石巻魚市場の「三色丼」

 石巻には特別な思いがある。大震災の5か月後に見た現実の光景は未だに脳裏を離れない。写真を撮るつもりがあまりの惨状にシャッターが押せず、結局一枚も撮れずに終わった。カメラマン失格。二度目はその1年後。至るところに残る生々しい傷跡と新しいお墓の配列に頭が混乱した。記者失格。三度目はその4年後の2016年5月。復活したレストラン「豆の木」で伝説のカレーライスを食べながら、ご主人を亡くしたママさんといろいろな話をした。時に笑いながら。人間失格寸前。
          石巻漁港1 
          ウミネコの乱舞

その間も足を運んでいるので、今回が6回目の訪問となる。石巻漁港周辺で昼めしを取ることにした。ただ食べるだけが目的ではないが、漁港ということでつい期待が膨らんでいる。ところが食堂が見つからない。ウミネコの群れが曇り空を埋め尽くしている。魚のおこぼれを探しているようだ。ウミネコの気持ちがよくわかる。仕方なく漁港関係者を探して情報収集。

教えてもらったのが「斎太郎食堂(さいたろうしょくどう)」だった。
          斎太郎食堂1 
        ここ一軒だけ?

「漁港そばにはそこくらいしかないよ。去年仮設から移転してきて、新しくオープンしたんだ。昔より盛りが落ちたけどな(笑)」

3.11前は魚市場の食堂として、地元では有名な食堂だったようだ。
          斉太郎食堂① 
          前と後

新築された石巻水産総合振興センターの一階。「食堂」と赤い文字で大きく書かれたビルの右奥が「斎太郎食堂」で、午前6時半~午後は2時で店仕舞いする。入るとすぐ券売機があり、魚介類から定食、ラーメン類までメニューは幅広い。「海鮮丼」(税込み1500円)が名物のようだが、思ったほど安くないので、「本日の日替定食」(同 800円)の中から「三色丼」(ネギトロ、メカブ、釜揚げシラス)を選ぶことにした。
          斉太郎食堂② 
       三色丼に決めた
          斉太郎食堂③ 
          魚市場の食堂

午後1時過ぎで、出で立ちからお客のほとんどは漁港関係者。たまに観光客らしい姿も見える。ちょっとした大食堂。おばさんスタッフが「お茶はセルフサービスになってまーす」。待つこと10分ほど。お盆に乗った「三色丼」がやって来た。味噌汁、お新香、それに煮物の小鉢付き。
          斉太郎食堂⑤ 
          本日のランチ
          斉太郎食堂⑥ 
          ボリュームは?

これまであちこち魚市場などで食べてきた経験から言うと、いささかさびしい盛り。盛りがいいのは昔のことと思い直す。800円というのも期待する方がおかしいとも言える。
          斉太郎食堂⑦ 
      ワサビ醤油かける

だが、鮮度はさすがだった。ネギトロはビンチョウマグロのようで、盛りがいい。メカブもボリューム十分。釜揚げシラスがボリューム不足。下に刻み海苔。ワサビを醤油で溶いてから回しがけする。
          斉太郎食堂⑧ 
          釜揚げシラス
          斉太郎食堂1 
          鮮度がいい
          斉太郎食堂 
          イワシのつみれ

ご飯は温かく、酢飯ではない。宮城の米は美味い。どんどんかっ込む。やや甘めな味噌汁はイワシのつみれが潜んでいて、素朴な味わい。ある意味典型的な漁師料理で、これでボリュームがもっとあれば文句なしなんだがなあ。3.11前に出会いたかった、という思いがつい頭をかすめた。
          斉太郎食堂2 
          80%の満足
          斉太郎食堂⑨ 
          食べれる幸せ

「食べれるだけ幸せというもんだよ。あんた、勘違いしちゃダメよ」

おばさんスタッフがため息をついた村長を励ます(叱る?)ように言った。明るい。おばさんスタッフの人生を思う。3.11でどう生活が変わったのか、それを聞きたかったが、800円の三色丼を食べながら話す内容ではない。穴があったら入りたい。慌ててため息を丸めて飲み込んだ。丼ぶりの底へ海猫はぐれたる

本日の大金言

3.11からはや7年4か月。熊本地震、西日本の豪雨・・・大自然の仕打ちは人知を超える。忘れてしまっていいもの、忘れたくなるもの、忘れてはいけないもの。地球だって丼ぶりと言えないこともないぞ。丼ぶり感情。



                  斉太郎食堂13 

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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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