇い労働者が酒盛りする光景がフツーに見られたが、天井が抜け、青空が広がる下の陰影で所在なげに座り込んでいるオヤジが4~5人ほど見られただけ。西の釜ヶ崎、東の山谷と呼ばれたドヤ街も時代から忘れ去れようとしている。胸の枯野に風が吹く。

樋口一葉記念館をのぞき見してから、清川2丁目で遅い昼めしを取ることにした。腹の虫がわめき始めている。午後2時過ぎ。カツカレー好きの間では知る人ぞ知る食堂「日正(にっしょう)」の煤けた紺地の暖簾をくぐる。
          日正① 
          山谷の名食堂
          日正3 
          カツカレー!

創業が昭和26年(1951年)。店内は古き昭和のまま。山谷の日雇い労働者もここの味を愛したと思う。6人掛けのテーブルが二つと小さなカウンター席だけ。大相撲のポスターや煤けたメニュー札が目につく。あまりにディープな山谷の昭和食堂。活気はない。
          日正5  
          昭和のラインナップ
       
カウンター席に腰を下ろすと、奥の厨房からきれいとは言えない正統派コック服姿の、でっぷりと太った、人のよさそうな店主が水の入ったコップをのそりと置いた。「カツカレー」(税込み 850円)を頼んだ。店主は二代目で、そのあまりにもっさりとした立ち振る舞いに、ちゃんとカツカレーを作ってくれるのかやや心配になった。だが、15分後、それが間違いだったことがわかる。
          日正③ 
          洋食屋のカツカレー
          日正② 
          絶景かな

紙ナプキンで包んだスプーンが置かれ、楕円形の深皿に盛られたカツカレーがすっと置かれた。大きめのトンカツと濃い黄土色のルー、テカリを帯びたライス、正統派福神漬け。それらが3倍ゴシックで洋食屋の本物感をしっかりとかもし出していた。いい匂いが鼻腔に入り込んでくる。ひと目で店主が外見とは違って、ただの食堂の店主ではないことがわかった。
          日正⑥ 
        本格的ルーの世界

トンカツはコロモが油断なく付いていて、揚げたてのカリッとした歯ごたえ、肉は国産豚ロース肉で、厚みは約1センチほど。柔らかくしっかりとしたいい肉だと思う。トンカツというよりポークカツレツのような食感。
          日正⑦ 
          トンカツ、美味

ルーはスマトラカレーに近いトロリとした、香辛料が口中で立ちのぼってくる本格的なルーで、十分に煮込まれた玉葱と豚肉が沈んでいる。ラードの気配もある。ヨーグルトの酸味と塩気も溶け込んでいる。

ヘンな表現だが、ここが山谷だということを忘れるような旨さだと思う。店主が洋食修業をしたのが想像できる味わい。ライスは柔らかめでボリュームはほどよい。福神漬けもひと味違う。
          日正10 
          ソースをたらり

ふと置いてあるウースターソースをカツに数滴かけてみた。これはこれで別の味わいを楽しめるが、店主に失礼な気がして、すぐにやめた。出来ればラッキョウも置いてほしいが、置かないのはこの店のポリシーかもしれない。
          日正4  
          正統派福神漬け

テーブル席で瓶ビールを飲みながらカレーライスを食べていたカップルが、かつ丼を追加した。年季の入ったテレビからピョンチャン五輪の実況中継が流れ、厨房の奥からはボリュームを落とした演歌が聞こえてきた。カツカレーの向こうで昭和がセピア色で手を振っているような気がした。なんてね。

本日の大金言。

神保町「キッチン南海」のカツカレーに負けないカツカレーが山谷地区にあることが驚きだが、時間帯もあるだろうが、お客がさほど多くはない。寂しい街の本格的なカツカレー。店自体はきれいではないが、足を延ばす価値は十分にあると思う。


                  日正11
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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