頂点か?上野うさぎやのどらやき

 「どらやき」と言えば「うさぎや」といわれるほど、うさぎやの「どらやき界」に占める立ち位置は他の追従を許さないものがある。二枚重ねの間に餡を挟むという現在の形は、大正3年(1914年)、うさぎやの創業者で初代・谷口喜作が考案したと言われている。それまでのどらやきは二枚ではなく一枚で打楽器の銅鑼(どら)のような形をしていたという。門前仲町の梅花亭が「元祖どら焼き」として売り出しているものはまさにこの形で、明治の頃のペチャンコのどらやきを再現したもの。つぶあんもしっかり入っている。彦作村長はよくこの店に通って、明治のどらやきを楽しんだものだった。

うさぎやは創業者が開いた「上野うさぎや」、ノレン分けした「日本橋うさぎや」、「阿佐ヶ谷うさぎや」と今では3系統あるが、いずれの店も看板商品だけに絶品である。それぞれ微妙に味わいが違うが、全体としてみれば、ほとんど同系と言っていい。添加物を使わず賞味期限が1~2日という点も老舗ゆえのこだわりで、皮といい餡といい絶妙なつくりで、いまだに人気が高いのもうなずける。

          うさぎや① 
          この店構え

彦作村長がふらりと立ち寄ったのは、一番古い「上野うさぎや」。通りを挟んで、松坂屋の斜め向かい側に位置している。コンクリートの打ちっ放しのモダンな店構えに藍染のノレンが下がっていて、お客がひっきりなしに出入りしている。それだけで人気ぶりがわかる。

財政事情がひっ迫している彦作村長は、ゴホンとわざとらしく咳をしてから一番安い箱詰め(どらやき3個、喜作最中3個入り900円)を注文した。どらやきは単品でも買えるが(1個200円)、さすがに1個とか2個ください、とは言えない。武士は食わねど高楊枝(たかようじ)ではなく、武士は食う時は少し見栄を張る、である。ちょっと字余り。

          うさぎや② 
          見事などらやき様

江戸での用事を終えてウマズイめんくい村に戻ると、さっそく「どらやき界の最高峰」といわれるものを賞味することにした。村民2号が健気にもお茶を入れて待っていた。箱を開けると見事なきつね色のどらやきが顔を出した。大きさを測ってみると、直径は92ミリ、厚さは30ミリだった。どらやきの老舗の一つでもある浅草「亀十」の巨大などらやき(1個315円)よりは小さいが、普通のどらやきよりは大きい。まるでお月様のようで、中でうさぎが餅つきをしているといいたくなる優雅さがある。

         うさぎや③ 
         皮の実力

何よりもここの凄味はその皮だろう。しっとりしている上にもっちり感にあふれている。日本橋うさぎやに比べて、ほんの気持ち、弾力性が高い気がする。そのあたりはまさに好みの世界。「亀十」などはもっとふわふわしている。彦作村長の好みはふわふわよりしっとりなので、上野うさぎやの味は好みである。卵とレンゲのハチミツの香りがいい具合に立ち上がってくる。

「つぶあんはいい風味ね。品のいい甘さで、少し甘めかな。十勝産の小豆の柔らかいつぶつぶ感がさすがね。でも、正直に言うと、私は日本橋の方が好み。全体が気持ちふわっと調和していて、皮とつぶあんのバランスがより絶妙な気がする」
村民2号が品評した。

         うさぎや⑤ 
         ふっくらした小豆

「村長は正直、どちらも好みとしか言いようがない。亀十は値段も高く、ふわふわ感がありすぎるので、村長の評価はそれほど高くはない。どらやきはうさぎやがあまりにも有名だが、意外やほとんど無名の掘り出し物があったりする。すでにこのブログでも紹介しているが、春日部や佐野市の小さな店などその好例だと思う。値段ももう少し安くて、しっかり作っている。村長はそういう店も発掘していきたい」
村長が珍しく真面目な顔で締めくくった。あまりの寒気に頭に異変が起きたのか。どらやきを頭にのせる河童かな。


本日の大金言。

関西ではどら焼きとは言わず、三笠山と呼ぶ。形が奈良の三笠山に似ていることに由来している。名称一つとっても関西と関東の違いが面白い。


                うさぎや⑨ 



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好みの問題かもしれないが、うさぎやのどら焼きよりも小生は亀十の方が上だと思う。確かに値段は高い。しかし、村長は白あんを食べたことがあるのでしょうか。これは絶品です。
ふわふわのスポンジがデカ過ぎて、一個で腹いっぱいになってしまう。体調がいいときしか食えないが、その野暮ったさは超えてます。ウサギと亀の対決は最後には亀が勝つと相場が決まっている。
プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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