タイムマシンで「明治のどら焼き」を賞味

 老舗の「どら焼き」を幾度か取り上げたが、現在の二枚重ねの形になったのは大正時代に入ってから「上野うさぎや」が考案したと言われる。だが、それまでのどら焼きは一体どんな形をしていたのか?どら焼きファンとしてはその謎を知りたいところ。
「明治の昔のままの一枚皮どら焼き」の存在を知ったのは、約8年前。彦作村長が宮仕えに邁進していたころ。門前仲町・深川不動尊の仲見世にある「梅花亭」で、「元祖どら焼き」「明治のどら焼きを再現しました」という書き文字が見えた。「梅花亭」は霊岸島に本店があり、創業が嘉永6年(1850年)という和菓子の老舗。

          梅花亭① 
          こじんまりとした佇まい

ノレンをくぐってのぞいてみると、確かに一枚皮でまさに「銅鑼(どら)」の形だった。なぜ「どら焼き」というのかすぐに理解できた。5個買い求めて賞味したら、真っ平らな一枚皮の中にやや甘めの粒あんがギッシリと詰まっていた。うさぎやの洗練されたふわふわもっちり感とは違うある種の野暮ったい美味さ。「これが明治のころの(ひょっとして江戸時代も?)どら焼きかア」不思議な気分だった。

                梅花亭① 
        老舗はさりげない

以来、作家先生や取材相手にちょっとした手土産として持っていくと、結構喜ばれた。このブログに書くために久しぶりに「梅花亭」を訪ねた。
「あら、最近お顔が見えなかったけど、お元気でいらした?」
「その節はお世話になりました」
近況などを中心に女将と久しぶりに歓談してから「元祖どら焼き」を5個(1個210円)買い求めた。

         梅花亭② 
         明治のどら焼き

ウマズイめんくい村に帰って、久しぶりの賞味となった。濃いめにこんがり焼けた平べったい形。直径110ミリ。厚さ13ミリ。粒あんがうっすらと見え隠れしている。ハチミツが焦げたようないい匂いがプンと鼻腔をくすぐる。「これだこれだ」ガブリとひと口行くと、やや固めの皮の食感と北海道産の小豆のいい風味が絡み合って口中に広がってくる。濃い味。洗練とは違う明治の文明開化の熱い風を感じる。野暮を承知のどら焼き。口の中で明治の心意気が溶けていく。一瞬だけ明治の雑踏の中にタイムスリップしたような気分に襲われる。

         梅花亭⑨ 
         タイムスリップ!
         梅花亭⑤ 
         ホントのどら焼き

「職人さんがとっくの昔に亡くなっているので、再現には苦労したんですよ。皮の加減がむずかしんですよ。あんこを乗っけて焼くんだけど、その加減がむずかしくて大変だった。一枚一枚手づくりなので、量もそう多くは作れませんからね。でも、昔のどら焼きを知ってもらいたい気持ちも強くて頑張ったんですよ」
女将のけれんみのない話しぶりがよみがえる。

         どら焼き①  
         一枚の中に見事な粒あん

「久しぶりね。私はここのどら焼きが好き。この紙一重の野暮ったさがいい。粒あんの入れ方に感心するわ。昔は本当にこんな形をしてたのね」
村民2号が懐かしげに品評する。

「うさぎやのどら焼きとは全く違うどら焼きで、こちらの方が源流なんだよ。知らない人が見たら、これがどら焼き?って驚くだろうな。日本はどんどん小さくなっているけど、この明治のどら焼きを食べると、何だか元気が出てくるよ」
どら焼き食べて銅鑼を叩く。日本を取り戻すより、心意気を取り戻す。アベノミクスよりアベニドラヤキ、である。


本日の大金言。

明治は遠くなりにけり。昭和も遠くなりにけり。給料も遠くなりにけり。だが、どら焼きは近い。


                 梅花亭③
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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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