駅弁発祥の地の「豚釜めし」

 国元からの急な知らせで、しばしの間「ウマズイめんくい村」を留守にしてしまった。転んでもただでは起きない彦作村長。久しぶりに宇都宮駅で駅弁を買い込んだ。ここは駅弁発祥の地とも言われ、駅弁マニアにとってはある種の聖地でもある。その日本最初の駅弁とは握り飯2個とたくあんを竹の皮で包んだものだったという。明治18年(1885年)7月のこと。

          豚釜飯①   
          これにしようっと

その約128年後、彦作村長は新幹線の駅構内で松廼家(まつのや)の「豚釜めし」(900円)と熱いお茶(130円)を買い込んだ。「霧降高原豚使用 ピリ辛味噌焼き仕上げ」というキャプションに惹かれたからである。松廼家は「とりめし」(700円)が有名だが、村長は豚好きなのである。

         豚釜飯⑤ 
         包みを解く前の楽しい時間

東北新幹線の車中から白い那須連山を眺めながら「豚釜めし」の包みを解く。駅弁の楽しみはこの包みを解く瞬間である。女性との初めてのデートとどこか似ている。128年で竹の皮は黒いプラスチックの釜に変わっていた。彼女は昔の彼女ならず。せめて益子焼くらいにはしてほしい。あまりに興醒めな薄っぺらい釜もどきに一瞬めまいが起きてしまった。

それでも中身に期待しようと気持ちを立て直して、ふたを開けた。味噌焼きの霧降高原豚、ぜんまいの甘辛煮、ゴボウ、それに赤と黄のパプリカが見目麗しくレイアウトされている。デザイン的にはよく考えられている。問題は味だ。周辺から中心へ。これが恋愛の鉄則である。まずはゴボウ。甘辛煮で崩れたところがなく、いい歯ごたえでいい味だと思う。

          豚釜飯⑥ 
          おっ、うまそう

次はぜんまい。彦作村長は大のぜんまい好きで、かつてエンターテインメント新聞社で宮仕えしていたころ、料理屋でぜんまいが出ただけで「この店はマル」と手帳に書いていたほど。こちらも甘辛煮で白ゴマが花びらのように振りかけられている。濃いめの味だが、まずまずのうまさ。

いよいよ豚肉。霧降高原豚は飼料にウコンを混入していて、肉質が軟らかくきめが細かいのが特徴といわれている。味噌と唐辛子などで甘辛く焼き上げた豚肉はそれなりのボリュームがあり、主役を張っているのがわかる。だが、しかし。冷たーい! 冬だから当然のことかもしれないが、夏場ならいざ知らず、真冬にこの冷たさは工夫がなさすぎると思う。冷や飯好きにはいいかもしれないが。

         豚釜飯⑦ 
         あーん
         豚釜飯⑧ 
         冷えますなあ

さらに五目ご飯がいただけない。もち米入りの五目ご飯で、出来立てはうまいだろうな、と思うが、寒風の中で置かれた五目ご飯は箸で取ろうと思っても固まりが崩れず、せっかくの見目麗しい構成が台無しになってしまっている。ネーミングと表紙は素晴らしいが、これでは画龍点睛を欠くではないか。安くはない900円で冷や飯を食べるというのも一考だが、彦作村長の脳裏には駅弁発祥の地で「とんだ豚釜めし」というキャッチフレーズが浮かんだ。



本日の大金言。

見かけと中身は正比例しない。恋愛においても駅弁においても悲しいかなそれが現実かもしれない。


                     豚釜飯11 

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プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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