Xマスより和だ?『芝浜』と幕の内弁当

 クリスマスイブの前日、コーヒー好きの村民2号が猫足で近寄ってきて、彦作村長の耳元でささやいた。
「日本人がクリスマスで大騒ぎするのはどこか変よねえ。村長もいまだに越中フンドシを愛用しているくらいだから、和の人よね?」
「何が言いたいの?」
「いい店を見つけたのよ。コーヒーがとってもうまい店で、そのマスターが歌舞伎役者なのよ。今晩、そこでディナーショーをやるの。幕の内弁当を食べて、美味しいコーヒーを飲んで、マスターの踊りと一人芝居を楽しむ。それで、一人2000円。安いでしょ。2人分予約してあるから、早く行きましょ。クリスマスより日本の伝統芸よ」
否も応もない。歌舞伎役者だとお?村長のライバルではないか。これは敵情視察に出かけねばなるまい。ポンコツ車をすっ飛ばして、うどんと鯉のぼりの町・埼玉加須市の「カフェ・竜」にダイブした。

         カフェ竜① 
         こんなところに歌舞伎役者が・・・

「カフェ・竜」は昨年の10月にオープン。白を基調としたこじゃれたカフェで、マスターは市川竜之助(42)。歌舞伎座で大舞台も踏んでいるれっきとした歌舞伎役者。出身地が大利根町ということもあり、地元周辺で「コーヒーのうまい店をやりたかった」という。コーヒーにはうるさい村民2号もすでにファンになっている。炭火焙煎ブレンド(400円)の他メニューは豊富で、レアチーズケーキ(300円)やコーヒーゼリーなどのスイーツ類まですべて自家製。口コミでうまいという評判である。

        カフェ竜10 
       絶妙なこだわりブレンド

店内はすっかり芝居小屋に変身していた。午後7時のスタート。歌舞伎座ならぬ「竜座の幕の内弁当」をつつきながら、竜之助の「本日の演目」を聞く。食事の後はブレンドコーヒータイム、それから「日本舞踊」へ。最後に一人芝居「芝浜」というコース。照明から音響まですべて竜之助が一人でやるという。歌舞伎役者の凄味を感じる。

          カフェ竜⑦ 
          幕の内弁当が登場

値段から言ってあまり期待していなかったが、仕出しの幕の内弁当は予想以上のうまさだった。煮物、焼き物、揚げ物、デザートまで華やかに作られていて、腹八分目の分量もちょうどいい。あちらこちらから「竜さんのショーまで見れて、これで全部で2000円なんて信じられない」という声が聞こえてくる。観客は7割が女性。ぐやじい。村長は竜之助に嫉妬した。ぎっくり腰の田吾作と歌舞伎役者。こりゃダメだ。

         カフェ竜② 
         いよっ、竜之助!
         カフェ竜③ 
         ありゃ、撮影はここまで

日本舞踊は意表を突くスタート。普段着から紋付き仕舞袴に着替える早ワザを見せてくれる。少々頼りなげだった竜之介助が芸に入った瞬間、きりりと締まる。狭い特設ステージを目いっぱい使った舞踊はプロのワザ。感嘆の拍手が引いた後、いよいよ一人芝居「芝浜」が始まる。「芝浜」は古典落語の定番の一つで、大酒飲みの魚屋と女房の人情噺(にんじょうばなし)である。これを竜之助が自分で演出。落語とはひと味違った歌舞伎仕込みのパフォーマンスが小気味いい。照明を効果的に使って、約45分の熱演が終わる。ほろりとしたいい余韻が残る。「アンコール」の声がかかる。大音声で隈取のワンシーンを再現する。拍手が鳴りやまない。まさか埼玉の果てでこんなパフォーマンスが見れるとは。2000円の満足。一人芝居はクリスマスの夜まで続く・・・。



本日の大金言。

安倍次期首相殿、「取り戻す」なら日本の伝統芸も。埼玉のへき地でも伝統芸が楽しめる。クリスマスをぶっ飛ばせ、である。



               カフェ竜⑨ 
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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