午前中で売れ切れ、奇跡の「いがまんじゅう」

 「村長、北埼玉にすごい生菓子の店があることを知ってますか?」
ある日、グルメでやり手の税理士が、彦作村長が大のあんこマニアであることを知ってか、そんな情報を教えてくれた。しかも、北埼玉のB級グルメの「5番打者」的存在の「いがまんじゅう」が絶品で、早い時間に行かないと売り切れてしまうという。そこの主人が「頑固一徹な和菓子職人」で、手間ひまを惜しまず、納得のいく数だけしか作らないというのだ。これは行かずばなるまい。

           一福③ 
           隠れた名店

ポンコツのマイカーを吹っ飛ばして、彦作村長は、その店に向かった。鴻巣市郊外にある「一福」。この辺一帯には他にも「いがまんじゅう」の店はある。「いがまんじゅう」は鴻巣市や加須市、行田市、羽生市などに古くから伝わる「伝統生菓子」で、まんじゅうをお赤飯で包んだもの。見た目には、お赤飯の握り飯のようで、日本の和菓子の常識からいうと、不思議な和のスイーツである。みのもんたの「秘密のケンミンSHOW」で取り上げられ、そのあまりのお姿と味にスタジオが揺れたほど。まんじゅうをお赤飯で包むという発想自体がクールである。

          一福④ 
          ほとんど売り切れていた

店に着いたのはまだ陽も高い午後1時半。まさか?小さな古い店のケースの中はほとんど空。税理士の言葉が本当だったことにガク然とする村長。「いがまんじゅう」はもちろん「大福」もない。辛うじて、「草大福」が残っていた。そのあまりのデカさ。3個(1個140円)買い求めた。ご主人はかなりの高齢で、一見無愛想だが、その全身からいい職人特有の「頑固さ」が漂っている。
「今度来るときは電話をください。ちゃんと取っとくから」

         一福② 
         貴重ないがまんじゅう

後日、村長の自業自得の空振りを知った税理士が哀れと思ったのか、「いがまんじゅう」(1個150円)と「大福」(1個140円)を届けてくれた。さっそくウマズイめんくい村の村民2号も交えて賞味となった。いがまんじゅうは見事なお赤飯に包まれている。大きさを測ったら、直径8センチ、高さ5センチほど。握り飯くらいの大きさ。村長はこれまで何度かいがまんじゅうを食べたことがあるが、これほどの圧倒的な存在感を感じたことはない。何よりもお赤飯が見事な色つやでささげも福々としていて、その姿は重厚と表現したくなるほど。

          一福④ 
          この圧倒的な存在感

「普通のいがまんじゅうは蒸かしたまんじゅうにお赤飯を付けるくらいですが、ここのはしっかり包んでからさらに蒸すんですよ。つまり二度蒸しするんです。主人はその方が味がなじむと言うんです。ここまで手間ひまをかけてこだわるのがすごいんです」
税理士のウンチクを聞きながら、握り飯のようにがぶりと行く。もちもちしたお赤飯の奥から蒸かし立てのまんじゅうが現れる。北海道産の小豆を使ったこしあんはぎっしりと詰まっていて、しっとりした皮の食感とともに、予想外のハーモニーを生み出す。こしあんは控えめな甘さ。ミスマッチというより「三位一体の怒とうの寄り」でぐいぐいと素朴なうまさを押し出してくる。これまで食べた「いがまんじゅう」には感じなかったうまさ。その本格的で素朴な絶妙に少々感動を覚えてしまった。

         一福⑦ 
         大福でござる
         一福① 
         草大福でござる

「お赤飯には塩が少し入ってて、これだけでもうまいわね。それがまんじゅうのうまさを引きたてている。大福の方はホント素朴な大福餅って感じ。餅は固めでしっかりしているけど、これだけドテッとしてると、好みが別れるわね。大きさは昔の虎ノ門岡埜栄泉の豆大福みたいに巨大だけど、あの柔らかさとまるで違う田舎のお大尽(だいじん)って感じ。一個はとても食えないわ」
「比べるのがおかしいよ。草大福もホントに田舎の素朴な頑固一徹の味で、これだけしっかり作っているのが確かにすごい。村長は大福のつぶあんの方が好みだなあ。でも、いがまんじゅうがやっぱりすごいと思うよ。午前中で売り切れになるというのも納得できる。店主はご高齢だけど、この貴重な味を何とか守ってほしいよ」
村長がアホ顔で言うと、全員いがまんじゅうを口にしたまま、うなずくのだった。



本日の大金言。

手間ひまを惜しまない。この職人技が日本からどんどん失われていく。若い人へのバトンをどうつなぐか?


                    一福① 
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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