よき時代の浅草、セキネの肉まん

 エンターテインメント新聞社時代のこと、お笑いの林家ペー・パー子さんから、10個入りの「セキネの肉まん」が何箱かよく差し入れられた。広い編集局中に肉まんのジューシーな香りが漂い、あちこちで歓声が沸き起こったりした。中には「またかよ」という「まんじゅうコワい」奴もいたりしたが。

そのセキネの肉まんは皮に弾力性ともっちり感があり、かじると、肉汁が滴り、中からぎっしりと詰まった豚肉の具が顔を出す。その塊りが転げ落ちないように噛むと、甘めの至福が口中に広がるのだった。よく食べていたふわふわのヤマザキの中華まんとは旨さがふた味は違った。

         セキネ④  
         よき時代の香りが・・・

セキネは創業80年を超える老舗。肉まんとシューマイの専門店で、持ち帰りが基本。浅草時代のビートたけしがよく行った店でもある。エノケンやロッパなど往年の浅草芸人も通っていたはずである。そのセキネの姉妹店が赤羽にある。こちらも浅草本店と同様、店構えが大正ロマンを感じさせる。林家ペー・パー子さんは赤羽店をよく利用しているようだ。

彦作村長はここで「にくまん4個入り」(920円)をお持ち帰りすることにした。美女ではなく肉まんのお持ち帰り。ちょっとした幸福感に包まれながら、ウマズイめんくい村にどっこらしょと到着。ヤマザキの肉まん、じゃなかった美熟女の村民2号が待ち構えていた。「何時だと思ってるの?」。翌日の朝食にすることで何とか折り合いを付けた。

         セキネ④ 
         7~8分待つのだぞ

「レンジでチンしてもいいですけど、蒸した方がうまいです。蒸し時間は沸騰してから7~8分です」
セキネの女性店員のアドバイスを受けて、冬の朝陽が当たる中、鍋を取り出して、肉まんを蒸かす。水蒸気が心地よく上がる。見事なツヤの肉まんが仕上がった。バスタオルを巻いた湯上り美女の風情。これだこれだ。ふううふうしながら、皿にのせる。

          セキネ⑤ 
          早く食べておくれよ

ひと口がぶりといく。以前と同じく皮の弾力性ともっちり感が抜群である。巨大な小龍包のようなこの皮がセキネの特徴でもある。中は空洞のようになっていて、ポーク9割タマネギ1割くらいのジューシーな塊りが、うまそうに鎮座している。ややもすればその塊りがつるりと滑って飛び出そうになる。飛び出すな、男は急に止まれない。これだこれだ、これがセキネの肉まんだ。塩かげんが絶妙で、かすかに薄口しょうゆとショウガの香りもする。やや甘めなのはタマネギの演出なのか。

         セキネ⑦ 
         辛子と絶妙なハーモニー

「うまいわねえ。昔、香港で食べたまんじゅうもこんな感じだった。1個230円というのもうなずけるけど、もう少し安いとありがたいわ。村長の稼ぎ次第だけど」
毒矢が飛んできた。それを間一髪でヒヤリとかわす。
「肉まんの日本での歴史はそんなに古くない。新宿の中村屋が昭和2年に売り出したのが最初と言われているよ。でもそれ以前にあったという説もある。いずれにせよ、中国からやってきて、それを日本流に改良したようだ。関西では豚まん、関東では肉まん。村長はガンまん」
「くだらない。早くガンになってちょうだい。辛子を付けた方が私は好み」
「うむ。どんどん辛口がすすむ・・・」
毒矢がまた飛んできた。



本日の大金言。

よき時代の老舗の肉まんには大正ロマンの香りがする。それはエログロナンセンスの時代でもある。そこから一気に軍国主義に突入するのに時間はかからなかった。今の時代とどこか重なってくる。


                   セキネ①  
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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