花の銀座であの「伊勢うどん」の衝撃

 以前、知人の人気コラムニスト・石原壮一郎さんからコシのない「伊勢うどん」の存在を教えてもらい、その驚嘆の味覚世界をこのブログで書いたが、今回はその第2弾・花の銀座編である。本来なら本場の伊勢に行って食べたいのだが、ウマズイめんくい村は財政事情がひっ迫している。それに何より赤羽彦作村長は実に実に怠惰(なまけ者)である。

で、たまたま内幸町にある日本プレスセンターというところで、知る人ぞ知る「おつなの会」の新年会が開かれる。それに引っ掛けて、東京でも数少ない「伊勢うどんを食べれる店」をのぞいてみることにしたのだった。それは銀座6丁目にある「花大根」というお箸屋さんが経営する和食の店。そこに、あの「伊勢うどん」があるというのだ。あの柔らかな衝撃を再び味わえる! 彦作村長はぎっくり腰を抱えながら、ヨッコラショと立ち上がった。

                花大根10 
         ここに伊勢うどんが・・・

「花大根」は「箸 夏野」の地下1階にあった。照明を落とした和のテイストのモダンな店で、カウンターとテーブル席、それに奥には半個室という間取り。カウンターに座ってメニューを見ると、和牛料理に飛騨高山の日和田そば、そして伊勢うどんの文字が。彦作村長は迷うことなく「伊勢うどん 釜揚げ」(800円)を選んだ。野菜か牛筋、どちらか一品も付いている。

         花大根① 
         本場・伊勢直送のうどん

待つこと10分ほど。お盆に載ってあの「伊勢うどん」がしゃなりとやってきた。ありゃ?半熟の温玉が乗って、刻みネギが白い。
「本場では原則的には温玉はないですが、このほうが旨味が出るのです。ネギも本場では青ネギですが、白ネギも意外と合うんですよ」
店の人がそう説明する。伊勢うどんの特徴は「形がない」こと。「コシのないうどんなどうどんではない」という世間の常識とはまるでかけ離れた「融通無碍(ゆうずうむげ)の曼荼羅世界」とでも言いたくなるうどん。温玉があろうとなかろうと、「たいした問題ではおまへんでー。もそっともそっと裃(かみしも)脱いで、ま、食べておくれやす」そうささやかれているようだ。

         花大根② 
         コシのないうどんの衝撃

それ以外はまさに「伊勢うどん」。ぶっ太い釜揚げうどんはもっちりしていて、コシというものがまるでない。ヘンな表現だが、遠い昔にお世話になった母親のおっぱいのような、究極の柔らかさに似ている。そうか、伊勢うどんの食感にどこか救済の匂いがするのはそのためか? 底に沈んでいるダシの効いた溜まり醤油に絡ませる。これだ、これだ。甘めの醤油だれとコシのない柔らかな食感が、彦作村長を陶酔の曼荼羅世界へと連れて行く。温玉を箸でつつくと、どろりとした黄身がほとんどそのまま流出してくる。それをさらに絡ませる。

         花大根④ 
         これだこれだ

ひと味違う旨味が立ち上がってくる。本場でも生卵の黄身をまぶす食べ方もある。これはこれで成立する世界でもある。しかし、ネギはやはり青ネギの方が色目的にも食感としても「伊勢うどん」には合うと思う。小鉢の野菜の煮びたしは気の利いたうまさで、これはマル。花の銀座のほぼド真ん中で伊勢うどんを堪能する幸せ。時計の針で約20分ほどだったが、コシのない伊勢うどんの深~いメッセージ。曲がり角でも柔軟に行け。無腰でも負けるな。それでいいのだ。そんな気にさせてくれる。ぎっくり腰を抑えながら、村長はそろそろと立ち上がった。


本日の大金言。

「伊勢うどん」がもっと普及すれば、世界はもっと柔軟になる。コシがなくてもいいじゃないか。


                    花大根⑨
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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