これはルビー?奇跡の干し柿の存在

 何を隠そう、ウマズイめんくい村は知る人ぞ知る「干し柿シンジケート」の拠点の一つである。ほとんどの人は干し柿を単なる冬の風物詩で、市場に出回っている中国産の安い干し柿などを食って、「けっ、まずいわ」と切り捨てる人もいる。村長の周辺にも「干し柿?そんなにうまいとは思わない」と言う人が多い。いまならはっきり言える。それは人生の損失というものである、と。

          干し柿②  
          偉大なる枯露柿

彦作村長も13年前まではその一人だった。だが、しかし。仕事がらみで山梨の枯露柿(ころがき)をたまたま賞味して、仰天した。値段は少々張っていたが、その洗練された柔らかい歯ごたえと驚くべき奥深い甘みに目を見開かされた。それまで食べたことのある固くて安い干し柿とは別の次元のうまさだった。「これに匹敵するのはフランス菓子のマロングラッセしかないのではないか」そのくらいの衝撃を受けた。ファミリーヒストリーより干し柿ヒストリーをなぜNHKはやらないんだ?

ほとんどの人が誤解しているが、干し柿はワイン造りなどと同じように手間ひまのかかる和のスイーツである。いいものになればなるほど、干し柿職人の気の遠くなるような手間ひまを経てきている。
干し柿界の最高峰に位置する「堂上蜂屋柿(どうじょうはちやがき)」は1000年以上の歴史があり、値段もたった1個で1500円以上するものまであり、天皇はもちろん、あの信長や秀吉や家康まで賞味していた。すべて予約生産な上に値段が値段だけに、悲しいことに彦作村長もまだ賞味する機会に恵まれていない。

         干し柿① 
         ついに干し柿対決

事態が事態だけに、ついつい前置きと言い訳が長くなってしまったことをお許しいただきたい。今回、禁を破って、干し柿シンジケートが総力を挙げてお届けするのは、山梨の「枯露柿」(20個入り2980円)と山形・上山特産の「紅柿」(32個入り2480円)。どちらも今市場に出回っているので、スーパーなどで、見かけることがあるかもしれない。今月いっぱいが一般的に賞味期間なので、固くなりすぎる前に、まな板にのせて品評することにした。ちなみに買った値段はシンジケート値段で破格の安さであることを付け加えておこう。

「枯露柿」は渋柿の中でも巨大な品種、甲州百目か大和百目を使う。彦作村長が手に入れたのは大和百目(やまとひゃくめ)のほう。箱を開けた瞬間、ルビーのような見事な赤が潜んだ白い粉の吹いた干し柿が整然と並んでいた。甲州百目より色が明るい気がする。甲州百目が王様で、大和百目は女王様という表現もある。一個の大きさは少々バラツキはあるものの、タテ70ミリ、ヨコ52ミリほど。厚みは28ミリ。

          干し柿④ 
          奇跡の結晶?
     
真ん中で切ってみると、見事なゼリーのような、熟成したブルゴーニュワインのような、ガーネットのような、そんな表現でも足りない驚きの世界。

         干し柿⑤ 
         こんな色ってありか

「外側はやや固めだけど、中のねっとり感がすごい。濃厚な甘みとその奥には果実の酸味も感じる。私が食べた中でも最高峰の一つと言わざるを得ないわ」
干し柿シンジケートの陰の実力者でもある村民2号が品評する。

         干し柿13  
         こちらは紅柿

上山特産の「紅柿」は一個当たりの大きさが枯露柿の半分もない。しかし、その味わいはより素朴でより自然な甘さが特徴だろう。つるしている間にブラシで何度もこすったりして、甘さと柔らかさを調整する。完成するまで手間ひまを惜しまないのは「枯露柿」と同様だ。こちらは、赤がかなり沈んでいて、紅色というより、黒味と赤味の中間の色合い。中に種が1、2個入っていたりする。ヘタと枝が付いているのが絵になる。

          干し柿⑦ 
          ヘタ付きの妙味

「今回は富山の干し柿を賞味できなかったけど、私はこの三種が干し柿御三家だと思う。堂上蜂屋柿は値段からして別格ということに」
「そうだな。これを機会に干し柿の凄味をもっとアピールしていく事にしよう。干し柿シンジケート活動を少しずつ広げていって、世界のスイーツ界に衝撃を与えよう。エイエイ、オー」
どう見ても干し柿のような村民約2名が気炎を上げた。遠くで、カラスがカアと鳴いていた。


本日の大金言。

干し柿は何も言わない。ふと、座布団にのったきんさんぎんさんを想う。干し柿が日本のルビーになる日はいつだろう?


                     干し柿14 
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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