西荻で「あの伊勢うどんの行列」に並ぶ
うどん界の常識をくつがえすコシのない 「伊勢うどん」はこのブログでも何度か取り上げたが、この正体不明の柔らかさと醤油だれのうまさは食べてみなければわからない。コラムニストの石原壮一郎さんが、昨年7月に「伊勢うどん友の会」を立ち上げ、「このギスギスした世の中が少しでもブヨブヨになることを願って、太くてやわらかい伊勢うどんスピリッツを追求していきたい」と宣言。以来、東京にも「伊勢うどんを食べれる店」が少しずつ増えて、メディアの注目度もブヨヨ~ンとアップしてきている。
その「伊勢うどん友の会」から、連休中に「一日限定の伊勢うどんカフェを開きます」という案内が届いた。場所は東京・西荻窪の「KISS CAFE」。これは行かずばなるまい。彦作村長はギックリ腰の身体をヨロヨロと立ち上げ、杉作・・・じゃなかった美熟女の村民2号の介護付きで出かけることにした。会津B級グルメの旅で歩きすぎて、酸素吸入器が必要なくらいだった。
東京で伊勢参り?
西荻窪駅から歩いて5分ほど。「KISS CAFE」の前は人だかりができていた。行列の最後尾に並んで、ようやく店内に入ると、混み合っていた。だが、さすが伊勢うどんの世界。ギスギスしたところはなく、「ま、ゆっくりのんびりいきまひょ」みたいなある種の譲り合いがあちらこちらに「陽だまり」を作っているようだった。朱塗りのドンブリから伊勢うどんの湯気がうまそうに湯気が立ち上がっている。たまり醤油のいい匂いが鼻腔をくすぐる。石原壮一郎ファンなのか比較的若い世代の女性客も多い。
期待が高まる
カウンター内には割烹着姿の「伊勢うどんガールズ」(石原さん命名?)が4人ほど忙しそうに客をさばいていた。村長と村民2号はメニューの中から定番の「伊勢うどん」(400円)を注文した。ふと見ると、手ぬぐいを頭に巻いて、Tシャツ姿の妙なオッサン(失礼)がいた。石原壮一郎さんの生もの! 奥にある厨房と客席の間を行ったり来たり。天下のコラムニストが料理人兼ドンブリの運び屋(?)までやっている。「石原さ~ん、おいしいわよ~」あちこちからピンクの声援も上がったりしている。石原さんそのものが伊勢うどんに見えてきた。無コシの自然体。入り口も出口もない、無重力の世界。その柔らかな洒脱(しゃだつ)の世界。
あら、石原さ~ん
伊勢うどんの歴史は古い。江戸時代以前にすでに伊勢市を中心として「味噌のたまりをからませたうどん」文化があったという。江戸時代に入ってからは「伊勢参り」の参拝客相手に釜揚げうどんをたまり醤油と一緒に出す店が出始め、混み合ってもスピーディーに出せ、しかも味わい深い現在の伊勢うどんのスタイルが出来上がっていったという。
この自然体
湯気とともに伊勢うどんがやってきた。カツオだしがよく効いた醤油ダレが朱塗りのドンブリの底で「ようおいでやしたなあ。ま、ゆるりとしていきなはれ」とささやいているようだ。刻んだ青ネギがかかっているだけ。その実にシンプルな姿。
醤油だれと絡ませてっと・・・
コシのないすご味が・・・
ぶっとくてもちもちした熱々のうどんを底の醤油ダレに絡ませる。口に運ぶ。まるでコシというものがない柔らかな衝撃がじんわりと五臓六腑に滲み入ってくる。うどんに絡みついた醤油ダレのほどよい甘み。ストレスというストレスが次第に溶けていくようだ。なぜかジョン・レノンの「イマジン」と「ラブ」が聞こえてくる。伊勢うどんとジョン・レノン。案外、面白いテーマかもしれない。
至福のカンショク
「村長、しっかりしてよ。目がとろんとしてるわよ」
村民2号の声で現実に引き戻される。
「コシがなくてもこんなにうまいうどんがあるということに改めて驚くわ。来てよかった。でも、ただ一点。青ネギが少なかった」
村民2号がボソッと言った。
「省アオネギーというのも伊勢うどんの世界なんじゃないか」
村長のくだらないダジャレがドンブリの底に沈んでいった。
本日の大金言。
伊勢うどんは哲学的でもある。コシ中心の世界観を一瞬にして相対化してしまう。こんなうどんは他にない。
その「伊勢うどん友の会」から、連休中に「一日限定の伊勢うどんカフェを開きます」という案内が届いた。場所は東京・西荻窪の「KISS CAFE」。これは行かずばなるまい。彦作村長はギックリ腰の身体をヨロヨロと立ち上げ、杉作・・・じゃなかった美熟女の村民2号の介護付きで出かけることにした。会津B級グルメの旅で歩きすぎて、酸素吸入器が必要なくらいだった。

東京で伊勢参り?
西荻窪駅から歩いて5分ほど。「KISS CAFE」の前は人だかりができていた。行列の最後尾に並んで、ようやく店内に入ると、混み合っていた。だが、さすが伊勢うどんの世界。ギスギスしたところはなく、「ま、ゆっくりのんびりいきまひょ」みたいなある種の譲り合いがあちらこちらに「陽だまり」を作っているようだった。朱塗りのドンブリから伊勢うどんの湯気がうまそうに湯気が立ち上がっている。たまり醤油のいい匂いが鼻腔をくすぐる。石原壮一郎ファンなのか比較的若い世代の女性客も多い。

期待が高まる
カウンター内には割烹着姿の「伊勢うどんガールズ」(石原さん命名?)が4人ほど忙しそうに客をさばいていた。村長と村民2号はメニューの中から定番の「伊勢うどん」(400円)を注文した。ふと見ると、手ぬぐいを頭に巻いて、Tシャツ姿の妙なオッサン(失礼)がいた。石原壮一郎さんの生もの! 奥にある厨房と客席の間を行ったり来たり。天下のコラムニストが料理人兼ドンブリの運び屋(?)までやっている。「石原さ~ん、おいしいわよ~」あちこちからピンクの声援も上がったりしている。石原さんそのものが伊勢うどんに見えてきた。無コシの自然体。入り口も出口もない、無重力の世界。その柔らかな洒脱(しゃだつ)の世界。

あら、石原さ~ん
伊勢うどんの歴史は古い。江戸時代以前にすでに伊勢市を中心として「味噌のたまりをからませたうどん」文化があったという。江戸時代に入ってからは「伊勢参り」の参拝客相手に釜揚げうどんをたまり醤油と一緒に出す店が出始め、混み合ってもスピーディーに出せ、しかも味わい深い現在の伊勢うどんのスタイルが出来上がっていったという。

この自然体
湯気とともに伊勢うどんがやってきた。カツオだしがよく効いた醤油ダレが朱塗りのドンブリの底で「ようおいでやしたなあ。ま、ゆるりとしていきなはれ」とささやいているようだ。刻んだ青ネギがかかっているだけ。その実にシンプルな姿。

醤油だれと絡ませてっと・・・

コシのないすご味が・・・
ぶっとくてもちもちした熱々のうどんを底の醤油ダレに絡ませる。口に運ぶ。まるでコシというものがない柔らかな衝撃がじんわりと五臓六腑に滲み入ってくる。うどんに絡みついた醤油ダレのほどよい甘み。ストレスというストレスが次第に溶けていくようだ。なぜかジョン・レノンの「イマジン」と「ラブ」が聞こえてくる。伊勢うどんとジョン・レノン。案外、面白いテーマかもしれない。

至福のカンショク
「村長、しっかりしてよ。目がとろんとしてるわよ」
村民2号の声で現実に引き戻される。
「コシがなくてもこんなにうまいうどんがあるということに改めて驚くわ。来てよかった。でも、ただ一点。青ネギが少なかった」
村民2号がボソッと言った。
「省アオネギーというのも伊勢うどんの世界なんじゃないか」
村長のくだらないダジャレがドンブリの底に沈んでいった。
本日の大金言。
伊勢うどんは哲学的でもある。コシ中心の世界観を一瞬にして相対化してしまう。こんなうどんは他にない。

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