新歌舞伎座で「幻のきんつば」と遭遇?

          歌舞伎座① 
          新歌舞伎座

 歌舞伎座のこけら落としは4月2日だが、それに先立って、歌舞伎座タワーの地下2階がオープンした。歌舞伎には縁のない彦作村長だが、夜の会合まで少々時間があったことと軽い好奇心から地下鉄東銀座駅と直結する地下2階をのぞいてみた。ちょっとしたショッピングセンターになっていて、旧歌舞伎座からの店も新装オープンしていた。緋毛氈(ひもうせん)の縁台と野点傘(のだてがさ)が並んだ一角に村長のセンサーがピピピと反応した。

         歌舞伎座⑤ 
         B2のにぎわい

「歌舞伎座土産 いろはきんつば」という看板。「いろはきんつば」は信州の城下町・飯田市に本店を構える「和泉庄(いずしょう)」直営の出店。創業が文政元年(1818年)という老舗和菓子屋さんだ。「いろはきんつば」(1個200円)は一子相伝の手づくりきんつばだそうで、それを実演販売しているところだった。なんという幸運。

          いろはきんつば② 
          限定いろはきんつば
                          歌舞伎座② 
                         見事なワザ

きんつばは榮太楼総本舗があまりにも有名だが、この和泉庄も榮太楼に負けない歴史を持っている。きんつばは江戸時代の中ごろ京都の清水坂の茶店で焼き餅の一種として誕生したという。刀の鍔(つば)に形が似ていたことから「銀つば」と呼ばれ、それが江戸に伝わり、縁起のいい「金つば」となったという経由をもつ。

和泉庄の「いろはきんつば」は、その原形そのもの。現在のきんつばはほとんどが四角形だが、榮太楼総本舗と同じで、円形である。しかも榮太楼のものより一回り以上大きい。村長は職人さんが焼いている光景を1日中見ていたかったが、夜の会合があるのでそうもいかない。焼き立てを7個買って、その場で1個だけ食べて、残りをウマズイめんくい村へと持ち帰ることにした。

          いろはきんつば① 
          なんという存在感

その「いろはきんつば」。飯田市の本店では「大金つば」という名前で売られている。見事な焼き具合で、その素朴な存在感にしばし見とれてしまう。粋ではなくあまりに野暮ったいお姿。作家の池波正太郎が株屋の丁稚(でっち)時代から愛していたという深川・清水屋のきんつばはきっとこんなだったのではないか? 清水屋は昭和50年代後半に、きんつば作りをやめてしまっている 。

彦作村長はエンターテイメント新聞社時代に「幻の清水屋」を探し求めて、ようやくたどり着いたが、その時には、甘酒屋に変わっていた。ご高齢のきれいなご婦人が出てきて、「きんつばは作るのが大変で、体力的に作れなくなったんですよ。味を落とすわけにはいかないですから。それでやめてしまったんです」きれいな下町言葉でそう話していた。その幻のきんつばも「いろはきんつば」と同じで、大きくて円形だったという。

「いろはきんつば」は江戸の昔と同じように寒天を使用していない。定規で測ってみると、直径57ミリ、厚さは26ミリもあった。かなりのボリューム。江戸の昔からひょいとそのままタイムスリップしてきたよう。添加物などは使用していず、北海道十勝産の小豆(エリモ種)を秘伝のワザで毎日炊いているという。

          いろはきんつば④ 
          刀の凹みまで江戸のまま
          いろはきんつば⑤  
          甘さがほとんどない

ズシリと重い、その様々な思いの詰まったきんつばをがぶりと行く。甘さがほとんどない! 小豆の風味が立ち上がり、口中から鼻へ、寸前で鼻から脳天へとどんよりと広がっていく。寒天が入っていないために柔らかな小豆の風味がそのままストレートに伝わってくる。焦げ目のついた薄い皮。その素朴。洗練ではなく野暮。その分、好き嫌いが激しいかもしれない。あの清水屋の幻のきんつばもこのような味わいだったのだろうか?

かなりのボリュームなのに、1個をあっという間に平らげてしまう。新歌舞伎座と江戸の昔と幻のきんつば。彦作村長は舌の上でそれを同時に味わった気がして、しばしの間、至福の時間に身をゆだねるのだった。



本日の大金言。

池波正太郎が新歌舞伎座を見たら何と言っただろうか? いろはきんつばについても。


                     歌舞伎座 
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

値段の疑問

和泉庄の大金つばは私も信州に行ったときなどにお土産によく買います。確かに最初見たときにはビックリしました。それが歌舞伎で買えるとは不覚にも知りませんでした。でも値段はもっと安かったと思います。要は歌舞伎座値段ということでしょうか。

ぐやじぃ~

歌舞伎座は近くなのに、実演販売を見たかった~
きんつば美味しそうですね。
和泉庄きんつばに、そんなに歴史があるとは、ちいとも知らなかったとってん。
彦作村長の博学ぶりに脱帽です。

いろはきんつばが大好き

私は東北在住の者ですが、たまに歌舞伎座に行くときには
必ず買ってます。
見た目はずしりとしているのに、ちょうどいい甘さなんですよね。

いろはきんつばは前の歌舞伎座では
劇場の売店で実演販売してました。
前の歌舞伎座が閉館したときは
しばらく、きんつばが食べられないんだなぁと
寂しかったけど、劇場が新しくなって場所が変わっても
また食べられると喜んだものです。
ちょっと値段が高いけど大好きです

Re: いろはきんつばが大好き

> 私は東北在住の者ですが、たまに歌舞伎座に行くときには
> 必ず買ってます。
> 見た目はずしりとしているのに、ちょうどいい甘さなんですよね。

> そうなんです!コメントありがとうございます。

> いろはきんつばは前の歌舞伎座では
> 劇場の売店で実演販売してました。
> 前の歌舞伎座が閉館したときは
> しばらく、きんつばが食べられないんだなぁと
> 寂しかったけど、劇場が新しくなって場所が変わっても
> また食べられると喜んだものです。
> ちょっと値段が高いけど大好きです

同感です。値段をまた上げましたね。場所代でしょうか?
プロフィール

赤羽彦作村長

Author:赤羽彦作村長
あの!エンターテインメント新聞で記者、デスク、編集プロデューサーとして活躍。思うところあって、原発で揺れるヤポネシアを辺境から見つめ直すべく、イカダを組み、オンボロ旗を揚げ、組織を脱出。荒海に乗り出す。「B級うまいものの宝島」を目指して、櫂をガタガタと漕ぎ出すことにした。一か八か泥船となるか、間違って宝船となるか?
特に麺類と和菓子にはうるさい。「舌の上から斜めに世界を見る」などとほざいている。はっきり言ってバカの3乗である。年齢不詳。乙女座、AB型。村民を募集している。

最新記事
カテゴリ
彦作のつぶやき
最新コメント
月別アーカイブ
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最新トラックバック
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR