醤油の街で「小柱かき揚げ天もり」

 羽生結弦に続いて、小平奈緒が金メダル。テレビ観戦だが、興奮し過ぎて、頭の中まで「ごりんごりん」と鐘が鳴っている。困ったことにまだ鳴りが治まらない。藤井聡太の快挙といい、何という2日間だろう。天才と天災は忘れた頃にやってくる。余韻に浸るのは少しの時間だけにしておこうと思う。個人的な戒め。

さて、今日テーブルに乗せるのは、醤油の街、千葉・野田市の老舗そば屋「こな金」で食べたそば一品である。キッコーマン醤油の街でもあり、終戦処理に当たった骨太の首相、鈴木貫太郎が波乱の生涯を終えた町でもある。この人がいなかったら、日本は戦後どうなっていたかわからない。もしも政治にメダルがあったら、確実に金メダルだと思う。
          こな金 
       ひっそりと老舗「こな金」

東武アーバンパークライン野田市駅から歩いて15分ほど、街の中心地でもある流山街道沿いに古い木造の一軒家が見えてくる。「蕎麦」と染め抜かれた白地の暖簾(のれん)がポエム。人通りは驚くほど少ない。地方の衰退はこの街にも及んでいることを実感。
          こな金① 
          江戸末期の暖簾
          こな金④ 
        隅々までそば屋

こざっぱりとした暖簾に江戸老舗のプライドが感じられる。午後1時半過ぎということもあってか、店内には客は一組の熟年夫婦(?)だけ。左手が2卓の小上がり、右手がテーブル席で、壁側には石臼挽きの器械が置いてある。自家製粉の手打ちそば。
          こな金② 
          メニューの一部

年季の入ったテーブル席に腰を下ろして、メニューの中から、ちょっとぜい沢だが「小柱かき揚げ天つきもり」(税込み 1250円)を選んだ。「こな金」は江戸時代末期創業の老舗そば屋で、埼玉でも知る人ぞ知るそば屋。そう安くはない。懐が心配になったが、こういうそば屋ではこのくらいの出費は致し方ない。
          こな金③ 
        誘惑が止まらない

頼んでから、ふと「今月のおすすめ~しぼりたて~」が目の前でひらひら。まるで美女の誘惑。えいやの心境で、「陸奥八仙 青森特別純米生原酒」(同670円)も頼んだ。そば屋で日本酒は付き物だよ、などと言い訳しながら(笑)。
          こな金8  
          そば屋はこれ
          こな金⑥ 
        そば味噌、美味

この特別純米生原酒が素晴らしかった。中口で芳醇、しかもきれいな酸味が舌に心地いい。自家製のそば味噌が付いてきて、これでちびりとやったら、平昌オリンピックも煩悩もどこかへ吹っ飛んで行った。さすが醤油の街の深い味わい。
          こな金⑦ 
     小柱かき揚げ天つきもり

丸皿に盛られたもりは二八の挽きぐるみで、江戸風の細打ち。ボリュームが少ないのが少々物足りないが、コシといい、風味といい、のど越しといい、かなりのレベルだと思う。
          こな金4  
          挽きぐるみ
          こな金10 
          そば職人のそば

ほろ酔いのまま「どこの玄そばですか?」女将らしき女性に聞いてみたら、奥から「北海道産です」の声。奥が板場になっていて、そこに店主らしい影。六代目とか。元々は粉屋で、それがそば屋になり、「こな金」の屋号が今日まで残っているんですよ、と説明してくれた。
          こな金6 
           小柱かき揚げ天
          こな金7 
           さくさくな繊細

小柱かき揚げ天はカラリと揚がっていて、箸でつついたら、さくさくと崩れた。多分ごま油で揚げていると思う。小柱と三つ葉がほどよく入っていて、きれいな天ぷらの香りが口中に広がる。天つゆもいいが、塩で食べたい。こちらも小ぶりだが、明治・江戸の洗練を感じさせ、許せる範囲だと思う。

野田市は歴史のある町だが、人口も減り、醤油で繁栄した過日の面影はない。だが、よく見ると、いい店もしっかり残っている。そのことを確認できただけでも来た意味があった。

本日の大金言。

地方の衰退は想像以上だと思うが、探せばいい店は隠れている。東京の情報より周辺や地方に金メダルが潜んでいるかもしれない。それを探す楽しみもまた格別だと思う。


                 こな金12 














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赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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