深川丼はこうでなくっちゃ、という発見

私め、つまり赤羽彦作村長が少し前まで宮仕えしていたのは深川近くの新聞社。情報を売り物にする記者という職業柄、というより単に「探索好き」というサガゆえ、深川一帯にかけてはかなりの情報通になってしまった。特にうまい店については、ガイドブックがいかにアテにならないかを実感させられることが多かった。

                深川丼⑨ 
          久しぶりの深川不動尊!

その最たるものが名物「深川丼」だった。もとももとが深川の漁師めしで、江戸時代から、このあたりの漁師が、ご飯に味噌汁をぶっかけてかっ込む。それがいつの間にか「名物」になり、グルメ本やグルメ番組などメディアに取り上げられ、「美味いドンブリ」として名前が広まっていった。

白状すると、彦作村長は「これは」と感嘆するほどうまい深川丼に出会ったことがない。それ以上に高すぎる。「深川丼」を売り物にする店は多いが、有名店ほど最低でも1500円はする。2000円以上という店もある。考えてみてほしい。もともとはご飯に味噌汁をぶっかけただけの漁師めしである。「なんだこれは?これで1800円もとるの?」何度がっかりさせられたことか。

         深川丼⑧ 
         悪くない店構え

宮仕えを辞してから、約1年ぶりの門前仲町。時間は午後1時半。ある会合に出席する前に深川不動尊の大鳥居をくぐった。宮仕え時代によくしたように100円のお賽銭(おさいせん)で、山のようなお願いごとをしてから、周辺をうろうろすると、新しい小さな店が目に入った。「和食堂 たこ井」という看板。「深川丼 950円」というメニュー。村長は「安くてうまい店」を見つける能力に関しては少々自信がある。他の能力にはまったく自信がないが。店構えから「これは当たりかも」。

「深川丼」という看板を掲げていても、炊き込みご飯だったりすることも多い。入ると、6~7人ほど座れる白木のカウンターとテーブルが一つしかない。食堂というより小料理屋といった雰囲気。白衣に和帽子姿のメガネをかけた正統派料理人(店主)が一人。その立ち姿がよかった。テーブルに腰を下ろして、「ぶっかけ」かどうかを尋ねると、「うちはぶっかけです」。ストライク!平日のためか客は他に女性が一人。有名店「近為」が7~8人ほど並んでいたのと比べて、これはいかにもである。

         深川丼① 
         深川丼である

いい味噌のだし汁の匂いとともに「深川丼」がやってきた。大きめのドンブリにふっくらしたむき身のアサリがゴロッゴロッと鎮座し、賽(さい)の目切りにした豆腐と大根、人参が「ぶっかけ」られている。三つ葉がパラパラ乗っている。普通ならランチで950円は安くはない。しかし、深川丼のあまりの価格高騰を考えると、ここは良心的と言える。見た目は合格。問題は味である。

木のスプーンですくってひと口。イケる。何より出汁がよく効いている。合わせ味噌を溶け込ませただし汁が絶妙で、ふっくらと炊かれた白米とのバランスがいい。そして、深川丼の主役でもあるむき身のアサリの姿がいい。ふっくらとグラマラス。化学調味料の匂いもしない。どんどん食が進んでいく。

        深川丼② 
        これこれ、このぶっかけ

彦作村長がこれまで食べた「深川丼」はひどいものになると、ただのみそ汁としか思えないものをぶっかけたものだったりした。あえて名前は書かないが、有名老舗である。

          深川丼④ 
          アサリと出汁が決め手

「深川丼はアサリと出汁なんですよ。出汁をしっかり取るのは手間がかかるので、それをちゃんとやってるかどうかが決め手だと思います。味噌は合わせが一番です」
と店主がさり気なく言った。
聞くと、山形出身で、今話題のNHK大河ドラマ「八重の桜」が関わることになる同志社出身だという。祖先が会津藩士(足軽)でもある彦作村長とどこかでつながっているかもしれない。それにしても、うまくてリーズナブルな深川丼を山形出身の料理人が作っているとは・・・。東京の下町・深川。本来の深川は上げ底の街ではない。人気に胡坐(あぐら)をかいて「高くてうまくはない深川丼」を平気で出していると、やがて「深い川のドンブリ」になってしまうと心配になってしまった。



本日の大金言。

深川は小津安二郎監督の故郷でもある。傑作「東京物語」の世界はもうどこにもないのか。日本人はどこへ向かっている?


                深川丼⑦ 




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NoTitle

ひょっとしてユージさん?赤羽彦作って何ですか。門仲に来たら電話くらい下さい。相変わらず筆が達者で脱帽します。今度一杯やりましょう!

NoTitle

深川めしばかにしてんじゃねえボケェェェ
プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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