「究極の親子丼」の味とは?

 「あんなにうまい親子丼は食ったことないぜよ。村長は食べたことあるかい?」
彦作村長のグルメ仲間である柏の仙人が、先日、村長にメールを送ってよこした。東京・茅場町にある「鳥ふじ」である。最近、メディアでも「親子丼の名店」として取り上げられることが多い。
茅場町は秘密ペンクラブのある兜町の隣町。彦作村長は柏の仙人のやや挑発気味のメールに首を振りながら「親子丼の名店に美味い店はないよ。第一値段が高すぎる」とつぶやくのだった。

          鳥ふじ① 
          さ、さ奥へ奥へどうぞ

秘密ペンクラブの会議で地下鉄茅場町駅を降りたとき、小腹がキュンと鳴いた。時計を見ると午後1時20分。会議には少々時間がある。
「そうだ、行ってみるか。柏の仙人の舌を検証してみることにしよう」
売りきれたらその時点で終了、という超人気店だということは聞いていたので、とりあえず電話することにした。一日限定10食の特製親子丼(1400円)はすでになくなっていて、「親子丼」(950円)も残り1食分しか作れないという。ぎりぎりセーフ。応対した女性店員の感じはとてもよかった。
「それでは一つお願いします。あと10分ほどで到着します」

「鳥ふじ」はビルの2階にあった。入り口に「究極の親子丼」という看板。自分で「究極の親子丼」と名乗るからには相当な覚悟と自信があるはずだ。これは当たりかはずれか、多分どっちかしかない。

村長はエンターテインメント新聞社時代に、宝暦10年〈1760年)創業の老舗中の老舗、人形町「玉ひで」で約1時間並んで「元祖親子丼」(1500円)を賞味したことがある。ここはかの石原慎太郎ファミリーが贔屓(ひいき)にしている鳥料理の老舗で、土日などは2時間待ちということもある異常人気店。しかし、美味いにはうまいが、1時間待って1400円払うほどの味とは思えなかった。何よりも「親子丼」のメニューが多すぎる。「白レバ親子丼」や「匠親子丼」は1800円というお値段。価格と満足度が一致しなかった。
その後に入った喫茶店の女将が「あそこは地元の人は行かないよ。あんなに敷居が高くてあんなに待たされるなんてバカみたい」と言ったことが面白かった。

         鳥ふじ③ 
         まずはつくねと柴漬け

「鳥ふじ」の950円はそう安くはないが、問題は内容である。10人ほど座れる白木のカウンターとテーブルが4つほど。店内の雰囲気は和の清楚が隅々まで行き届いて好感が持てる。5、6分ほど待たされてからまず鳥のつくねの小鉢と柴漬けが置かれた。続いて鳥のスープ。「熱いですからお気を付けください」と女性店員。ダシの効いたつくねと柴漬けに感心した。特に柴漬けは絶品。スープは火傷しそうになったほど熱かったが、品のいい味わい。

         鳥ふじ⑤ 
         スキがない

さらに6、7分ほど待たされてから「親子丼」がやってきた。大きめの黒い漆器の丼ぶりに半トロふわふわの見事な卵が雲海のように広がり、その間に間に大きめの鶏肉がごろっごろっと岩肌のように鎮座している。名古屋コーチンの中でも最高級の稲垣牧場の純粋コーチンを使っているという。三つ葉の緑が村長の近眼の目に滲みる。

         鳥ふじ⑧ 
         着色しておりません

黄色というよりオレンジ色に近い「こだわり卵」と鶏肉とご飯を次々と口に運ぶ。割り下はやや甘めでダシがよく効いている。ご飯は固めだが、それは村長の好みでもある。五臓六腑(ごぞうろっぷ)にじんわりとじみこんでくるような自然な味だ。素材から味付けまで添加物を徹底して排除しているというのが理解できる。店主は湯島の老舗「鳥つね」で修業したという。

感心したのはスプーンを置いていないこと。トロトロの親子丼なのにギリギリのバランスで箸だけで食べれる。村長はそこにこの店のこだわりを感じる。卵はおそらく3個ほど使っているのではないか。鶏肉はもも肉と胸肉の両方を使っている。全体として「究極」かどうかはさておき、「見事な親子丼」と言わざるを得ない。完食した後に、どこかから柏の仙人の「オレの言ったとおりだろ?」という声が聞こえてきた。ぐやじい。



本日の大金言。

親子丼は1000円までだと思う。丼ぶりものが江戸の昔からのB級グルメだとしたら、の話だが。


                     鳥ふじ10 
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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