TV特番で超人気だったラーメン店の味

 かつては庶民の味だったラーメンがいつしかどんどん進化して、日本の料理の中でも特異な位置を占めるようになった。たかがラーメン、されどラーメン。書店でもテレビでも「ラーメン特集」を組めば売れる。その世界はそれだけで一つの宇宙みたいになり、醤油、塩、みそとかのスープ別、札幌、喜多方、博多などの地名別はすでに紀元前の分類となっている。今では家系(店名の最後に家が付く)、大勝軒系(山岸一雄が教祖)、がんこ系(一条安雪が家元)など数十種の系統に分類され、さらにはブラック系(醤油ベース)、ホワイト系(豚骨ベース)、ベジポタ系(濃厚な豚骨スープに野菜のポタージュを加えたスープ)やドロ系(ドロドロしたスープ)など聞いてるだけで頭がクラクラしてくる。何やらピカチュウの世界みたいで、ラーメンの進化系ビッグバン、一体どこまで行くのか、心配になってしまうほど。

          大喜① 
          ノレンと自販機

その複雑な流れの中で、彦作村長は、かつて日テレのラーメン特番「史上最大!全国民が選ぶ美味しいラーメン屋さんベスト99」で見事2位(銀メダル)に輝いた「天神下 らーめん 大喜」に足を運んだ。東京・御徒町駅から歩いて5分ほど。史上最大の特番で2位の実力とはどんなものか、気になっていたからである(ちなみに1位は「俺の空」)。

かつては待ち時間が最低でも1時間以上という時期もあったというが、到着したのが午後2時半過ぎということもあって、並ばずに入ることができた。ここは「とり系」ラーメンがウリで、20食限定の「純とりそば」を食べるのは至難のワザ。店内は8人くらい座れるカウンターと3人ほど座れるカウンター、それに4人用と2人用のテーブル席という構成。

彦作村長は入るなり、ダメもとで「純とりそば、ありますか?」と聞いてみた。「純とりそばは1月いっぱいで終わってます。すいません」という返事。改めてメニューを見て、ちょっと高いが、「特製とりそば」(950円)を注文することにした。店員さんはお決まりの黒のTシャツに頭には白いタオル。動きがテキパキしていて、好感が持てる。

         大喜④ 
         見事な構成

10分ほどして、「特製とりそば」がやってきた。鶏の出汁が効いた透明なスープ、鶏のチャーシューが2種類、鶏のそぼろ、ワンタン、二つに切った半熟の煮卵、シナチク、海苔、白髪ねぎ、その下にはきれいな細麺が・・・ビジュアル的には見事で、実にうまそう! ドンブリの全体から鶏のいい香りがふわりと立ち上がり、プンと鼻をくすぐる。

          大喜⑧ 
          透明な奥行き
          大喜⑤ 
          絹のような細麺

まずスープ。鳥の脂が浮いていて、品のいい塩味。多分無化調(化学調味料を使っていない)だろう、自然な奥行きを感じさせる。店主が和の料理人出身だったということが理解できる。麵は細麺で、太麺好きの彦作村長にとっては少々物足りないが、柔らかさの中にコシも結構あり、全体の中でよく考えられた細麵と言える。

          大喜⑥ 
          鶏肉の絶妙

鶏のチャーシューは見事で、その美しさと柔らかな食感は完ぺきに近い。煮卵もちょうどいい味で、鶏そぼろとワンタンの絶妙さはさすが銀メダルの実力と唸りたくなる。だが、しかし、と彦作村長は思う。それぞれが素晴らしいのに、全体としての感動がどこか物足りないのだ。これはどうしたことか? しばらくすると細麺がふにゃりとなってきた。これはゆっくり食べてはいけない、ということなのか。

         大喜⑦ 
         完ぺきな鶏チャーシュー

彦作村長の舌がおかしいのか、食べているうちに、胃袋の底から次第に飽きがにじみ出てきた。1+1+1が3の世界の物足りなさとでも言ったらいいのか、すべてが素晴らしいのに感動が来ない。メニューのあまりの多さも気になった。テレビなどマスメディアの情報を疑ってかかる彦作村長にとっては、「なるほどね」という思いが胸の奥に沈殿したまま、寒空の下、「超人気店」を後にした。



本日の大金言。

ラーメンの世界は今や一つの宇宙になったが、原点を忘れると、ブラックホールに飲み込まれてしまうこともある。


                      大喜10 



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NoTitle

まさにその通りで、テレビのグルメ番組のひどさには怒りを通り越して呆れ果てています。裏でお金を貰っているのではないのか、そう勘繰りたくもなります。低俗番組が多すぎて、やらせの問題も、反省はそのときだけで、視聴者も何もあったものではないと思います。大喜はマシな方で、小生が行ったときは、結構おいしかったですよ。六年ほど前の話ですが(笑)。グルメ番組の裏側をドシドシ斬ってくれることを期待します。

納得

まさに納得のレポートです!
人気店の味は気になってましたが行った事がなく 前を通っても横目で流すだけ‥今回のを読み確かめてみたい興味が出来ました!
プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

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