老舗居酒屋で名物「千寿あげ」の謎

 東京・北千住は赤羽彦作村長の生息圏である。エンターテインメント新聞時代に2年間ほど住んでいたこともある。明け方まであちらこちらとハシゴしまくって、そのまま会社に行ったこともある。いい居酒屋が多く、江戸の昔の宿場町の古きよき名残もそこかしこに残っている。

テレビで石原太陽じいさんと橋下金太郎の合流会見を見て、彦作村長は、突然のように「千寿あげ」を食べたくなった。寒さになど負けてはいられない、風邪など引いてる場合ではない。永田町の自己保身解散選挙に対して、1票の重みを示さなければならん。立候補者のウソとメディアのウソをしっかり見極めなければいかん。いかんいかん、イカの金ボール。

          永見① 
          おお永見よ

やってきたのは北千住の老舗居酒屋「永見」。ここの名物「千寿あげ」は絶品の揚げ天で、ニンニク入りを食べると、村長の場合は2日間は元気がみなぎる。少なくともハシゴも5軒は軽く行ける状態になる。カラオケも30曲はイケる。今回の選挙は明治維新、終戦に続く日本の将来を決める重要な選挙になる。このところぎっくり腰が悪化して、そこに風邪も併発してしまい、朝のラジオ体操も休んでいる。まずは「千寿あげ」、そこからすべてが始まる。

入り口の帳場にいつもいるはずの名物店主がいない。あれっ、と思いつつ、カウンターに腰を下ろして、「千寿あげ ニンニク入り」(520円)を注文した。もう一品、「牛の煮込み」(500円)も注文。煮込みはもう一軒の老舗居酒屋「大橋」の方が好みだが、永見も悪くはない。居酒屋とくれば、日本酒は欠かせない。メニューの中から純米酒「初孫」(1合590円を選んだ。

          永見⑥ 
          これだこれだ

時計を見ると、午後6時半。店内はサラリーマンやどんな商売をやっているのかわからないおっさんなどでほとんど埋まっている。茶髪のオネエちゃん店員が「千寿あげ」を「ハイッ」と持ってきた。一瞬、視力が低下したのかと思った。以前と同じように3個だが、小ぎれいになって縮んでしまったように見えた。こんがりといい揚げ具合で、粗塩もきれいに振られている。

         永見④ 
         何見てんだよ

村長はうーむと唸りながら、目の前の「千寿あげ」とにらみ合った。どう見ても、以前より一回りは小さい。しかも形がきれいな楕円になっている。つい8か月前に来たときはもっと大きくて、形も野性味に富んでいた。村長は「おまえ、本当にあの千寿あげかい?」と直接尋ねてみたが、返事はない。村長はある種のいぶかしさを覚えながら、まずはひと口。魚のすり身とタマネギの甘みが渾然一体となって凝縮し、そこにニラとニンニクの香りが立ってきて、実にうまい。確かに「千寿あげ」だ。

        永見⑦ 
        看板は変えないぜ

洗練されている。村長は「初孫」をグビと飲んで、タイミングを見てから、古手の店員に変化球を投げることにした。
「形、変わった?」
「いえ、同じですよ。看板ですから、そう簡単には変えませんよ」
「小さくなってない?」
その問いにいささか動揺したように、言葉を飲み込んだ。
「まあ、魚の値段が変わりますからねえ」

         永見⑧ 
         煮込みもうめえよ

もともと追及する意図はないので、そこで話は終わったが、材料の値段が上がると、小さくなるのもやむを得ない。何よりこのいい味を食べさせてくれるだけでありがたい。村長は醤油を付けて食べるのが好きなので、お酒をお代わりして、さらに「千寿あげ」に食らいつく。醤油が絶妙な甘みをさらに引き立たせてくる。頭をサッと切り替えて、永見のいい雰囲気を楽しむことにした。隣の公務員風の客と、解散・総選挙の行方などを語り合いながら、2杯目を空にして、サッと立ち上がった。出口の帳場で舌代を落とす。2200円ナリ。安くはない。帰りしな、気になることを訪ねてみた。

「オヤジさんはどうしたの?」
「引退しました。代替わりしたんですよ」
永田町も北千住も大きな節目のようだ。外に出ると、風がピューっと吹きつけてきた。懐にも。村長は夜空を見上げながら、ハシゴするかどうか迷った。遠くでオネエちゃんの声がしていた。



本日の大金言。

何もかもが小さくなってきた。日本はもともと小さい文化である。そこに洗練と志を求める民族でもあることを思い出した。小さいこともそう悪いことではない。


              永見11 





スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

最新記事
カテゴリ
彦作のつぶやき
最新コメント
月別アーカイブ
カレンダー
08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新トラックバック
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR