こんなところに!天然記念物級どら焼き発見

 進化系佐野ラーメンの新しい流れを取材したついでに、「ウマズイめんくい村」の村民約2人は佐野駅近くをぶらぶらした。駅前の伊賀町を散歩中に村民2号が素っとん狂な声を上げた。
「あれっ?村長、見てみて!どら焼きの看板があるわよ。建物も歴史的!」

               みかわや⑧ 
       この立て看板が

引っ張られるように村長が見ると、うーむ、と唸りたくなるような古い店構えの和菓子屋が。ほとんど人通りはない。「みかわや」という看板が古き良き時代の面影をそのまま残している。「佐野名物 源左衛門煎餅・俵藤太・どら焼き」という文字も見えた。時刻は午後3時過ぎ。客はいない。しかし、どら焼き好きの村長の何かを刺激するものが漂っていた。
中に入ると、奥で女将さんらしき女性が高齢の女性と2人でこんがり色のどら焼きを木箱に入れている作業中だった。白衣姿の店主もいる。一家でどら焼きを作っている。
「いらっしゃいませ。ちょうどどら焼きが焼き上がったところなんですよ。すべて手作業なもんですから。失礼いたしました」

         みかわや④ 
         人の手の重み

2代目だという店主の山本恭徳さん(75)が出てきて、直ぐ後に女将さんがお茶を出してくれた。怪しい村民約2人は恐縮しつつ、焼き上がったばかりのどら焼き(1個160円)を賞味することにした。

         みかわや② 
         焼き立てのどら焼き!

焼きすぎでは、と思えるくらいにこげ茶色に焼き上がった見事などら焼き。大きさはあの日本橋うさぎやのどら焼き(1個200円)より一回りほど小ぶり。その分、厚みがある。プーンといい匂いが鼻腔をくすぐる。小麦と卵とハチミツで作った皮はふわふわと弾力があり、噛むと甘くてしっとり感も十分。中のつぶしあんもやや甘めで、何より粒つぶつぶ感が際立っている。北海道十勝産の大納言小豆を使っているという。砂糖も氷ざらめ(白双)を使っているというから驚いた。申し訳ないが、こんな閑散とした街で、こんな贅沢な材料を使ってどら焼きを作っていて儲かるのか心配になってしまったほど。

とはいえ彦作村長は冷静である。全体的にいいどら焼きではあるが、あの「うさぎや」に比べるとやはり格落ちだな、内心そう思いながら、村長は店主と雑談を続けた。
「うちのがうまいとすると、それはまず水だと思います。佐野は水がいい土地なんですが、うちの井戸はその中でもいい水なんですよ。本当は焼き立てよりも一日置いた方が味がなじんでうまいんです」
出されたお茶が異様にうまいのもこれで納得。

                みかわや⑨ 
         ここで焼き上げる

「いまどきこんな作り方をしている店はあまりないと思います。何から何まですべて昔ながらの手作りなんですよ。質を落とすのは簡単ですが、昔からのお客さんに申し訳ありませんから(笑い)」
まだ日本が景気のいいころ、東京から老舗デパートのバイヤーがやってきて、「こんなうまいどら焼きはない」と出店することを何度も勧められたが、地元のお客さんに申し訳ないから、と断ってしまったという。それが誇張ではないことを村長は次の日に思い知らされた。

          みかわや2① 
         一晩置くと変化が・・・
          みかわや2② 
          旨味の奇跡・・・

お土産に5個買って、翌日、賞味してみた。オーバーではなく1+1が2から3になっていた。皮のしっとり感がさらに進み、中の大納言ともなじんで、「うーむ」と唸りたくなるほどの深い味わい。口中から脳天へと抜ける甘い吹き上がり感が只者ではない。一夜でかわいい生娘が妙齢の美女に変身してしまったかのようだ。ガイドブックやメディアが取り上げない幻の逸品がここにある。
「私の代で店を閉めることになるかもしれません。時代の流れで仕方ないことかもしれませんね」
どら焼き界のイリオモテヤマネコを発見した興奮で爆発しそうになった頭の片隅で、店主が笑いながらつぶやいたひと言が、重くのしかかってきた。


本日の大金言。

時に意外な発見もある。日本もまだ捨てたものではない。メディアの情報だけを信じていると間違いを起こすかもしれない。自戒を込めて。


               みかわや⑤
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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