東京で一番うまい串だんごとは?

 「串だんご」は彦作村長にとって、特別のスイーツである。餓鬼、いや幼少のみぎりから、特にあんだんごには目がなかった。祖先の眠る会津若松にはかつて、飛び切りうまい団子屋があったが、とうの昔に店をたたんでしまい、「これはうまい!」というだんごにお目にかかることは皆無となってしまった。日本の衰退はうまい団子屋がなくなってしまったことと深い関係があると思う。

東京・日暮里の「羽二重団子」は老舗中の老舗団子屋としても有名だが、販売店舗を増やしたことと値段が高すぎることなどで、彦作村長の評価は「それなり」である。うまいにはうまいが、品がよすぎて、感動が不足している。正岡子規や夏目漱石、司馬遼太郎などそうそうたる文人に愛された団子屋ではあるが。B級あんこ道は厳しいんである。

彦作村長がこれまで東京で食べた串だんご(あんだんご)の最高峰は、築地にあった「福市だんご」の名を挙げたい。約10年ほど前に「後継者がいない」という理由で店をたたんでしまった。毎日、少量しか作らず、午前中には売り切れてしまうほど。夕方には固くなってしまうので、店(狭い)で食べるのが一番だった。それだけに、店を閉めたことを知って、彦作村長は大いに嘆き悲しんだものだった。以後、この福市のだんごに太刀打ちできるだんごにお目にかかったことはない。

         槍かけだんご① 
         売れ切れたらおしまい

「かどやの槍(やり)かけだんご」の存在を知ったのは、約8年前。この時期、彦作村長は北千住に「別荘」(安アパート)を構えていた。仕事との関係で、深夜帰宅することが多く、タクシー代節約という目的もあって、北千住に一部屋借りることにしたのだった。で、早朝、近所を散歩していて、今にも倒れそうな古い団子屋(明治の建物)を見つけたのだった。地元ではかなり知られた団子屋だった。メニューは「あんだんご」と「やきだんご」のみ。それが、彦作村長に甘い流し目を送ってきた。

          かどや① 
          この手づくり感

これがうまかった。こしあんは北海道産の小豆を使い、口に入れた瞬間、自家製のいい風味が立ち上ってきた。やや控えめの甘さだが、彦作村長のハートを射抜いた。餅は「羽二重団子」に負けない本物の「羽二重」のような柔らかさ。かつての会津の絶品だんごや「羽二重団子」のようにあんを一個一個手作業で包んではいないのは残念だが、いわば東京風の、あんを上にべたっと乗せただんごだった。それでも、一本一本手づくりで、その素朴な熱意と味わいが直球で伝わってきた。一本90円(現在も)というのも店の志を感じる。

          槍かけだんご2 
          このさりげない凄味

宿場町通りを荒川方面に向かって7~8分ほど歩いていくと、「槍かけだんご かどや」がある。去年11月に建て替えたそうで、店はすっかり小ぎれいになっていた。しかし、味はまったく変わっていなかった。「あんだんご」と「やきだんご」(各90円)を買い、店の脇の縁台で賞味した。「あんだんご」はあんも餅も添加物をまったく使っていないので、すぐに固くなってしまう。買ってすぐ食べるのが一番うまい。「やきだんご」はみたらし団子で、少量を備長炭で焼いている。その焦げ目がいい。味が濃く、甘さもあるが、むしろ醤油の強さが前面に出たみたらし団子だ。これは好みが別れる味だが、餅の柔らかさが素晴らしいので、ファンも多い。

           槍かけだんご⑤ 
           参りました

彦作村長の知る限り、ここの「あんだんご」が今現在、総合力で東京ナンバーワンだと思う。見事なこしあんとつき立ての餅の絶妙な甘さと風味は例えようがない。彦作村長流に表現すると、「脳内エンドルフィンがそよ風のように頭の中を通り過ぎていく」味だ。
「槍かけ」とは水戸光圀公が江戸に行く途中で、この近くの松に槍をかけたことに由来するとか。「かどや」自体の歴史は昭和23年創業とそれほど古くはないが、江戸の昔には、このあたりに団子屋や茶屋が存在していたことに由来するという。

         槍かけだんご④ 
         こちらはやきだんご

そういえば、村長が愛していた北千住のもう一つの老舗和菓子屋「なか井」も後継者がいなくなったために少し前に店をたたんでいる。ここの求肥(ぎゅうひ)入り最中「槍かけ最中」も絶品だった。いい店が後継者難でどんどん店をたたんでいく。これほどの悲しみはない。槍ではなくペンを縁台に置きながら、彦作村長は、「日本の衰退」を嘆くのだった。



本日の大金言。

たかが団子、されどだんご。うまい串だんごは手間ヒマがかかる。日本が「取り戻せる」かどうかは串だんごの行方にかかっている、と思う。


               槍かけだんご⑦ 



 
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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