女が走る昭和レトロカフェの「玄米」

 「村長にはあまり教えたくなかったけど、とってもいい店があるの。私好みの料理と雰囲気のとってもヘルシーなカフェよ」
美熟女の村民2号が彦作村長の耳元で、意味ありげな言葉をつぶやいた。

「愛のコリーダ」や「戦場のメリークリスマス」などで知られる大島渚監督の訃報が伝えられた日の午後。村長はかつて勤めていた新聞社が主催する映画賞で、「御法度」(結局この作品が遺作となった)が監督賞を受賞。車椅子でメガホンを取リつづけた鬼気迫る姿は忘れられない。その贈呈式。審査委員長はビートたけし。たけしは大島渚監督によって役者としての才能と映画への傾斜を深めていったという側面もあると思う。たけしの軽妙なスピーチをにこやかに聴いていた大島渚監督の姿が昨日のことのようだ。戦後の夜空を彩った大きな才能がまた一つ墜ちたことに、彦作村長はウマズイめんくい村を代表して弔意を表したいと思う。

         カフェくうわ14       
         こんなところに

しばし合掌。彦作村長は頭を切り替えてから、村民2号の誘いに耳を澄ました。
「野菜からお肉から何から何まで自然の素材を吟味していて、お客はほとんど女性ばかり。村長みたいな自然というより自然すぎる男は皆無。でも、私は、村長にもっと立派な人になってもらいたいから、今回、特別に連れて行こうと思うわけよ」
彦作村長は久しぶりに顔を洗ってから越中ふんどしを新しいものに取り換えることにした。無精ひげも剃ってから、うむ、と立ち上がった。大島渚監督とのあまりの落差。

ポンコツの愛車を1時間ほど飛ばして、村民2号の案内で久喜市菖蒲町にある「カフェ couwa(くうわ)」に到着。驚いた。周囲には田園が広がり、まるで時代から取り残されたような道路。そこに、ポツンと「カフェ くうわ」が。古い洋品店を改装して、約5年前にオープンしたという。今流行のレトロなレストランカフェで、何やら、女性誌「クロワッサン」にでも出てきそうな雰囲気。

                カフェくうわ10 
          古民家を改装

店内に足を踏み入れると、昭和がそのまま生きているようで、昭和30年代のブラウン管テレビがさり気なく置かれていたり、懐かしい足踏み式ミシンをそのままテーブルとして利用していたりする。感じのいい若いスタッフが注文を取りに来た。手書きのメニューの中から、村長は「青森産ホワイトチキンのスパイシーフライドチキン定食 ハニーマスタードソース添え」(紅茶付き1200円)を選んだ。もっと簡単なメニューにできないものか。言い終えるまで3度も噛んでしまった。ご飯は白米と玄米、好きな方を選べる。村長は「玄米」にした。

         カフェくうわ③ 
         玄米と地場野菜とチキン
         カフェくうわ⑤ 
         こちらは玄米クッパ

村民2号は「牛カルビとたっぷり野菜のキムチ玄米クッパ」(有機コーヒー付き1200円)を噛まずに言った。ぐやじい。周囲を見渡すと確かに女性客がほとんど。若いカップルが一組だけで、残りは多分主婦同士。ゆったりとしたスペースと午後のひと時を楽しんでいるのがわかる。旦那はどうしているのやら。時代は女へ、ということを実感させられる。好スタートを切ったNHK大河ドラマ「八重の桜」を見ても、男の存在が薄くなってきているのは確かだ。

          カフェくうわ⑧ 
          この自然な色

「青森産」(長いので以下省略)は何よりも野菜の自然な色に驚く。ややもすると鮮度が悪いのではと思ってしまうほど。しかし、この近くで採れたというニンジンやジャガイモの自然な色味はどうだ。鶏肉も朝採りした新鮮な肉を使っているという。コロモがカリカリしていて確かに肉は極めてジューシー。味がやや濃いめだが、甘酸っぱい「ハニーマスタードソース」に付けると甘みのバランスがいい。添えられた地場野菜と一緒に口に運ぶと、「ヘルシーな幸福感」に浸れる。ニンニクが一片、皮ごと揚げられているのも女性をさらに元気にする目的か?

          カフェくうわ⑦  
          コシヒカリの玄米

特筆したいのは玄米のうまさ。村長は玄米をかなり食べているが、これほどほほっこりと柔らかく炊かれた玄米と出会ったのは数えるほどしかない。大利根産のコシヒカリを仕入れているという。

「どう、村長、気に入った? 私の玄米クッパの方はまずまずの味だけど、コーヒーはマル。ホントはデザートのケーキも食べたいところだけど、今日はやめとくわ」
村民2号が正月太りした体で、珍しく自分にブレーキをかけた。そういえば周りの女性客はヘルシーな店なのに栄養がたっぷり行き渡ったお方が多かった。店名の「くうわ」とは「暖かな和み」という意味もあるそうだが、本当は「食うわ」ではないか。村長はそう確信するのだった。


本日の大金言。

「カフェ」と「和」。昭和とモダン。日本とアジアン。こうした価値の異種格闘技戦はトレンドになっているが、ここから新しいものが出てくるのかもしれない。明治が和洋折衷からスタートしたように。


              カフェくうわ13 


 
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スープの問題

「くうわ」の料理はうまそうで、私の好みかもしれませんが、1200円は高すぎます。それとスープとか味噌汁はないでしょうか。もしないとしたら、せっかくの玄米がこれではマイナスになってしまうと思います。地場の野菜を使っているなら、コストもそれほど高くないと思います。少しでもいいのでスープか味噌汁を付けるべき。玄米のためにも絶対そう思います。店の人に言ってほしい。
プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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