「無化調佐野ラーメン」の舌代

利根川沿いにアトリエを構えるケンゾー画伯に誘われ、栃木・佐野までポンコツ車を走らせることになった。彼が注目している若き抽象画家の個展を観るため。もう一つの目的は佐野ラーメン。

ちょっと脇道。ケンゾー画伯の娘さん夫婦が映画製作に携わっていて、今公開中の「モリのいる場所」(沖田修一監督)にもスタッフとしてかかわっている。孤高の画家・熊谷守一を描いた作品。かつてブルーリボン賞でプレゼンターをしたこともある村長(ちょっとだけ自慢してみました)にとってもこの一家は面白い存在(ちなみにその時の監督賞は「誰も知らない」の是枝裕和監督だった)。
          小林孝至展①  
          小林孝至個展(佐野市で) 

まだほとんど無名ながら、若き抽象画家はユニークな抽象画を描いていた。しばしご本人を交えて話した後に、もう一つの目的へ。「ラーメンで旨いのに出会ったことがない。佐野もどうかな」とのたまうケンゾー画伯を今、佐野で注目されている店の一つ「くにや」に案内することにした(このお方、ひょっとしてかなりの食通かあるいは味覚音痴かもしれない)。
          くにや 
          いい店構え

ここは元和食料理人のラーメン店で、化学調味料を一切使わず、麺は地粉を使った青竹打ち。麺類シンジケートの情報ではチャーシューもメンマもひと味違うとか。

その分、一杯の値段がかなりお高い。佐野ラーメンは600円前後がフツーだが、この店は800円なり。村長が知る限り、佐野で一番高いラーメンだと思う。
          くにや2 
          高さと低さ

いい雰囲気の店構えで、店内は比較的新しく、シンプルできれい。ラーメン店を始めたのが2013年(平成25年)と約5年ほどの歴史だが、その前が老舗の割烹料理屋だったとか。和食料理人からラーメン屋への転身は最近では珍しくはないが、この店もその一つ。
          くにや② 
       800円の味とは?

午後1時半過ぎだったので、客はさほど多くはない。カウンター席とテーブル席が計17~8席ほど。カウンターに座って、定番の「佐野らーめん」(税込み 800円)を頼んだ。ケンゾーさんも同じもの。餃子(5個 450円)も定評があるので、頼もうかどうか迷った。だが、予算オーバーで断念した。

広い板場にマスク姿の白衣の店主。無駄口は叩かないという雰囲気が伝わってきた。話しかける島もない。待つこと約15分ほど。かなり長いが、しっかり作っているのが見て取れた。
          くにや⑤ 
      元和食料理人のラーメン
          くにや3 
          隙がない

大きめのラーメンどんぶりが湯気を立てながらやって来た。大きめの煮豚チャーシューが2枚、メンマ、ナルト、ほうれん草、三つ葉、それに刻みネギが醤油ベースの柔らかそうなスープに浮いている。その下の平打ち縮れ麺。構成は海苔がないくらいで定番のものだが、隙がない。
          くにや⑥ 
          スープの深み

よく見ると、とろろ昆布が地味に浮いていた。これは珍しい。和食料理人のアイデアなのだろう。

醤油スープは鶏がらベースだと思うが、魚介類の和の出汁が奥にしっかりと潜んでいて、最初のアタックは醤油がきつめだと思ったが、ふた口めには繊細なあっさり感が上回った。だが、無化調によくある物足りなさが全くない。過剰な旨味をむしろ抑えているような、「わかる人だけにわかればいい」という店主の意図すら感じる味わい。ごう慢と紙一重の世界?
          くにや⑧ 
          麺の秀逸

何より気に入ったのは自家製の青竹打ち麺。佐野ラーメンはコシのないふわふわ系が多いが、ここはしっかりと強めのコシ。しかも麺にいい小麦の風味がある。佐野でも村長が食べた中でベスト5に入る食感。
          くにや10  
          脇役の渋さ
          くにや12 
          麺のコシ
          くにや6 
          煮豚チャーシュー

豚バラチャーシューは柔らかすぎず固すぎず。メンマは控えめ。ほうれん草はいい鮮度。ナルトはフツー。とろろ昆布は気が付かないほどのささやき。

スープをきれいに飲み終えると、ケンゾーさんがボソリと言った。
「ま、フツーのラーメンだね。ラーメンってこんなもんですよ。これでいいんだ」

このお方、食通なのか味覚音痴なのか、いまだわからない。これまで何度か食事をしているが、いつもマズそうに食べる。未消化の謎が頭の片隅に残ったまま、怪しい一行は佐野を後にしたのだった。

本日の大金言。

食事を自然に楽しむというのは案外難しい。無理に楽しむ必要はないが、生きるために食べるとはいえ、どうせ食べるなら、楽しくいきたい。たかがラーメン、されどラーメン。


                  くにや13
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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